利回りとは?利率や金利との違いは?各種投資の利回り計算方法も徹底解説!
By Oh!Ya編集部
2,200view
皆さんは、利回りと利率・金利の違いを説明できますか?
「利回り」は投資にまつわる記事や書籍に頻出しますが、曖昧な認識のまま読み進めている人も多くいるため、この機会に正しい意味を確認しましょう。
今回は「利回りとは?」という疑問にお答えして、利率・金利との違いや計算方法をご紹介します。
その前に、堅実に投資を行うためには、用語を正しく理解するほか、情報収集の徹底が大切です。たった1分の申し込みで複数社の比較ができるOh!Yaの一括資料請求を是非活用しましょう。
利率や金利と間違えやすい「利回り」の意味とは?
何気なく使っている「利回り」と「利率・金利」は、大きく異なる意味合いを持ちます。
使い方や受け取り方を間違えないよう、それぞれ意味を正しく把握しておきましょう。
利率・金利:元本に対する利息の割合
利率と金利は、どちらも投資額に対して発生する「1年あたりの利息の割合」を表した数値。以下のように使います。
- 投資額100万円に対して、年間5万円の利息が発生するなら「利率5%」
このとき、次のように「利息以外の利益」が発生しても、利率は変わりません。
- 投資額100万円に対して、年間5万円の利息+利息以外の利益5万円でも「利率5%」
利率という言葉は、あくまで投資額に対する利息の割合だけを指す言葉なのです。
利回り:利息や売却益を含めた全体的な利益率
利回りは、投資額に対して発生する「1年あたりの利益総額の割合」を表した数値。このとき、利益総額には利息も含まれています。
- 投資額100万円に対して、年間5万円の利息が発生するなら「利回り5%」
このとき「利息以外の利益」が発生すれば、利回りは変わります。
- 投資額100万円に対して、年間5万円の利息+利息以外の利益5万円なら「利回り10%」
これらの違いが分かるよう、以下に株式投資をもちいた例を用意しました。
株式投資を例にした利率と利回りの違い
株式Aは100万円分を購入したとき、年間5万円の配当金が還元されます。そのため、投資額100万円に対する「株式Aの利率」は5%です。
この株式Aを1年間保有したところ、取引価格が105万円に上昇しました。
これを売り時だと判断して、5万円の配当金を受け取ると同時に、株式Aを105万円で売却。合計10万円の利益になりました。投資段階で100万円だった株式Aは「合計10万円の利益」をもたらしたのです。
このとき利率と利回りは、それぞれ以下のように表せます。
- 株式Aの利率:5%
- 株式Aの利回り:10%
なお、これはあくまで簡単な計算をもちいた、利率と利回りの例です。
実際はこれほどキリの良い数字になることはなく、さらに運用時は手数料や経費が発生するので、より複雑な計算方法が求められます。
次の項からは3種類の投資を例に、利回りの計算方法を解説していきます。
株式投資の利回りを計算する方法
株式投資は、将来性のある企業を探し出して出資する、投資の王道ともいえる金融商品。ネット証券の普及により、パソコンやスマートフォンでの売買に対応したため、手軽な投資方法として人気を集め始めました。
この項では、株式投資における利回りの計算方法を解説して、利回りを高める簡単なテクニックをご紹介します。
利回りの算出にもちいる支出と計算式:株式投資の場合
株式投資の利回りは先ほどの例ほど単純ではなく、主に以下の4つをもちいて計算します。
- 売却益:買値より高い価格で売却したときの差益
- 配当金:運用成績に応じて株主が受け取れる利益
- 課税額:売却益と配当金に課せられる税金
- 売買手数料:売買注文が成立したときに証券会社へ支払う手数料
原則として課税額は一律20.315%で、売買手数料は証券会社の設定により違います。
株式投資の利回り計算方法 | |
---|---|
年間利益 | 売却益+配当金-課税額-売買手数料等 |
年間利回り(%) | 年間利益 ÷ 投資額 × 100 |
※横スクロールできます。
株式投資の利回りを高めるテクニック
利回りを高くする方法は「高値で売る」や「高配当の獲得」だけではありません。先ほどの計算方法を見れば分かるように、利回りは「売買手数料」にも左右されるのです。
そのため、利回りを追求するなら、売買手数料の低い証券会社がおすすめ。店舗型の証券会社ではなく、激しい低コスト競争を繰り広げている「ネット証券」が良いでしょう。
非課税制度「NISA」を活用して利回りアップ!
株式投資が近年人気を高めつつあるのは、非課税制度「NISA」の登場が関係しています。
NISAは年間120万円までであれば、購入した株式の配当金・売却益が非課税になる制度。購入時点から5年のあいだは、どれだけ大きな利益をあげても税金が課せられません。
これにより、通常なら発生する「20.315%の税額」を削減できるため、間接的に利回りを上昇させられるのです。また、NISAの利用で売買手数料が無料になる証券会社もあり、これらを掛け合わせると大きな効果を発揮します。
NISA口座は開設や維持にお金がかからないので、株式投資を始めるなら同時に開設を申請しておきましょう。
投資資金の利回りを計算する方法
投資信託は、数百円から投資可能な低リスク商品。金融市場の専門家である「ファンドマネージャー」に投資資金を預けて、代わりに運用してもらえる初心者向けの投資方法です。
この項では、投資信託における利回りの計算方法を解説して、利回りを高めるテクニックを数種類ご紹介します。
利回りの算出にもちいる支出と計算式:投資信託の場合
投資信託は、実際の運用をファンドマネージャーが引き受けるため、以下のように多数の管理費が発生します。
- 売却益:買値より高い価格で売却したときの差益
- 分配金:運用成績に応じて投資家が受け取れる利益
- 課税額:売却益と分配金に課せられる「20.315%の税金」
- 購入時手数料:投資信託を購入したときに支払う手数料
- 信託報酬:保有期間中に毎日発生する運用コスト
- 信託財産留保額:投資信託を換金するときに支払う費用
計算にもちいる要素は6つあるため、利回りの算出は株式投資より複雑です。
投資信託の利回り計算方法 | |
---|---|
年間利益 | 売却益+分配金-課税額-購入時手数料-信託報酬-信託財産留保額 |
年間利回り(%) | 年間利益 ÷ 投資額 × 100 |
※横スクロールできます。
利回りを大きく左右するのは売却益と分配金ですが、信託報酬と信託財産留保額にも要注目。それぞれ運用する投資信託によって異なり、信託報酬は0.1~3%、信託財産留保額は0~3.5%前後と大きな幅があります。
どちらも低コストであるほど利回りは向上するため、投資信託の選定時はこれら2つの数字にも注意しましょう。
投資信託の利回りを高めるテクニック
信託報酬と信託財産留保額を軽減するほか、購入時手数料を抑えれば利回りが高くなります。そのため、投資信託を選ぶときは「ノーロード投信」と呼ばれる、購入時手数料のかからない銘柄がおすすめ。
選択肢は少なくなるものの、現在では優良なノーロード投信が多数登場しており、わざわざ手数料が発生する銘柄を買う理由はなくなっています。
購入時手数料を支払えば「購入時点での収支はマイナス」であるため、コストカットの観点でいえばノーロード投信一択です。
「つみたてNISA」でさらに利回りが伸びる!
投資信託はNISAだけでなく、より少額かつ長期運用に適した「つみたてNISA」が利用可能。これは、年間投資枠が40万円に引き下げられる代わりに、非課税期間が20年間に引き延ばされた新たな制度です。
なお、利用可能な対象は「金融庁が設けた基準をクリアしている投資信託」に限ります。
不動産投資の利回りを計算する方法
賃料収入は経費変動に影響されにくいため、安定利益を得られる方法として支持を集めている不動産投資。投資効率が優れているため、セミリタイア実現を目指すための資産運用としても注目度は高いです。
この項では、これらの特徴を持つ不動産投資の利回りを解説。経費計上を駆使して利回りを高める、節税テクニックもご紹介します。
2種類ある「利回りの違い」に注意
不動産投資では、コストを考慮せず満室想定時の利益率を求めた「表面利回り」と、実際の運用を想定して算出した「実質利回り」の2種類を使い分けます。
そのため、表面利回りを現実的な利益率だと勘違いすれば、実際に不動産運用を始めたときギャップに戸惑うだけでなく、イメージしていた計画そのものが破たんしてしまいます。
不動産業者とのやり取りに登場する「利回り」は、大半が表面利回りを指しているため注意しましょう。
表面利回り:満室想定時かつ運用コストを含まない利回り
諸経費や空室率を考慮していない表面利回りは、以下のような簡素な計算方法で求めた「目安程度の利益率」です。
そのため「この投資物件は高利回りですよ」と紹介されても、字面通り受け取ってはいけません。
表面利回りの計算方法 |
---|
満室時の年間利益 ÷ 物件価格 × 100 |
※横スクロールできます。
賃貸需要の高い都市部であっても、満室状態を保つのは困難。投資プランを立てる材料としては楽観的なデータだといえます。
実質利回り:空室を想定して運用コストを含めた利回り
実質利回りは「空室率」と「購入・運用経費」をもちいて、以下のような計算方法で求めます。
実質利回りの計算方法 |
---|
(空室を想定した年間利益-運用経費)÷(物件価格+購入経費)× 100 |
※横スクロールできます。
複雑な計算方法が求められるため、実質利回りの算出には「簡易収支シミュレーション」の利用がおすすめ。表面利回りに比べて、より実際の運用時に近い利益率が分かります。
表面利回りと実質利回りはどれほど差ができるのか
人口減少や過疎の深刻化により、地方の空室率は高くなりつつあります。これにより、従来よりも表面利回りと実質利回りの差が大きくなりやすいのです。
計算方法の違いにより、どれほど差が生まれるのか確かめるため、収益不動産の情報サイトから実際の物件情報をピックアップ。実質利回りの計算式をもちいて、それぞれの結果を比較してみました。
なお、比較に使用した物件情報は以下の通り。
物件情報 | |
---|---|
物件価格 | 2,000万円 |
満室時の年間収入 | 342万円 |
利回り | 17.1% |
所在地 | 関東地方 |
物件区分 | 1棟マンション |
総戸数 | 6戸 |
築年数 | 築25年 |
アクセス | 最寄りまでバスで10分 |
※横スクロールできます。
地方に位置しており、最寄りの駅まではバスで10分。表面利回りは17.1%と高いですが、築年数はやや古く人気は下降気味だと考えられます。
空室率17%・諸経費率15%で実質利回りを計算
5戸のみ1年中稼働したと仮定し、空室率を17%に設定。諸経費率を15%で抑えたと想定して、実質利回りを算出しました。
空室率17%・諸経費率15% | |
---|---|
実質利回り | 11.7% |
年間収入 | 232万5,600円 |
表面利回りに比べて、実質利回りは5.4%減少。年間収入は109万4,400円も低下しました。
表面利回りの通りなら元を取るまで6年前後だったものが、実質利回りでは9年近くに伸びてしまい、実際には凄まじいギャップがあると分かります。
この例から分かるように、不動産運用を始めるのであれば、実質利回りによる計算が欠かせないのです。
不動産投資の利回りを高めるテクニック
NISAのような非課税制度はないものの、不動産投資では「事業出費」を必要経費として計上できます。
そのため、以下のような計算方法により、所得額を減額することが可能。所得額に課せられる「所得税」を軽減できるため、諸経費を小さくして利回りを高くできるのです。
不動産投資における所得額の計算方法 | |
---|---|
所得額 | 不動産収入-必要経費-各種控除 |
※横スクロールできます。
このとき、必要経費として認められるのは「事業利益のための出費」に限ります。そのため、原則としてプライベートな出費は経費計上できません。
たとえば、不動産業者との会食は経費にできても、友人との飲み会は経費にできないので注意しましょう。
仮に不動産収入や必要経費を偽って虚偽申告をすれば、脱税行為を疑われる場合があります。偽装内容が悪質であれば重い罰則が下るため、意図的な不正は禁物です。
上記の点に注意して、堅実に不動産投資を行いましょう。その際、情報収集が重要です。Oh!Yaの一括資料請求なら、手軽かつ効率的に不動産投資の情報が集められます。
まとめ
利率・金利と異なり、利回りは「投資額に対する利益総額の割合」を指していました。意味を履き違えれば、内容の意図が大きく変わるため注意しましょう。
また、今回は各種投資における、利回りの計算方法もご説明しました。どれも複雑な計算が求められますが、利益率を算出するときには欠かせない知識です。
詳しく知れば利回りのコントロールにも役立つため、投資家であれば覚えておくべき大切な情報だといえます。