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プロしか知らない!不動産投資の利回りに目安は不要である3つの理由

By Oh!Ya編集部

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プロしか知らない!不動産投資の利回りに目安は不要である3つの理由

不動産投資を検討していて積極的に情報収集している人の中には、「利回り」についてもっと知りたいと思う人は多いでしょう。特に、利回りはどのくらいの数値が目安なのか?という点は、多くの人が疑問に思うポイントです。結論からいうと、不動産投資における利回りに「目安」は不要です。

今回は、その3つの理由を解説した後に、利回り以外の重要な指標であるCFについて解説していきます。この記事を読めば、不動産投資に利回りの目安が不要である理由が理解でき、不動産投資の収益の考え方も分かっているはずです。

理由1:利回りは物件を精査するための指標

利回りに目安は不要である1つ目の理由は、あくまで利回りとは物件を精査するための指標に過ぎないからです。要は、利回りだけで物件を選定するのではなく、数多くある物件を厳選するための1つの材料に過ぎません。

その点を理解するためには、以下3つの利回りの計算方法と役割を理解してきましょう。

  • 表面利回りで物件を絞る
  • 実質利回りで収益性を測る
  • 返済後利回りで収益性を精査

いずれの利回りも、「物件取得費用を何年で回収できるか?」を算出している点は共有しています。たとえば、利回りが10%であれば、単純計算で物件取得費用を10年(100%÷10%)で回収できるということです。

表面利回りで物件を絞る

表面利回りは以下で計算されます。

  • 表面利回り=年間家賃収入÷物件取得費用

3種類ある利回りの中で「表面利回り」が最も簡易な計算式であり、物件選びをするときに最初に目にする利回りになります。

広告に記載されているのは表面利回り

投資物件を探すときは、ネットで探したり不動産会社に紹介してもらったりしますが、そのときに記載されている利回りは表面利回りになります。後述しますが、実際の利回りは表面利回りからどんどん下がっていくので、まずは記載されている表面利回りだけを鵜呑みにしないという点を認識しましょう。

まずは物件を削っていく

ネットで投資物件を探すと分かりますが、物件ラインナップの中で「利回り」で物件をスクリーニング(選別)することができます。そのため、たとえば利回り5%以下の物件をカットしたいのであれば、「利回り5%~」でスクリーニングして、一旦物件を絞ります。

スクリーニングしないと物件数があまりに多すぎて、結局物件を選びきれなくなってしまうからです。このように、まずは表面利回りによって物件を絞り、その物件から希望の物件を厳選していくという流れです。

イメージとしては「物件を絞る」というよりも、「利回りの低い物件を削る」というイメージの方が近いかもしれません。

実質利回りで収益性を測る

次に実質利回りの計算式は以下の通りです。

  • 実質利回り=(年間家賃収入-年間経費)÷物件取得費用

このように、表面利回りに経費を加味するので、表面利回りよりは現実的な数値になります。表面利回りで絞った物件を、さらに実質利回りを利用して収益性を測るというイメージです。実質利回りによって、表面利回りで絞った物件をさらに絞ります。

経費の種類

実質利回りを算出するときの「年間経費」とは、以下のように物件運用に関する支出のことです。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理費・修繕積立金
  • 賃借人が退去するときの補修費用
  • 管理会社への手数料

これらの費用は区分マンション投資かアパート経営かという、保有する物件種類によっても異なります。

最初から実質利回りを表記しない理由

では、なぜ最初から表面利回りでなく実質利回りを表記しないかというと、前項のような経費は物件によっても異なりますし、オーナーによっても異なるからです。たとえば、選択する管理会社によって手数料は異なりますし、管理会社との契約形態によっても異なります。

また、オーナーによって補修費用をいくらで計上しておくかも違いますし、仮に確定申告を税理士に依頼するなら、税理士に依頼する経費もかかります。このように、物件やオーナーによって経費額は大きくブレることになるため、まずは誰でも共通している表面利回りで物件を選別するという流れです。

返済後利回りで収益性を精査

つづいて、返済後利回りとは以下の計算式になります。

  • 返済後利回り=(年間家賃収入-年間経費-年間ローン支払い額)÷物件取得費用

このように、実質利回りにローン支払い額を加味した数値が返済後利回りです。つまり、「返済後」とはローン返済後という意味になります。

返済後利回りが真の利回り

実質利回りの「年間経費」の中にはローン支払い額は含まれていません。そのため、実質利回りはその物件を現金で購入したときの利回りであり、実際の利回りとは大きく異なる数値になります。だからこそ、あくまで利回りは物件選びの材料に過ぎず、目安を知っておく必要はありません。

また、ローン支払い額を加味した返済後利回りを最初から表記しないのは、実質利回りと同じく「ローン支払い額は人によって異なる」からです。

それぞれの利回り比較

この章の最後に表面利回り・実質利回り・返済後利回りの違いを見ていきましょう。以下は、年間家賃収入150万円・年間経費40万円・年間ローン返済70万円・物件価格1,600万円を想定しています。

  • 表面利回り:150万円÷1,600万円=9.375%
  • 実質利回り:(150万円-40万円)÷1,600万円=6.875%
  • 返済後利回り:(150万円-40万円-70万円)÷1,600万円=2.5%

まず、ここまで利回りに差が出る点を認識しておきましょう。また、この「利回り」に関しては、エリアによっても異なりますし、そもそも上記のように経費額やローン支払い額は人によって異なります。そのため、これといった基準値がなく、目安を決めても意味がないのです。

理由2:利回りは不確定要素が多い

利回り 利回りに目安は不要である2つ目の理由は、利回りは以下のように不確定な要素が多い点です。

  • 空室率を加味していない
  • 家賃下落率を加味していない
  • 金利上昇率を加味していない
  • ランニングコストはブレる

不確定な要素が多いため、利回りだけに注目して物件選びをするのは危険です。繰り返しますが、利回りはあくまで物件選びの材料の1つという認識を持っておきましょう。

空室率を加味していない

まず、利回りの計算は基本的に空室を加味していません。前項で実際の利回りを計算しましたが、あの数値も満室稼働している前提です。

実質利回りと返済後利回りは自分で計算するので空室率は加味できますが、少なくとも広告に表記されている表面利回りは満室稼働前提の数値になります。

家賃下落率を加味していない

空室率と同じく、利回りは家賃の下落率も加味していません。実際、家賃がどのくらいのペースで下落していくかは物件によって異なります。ただし、不動産は現物資産なので、築年数が経過すればほぼ確実に賃料は下落していきます。

つまり、賃料下落率を加味していないということは、その物件を購入した時点の築年数をキープしている前提です。こちらも実質利回りと返済後利回りは家賃下落率を加味できますが、表面利回りは加味されていない数値です。

金利上昇率を加味していない

不動産投資を行うときは、大半が融資を利用して物件を購入します。仮に変動金利を選択したときは、金利が上昇すれば「ローン返済額」が変わるので、返済後利回りはブレてしまいます。

そのため、最も現実に即した利回りである「返済後利回り」を算出したとしても、将来的にはその数値にブレは生じる可能性が高いでしょう。

ランニングコストはブレる

また、実質利回りと返済後利回りで加味するランニングコストは、将来的に変わっていきます。たとえば、固定資産税は増減しますし、補修費用も読み通りにいかないかもしれません。また、10年後にはリフォームする必要があるかもしれませんが、その費用は読み込まずに利回り計算します。

総じて言うと、利回りで加味する家賃収入や経費などは、物件を保有する年次によって異なりますし、シミュレーションし切れない要素ということです。たとえば「家賃下落」を加味するとしても、5年後と10年後では下落率は異なります。

それらを加味して実質利回りと返済後利回りを算出することは不可能ではありませんが、そうなると年次ごとに利回りを計算するので非常に面倒です。そのため、後述するCF計算を利用して、利回りとCFの両方を利用して物件選びをするのがベストといえます。

理由3:利回りだけで判断すると失敗する

失敗

利回りに目安は不要である3つ目の理由は、利回りだけで物件を選ぶと失敗するからです。その理由を、以下3つの物件を例にして解説します。

  • 価格が極端に安い物件はリスクが多い
  • 賃料の相場が間違っている場合が多い
  • 入居者に問題があるケースもある

価格が極端に安い物件はリスクが多い

利回りが高い物件は、物件価格が極端に安いケースが多いです。しかし、極端に安い物件ということは、たとえば以下のようなリスクのある物件の可能性が高いです。

  • 室内が極度に劣化している
  • 近隣環境が悪い
  • 周辺に嫌悪施設がある

要は、物件価格が安いには安いなりの理由があります。仮に、複数の物件を保有していて、1つだけ上記のような物件を持つというのは選択肢として有りでしょう。

しかし、不動産投資の初心者は上記のような物件では失敗しやすいので、利回りが高くても価格が極端に安い物件は基本的に避けた方が賢明です。

賃料の相場が間違っている場合が多い

利回りが高いということは、前項の「物件価格が安い」という以外には、賃料を高く設定していることが考えられます。このケースは割と多く、賃料相場は中々読みにくいので、不動産会社の提示する想定賃料を鵜呑みにしてしまうケースも多いでしょう。

しかし、結局賃料を下げることになれば利回りはガクっと落ちますので、相場賃料は自ら調べておく必要があります。調べ方は簡単で、「エリア名 賃料」で実際に賃貸物件を検索することです。賃貸は売買ほど値下げ交渉がないので、表記の賃料をそのまま相場賃料にしても問題ないでしょう。

その相場賃料と、利回り算出の基になっている賃料を比較して、極端に高い賃料設定になっていないかを確認するという流れです。

入居者に問題があるケースもある

ほかにも、入居者に問題があるというケースも多いです。たとえば、家賃の滞納歴がある入居者だったり、反社会的勢力に近い入居者だったりと、賃料を安定してもらえない可能性がある入居者です。もしくは、近隣とのトラブルリスクがある場合も、賃貸運営としてはマイナスになります。

この点は、売主の提示するレントロールを良くチェックするしか対処法はありません。いずれにしろ、極端に安価な物件は入居者に問題がある可能性も加味して、物件選びを行うべきです。

利回りとCFの両軸で考えよう

両方

さて、ここまでで利回りはブレやすい要素も含まれており、利回りだけで物件選びをすると失敗するため、利回りの目安を考える必要がないことを理解できたと思います。次に、CFについて解説していきます。

上述したようにCFを計算することで、利回りでは加味できない空室・家賃下落・金利上昇・ランニングコスト増を加味して、年次ごとのシミュレーションをすることが可能です。そんなCFについては、以下を理解しておきましょう。

  • CFとは?計算方法を理解する
  • 実際にシミュレーションしてみる

CFとは?計算方法を理解する

CFとは「手元に残るお金」のことで、算式は以下になります。

  • CF=年間家賃収入-年間経費-年間ローン支払い額

このように、利回りとは異なり実際の収益額を計算できるのがCFの特徴です。ただし、CFは年によって異なりますし、上述したように経費やローン支払い額は物件やオーナーによって異なります。

そのため、CFを最初から提示することはできず、まずは利回りで物件を絞ってからCFを計算するという流れです。CFは作成するのに時間もかかりますので、返済後利回りで厳選した物件だけに適用すると考えて良いでしょう。

実際にシミュレーションしてみる

では、上述した事例より「年間家賃収入150万円・経費40万円・年間ローン返済70万円・物件価格1,600万円」のキャッシュフローをシミュレーションします。臨時収入とは更新料や礼金で、特別経費は備考の通りです。

年数CF家賃収入臨時収入ローン支払い経費特別経費備考
1年目14144-704020不動産取得税
2年目33143-7040--
3年目2214215704010退去時の補修費
4年目32142-7040--
5年目31141-7040--
6年目2014015704010退去時の補修費
7年目29139-7040--
8年目29139-7040--
9年目1813815704010退去時の補修費
10年目-3137-704030リフォーム
11年目27137-7040--
12年目1613615704010退去時の補修費
13年目25135-7040--
14年目24134-7040--
15年目-1613415704040退去時の補修費/設備入れ替え

上記のシミュレーションは、空室が年間0.5カ月、家賃下落を年1%想定です。金利上昇は加味していませんが、ローン支払い額を変えればすぐに計算することができます。このように、「手元に実際に残るお金」であるCFも一緒に考えることで、精度の高い収益性を測ることが可能です。

利回りの目安は調べていくうちに分かる

目安 投資物件を探すときは、そもそも不動産の種類はどうするか?エリアはどこにするか?予算はいくらか?など、どんどん条件を絞っていきます。条件を絞っていくことで、自分の希望する物件が何物件かピックアップされるので、その物件の利回りを見てみましょう。

そうすれば、そのエリアで…その不動産種類で…その予算感での利回りの目安が見えてきます。つまり、「不動産投資の利回り」といった漠然とした目安を考える必要はありませんが、物件の条件を絞り込んでいくことで利回りの目安は見えてくるということです。

言い換えると、物件を絞りこんでいく過程で利回りの目安は勝手に分かってくるので、物件探しの段階では利回りの目安は気にせず物件探しをすれば良いです。

まとめ

このように、利回りは物件選びにおいて大事な指標ではありますが、注意点は利回りが高い物件を「収益性が高い物件」と思い込まないことです。確かに、利回りは収益性を端的に表した指標であるのは事実なので、利回りを見ずに物件選びをすることはありません。

しかし、利回りにもさまざまなリスクを加味してないという穴もあり、想定通りに物件運用できないことも多いでしょう。そのため、利回りとCFの両軸で物件の収益性を測る必要がある点は認識しておくべきです。

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