知っていれば怖くない!不動産投資のよくある失敗例とその防ぎ方
By Oh!Ya編集部
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不動産投資は他の投資商品と比べ、投資家自身でコントロールできる範囲が大きいです。つまり知識や経験があるほど有利といえるため、失敗を防ぐためには「多くの失敗例」を把握していることが重要だと言えます。
そこで、不動産投資のよくある失敗パターンをピックアップしました。今回はそれぞれの原因と具体的な防止方法をご紹介します。
不動産投資に失敗する人の共通点
不動産投資家として次々に成功を収める人がいれば、万全に準備したはずなのに失敗してしまう人もいます。不動産投資の成功率を高めるため、まずは失敗パターンを知らなければなりません。
この項では、不動産投資が上手くいかない人にありがちな、失敗事例の共通点をご紹介します。
他人任せにする事が多い
不動産会社のなかには「良きパートナー」となりえる営業マンと、そうではない営業マンがいます。なかには会社の利益を優先して、告知義務違反を犯す悪質な営業マンがいることも事実。
そのような悪質な行為で投資物件を売りつける行為は、決して許されるものではありません。しかし投資物件を購入する決断をしたのは自身の責任であり、物件選定が悪かったからといって誰を攻めても失敗がくつがえることはないです。
さらに、経験豊富で良心的な営業マンであったとしても、確実に成功へ導いてくれる保証はありません。不動産投資を始めるには多額の資金が必要であるため、他人任せにせず自身の基準で良いと思った投資物件を購入しましょう。親身になってくれる営業マンは、あくまで助言を求める対象として認識しておくことをオススメします。
勉強をしない
不動産投資は、投資物件を購入すれば終わりというわけではありません。むしろ税金や市場の傾向など、投資物件の購入以降こそ学ぶべきことが多くあります。
投資物件の運用はギャンブルではなく、頭脳と行動力が重要なビジネスです。ライバルとなる物件のリサーチや対策、資金繰りから不動産会社とのコミュニケーションまで、あらゆる面で継続的な勉強ができなければ成り立ちません。
不動産投資を成功させるためには勉強を苦とせず、書籍やセミナーを駆使して知識を深め続けることが重要です。
金銭感覚が荒い
会社が複雑な手続きを済ませてくれるサラリーマンとは異なり、不動産投資家は基本的に金銭関係の処理を自身で行う必要があります。どのような事業にも当てはまることですが、金銭感覚が荒くて財務管理が苦手な人は失敗に陥りやすいです。
どれだけ順調にプラスの収益を重ねていても、物件の補修や不測の事態に備えて資金をたくわえなければなりません。借入を利用している場合は金利の計算も必要であるため、キャッシュには余裕をもった状態が理想的です。
しかし、不動産投資で得た収入を使い切るような金銭感覚であればどうでしょう?空室対策のために必要なリフォーム工事、魅力的な投資物件に出会うチャンス、あらゆる場面で資金をたくわえなかったことが足を引っ張ります。
計画性が薄い
計画性が薄い事業と入念に計画した事業、どちらの方が失敗しやすいかは明白です。計画性が薄い投資家の考え方には「いくら計画しても実際は役に立たない」という思い込みや「計画の立て方が分からない」といったケースが見られますが、どちらも不動産投資を始めるうえで危険な状態。
計画を立てる理由は「忠実に計画を再現するため」ではなく、判断が困難な事態をむかえたときに道しるべとして使用するため。たとえば災害時に多くの人がパニックをおさえて避難できるのは、地震や火事が起きたときに取るべき行動を把握しているからです。これは災害時に有効な行動プロセスが確立していて、初めて可能な対応といえます。
不動産投資も同じように、判断が難しい場面ですぐに答えが求められる機会があります。それは購入候補の物件に他の買い手が付きそうな場面、財務面にダメージを与える滞納者の処置を考える場面などさまざま。前者は好物件を逃すことにつながり、後者は放置していれば手痛い損失を受けます。
このような状況でも自身のルールに基づいて判断が下せるよう、あらゆる事態を想定して入念に計画することをオススメします。
物件選びの失敗事例と対策
優良物件を手に入れるだけで成功するほど、不動産投資は簡単なものではありません。くわえて物件選びを間違えた場合には、高確率で失敗してしまうのが不動産投資の難しいところ。
少しでも不動産投資で成功したいと考えるならば、間違いに対する知識を身につけて失敗率を極力低減させることが重要です。この項では、物件選びに関する失敗事例と対策についてご説明します。
想定以上の修復・リフォーム費がかかった
築年数の古い物件は購入価格が安く高利回りが期待できますが、修復やリフォームにかかる金額が高額になってしまうケースも少なくありません。
その結果、より築年数の新しい同規模の物件と変わりない金額になり、想定していた利回りに届かない失敗物件になることも考えられます。
高利回りや目先の収益だけで考えてはダメ
不動産投資は中長期の運用を前提とする投資手法であるため、安定的に継続した収入を見込める投資物件を選ぶことが好ましいです。
低価格の中古物件は初心者でも手を出しやすい投資物件ですが、初心者が修復やリフォームの費用まで正確に計算することは困難。物件購入時は価格や利回りだけに注目するのではなく、入居者を招き入れる状態にするまでの費用も加味しなければなりません。
ゴミ処理場の悪臭で入居者が見つからなかった
ゴミ処理場や下水処理場など、嫌悪施設と呼ばれるマイナス要素は入居率が低くなる原因です。これらの悪臭を発する施設だけでなく原子力発電所や軍事施設、刑務所や風俗店なども入居をさまたげる原因となります。
入居希望者の多くはこのような問題に敏感なので、投資物件を購入する近隣に嫌悪施設がないか注意しましょう。なお、嫌悪施設は「宅地建物取引業法」により説明が義務付けられていますが、嫌悪施設の基準は入居者によってさまざま。児童の登下校や害虫が集まりやすい飲食店など、不動産会社から説明されないものに対しても注意が必要です。
現地に足を運ばず買うのはNG
購入を検討している投資物件は、紹介サイトや不動産会社から送られてきた資料だけでなく、実際に足を運んで周囲一帯を確認するのが理想です。入居者が物件の情報を重視するのはもちろんですが、それと同じように周辺環境もチェックしています。
投資物件を購入する際は現地に足を運んで、「居住したい」と感じる場所であるのか確認することをオススメします。
豪雨による浸水で修繕費がかさんだ
不動産投資は中長期的な運用を前提としているため、所有時期のどこかで自然災害に遭遇することが考えられます。どのような自然災害が訪れるのか予想することは困難ですが、事前にリスクを把握しておけば対策を用意することも可能です。
特に日本では台風による豪雨や浸水が多いため、常にそういったリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。
ハザードマップなど事前に分かる調査はすべし
豪雨や洪水などの災害リスクは不動産投資に付き物です。日本のどこであっても自然災害に遭遇する可能性はありますが、被害の大きさは地域によってさまざま。事前に調査して災害リスクが少ない地域が分かれば、投資物件が自然災害により損傷する確率を低減できます。
そういった用途に最適なツールが「ハザードマップ」です。ハザードマップには自然災害により被害が及ぶ範囲、被害レベルなどが自治体ごとに記載されています。これにより購入を検討している物件周辺の災害リスクを調査し、未然に脅威を防止することが可能です。
豪雨や洪水のほかにも土砂災害や地震に関するデータもあり、多角的な分析が可能となっています。建材や築年数なども考慮しつつ、ダメージを受けにくい場所に投資物件を用意できれば理想的です。
大学の移転で入居需要がなくなった
通学圏内にある賃貸物件は学生からの需要が高く、空室リスクを軽減する運用方法として認知されています。しかし、大学が移転してしまった場合の対策を忘れてはいけません。
特に少子高齢化社会をなりつつある現代において、大学が移転・廃校となるケースは珍しくなくなりました。大学移転によって空室率が高まれば、地域一帯の家賃相場も低下します。入居率が維持できる前提の計画は役に立たなくなるため、大学生の入居に依存した運用は危険です。
一つの大学や企業だけで考えるのは危険
大学だけでなく、企業の従業員が入居することを期待した運用も要注意。リスクを把握して運用するならまだしも、対策を用意しないまま「需要を生む1つの要素」に頼っていてはいけません。
大学付近であれば定員割れが生じていないか、すでに他の場所に土地を所有していないかに注目。企業の付近であれば経営難航による規模縮小の可能性を考慮し、事前調査や地域に強い不動産会社に相談してみるなどの対策が必要です。
それらの調査でも確実性に欠けるため、「施設に依存した物件」の購入はリスクを把握したうえで行うべきでしょう。
契約方法の失敗事例と対策
入居率が高い投資物件であっても、契約方法が不利なものであれば利益が小さくなります。契約方法というものは目に見えないだけに、売主や不動産会社に有利な条件へ誘導されやすいです。
そこで、この項では「不利な契約方法」を選んだために招いた失敗と対策をご紹介します。
購入時は入居者がいたのに一度出たら次が決まらなかった
たとえ物件購入時に満室だったとしても、ずっと満室であるとは限りません。たとえば売却理由が先述した「大学や企業の移転」であれば、移転時期に合わせて入居率は激減します。現状で満室になっているという要素に注目して、他の要素を拾い切れていなければ高確率で失敗を招くでしょう。
さらに注意すべき事例の1つに「満室を装った詐欺」があります。このような不動産投資家をだまして売りつける行為が、各地で少なからず確認されているのは事実。証拠がつかみにくいケースもあり、発覚後に訴えるのは簡単ではありません。
また証拠を集めようにも時間がかかるため、その期間は空室が損失を生み続けます。これらの要因から訴えるより入居者探しに専念する投資家が多く、売主を訴訟しないまま終わるケースもあるようです。
目先の手数料だけを考えてはダメ
空室リスクに対して有効な対策の1つに「空室保証」というサービスがあります。これは保証会社に月額保証料を支払うことで、家賃の約8~9割に相当する保証金が受け取れるというものです。
保証金という形で手数料を支払うことになりますが、空室リスクに対する不安を軽減できるという心強さがあります。入居者がいても支払うため手痛い出費だと思いがちですが、入居率維持に絶対的な自信がない場合は検討した方が良いサービスと言えるでしょう。
サブリースの保証費が毎年減っていった
家賃保証というメリットが強調されているサブリースは、思わぬ失敗につながる危険性を秘めています。というのも「家賃保証」というのは恒久的に同じ家賃を約束するものではなく、数年単位で保証費の見直しがあるケースも多いからです。
例えば家賃7万円の投資物件を保証費5万円でサブリース契約した場合、契約満了までの期間ずっと5万円の収入が約束されるわけではありません。契約によっては2、3年など、契約時に設定されたスパンで値下げされることもあります。
つまりサブリース契約による定額収入に頼り、投資物件の買付や新規ローンなどを計画することは危険な行為そのものです。少子高齢化や地方の過疎化が進む現状では、市場価格の変動でサブリース契約の保証費が減少することを覚えておかなければなりません。
さらに、免責期間も注意が必要なポイントです。免責期間とは投資物件に空室が発生した時点をスタートとし、サブリース契約による家賃が発生しない期間。たとえば免責期間が90日であれば、空室が発生した(募集が開始された)時点から3ヶ月間は家賃保証が適応されません。
そして3か月目以降から契約時の保証費が支払われます。免責期間を30~90日に設定しているサブリース会社が多いですが、それ以上に長い場合は要注意。免責期間は新規に入居者が決まった段階でリセットされるため、短期の入居者があらわれた場合は退去後に再び免責期間がスタートされます。
長期に設定された免責期間は投資物件の収益性が悪くなるため、リスクを把握できていないのであれば避けた方が無難です。
サブリース契約のメリット、デメリットを理解すべし
サブリースは自身の所有物件をサブリース会社に貸し、サブリース会社から一定の賃料を得ます。家賃保証に関しては先述した通りですが、入居に関係する管理をサブリース会社に一任できることも魅力。
入居者はサブリース契約を交わしたサブリース会社と契約するため、不動産投資家は入居者選別の時間と手間も大きく削減できます。また、不動産投資家を悩ませる入居者トラブルに関わらなくて良い点も、サブリース契約の重要なメリットと言えるでしょう。
一方でいくつかのデメリットも存在します。サブリース契約では入居者とサブリース会社が契約するため、敷金礼金などは不動産投資家の手元に入りません。また入居者を選ぶことができないため、不動産投資家が望まないタイプの人が入居するケースもあります。
そしてもっとも懸念すべきは、サブリース会社の倒産リスクです。サブリース会社も一企業でしかないため、経営の悪化が続けば倒産します。その場合に大きな被害をうけるのは、投資物件を所有する不動産投資家です。
基本的にサブリース会社が倒産して契約が解除された段階で、入居者が結んだ賃借契約は不動産投資家に移されます。サブリース会社が管理していた入居時の敷金は原則として不動産投資家が引き継ぎますが、サブリース会社が倒産したとあれば回収できない事態も想定しなければなりません。
経営戦略の失敗事例と対策
優れた投資物件を購入して有利な契約内容を実現できたとしても、まだ成功を収めたとは言えません。なぜなら順調に投資物件を用意できても、経営能力が乏しければ「黒字倒産」してしまうからです。
この項では経営戦略や知識が未熟であるために招いた、失敗事例と対策をご紹介します。
財務上黒字なのに倒産してしまった
資産の耐用年数に応じて経費処理する減価償却は、もちろん投資物件にも適応されます。減価償却費は物件価格が高額になるほど多く計上できるため、より節税効果の高い投資物件はRC造などの高額建築物です。
これらの投資物件を所有している期間は、減価償却による節税効果で多くの金額が手元に残ったように感じます。しかし実際は手元に残る金額が増えると同時に「投資物件自体の価値」が減少していることを忘れてはいけません。
そして同程度の利回りであっても、価格が高い投資物件の方が固定資産税や修繕管理にかかる費用が高額になります。その結果「手元に残る金額」よりも「減価償却により減少した資産価値」が大きくなり、財務上は黒字であるにもかかわらずマイナスを計上してしまう事態を招きます。
「損益計算書」と「貸借対照表」を正しく知ること
「損益計算書」には、不動産投資家の利益や損失に関する情報が記載されています。しかし損益計算書の収支が実際の収支と必ず一致している訳ではありません。
なぜなら損益計算書は「未回収の利益」を利益として計算しているからです。損益計算書を頼りに未回収の利益を使えるものとして錯覚すれば、計画上では問題ないはずなのに実際は資金が足りないという事態に陥ります。
実際の収支はキャッシュフロー計算書で確認できるため、リアルタイムで資金の流れを把握する場合はキャッシュフロー計算書を利用しましょう。
対する「貸借対照表」には、不動産投資家の資産と負債をまとめた情報が記載されています。なかでも賃借対照表で注意すべき項目が「自己資本比率」です。これは総資産のうち返済の必要がない資産がどのくらいの割合であるか示しています。
自己資本比率が高いほど「事業は安定」しており倒産の可能性が低く、自己資本比率が低いほど外部の影響を受けやすい「不安定な状態」です。優良企業を見分ける指標としても利用されており、一般的に40%以上の自己資本比率であれば倒産しないと言われています。
ただし不動産投資において無借金運用では拡大が遅く、自己資本比率が高さが優れた収益を実現する訳ではありません。これは、運用スタイルと投資家の理想ビジョンによる部分が大きいため、リスクさえ把握していれば自己資本比率が平均以下になる運用も間違いではありません。
購入時より物件価値が下がって売りたくても売れなかった
不動産投資を始めるのであれば「物件価値は下がる」という事実を忘れてはいけません。減価償却があらわすのは投資物件の資産価値であるため、減価償却費を支払うたびに物件売却時の適正価格は下がっていると言えます。
投資物件の価値が下がり続けた結果、物件を売却しても不動産投資家の希望金額に届かないケースは多々。この場合はマイナスを覚悟して投資物件を手放すか、長期的に保有し続けて細々と家賃を回収するしかありません。
どちらにせよ身動きが取りづらくなり、以降の資産拡大に致命的なダメージを与えます。
市場の変化には要注意
不動産投資は他の投資商品に比べて市場の価格変動が小さいですが、数年間ものあいだ市場が変化しないという訳ではありません。人口推移や地域の過疎化、海外の不動産投資家による働きかけなど多くの要因が市場に影響します。
株式投資やFXなどに比べれば市場の変化が小さいというだけで、不動産投資における市場も少しずつ変化していくことを覚えておきましょう。
まとめ
今回は、不動産投資にありがちな失敗例をご紹介しました。取り上げた失敗例には未然に防げるものが多く、入念な計画と継続的な学習を続けていれば回避できたものばかりです。
不動産投資は他の投資商品よりコントロールしやすく、努力や工夫次第で失敗の確率を減らせます。多額の資金が必要だからこそ曖昧なまま進めず、入念な計画のもと投資する姿勢が大切です。