投資だけで本当に生活できるのか!?株式・不動産投資で徹底比較
By Oh!Ya編集部
8,332view
「不労所得をつくり悠々自適な生活を!」
投資関連の記事などで、こんな言葉を見かけたことはないでしょうか?投資で資産をつくり、その資産に稼いでもらうことができれば、不労所得をつくることは可能です。
しかし、現実的にそんなことは可能なのかと疑問に思う人も多いでしょう。そこで今回は、投資だけで生活するのはどのくらいの資金が必要なのか、現実的に考えられるのかを解説します。
目次
投資だけ生活するのに必要な資金とは?
結論から言うと、株式投資だけで生活するのは非常に難しく、不動産投資であれば可能です。ざっくりとした計算ですが、長期の株式投資だけで生活するには、6,500万円以上の資金が必要です。この額を調達することは多くの人にとってなかなか難しいでしょう。また、短期・中期の株式投資だけで生活するのは大きなリスクが伴い、現実的でないと言えます。
一方、不動産投資だけで生活するには、上手く運用できれば1,000万円足らずの資金があれば実現可能となっています。これらについて詳しく解説していきます。
株式投資と不動産投資の収益を学ぶ
まずは、株式投資と不動産投資の収益を学びましょう。株式投資は、長期・中期・短期の3種類に分けて解説していきます。なお、ここでは長期が1年~数年以上のスパン、中期が数か月~1年以上、短期が1日~数週間のスパンと定義しています。
長期の株式投資の収益は?
長期の株式投資は、基本的に株を保有し続ける投資方法です。ただ、株価などを見て途中で銘柄を組み替えることはあります。しかし、それでも基本は株を保有し、その株からの配当益がメインの収益になる投資です。
基本は配当益
そもそも配当益とは、その企業が上げた利益を株主に還元することです。年に2回の配当を出す企業が多く、決められた日に株を保有していれば配当をもらうことができます。その決められた日までに株を手放してしまうと、たとえ10年保有し続けた株でも、そのときの配当を貰うことは出来ません。
配当益を出す頻度や配当益の金額は、その企業によっても時期によっても違います。そのため、過去の配当利回りをチェックして、安定して配当が出そうな銘柄を選ぶというのが一般的な流れです。
売買益はサブの収益
株価が安いときに株を取得し、株価が高くなったときに売却すれば売買益を得ることができます。株で収益を上げるとなると、この株の売買益を真っ先に思い浮かぶ人もいるでしょう。
しかし、長期の投資の場合には株の売買益はサブの収益であり、株の配当益がメインの収益となります。もちろん、株価が一定水準まで上昇すれば売却することはありますが、その売買益をメインに置いて銘柄選びは行いません。
中期の株式投資の収益は?
中期の株式投資の場合は、数か月で株を売却することもあります。そのため、長期の株式投資よりは収益に占める売買益の割合は高くなります。
売買益の比率の方が高くなる
中期の株式投資は、数か月~1年程度のスパンのため、配当益と売買益は売買益の比率の方がどうしても高くなります。
短期のように頻繁に株を売却するわけではありませんが、数か月というスパンの取引になるので、その期間で株価が上昇しそうな銘柄を選びます。そして、サブの収益で配当をもらうというイメージです。
長期投資とはポートフォリオが違う
このように、中期の株式投資は売買益も加味しなければいけないので、長期投資とはポートフォリオが異なります。ポートフォリオとは「安全資産と危険資産の最適保有率」のことで、つまり保有している株式のリスクをどのくらい取るか、という比率になります。
長期投資の場合は、当然ながら株価の変動が小さく配当利回りが高いという、比較的ローリスクの株式が多くなるでしょう。一方、中期投資の場合は長期投資よりも株価の変動が激しい、ミドルリスクの株式が多くなります。
短期の株式投資の収益は?
短期投資は1日~数週間という短いスパンの投資です。そのため、収益に配当益という考えはなく、株の売買益のみが収益です。
売買益だけを狙う
短期の株式投資はデイトレードを思い浮かべていただくと分かりやすいです。たとえば、A社の株価が1,000円のときに500株(50万円)取得し、その株価が1,050円(52.5万円)になったときに売却します。
そうすると、その売買だけで2.5万円の収益になりますが、デイトレードは1日でこれを何度も繰り返すことで利益を得ます。また、デイトレードではなく「スイングトレード」といって、1日ではなく1~2週間程度のスパンで考える投資もありますが、収益の上げ方はデイトレードと同じく株の売買益です。
ほかの株式投資とは銘柄が違う
短期の株式投資の場合、短期間で売買益を得る必要があります。そのため、株価の変動が激しい銘柄を選ぶ必要があるので、上述した中・長期の株式投資とは根本的に銘柄選びが異なります。
また、短期投資の場合は売買を繰り返すことで収益を上げるので、損失を覚悟で売却(損切り)する機会も多いです。そのため、ポートフォリオでいうとハイリスクの銘柄の保有比率が高くなります。
不動産投資の収益は?
不動産投資の場合は、賃貸物件を保有してその賃貸収入を得ることで収益を上げます。株式投資は資産が「株」なのに対して、不動産投資の資産は「不動産」です。
収益の大半が家賃収入
不動産投資の収益のほぼ全ては家賃収入と思って良いです。この家賃収入は、上述した株式投資でいう配当益になるので、考え方としては配当益がメインの長期の株式投資と似ています。
不動産の売買益は計算に入れない
不動産も株式投資と同じく、不動産を売買することで収益を得ることは可能です。しかし、不動産の売却には百万円単位の諸費用もかかる上に、売買には時間がかかるので売買益は基本的には計算に入れません。
たとえば、不動産を10数年以上保有しており、たまたまエリアの価値が上がったところで売却する…というパターンはあり得ますが、その売買益は狙うものではなく、結果的に売却という結論になっただけです。
長期の株式投資で生活するのはかなり難しい
ここまでで、長期・中期・短期の株式投資、そして不動産投資の収益の上げ方について解説してきました。次に、それぞれの投資で「生活できるのか?」について解説します。まず長期の株式投資ですが、長期の株式投資だけで生活するのは厳しく、その理由を以下より解説していきます。
なお、これ以降で「年間200万円稼ぐためには?」というのを、投資だけで生活できるか?の指標にしています。この数字は家計調査※によって、単身世帯あたりが生活するのに必要な資金である「1か月平均161,623円(年間約200万円)」を参考にした金額です。
配当利回りの平均は低い
長期の株式投資だけで生活するのは厳しいという大きな理由の1つに、そもそも配当利回りが低いという点が挙げられます。配当利回りは、「配当収入÷保有株式の時価」で算出される指標です。
不動産証券化協会が出典しているデータ※によると、東証一部の配当利回り平均は2%になっています。つまり、A社の株を100万円分保有していても、年間2万円の配当益にしかならないということです。この配当利回りの低さから、長期の株式投資だけでの生活は難しいでしょう。
配当利回りは不安定
上述したように、配当とは企業が利益を株主に還元することでした。そのため、以下のようなケースだと配当は減益になります。
- 企業の業績が悪くて利益を上げられない
- 企業が利益を内部留保(≒企業の貯金)する
- 企業が利益を設備投資など支出に利用する
このように、企業の業績が芳しくないときはもちろん、内部留保や設備投資などをすることで株主に還元しないお金も存在します。そのため、仮に「配当利回り3.5%」の銘柄であっても、その利回りがずっと続くわけではありません。
時には配当益がゼロのときもあるので、そのときは長期の株式投資で得られる収益はゼロになります。
信用取引は配当利回りが下がる
また、投資にはレバレッジ効果という考え方があります。レバレッジ効果とは「てこの原理」のことで、投資でいうレバレッジ効果とは小さい資金で大きな資産を取得することです。このレバレッジ効果を株式投資に置き替えると、証券会社からお金を借りて株を取得する「信用取引」があります。
ただ、信用取引では「自己資金の3倍程度」とレバレッジ効果は決して高くない点と、信用取引で株を取得すると配当益は割り引かれてしまいます。そのため、レバレッジ効果を利用することは可能ではありますが、長期の株式投資においては、ほぼ利用しないと思っておきましょう。
年間200万円を稼ぐのに必要な資金は?
上述した点を踏まえて、長期の株式投資で年間200万円稼ぐためには、どのくらいの資金が必要かを考えてみましょう。まず、信用取引は利用しない前提なので、レバレッジ効果はない…つまり自己資金だけが投資する金額になります。
東証一部の配当利回りの平均利回りが2%なのですが、配当利回りが高い銘柄をチョイスしたとして、利回りは3%で計算してみます。そうなると、年間200万円稼ぐためには6,666万円(6,666万円×3%=約200万円)の資金が必要ということです。
このような多額の資金を集めること自体が至難の業であるため、長期の株式投資だけで生活するのは現実的とは言えないでしょう。
短期・中期の株式投資で生活するのは大きなリスク
次に短期と中期の株式投資をまとめて解説します。短・中期の株式投資だけで生活することは不可能ではありません。しかし、そこには大きなリスクが伴います。
株の売買益で稼ぐリスクは大きい
短期の株式投資は全ての収益が株の売買益であり、中期の株式投資であっても株の売買益で大半の収益を上げなければいけません。ということは、株の売買益が出る状況と同じだけ、株の売買損失が出るということになります。
たとえば、デイトレードが上手くいけば1日で数十万円…年間で億単位の収益を上げることも不可能ではないです。しかし、反対に1か月で1千万円の損失を出すこともあります。中期投資は、短期投資ほどリスクはありませんが、それでも長期の株式投資よりリスクは格段に高いです。
また、特に短期投資の場合には日中ずっと取引をしなければいけません。そのため、ほぼ専業トレーダーになる必要があるので、現実的ではないでしょう。
年間200万円を稼ぐのに必要な資金は?
そんな短期・中期投資で年間200万円稼ぐためには、1か月で約17万円の収益を上げなければいけません。しかも、コンスタントにこの金額を稼ぐ必要があるので、株式取引に勝ち続ける必要があり、現実的とは言えないでしょう。
中期投資だとしても、3か月で50万円、半年で100万円稼ぐ必要があり、しかもコンスタントにこの成績を出し続けるのは至難の業です。短期・中期は信用取引というレバレッジ効果を利用できますが、レバレッジ効果を利用するということは損失にもレバレッジがかかってしまいます。
このように、短期・中期で年間300万円稼ぐのは「コンスタントに勝ち続ける」という点において、現実的な投資ではありません。
不動産投資だけで生活するのは可能
最後に不動産投資について解説します。不動産投資だけで生活するのは可能です。簡単なことではありませんが、上述した株式投資よりは遥かに現実的と言えます。
不動産投資の利回りはどのくらい?
まずは不動産投資の利回りについて解説します。個人で不動産投資をしている人も多いため、株式投資のように統計データはありませんが、不動産投資の利回りは5%前後~10%以上の物件もあります。
たとえば、株式投資の配当利回りと同じ「利回り2%」の物件があれば、その物件は利回りが非常に低いという扱いです。つまり、株式投資の配当利回りより、「運用に成功している」という前提ではありますが、不動産投資の利回りの方が高いということです。
CFで真の収益が見えてくる
ただ、不動産投資の場合には利回りだけでは真の収益は見えてきません。というのも、不動産投資は物件を保有しているときに、ローン支払い額やランニングコストがかかってくるので、その費用を差し引くことで真の収益が見えてきます。
その真の収益を見るためには、以下のCF(キャッシュフロー)計算をしなければいけません。
- CF=年間家賃収入-ランニングコスト-ローン支払い額
不動産投資はレバレッジ効果が高い
また、忘れてはいけないのが、不動産投資はレバレッジ効果が高いという点です。不動産投資は融資を利用することで、自己資金の10倍程度の物件を取得することも可能です。このレバレッジが高いという点が、「不動産投資だけで生活できる」という状態を実現できるといえるでしょう。
年間200万円を稼ぐのに必要な資金は?
では、不動産投資で年間200万円を稼ぐのに必要な資金を計算してみます。ここでは、仮にアパート一棟経営をしたときを想定しています。
CFのシミュレーション
実際に、年間200万円の儲けを出すのは以下のような物件です。
物件価格 | 4,700万円(アパート) |
---|---|
物件取得の諸費用 | 200万円 |
頭金額 | 700万円 |
ローン支払い額 | 年間220万円(借入4,000万円 金利2.5% 借入期間25年) |
ランニングコスト | 180万円 |
家賃収入 | 年間600万円 |
※横スクロールできます。
この物件は、表面利回り12.2%、実質利回り8.5%で、現実的に考えられる物件です。少々利回りは高い設定ではありますが、ローン支払いが終われば更に収益は上がります。
上記のCFを計算すると、「家賃収入600万円-ランニングコスト180万円-ローン支払い220万円=200万円」になります。そのため、物件取得にかかる費用900万円で、投資だけの生活を実現できるというわけです。
事業を拡大できる
更に、不動産投資は事業を拡大できるという点も強みです。というのも、銀行から融資を受けるときには、不動産投資で成功している実績があれば審査は有利になります。そのため、仮に前項のアパート経営を成功させることできれば、さらに同じ規模のアパートを保有することも可能というわけです。
上手く運用できれば、年間400万円の収益が手元に残るということなので、さらに投資だけの生活は可能です。もちろん、家賃の下落や空室リスクがあるので、収益が下がる年もあるでしょう。
しかし、このように「不動産投資だけで生活する」というのは、株式投資をはじめとするほかの投資に比べると、現実的な収支になるのです。
まとめ
投資だけで生活するというのは、意外とハードルが高いことです。
そもそも、長期の株式投資は「資産を守りながら増やす」のが目的なので、資産が増えるのは少しずつであり投資だけで生活するほど資産は増えていきません。 また、短・中期の株式投資は「短期間で資産を大きく増やす」ことが目的なので、投資だけで生活するにはあまりに不安定です。
一方、不動産投資の場合はレバレッジ効果を利用して資産を増やすことが可能なので、投資だけで生活するほど収益を上げることは可能です。 また、家賃収入という比較的安定した収益でもあるので、短・中期の株式投資と比べると遥かにリスクは小さいといえるでしょう。