ソーシャルレンディングの税金を可能な限り安くするノウハウ集
By Oh!Ya編集部
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高利回りが魅力のソーシャルレンディング投資をお考えの方で、税金周りのことはどうなっているのかと疑問をお持ちではないでしょうか。新しく出てきた投資商品だけに税金のことがよく分からないという方も多いと思います。
税金のことだけに申告漏れなどでペナルティを食らうのは本意ではないものの、どうにかして税負担を軽くしたいというのは共通する思いでしょう。そこで、ソーシャルレンディングと税金の関係について解説します。
目次
ソーシャルレンディングと税金の基本
ソーシャルレンディング投資をする目的は、分配金という現金収入です。収入が発生するということは税金との関わりが生じるわけですが、ソーシャルレンディング投資で税金はどのように取り扱われているのでしょうか。
ソーシャルレンディングの利益は雑所得になる
ソーシャルレンディングで得られる収入は、分配金です。出資者がソーシャルレンディングに投資をしたお金を元手に事業者が運用をした結果、発生した収益が出資者に分配されます。
こうして支払われたソーシャルレンディングの分配金は税務上、雑所得として取り扱われます。所得にはさまざまな種類があって、例えば給料は給与所得、自営業者が事業によって得られた収入は事業所得といったように、所得にはそれぞれどのようにして得たかによって名前がついています。雑所得というのはこれらのどれにも該当しない、言わば分類不能の所得ということになります。
雑所得という名前になっていることから、ソーシャルレンディングの分配金も立派な所得の一部です。
ソーシャルレンディングの税金は総合課税
もうひとつ、ソーシャルレンディングの税金の取り扱いについて知っておきたいのは、ソーシャルレンディングの分配金は総合課税のカテゴリーに属するということです。
総合課税とは、他の給与所得や事業所得などと合算をして総所得を計算し、それに対して所得税額が計算される税金のことです。サラリーマンの方であれば給与所得があるはずなので、ソーシャルレンディングの分配金はそれと同じカテゴリーの所得なので合算して総所得に対して課税されます。
総合課税と分離課税の違い
総合課税ともうひとつ、税金の課税方式には分離課税があります。分離課税の中には申告分離課税と源泉分離課税という分類がありますが、この両者はどうやって納税するかによる違いで、分離課税であることは同じです。
分離課税はそれぞれの所得を個別に計算して課税される仕組みになっているので、ある事業では黒字、ある投資では赤字といったように損益を通算することはできません。あくまでもそれぞれの税金を個別に計算します。
分離課税に属するのは金融資産の譲渡所得(株や土地の売却益など)や退職金などです。詳しい解説は割愛しますが、ソーシャルレンディングの分配金はこの分離課税ではなく雑所得として総合課税に属していることを理解していただければOKです。
ソーシャルレンディング分配金の税率は20.42%
ソーシャルレンディングの分配金にはどれくらいの税率が適用されているのか、ご存じでしょうか。投資関連で得た利益の税率は20%なので、その20%に「復興特別所得税」の0.42%が加えられて、合計20.42%となります。
この数字を見て、結構高いとお感じになった方が大半だと思います。消費税率は引き上げられたとしても10%なので、その倍以上です。やはり投資で得た利益という不労所得からは高い税金を取ろうという思惑なのでしょうか。
多くの方が意外に高い税率だと感じたと思いますので、この記事ではソーシャルレンディングの税金を納めなくても良いケースや、税金を少しでも安くする方法を解説していきたいと思います。
ソーシャルレンディングの税金はいつ、どうやって納める?
納税というと確定申告をして、それをもとに届いた納付書によって納めるというイメージがありますが、ソーシャルレンディングの税金はそうではなく天引きによって納税する仕組みになっています。
つまり、ソーシャルレンディングの分配金が支払われた時点で、すでに税金が天引きされているということです。その税額で変わりないのであれば、そのまま申告せず放置していて問題ありません。
ただ、高額医療費が発生した場合など税金の還付を受ける場合は、ソーシャルレンディングの分配金にかけられた税金も一部還付されることになるので、その場合は確定申告が必要になります。
税金の納め方と確定申告についての詳細
ここまで解説してきたソーシャルレンディングの税金に関する基本や、申告漏れを指摘された時のペナルティなどについては、以下の記事に詳しい解説があります。この記事は税金を納めなくても良いケースや安くする方法などを解説していきますので、概要や基本については以下の記事をご参照ください。
・ソーシャルレンディングにおける税金の全て!課税方式や確定申告を解説
ソーシャルレンディングで税金を納めなくても良い4つのケース
それでは、まずはソーシャルレンディングの税金を納めなくても良いケースを4つに分類して解説します。これらに該当する方は、ソーシャルレンディングで分配金が発生しても納税の義務はありません。
年収2,000万円以下+ソーシャルレンディング収益が年間20万円以下
サラリーマンや公務員など1か所のみから給料を得ており、その年間合計額が2,000万円以下の方であれば、ソーシャルレンディングの分配金の合計が20万円を超えない限り税金は発生しません。
年末調整をしていない収入がある+ソーシャルレンディングの利益が年間20万円以下
次は、本業の他に社外取締役になっているなど2か所以上から給料や報酬を得ている人の場合です。この場合も年間の合計収入が2,000万円以下であり、本業の年末調整とは別のもうひとつの収入とソーシャルレンディングの収入が合計20万円以下であれば、こちらも税金とは無縁です。
ただし、年末調整をしていないほうの収入を足しても年間20万円以下というのはなかなか難しいかも知れません。
公的年金の年間収入400万円以下+ソーシャルレンディングの利益が年間20万円以下
すでにリタイアをして年金暮らしをしている人の場合、公的年金による年間の収入額が400万円以下で、なおかつソーシャルレンディングによる収入が年間20万円以下であれば申告の義務はなく、税金は発生しません。
すべての年間収入の合計が38万円以下
4つ目のケースは、給料や年金、ソーシャルレンディングなどすべての収入を合算して、そこからさまざまな控除を差し引いた後の年間所得額が38万円を下回った場合は、ソーシャルレンディングで利益が発生しても税金を納める必要はありません。
それどころか、年間所得が38万円以下の人は税務の世界で「まるまる君」と呼ばれており、そもそも税金を納めなくても良い人です。
ソーシャルレンディングの税金をできるだけ安くしたい方へ
前章でご紹介した4つのケースに該当するとソーシャルレンディングの分配金に対する税金を納める必要がないので理想的かも知れませんが、それに該当しない方は、「少しでも税金を安くしたい」とお考えになることでしょう。この章ではソーシャルレンディングの節税について解説します。
ソーシャルレンディングが総合課税である点に着目
すでに解説したように、ソーシャルレンディングの分配金が雑所得であり、総合課税に属しているところに着目しましょう。総合課税であるということは、他の所得や経済活動との通算ができるため、そこに節税の余地が生まれます。
不動産投資など、他の経済活動で赤字が出ているのであれば、それをしっかり活用して全体の利益を圧縮しましょう。それにより、ソーシャルレンディングの税金も一緒に安くすることができます。
年間所得が195万円以下の人は確定申告
年間所得が195万円以下の人でソーシャルレンディング投資をしている人は、迷わず確定申告をしてください。その理由は、所得税率の低さです。これはどういうことなのか、詳しく解説しましょう。
給料やその他の所得(ソーシャルレンディング投資も含む)の合計が195万円以下の人は、所得税率が5%です。しかし、ソーシャルレンディング投資の税率は20.42%です。それがすでに天引きされているのですから、約15%が多く徴収されていることになります。確定申告をすることによって正しい税率に調整されるため、この約15%分が還付されます。
専業主婦の方も確定申告
先ほど年間所得が38万円以下の人は「まるまる君」であると解説しました。そんなに所得が低い人はなかなかいない、そんな収入でどうやって生活をしているのかと思われるかも知れませんが、意外に身近なところに「まるまる君」はたくさんいます。それは、専業主婦です。
専業主婦は夫の給料という収入があるからこそ生活が成り立っていますが、本人は無収入なので、立派な「まるまる君」です。つまり専業主婦の方がソーシャルレンディング投資をした場合は税金がかからないため、こちらも確定申告をすることで天引きされた税金が全額還付されます。
家族で投資をする場合は最も所得が低い人の名義で
先ほど専業主婦がソーシャルレンディング投資をすれば税金がかからないことを解説しました。しかし、専業主婦本人は無収入なのでソーシャルレンディング投資をするためのお金は夫の収入から出ていることになります。このことから、ある税金対策を思いついた方は、とても鋭い方です。
それは、ソーシャルレンディング投資をするのであれば、家族の中で最も収入の低い人の名義にすることが最もオトクになるということです。できれば無収入の人が理想なので、専業主婦や同居している子の中で成人していて無職の人がいるのであれば、その人の名義で投資をするべきです。
計上する価値のある必要経費一覧
もうひとつの節税方法として、王道の経費計上についても触れておきましょう。ソーシャルレンディング投資をするために必要なもの、そのために出費があったのであれば、それを計上して確定申告をするという方法です。
ソーシャルレンディング投資で認められそうな経費を挙げてみると、以下のようになります。
- ネット接続代(プロバイダ料金)
- 書籍、セミナー受講料、その交通費
- 振込手数料
いずれも大した金額ではありませんが、塵も積もれば山となる。少しでも税金を安くしたいという信念をもって、面倒がらずに経費を申告して税金を取り戻してください。
ソーシャルレンディングの税金をふるさと納税でオトクにするテクニック
ソーシャルレンディングの税金を少しでも安くするという観点で、ちょっと面白い方法を解説したいと思います。その方法とは「ふるさと納税」を使った方法で、うまく寄付先を選ぶことでかなりオトクにすることができます。
ふるさと納税とは?
最初に、ふるさと納税について簡単に解説しておきましょう。ふるさと納税とは地方自治体に対する寄付制度のことで、ふるさと納税の仕組みの中で寄付をすると、その寄付金がそのまま所得から控除されます。
「ふるさと」という名称になっていることから自分の出身地などに限定されているという誤解もあるのですが、ふるさと納税は日本全国のどの自治体であっても寄付をすることができます。よくあるのが災害被災地を応援したい人が寄付をするといったような使い方ですが、それだけだとソーシャルレンディングの税金をオトクにしたことにはなりませんね。
なぜふるさと納税を活用すると税金がオトクになるのか?それを次項で詳しく解説します。
ふるさと納税がソーシャルレンディングの節税になる仕組み
ふるさと納税では、自治体への寄付金と同じ額が所得から控除され、所得税と住民税が安くなります。つまり、自分が住んでいるところに納めるはずだった税金の一部を、自分の好きな自治体に納めることが実質上できるようになる制度です。
それだけならふるさと納税は単なる地域応援でしかありませんが、多くのふるさと納税愛好家のお目当ては、自治体からの返礼品です。ふるさと納税の金額に応じてお礼の品がもらえる仕組みになっているため、魅力的な返礼品を出している自治体には全国から巨額の寄付が集まります。
ふるさと納税を利用して自治体に寄付をして所得控除を受けただけならソーシャルレンディングの税金を分散して納税しただけになりますが、必ず何らかの返礼品があるので、返礼品の分だけオトクということになります。
どんな返礼品がもらえるのかについては、ふるさと納税の情報サイトをご覧ください。こうした情報サイトでは、サイト上で寄付まで完結することができます。
上記の「ふるさとチョイス」以外にも、たくさんのふるさと納税サイトがあります。
狙うは大阪府泉佐野市?
多くの自治体では地元で採れた野菜や果物、肉や魚などの食べ物が返礼品となっています。中にはちょっと何かのイベントに参加できる権利など「コト消費」に関する返礼品を出しているところもありますが、もっと露骨に「現金がもらえたらいいのに」とは思ってしまいませんか?
さすがに現金を返礼品とすると単なるキャッシュバックになってしまうのでそんな自治体はありませんが、限りなくそれに近い返礼品を出していることで話題になっている自治体があります。それは、大阪府泉佐野市です。
関西空港があることで知られる泉佐野市ですが、極度の財政難からふるさと納税に力を入れており、なんと換金性の高いAmazonのギフト券を寄付額に応じて返礼するというのです。しかも、まるでスマホ決済サービスの「PayPay」のパロディかのように「100億円還元キャンペーン」を銘打つという、自治体にしてはかなり攻めた内容になっています。
さすがにこれはふるさと納税の趣旨に反するとして国からお咎めを受けていますので、おそらくこのキャンペーンは長続きしないでしょう。もしふるさと納税でソーシャルレンディングの税金を最もオトクにしたいとお考えであればこうした攻めた自治体を狙ってみてはいかがでしょうか。
ふるさと納税でソーシャルレンディングの節税をする手順
ふるさと納税でソーシャルレンディングの税金を節税する手順については、以下の通りです。
①ふるさと納税サイトで返礼品を選ぶ ②寄付をする ③受領書を保管しておいて確定申告 ④返礼品を受け取る
①②はふるさと納税サイト上で完結できるのでそれほど難しくはありませんが、重要なのは③です。自治体から返礼品とともに受領書が送られてくるので、これを紛失しないようにしてください。この受領書を添えて確定申告をしないと寄付金の控除を受けられない(つまりふるさと納税をした意味がなくなる)ので、忘れないように注意しましょう。
甘く見てはいけないソーシャルレンディングの税金
最後に、ソーシャルレンディングに限らず納税の義務を怠るとどういうことになるのか、意外に恐ろしいペナルティについて解説します。
無申告がバレるとどうなる?
申告の義務があるのに申告をしないのは、脱税行為です。うっかり過失だったのか故意だったのかによって扱いは異なりますが、うっかりミスだからといって許してくれるということはありません。
無申告だと「無申告加算税」が課税され、無申告を指摘されるまでの延滞税も併せて納税することになります。また、悪質な場合は重加算税が課税され、意図的かつ計画的な所得隠しであると見なされると告発され、脱税で逮捕される可能性もあります。
逮捕されるようなケースは数億円規模の脱税など規模が大きな事件に限られますが、重加算税が課税された時点でかなりのペナルティなので、「どうせバレない」と高をくくらないようにしましょう。
一般投資家に無申告ペナルティは比較的無縁
ソーシャルレンディングの税金は天引きなので、ソーシャルレンディング投資自体の税金を申告漏れや無申告にしてしまう可能性はほとんどありません。サラリーマンの方であれば給料についても税金が天引きされた後で支払われているので、こちらもあまり無申告をやらかしてしまうというリスクはありませんので、ご安心ください。
新しいビジネス、投資商品は目をつけられやすい
これはソーシャルレンディング投資に限ったことではありませんが、税務当局というのは新しく出てきた投資商品やお金儲けに対して、ことさら目を光らせるという傾向があります。新しく出てきた投資商品が既存の法律やルールで想定されていないようなものだと、法整備が追い付いていない状態が生じるからです。
FXや仮想通貨、さらには少し前のITバブルで大儲けをした投資家が税務当局から巨額の申告漏れを指摘されたという報道がありましたが、これらはその典型的な例です。新しい投資商品で大儲けしている人たちを野放しにしていると他の投資家も税金のことを甘く見るのではないかという懸念もあるため、見せしめの意味合いで大々的に事件化するという思惑もあると思います。
ソーシャルレンディング投資に限らず、新しい投資商品やお金儲けのスキームで大きな利益を手にした方は、税務当局から目を付けられる前に税理士に相談をしておくことをおすすめします。
まとめ
ソーシャルレンディング投資に関する税金の知識を、より税金を安くして納税しなくても良いケースにまで落とし込んで解説してきました。ふるさと納税を活用したちょっと面白い節税テクニックについても解説しましたので、ソーシャルレンディングの税金が気になるという方は、ぜひ実践してください。