不動産投資信託(REIT)と不動産投資を6項目で徹底比較
By Oh!Ya編集部
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投資を検討している人の中で、「資産をつくりたい」という点を目的に置いている人もいると思います。その点を目的にすると、比較的利回りが高いものの安定している投資が最適です。
そのため、その目的に該当する投資であるREITや不動産投資に興味を持つこともあると思いますが、この2つの投資の違いが良く分からないという人もいるでしょう。そんな人のために、今回はREITと不動産投資について6項目をピックアップして徹底的に比較していきます。
REITと不動産投資の仕組みと比較
今回比較するのは以下の項目です。
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
収益額や利回り | ○高い | ◎非常に高い |
収益の安定性 | ○高い | ○高い |
初期費用 | ◎安い | ×高い |
投資するときの手間 | ○小さい | ○小さい |
流動性 | ◎高い | ×低い |
収益額以外のメリット | ×なし | ◎あり(保険など) |
また、REITと不動産投資を比較する前に、簡単に2つの投資がどのように収益を上げるのか?という点を解説していきます。
REITの仕組み
REITは「不動産投資信託」といわれているくらいなので、投資信託の不動産に特化した金融商品です。REITは株式と同じく証券会社で取得することができ、REIT運営会社は投資家から集めた資金と融資を利用し、さまざまな不動産を購入します。
投資家は、その不動産から得た賃料収入の一部を、「分配金」として受け取ることで収益を上げるという仕組みです。また、REITは株式と同じように証券会社を通じて売買可能で、こちらも株式と同じように需給によって価格が変動します。
そのため、分配金以外にもREITの売買益でも収益を上げることもできます。
不動産投資の仕組み
このように、REITは証券を取得することで、間接的に不動産を所有するイメージです。一方、不動産投資は区分(一室)マンションやアパートなど、現物不動産を取得します。その不動産に客付けをして、そこから得る家賃が収入となります。
REITも不動産投資も、「不動産」という商品から収益を得る投資ですが、現物不動産を実際に保有するかどうかに違いがあるということです。
REITの仕組みをもっと学びたい
次項より、REITと不動産投資について比較していきますが、REITの仕組みをもっと知りたい方はこちらの記事をご覧ください。この記事では、REITにどのような種類の商品があるのか?メリット・デメリットは何か?という点が詳しく解説されています。
10万円から始められる!不動産投資信託(J-REIT)まとめ
項目1:収益額や利回り
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
収益額や利回り | ○高い | ◎非常に高い |
1つ目の比較項目は収益額や利回りです。投資の本質は、その投資によって収益を上げることなので、投資商品を選ぶ上でこの項目は非常に重要といえます。結論からいうと、収益は不動産投資の方が上です。
その点を解説するために、収益を測る重要な指標である「レバレッジ効果」と「利回り」について解説します。
レバレッジ効果は不動産投資が上
投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な商品を取得すること」です。不動産投資は融資を利用できるので、自己資金の10倍程度の資産を取得することができます。一方、REITも証券会社からお金を借りて売買する「信用取引」を利用できますが、レバレッジ効果は3倍程です。
ただし、不動産投資の融資は借入者よって大きく条件が異なります。そのため、10倍以上のレバレッジ効果を得られる人もいれば、逆に数倍程度のレバレッジ効果しか得られない人…場合によっては融資の審査に通らずレバレッジ効果を得られない人もいます。
そのため、融資の審査でどのくらいのレバレッジ効果を得られるか?は、不動産投資を実施するかどうかの大事な要素になります。
利回りは不動産投資が上
利回りとは、投下した資金を何年で回収できるか?という指標です。たとえば、利回りが10%であれば投下した資金は10年(100%÷10%)で回収できます。不動産投資には以下3つの利回りがあります。
- 表面利回り:年間家賃収入÷物件価格
- 実質利回り:(年間家賃収入-経費)÷物件価格
- 返済後利回り:(年間家賃収入-経費-ローン返済額)÷物件価格
不動産投資は個人投資家が個別に行っているので、利回りの統計的なデータはありません。ただ、一般的には表面利回りで10%、実質利回りで5~7%、返済後利回りで2.5%~3%程度の数値といわれています。一方、REITは不動産証券化協会のデータによると4%ほどです。
そのため、返済後利回りと比較するとREITの方が上ですが、ほかの利回りでいうと不動産投資の方が上です。
収益額のシミュレーション
収益額は、上述したレバレッジ効果と利回りを組み合わせて考えることが重要です。仮に、不動産投資で返済後利回り3%・レバレッジ効果10倍と想定し、REITで利回り4%・レバレッジ3倍と想定した収益シミュレーションは以下です。ここでは300万円を投資したと仮定しています。
- 不動産投資:300万円×レバレッジ10倍×利回り3%=90万円
- REIT:300万円×レバレッジ3倍×利回り4%=36万円
このように、仮に利回りが下回っていたとしても、レバレッジ効果が高いので不動産投資の方が収益額は高額になります。そのため、資産を作りたいのであれば不動産投資の方が向いているといえるでしょう。
項目2:収益の安定性
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
収益の安定性 | ○高い | ○高い |
2つ目の比較項目は収益の安定性です。収益が高くても安定していなければ資産形成は難しいです。そのため、投資をする前に、その投資の収益性と一緒に安定性もきちんと理解しておく必要があります。結論からいうと、どちらの投資も比較的安定していますが、それぞれ別のリスクがあります。
両方とも賃料収入がメイン
なぜ両方とも収益の安定性があるかというと、どちらも収入源が家賃という変動が小さいものだからです。不動産は築年数が経過するにつれて家賃は下落する傾向にあります。しかし、その下落率は緩やかであり、たとえば「1年で30%下落」などのケースは極めて少ないです。
また、賃借人がいる限り家賃収入は継続するので、その点でも安定性が高い収入といえます。REITは現物資産ではなく証券ですが、収益の柱である分配金は家賃収入が基になるので、やはり収益は安定しているといえるでしょう。
REITは価格変動リスクあり
ただし、REITは価格変動リスクがあります。というのも、REITは上場しているので、日々売買が繰り返されます。そのため、株価のように需給バランスが悪化すれば価格が下がることがあり、売却損が発生してしまうのです。
一方、不動産は現物資産なので、そこまで大きく価値変動はしません。たとえば、REITの価格が1年で30%下落するということはありますが、現物不動産でそこまで大きく下落するケースは極めて少ないです。
不動産投資は空室・家賃下落リスクあり
一方、不動産投資は空室・家賃下落というリスクがあります。これはREITにもいえることですが、REITの場合はREIT運営会社が多くの物件を保有しているので、空室・家賃下落は分散されます。つまり、仮に1部屋で空室・家賃下落が起こっても、ほかの不動産でカバーできるということです。
一方、不動産投資はアパート経営や一棟マンションであればある程度リスク分散できますが、それでもREITほど複数の不動産を保有しません。そのため、不動産投資の方が空室・家賃下落リスクは大きいといえます。
項目3:初期費用
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
初期費用 | ◎安い | ×高い |
3つ目の比較項目は初期費用です。投資をはじめるときに初期費用が高ければ、その金額を加味した上で収益を計算する必要があります。REITの初期費用は安価ですが、不動産投資は高額になります。
REITは10万円からはじめられる
REITは1口単位から取得できるので、最も安価なREITであれば10万円以下から始めることも可能です。また、REITは証券会社を通じて売買しますが、証券会社の口座開設費用も無料ですし、そのほかに費用がかかるとしたら手数料くらいです。
ただ、証券会社の手数料はネット証券などであれば、「50万円以下は270円」など非常に安価なので、大きな支出にはなりません。
不動産投資は100万円ほどかかる
不動産投資の場合、初期費用は100万円ほどかかると思っておきましょう。具体的には以下の費用がかかります。
- 仲介手数料:物件価格×3%+6万円※物件価格が400万円超の場合
- 登記関係費用:物件の評価額による
- ローン関係費用:高ければ「借入金額×2%」以上
また、物件取得から半年~1年以内に不動産取得税もかかるので、この税金も上記に加算される初期費用といえます。仮に、1,000万円ほどの不動産を取得したとすれば、初期費用トータルで100万円ほどは見ておく必要があります。
この初期費用も支出として盛り込み、収支シミュレーションをしなければいけません。
項目4:投資するときの手間
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
投資するときの手間 | ○小さい | ○小さい |
4つ目の比較項目は、投資するときの手間です。投資に時間を割かれていては、本業が疎かになってしまいます。仮に、投資に手間が取られて、そのせいで本業に支障が出て収益が下がれば、投資している意味がありません。
投資するときの手間はREITも不動産投資もさほどかかりませんが、不動産投資の場合は物件取得時には少々手間がかかります。
REITは手間が少ない
REITのメイン収益は分配金なので、REITを取得してからは基本的に何もすることはありません。強いていえば、REIT価額を日々ウォッチするくらいです。また、株式投資の銘柄は数千銘柄であるのに対して、REITの銘柄は61銘柄なので選定する手間もそこまでではないでしょう。
ただ、REITの売買益をメインにおく場合は手間がかかります。というのも、REITは上場しているので、市場が開いている平日日中しか取引できないからです。そのため、手間をかけずにREITで投資したい場合は、基本的には長期スパンでの投資を考えましょう。
不動産投資は物件選びに手間がかかる
不動産投資は、物件取得後に発生する以下の業務を管理会社に任せることが可能です。
- 入居者の募集や契約
- 入居者からの賃料徴収や滞納時の対応
- 入居者からの問い合わせ対応
- 退去時の立ち合いや修繕手配
- 教養部の清掃や修繕全般
そのため、物件取得後の手間はかかりませんが、物件取得時には手間がかかります。収益シミュレーションをしたり、現地調査をしたりと、手間をかけて収益性の高い物件を見極めなければいけません。
ただ、不動産投資は物件を取得した後の方が圧倒的に長いので、長い目でみれば手間は小さいといえるでしょう。
項目5:流動性
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
収益額や利回り | ○高い | ◎非常に高い |
収益の安定性 | ○高い | ○高い |
初期費用 | ◎安い | ×高い |
投資するときの手間 | ○小さい | ○小さい |
流動性 | ◎高い | ×低い |
5つ目の比較項目は流動性です。流動性とは「売りやすさ」のことであり、REITの流動性は高く、不動産投資の流動性は低いです。
REITの流動性は高い
REITは上場しているので、市場が開いている平日日中で、時価であれば瞬時に決済できます。また、その際に発生する費用は上述した手数料くらいなので、費用面も含めて売却しやすい資産といえるでしょう。
不動産投資の流動性は低い
一方、不動産投資の場合は売却には以下の手順が必要です。
- 不動産の査定をする
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動を行う
- 検討者との交渉
- 申込&契約
- 引渡し(決済)
売却期間は物件によりますが、査定から引渡しまで半年程度かかることも少なくありません。また、売却時には仲介手数料や登記関係費用がかかるので、費用面でも流動性は低いといえます。
不動産投資のメインは家賃収入なので売却する機会は少ないですが、流動性が低い点はデメリットといえるでしょう。
項目6:収益額以外のメリット
項目 | REIT | 不動産投資 |
---|---|---|
収益額以外のメリット | ×なし | ◎あり(保険など) |
さいごの比較項目は、収益額以外のメリットの比較です。REITには収益を上げる以外のメリットはありませんが、不動産投資の場合は生命保険代わりになる点と、担保に利用することもできるというメリットがあります。
不動産投資は生命保険代わり
不動産投資で融資を受ける場合には、団体信用生命保険(団信)に加入できます。団信は、借入者が亡くなったり高度障害になったりしたとき、その時点の残債を補填する保険です。この団信に加入できることで以下のメリットがあります。
- 家族に資産を残せる
- 既存の保険を見直せる
まず、借入者(オーナー)に万が一のことがあっても、家族に残債ゼロの資産を残すことができます。また、既に生命保険に加入している場合、団信によって保険が手厚くなるので既存の保険を見直すことも可能です。
見直したことで、解約や減額になることもあり、そうなれば支出減になるというメリットにつながります。
不動産投資は担保にも利用できる
不動産投資で融資を受けていたとしても、それを完済すれば残債ゼロの「不動産」という資産を手に入れられます。そのため、不動産を担保に新たに借入を起こすことも可能です。
それは、不動産投資ローン以外でも可能なので、もし資金が必要になったとしても融資を受けやすい環境になる点もメリットといえます。
まとめ
このように、不動産投資とREITの収入源は「家賃」なので、どちらも比較的安定している資産といえます。ただ、レバレッジ効果が高いので不動産投資の方が収益額は高くなりやすいです。そのため、資産を作るという目的であれば、不動産投資の方が向いています。
一方、不動産投資の方が初期費用は高く、流動性も低いので、その点を重視する人はREITの方が向いているでしょう。