少額スタートでしっかり利益を!現物不動産投資7つのポイント
By Oh!Ya編集部
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現物不動産投資を検討している人の中には、「安定している」「比較的リスクが小さい」という点を評価している人が多くいます。さらに、その中には少額で不動産投資をはじめたいと思っている人も多いと思います。
というのも、不動産は一千万円単位の商品なので、特に初心者の方はなるべく少額に抑えたいと思う人がいるのは自然なことです。そこで今回は、現物不動産投資を少額ではじめるときのポイントを7つに絞って解説していきます。
不動産投資における少額を知る
1つ目のポイントは、そもそも不動産投資における少額とはいくらかを把握しておくことになります。明確な定義はありませんが、一般的に「少額投資」といえば1千万円以下の物件を指します。不動産投資の場合、保有する商品が不動産なので、数万円や数十万円で購入できるものでありません。
稀に、地方の物件などでは数十万円程度で売りに出されている物件もありますが、さすがにそのような物件で収益を上げることは難しいでしょう。
また、都内でも数百万円の物件はありますが、その価格帯では条件がかなり悪くなるので収益を上げるのは難しいです。そのため、極端な価格の物件を除くと一千万円前後の物件と思っておいた方が良いでしょう。
少額で購入するなら中古物件
2つ目のポイントは、少額で購入するなら中古物件を選ぶことです。その理由は、以下の新築物件の特徴を理解することで分かるでしょう。
- 新築物件は割高
- 新築の利点はすぐ消える
- 賃貸は永住が目的ではない
- 一千万円以下の新築は立地が悪い
上記のように、新築物件の方が割高で、投資物件としては収益を出しにくいのです。相対的に中古物件は割安であり、投資物件として収益を上げやすいのが理由です。
新築物件は割高
まず新築物件は割高です。「新築は住んだ瞬間に価格が1~2割落ちる」とも言われるくらいに価格が上乗せされています。その理由は、売主が個人ではなく不動産会社になるので、以下のお金が上乗せされてくるからです。
- 広告費用
- 人件費
- 会社の利益
- アフターフォロー費用
広告費用
中古物件を売るときも広告を展開しますが、新築物件の広告は中古の比ではありません。そもそも、パンフレットや図面集をはじめ、物件の資料作りだけでも膨大な費用がかかります。新築物件の価格には、この広告費用が上乗せされています。
人件費
1つの中古物件を売却するのには、基本的には営業マンが1人担当するだけです。多くても、その営業マンの上司もカウントして2人といったところでしょう。一方、新築物件の場合は、物件の戸数にもよりますが4~5人から多いときは10人以上の営業マンがつきます。
また、広告作りや契約書類づくりなどを入れると、たくさんの社員が絡んでいるのです。要は、1戸の物件を売却するのに、新築物件の方が中古物件よりも人件費がかかり、その費用も新築物件には上乗せされているというわけです。
会社の利益
当然ながら、会社が事業を継続していくためには利益を出さなければいけません。中古物件の売主でも利益を上げたいと思っている人もいるかもしれませんが、せいぜい「諸費用分の○○万円分くらいは利益を出したい」程度でしょう。
中古マンションを売ることで「○○万円儲けたい!」と思っている人は少ないですし、現実的に難しいです。一方、新築物件の不動産会社は、上述した広告費用や人件費用を支払っても、なお会社の利益をあげる必要があります。
そのため、新築価格に含まれている利益は、中古価格の比ではないので結果的に価格が上がるというわけです。
アフターフォロー費用
中古物件にも瑕疵担保責任という売主の責任がありますが、それは引渡し後から半年~2年程度で終わります。一方、新築物件の場合は、売主である不動産会社が「主要構造部分は10年間瑕疵担保責任をもつ」と宅地建物取引業法(宅建業法)で決まっているのです。
また、不動産会社は独自に「給湯器の故障は3年間保証する」などのアフターサービスも展開しているため、それらのアフターフォローに関する費用もかかってきます。このような将来的なリスクに対する費用も新築物件は上乗せされているため、新築物件は割高というわけです。
新築の利点はすぐ消える
仮に、新築物件を購入して賃貸物件として回したら、「新築」という点は有利に働くでしょう。賃貸希望者が築年数で物件を絞るときも弾かれることはありませんし、物件をチェックしている人の中には新築物件に住みたいと思っている人もいると思います。
しかし、新築であるのはたったの1年であり、誰かが住んだ瞬間に新築物件とは謡えません。さらに、賃貸物件を探すポータルサイトによっては「新築」というカテゴリーがなく、「築3年以内」にまとめられるケースがあるのです。それは、不動産会社の店舗で賃貸を探すときも同じです。
そうなると、新築としての魅力はさらに薄れ、わざわざ割高な新築を購入するメリットはゼロに等しいといえるでしょう。このように、新築であることの利点はすぐ消える・・・もしくはそもそも利点がない可能性すらあるので、不動産投資をするときは中古物件を選んだ方が良いというわけです。
賃貸は永住が目的ではない
新築のもう1つの利点としては、「設備・仕様のグレードが高い」という点が挙げられます。たとえば、水回りの設備が最新式で、建具や窓のグレードも良く、断熱性にも優れているようなマンションが設備・仕様のグレードが高いマンションです。確かに、そのような物件に住みたいと思う人は多いでしょう。
しかし、分譲マンションではなく賃貸マンションなので、そこに永住することを目的としている人はほぼいません。永住するなら設備・仕様のグレードにはこだわるでしょうが、永住目的でないのでそこまで意識しません。
少なくとも「予算オーバーしてでも設備・仕様のグレードが高い物件に住む」という選択をする人はごくわずかでしょう。そのような状況なので、「設備・仕様が良く賃料の高い新築マンション」よりも、「設備・仕様はそこそこで家賃が適正な中古物件」の方が賃付けしやすいのです。
一千万円以下の新築は立地が悪い
また、新築物件で一千万円以下の物件は確かに存在します。しかし、金額的に都心で見つけるのは困難なので、エリアが地方、もしくは都内でも利便性が悪いエリアになるケースが多いでしょう。
そうなると、「賃貸需要」を見たときにはマイナス面が多く、収益物件として成り立たない可能性があります。さらに、仮に一千万円の新築物件があったとしても、上述したようにその一千万円には価格は上乗せされているので、周辺の中古物件よりは高いはずです。
つまり、一千万円以下の新築はエリアが悪い上に、そのエリアの中では割高な物件になりやすいというわけです。そのような物件では、賃貸で回して収益を上げるのは難しくなります。
現金買いよりも融資を利用する
3つ目のポイントは、現金買いよりも融資を利用するという点です。一千万円以下の物件であれば、もしかしたら現金で購入できる人もいるかもしれません。しかし、基本的には融資を利用した方が良く、ここではその理由である「レバレッジ効果」について解説していきます。
レバレッジ効果とは?
レバレッジ効果とは、「てこの原理」のような意味合いで使われる言葉です。たとえば、頭金100万円で1,000万円の物件を購入したとします。つまり、100万円で1,000万円の資産を手に入れているということで、「小さい力(資金)で大きなもの(物件)を動かす(購入する)」という意味合いです。
たとえば、株式投資でいうと「信用取引」という、証券会社にお金を借りて投資ができますが、せいぜい手持ち資金の3.3倍程度です。FXなどは不動産投資並のレバレッジをかけて取引できますが、リスクは不動産投資の比ではありません。
そんな中、不動産投資は比較的安定しています。つまり、不動産投資はレバレッジ効果が高い投資であり、さらに比較的安定した資産である点が特徴というわけです。言い換えると、レバレッジ効果を利用して安定した資産を取得できる投資は、不動産投資くらいしかないのです。
現金で購入するメリット
一方、現金で不動産を購入すると以下のメリットがあります。
- 利子がかからない
- 毎月の返済に追われない
まず、融資を受けているわけでないので利子がかかりません。不動産投資ローンの金利は3%前後の場合が多いので、利子だけでも相当な金額になるのは事実です。また、融資を受けていないので、毎月返済に追われることがない点もメリットといえるでしょう。
現金で購入するデメリット
一方、現金で購入するデメリットは、何といっても手持ち資金がなくなるという点です。数千万円ほど資産があり、その中の一千万円を支払うのであれば話は別ですが、そこまで資産が潤沢な方は少ないでしょう。そのため、現金で不動産を購入することで、手持ち資金を大きく減らす人は多いのです。
たとえば、株式投資であれば価額(株価)は下がるかもしれませんが、現金が必要なら平日の日中であればすぐに決済できます。しかし、不動産はほかの投資と異なり、すぐに売却して現金化することはできません。
つまり、突発的に現金が必要になったとしても、不動産投資の場合は対応が難しいということです。そのため、そのような事態に備えて現金は手元に残しておいた方が良いので、現金で不動産を購入するとリスクがあるのです。
適切な融資額とは?
さて、このように不動産投資で融資を受けると、レバレッジ効果が高いという点と、手持ち資金は減らさないで済むというメリットがあります。とはいえ、どのくらいの融資額が適切か?という点を解説していきます。判断基準は以下の点です。
- 月々返済額と総返済額を計算する
- 諸費用を把握する
- 投資規模を拡大したいかどうか
- 初心者は現金を残しておく
月々返済額と総返済額を計算する
不動産投資の融資は、物件の購入金額の全額融資を受けることも可能です。それを「フルローン」といいます。たとえば、借入期間30年、金利3%、元利均等返済で1,000万円の借入をした場合には、月々返済額と総返済額は以下のようになります。
- 月々返済額:42,160円
- 総返済額:15,177,552円
もちろん、期間中に繰り上げ返済をすれば、借入期間を短縮して総返済額を減らすことも可能です。まずは、上記のように月々返済額はいくらか?総返済額(利子)はいくらか?をシミュレーションしましょう。その結果、支払いがさほど問題なければ、フルローンを検討してみても良いでしょう。
諸費用を把握する
また、不動産を購入するときは物件だけでなく以下の諸費用がかかってきます。
- 仲介手数料
- ローン関係費用
- 登記関係費用
仲介手数料は、物件価格が1,000万円であれば「(1,000万円×3%+6万円)×消費税1.08=約39万円」で、ローン関係費用は銀行によりますが25万円ほどでしょう。また、登記関係費用も物件によるのですが、目安として20万円としておきます。
つまり、諸費用合計額は85万円ほどになるので、この分の現金は手元からなくなることは認識しておきましょう。この金額を見越して頭金をどのくらい入れるかを検討しないと、「融資を受けたのに手元資金がない・・・」という状態になりかねません。
投資規模を拡大したいかどうか
仮に、今後もどんどん物件を取得して、不動産投資の規模を拡大したいとします。その場合は、以下の理由で現金は残しておいた方が良いでしょう。
- 残債はさほど問題ない
- 自己資金or繰り上げ返済を選べる
仮に、次に購入する物件も融資を受けて購入するとします。その場合、1物件目の残債は融資の審査にマイナスに働きますが、1,000万円程度の残債であればさほど問題ないのです。
また、次に購入する物件の融資審査をするとき、残しておいた手持ち資金を頭金にしても良いですし、1物件目の融資を繰り上げ返済して残債を少額にしても良いです。つまり、審査に通りやすい方をチョイスできるので、手元資金を残しておいた方が良いというわけです。
初心者は現金を残しておく
特に、不動産投資の初心者は現金を残しておいた方が良いです。なぜなら、不動産投資の初心者だと、収支計算のシミュレーションをミスしている可能性があるからです。
たとえば、固定資産税の予想金額が間違えていたり、不動産取得税を加味していなかったり・・・さらには予期せぬ空室や補修費用が発生する場合もあるので、そのときのためには現金は残しておきましょう。
格安物件には罠がある
4つ目のポイントは、格安物件には罠があることを知っておくことです。前提として、割安物件は「お買い得な物件」、格安物件は「少額にせざるを得ない」物件という定義で話をすすめます。その判断基準は、価格が安い理由を探ることです。
つまり、少額物件を購入するときには「価格が安い理由」をきちんと把握しておかないと、割安物件ではなく格安物件を取得してしまい、結果的に損する可能性があるということです。
格安物件には、以下のように著しく安くせざるを得ない物件もあります。
- 賃借人の素行が悪い
- 事故物件である
- 元借主が犯罪者
- 配管の劣化が激しい
- 異臭・騒音がする
- 室内の劣化が激しすぎる
このような格安物件は、結局「空室リスクが高い」など大きなデメリットを抱えている物件も多いので要注意です。以下より詳しく解説していきます。
賃借人の素行が悪い
1つ目は、賃借人の素行が悪い物件です。たとえば、家賃を平気で滞納したり、無茶なクレームをオーナーに言ったりする賃借人です。そのような賃借人の場合、家賃滞納リスクもありますし、ほかの住民とのトラブルリスクもあります。
しかも、賃貸借契約は賃借人が絶対的に有利なので、仮に家賃を滞納していたとしても強制的に退去させるのは難しいのです。場合によっては、家賃を滞納された上に、退去費用をオーナーが負担する場合さえあります。
このように、賃借人がいる状態の物件を「オーナーチェンジ物件」といいますが、そのような物件を検討するときはレントロールをしっかりと確認しましょう。レントロールには賃借人のプロフィールや家賃の支払い履歴が掲載されています。
事故物件である
格安な物件は事故物件である可能性もあります。事故物件とは、その物件で自殺や他殺があったような、いわゆる「心理的な瑕疵」がある物件のことです。本来事故物件には売主から買主に告知義務がありますが、その義務の範囲は曖昧です。
たとえば、15年前の出来事であれば、「時間が経っているので心理的な瑕疵はない」と告知義務なしと判断するかもしれません。また、自殺や事件がその部屋ではなく、同じマンションの別の棟で起こったのであれば告知義務なしと判断するかもしれません。その判断は売主と仲介会社次第です。
しかし、事故物件であることが賃貸希望者に知られれば、検討取り止めや退去されるリスクがあります。そのため、事故物件かどうかを調べるために、「大島てる」というサイトを利用しましょう。このサイトを利用すれば事故物件かどうかチェックできますので、検討している物件は必ず調べるようにしましょう。
※大島てる
元借主が犯罪者
あまり多いケースではありませんが、元借主が犯罪者である場合も注意が必要です。というのも、そのような噂は近所に回り、賃貸検討者や入居者の耳に入る可能性が高いからです。仮に、元犯罪者が反社会的勢力の人だったとします。
その場合、その部屋で何が行われていたかは分かりませんし、もしかしたら室内に犯罪に関する物が隠されているかもしれません。このような確率は低いとはいえ、次に入居する人が嫌がるのは事実です。
そのような理由で割安になっている物件は、レントロールで入居者を見たり、ネットでニュースを調べたりするしかありません。それでも分からないケースもあるので、心配ならその物件の近くの不動産会社に来訪して色々聞いてみると良いでしょう。
配管の劣化が激しい
ほかには、配管などの目に見えない部分の劣化が激しいという点が挙げられます。配管の劣化が激しく修理代が度々発生しているなら、その物件のオーナーは格安でも売ってしまった方が良いでしょう。ただ、破損しているわけでないのであれば、売主は買主にその旨を伝える必要はありません。
つまり、「購入後に配管の修理が頻繁に必要であることに気付いた」という状況になり得るということです。このような事態にならないためには、まず現場で水やお湯を出してみて、異音や異常がないかをチェックしましょう。
それでも完璧とはいえないので、どうしても気になる方はホームインスペクターに物件調査を依頼すると良いです。費用はかかりますが、目視できる範囲で配管などもチェックしてくれます。
異臭・騒音がする
格安物件になる理由としては、近所との兼ね合いもあります。たとえば、隣家が戸建で、外国の方が住んでいたとします。その外国の方が、お国柄毎日エスニック系の料理をしていて、自分の物件の室内まで臭いが届くとしたら、入居者にとっては大きなマイナスです。
また、隣人が騒々しい人で、騒音によって快適な生活が送れない可能性があります。ただ、そのような異臭や異音が原因で、隣人を退去させるのはかなり難しいでしょう。投資物件の場合、隣が戸建や分譲マンションなら、その住民とは一生付き合っていく覚悟が必要です。
その目線で、オーナーとして「入居者が不快な思いをしないか?」を確認してから物件選びをしましょう。ポイントは、平日・休日、そして時間帯を変え、さまざまな状況で物件見学することです。
室内の劣化が激しすぎる
また、室内の劣化が激しすぎるという物件も、格安で売られやすい物件です。室内の劣化が激しいということは、クロスやフローリングだけでなく、その内部や水回りの設備まで劣化している可能性があります。たとえば、クロスが劣化していれば、そのクロスを張り替えれば良いだけと思う人もいるでしょう。
そもそも壁の構造は、軽鉄にベニヤなどのボードを張り、その上からクロスを貼っているという構造です。劣化が激しい物件は、クロスだけでなく軽鉄が損傷していたり、ベニヤが腐食していたりする場合があるのです。そのようなケースはクロスの貼り換えというよりはリフォームに近い補修になります。
つまり、劣化が激しい物件は入居者が敬遠するだけでなく、補修作業も高額になるリスクがあるというわけです。そうなると、せっかく少額で物件を購入しても、結局高くついてしまいます。
まずは区分マンションが良い
5つ目のポイントは、少額で不動産投資するなら、まずは区分マンションを選ぶと良いという点です。不動産投資を少額で行うなら、区分マンション・区分アパート・一棟アパートがスタンダードですが、その中でも区分マンションが良い理由は以下の通りです。
- 資産価値が維持される
- ランニングコストが読みやすい
- セキュリティ面でターゲットが広がる
- 室内環境が良い
資産価値の維持される
まず、区分マンションは基本的に鉄筋コンクリート造であり、アパートは木造か鉄骨造です。そのため、耐用年数に以下の違いがあります。
- 木造:20年
- 鉄骨造:22年~38年(概ね30年)
- 鉄筋コンクリート造:47年
もちろん、耐用年数を経過しても住むことはできますが、耐用年数を超えると売却するときの査定額はゼロになるケースもあります。つまり、鉄筋コンクリート造である区分マンションの方がリセールバリューは高いといわけです。
また、構造的に建物の劣化スピードも鉄筋コンクリート造の方が遅いので、資産価値が維持されやすいというのは事実です。まずはこの資産価値の維持という点から、区分マンションの方が少額投資には向いています。
ランニングコストが読みやすい
これは一棟アパートとの比較ですが、区分マンションの場合には管理費・修繕積立金というランニングコストが決まっています。共用部の清掃や補修もこのランニングコストでやりくりしますし、修繕積立金が上昇するぺースもあらかじめ決まっていることが多いです。
マンションの場合は長期修繕計画が策定されているので、その計画書を見ればランニングコストが大体分かります。一方、一棟アパートの場合は、共用部の管理や補修は自分で行わなければいけません。そのため、数年後に100万円以上の補修費用が掛かるかもしれませんし、30万円程度かもしれません。
つまり、ランニングコストが読めない分、収支計画が崩れやすいということです。そうなると、せっかく少額で物件を取得したのに、そのメリットが消えるくらいの支出になるかもしれません。この点が、区分マンションの方が少額投資に向いている2つ目の理由です。
セキュリティ面でターゲットが広がる
一般的に、アパートよりもマンションの方が設備・仕様が高いです。オートロックが付いているマンションであれば、それだけでアパートとのセキュリティの差は歴然でしょう。また、警備システムと提携しているマンションも多いですし、玄関が二重ロックだったり、ピッキング不可能な鍵を採用していたりするケースも多いです。
このように、セキュリティの観点からはマンションの方がアパートより上なので、マンションの方が入居者のターゲットが広がります。特に、女性単身の方はセキュリティ面を重視する傾向があるので、セキュリティ面は賃付けのしやすさにつながるポイントといえます。
このセキュリティ面での違いが、少額の不動産投資で区分マンションをおすすめする3つ目の理由です。
室内環境が良い
また、前項のセキュリティ面以外にも、断熱・遮音性もマンションの方が高いです。単純に構造面での違いもありますし、開口部のつくりが異なるので気密性が全然違う点も理由の1つになります。断熱性や遮音性は生活のしやすさに直結するので、入居率の向上・退去率の低下につながります。
それだけでなく、遮音性が高いということは、隣人とのトラブル防止にもなるのです。マンションやアパートは集合住宅なので、音にまつわるトラブルは多いです。しかし、遮音性が高いマンションであれば、そのトラブルリスクが軽減します。
以上、4つの理由によって、少額投資をはじめるなら区分マンションがおすすめなのです。
サブリースには注意する
6つ目のポイントは、サブリースには注意するという点です。結論からいうと、サブリースで物件を運用すると、収益がさらに低下するリスクがあるのです。以下より、サブリースとは何か?という基本的な部分から解説していきます。
サブリースとは?
サブリースとは、「一括借り上げ」ともいいますが、サブリース会社(不動産会社)が賃借人となる契約形態です。通常は、一般個人が賃借人となるので、その一般個人とオーナーで賃貸借契約を結びます。一方、サブリースの場合はオーナーとサブリース会社で賃貸借契約を結びます。
そして、そのサブリース会社が一般個人と賃貸借契約を結ぶので、いわゆる「又貸し」の状態になります。オーナーからすると、たとえ一般個人が賃付けできなくてもサブリース会社から賃料をもらえるので、空室の状態でも毎月賃料が入ってくるというわけです。
しかし、サブリース会社に賃料の10%~15%程度の手数料を支払うので、収益は相場賃料から10%~15%下落します。また、更新料や礼金も本来オーナーが受け取りますが、サブリースの場合はサブリース会社が受け取ることもあります。
つまり、サブリースを選択すると、満室保証はあるものの収益は落ちてしまうということです。
少額投資はもともと収益が低い
エリアなどにもよりますが、仮に1,000万円で取得した物件の利回りが5.5%だったとしましょう。その場合、年間で55万円の収益ということになります。もちろん、55万円の収益も少額ではありませんが、3,000万円の物件で利回り5.5%なら165万円が収益です。
つまり、少額の不動産投資は資産が少額な分、収益額も少額になるというわけです。そんな少額の不動産投資で、さらに手数料が発生し礼金・更新料までサブリース会社に支払うことになれば、赤字リスクが高くなります
収益が少額だからこそ支出は抑える必要があるので、少額投資とサブリースの相性は決して良いとはいえないでしょう。仮に、サブリースを検討する場合、入念な収支計算を行った上で選択することが重要です。
ノウハウを学べなくなる
また、サブリースをするということは、賃付け作業の全てをサブリース会社に委託します。本来であれば、広告展開や、賃借人と賃貸借契約を結ぶかのジャッジ・・・ほかにも保証会社を利用するかどうか、初期費用を見直すかどうかなど、オーナーとして判断するポイントはいくつかあります。
それは「手間」ともいえますが、逆にいうと不動産投資のオーナーとしては「ノウハウが蓄積される」ともいえるのです。サブリースをすることで、そのノウハウを学べなくなるということは、特に投資物件を増やそうとしている人にはデメリットといえるでしょう。
サブリースを選択するかどうかは、上述した「支出」の面だけでなく、このノウハウに関しても加味しながら検討しましょう。
REITとの違いを知る
7つ目のポイントは、REITとの違いを知ることです。というのも、少額の不動産投資というとREITと比較されることも多いので、「REIT VS 現物不動産投資」の構図はよく起こるからです。
そのため、REITに関して以下の点を解説します。
- REITの仕組み
- REITと現物不動産投資の違い
REITの仕組み
REITとは不動産を証券化したものであり、その仕組みは株式投資と似ています。たとえば、Aという銘柄のREITがあるとして、証券会社を通してAという銘柄のREITを200万円分取得したとします。投資法人Aは、投資家から集めたお金で不動産を購入し、その不動産から家賃収入をあげます。
そして、その家賃収入から運営会社への経費や、投資法人の利益などを差し引いて、残りの収益をREIT(証券)所有者に分配するという仕組みです。この分配金も投資家の収益になりますし、REIT自体を売買することで得る売買益も投資家の収益になります。
一方、物件の運用に失敗すれば分配金はありませんし、REIT価格が下がれば売買をして損することもあります。
REITと現物不動産投資の違い
そんなREITと現物不動産投資の違いは以下の点です。
項目 | REIT | 現物不動産投資 |
---|---|---|
レバレッジ効果 | △小さい | ◎大きい |
必要な資金 | ◎数万円~ | △数十万円~ |
収益性 | ×~△運用による | ×~◎運用による |
損失計上リスク | 〇マイナスはない | ×マイナスもある |
流動性 | ○高い | ×低い |
※横スクロールできます。
結論からいうと、運用に成功したときの収益は現物不動産投資の方が大きいですが、リスクとしてはREITの方がやや低いといえるでしょう。REITだとレバレッジ効果が小さく、収益性が低いので資産をつくるという意味合いでは向いている投資とはいえません。
投資商品の1つとして所有するのは良いですが、将来的な資産をつくっていきたいなら現物不動産投資の方が良いでしょう。
レバレッジ効果
レバレッジ効果は上述したように、融資を利用できるので現物不動産投資の方が大きいです。信用取引を利用すれば、REITも3.3倍ほどはレバレッジ効果を利用できますが、それでも融資のレバレッジ効果には勝てません。このレバレッジ効果の違いが、結果的に収益性に直結するというわけです。
必要な資金
REITは「1口○○万円~」のような取得単位になります。銘柄によっては数万円から取得できるREITもあるので、最も少額からであれば数万円からはじめることも可能です。ただ、当然ながら少額であるほど収益額は小さくなります。
一方、現物不動産投資はフルローンでも諸費用分は手持ち資金を捻出することになります。ただ、それでも100万円以下から始めることは可能なので、投資をはじめる必要な資金としては少額といえるでしょう。
収益性
収益性は上述した「レバレッジ効果」以外に、利回りという観点からも現物不動産投資の方が上です。REITの利回りは平均4%程度※ですが、現物不動産投資は上手く運用すれば10%ほどになることもあります。
もちろん、REITにはもっと利回りの高い銘柄もありますし、現物不動産投資は逆に利回りが4%以下の物件もあるでしょう。しかし、押しなべて比較すると現物不動産投資の方が利回りは高くなる可能性も秘めており、収益性が高くなる可能性は高いです。
損失計上リスク
REITは、投下した資金がゼロになるリスクはありますが、借金だけ残るというケースはないです。一方、現物不動産投資の場合は、何かの事情で保有している物件が滅失・毀損して、賃貸運用できなくなると借金だけ残るケースもあり得ます。
もちろん、そのような状況になるのは稀ですが、損失計上リスクでいうと現物不動産投資の方が高いといえます。
流動性
流動性は、株式投資と同じくREITの方が高いです。REITは証券市場に上場されているので、証券会社を通じてすぐに決済できます。一方、不動産投資は決済まで時間がかかります。
「少額」というキーワードで不動産投資を検討していると、必ずREITも候補に挙がってきます。上記の違いを認識し、現物不動産投資を少額ではじめるメリットを理解しておきましょう。
まとめ
このように、現物不動産投資を少額ではじめるときには、物件取得の観点でも、運用の観点でもポイントがあります。重要な点は、少額という「価格」だけに惑わされないことです。不動産投資の本質は、毎月安定的に家賃収入を得ることであって、いかに安く物件を取得するか?ということではありません。
つまり、物件価格は少額とはいえ、きちんと収益を生み出す物件でないと投資する意味がないのです。その点を踏まえ、上述した7つのポイントを抑えながら投資に臨みましょう。