間違えば失敗投資家に転落!不動産投資における6つの落とし穴とは?
By Oh!Ya編集部
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成功したいからといって必勝法ばかり追いかけても、失敗に終わる可能性が高いことはご存知ですか?
つい輝かしい成功談にばかり目を向けてしまいがちですが、まずは過去の失敗事例から学ぶことをおすすめします。成功は複数の要素が重なって生まれる一方、失敗は何かが足りないために起こるので原因追究が容易なのです。
今回は、「不動産投資における6つの落とし穴とは?」というテーマで、失敗事例の共通点を解説していきます。
不動産投資の成功・失敗を分けるのは知識の豊富さ
成功した全ての不動産投資家は、ただ運が良かっただけで財を成せたわけではありません。不動産投資の世界はプロアマ問わず多数の商売人が競い合っている、いわば弱肉強食の世界なのです。
そのため、最初の投資はビギナーズラックで上手くいったとしても、それが二度三度と続くことはないと考えましょう。継続して稼ぎ続ける投資家は、必ず「豊富な知識」を武器にして堅実に成功を掴みに行っているのです。
知識のない投資家は、いつか知識不足につけ込まれて騙されたり、自ら選択を誤り破滅への道へ進んだりするもの。資産拡大のために始めた不動産投資が、人生を台無しにするきっかけにならないよう注意しなければなりません。
なお、初心者向けのノウハウは、当メディアの「不動産投資とは?超初心者が知っておくべき5つのこと」でも解説しています。本記事とあわせて活用してみてください。
注意すべき不動産投資の6つの落とし穴とは?
不動産投資をスタートするとき、最初に身に付けるべき知識は必勝法ではなく「失敗の法則」です。なぜなら、成功には才能・運・タイミングが深く関係しますが、失敗事例はいつの時代も似たようなものだからです。
また、必勝法だと謳っておきながら、自らが利益を得るために投資家を騙す悪人はどこの業界にもいます。そういった騙すための成功談は多い一方、あえて嘘の失敗を語ったところで利益には繋がらないため、失敗事例は本当に起こった内容である可能性が高いのです。
こういった理由から、数ある失敗事例の共通点から「6つの落とし穴」として、失敗投資家にありがちな勘違いをピックアップしました。
うまい儲け話は相手からやってこない
多くの人間は、自分にだけ聞かされた「うまい儲け話」に弱いです。しかし、多くの不動産業者や投資家たちが入り乱れるなか、投資初心者に都合の良い投資案件が回ってくることはほとんどありません。
- 長期的に家賃が保証されるサブリース契約
- 身の丈以上の高額不動産を買える不正融資
大抵の場合、こういった提案は仲介業者が得をするように設計されています。そのため、仲介業者はデメリットを隠しつつ、何とか成約させようと投資家を口説くことに必死なのです。
サブリースの勧誘で失敗した投資家たち
サブリース契約は、投資家の所有物件をサブリース会社に預けて、客付けや家賃回収などを代行してもらえるサービス。最大のメリットは、入居率にかかわらず賃料収入が保証される「家賃保証」の存在です。
つまり端的にいえば、不動産投資家は一切の業務をサブリース会社に一任できて、何をすることなく安定収入を得られるのです。面倒なことから解放されたいけれど、しっかりと収入は獲得したいという投資家にとって、夢のような提案だといえるでしょう。
しかし、このサブリースには以下のような落とし穴があります。
サブリース会社の判断で家賃保証の料金が変えられる サブリース会社の判断で契約中断になる 家賃保証が適用されない期間がある 投資家の判断で中途解約できない
家賃保証の料金が定期的に変わる可能性や、家賃保証が適用されない期間(免責期間)については、当然サブリース会社から提示される契約書に記載されています。しかし、メリットばかりが強調されたために、これらを知らないまま契約を進めた投資家は大勢いました。
ただ、家賃保証の料金変更について投資家の意見が採用されることは少なく、サブリース会社の意向で一方的に契約中断となることがあるのは事実です。それでいて、料金変更による収益性低下を理由に中途解約を申し出ても、高額な違約金が発生するケースは少なくありません。
なぜサブリース契約は投資家に不利なの?
サブリース契約を交わした場合、サブリース会社の意向に逆らった投資家の意見が採用される可能性はわずか。「サブリース会社に収益不動産を貸している」という状況により、法律上における投資家の立場が低くなってしまうため、こうした理不尽な問題が起こるのです。
表面上は非常に魅力的なサービスであるものの、投資家の決定権を奪う側面があるということを覚えておいてください。
不正融資が原因で破綻したケース
投資家が本来受けられる融資額以上の借入をするため、預金改ざんにより経済力をかさ増ししてより多くのローンを引き出す手法が「不正融資」です。
不正融資を利用すれば、経済力の乏しい投資家でも多額の運用資金を扱えるので、真っ当な方法よりも素早く資産拡大を進められます。しかし、不正融資をして収益性の低い高額不動産を買ったために、給与では支払いきれない返済額を請求される投資家が増えてきました。
2019年2月ごろに話題となったケリーバックスの不正融資や、2018年に話題となったかぼちゃの馬車事件はその一例です。
真っ当に投資をしていれば破産事例は少なかった
不正事例の多くが、わずか数十万円ほどの貯蓄しかないにもかかわらず、情報操作で数千万円に書き換えて大規模な不動産投資をスタート。結局、空室が埋まらず利益を得られないことにくわえて、大規模な投資をしているために返済額が数十万円となり、どう頑張っても返しきれません。
もしも本来の返済能力の範囲で投資していれば、少しのマイナスで済んだはずです。しかし、うまい儲け話だと信じて身の丈を超える投資をしたばかりに、今後数十年のあいだ癒えないレベルの損失を計上してしまったのです。
「専門家が正しい」という考えは禁物
専門家にアドバイスを仰げば、必ず正解が返ってくると考えるのは危険です。
不動産業界はプロアマ関係なく競い合っている世界。専門家ですら100%成功する必勝法は持っておらず、常日頃から情報収集や勉強に励んでいるのです。
そのため、投資家が専門家にアドバイスを仰ぐときは、あくまで参考情報の1つだと捉える程度にとどめて、最終的な選択はいつも自己判断で行うことをおすすめします。
また、専門家を装って搾取しようと企む悪徳業者は少なくありません。仲介業者や工事業者はサービスが成約することで利益を得るため、都合良く誘導するためのアドバイスをもちかける可能性もあるのです。
こうした事態を回避して発言の正否を見極めるためには、専門家が正しいと思い込むまえに自身の知識量を増やすことが大切だといえます。
不動産投資は不労所得ではない
収益不動産が利益を生む商品として働いてくれるため、不動産投資はたびたび不労所得に例えられます。こうした認識をもとに不動産投資を始めて、経営者意識が足りなかったために失敗を招く投資家も多くいるのです。
確かに、不動産投資は労力に関係なく収入を得られる「資本集約型ビジネス」の代名詞です。しかし、資本集約型のビジネスというのは、その中核となる商品自体の魅力を保持しつつ、商品の存在を広く認知してもらえるような努力を必要とします。
古臭い間取りをリフォーム工事で改善する 修繕工事費を抑えるために自力で破損個所を直す 優先して客付けしてもらえるよう仲介業者に営業する
このように肉体的な労働だけでなく、収益性を維持・向上させるための戦略を考えることも投資家の仕事です。本当に何もしなければ利益は落ちこんでいく一方なので、決して不労所得とはいえないのです。
大きなリターンの裏側にはリスクが潜んでいる
大きなリターンがあると分かれば、いますぐにでも投資を始めたいと考えるものです。しかし、リターンの裏側には必ずリスクがあり、その存在に気付かないまま投資を始めたために大失敗を招くこともあります。
高利回りになりやすい格安不動産 入居率が安定しやすい学校・企業付近の不動産
一例としてこれらのリスクについて解説していきます。
格安不動産のオーナーは入居者を選べない
不動産投資を始めるとき、初期費用を抑えるために格安不動産からスタートするケースは多くあります。賃料設定をやや安価にして修繕をすれば、客付けは難しくなく高利回り運用を実現しやすいので、資産拡大の第一歩として有効な手段の1つなのです。
しかし、賃料設定を下げた不動産には、問題のある入居者が付きやすいことで知られています。支払い能力に問題のある無職・低所得者や、近隣住民とトラブルを起こすような入居者がその代表格。
これは、サービス価格が高額になるほど顧客の品位が上がり、低価格になるほどクレーマーが多くなる現象と同じです。賃料設定を低くせざるを得ない格安不動産は、このような悩みに悩まされるリスクがあることを覚えておかなければなりません。
学校・企業の周辺物件は廃校や移転により大打撃
不動産投資において「空室」は最も防ぎたい状態。投資家によっては、賃料を下げてでも空室を阻止すべきだというほどです。
その点、学校や企業周辺に位置する不動産は、学生や従業員からニーズがあるため空室リスクの懸念はわずか。一見すると赤字運営になる可能性が、極めて低い必勝ケースに思えます。
しかし、現状の日本が少子高齢化・企業の短命化という、深刻な問題を抱えていると忘れてはいけません。こういった状況が続けば、いとも簡単に学校は廃校に追い込まれ、企業は事業規模を縮小します。
特定の施設だけに賃貸需要を依存していた場合、これらがなくなれば空室の増加は避けられません。「安定した入居率」という大きなリターンに、大きなリスクが潜んでいたと裏付ける事例の1つだといえるでしょう。
節税目的の不動産投資は失敗する
節税のために不動産投資を勧めるケースは多く、昨今ではシミュレーション時点で赤字運営にもかかわらず「月々1万円台でマンションオーナーになれる」といった広告が話題となりました。
しかし、節税というのは所得を減らして納税額を少なくすること。「収入-経費=所得」という計算式の所得部分を小さくするため、経費を増やすべく収入を資産に変える行為です。
つまり本来は、有り余ったお金にかかる課税額を減らすために、お金を何とかして経費に置き換えることを節税と呼ぶのです。そのため、不動産投資による節税というのは、すでに経済基盤が安定して高収入を得ている人以外にはそれほど効果がありません。
不動産投資の節税効果は赤字状態のあいだのみ発揮される
不動産取得税や登録免許税など出費の多い初年度をピークに、不動産投資の節税効果はどんどん低下。基本的には「会計上の収支が赤字状態のあいだ」にのみ、サラリーマンの給与から不動産投資の出費を引いて節税効果を発揮します。
会計上の収支がプラスになる状況では節税効果が発揮されないため、節税になるという言葉は資産拡大を目指す投資家にとって無関係なものだと覚えておいてください。
安価な競売物件はお宝案件ではない
何らかの理由で裁判所に差し押さえられて、オークション形式で市場に流される不動産を「競売物件」と呼びます。競売物件は売主の意向を挟まないため、相場価格の底値近い価格で取引されることで知られていました。
しかし、一部の投資家だけが競売物件に注目していた時代とは異なり、インターネットの普及によって多くの投資家がオークションに参加し始めています。そのため、以前ほど安く不動産が手に入ることはなくなり、競売物件の優位性は下がりつつあるのです。
それでいて、以下のようなデメリットを持つため、競売に対する知識の乏しい場合は注意してください。
落札者が決まるまで内部を確認できない 不動産に重大な欠陥があっても知らされない 不動産に残されたものは落札者自身が処理する 不動産の引き渡し・入居者の立ち退きは落札者が行う
内見不可や欠陥告知なしといった条件は、改装・修繕の実践経験が足りない投資家にはハードルが高いです。また、不動産の引き渡しに応えない場合もあり、落札から運用開始までに多大な時間・労力を要する可能性は低くありません。
経済基盤が安定していないまま購入すれば、後々まで競売物件が負債となる確率は高いため、初めて購入する不動産として相応しくないといえます。競売物件をお宝案件だと思う投資初心者はまだ多いですが、おすすめできる選択肢ではないと覚えておいてください。
不動産投資の失敗を回避する方法とは?
失敗を回避するためには、今回ご紹介したような「不動産投資の落とし穴」を事前に把握しておくことや、誤りではないか判断するための冷静さが求められます。
この項では、いつの時代にも対応できる投資家になるための、失敗を回避する具体的な習慣を解説していきます。
業界情報が収集できるようにネット・SNSを活用
当メディアなどのウェブサイトや専門書籍を使った勉強のほか、SNSやYouTubeを活用した情報収集をおすすめします。ウェブサイトは、「調べたいこと」が明確になっているときには有効ですが、調べられる範囲はおおむね自身の想像の範疇に収まってしまうもの。
たとえば、カレーという料理そのものを知らなければ、カレーのレシピを調べようという発想にはならないはずです。しかし、SNSやYouTubeなど「受動的な情報収集」ができる媒体を使えば、自身の想像が及ばない話題について意識せずとも流れてきます。
何か1つの情報収集に縛られず、利用できるツールを全て使うことで、未知の落とし穴を発見できる可能性は高いです。
初心者のうちは魅力的な物件でも即決しない
初心者向けだと宣伝されている無料セミナーは、そのほとんどが不動産を成約させる目的で開催されています。そのため、無料セミナーにいる営業マンたちは、初心者たちにあの手この手で不動産投資を勧めてくるのです。
しかし、こうした場所で紹介される投資案件は、無料セミナーの開催費を回収するため販売価格に余分な経費を付け加えられています。つまり、適正価格より高値で買わされる可能性が高いのです。
このような問題点は冷静にシミュレーションすれば分かることが多いのですが、無料セミナーで盛り上がった精神状態のままアプローチを受けたために、勢いで商談を進めてしまう投資初心者も多く存在します。
似たような落とし穴は、形を変えてあらゆるシーンでもちいられるため、投資先を正しく判断するためにも初心者のうちは即決しないよう注意してください。
分からないまま商談を進めず「なぜ?」と聞く勇気を
自らの判断に自信を持つことは大切ですが、プライドが高いために「なぜですか?」と質問できなくなるのは危険です。分かった気になったまま商談を進めて、あとから後悔しても失敗が帳消しになることはありません。
本当にこの入居率は維持できますか? 大規模修繕工事は何年後に必要そうですか? 運用経費の内訳はどのようになっていますか?
収支シミュレーションの段階では、運用利回りの計算が楽観的な場合もあります。そこで上記のようなポイントを指摘して、この数字の根拠はどうなのかと質問することが大切。
「業者がいっているから大丈夫だろう」ではなく、自身の認識と業者の主張に整合性があるのか確認しておきましょう。
まとめ
今回は、不動産投資における数多くの失敗事例から、特に注意すべき落とし穴について解説しました。
他の投資手段と比較して不動産投資は特に多額の資金を投じるため、失敗したときのリカバリーは容易ではありません。こうして失敗したくない気持ちが先行するために、都合の良い話を盲目的に聞き入れたり、グレーな領域にある提案を受け入れたりしてしまうケースが多いのです。
しかし、不動産投資に裏道や必勝法は存在せず、実際には泥臭く情報収集や勉強を続けられる投資家だけが生き残っていきます。本記事での情報収集もその一環と思い、実際の投資に役立ててもらえればと思います。