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不動産投資で計上できる経費とは?確定申告完全ガイド

By Oh!Ya編集部

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不動産投資で計上できる経費とは?確定申告完全ガイド

企業に勤めている場合は、税金にまつわる処理を会社が引き受けてくれます。そのため不動産運用をスタートした投資家が、確定申告に馴染みがない場合も少なくありません。しかし利益をあげていれば納税の義務があるため、多くの不動産投資家は税金に対する理解が不可欠です。

そこで今回は不動産投資家がおさえるべき経費や節税の知識と、確定申告の負担を減らしてくれるサービスをご紹介します。

目次

確定申告の基礎知識を徹底解説

確定申告では、総収入から経費を差し引いた年間所得を算出し、税務署へと申告・納税します。このように確定申告はプロセスこそ単純なものの、正しく手続きを完了させるためには十分な知識が必要です。

この項では確定申告の基礎といえる「白色申告と青色申告の違い」や、不動産投資家が知っておくべき「経費の種類」についてご説明します。

白色申告と青色申告の違いとは?

確定申告といえば「白色申告」と「青色申告」という言葉を思い浮かべますが、具体的にどのような違いがあるのか細部まで覚えるのは難しいものです。しかし、不動産所得で獲得した収入を効率的に管理するのであれば、これら2つの違いを学ぶ必要があります。

そこで、それぞれの申告方法がもつ特徴をピックアップ。この項では、要点と注意すべきポイントを整理しつつご紹介します。

白色申告の特徴とは

不動産投資家としての開業時、税務署へ青色申告の申請をしない場合は「白色申告」となります。メリットは事前の申請が必要ないこと、および複式簿記ではないため記帳が簡単という2点。このように確定申告までの準備が簡単だということが、白色申告が青色申告より優れているポイントです。

しかし、次の項で解説する青色申告でのみ受けられる特別控除や、赤字損失の繰り越しには対応していません。そのため、不動産投資の開始当初は白色申告を利用していたとしても、事業を拡大していくなかで青色申告への移行を検討する必要があります。

青色申告の特徴とは

不動産所得や事業所得または山林所得があり、所轄の税務署へ「青色申告承認申請書」を提出している場合は「青色申告」が利用できます。青色申告を活用するには規定された条件が必要になるものの、白色申告では受けられない特典もあり、節税効果を最大化するうえで最適な申告方法です。

では、具体的にどのような特徴があるのか、青色申告がもつメリットやデメリットをご紹介します。

青色申告特別控除が受けられる

まず、青色申告のメリットとして挙げられるのが「青色申告特別控除」です。これは事業所得額を最大65万円まで控除できるという制度で、白色申告の場合に比べて納める所得税額を圧縮することが可能となります。

ただし不動産投資家が65万円の控除を受けるためには、以下の条件を満たさなければいけません。

  • 不動産投資が事業規模でおこなわれていること (個室賃貸を10室以上または独立家屋を5棟以上ほど所有している状態)
  • 発生主義にもとづいて仕訳をおこなっていること (現金の収支にかかわらず、収支の必要性が生じた時点で会計処理を完了すること)
  • 複式簿記により記帳されていること

これらを満たし申告期間内に確定申告を完了することで、不動産投資家は65万円の特別控除が認められます。一方、これらの条件を1つでも満たせない場合、10万円の特別控除しか認められません。

なお、すべての条件を満たしつつも不動産所得が65万円以下だった場合、控除額は実際の所得額が上限となります。

赤字損失の繰り越しが可能

青色申告では、白色申告では対応できない「赤字損失の繰り越し」が可能です。不動産投資では、修繕や改装で収支がマイナスとなったり、入居者が決まらず赤字を計上したりという可能性があります。

こういった赤字損失を、翌年・翌々年度に申告する利益から差し引くことで、納める税金を減らすことが可能です。

専従者への給与支払いが経費になる

白色申告では、専従者への給与が控除対象になるものの、経費にすることはできません。しかし青色申告を利用することで、青色事業専従者への給与を経費として計上することが認められます。 白色申告では配偶者が86万円、配偶者以外は1人につき50万円が控除上限ですが、青色申告はこの上限を考慮せず経費として計上可能です。そのため控除額を超える給与を支払う場合は、青色申告の方が納税額の圧縮に有利だといえます。

青色申告のデメリットは手間の多さ

納税というポイントに関して有利な青色申告は、65万円の控除のため記載項目が多い複式簿記をおこなう必要があります。また事前に税務署への申告が必要なことから、時間と手間が求められる点がデメリットです。

どのような出費が経費になるのか

高層ビル

経費として計上する金額が大きいほど、申告する年間所得は小さくなります。そのため多くの資産を手元に残すためには、不動産投資事業の収入を伸ばすほか、経費となる出費を理解して納税額を圧縮することが重要です。

経費として処理できる出費は多く覚えるまでに時間が必要ですが、理解を深めることで投資家の財務状況にプラスをもたらすため、確定申告に向けて何度も確認しておくべき項目といえます。

不動産投資で発生する各種税金

不動産投資の購入や所有により発生する税金は、必要経費として申告できる出費です。経費として計上することになる主な税金は以下の通り。

・固定資産税 ・都市計画税 ・登録免許税 ・不動産取得税 ・印紙税

一方で、所得税や住民税など事業に直結していないものは、必要経費として申告できないので注意してください。

減価償却費

不動産投資の経費として大きな割合を占めるのが「減価償却費」です。減価償却は高額かつ長期的に利用する資産が対象となっており、投資物件もその内の1つ。

このような資産は、減価償却費として「購入費用を規定された期間で分割した金額」が経費としてあつかわれ、実際には出費が発生しない翌年以降も所得圧縮の経費として計上できます。

この際、規定された期間というのは投資物件の建材によって異なり、それぞれの期間は以下が適用されます。

木造(W造) ・耐用年数(22年)

昔ながらの建築に見られる「木造」の物件は、耐用年数が22年に設定されています。例外として、木骨モルタル造に分類される物件は耐用年数が20年とされていますが、ごく少数であるため木造物件のほとんどは耐用年数が22年と考えて良いでしょう。

鉄骨造(S造) ・耐用年数(19~34年)

「鉄骨造」の場合は建材の厚みによって対応年数が変化します。厚さ3ミリ以下の鉄骨造は耐用年数が19年、厚さ3ミリ超~4ミリ以下の鉄骨造は耐用年数27年。そして4ミリを超える厚さであれば耐用年数は34年となります。

鉄筋コンクリート造(RC造) ・耐用年数(47年)

鉄線を埋め込んでコンクリートを補強した「鉄筋コンクリート造」は、非常に強固であり耐用年数が47年と長く設定されています。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) ・耐用年数(47年)

「鉄骨鉄筋コンクリート造」は、鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた最大の強度をもつ建材です。大型マンションやビルなどにもちいられるため、個人投資家の対象とする物件に利用されるケースは少ないといえます。

なお、これらは新築物件に適用される年数であり、中古物件の場合は築年数を考慮して「簡便法」という計算方法を利用し、残りの耐用年数や耐用年数を超過した期間を基準に減価償却費を算出します。

損害保険料

投資物件を災害から守る「火災・地震保険料」などは、経費として申告できる出費です。ただし、複数年にわたる保険に加入した場合であっても、毎年の経費として計上できるのは申告年度の保険料のみ。

そのため、複数年のあいだ適用される保険を一括払いし、加入年に大きく節税するという方法は使えません。

管理費

清掃や共有部分の維持など、投資物件の管理をおこなう会社への出費を「管理費」と呼びます。自主管理の場合には発生しない費用となりますが、不動産の管理は労力やノウハウが必要となるため、専門家に任せた方が手間・時間といった面で負担が少ないです。

修繕積立金

「修繕積立金」は実際の出費として認められないため、基本的には経費として計上できません。しかし区分マンションに限り、修繕積立金の名目で「管理組合への支払い」が発生するため、この場合に限り必要経費としての申告が可能です。

区分マンションにおける修繕積立金は、原則として「投資物件の修繕が完了した年度」の経費となりますが、以下の規定条件を満たすことで「出費が生じた年度」に申告できます。

  • 管理組合へ修繕積立金の支払い義務があること
  • 修繕積立金に関して、管理組合が区分所有者への返還義務をもたないこと
  • 修繕積立金が物件の修繕以外に利用されるものではないこと
  • 修繕積立金が長期修繕計画にもとづいた合理的な金額であること
    (出典:国税庁「賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い」を抜粋・改編)

修繕費(現状回復費)

投資物件を維持するための出費は、「修繕費(原状回復費)」として申告できます。

しかし、このときに原状回復以上の改装を施してしまうと、修繕費ではなく「資本的支出」として判断されてしまいます。例を挙げると、非常階段などを付け加えて物件の価値自体を増加させるものや、エアコンやトイレなどの設備を通常よりも高性能なものへ交換する場合です。

ただし、出費が20万円未満または3年以内の期間を周期とする修繕・改装であれば、先述したものも修繕費として申告することが可能。また、このような基準をもちいて区別できないものについて、個人投資家は以下のような規定を満たした場合に修繕費としての申告が認められます。

・出費が60万円未満または、対象にかかる出費が前年度終了時における所得価格の10%以下程度である場合。 ・災害により破損した投資物件が、現状を回復するために必要な出費。

法人であれば追加条件としてさらに多くの項目が適用されますが、個人投資家がおさえるべきポイントはこれら2つです。

修繕費であれば確定申告時に経費として全額計上できますが、資本的支出の場合は対象の耐用年数に応じて減価償却費として処理されます。

借入金利

投資物件の購入時に融資による借入を利用した場合、元本部分の返済は経費として処理できませんが、借入によって発生した金利は経費として計上することが可能です。

交通費

投資物件への訪問や不動産会社・売買相手との打ち合わせなど、不動産投資事業に関係する際に必要となる「交通費」は経費として計上できます。

管理会社への業務委託料

入居者募集や運用を管理会社に依頼したとき発生する「業務委託料」は、確定申告の際に必要経費として計上できます。管理会社は、家賃の集金や入居者同士のトラブルに対応してくれるため、時間のない不動産投資家が代行を依頼するケースは多いです。

現段階では利用を検討していない場合でも、いずれ活用する可能性のあると覚えておいて損はありません。

接待交際費

「接待交際費」は、不動産投資の事業において必要な取引先との飲食代、お中元やお歳暮への出費を指します。

もっとも不正を働きやすい項目であるため、領収書はもちろん取引相手の名前や日時まで記録しておくことが重要。税務署の調査に対して業務上の必要性が証明できるよう、注意を向けるべき経費といえます。

投資家が確定申告を求められるケースとは?

パソコン

確定申告が必要になる条件には以下のような規定があります。

・給与収入が年間2,000万円以上 ・副業による所得が年間20万円以上 ・個人事業主としての事業所得が年間38万円以上

そのため、兼業投資家として不動産投資で20万円以上、専業投資家として38万円以上の年間所得がある場合は確定申告の義務が発生します。

この項では赤字経営の場合や、義務を無視して確定申告をさけた場合のペナルティを解説。おさえておくべき確定申告のポイントをご紹介します。

不動産投資における確定申告とは?

不動産投資家が確定申告をおこなうとき、「総収入金額」から「必要経費」を引き算した「不動産所得」がポイントとなります。なぜなら、不動産投資家の出費となる「所得税」は、不動産所得の金額に比例して高くなるからです。

そのため、不動産投資家として金銭管理を考えるにあたり、経費を理解して余分な納税を防ぐことが重要だとされています。

赤字経営でも申告しなければいけない?

確定申告が義務付けられる条件は「副業による所得が年間20万円以上」、または「個人事業主としての事業所得が年間38万円以上」であるため、赤字経営であれば確定申告は不要です。

しかし、不動産投資でマイナスを計上した場合には確定申告により「税金の還付」がおこなわれます。さらに、青色申告の場合には赤字損失の繰り越しが可能であるため、赤字経営での申告はマイナスに作用するわけではありません。そのため、所得が赤字で確定申告の義務が発生していない状態でも、確定申告は毎回おこなうことをおすすめします。

確定申告をしない・申告ミスによるペナルティ

確定申告には申告期間があり、1年間の所得を翌年の2月16日~3月15日までに申告しなければなりません。

確定申告の義務がありながら無視した場合や、正確に申告できなかった場合にはペナルティが発生します。この項では「確定申告漏れ」として扱われるいくつかの例を紹介し、どのようなペナルティが課せられるのかピックアップしました。

確定申告を指定期限内にしなかった場合

何らかの理由により、申告期間に確定申告書を提出しなかった場合には、ペナルティとして「無申告加算税」が課せられます。

無申告加算税として生じる金額の割合は、納付義務のある税額に対して50万円までは15%、税額が50万円以上の場合には20%という規定です。しかし例外として、税務署の調査で未納が発覚するまえに自主申告することで、「期限後申告」という扱いになり税額に対する割合が5%に軽減されます。

したがって、確定申告を忘れていることに気付いた場合には、可能な限り早い段階で自主申告することが重要です。

また、原則として支払いの割合が固定されている無申告加算税と異なり、申告しなかった期間で税額が変動する「延滞税」も発生します。延滞税の計算はやや複雑であるため、税額の計算には国税庁のサイト内にある「延滞税の計算方法」から、対象年度のシミュレーションを利用する方法がスムーズ。

もちろん、これらは不動産投資により発生した各年の利益を、指定期間内に確定申告を完了していれば利用することはありません。しかし、万が一確定申告を忘れていた場合でも冷静な対処ができるよう、こういった補助ツールがあると覚えておくことをおすすめします。

必要とされる納税額より申告額が少ない場合

申請期間内に確定申告を終えたものの、税務署から申告額が少ないと指摘された場合に課せられる加算税を「過少申告加算税」と呼びます。

これは無申告加算税と異なり、納めた税額が少ない場合に必ず発生するものではありません。税務調査の通知前に限り、修正申告することで税金が課せられない取決めです。通知以降の処理に関しては「更生の予知」前後がポイントとなっており、更生の予知前であれば本来の税額に5%、更生の予知後は10%の増額がペナルティとして課せられます。

ここで使用される「更生の予知」とは、納税者が何らかの形で「課税庁が申告書に誤りを発見したこと」を察知している状況です。たとえば確定申告に関して調査があると通達され、その理由が申告書の誤りにあると察知してから修正申告をおこなった場合は、更生の予知後に再申告したとしてあつかわれるケース*¹があります。

*¹(出典:国税不服審判所「更正の予知」)

納税義務を無視して脱税した場合

必要な納付額を偽装・隠ぺいした場合、悪質な問題としてあつかわれ「重加算税」が課せられます。重加算税は先述した加算税の代わりとして、無申告の場合には納付義務のある税額に対して40%、過少申告の場合には35%の増額が適用されます。

さらに直近5年以内に、無申告加算税または重加算税を課せられた経歴がある場合、先ほどの増額率より10%多い税額を収めなければなりません。そのため無申告の場合には50%、過少申告の場合には45%の重加算税が課せられることとなっています。

不動産投資における確定申告のプロセス

ビル

確定申告のプロセスは複雑ではないものの、準備すべき書類が多いため慣れるまでの期間は労力がかかる作業だといえます。多方面から必要書類を取り寄せることになるので、あらかじめ早い段階で準備を始め余裕をもって確定申告に臨める状態が理想です。

この項では、必要書類の準備・作成を無駄なく進められるよう、確定申告に必要なポイントを不足なく解説します。

確定申告に必要な書類を準備

確定申告の際に、不動産投資家が用意すべき書類は以下の通りです。なお、国税庁から取得する確定申告書B以外の書類は、白色申告であれば「不動産収支内訳書」、青色申告であれば「所得税青色申告決算書」のみを利用します。

勤務先から取得する書類

・源泉徴収票

国税庁ホームページから取得する書類

・不動産収支内訳書(白色申告の場合) ・所得税青色申告決算書(青色申告の場合) ・確定申告書B

不動産会社から取得する書類

・不動産売買契約書 ・譲渡対価証明書 ・家賃送金明細書 ・賃貸借契約書 ・売渡精算書

融資利用先から取得する書類

・融資返済の予定表

保険会社から取得する書類

・投資物件にかけた保険の証券・領収書

各自治体から送付される書類

・不動産取得税や固定資産税など、不動産投資にかかわる税金の納付通知書

その他

その他、不動産投資の経費として計上する出費は、金額が確認できる領収書や通帳履歴などを提示できる形にして準備してください。

以上の書類を準備し、確定申告に必要な書類を作成することとなります。申告期間の直前にこれらを準備することは大変であるため、計画を立てて早い段階で書類作成に取り掛かることをおすすめします。

収支内訳書・青色申告決算書を作成

白色申告を利用する不動産投資家は、確定申告の際に求められる「収支内訳書」の作成が必要です。

収支内訳書には一般用と農業所得用、くわえて不動産所得用があるので、不動産投資家であれば不動産所得用のフォーマットで作成を進めていきます。それぞれ賃料や礼金による収入を記入する欄や、減価償却費や修繕金などの必要経費を記入する欄が用意されており、それぞれ指示通りに数字を記入してください。

なお、収入の欄に敷金を記入する項目はありませんが、これは敷金が収入ではなく預かった金銭であるためです。居住者の退去まで手元にあり収入だと勘違いしやすいですが、誤って記入しないよう注意しましょう。

一方、青色申告が必要な不動産投資家は、確定申告の際に「青色申告決算書」が必要です。これは、不動産収支内訳書に「賃借対照表」が追加された形式になっており、白色申告に比べて記入する項目が多く用意されています。

確定申告書Bを作成して税務署へ提出

確定申告書にはAとBがありますが、不動産投資家が利用する形式は「確定申告書B」です。

確定申告書Bの作成に関しては、国税庁ホームページにある「確定申告書の記載例」の「確定申告書Bを使用する場合」にて正確な説明が記載されています。年度別に記載例が用意されているため、確定申告書を用意する年度に合わせて最新のものをチェックしてください。

基本的には、白色申告の場合「収支内訳書+確定申告書B」、青色申告の場合は「青色申告決算書+確定申告書B」を所轄の税務署へ提出すれば完了です。

税金の納めて還付金を受けとる

確定申告で提出した申告額は、基本的に銀行や郵便局を利用して納付することとなります。それ以外の納付手段は事前手続きが必要なものがあるため、以下を参考に納付方法を比較してみてください。

振替納税制度を利用した納税方法

振替納税制度は、税金の納期限までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出しておくことで利用できる制度です。これを利用すれば該当施設におもむく必要がなくなり、納税を完了する手間が短縮できます。

なお、引越しなどによって所轄の税務署が変更される場合、記載内容を改めた依頼書の再提出が必要。納期限までに提出できなければ振替納税制度が適用されないため、変更手続きが必要な場合は速やかに申請することをおすすめします。

e-Taxを利用した納税方法

「e-Tax」は、オンライン上で確定申告を完了させられるサービスです。先述した収支内訳書や青色申告決算書、確定申告書Bにも対応しており、その他にも幅広い範囲の申告・納税に対応しています。

e-Taxを利用するための手順として、事前に「電子証明書」を発行しなければなりません。この電子証明書は「公的個人認証サービス」など、特定の認証機関に依頼することで発行されます。

認定機関は複数存在しているものの、先ほど紹介した公的個人認証サービス以外は、法人や税理士など一般の個人意外を対象にしたものが多いです。

個人利用者は、以下の電子証明書に限り利用可能だと定められているため、電子証明書作成時には注意が必要です。

個人の方が利用可能な電子証明書には、以下のものがあります。
・地方公共団体情報システム機構が発行し、市区町村が交付する電子証明書
・その他民間認証局等が発行する電子証明書
(引用:e-Tax よくある質問「個人が利用可能な電子証明書には何がありますか。」)

電子証明書を取得したのちに、オンラインまたは書面で所轄の税務署へ「開始届出書」提出することで、「利用者識別番号」などの必要通知書が発行されます。このとき開始届出書の提出方法によって発行媒体が変わり、オンラインで提出した場合にはオンラインで通知が発行され、書面で提出した場合には書面で送付される仕組みです。

その後、確定申告時には「e-Taxソフト」を使用し、確定申告に必要なデータを作成。開始届出書の提出時に受け取った利用者識別番号を入力し、e-Taxのサービス上からデータを送信すれば完了です。

なお、e-Taxソフトはダウンロードコーナーにて無料で配布されており「e-Tax ソフト操作マニュアル」にて基本操作が解説されています。

※電子証明書の読み取りには、以下の機器が必要となる点にご注意ください。 ・インターネットが利用できるパソコン ・ICカードリーダライタ(電子証明書別の対応機器リンク) ・リーダライタモードに対応したスマートフォン(平成30年8月時点の対応機種一覧

ATM・ネットバンキングを利用した納税方法

公共料金や請求書の支払いに利用できる「ペイジー(Pay-easy)」は、税金の納付にも対応している便利なサービスです。ペイジーを利用した納税の際には、まずe-Taxへ納付情報を送信して納付区分番号を取得する必要があります。

その後、指定された金融機関のATM、またはインターネットバンキングへアクセス。収納機関番号や納付区分番号を入力することで納付が完了します。

ペイジーの広報ページにて公式案内へのリンクが用意されているため、納税の際には年度に応じた最新版を参考に手続きを進めてください。

クレジットカードを利用した納税方法

クレジットカードカードで納税するためには、国税庁長官が指定した「国税クレジットカードお支払サイト」を利用します。手続き自体は、利用者情報や納付税目を入力し、最後にクレジットカード情報を記入する簡単な仕組み。

ただし、納付する税額に応じて決済手数料が発生するため、その点のみ注意が必要です。国税庁には「手続きのマニュアル」も用意されており、クレジットカードさえ所有していれば誰でも手軽に利用できる制度といえます。

コンビニを利用した納税方法

コンビニを利用した納税には、税務署で発行されるバーコード付き納付書が必要です。なお、この方法が利用できるのは「納付額が30万円以下」の場合に限ります。

また、実際にコンビニへ足を運ぶ必要があるため、場合によっては手間と時間がかかる納税方法といえるでしょう。対象店舗は多くあり、全国展開しているコンビニは高確率で利用できます。

国税庁ホームページから対象店舗が確認できるため、懸念が残る場合は事前に確認しましょう。

確定申告をサポートしてくれるサービス

専門家

不動産投資家のなかには、確定申告の準備にあてる時間が取れない方もいるはずです。そのような場合には、確定申告をサポートするサービスの利用をおすすめします。有力候補として挙げられるのは「確定申告ソフト」と「税理士への依頼」です。

この項ではそれぞれの特徴を整理して、おすすめのサービスをご紹介します。

確定申告ソフトを利用する

「確定申告ソフト」は、事業主の確定申告を効率化するためのサービスです。利用料が必要であるものの帳簿作成が大幅に簡略化され、1人では解決できない問題は電話やチャットによるサービスで対応してくれます。

主流となっているクラウドタイプのソフトであれば、税制の変更へすぐに対応できる点もメリット。各種無料期間が設けられているので、気になるソフトから気軽に試用できます。

この項では、多くの人気・高評価を集める確定申告ソフトをピックアップしました。

おすすめの確定申告ソフト

「MFクラウド確定申告」 MFクラウド

「MFクラウド確定申告」は、サポート体制が充実したクラウドタイプの確定申告ソフトです。登録した金融機関やクレジットカードからデータを自動取得し、確定申告に必要な処理を効率化してくれます。

契約プランによってはチャットや電話による対応も受け付けており、確定申告のサポート体制は万全。また、スマートフォン専用のアプリも用意されおり、デバイスを問わずキャッシュフローや収益の分析が可能です。

そして確定申告時には、多くの手間と時間を要する「確定申告書B」や「青色申告決算書」を自動生成。e-Taxにも対応しており、不動産投資家の確定申告を効率的にサポートします。

「やよいの青色申告・白色申告シリーズ」 やよい確定申告ソフト

「やよいの青色申告・白色申告シリーズ」は他ソフトに比べて後発であるものの、使いやすさと領収書管理の手軽さでシェアを伸ばすクラウドタイプの確定申告ソフト。確定申告になれておらず、パソコン操作に不安があるユーザーに寄り添ったサービスが特徴です。

契約プランに合わせて提供されるサービスのなかには、チャットや電話を利用したサポートのほか、ユーザーのパソコンと画面を共有して、同一の画面を確認しつつ操作できる体制が整っています。

また、ユーザーが多忙になる時期には各サポートの対応時間を延長し、なかなか時間を用意できない場合でも万全のサポート体制を提供。こういった、ユーザー目線を追求したサービスが特徴です。

「freee(フリー)」 freee

「freee(フリー)」は、質問に答えるステップ方式で書類作成が可能なクラウドタイプの確定申告ソフトです。他ソフトと同様に銀行口座やクレジットカードと連携し、自動で帳簿付けを進めてくれます。

青色申告・白色申告に対応しており、ふるさと納税や国民年金の控除情報も入力可能。効率よくすべてのデータを処理でき、確定申告の必要書類をスムーズ作成できます。

もちろん電話やチャットによるサポート体制があり、デバイス1つで解決が難しい問題を解消することが可能です。

税理士に確定申告の代行を依頼する

確定申告ソフトは、確定申告を効率よくサポートしてくれるものですが、最低限の知識や入力のための手作業が必要です。そういった作業を省略したいと感じる場合、より手厚く確定申告をサポートしてくれる「税理士への依頼」が候補として挙げられます。

しかし、これまで確定申告をおこなった経験がなければ、税理士がどのようにサポートしてくれるのか分からない場合も多々。この項では、税理士に確定申告の代行を依頼するメリット・デメリットをご紹介します。

税理士に依頼するメリット・デメリット

税理士は、税制に対する理解が深く帳簿作成の専門家であるため、記入漏れのない正しい情報を記載した必要書類を作成してくれます。時間が取られる領収書の整理も代行してくれる点は、時間のない不動産投資家にとって非常に心強いです。

また、分類が難しい経費の種類についての質問ができるため、インターネットでは確証が得られない情報を教えてもらえることもメリット。独学では分からない節税対策が聞ける可能性もあり、納税に関して有利な情報を獲得できる点も魅力だといえます。

一方、税理士に依頼するデメリットは、必要な費用が確定申告ソフトより高額な点です。そのため正確な帳簿作成が約束され、専門家目線で情報を得られることに魅力を感じない場合は、自力で確定申告を進める方法が向いているといえるでしょう。

税理士を無料で探せるサイト

税理士への依頼は有料であるものの、無料サイトで税理士を検索する段階では費用が発生しません。税理士の利用を迷っている場合は、税理士の紹介サイトで情報を確認して検討する方法がおすすめです。

以下に無料で利用できる税理士紹介サイトをピックアップしたので、それぞれのサイトから用途に応じた条件で検索してみてください。

「税理士紹介ニコニコ堂」 税理士紹介ニコニコ堂

税理士紹介ニコニコ堂では、税務調査の対策に詳しい税理士が紹介されており、予算や業種など複数の条件をもとに最適な税理士を選定してくれます。複数名を紹介してもらうことも可能で、税理士との面談はもちろん無料です。

いきなり面談に臨むことへ抵抗がある場合は、電話で事前に話すこともできるため安心。長期間の契約であれば人柄も重要になるため、早い段階で相性の良し悪しを判断できる点はメリットです。

紹介された税理士と相性が合わないと感じた場合には、紹介担当者を通じて間接的に断ることも可能。ユーザー目線が徹底されており、気軽に利用できる紹介サービスです。

「税理士ドットコム」 税理士ドットコム

税理士ドットコムでは、確定申告や資金繰りなどさまざまな分野に長けた税理士が登録されており、ユーザーの業種や対応日時・場所などから税理士を選定してくれます。紹介人数に制限はなく利用は完全無料、さらに最短で当日の紹介が可能です。

税理士紹介サービスとして10年以上続いており、豊富な実績と経験から的確なマッチングが期待できます。予算の引き下げに関しても積極的な姿勢で、複数の税理士に見積もりを依頼して費用交渉までサポート。

紹介された税理士が条件に合わない場合は、紹介担当者を通じて断ることが可能です。

「タックスナイト」 タックスナイト

タックスナイトは、希望の業種に特化した税理士の紹介をはじめ、アフターフォローまでユーザーに寄り添った内容のサービスが強みです。たとえば、無料で税理士を紹介してもらったものの、連絡がとれなかったり当初の契約内容の異なったり、予期できなかった理由で変更を強いられる場合に税理士を再提案してくれます。

365日営業しており、いつでも電話で要望に答えてくれる体制も安心できるポイントです。

まとめ

建物

今回は、不動産投資における確定申告の基礎知識についてご説明しました。難しい部分もあるため何度か読み返す必要がありますが、確定申告による節税は投資家の資産を守るうえで重要です。

1人で解決することが難しい場合には「確定申告ソフト」や「税理士」のサポートを受けつつ、申告期間内に正確に申告しましょう。そして、万が一申告ミスが発覚した場合は早い段階で対処できるよう、それぞれのケースに応じた対応を覚えておいてください。

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