不動産投資VS株式投資|シミュレーションしやすいのはどっちだ?
By Oh!Ya編集部
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結論からいうと、不動産投資VS株式投資ではシミュレーションしやすいのは不動産投資になります。シミュレーションがしやすいということは収支計画が立てやすいということなので、「収益の上げやすさ」に直結します。つまり、不動産投資は株式投資よりも収益を上げやすいということです。
今回は、なぜ不動産投資の方がシミュレーションしやすいのか?という理由を、株式投資と比較しながら3つ解説します。この記事を読めば、投資のシミュレーションを学ぶことができ、投資のリスクを理解することもできるでしょう。
目次
投資ではシミュレーションが重要
投資を検討している人は、基本的に、資産をつくる・増やすことを目的にしています。そのためには投資による収支をプラスにする必要があり、そのためには精度の高い収支シミュレーションが必須です。
不動産投資がシミュレーションしやすい理由を解説する前に、投資の収支シミュレーションにおいて学んでおくべきことを解説します。この点を理解しておけば、不動産投資がシミュレーションしやすい理由も、すんなりと理解できるでしょう。
投資は利回りとCFが重要
シミュレーションに欠かせない要素は利回りとCF(キャッシュフロー)の2つです。この2つの指標を理解しておくことで、シミュレーションの精度も上がってきます。
利回りとは?
利回りとは、「年間収益÷金融商品の取得価格」で計算されます。そのため、不動産投資・株式投資の利回り計算は以下の通りです。
- 不動産投資=(年間収入-年間経費)÷物件取得価格
- 株式投資=(年間配当収入-年間経費)÷投下金額
物件や株を取得するための費用を何年で回収できるを示す指標です。仮に利回りが10%であれば、単純計算ですが物件や株を取得した費用を10年(100%÷10%)で回収できます。
CFとは?
一方、CFとは手元に残るお金で、計算式は以下のように単純です。
- CF=年間収入-年間支出
不動産投資の利回りでは「年間収入-年間経費」という式がありましたが、この経費にはローンの支払金額などは含まれません。あくまで、その物件を現金で購入した前提であり、さらに「将来のための補修費用の積み立て」など、実際に支払っていない金額を加味することもあります。
一方、CFの年間支出は、実際に支払ったお金がベースになるので、1年間運用した後で手元にいくら残るかを正確に算出できます。利回りを使って物件を絞り、CFをつかって物件の収益性をさらに精査するというイメージです。
収入・支出はブレる
上述したように、投資のシミュレーションには収入と支出が非常に重要になります。その収入と支出のシミュレーション精度が高ければ、想定通りの収益を上げることが可能です。だからこそ、シミュレーションしやすい投資を選択すべきであり、それが不動産投資になります。
次項より、不動産投資がシミュレーションしやすい、以下3つの理由について詳しく解説していきます。
- 理由1:収入のシミュレーションがしやすい
- 理由2:支出のシミュレーションがしやすい
- 理由3:参考になる事例が豊富
理由1:収入のシミュレーションがしやすい
不動産投資がシミュレーションしやすい1つ目の理由は、収入のシミュレーションがしやすいという点です。収入のシミュレーションがしやすいということは、安定して収入を得ることができ収益がプラスになりやすいです。
株式投資の収入
株式投資の収入は、以下のように外部要因に左右されるので読みにくいといえます。
- 企業業績による
- 企業の方針による
ここでいう株式投資は中長期の投資であり、デイトレードのような短期の投資ではありません。そのため、株を保有しているともらえる配当収入がメインであり、サブ的な収入として中長期的には株の売買益も狙うという投資になります。
株価は企業業績による
長期的に見ると株価は企業業績に連動しますが、その企業業績を読むことは困難です。例えば、いくらその企業の事業が順調でも、社長や役員がスキャンダルを起こせば業績に関係なく株価は下がります。
また、震災などの大災害や、海外の金利上昇や為替変動など、外部要因によっても株価は変動します。企業業績が悪くなれば株価は下がり、さらに配当も下がる可能性が極めて高いので、株式投資における収入は不安定といえるでしょう。
企業の方針による
上述したように、長期の株式投資のメインは配当ですが、その配当利回りは企業の方針によります。そもそも配当とは、その企業が出した利益を株主に還元することです。ただし、たとえ利益を上げていても配当は読めません。
というのも、その利益を設備投資に回すこともありますし、内部留保(企業の貯金)することもあるからです。つまり、企業業績を読んで当たったとしても、思うような配当収入を得られない可能性があります。この点からも、株式投資の収入は不安定といえます。
不動産投資の収入
一方、不動産投資の収入は以下の理由で比較的安定しています。
- 家賃という定額の収入
- 売買益はそもそも考えなくて良い
収入が安定していれば収益は読みやすくなるので、シミュレーション通りの投資をしやすいです。
家賃という定額の収入
不動産投資の基本は家賃収入です。家賃は賃貸借契約で金額が決まっているので、基本的には定額の収入になります。もちろん、賃借人が滞納したり、空室になったりすることで収入は落ちます。
ただ、賃借人が滞納するリスクは極めて低いですし、そうならないように賃借人を見極めることでリスクヘッジは可能です。また、空室も「年間0.5カ月空室になる」という前提でシミュレーションを組むことができるので、これもリスクヘッジ可能といえます。
売買益はそもそも考えなくて良い
不動産投資の基本は家賃収入なので、その物件の売買益に関しては考えなくても良いです。ただ、将来的に不動産を売却する可能性はありますので、売却のしやすさは加味して物件選びをした方が良いですが、あくまでメインは家賃収入です。
また、仮に不動産を売却するときも、「1年で物件価格が半額になる」という状況はほぼないでしょう。一方、株式投資の場合は「1年で株価が半分になる」というのはあり得ます。
このように、不動産投資は家賃収入という安定して読みやすい収入であり、かつ売買を加味しない&売買価格が暴落しにくいという点から、収入のシミュレーションがしやすいです。
理由2:支出のシミュレーションがしやすい
2つ目の理由は、収入だけでなく支出のシミュレーションもしやすいという点です。前項と同様、株式投資の支出と不動産投資の支出を比較していきましょう。
株式投資の支出
株式投資の支出については、株を保有しているときのランニングコストのほかに、売買益も収益の一部なので売買損失も支出ということができます。
手数料と金利
株式投資は、売買するときに手数料がかかり、信用取引を利用すると金利も発生します。信用取引とは、証券会社にお金を借りて株を取得する売買方法です。
ただ、手数料はそこまでの支出ではなく、金利も信用取引をしなければ発生しません。そのため、ランニングコストという支出だけをみれば、株式投資は非常に低コストといえます。
売買損失を加味する
ただ、上述したように売買損失も加味する必要はあります。長期の株式投資のメインは配当ではありますが、売買益も収益の一部です。仮に、株価1,000円の企業Aの株を、5,000株(500万円)取得するとします。
もし、株価が300円下がり700円になってしまえば、150万円(300円×5,000株)の損失です。その株価は回復するかもしれませんが、回復せずに配当がゼロになることもあります。仮に、3年後にようやく株価が戻って配当も回復したとしても、3年間は収益がゼロということです。
もちろん、株価が戻らなければ損切り(損失覚悟の売却)することになるので、150万円は支出としてシミュレーションしなければいけません。このように、「株価」という読めないものを支出としてカウントする必要があるので、株式投資の支出シミュレーションは困難といえます。
売買しない前提なら収益は極めて低い
「配当収入だけもらう」という方針で、売買益は加味しないという人もいると思います。しかし、それは5年から10年以上の超長期の投資であれば成立すると思いますが、その方針だと収益は極めて低いです。現に、不動産証券化協会の資料※によると、東証一部の年間配当利回りの平均は2%です。
つまり、500万円分の株を保有していても、年間わずか10万円の収益にしかなりません。不動産投資は、低くても5%前後、高ければ10%以上の利回りも存在します。しかも、融資を受けることで一千万円単位の資産を保有できるので、収益額でいうと桁違いになるでしょう。
そのため、資産をつくりたいのであれば、中長期でも株式投資の場合は売買益を加味します。そうすると、前項のように売買損失を支出に加味するため、読みにくいシミュレーションになります。
不動産投資の支出
不動産投資の支出に関しては、以下のような特徴があります。
- ランニングコストは読みやすい
- 金利変動もシミュレーションできる
ランニングコストは読みやすい
不動産投資は以下のランニングコストがかかります。
- 固定資産税・都市計画税(固都税)
- 管理費や修繕積立金
- 退去時の補修費用
- 設備入れ替え費用など
これらの費用を完全に読むことはできませんが、ある程度シミュレーションすることは可能です。たとえば、固都税は昨年の評価額を見れば大体金額は読めますし、管理費や修繕積立金もマンションによって決まっています。
退去時の補修費用や設備入れ替え費用は少々読みにくいですが、それでも過去の事例などを参考にシミュレーションが可能です。少なくとも、「株価下落による損失」よりは読みやすく、精度の高いシミュレーションができるといえます。
金利変動もシミュレーションできる
支出に関しては「ローン支払い」が高額です。金利タイプを「固定型」にすれば支出は変わりませんし、変動にしたとしても金利変動のシミュレーションはしやすいです。
例えば、借入当初は2.5%の金利が、0.1%ずつ上昇して3%になった時点での支払いは簡単にシミュレーションすることができます。そのため、最も高額なローン支払い額でさえ事前にシミュレーションできるので、不動産投資の支出シミュレーションはしやすいといえます。
理由3:参考になる事例が豊富
3つ目の理由は、参考になる事例が豊富という点です。シミュレーションの精度は「過去の事例」の量に比例します。
つまり、過去の事例が多ければ、収支が変わるリスクを読むことができるので、精度の高いシミュレーションへと繋がっていきます。
株式投資は過去を見るしかない
株式投資はその企業の過去の推移を見るしかありません。例えば、同じ業界の別会社の株価などを見ることも可能ですが、それは参考程度です。そのため、あくまでA社の株はA社の過去の株価しか判断材料がないです。
また、仮に株価が右肩上がりでも突然暴落することもありますので、材料が少ない上に上述したよう株価の行方を読むことは困難です。逆にいうと、株式投資は過去の事例が少ないので、株価変動を読むのが難しいともいえます。
不動産投資は条件が似ている物件が多数
不動産投資は条件が似ている物件が多数あるので、収支が読みやすいです。たとえば、「練馬駅 徒歩10分 24㎡1K 築12年」の区分マンションに投資したら、以下のような物件は参考になるでしょう。
- 練馬駅から徒歩5分~15分の物件
- 築年数5年~15年の物件
- 1R~1LDKの間取りの物件
賃貸物件はそもそも数が多いので、条件が似ている物件は多いです。参考になる物件が多ければ、家賃相場も分かりますし、空室リスクも分かります。さらに、運営しているときに発生する「補修費用」や「設備入れ替え費用」などのデータも豊富です。
それらのデータは、管理会社や仲介会社が持っているので、アドバイスを受けながら収支シミュレーションすれば、精度が高いシミュレーションになります。
まとめ
不動産投資は、収入や支出のシミュレーションがしやすく、参考になる事例も豊富であるため、シミュレーションが容易です。
収支が読みやすくシミュレーションしやすいということは、想定通りの収益を上げやすいということです。そのため、特にノウハウがない初心者にはメリットが大きいと言えるでしょう。いずれの投資にしろ、きちんとシミュレーションをして、収益を上げる算段を立ててからスタートさせることが重要です。