不動産投資は相続税対策になる?仕組みをわかりやすく解説!
By Oh!Ya編集部
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高齢社会を迎えて相続の問題が社会問題になっています。政府からすれば団塊の世代が70歳代に入り相続税は重要な税収入の課題です。 2015年7月1日から施行された相続税規定の改正で、基礎控除額が変更されました。 「5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)」から、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」へ控除額の減少です。
今後も変化が起こりうる相続問題ですが、相続の中心となる不動産は、相続税の負担が現金を保有しているよりも下がるため重要なテーマです。
目次
不動産投資はどうして相続税対策になるの?
相続財産の約7割が不動産と言われています。不動産の売買に関する不動産価格は、実勢価格、公示地価、相続税評価額、固定資産税評価額の4つです。 公示地価は、国土交通省が地価公示法に基づいて公示したもの。相続税評価額は、相続税や地価税評価の目的で土地の面する道路に付した地価です。
不動産は相続において実勢価格よりも評価額が低く設定されるため相続税が安くなるため、不動産投資はメリットがあり相続税対策になります。
相続税の評価額は公示価格の約8割とされており、固定資産税評価額は公示価格の約7割。相続税評価額の評価方法には路線価方式と倍率方式があります。
不動産価格評価の中心となる路線価方式の路線価とは、市街地の道路に面した宅地1㎡当たりの価格で、1,000円単位で表示されています。
- 土地の評価額=路線価×面積
路線価は、国税庁のサイト「路線価図」から確認できるので、一度ご覧になってみてください。 また、路線価図には借地権割合も表示されておりその割合を掛ければ土地の評価額が算出されます。
相続税には基礎控除がある
相続税は亡くなった人の財産を受け継ぐときにかかる税金ですが、これには基礎控除があります。
相続税基礎控除の計算式
基礎控除の額は次の計算式で表されます。
- 基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)
被相続人の夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人合計3人の場合は、基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円となります。
基礎控除を超える場合
相続税が基礎控除を超えた場合は、超えた分に対して課税されます。相続税の申告も忘れてはなりません。
相続税の配偶者控除とは
配偶者は被相続人の財産形成に関わり、一体の協力関係があると考えられているので、大きく税額軽減措置が講じられています。老後の生活保障を手厚くする制度です。
配偶者の税額軽減措置を以下にまとめました。
1.配偶者が受け継いだ財産額が、1億6千万円までであれば相続税はかからない
配偶者の1億6千万円を超える部分については原則として相続税が掛かります。また、他の相続人分には原則として相続税がかかります。
2.配偶者が受け継いだ財産額が、法定相続分以下であった場合は相続税がかからない
配偶者が相続した額が1億6,000万円を超えた場合でも、法定相続分以下の部分については相続税が掛かりません。 たとえば、被相続人の相続課税価格の合計が10億円だった場合。このとき、配偶者の法定相続分は2分の1なので5億円までについては相続税が掛かりません。
相続税の未成年者控除とは
相続人が未成年である場合は、成年になるまでに養育費や教育費が必要であることを考慮して相続税の軽減措置があります。未成年控除が受けられる要件としては次の通りです。
- 相続した時に20歳未満であること
- 法定相続人であること
- 日本国内に住んでいること
計算式 |
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未成年控除額=(20歳―相続開始時の年齢)×10万円 |
1年未満の端数月数は切上げ処理となります。たとえば相続人が18歳3カ月であれば、20歳まで1年9カ月ですが切上げで2年となり、控除額は「2年×10万円」の20万円です。
相続税の障がい者控除とは
障がい者のハンデキャップに配慮して相続税の軽減措置があります。相続人が85歳未満の障がい者の場合に控除を受けられるというもの。
計算式 |
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一般障がい者控除額=85歳になるまでの年数×10万円 |
特別障がい者控除額=85歳になるまでの年数×20万円 |
(特別障がい者とは、障がい者のうち特に日常生活に常時介護が必要となる重い障がいを持つ人) |
未成年者控除と同様に、1年未満の端数月数は切上げ処理となります。
相続税の評価額は軽減される
相続税算出のための財産の評価は、財産の種類によって異なります。 預貯金の金融資産はそのままの額で評価されますが、不動産の場合は一般的に実勢価格より低く評価されることに。 たとえば宅地であれば、路線価によって評価されるため、公示地価の80%程度となります。
建物の固定資産税評価額
建物の評価額は、固定資産税評価額と同額です。評価額は3年ごとに見直されます。 建物の評価額=固定資産税評価額
土地の固定資産税評価額
相続税全体の中でも不動産、とくに土地の評価が最も重要なポイント。土地の評価には固定資産税評価額があります。 市町村が固定資産税の課税のために評価した額で、公示価格の約70%です。公示価格とは国土庁が地価公示法に基づき公示した価格です。また相続税評価では路線価額があります。
小規模宅地等の特例制度が利用できる
残された配偶者、家族などが自宅に住み続けられることを主にした税軽減措置です。
小規模宅地等の特例制度の概要
小規模宅地等の特例制度は、被相続人(亡くなった人)の配偶者や同居していた親族など一定の要件を満たす人が、受けられる特例制度です。 相続人が所有していた居住用宅地の権利(所有権、借地権)を相続した場合に適用され、面積が一定の割合(最大80%)まで軽減されます。
小規模宅地の特例の適用が受けられる前提要件として次の点があります。
1.被相続人または国の、居住用宅地、事業用宅地であること
2.建物、構築物が建てられている土地であること
3.相続人間で相続税申告期限までに遺産分割協議書が作成されていること
特例制度の効果は?
特定居住用宅地、特定事業用宅地、特定同族会社事業用宅地であれば、評価額の減額率が80%となり相続税が大幅に安くなるというメリットがあります。 特定事業用宅地とは、亡くなった人などが事業用の建物・構築物の敷地として使っていた宅地で工場や店舗。
特定同族会社事業用宅地とは、亡くなった人や親族が所有する会社が事業用の建物・構築物として使っていた宅地の場合に、その会社の役員が継続してその宅地を事業に使うものです。
居住用宅地の種類別の軽減率
特定居住用宅地等は、被相続人等が居住していた土地で、なおかつ相続人が申告期限までに取得し、居住する宅地等です。面積は330㎡までとなり、減額率は80%と大きいです。
上記の要件以外でその土地に居住しない親族が相続する場合は、原則として小規模宅地の特例が受けられません。
特例制度が適用できる要件を理解しよう
代表的な「特定居住用宅地」を適用するための相続人の要件を見てみましょう。減額率が大きいために細かい要件が定められています。要件から外れた場合は減額がありません。
- 配偶者
2.同居している親族
被相続人と同居していた親族。相続するとき、相続税の申告期限まで該当物件に居住し、さらに宅地の所有を続ける必要がある人。
3.同一生計の別居親族
同居はしていないが相続人が被相続人の生活費の過半を負担していて、相続税の申告期限まで該当物件に居住し、さらに宅地の所有を続ける必要がある人。
4.持ち家のない別居親族
被相続人に配偶者または同居親族がいないとき、相続開始前3年以内に取得者またはその配偶者が所有する家屋に居住していない人。相続税の申告期限まで該当物件に居住し、さらに宅地の所有を続ける必要がある人。
面積の要件は330㎡までです。それを超えた部分については、減額がありません。
相続時精算課税制度が利用できる
60歳以上の人が金融資産の多くを保有している日本の現状を考え、政府が経済活性化のため生前贈与しやすいように作った制度です。
相続時精算課税制度の概要
相続時精算課税制度の特徴として、親からの2,500万円までの贈与については贈与税が発生しません。2,500万円を超えた場合は超過額の20%の贈与税が発生します。
親が亡くなり、相続が発生した時点で贈与された財産を合算して計算します。過去に払った贈与税があればその額を相続税から差し引いて精算する方式です。贈与回数に制限はなく贈与金額が累計計算されます。
制度が適用できる対象者
贈与者が60歳以上の両親または祖父母から、受贈者が20歳以上の子または孫です。受贈者には代襲相続人を含みます。
そもそも相続税が掛かるのはどんなとき?
相続税が掛かるのは、被相続人から財産を受け継いだとき。相続について法定相続人(配偶者や子など)が承認したときに課税されます。 相続税のかかる財産から控除額を引いたものが課税価格です。
1.課税価格の計算
すべての財産を金銭に換算し相続人各人別に課税価格を計算します。
2.相続税総額の計算
相続人各人の課税価格を合計し、合計額から基礎控除などを引いたものが課税遺産総額となります。課税遺産総額を法定相続分で相続したと仮定して各相続人の相続税を計算します。
3.相続人各人の納付税額の計算
相続税額を実際に分割する割合で按分し、その按分された税額から各人の控除額を引いたものが各人の納付税額になります。
誰に対して相続税は課税されるのか
法定相続人となる人。遺産を受ける相続人で課税が発生した人が対象になります。
法定相続人になれるのはどんな人?
相続人の相続順位が民法によって定められています。民法で定められた相続人が法定相続人です。 法定相続人とされるのは、まず配偶者。以下、次の順位で法定相続人となります。 順位の高い相続人がいた場合は、順位の低い人は相続対象になりません。
第1順位―被相続人の直系卑属(子、孫)。孫は子が亡くなっているときに相続できます。 第2順位―被相続人の直系尊属(父母、祖父母)。祖父母は父母が亡くなっているときに相続できます。 第3順位―被相続人の兄弟姉妹。兄弟姉妹が亡くなっているときにその「子(甥、姪)」が相続できます。
被相続人より先に相続人が亡くなっている場合は、被相続人から見て孫、ひ孫、甥、姪等が相続財産を受け継ぐことが可能です。これを「代襲相続」と言います。
代襲相続人は世代を飛び越えて相続財産を受け継ぐことになり、代襲相続人の相続分は、本来相続人となるべきだった人の相続分と同じ割合です。 被相続人の子が先に亡くなっている場合は孫、さらに孫も先に亡くなっている場合はひ孫、というように代襲相続はどこまでも下の世代に続いていきます。
被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合の代襲相続は、被相続人からすると甥、姪までで、代襲相続はそこで打ち切りです。
相続の対象となるものは?
金銭に換算できるものは原則としてすべて対象になります。課税対象から外れるものは、墓地・仏具・神棚などの物、商売上のアイデアやノウハウなどの無形物でお金に換算できないものなどです。
プラスとなる財産
- 不動産(土地、建物)
- 不動産上の権利(借地権や用途物件など)
- 金融資産(現金、貯預金、有価証券、生命保険など)
- 動産(家具、車、貴金属、事業用財産など)
- その他(立ち木、果樹、特許権、著作権、ゴルフ会員権など)
マイナスになってしまう財産
- 借金(借入金、未払金、買掛金など)
- 保証債務(連帯保証など)
- 公租公課(未払いの税金)
- その他(葬式費用など)
相続する財産は、プラスのものだけでなく、借金などのマイナス財産も受け継ぐのが原則です。
贈与された財産
贈与とは贈与者が生前に実行するもので、贈与者と受遺者の双方の合意があって成立します。贈与税は、贈与の時点で支払う暦年贈与と、贈与者の亡くなった相続時点で精算する前述の相続時精算課税があります。 生前贈与額は相続時の遺産額に加算して、みなし相続財産の額を出し計算します。
不動産を相続したときに節税するためのコツ
複雑な相続税のポイントは、不動産に関するものであることは言うまでもないでしょう。では不動産相続の節税についてご紹介します。
相続税を申告するまでに遺産分割をしておく
小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減などを適用することが相続税対策には欠かせません。適用には10カ月の相続税申告期限までに相続人間の遺産分割協議書の作成が必要になってきます。
相続税の申告は期限までに行わないと特例を受けられないなどのデメリットがあるため、予め遺産分割についての協議をしておくことが大切です。
相続した土地の評価額を下げる
駐車場やアパート建設により事業用の土地とすることで評価額を下げるなどの方法があります。
相続した土地を分筆
土地の評価額は土地を取得した者ごとに計算するのが原則です。兄弟姉妹などで土地を分筆すればそれぞれ別に評価され、面積が小さくなるので節税になる場合があります。
共有物の分割であれば売却益が発生せず譲渡所得税も課税されません。もし相続した土地を一体のものとして共有した場合は評価額が高くなる場合もあるので注意が必要です。 共有不動産の場合は、各共有者の持ち分を処分する権利も制限を受けることになり、何かと不便を感じることもあるでしょう。
角地や前後2面道路に接している場合などは評価額が高くなります。分筆により角地を駐車場にしたり、2面道路に接している土地を分筆し、1面道路に接するようにして評価額を下げる方法も効果的です。
複数の特例制度を利用する
特例制度が複数適用できる場合もあります。
小規模宅地等の特例制度と配偶者控除
場合によっては、小規模宅地等の特例と配偶者控除の双方も適用できる可能性があります。
相続した不動産の現地確認をする
不動産は土地・建物の規模や築年数によって現況がかなり違います。相続が発生した際には、まず相続不動産の現地確認をしておきましょう。遠方の実家に親が住んでいた場合は、特に現地確認が必要です。
セットバックが必要な土地は評価額が下がる
建築基準法では建物が建っている土地の全面道路について、幅員(ふくいん)が4m以上と規定されています。道路の中心線から2m後退した線が敷地との境界線となるため、建物を建てるときはその境界線まで後退して建てなければなりません。建物を後退することをセットバックと言います。
セットバックした部分を自分だけが使っていると土地の評価額が30%の評価となりますが、分筆して不特定多数の人が通行する私道とすれば土地の評価はゼロになります。
なお私道に対する土地の評価額では、袋小路で周囲の関係住民だけが利用する土地の場合は評価が30%。不特定多数の人が通行する土地の場合にはゼロとなります。
がけ地など条件の悪い土地は評価額が下がる
がけ地の割合が10%を超えると評価額減が認められる場合が多くあります。また、形がいびつな土地は使いにくく利用価値が低いので評価額が減額できる可能性も。「不整形地」と呼ばれます。 また道路と土地に高低差がありすぎる土地も使いにくく、評価額の10%減額が認められる場合があります。
要素は異なりますが、都市計画道路がかかっている不動産も評価が下がることに。将来、都市計画道路にするために土地を提供する可能性がある土地だからです。また同じ敷地内に異なる容積率がある土地についても評価が下がります。
土地の近隣が特殊な条件であるときは評価額が下がる
- 墓地が近い
- 埋蔵文化財包蔵地である
- ゴミ焼却施設が近い
など人が住みたがらない物件が該当します。その他には、葬儀場、刑務所、有害物質を扱う工場、高圧線の下の土地、線路や踏切の近くにあり騒音に悩まされる土地など。 これらは相続税評価額の10%減額が認められる場合があります。
相続税の申告期限までに不動産を売却する
相続する不動産の売却価格が、相続税の評価額よりも低い場合は、相続税を申告する前に売却することで節税効果が。 不動産を売却したあとなら、売却した代金を「時価」として申告できるため、申告する不動産価額が下がった分だけ相続税も減額できるというメリットがあります。
相続する方法には3つのタイプがある
相続財産には借金など負の遺産も含まれます。プラスの財産だけ受け継ぎマイナスの財産は受け継がないことはできません。そこで、相続人は相続を受けるかどうか選択することができるのです。相続を受ける形態には次のようなものがあります。
単純承認
相続人が普通に財産を受け継ぐ形態です。単純承認の手続きは不要。相続発生より3カ月たてば自動的に単純承認したことになります。
限定承認
被相続人の財産や負債がわからないときに行う方法。相続した資産を限定する相続の承認形態です。
プラスの範囲内でマイナスも負担しますが、その範囲でとどめる方式です。借金は放棄してプラスの財産だけ引き継ぐものではないのでご注意ください。 限定承認は相続開始3カ月以内に手続きをしなければなりません。また、相続人全員が一致して家庭裁判所に申し立てる必要があります。
限定承認をするには相続財産がどれだけあるか正確に把握する必要があり、資産の調査に時間がかかるでしょう。マイナスの資産では債務の調査があり、債権者がどこに、どれだけいるのか確認するために公告する場合があります。
相続放棄
負債が多い場合など財産の受け継ぎを放棄する形態です。相続の放棄は相続の開始を知ってから3カ月以内に家庭裁判所に申し立てます。 相続放棄した場合は、相続の代襲相続はありません。(子が相続人であった場合、子が死んでも孫には相続権が引き継がれません)
マイナスとなる借金は相続しなくても良い
相続放棄すれば借金の相続をすることはありませんが、その他のプラスの財産も引き継ぐことはできません。マイナスだけの放棄はできませんが、限定承認をすることで、プラスの財産の範囲内でのみ負債を負担することが可能です。
実際に不動産投資を始めてみよう
現金に比べて基本的に不動産は相続税評価額が低くなります。現金を不動産に変え付加価値を生むことが不動産投資です。不動産投資が金融投資と異なる要素としては、固定的な収入確保と節税のメリットがあります。
賃貸経営によってインカムゲインを得る
アパートやマンションなどを購入して賃貸経営をすることで、インカムゲイン(賃料収入)を得ることができます。 中古の収益物件であれば価格が安い物件もあるので、投資初心者でも気軽に始めることが可能です。
不動産の賃貸経営に必要な費用とは?
土地を所有している場合でアパート・マンション投資をする場合は建設費が必要になります。 賃貸物件の運用には、管理費や修繕積立金などの諸経費が掛かります。 また、固定資産税といった税金負担もあるため、賃貸事業としてきちんと計画を立てておくことが大切です。
不動産仲介業者に入居者を探してもらって賃貸借契約を結んだ場合は、仲介業者に仲介手数料を支払う必要があります。
投資初心者向けは区分所有マンション
不動産投資の初心者は、マンション投資から始めてみてはいかがでしょうか。区分所有マンションはワンルームタイプなどがあり、物件価格が低い傾向にあります。 少額から始められるため、低リスクでの投資が可能です。
投資物件の選び方
不動産投資目的では、物件自体の値上がり利益を目的とするキャピタルゲインと運用収益を目的とするインカムゲインがあります。
収益目的の不動産投資では立地が重要です。賃貸市場では長期的に入居者を確保できるかがポイントになります。
また、売買で時価が高く維持されていて、かつ相続税評価額が高くはない物件であれば資産価値が高いと言えるでしょう。都心タワーマンションで高層階の売買価格が高く相続税評価額が低層と同じである点で投資家の人気を呼びましたが、その後は修正化されました。
利回りについて理解しよう
マンション投資をする際に判断基準となる利回りについて理解しましょう。利回り計算には表面利回りと実質利回りなどがあります。その他の呼び方で複雑なものもあります。実際に投資運用する立場ではコストを重視した実質利回りで計算してみることもポイントです。
- 表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
- 実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入諸経費)×100
家賃収入が年間想定満室賃料として計算されている場合も多くあると思いますが、100%の売上計算です。実際には空室率が何パーセント発生するかが、もしくはしているかが問題です。
収益物件の種類について理解しよう
収益物件の種類では、居住用不動産、オフィスビル、商業施設などが代表的。居住用不動産は投資価格が少額からあり、身近な分野でもあり下落率が少ない通常の投資物件です。 もちろん施設が古くなればリフォームも必要となり物件の競争性も高いと言えるでしょう。
主な不動産投資で行われている収益物件は、アパート・マンション・戸建です。マンションは、ワンルームタイプとファミリ向けタイプの2種類。 不動産投資に慣れてきた方であれば、1棟アパートへ投資して投資規模を拡大していくことができます。
不動産相場の確認方法を身につけよう
類似物件での売買の相場を調べるには、過去の取引事例と現在販売されているものを調べることによってできます。実際に売買が行われた物件の価格(成約価格)等を知るにはREINS(国土交通大臣指定の不動産流通機構)が運営している不動産流通標準情報システムがあります。
宅地・建物・中古マンションなどの種類、取引時期、地域で検索。物件の表示項目は、価格、単価(万円/m²)、面積(建物・土地)、築年、成約時期(年月~月)などで類似性を比較して調べられます。
現在販売されているものについては、大手の不動産ポータルサイトで物件情報のチェックが可能です。
不動産の購入に掛かる費用とは?
物件購入費とは別に以下の費用がかかります。
- 不動産仲介手数料
- 登記費用
- 印紙代
- 登録免許税
- 不動産取得税
不動産売買に関する仲介手数料は、売買価格の3%+6万円です。不動産登記に関する登録免許税は、土地及び建物の売買による所有権の移転では不動産の価格の1,000分の20。
ローンで購入する場合は、抵当権の設定に抵当権設定登記が必要になり、債権金額の1,000分の4の税額がかかります。なお、自己の居住用物件には一定の条件のもとに軽減税率があります。
不動産取得税は、課税標準額(固定資産評価額)に税率を掛けた額です。税率は原則として4%。なお課税標準額は、不動産を購入した額ではなく固定資産税評価額です。 課税標準額が一定の金額未満の場合には不動産取得税が課税されない免税点があります。
また住宅用家屋や敷地については軽減措置があります。新築未使用の物件の場合は、一定の要件を満たせば課税標準額から1,200万円を控除できます。面積要件では40㎡以上240㎡以下となります。
取得時期要件では住宅と土地を同時に取得する建売やマンション購入の場合、その建物が新築後1年以内の取得であることが要件です。中古住宅の場合は、新築された日が平成9年4月1日以降であれば1,200万円の控除があります。
不動産を売却する出口戦略
不動産投資では物件購入の入口から、賃貸収入の獲得、そして物件の売却の出口までのサイクルが重要です。建物は、いつかは築年数により法定耐用年数を迎え、さらに老朽化し建て替えられるなどの運命をたどることになります。
売却をうまく進めるにはどうすれば良いのでしょうか。下記のような点を考慮して戦略を立てておきましょう。
1. 商品力のある物件の選択
購入時点から商品力のある物件を選択することが重要です。
・商品力のある物件の投資価値としては以下の通り。
立地条件(都心からの距離、駅からの距離など)
物件状態(築年数など)
物件内容(建築、住宅設備など)
予想空室率の低さ
予定利回りの高さ
・賃貸価値
家賃
立地条件
物件状態
物件内容
管理状態
周辺環境
ディベロッパーのブラン
などがあります。
2. 売却判断の決定
売却することでメリットがあると考えられる損益分岐点は、「物件購入価格-売却想定価格+現在までの家賃収益=現在の収支」となるでしょう。
プラスになっていれば売却して良いタイミング。家賃収益がプラスになっていなければ、建物の老朽化とともに購入時より資産価値が下がっていくため、見切って売却する判断になります。
3. 売却のタイミング
売却の判断をした場合は、不動産需給バランスと市況からタイミングを判断します。市況が好調な時期を定めて売却時期を決めます。売却までは3カ月から6カ月程度の期間が必要なので注意しておきましょう。
4. 売却価格の想定
相場価格を調査、考慮して価格設定をします。売却査定サイトなどでの価格も参考にします。
5. 売却仲介会社の選択と仲介契約
売却査定から望ましい仲介会社を選択し、実績、得意な分野、販売活動の内容から不動産売却仲介会社を決めていきます。
また仲介の契約形態には、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介契約があります。 一般媒介契約では、依頼主は同時に2社以上の不動産会社と契約することが可能です。複数の会社と契約することで、各社の販売力を活かして早く買い手が見つかる可能性を依頼主は期待します。
不動産会社の間に競争原理が働く点がメリットですが、不動産会社は他社で販売されると仲介手数料が入らなくなるため、真剣に取り組まない可能性もあります。 また一般媒介契約では不動産会社は依頼主に状況を報告する義務がないこと点もデメリットです。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合は、いずれも契約は1社のみと決まっています。こちらは1社の不動産会社に責任をもって営業してもらえる可能性が高いです。またこれらの契約では不動産会社は依頼主への報告義務があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いは、専任媒介契約では、売主が自分で買主を見つけることもできます。依頼主(売主)と買主が、直接取引して不動産を売ることができるということです。専属専任媒介契約では、依頼主が自分で買主を見つけた場合でも、不動産会社が仲介して取引を行うことが契約書に定められています。
今後施行される相続に関する民法改正
約40年ぶりの民法改正(2017年6月2日公布)があり、今後、相続部分では大きな変動があります。配偶者保護を手厚くする配偶者居住権などの設定です。
配偶者居住権とは、亡くなった人が所有する自宅に同居していた配偶者が亡くなるまで、自宅に家賃等をはらうことなく住み続けることができる権利のこと。所有権よりも利用権に近いものです。 遺産が自宅を中心にした不動産に限られる場合などでは、金融資産のように簡単に分割できないため自宅を売却せざるを得なくなり、結果として住んでいた自宅を失う可能性がありました。
法務省の説明する要点は次の通りです。 「配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し、遺産分割における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができることとするほか、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができることにする」 この改正部分の施行は2020年4月1日です。
(参照:法務省サイト 配偶者居住権) (参照:法務省サイト 配偶者の居住権を短期的に保護するための方策)
まとめ
不動産投資は相続税対策に大きな効果があります。現金を不動産に変えたほうが財産の評価額が下がるため、相続税の減額につながるからです。
不動産を賃貸経営することで家賃収入が得られます。不動産は相続時精算課税制度を利用することで、生前贈与も可能です。
相続発生後も小規模宅地の特例や配偶者控除を受けるためには遺産分割協議書が必要。相続人間で争いがあると相続作業自体も事前の対策もうまくいきません。相続税を申告するまでには、予め遺産分割についての協議を行っておきましょう。
もし相続する不動産が、相続税の評価額よりも売却代金のほうが低い場合。先に売却をして売買価格を時価として相続税の申告をすれば、税金負担を減らすことができます。
不動産への投資は、将来的な資産形成をしながら家族へ財産を引き継ぐことができるメリットがあります。もしわからないことがあれば、不動産のプロに相談してみましょう。