不動産投資を始めたいけど勇気がない!手軽にできるソーシャルレンディングとは?
By Oh!Ya編集部
1,798view
あらゆるメディアで、年金問題や雇用減少の深刻化が取り上げられる昨今、多くの人が資産運用に関心を持ち始めました。
中でも、不動産投資は堅実な資産運用として注目されるものの、初期費用のハードルが高いことから始める人はごくわずか。結果的に何を始めたらいいのか分からないまま、不安だけが大きくなるばかりです。
そこで今回は、手軽に不動産業界へ投資できる「ソーシャルレンディング」を解説。メリットやデメリットを挙げつつ、他の投資手段との違いをご紹介します。
目次
ソーシャルレンディングとは?
資金の運用先を探す投資家と、融資を求めている会社を引き合わせるサービスをソーシャルレンディングと呼びます。ソーシャルレンディングを通じてマッチングする各会社は、再生可能エネルギーや新興国の債券などそれぞれの分野に特化。
そのなかでも、日本国内は不動産を扱うソーシャルレンディングが市場の大部分を占めています。今回はこれを「不動産型ソーシャルレンディング」と定義し、構造や特徴をご説明します。
不動産型ソーシャルレンディングの構造
投資家はソーシャルレンディング業者を仲介し、不動産市場に関連する会社へ融資を行います。
融資期間が終了すれば、融資先の会社がソーシャルレンディング業者へ利息とともに元本を返済。さらにソーシャルレンディング業者から投資家に、分配金と元本が支払われる仕組みです。
不動産型ソーシャルレンディングを扱うサービスでは、投資家に向けてつぎのような情報が公開されます。
「公開される主な情報」
- 融資募集総額
- 現時点での申込金額
- 募集期間
- 運用期間
- 想定運用利回り
- 担保の有無
運用期間や利回りはもちろん、見落としやすい担保の有無は注意すべきポイントです。担保があれば融資先が破たんしても損失を最小限に抑えられるため、特別な理由がなければ担保のある案件をおすすめします。
つぎに、このような構造で成り立つ不動産型ソーシャルレンディングが、どういったメリット・デメリットをもつのか順番に解説していきます。
不動産型ソーシャルレンディングのメリット
不動産型ソーシャルレンディングは、従来の投資手段が持つメリットを集めつつ、より手軽に扱える金融商品として人気を集めています。
まずは、不動産型ソーシャルレンディングを選ぶ動機となる、3つの魅力をご紹介します。
少額資金で始められる
利用するサービスによって違いはあるものの、数万円から投資できるものがほとんど。投資と聞いて多額の初期費用を想像しがちですが、毎月少額から資産運用を実践できることがメリットです。
また、収入源を分けることはリスク管理の基本だといえますが、物件1つが高額である不動産投資は分散投資に不向き。一方、ソーシャルレンディングであれば分散投資が容易であるため、細かくリスクを管理しつつ不動産業界へ投資できます。
高利回りが期待できる
不動産投資ゆずりの安定感を持ちつつ、高い利回りを実現している点がソーシャルレンディングならではのメリット。実際に、不動産の扱いに特化したソーシャルレンディング業者「OwnersBook」は、2018年度の実質利回りを4.5~14.6%と発表しています。
投資に対する知識を必要とせず、これほどの利回りを実現できる金融商品は多くありません。そのため、未経験者でも高い運用成果が期待できるとして注目を集めています。
マーケットを確認し続ける必要がない
メジャーな投資手段である株式投資やFXは、流動性が高く短期的な価格変動が大きいです。そのため、こまめにマーケットを確認する投資家も大勢います。
流動性の高さは換金のしやすさに直結するため、必ずしもデメリットとはいえないものの、相場の推移に気を取られて時間を失うのは本末転倒です。
一方で、ソーシャルレンディングは運用期間中に換金できないため、一度購入すれば価格の確認は不必要。運用期間の終了まで、マーケットを気にすることなく過ごせます。
また、不動産投資では物件管理の手間が必要ですが、ソーシャルレンディングは運用中の操作が必要ありません。あくまで間接的に不動産市場へ投資しているため、不動産投資特有の作業が省略できる点が魅力です。
不動産型ソーシャルレンディングのデメリット
メリットをもつ金融商品にはデメリットがあり、それは不動産型ソーシャルレンディングも例外ではありません。
一概に完全なデメリットとは言えないものの、投資家によっては短所にも捉えられる3つのポイントをご紹介します。
任意のタイミングで解約できない
運用期間の終了まで操作できないことは、メリットであると同時に「すぐに換金できない」というデメリットを生みます。
さらに、融資先の企業が返済遅延となれば投資家への分配も遅れるため、運用期間の終了にあわせて必ず返金されるわけではありません。
生活に支障をきたすことを阻止するためにも、余剰資金を利用して運用することをおすすめします。
元本割れの可能性がある
融資先の企業が事業を成功させる保証はないため、投資家への返済ができない場合は債務不履行(デフォルト)となり元本割れのリスクが生じます。
数ある投資と同様に、ソーシャルレンディングにも「元本保証」はないため、仲介役となるソーシャルレンディング事業者は過去実績をもとに判断することをおすすめします。
投資対象の情報が不透明
ソーシャルレンディングは行政当局の方針にしたがって、資金を借りる企業は匿名化されています。これは、情報開示によって投資家が企業に直接投資できるようになり、貸金業と同様の構図になることを防止するためです。
何に対して投資をしているのか把握できないため、不透明な情報に不安を覚える投資家にはデメリットだといえます。
どのような人に適した金融商品なの?
特有のメリット・デメリットをもつ不動産型ソーシャルレンディングは、つぎのようなポイントを重視する投資家におすすめです。
- 不動産市場に将来性を感じている
- まだ認知度が高くない金融商品に投資したい
- 価格変動が気になり、つい感情的に売買をおこなってしまう
- 少額から投資可能で、分析や運用の手間が不必要な投資先が良い
やはり、不動産型ソーシャルレンディング最大の強みは「投資の手軽さ」であるため、定期預金以上の利益を期待しつつ手間のかからない投資先をもとめる人に最適です。
しかし、似たような特徴をもつ投資手段もいくつかあるため、具体的な比較ポイントがなければ選択に迷うことも事実。つぎの項では、類似する投資手段と不動産型ソーシャルレンディングの違いをご紹介します。
類似する投資手段との比較
投資家は、不動産型ソーシャルレンディングを通じて不動産市場に投資することになります。
不動産市場への投資を考えたとき、不動産投資やREIT(不動産投資信託)も候補に挙がりますが、どのような点がそれらの投資手段と異なるのでしょうか?
不動産投資
物件という実物資産を扱う不動産投資は、不動産型ソーシャルレンディングと異なり運用に手間や時間が必要。購入から売却まで、数年~数十年単位で入居者募集や修繕をおこなうなど「大家」としての労働が求められます。
また、比較的安価な区分マンションや中古戸建であったとしても、購入価格は数百万円規模です。融資を利用すれば多額の投資が可能になるものの、長期的な返済は避けられず「安易に撤退しない」という覚悟がなければハードルが高いものに感じられます。
一方で、物件へリフォーム工事を施したり、フリーレントを利用して集客力を高めたり、投資家の判断次第で付加価値をくわえられるのは実物資産の特権。工夫次第で収益をコントロールできる点は、不動産型ソーシャルレンディングにはない強みといえます。
前述した融資による借入も入念な計画にもとづいた内容であれば、投資対象の幅を広げる強力なサポートです。自己資金を超える金額を運用するということは、それだけ投資効率が高まるということ。
理想的な利益率で運用したとき、不動産型ソーシャルレンディングのように自己資金のみを運用した場合と大きな差ができるのは明らかです。スピード感を意識しつつ独立やセミリタイアを目指す場合は、不動産投資がもっとも近道だといえます。
REIT(不動産投資信託)
REITは不動産投資信託とも呼ばれ、その名の通り不動産投資と投資信託を合わせた性質を持ちます。
基本的には上場投資信託(ETF)のような仕組みを採用しており、投資家は証券取引所を通じてREIT銘柄を購入し、投資家から集めた資金を利用して投資法人が不動産を運用。賃料収入や物件売買による利益を投資家に還元します。
不動産型ソーシャルレンディングと同様に少額投資が可能ですが、任意のタイミングでトレードできることが最大の違い。また、投資法人の所有物件はネット上で開示されており、情報が透明化されていることも比較ポイントの1つです。
不動産型ソーシャルレンディングの即時換金できない特性を、市場を気にしなくて良いと捉えるか、換金に自由度がないと捉えるかにより、投資先としての魅力度が変わるでしょう。
海外のソーシャルレンディング市場からみる将来性
個人投資家から融資を取り付けるソーシャルレンディングは、海外でも市場規模を拡大しつつあります。
イギリスの市場調査会社である「TechNavio」は、調査レポートの1つ「ソーシャルレンディングの世界市場:2016-2020年」にて、2016年から2020年までのあいだに約53%の年間成長率が見込めると予想しました。アメリカでは、2020年代に数十兆~数百兆まで市場規模が拡大すると見込まれるほどです。
日本国内でも市場規模の倍率は急激に伸びており、2017年9月に発表された矢野経済研究所の資料*¹によれば2013年から2016年までに約6倍の成長を見せています。しかし、調査時点で確認されている2016年度の市場規模は745億円ほど。
日本のマーケットはいまだ小さいため、今後さらなる成長率が期待できるといえます。
引用:(矢野経済研究所「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2017年)」)
有名な不動産型ソーシャルレンディング業者
数ある国内の不動産型ソーシャルレンディングは、どのサービスもそれぞれ異なる特徴を持ちます。投資初心者にとって、多すぎる選択肢はスタートを遅らせる原因の1つ。
そこで、この項では不動産に特化したサービスから厳選した、定番と呼ばれる業者を特徴を交えてご紹介します。
OwnersBook
不動産型ソーシャルレンディング「OwnersBook」を展開するロードスターキャピタル株式会社は、2012年4月より不動産事業を開始しました。
代表取締役社長は、金融業界最大手のゴールドマンサックスに勤務し、過去に3,000億円以上の案件を担当した実績の保有者。その他のメンバーも、不動産会社やファイナンス系の企業にて経験を重ねた専門キャリアの保有者ばかりです。
OwnersBookでは、これらの優れた実績をもつメンバーによって厳選された、低リスクでありつつ利益率の高い案件が提供されています。
サイト内の情報によれば、サービスの利用者は20~60代までさまざまな年齢層がおり、投資額の分布は10万~50万円ほどが半数以上。多くの利用者が、少額から始められる手軽な投資先として利用していることが分かります。
サービスの無料登録を済ませて「投資家申請」を完了させることで、投資家同士の情報交換ができるコミュニティも利用できる投資初心者も安心な設計です。
LENDEX
「LENDEX」は不動産に特化したマッチングを取り扱う、不動産型ソーシャルレンディングの1つ。
低リスクな案件の提供を重視し、ほとんどの案件に担保が設定されています。そのため、投資家から融資を取り付けた企業が破たんしたとしても、所有物件を売却することにより損失を最小限に食い止めることが可能です。
また、融資期間が短い案件を扱うことで、運用の長期化による先行きの不透明性を解消。比較的、結果を予想しやすい短期サイクルの案件を提案しているため、小さな利益を着実に重ねるスタイルに適しています。
ガイアファンディング
アメリカの不動産案件に特化した「ガイアファンディング」は、国内市場の将来性を不安に感じる投資家や、国内外の市場に分散投資をしたい投資家に最適。
案件の大部分に為替ヘッジがもちいられており、投資家の取引に為替リスクが生じることはありません。そのため、国内の不動産型ソーシャルレンディングと同様の感覚をもったまま、市場だけが変わると捉えて良いでしょう。
運用期間は長いものが多く、一部を除いて1~1年半で満期となる案件がほとんど。ブログやYouTubeなど複数のメディア展開をおこなっており、あらゆる角度から投資家にアメリカの情報を伝える取り組みが実施されています。
まとめ
今回は、手軽に不動産業界へ投資できる「不動産型ソーシャルレンディング」についてご説明しました。いまだ、認知度は高いといえないものの、海外の市場成長率をみれば将来性が期待できる投資先の1つだといえます。
また、ネット上で完結する少額投資が容易になった昨今、数ある投資先と不動産型ソーシャルレンディングの最大の違いは「価格推移に一喜一憂しなくて良い」という見落としがちなポイントです。
スマホでの短期売買が可能な株式投資やFXに比べて、「お金に働いてもらう」というイメージに近い金融商品だといえるでしょう。