不動産投資で失敗した人に共通する4つのミスと3つの失敗談
By Oh!Ya編集部
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不動産投資は投資なので、かけたお金を失うばかりか、場合によっては借金を背負ってしまうこともあります。
そのことは肝に銘じつつ、一方で過去に不動産投資で失敗した人の話を聞くと、どれも似通ったものばかりであることが分かります。
そこで、本記事では不動産投資でよくある失敗理由についてお話するとともに、実際に失敗した人の体験談とその対策をご紹介しています。
ここでご紹介する失敗理由を参考に、自分は同じ失敗をしないようよく分析、対策することが大切です。
不動産投資で失敗するとどうなる?
不動産投資は他の投資と同様、うまく運営すれば大きなリターンを得られる可能性がある一方、失敗してしまう可能性もあります。
とはいえ、実際のところ不動産投資は比較的失敗しにくい投資ではあります。
なぜなら投資を始めるにあたり不動産を所有することになるため、最終的にはその物件を売却してしまえばよいからです。
一方で、不動産を売却してもローンが残ってしまう場合には注意が必要です。
以下で、不動産投資で失敗=資金繰りが悪化してローンの支払いが難しくなった場合の流れをご紹介します。
不動産を売却できないことがある
不動産投資でうまくいかなくなっても、最終的に物件を売却することで借金の全部か、少なくとも一部は返すことができます。
とはいえ、不動産の売却代金よりローンの残債が多い場合、不動産を売却しても借金が残ります。
額が小さければ自己資金で補うこともできるかもしれませんが、数百万円〜数千万円の単位で借金が残ってしまうとそうもいかないでしょう。
また、そもそも不動産投資のローンは売却代金と自己資金でローンの残債を完済できなければ売却することもできません。
物件には抵当権が設定されており、抵当権を抹消する条件がローンを完済することかだからです。
ローンを延滞すると競売に出される
不動産の売却代金と自己資金の額が上回らなければ、原則として不動産を売却することができません。
そのため、経営が難しくとも続けていくしかありません。
しかし、そのまま経営が回復することなく、最終的にローンを延滞してしまった場合には金融機関に差し押さえられ、競売に出されることになります。
また、競売に入る前に金融機関と話し合って任意売却することもできます。
任意売却とは
任意売却は、以下の2つの要件を満たしていることで始められる手続きです。 ・ローンを滞納していること ・売却してもローンを完済できないこと
ローンを滞納しており、売却してもローンを完済できないのであれば、後は競売が見えてきます。
しかし、競売は一般の市場より安く売りに出されることが多く、競売で売却しても借金は多く残り、引いてはお金を貸した金融機関も損をしてしまいます。
任意売却とは売却してもローンを完済できないけど、足りない分をどう完済するか金融機関と話し合うことで売却を可能にする方法です。
任意売却は通常の不動産売却と同じ手続きで進められるため、競売より高値で売却できるのが一般的です。
任意売却にせよ、競売にせよ、物件を売却したお金でローンを返済し、残ったローンについては引き続き返済していく義務が生じます。
任意売却であれば、残るローンも少なくて済み、最終的に自己破産しなくてもよい可能性も高まるでしょう。
競売されるとどうなる?
任意売却の手続きを進めていても、任意売却に時間がかかってしまうと競売にかかってしまいます。
競売は裁判所の指名する不動産鑑定士によってその最低価格が定められ、入札方式で最低価格以上の最高価格を出した落札者が物件を取得することになります。
この時定められる最低価格は、市場の相場より3~7割程度とかなり低く設定されるのが一般的で、競売で得たお金をローンの返済にあてても、残ったローンは任意売却より多くなります。
任意売却より競売の方がその後の自己破産の可能性は高くなるでしょう。
なお、競売は売却が決定するまでに2~3年かかることもあり、その間は物件に住み続けられる点がメリットといえばメリットでしょう。
自己破産するとどうなる?
任意売却や競売をして物件を手放してもローンの残債がある限り、返済の義務は残り続けます。
しかし、物件を手放すということは、それまで得られていた家賃収入も得られなくなるということで、ローンの返済を続けるのは難しいことが少なくありません。
どうしても返済が難しい場合には、自己破産することもできます。
自己破産とは「自分の収入で借金を返済することが難しい場合に裁判所に申請して借金をチャラにしてもらう」方法です。
もちろん、借金がチャラになるということは、その分お金の貸主は損をすることになります。
そこで、そう簡単に自己破産しないように、自己破産者には以下のような社会的制裁が与えられます。 ・不動産や預貯金、自動車など換金可能なものは換金し債権者に支払う(衣食住などの財産のうち、生活に必要なものは残る) ・官報に記載される ・インターネット上に裁判記録が公開される ・個人信用情報に破産情報が記載され、10年間程ローンを借りられなくなる
誰でも閲覧できる情報に破産者として名前が載ることになりますし、破産後10年程はローンを借りられなくなります。
とはいえ、逆に言えばそれだけのことで、自己破産しても生活に必要な財産は残ります。
不動産投資で失敗して自己破産してもそこから再起して資産を構築していく方もいらっしゃいます、
よくある不動産投資の失敗理由
不動産投資が失敗するのには、理由があります。
また、不動産投資の失敗理由を聞いてみると、多くの方が同じようなことで失敗していることが分かります。
失敗する理由は似通っているのです。
ここでは、よくある不動産投資の失敗理由として4つの失敗理由をご紹介します。
- 利回りだけを見て物件を獲得した
- 金利の高いローンを借りた
- 大学が移転した
- 競売物件を購入した
①利回りだけを見て物件を取得した
利回りは物件取得の際の重要な指標となりますが、利回りだけで物件の取得を決めるのは問題があります。
例えば、極端な例ですが満室時の想定利回りが20%あったとしても山奥の、入居者のいないような物件であれば空室を埋められず、大きな損を出してしまう可能性が高いでしょう。
そこまで極端でなくとも、例えば都内で利回り8%の物件があったとしても木造で築20年超等であれば、取得時にローンを組めない可能性と、将来的に売却しづらい可能性を考慮する必要があります。
対策1・空室を考慮した利回り計算をしよう
利回りに関して気を付けたいこととして、満室時想定利回りで考えるべきではない、ということがあります。
現状の空室は何室あるのか確認し、満室時想定利回りではなく、実際に得られている家賃を元に利回り計算するとよいでしょう。
なお、売主の出す情報(レントロール)に誤りがあることもありますし、また購入後しばらくして退去が続く場合や、退去後、再度入居者を募集するために家賃を下げなけばいけないこともあるので注意が必要です。
対策2・利回りだけで購入を決めない
利回りは購入する物件を選ぶときに必ず参考にすべきものですが、あくまでも物件を決める際には実際に物件を確認し、将来にわたって入居者を埋められる物件なのかどうかを判断基準にするようにしましょう。
どれだけ利回りがよくとも、入居者がいなければ家賃収入を得ることはできません。
一方で、利回りが平均程度でも将来にわたってずっと入居者が入ることが想定できるのであれば購入の判断をしてもよいでしょう。
②金利の高いローンを借りた
不動産投資では多くの方がローンを借ります。
物件を取得するのであれば、まず融資を受けなければ始まらないことがほとんどです。
しかし、いくら融資が受けられるからといって金利が3%~4%以上もするローンを借りると失敗する可能性が高くなります。
例えば、同じ1億円を20年かけて借りる場合でも金利1%の場合だと月々返済額は46万円程度なのに対し、金利3%だと55万円にまで跳ね上がります。
同じお金を借りるのに9万円も返済額に違いが出ます。
借りられやすいことを条件に、金利4.5%などの高利で貸し出すローンもありますが、金利4.5%だと同条件で月々返済額63万円。
その差額は17万円で、場合によっては入居者4~5人分の家賃に匹敵します。
もちろん、いきなり金利1%で借りるのは困難ですが、できるだけ低い金利で貸し出してくれる金融機関を粘り強く探すことが大切です。
借入額 | 借入期間 | 借入金利 | 月々返済額 |
---|---|---|---|
1億円 | 20年 | 1% | 約46万円 |
1億円 | 20年 | 3% | 約55万円 |
1億円 | 20年 | 4.5% | 約63万円 |
対策1・借入期間を長くする
ローンに関しては低い金利で貸してくれる金融機関を探すことも大切ですが、限度もあります。
そこで、他の方法で月々返済額を減らす方法を考えましょう。
その一つが、借入期間を長くする方法です。
収益物件のローンに関しては、木造や鉄骨造、RC造など構造ごとに耐用年数が定められており、築年数が若いほど長期間借りられやすくなります。
例えば、RC造築10年程度であれば30年のローンでも借りられる可能性があります。
例えば、1億円を金利1%、借入期間30年で借りると月々返済額は約32万円で20年の時と比べると14万円安くすることができます。
借入額 | 借入期間 | 借入金利 | 月々返済額 |
---|---|---|---|
1億円 | 20年 | 1% | 約46万円 |
1億円 | 30年 | 1% | 約32万円 |
対策2・借入額を少なくする
次に、借入額を少なくすることでも月々返済額を減らすことができます。
例えば、自己資金1,000万円を入れて借入額を9,000万円とした場合、金利1%、借入期間20年で月々返済額は約41万円にすることができます。
いずれの方法にせよ、基本的にはできるだけ月々返済額を安くして手元に残るお金を多くする対策を考えることが大切です。
借入額 | 借入期間 | 借入金利 | 月々返済額 |
---|---|---|---|
1億円 | 20年 | 1% | 約46万円 |
9,000万円 | 20年 | 1% | 約41万円 |
③大学が移転した
都内の大学で、郊外に校舎を構えていた大学が都内に移転する例がいくつかありました。
このように大学が移転すると、大学に通う学生をターゲットにしていた賃貸マンションは新しい入居者を得られづらくなります。
家賃収入はどんどん減っていき、最終的には売却しないといけなくなるケースも出てきます。
賃貸マンションを購入する時、「大学の近くだから学生の需要が見込める」と考えるのは、確かにそうなのですが、マンションは時には数十年にわたり保有するもので、その期間中に大学が移転してしまう可能性について考慮しておく必要があります。
また、大学だけでなく、企業や商業施設に勤める人をターゲットにした物件も、それらの企業や商業施設が移転してしまうと入居者を集めづらくなります。
対策・1つの施設に集客を頼った物件は避けよう
大学の移転や企業の移転に対する対策としては、物件が、これら1つだけの施設に頼った集客となっている物件の取得は避けた方がよいでしょう。
もちろん、大学の近くにある物件でも利用者の多い駅に近いか、または利用者の多い駅へのアクセスがよいといったことが考えられるのであれば購入を検討する価値があるでしょう。
④競売物件を購入した
競売物件は市場価格より安い価格で購入できる可能性が高いため、競売で取得した物件は高い利回りを得られやすいです。
しかし、素人が安易に競売物件に手を出してしまうのは危険でもあります。
まず、競売に出されるくらいなので室内の管理状況がよくないのが一般的で、リフォームにお金がかかります。
また、前の所有者が管理費などを滞納していると、その返済を求められることもあります。
結果として、正規の方法で物件を取得したのとあまり変わらない金額で取得することになったばかりか、リフォームの手間や前の所有者が残したトラブルへの対処で大変な思いをしてしまうことが少なくありません。
対策・初心者は競売物件には手を出さない
これに関しては対策はシンプルで特に初心者のうちは、利回りにつられて競売物件に手を出さないことをオススメします。
初心者では、競売物件にありがちなトラブルに対処できない可能性が高いからです。
中には、そうしたトラブルのない競売物件もありますが、そうした運だよりの経営では長期的に事業を拡大していくのも難しいでしょう。
実際にあった不動産投資の失敗談
ここでは、実際にあった不動産投資の失敗談を元に、その対応策を考えてみたいと思います。
ワンルームマンションを購入したAさんの失敗
東京都23区内にお住まいのAさん(奥様・40歳)は、結婚前に購入したワンルームに住んでいましたが結婚を機に新築マンションを購入し、ワンルームマンションは賃貸に出していました。 しかし、共働きの時はよかったものの、Aさんに子どもができるとAさんは働けなくなり、新築マンションと賃貸マンション両方のローンの返済に追われることになります。 最初はAさんの貯金を切り崩して返済していたものの長くは続かず、ついに返済できなくなったと言います。
Aさんは結局、任意売却で売却することになりましたが残債が少し残り、またローンの返済を滞納したことから個人信用情報にキズがつくことになってしまいました。
Aさんはどのように対応していればよかったのでしょうか。
対策1・ワンルームマンションは家賃収入がなくなっても返済できるかを確認
Aさんのようにワンルームマンションを賃貸に出す場合、空室が出てしまうと家賃収入は0円。住宅ローンの支払いと管理費などの経費だけが出ていくことになります。
このようなケースでは、ワンルームマンションの経費がなくなっても返済できるかどうかを一つの目安とするとよいでしょう。
Aさんの場合、子どもができる前はそれができていたのですが、子どもができてからは働けなくなり、支払いが厳しくなっていきました。
返済がうまくいかないと心も落ち着かないものです。
Aさんの場合は、新築戸建てを購入する段階で将来のライフプランまで考えておくとよかったと言えるでしょう。
対策2・危なくなったらできるだけ早く売却を検討する
Aさんは子どもができて働けなくなったことが原因でローンの返済が厳しくなり、ついには延滞して任意売却するという結果となりました。
任意売却は通常の不動産売却と同じ方法で売却するとはいえ、売却の期間に限りがあることもあり、通常の不動産売却よりは売却価格が安くなってしまう傾向にあります。
可能であれば、子どもができた段階で何とか売却できないかどうか検討しておけたら良かったでしょう。
Aさんの場合、検討したけど残債の関係で売却できなかった可能性もありますが、残債に足りない分は自己資金で補うことができます。
例えば、結婚した時から子どもが生まれることを想定して自己資金を貯めておけば、子どもが生まれるころには自己資金を貯められていた可能性もあります。
いずれにせよ、可能な限り早めの対策を打っていくことが大切だと言えます。
親から相続した土地にアパートを新築したBさんの失敗談
Bさん(43歳・ご主人)は親から相続した土地の上に1億円ほどローンを借りて新築アパートを建てました。
最初の数年はうまく行っていたものの6~7年経った頃から修繕費など想定していなかった出費も多く発生するようになり、また簡単に入居者が埋まらなくなってきたことから家賃を下げたことから65万円あった家賃収入が50万円にまで減少。
Aさんは1億円を金利2.5%、借入期間20年で借りていたため月々返済額は53万円程度あり、その他の経費の支払いなどから毎月の赤字が積みあがっていっている状態となりました。
最終的に、手元にあった自己資金をほとんどを使い果たし、物件を売却することになったBさん。
相続した土地とともに新築したアパートは手元からなくなり、さらにこつこつためてきた自己資金のほとんどを失うことになりました。
対策1・不動産投資を始める前に勉強しよう
Bさんは、相続した土地があったことから建設会社から営業を受ける形で、言われるがままに新築アパートを建てる計画を進めたと言います。
不動産投資で、意外と多いのがこうした業者の言いなりになって計画を進めてしまう方です。
もちろん、それでうまくいく方もいらっしゃるのですが、不動産投資を始めるということは事業の責任者になることです。
アパートの建築費や毎月の経費、ローンの金利や返済額についてなど一通り自分で勉強してから取り組むようにしましょう。
対策2・キャッシュフローはできるだけ多くする
Bさんの新築したアパートは、土地に対してお金がかからないのにも関わらず、毎月の家賃収入が65万円に対してローンの返済額が53万円と、毎月12万円の手残りしかない計算でした。
これに、固定資産税や修繕費などが重なれば例え満室経営を続けられたとしても支払いが難しくなっていくことが予想されます。
Bさんの場合、アパートをもっと安く建築できなかったのか、又はRC造のマンションにして家賃を高く設定し、またローンの借入期間を30年など長く設定できなかったのかといったことが考えられます。
中古1棟アパートを購入したCさんの失敗談
Cさん(57歳・ご主人)は10年程前、東京都内に中古1棟アパートを購入しました。
購入時には16戸ある部屋のうち、14戸が埋まっており、残り2戸もすぐに決まる見通しと聞いて購入を決めたものの、いざ購入してみると2戸はなかなか埋まらないばかりか、数年する内に空室数は徐々に増えていき、最終的には6戸が空室という状態になりました。
毎月70万円程あった家賃収入が数年後には50万円程度まで減少。
ローンは毎月45万円程度でしたが、毎月の経費を足すと赤字が続いていました。
空室が埋まらない原因は、お風呂とトイレが一体(3点式ユニット)となっていることでした。
周辺の類似した物件のほとんどはお風呂とトイレが別。
とはいえ、これから全てをリフォームすると大きなお金がかかってしまうため、泣く泣く売却を決意。
その時の売却額も想定よりかなり安くなってしまいました。
対策1・3点式ユニットは不人気
バス、トイレ、洗面所が一体となっている3点式ユニットは、90年代に流行したスタイルですが最近建てられるアパート・マンションのほとんどがバス・トイレは別となっています。
入居者からすると同じ家賃であれば3点式ユニットよりバス・トイレ別の部屋を選ぶでしょう。
そもそも、部屋を探す段階で3点式ユニットの部屋は除外する人もいます。
もちろん、入居を決める理由はさまざまなので、3点式ユニットでも入居者を見つけることはできるでしょう。
とはいえ、一般的に3点式ユニットのお部屋は不人気だとよく理解しておく必要があります。
対策2・3点式ユニットで空室を埋めるのであれば家賃を下げよう
3点式ユニットでも空室を埋めようと思えば、家賃を下げるのが一番効果的でしょう。
周辺の類似物件に5万円程度の家賃が多いのであれば、4~4.5万円程度で家賃を設定すれば、入居者を見つけられる可能性があります。
とはいえ、Cさんの場合全部屋家賃を1万円下げると合計16万円ダウン(満室時)なので、慎重に検討する必要があります。
まとめ
不動産投資における失敗についてお伝えしました。
不動産投資は、運用に失敗すると最終的には自己破産しなければならない可能性もあります。
しかし、これまで不動産投資で失敗した人の話を聞くと、どれも似通ったものばかりであることがほとんとです。
今回ご紹介した不動産投資で失敗する理由や、実際の体験談について参考にするとともに、今後イベントに参加したり、本やインターネットで勉強したりすることで過去に失敗した人に理由を分析していくと自分が失敗する確率を減らすことができるでしょう。