今すぐ効果が出る空室対策|なぜ空室が発生するのかを知って根本解決
By Oh!Ya編集部
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大家さんにとって空室は最も頭の痛い問題です。何せ空室の間は家賃収入がゼロになってしまうのですから、賃貸経営上の深刻な問題です。しかも人口減少の影響で今後さらに空室対策の重要性が増すとなると、有効な方法を知っておかなければとお考えの大家さんは多いことでしょう。
そこでこの記事では、今すぐできるものから根本解決を目指すもの、さらに大家さんが実践して成功した空室対策までを網羅して解説します。
目次
空室対策の重要性が以前より増している
賃貸経営の空室問題について、これまでであればあまり意識しなくても良かったものが、近年では状況が変わってきています。何がどう変わってきているのでしょうか?まずは空室対策の重要性が増している背景を押さえておきたいと思います。
空室率が上昇しやすい時代が来ている
不動産市況は地域によって大きく異なるため全国一律の話ではないのですが、空室率が上昇しやすい時代になっていることでは共通しています。地方のアパート物件などではその傾向が顕著に表れていますが、それ以外の大都市圏のマンション物件などでも細かく地域を分類すると、空室率が上昇している地域があります。
折からの不動産投資ブームで、特にアパートが乱立した地域ではアパートの空室率が上昇していますし、マンションであっても築古物件などでは慢性的な空室に悩まされている大家さんも少なくありません。
人口移動の影響で空室率が増加している
人口の移動は、空室率にも敏感に影響を及ぼします。人口が流出している地域では空室率上昇の要因になりますし、逆に人口が流入している地域では空室率が上昇しにくくなります。こちらはRESASという地域経済分析システムによって算出された、2015年の人口増減予測マップです。
出典:人口マップ(RESAS)
これを見ると、やはり首都圏をはじめとする大都市圏に人口が流入し、濃い青になっている地域では人口の減少が進んでいることが分かります。青色が薄いところは微減なので影響が少ないと思われますが、濃い青色になっているところは今後空室率がどんどん上昇していくことが予想されます。
このように、地域によって空室対策の重要性が大きく異なるということをまずは押さえておいてください。
人口減少の影響が出始めている
日本はすでに人口が減少する社会に突入をしています。今後劇的に出生率が高くなることは考えにくいので、なだらかな人口減少は今後も続くでしょう。人口が減少するということはアパートやマンションに入居する人も少なくなっていくので、空室率が高くなる原因となります。
しかし、先ほども述べたように人口減少が起きていない地域もあります。そういった地域では今後も安定した賃貸需要が見込まれると見られますが、それがいつまでも続くという保証はありません。
現在は人口の流入が続いている東京周辺ですら、将来は流入してくる人口そのものが減り、人口減少に転じるという試算もあります。人口減少が続いているということは、どこであっても空室対策と無縁ではないのです。
不動産投資ブームで物件供給量が増えている
今では少し鎮静化していますが、2018年くらいまで不動産投資ブームとも呼べる状況が続いていました。ネット情報やアプリなどを活用することにより、不動産投資への参入障壁がぐっと低くなり、大量のサラリーマン大家が誕生しました。
まだまだ需要が旺盛な地域なら問題はないのですが、ブームによって乱立したアパートの空室率が高くなっている地域があります。レオパレス問題に代表されるように無計画なアパートの乱立は空室率を高くするだけなので、ブームの影響が出ている地域では空室対策の重要度が一層高くなります。
空室対策をしないと賃貸経営はどうなる?
満室経営は不動産投資の理想ですが、現在満室だからといっていつまでもそれが続く保証はありません。すでに空室があるような物件だと、なおさらです。そのまま空室を放置していても外的要因が変わらない限りは急に満室になることはないので、大家さん自身による空室対策が必要になります。
空室があるのに何の対策もせずに放置していると不人気物件としてイメージが定着してしまい、より満室にするのが難しくなります。空室がちになってきたら、早め早めの空室対策が必要なのです。
実践できる空室対策の種類
空室対策として今すぐできることには、どんなものがあるのでしょうか。有効であるとされる代表的な空室対策から順に解説していきます。
入居条件を緩和する
入居者が少ないのは需要がないだけではなく、入居の条件が厳しすぎるのかも知れません。例えば高齢者や外国人などの賃貸需要は高くなっていますが、これらの人たちが入居できないような条件になっていたら、自ずと空室率が高くなってしまいます。
単身の高齢者や外国人、さらには保証金の減額、免除といったように入居条件を緩和していくと、それに比例するように入居者の母集団が多くなります。
物件広告の見せ方を見直す
賃貸住宅を探している人の本音を探ると、いかに不動産会社に問い合わせをする前に物件の情報が得られるかというところに行きつきます。ネットで情報を見るだけならタダですし、特に営業攻勢をかけられるわけではありません。その「安全な状態」で物件探しをできるところまでやりたいというニーズをくみ取ると、物件広告の見せ方を工夫するのが有効です。
写真を多く掲載することはもちろんのこと、最近では動画で室内の様子を見ることができるようになっている物件広告もあります。間取り図と近隣のスーパーや駅などの写真だけという従来の見せ方では競争力が弱いので、見る人の立場になって工夫をすることを心がけてみてください。
ターゲットを明確にしたマーケティング
モノを売る時には、それを誰に売るのかを決めて、そのターゲットが欲しいと思うような戦略を描きます。これをマーケティングといいますが、賃貸住宅にも同じことが言えます。
賃貸住宅で考えられるターゲットとは、高齢者、外国人、単身女性、単身男性・・・といったように、その物件がある地域柄も考えて、その物件を選びそうな人物像を描きます。あとは、そのターゲットが喜びそうな設備や内装などを揃えて集客力アップを図ります。
マーケティングを採り入れた空室対策はすでに多くの成功事例があるので、取り組む価値は大いにあります。
リーシング業者向けの対策
賃貸住宅に入居者を探してくるのは、不動産会社の仕事です。不動産会社の中には賃貸専門の業者もあるほどです(エイブル、アパマンショップなど)。こうした不動産会社は入居者を見つけてきて契約成立となると、賃貸オーナーから謝礼が支払われる仕組みになっています。
そこでこの謝礼を増額したり、個人レベルで不動産会社の担当者を食事に連れて行ったり、袖の下としてポケットマネーを手渡すことで、その担当者が本腰を入れて入居者を探してくれるモチベーションとなります。
こうしたリーシング業者(賃貸入居者を見つけてくる業者)への対策も立派な空室対策であり、お金をかけるだけの価値は十分あります。
管理会社向けの対策
空室が多いことの理由に、管理会社の仕事ぶりが関わっていることがあります。清掃が行き届いていなかったり、入居者への対策がおざなりになっているといった場合です。この場合は管理会社に是正を求めることが対策のスタート地点となりますが、改善されない場合は管理会社を変更するのもひとつの手です。
物件の魅力を高める
物件の魅力を高めて集客力アップを図るのは古典的ではありますが、今も十分通用する空室対策です。大手不動産ポータルサイトなどでは毎年のように賃貸住宅の人気設備をランキング形式で発表しています。その中で常に上位に来るような設備を導入するのは合理的な空室対策です。
常に人気上位にあるのは、無料インターネット、オートロック、防犯カメラ、宅配ボックス、追い炊き機能などです。特に無料インターネットはここ数年ずっと1位になっているので、まだないのであればぜひ導入してみてください。
その他にも主に単身者向け物件で備え付けの家具がある物件やリノベーション物件などが人気を集めているので、これも参考にしてみてください。
ハウスクリーニング
一般的な掃除ではなく、プロの業者によるハウスクリーニングで物件を徹底的にきれいにするのも有効な手法です。水回りや見えない部分など、個人レベルの掃除では手が届かないような部分もプロの技術と装備でクリーニングをすると、まるで新築のように美しくなります。
物件の内見時に「まるで新築みたい」という印象を与えることができれば、自ずと入居率もアップします。
サブリースの検討
空室に悩んでいる大家さんの中には、サブリース契約をすることでリスクヘッジをする人もいます。サブリースとは所有物件を業者が一括借り上げをした上で、その賃料が支払われる仕組みです。空室、満室に関わらず賃料が入ってくるので空室対策としては有効です。
しかし、サブリース業者もバカではありません。自社が損をするような条件でサブリース契約を結んでくれることはないので、賃料は少なくとも3割程度少なくなります。それが納得できるかという部分も含めて、十分に収支を精査した上で検討しましょう。
これらの方法を17通りの対策に集約するとこうなる
大家さんが取りうる空室対策として、ここでは8つの方法を厳選してご紹介しました。その他にも有効な対策があるので、そちらについては以下の記事を併せてお読みください。
空室対策で絶対に外してはいけない基本
今すぐできる方法以外にも空室対策にはさまざまな方法がありますが、どんな空室対策を取るにしても絶対に外してはいけない基本があります。ここでは、その基本を5項目で解説します。
安易に家賃を下げない
ここまで解説してきた空室対策をご覧になった上で、「結局、家賃を下げるのが一番手っ取り早いのでは?」とお感じになった方もおられると思います。もちろんそれは最大の対策になりうると思いますが、これは最後の手段として安易に取るべき対策ではありません。
というのも、家賃は一度下げると元に戻すのが難しく、キャッシュフローが低下した状態から抜け出せなくなってしまいます。また、家賃を下げるということは利回りも低下するため、金融機関からの事業評価も下がってしまいます。つまり、次の物件購入時に融資の審査に影響を与えてしまうということです。
引き下げるなら一時的な金銭のみにする
家賃を下げるべからずと述べている一方で、「入居の条件緩和が有効」とも述べました。家賃を下げずに金銭的な条件を緩和する方法として、一時的な金銭を引き下げる方法があります。
敷金や礼金、保証金といった入居時の費用を引き下げるか、もしくはフリーレントといって最初の数か月間は家賃無料にするといった具合です。これらの方法であれば金銭的に入居しやすくなる一方で、大家さんにとっては利回り低下という事態は避けることができます。
内見者の絶対数にこだわる
入居者は必ず、入居する賃貸住宅を決める前に内見といって物件の下見をします。つまり下見をする内見者が増えないことには入居者は増えないということです。この構図を認識した上で、内見者という母数集団を多くすることを目指してください。
前章でご紹介した広告の見せ方の工夫やリーシング業者へのインセンティブ強化などはすべて、母数を増やすための施策です。内見に来る人は、よほどのことがなければその物件に入居したいと考えている人なので、この人数を増やすことは空室対策としてとても有効です。
立地が原因の場合は売却も検討
不動産は文字通り動かない資産なので、立地条件によって価値が大きく変動します。しかも不動産自体は動いていなくても周辺の環境変化などによっても価値が変動します。
近隣の大学や工場など、賃貸需要を生み出していた施設が撤退した場合など、周辺環境の変化によって空室率が高くなっている場合、それを自力で挽回するとなると家賃を引き下げるしかありません。それを許容できるなら家賃の引き下げで対応してもいいと思いますが、長く続かないと感じるのであれば売却してしまうのもひとつの手です。
入居条件を緩和して母数を増やす
家賃以外の部分で入居条件を緩和するのは、有効な空室対策であると述べました。ここで検討したい条件とは、以下のようなものです。
- 外国人の入居を認める
- 高齢者(特に単身者)の入居を認める
- ペット可にする
- 楽器可にする(この場合、防音対策が必要になります)
ネットで利用できる賃貸住宅検索サービスでは、こだわり条件といって細かく条件を設定できるようになっています。そこに「角部屋」「洗面所独立」「防音」「オートロック」といったように細かいチェックボックスがあるので、こうした条件に合致する項目が多いほど、検索する人の目に留まりやすくなります。
検索する人の目に留まりやすくなるということは、内見者の母数を増やすことにつながるので、こうしたこだわり検索の条件にひとつでも多く合致するような物件づくりが空室対策になるというわけです。
先輩大家さんが実践して成功した空室対策7+1選
すでに先輩大家さんが実際に取り組んでいる空室対策の中から、効果が確認されているものをご紹介します。
動画による訴求
物件広告の見せ方の工夫として動画をすでに提案していますが、この手法はかなり高い効果を上げているようです。人間は止まっているよりも動いているものから情報を得やすいという心理効果があるため、動画で紹介された情報により親近感を持ちます。
それを商売にしている典型例が、ユーチューバーでしょう。同じ情報であっても動画で紹介することで人気を集め、それを収益につなげている人たちです。人気ユーチューバーにあやかる気持ちで、動画で物件を紹介する手法を検討してみてください。
高齢者や外国人にターゲットを絞って集客
2019年現在、賃貸住宅のニーズで大きなトレンドを挙げるとするならば、「高齢者」と「外国人」です。いずれも母数が増えているカテゴリーなので、こうした人たちにターゲットを絞った集客をすると母数集団を増やすことができます。
高齢者向けのバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入などちょっとしたリフォームをすることで、空室対策の高い効果を上げた大家さんもいます。
もう一方の外国人については特別な設備は必要ありませんが、入居条件を緩和することで簡単に実践できます。もっとも、外国人入居者については既存の入居者が良く思わない場合もあるので、一棟ものを運用されている場合は注意が必要になります。
内見者へのサービス
内見者というのはこれから入居してくれるかも知れないという、最も入居者となるのに近い位置にいる人たちです。この人たちへのサービス精神を発揮することは、商売人として当然の発想でしょう。大切なお客様なのですから、内見を不動産会社だけに任せるのではなく、オーナー自身ができるだけ顔を出して対応するということもひとつの空室対策になります。
暑い時期や寒い時期には、内見者が来る30分前くらいからエアコンをつけて快適な状態にしておくことや、ちょっとしたプレゼントを手渡して歓迎の意を伝えるなど、できることはたくさんあります。
先ほど「商売人」という言葉を使いましたが、不動産投資家は大家業という商売をしている商売人であるという認識を忘れないことが重要です。
一度自分も住んでみて入居者のニーズを探る
ちょっとユニークな空室対策として、大家さん自身が一度その物件に住んでみるという方法があります。物件の所有者として大家さん目線ばかりだとどうしても入居者のニーズや感じることに気づけないというわけで、それなら自分が一度住んでみようというわけです。
昔はアパートの大家さんが所有しているアパートの一室に管理人を兼ねて住んでいるという風景を見ることもよくありましたが、今では物件の管理はもっぱら管理会社の仕事になっています。そのため大家さんが物件を直接見る機会も減っており、この現場感の希薄さが空室率上昇につながっているとしたら、それはもったいないことです。
理想的なのは1年を通じて住んでみることですが、少なくとも数ヶ月住んでみるだけでも色々な気づきがあると思います。究極のユーザー目線が手に入る空室対策なので、興味がある方はぜひやってみてください。
不動産会社との関係構築、インセンティブ
物件に客付け(リーシング)をしてくれる不動産会社は、空室対策のキーマンともいえる存在です。すでにご紹介している手法ですが、不動産会社に対する謝礼の増額は即効性のある空室対策です。
もしあなたが不動産会社の担当者で、似たような2つの物件があるとします。入居希望者の要望をかなえるにはどちらの物件でも問題ないと思われる時、不動産会社への謝礼が大きい物件を選ぶのは当然です。ほんの1万円増額するだけでも不動産会社の選択は大きく傾くことになるので、ぜひやっておきたい空室対策だと思います。
また、不動産会社との関係づくりも重要です。こまめに連絡を入れて「最近、問い合わせ来てますか?」「反応はどうですか?」といったようにご機嫌伺い程度のやり取りをするのも、不動産会社から忘れられないようになるため有効です。
大家さんの中には担当者と食事に行ったりと個人的な人間関係を作っている人もいて、それが結果的に空室対策になっているという事例もあります。
清潔感のアピール
賃貸住宅の内見に行ったことがある方であれば、トイレや洗面台などに「消毒済み」というシールが貼られていたり、紙の札が置いてある光景を見たことがあると思います。これと同じものを見たことがあるとしたら、おそらくそれはホテルの室内だと思います。
ホテルは毎日のように違う人が宿泊をするので、徹底的な清掃を行った上でそれを証明するために「消毒済み」という札を置いています。この札があることで安心感を抱く人はとても多いそうで、ホテルでは常識になっているサービスです。最近では賃貸住宅にもこれと同じ手法を採り入れている事例が多くなっており、「消毒済み」の札が置かれているというわけです。
これがあると特に女性の内見者が好感を持つことはよく知られており、カップルやファミリーの入居者では事実上の決定権を持っている女性を取り込むのに大きな効果があります。たかが札1枚ではありますが、こうしたちょっとした気遣いが空室対策として威力を発揮するというわけです。
ネット無料、防犯システムの導入
賃貸住宅の人気設備として常に上位にランクインするのが、無料インターネットとオートロック、防犯カメラといったセキュリティシステムです。どちらも導入するのにそれほど大金は必要ないので、コストパフォーマンスの高い空室対策だと思います。
(番外編)そもそも入居者を退去させない
最後に番外編として「そもそも論」になりますが、ここまでは新規入居者をいかに獲得するかという視点の空室対策でした。しかしそれよりも重要な空室対策として軽視できないのが、既存の入居者を退去させない施策です。賃貸住宅を退去して同じような物件に引っ越す人がいますが、こうした人たちが引越をするのは、それまで住んでいた賃貸住宅に不満があったからです。こうした退去が発生した時は、言わば他の大家さんに顧客を奪われたのと同じです。
入居者の満足度を高めることで退去を防ぐことができれば、そもそも入居者を募集する必要がないのですから、究極の空室対策と言えるでしょう。
そのためにできることとしては、要望やクレームへの迅速かつ的確な対応、壊れたり汚れたりしている箇所はこまめに修繕、メンテナンスをするという具合です。どれも特別なことではなく、数ある賃貸住宅の中から自分の物件に住んでくれている人へのサービスだと考えれば、自然にできることばかりです。
こうした業務を管理会社に委託しているのが普通ですが、管理会社が適切に動いてくれていないのであれば、しっかりクレームをつけて改善されないようであれば管理会社の変更も視野に入れましょう。
物件選びの段階からやっておきたい空室対策
この記事ではすでに収益物件をお持ちの大家さん向けに空室対策を解説していますが、本来は物件を購入する前の選んでいる段階から空室対策を意識するのが最も確実です。ここでは、物件選びの段階から意識しておきたい空室対策について解説します。
大都市圏の交通アクセスが良好な場所を選ぶ
賃貸住宅の需要がないところでどれだけ魅力的な物件づくりをしても、それは魚のいないところで釣り糸を垂れているようなものです。大都市圏の交通アクセスが良好な場所を選ぶのは不動産投資の基本中の基本ですが、その基本に忠実な物件選びをしましょう。
こうした条件の良い収益物件は、賃貸経営だけでなく売却時にも有利な価格がつきやすいので、絶対に忘れてはいけない視点です。
相続などで自動的に不動産オーナーになったのであれば選ぶ余地がありませんが、自らの意思で大家さんになる方には、物件を選ぶという大きな権限があります。その権限をフルにいかして、納得のいく物件だけを購入するようにしましょう。
ファミリータイプではなく、単身者向け物件
マンション物件には、ファミリータイプと単身者向け(つまりワンルームマンション)という分類があります。このどちらを買うべきかと聞かれたら、筆者は迷わず後者の単身者向けと答えます。その理由は、人口構成の変化にあります。
日本は人口減少時代を迎えているというのはよく知られていますが、その原因のひとつに晩婚化、非婚化があります。つまり大人になっても結婚しない、もしくは結婚するとしても年齢が高くなってからという人が多くなっているわけです。そんな時代に最も需要が高くなるのは、都市部であれば言うまでもなく単身者向けのマンション物件です。
こうした人口構造の変化に的確に対応することが、集客力の高い賃貸経営につながります。
単身者の中でも若い人が集まるエリアがねらい目
集客力の高い単身者向けのマンション物件を選ぶべきと述べましたが、それをさらに補足すると、若い人が集まるようなエリアにあるワンルームマンションがさらにねらい目となります。
ワンルームマンション需要は若い人を中心に高くなっていることが最大の理由ですが、若い人が集まるようなエリアは常に変化しているため、すでに物件価格が高止まりしているエリア以外にも意外なお宝エリアを見つけることが比較的簡単です。
例えば東京であれば渋谷や恵比寿、中目黒などのエリアは若い人の賃貸需要が高いですが、人気エリアだけに物件価格も高止まりしています。その一方で中央線沿線の東中野や西荻窪など、その後から人気が高まってきたエリアなどは前者のエリアほど物件価格が高くないので、ある程度の利回りを確保しやすいのではないかと思います。
これと同様に、大阪では人気エリアとなっていて物件価格が高い福島や心斎橋よりも、最近になって人気が高まってきている裏難波や裏天満と呼ばれるエリアの周辺が狙い目といった具合です。
古い物件はリノベーション
築古の物件は格安で買える上に立地条件に恵まれていることが多く、「見た目に古く見える」という問題さえクリアすれば優良物件になる可能性を秘めている物件がたくさんあります。
そこで、敢えて築古の物件を仕入れてリノベーションをして貸し出している大家さんがいます。入居者の中にもそういったデザイナーズ物件を好む人が結構いるので、そういった人たちのニーズを拾うという意味で有効な空室対策になると思います。
インターネットと防犯システムは確保しておこう
すでに何度が述べてきている通り、無料インターネットと防犯システムは賃貸住宅の人気設備で常に上位です。それだけ入居者から求められている設備なので、物件選びをする際には最初からこれらの設備が充実しているものを選ぶのが無難です。すでに何年間もこの2つは人気上位の常連となっているので、今後もそれはあまり変わらないと思います。
まとめ
空室に悩む大家さんに向けて、今すぐできる空室対策を解説してきました。最後にはこれから物件を購入する方にも向けて空室対策を意識した物件選びを解説してきました。いずれも実践できることばかりなので、まずは何か行動を起こしてみてください。