メニュー

はじめての不動産投資をOh!Ya(オーヤ)で知る・学ぶ・実践する

資料請求 面談予約

きちんと売れる?不動産投資の初心者が物件を売却するときの基礎知識

By Oh!Ya編集部

1,790view

きちんと売れる?不動産投資の初心者が物件を売却するときの基礎知識

不動産投資で最も一般的なものは収益物件の賃貸経営です。収益物件は主にアパートやマンションなどが多く、部屋を入居者に貸して住んでもらうことで家賃収入を得るという仕組み。

収益物件の賃貸経営は、「定期的に家賃収入がある」というのが大きなメリットですが、物件を運用していくには費用が掛かります。管理費や修繕費用などをはじめ、固定資産税といった税金負担も。こうした諸費用や税金は経費として計上することができるので、所得税などの節税対策につながります。

しかし、年数を追うごとに建物は劣化していき、資産価値が下がってしまう可能性もあるのです。不動産投資は、収益物件の賃貸経営だけでなく「出口戦略(売却)」も重要です。 ここでは、不動産投資の初心者にもわかりやすく、収益物件を売却するタイミングや売却方法をご紹介いたします。

目次

不動産投資での物件売却について考えよう

空とマンション

収益物件の賃貸経営が安定していても、将来的には建物劣化や土地周辺の状況変化によって物件の価値は下がっていきます。建物が傷むと、その都度修繕していかなければなりません。その分、経費としての支出も増えてしまうことになるでしょう。 建物や設備が古くなれば次第に入居者もつきにくくなり、家賃の値下げをしないと空室が長期化することにもつながるのです。

不動産投資を始めたばかりの初心者の方も、出口戦略を立てておくことは将来のリスクを軽減する意味でも重要です。収益物件の資産価値が下がりきる前に売却をして、キャピタルゲイン(売却益)を得ながら次の投資に活かしていきましょう。

では、いつ売却をすればいいのでしょうか?

不動産売買の差額で獲得する売却益

買った物件の価格に対して、売却したときの価格のほうが大きければ、その差額が利益となります。いつも物件を買ったときよりも高く売れれば問題ないのですが、必ずしもそうなるとは限りません。

経済情勢に連動して不動産市場の価格は変わりやすい傾向にあります。そのため、不動産投資をする最初の段階から出口(売却)を考えておいたほうが、売却するタイミングがつかみやすくなるのです。

売却のタイミングは?

たとえば3,000万円で収益物件を購入していた場合。10年後に物件の価値が同じ3,000万円のままとはかぎりません。また、10年後の経済情勢も変化しているでしょう。いまの1,000円札が、10年後にいまと同じ1,000円札の価値である保証も無いのです。 こうした不動産価値の減少も考慮して売却計画を立てておきましょう。

不動産を購入したときは、建物に掛かった費用を減価償却していくことができます。たとえば建物の価格が1,000万円だった場合は、その購入費用を数年に分けて「減価償却費」として計上していくのです。もし10年で減価償却していくのなら、1年間あたり100万円ずつ減価償却費として経費計上していくことができます。

減価償却の期間が終わると、減価償却費として経費計上していくことはできません。計上できる経費が減った分の所得が増えてしまうため、所得税も上がることに。 10年後に減価償却が終わったタイミングで物件の売却をするのも、出口戦略としては有効なのです。

必ずしも買い<売りではない

不動産投資は、物件を安く買って高く売ることでキャピタルゲイン(売却益)を得ることが基本です。しかし、常に物件を買った価格よりも高く売れるわけではありませんよね。

物件の価値が購入時よりも下がってしまうということは、まだ売却していなくても「含み損」を抱えている状況でもあります。不動産を購入するときは、できるだけ相場よりも安く買うことを意識しておきましょう。

また、収益物件の価格が3,000万円だとすると、その3,000万円の中で土地と建物の価格が占める割合も重要です。建物は経年劣化によって資産価値が下がっていきますが、土地の場合はよほどのことがなければ極端に大きく値下がりすることはありません。

物件価格3,000万円の内、「土地が2,000万円」「建物が1,000万円」だった場合は、建物価格1,000万円の部分についてのみ価値が下がっていくという予測が可能です。 不動産投資をする最初の段階から、物件価格に対する土地・建物の価格構成比を算出しておくと、売却のタイミングがわかりやすくなります。

売却時のキャッシュフローを見る

物件の売却タイミングを計るためには、売却したときのキャッシュフローを想定しておきましょう。 物件を購入してから10年後に減価償却が終わるように計画を立てていた場合でも、5年後に「残りの減価償却費」よりも「売却益」のほうが多く得られるのであれば、そこが売却のタイミングと言えます。

現在 
物件購入価格3,000万円
年間家賃収入360万円
▲諸経費等▲144万円
年間キャッシュフロー216万円
▲減価償却費▲100万円
帳簿上の年間所得116万円
5年後 
売却価格2,800万円
家賃収入累計1,800万円
▲諸経費累計▲720万円
(+追加の建物・設備等の修繕費)72万円
5年間のキャッシュフロー1,008万円
▲減価償却費累計▲500万円
5年間の帳簿上の累計所得508万円
▲売却損▲200万円
売却損を含む5年間のキャッシュフロー808万円
売却損を含む5年間の帳簿上の累計所得308万円
10年後 
売却価格2,000万円
家賃収入累計3,600万円
▲諸経費累計▲1,440万円
(+追加の建物・設備等の修繕費)288万円
10年間のキャッシュフロー1,872万円
▲減価償却費累計▲1,000万円
10年間の帳簿上の所得872万円
▲売却損▲1,000万円
売却損を含む10年間のキャッシュフロー872万円
売却損を含む10年間の帳簿上の所得▲128万円

まず5年後の売却損を含むキャッシュフローが808万円なのに対して、10年後のキャッシュフローは872万円です。5年後と10年後では、ほとんど差がありません。5年間のキャッシュフローの差は64万円です。

また、賃貸物件の運用に掛かる諸経費も年数を追うごとに上がっていきます。とくに建物や設備の修繕費などは、消耗度合いに応じて値上がりしていくのが一般的。そのため、上記の表では5年後の諸経費に対して10%、10年後の諸経費に対して20%を加算しています。

減価償却は10年後に終わるように設定していますが、物件を購入してから5年後に売却してもしっかりとキャッシュフローが出るという仕組みです。 5年後に売却した場合は、減価償却できる経費がまだ500万円ほど残っていますが、10年後にすべて減価償却できたとしてもキャッシュフローはあまり変わらないのがわかります。

インカムゲインとのバランスを確認しよう 

インカムゲインとは家賃収入のこと。不動産投資で利益を得るためのメインとなるのがこのインカムゲインです。いつまでにいくらの家賃収入を得て売却するのが良いのか、という予測をしておきましょう。

上の表のように、5年後のインカムゲインや諸経費などに対して、どれくらいのキャッシュフローが見込めるのか。売却の損益を入れるといくら手元に残るのか、という着地予想をしておくことで、売却のタイミングがわかりやすくなってきます。

売りたい不動産を査定してもらう

物件を売却するときは、まず不動産会社に査定をしてもらいましょう。インターネットを利用してパソコンやスマートフォンから簡単に査定依頼を出すことができます。 一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社にまとめて依頼が可能です。

売却査定数累計35万件の一括査定サイト。

不動産・住宅情報のポータルサイト。不動産売却の相談や一括査定も行っています。

全国で1,700社以上の不動産会社と提携している一括査定サイト。同時に最大6社の不動産会社と売却相談ができます。

区分所有マンションの売却

不動産投資で始めに手を付けやすいのが区分所有マンションです。1棟アパートなどに比べて購入価格が低いことから、サラリーマン大家さんも増えてきています。

区分所有マンションは、単身者向けの「ワンルームタイプ」と「ファミリー向けのタイプ」の2種類。もし、区分所有マンションを賃貸経営している場合でも、しっかりと出口戦略を考えておきましょう。

単身者が多いワンルームタイプは入居者の入れ替わりが激しい傾向にあり、立地が良ければすぐに入居者がつきますが、常に空室リスクと戦うことになります。 逆に、ファミリー向けタイプは家族で住んでいる場合がほとんど。転勤や子供の学校区の変更で引っ越す、などの理由がなければずっと住み続けることが多いです。

区分所有マンションも、ずっと安定して家賃収入が得られれば良いのですが、建物の損傷や経済情勢の変化によって収入と支出のバランスが崩れてくる可能性もあります。1棟アパート経営に比べてキャッシュフローも少ないため、もし「投資規模を拡大」していくのであれば早めの売却を意識しておいたほうが良いでしょう。

深刻化する空き家問題 

全国的に増え続ける空き家は、防災上や防犯上の理由から深刻化しています。建物の倒壊や不法侵入などが起こり、近隣住民に大きな影響を及ぼしているのです。

国土交通省が、空き家対策として2015年5月から空き家対策特別措置法をスタートさせました。正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」と言います。 法律によって空き家の対処がバックアップされることになるため、これからは住宅を売却するライバルが増えてくるでしょう。

収益物件と住宅は性質が異なりますが、多くの空き家(もしくは古家付き土地や更地にした土地)が不動産市場に売却物件として出てくると、土地や建物の価格に影響する可能性もあるのです。

実家が空き家になってしまったら3年以内に売却

もし親と離れて暮らしていた場合。親が住んでいた実家を相続すると、そのまま空き家になるケースが多いのではないでしょうか。 実家が空き家になると、きちんと管理をしないとどんどん老朽化が進んでいってしまいます。「特定空き家」として認定されてしまうと固定資産税の特例を受けることができなくなり、税金負担がかなり増えてしまうことに。

相続した空き家を3年以内に売却すれば、3,000万円特別控除を受けることができます。正式名称は、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除。 通常は、物件を売却して利益を得た場合は譲渡所得税が課税されますが、3,000万円までは控除が適用できる制度です。

空き家の管理には管理費や修繕費なども掛かってしまうため、誰も住む予定がないのであれば、早めの売却をおすすめします。

不動産を売却するときの流れ

不動産ビジネスマン

物件を売却するときは、きちんと段階を踏んで進めていく必要があります。売却の流れや仕組みがわからないまま進めると、売却価格が適正かどうかの判断がつかないからです。

競合物件の価格を調べよう

まずは売りたい物件がある場所と同じエリアにある競合物件を調べておきましょう。不動産ポータルサイトを利用すれば、簡単に物件価格を調べることができます。

一般的なポータルサイトは以下の通りです。

同じエリアで競合している物件がないかをまず調べます。そこから自分の物件と同じ条件で売却に出ている競合物件の価格を見てみましょう。

たとえば、区分所有マンションとして1階部分の部屋を自分が持っている場合。競合物件が同じマンションの10階部分にあって3,000万円で売却しているのであれば、1階部分がそれ以上高く売れることはありません。 マンションは上の階層にいくほど人気が高いからです。

競合物件の売却価格に応じて、自分の物件価格や売却期間を設定しましょう。ただし、安易に「競合物件より少しだけ安い価格」に設定するのではなく、3段階で売却のゴールを決めることが大切です。

①売れたらラッキーだなという価格
②相場的に売れそうな価格
③これ以上は下げられない価格

競合物件の売主の状況によっては、相場よりも高い価格で売りに出していることがあり、逆に売り急いでいるために安めに設定している場合もあります。競合物件の出方を見ながら、売却期間と価格を調整していきましょう。

自分の住宅価格を調べよう

競合物件を調べると同時に、自分の物件価格についても調べておきましょう。収益物件の場合は、収益還元法や取引事例比較法といったやり方で不動産価格を算出できますが、一番早いのは不動産のプロに査定をしてもらうことです。

不動産査定業者に依頼しよう

一般的に不動産の売却は、不動産仲介業者に依頼することになります。収益物件だけでなく中古住宅の個人間売買であっても同様です。 物件の査定も同様に、不動産仲介業者に任せることで素早く不動産相場を知ることができます。

前述の通り、不動産一括査定サイトを利用すれば、短時間で複数の仲介業者と売却の相談・査定が可能です。うまく活用していきましょう。

不動産仲介業者に依頼する

査定が完了したら、実際に物件の売却を不動産仲介業者に依頼します。不動産業者は、仲介手数料を売主・買主から貰うことで利益を得ていますが、これは不動産のプロが取引に介入することで安全な売買が行えるようにするための手数料です。

個人間だけで不動産売買を行うと、知識のある者のほうが得をします。売主・買主どちらか一方だけが得したり損をしないために、不動産業者が仲介人として売買の手助けをしているのです。 不動産の売却に関しては、積極的にプロに相談しましょう。

媒介契約は3つの種類がある

不動産を売却するときは、不動産仲介業者と媒介契約をします。媒介契約は3つの種類に分かれているのをご存知でしょうか?不動産会社の担当者によって、勧めてくる媒介契約の内容が異なる場合があります。

媒介契約は、大切な物件の売却を仲介業者に任せるための重要な契約です。予め内容を理解しておきましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、1つの不動産仲介業者だけに縛られることなく、同時に複数の業者に売却を委任できる契約形態です。 複数の不動産仲介業者が売却活動をしてくれるというメリットがあります。ただし、一般媒介契約はレインズ(不動産流通機構)の登録義務がありません。

レインズ(REINS)とは、不動産流通標準情報システムのことで、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しています。全国の不動産仲介業者がレインズのWebサイトにアクセスして物件情報を共有しているサービスです。

また、一般媒介契約は売却活動を売主に報告する義務がないため、定期的に売却の進捗を業者に確認しなければなりません。

専任媒介契約

専任媒介契約は、1社の不動産仲介業者としか媒介契約ができません。しかし、契約締結から7日以内にレインズへ登録しなければならない義務があります。また、14日に1回以上の報告義務があるため、売主に売却活動の進捗を報告しなければなりません。

もし、専任媒介契約をした後に売主が自分で買主を見つけてきた場合は、そのまま売買契約をすることができます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約も、1社とだけの媒介契約となります。不動産仲介業者は、専属専任媒介契約を締結してから5日以内にレインズへ登録する義務があり、7日に1回以上の報告義務があります。 売主が自分で買主をみつけた場合でも、仲介業者を無視して売買契約をすることはできません。

不動産仲介業者にとっては、専任媒介よりもさらに責任が重い契約と言えるでしょう。

どの媒介契約がいいの?

こうして見ると、複数の不動産仲介業者に売却を依頼できる一般媒介契約が良いように思えます。しかし、売主が複数の仲介業者と一般媒介契約をしているということは、業者目線で考えると「仲介手数料が貰えない」、というリスクがあるのです。

たとえば売主が、「Aの仲介業者」と「Bの仲介業者」の2社と一般媒介契約をしていた場合。先に「Bの仲介業者」が買主を見つけてきて売買契約をすると、「Aの仲介業者」にはなにもメリットがありません。 「Aの仲介業者」は仲介手数料が貰えなくなるため、仲介業者にとっては、結局「早い者勝ち」になってしまうのです。

また、媒介契約をした仲介業者は預かった「売却物件の情報」を、レインズなどのインターネット上や紙媒体に広告を出して他の不動産会社へ共有します。 基本的に、どの媒介契約であっても、買主を探すのは「売却物件の情報」を見た他の不動産会社です。

もちろん媒介契約をした仲介業者も買主を探しますが、仲介手数料が貰えないかもしれない「一般媒介契約」の業者が、真剣に売却活動をするでしょうか?

それよりも、売主が1社にしか売却物件を預けられない「専任媒介」や「専属専任媒介」契約をした仲介業者のほうが、より必死に売却活動を行うでしょう。確実に仲介手数料を獲得できるからです。

さらに、媒介契約をした仲介業者が買主を見つけてきた場合は、売主・買主の双方から仲介手数料を貰うことができるため、利益が2倍になります。 不動産用語でこれを「両手」と言います。 (売主・買主どちらか一方から仲介手数料を貰う場合は「片手」です)

仲介業者が真剣に売却活動を行うとしたら、「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」になるのではないでしょうか。

買主と売買契約

売買契約書

不動産仲介業者の売却活動によって買主が決まったら、売買契約を行います。売主・買主の間に仲介業者が入って売買契約をするので、個人同士の売買であっても安心です。

一般的には、物件調査や売買契約書の作成は不動産仲介業者が行います。物件に関する建築基準法上の確認や、登記事項証明書などの取得も仲介業者が行う場合がほとんど。

売主は、初めに物件を購入した際にもらった書類と、実印・印鑑証明、本人確認書類などを用意しておけば大丈夫です。また、売買契約時に仲介手数料の全額または半額を支払うのが一般的です。

決済と引き渡し

売買契約が完了したら、売主・買主双方が相談して残代金の決済と物件の引き渡し日を決めます。たいていの場合は、不動産仲介業者が双方の意見を聞いて予定を組んでくれるでしょう。

不動産の売却に掛かる費用は?  

実際に物件の売却にはいくら掛かるのでしょうか。不動産を売るときは、諸費用や税金の負担があります。どんな費用があるのか、事前に確認しておきましょう。

物件の売却時に掛かる費用はわりと少なめ

一般的な不動産の売却に掛かる費用は以下の通りです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権抹消登記費用
  • 司法書士への報酬
  • 譲渡所得税
  • 各種精算金
  • 公租公課精算金

仲介手数料

仲介手数料は、物件売却の媒介契約をした不動産仲介業者に支払います。物件価格が400万円を超える場合は、売買価格の3%+6万円が仲介手数料としては一般的です。

印紙税

印紙税は、売買契約書に貼って納税します。売買契約書などは課税文書として扱われており、「文書の内容」を法律で保証する代わりに、印紙税という形で税金を納めなければなりません。

抵当権抹消登記費用

抵当権抹消登記費用は、売却物件に設定されている抵当権の抹消登記をするために必要な費用です。もし売主が銀行など金融機関のローンを利用して物件を購入している場合、銀行がお金を貸す代わりに担保として不動産に抵当権を設定しています。

抵当権が付いたままでは、物件を買う人は困ってしまいますよね。そのために、売却物件を引き渡すまでに抵当権を抹消しておく必要があるのです。

司法書士への報酬

司法書士は物件の所有権移転登記などを行います。登記手続きなどを司法書士へ依頼することで手数料として報酬を支払うのが一般的です。

譲渡所得税

不動産を売却して利益を得た場合は、譲渡所得税として税金を納めなければなりません。譲渡所得税は売却するタイミングによって税金の負担が違います。 物件を取得(購入)してから5年を超えて売却した場合は、長期譲渡所得。逆に物件取得から売却するまでの所有期間が5年以下の場合は、短期譲渡所得として計算されます。

もし住宅を売却したときは、3,000万円特別控除などの特例措置があるので活用しましょう。

各種精算金

管理費・修繕積立金などの諸経費や保険料を売主が負担している場合は、物件の決済と引き渡し日の時点で按分して買主と精算します。

公租公課精算金

固定資産税や都市計画税などは、1月1日の時点で不動産を所有している人のところへ税金の請求がきます。そのため、不動産を売買した際には、売主が負担している1年分の税金を、「各種精算金」の場合と同様に買主と按分して精算することになるのです。

売却を依頼する不動産仲介業者の注意点

不動産仲介業者

物件の売却を依頼する際は、自由に不動産仲介業者を選んで媒介契約をすることができます。しかし、仲介業者の中には、販売力が強いところと弱いところがあったり、担当者の「知識がある・ない」など様々です。 また、売却物件が所在するエリアに対して得意・不得意などがあることを理解しておきましょう。

不動産仲介業者を選ぶときのポイントを以下にまとめました。

不動産仲介業者は慎重に選ぼう

不動産仲介業者によっては、売却物件の査定の仕方もそれぞれ異なります。一括査定サイトなどを利用した場合は、各不動産仲介業者からメッセージや電話などで連絡がきますが、どういう査定方式をとるかは業者によって違うのです。

机上査定と訪問査定

机上査定とは、データベースを利用して物件価格を算出する方法です。過去に売買された取引事例などを基に売却価格を計算していきます。 また、対象物件があるエリア内の類似物件(競合物件)と比較したり、不動産市場の動向なども考慮して査定を行うのが一般的です。

訪問査定は、対象物件の現地まで仲介業者の担当者が直接行き、土地・建物の現況や周辺環境を調査します。

不動産仲介業者は、簡易的に机上査定のみを行うところと机上査定に加えて訪問査定も行うところがあるので、どんな査定を行うのか仲介業者に訊いてみましょう。逆に簡易査定と訪問査定のどちらにするか仲介業者のほうから訊いてくる場合もあります。

不動産仲介業者の建前と本音

不動産仲介業者は、住宅や収益物件の売買を仲介することで手数料を得て売り上げを作っています。売主から売却物件を預かって媒介契約をした場合は、他の不動産会社が買主を見つけてきても、売主から仲介手数料が得られます。

逆に売却物件を預かっていない場合は、他の不動産会社が出している売却情報を見て買主を探さないと、仲介手数料が入ってきません。 不動産仲介業者としては、ずっと買主を探すために動き続けるよりも、売主から物件を預かっているほうが楽なのです。もちろん自社で買主を見つけることができれば仲介手数料は2倍になります。

しかし、案件が多すぎると手が回らなくなることもあるため、売却物件の広告を出して売却活動をしているほうがリスクは少なく安心できる、というのが不動産仲介業者の本音です。

「売却求む!」のチラシは本当?

分譲マンションで多いのが「売却求む!」のチラシ。よくポストに投函されています。分譲マンションは区分(各部屋)ごとに個人が所有しているため、売却物件として預かることを目的としてチラシをポスト投函しているのです。

「売却求む!」チラシの内容は、「〇〇マンション限定!あなたがお住まいのマンションを購入したいという人がいます……」という出だしで手紙のような文章が書かれているのが一般的。本当にそのマンションの購入を希望している人がいることもありますが、たいていは不動産仲介業者の建前です。

できるだけ自社で預かる売却物件を増やして仲介手数料を稼ぎたい、というのが本当のところ。

とはいえ、基本的に「売却求む!」チラシは、売れる見込みのあるところにしか投函しません。せっかく売却物件を預かっても「なかなか買主が決まらない」のでは意味がないからです。

そのため、求むチラシが入っているということは、「売却しやすい物件」の可能性が高いと判断できます。

売却依頼は大手業者か地場業者か

不動産会社(宅建業者)の数は、平成29年度末時点の統計では、123,782社です。 (参照:不動産適正取引推進機構 宅建業者の統計)

およそ12万社もの不動産業者が存在しており、その中から売却物件を依頼する不動産会社を探すことになります。

不動産会社は、全国的に展開している大手の業者と、地域に密着して経営している地場の業者がいます。それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが良いとは言い切れません。物件のエリアや周辺の環境によっても大きく異なるからです。

大手業者は全国に多くの店舗を展開しているため、膨大な物件情報のデータを各店舗で共有しています。また、地場の不動産会社と提携している場合もあるので、地方のエリアにも強いのが特徴です。 しかし、全国展開のため担当者の転勤なども多く、物件の売却を依頼した担当者が別の人に変わってしまうことも。

地場の不動産会社は、地元のエリアに強いのが大きな特徴。物件の細かい部分まで知っていたり、周辺の住民や、過去の不動産取引事例に詳しいのが強みです。担当者もずっと同じところに住んでいる場合がほとんどなので、安心して任せられる、といったメリットがあります。

不動産仲介業者を見極める10のポイント

物件の売却を依頼するとき、不動産仲介業者をどうやって選べばいいのでしょうか。仲介業者を見極めるポイントは10個。

1. 売却の流れについてきちんと説明があるか

不動産仲介業者によっては、売却相談をする担当者の経験や知識に差があります。売却の媒介契約から販売活動の進捗、売買契約をした後の引き渡しまで、きちんと流れを説明できるか見極めましょう。

よほど特殊な物件でない限り、売却の流れはたいてい同じです。一般的な売却の流れが説明できる担当者であれば問題ないでしょう。

2. 売却のノウハウを持っているか

売却物件を迅速に売るための販売力があるか、などを判断することも大切です。「通常はどんな売り方をされていますか?」など、担当の方に質問をしてみるのも効果的。実際にどんな売り方をしているのか細かく説明してくれる担当者であれば心強いです。

たとえば売却物件の中に荷物がある場合、内見希望者が現れたときは一時的に荷物を預かってくれるなどのサービスがあれば安心できます。また、室内にインテリアを置くなど、モデルルームのような演出をしていれば内見に来た購入希望者に良い印象を与えられるでしょう。

こうした「販売するためのノウハウ」が仲介業者にあるかを見極めていきましょう。

3. 瑕疵保険やインスペクションに対応しているか

不動産の売買は個人間で行うのが一般的。もし売買する物件に瑕疵(欠陥)があれば、通常は売主が瑕疵の修繕費用などを負担することになります。しかし、中古物件などの個人間取引では、売主の瑕疵担保責任を無くす特約を契約書に記載するケースが多いのです。

売買契約後に瑕疵が出てこなければ問題ないのですが、後から瑕疵が発見されると買主とトラブルになる場合も。収益物件を買う場合も同じなのですが、こうした瑕疵についての保険制度があるのです。

また、瑕疵保険だけではなくインスペクション(住宅診断)についても、しっかり提案できる担当の方がいる仲介業者であれば安心できます。

4. 広告が充実しているか

不動産仲介業者が預かった売却物件をどうやって広告しているのかチェックすることができます。ほとんどの仲介業者が、レインズや不動産ポータルサイトに売却物件情報を登録するので確認しておきましょう。

「競合物件の価格を調べよう」でご紹介した不動産ポータルサイトを見れば、どうやって自分の物件が売りに出されているのかを見ることができます。

レインズは、もともと宅建業者にしか閲覧の権限が与えられていませんでしたが、いまは一般の方も閲覧できるようになりました。

もし紙媒体で広告を出している場合は、仲介業者に訊くと教えてもらえます。

5. リフォームやリノベーションの提案ができるか

不動産の売買は「現状取引」が原則です。中古物件を売却するときに、そのまま売りに出すのも良いですが、リフォームやリノベーションを行いキレイにすることで買主が付きやすくなります。

不動産仲介業者の担当者からリフォームやリノベーションの提案があれば、費用などについて詳しく訊いてみましょう。売却価格とキャッシュフローを考慮した上でメリットがあるようならリフォームをしてみるのも効果的です。

6. 売却に掛かる諸費用や税金について詳しいか

不動産を売却するときは諸費用と税金が掛かります。売却費用がいくら必要で、税金負担はどれくらいか、詳しく説明できる担当者かどうかを見極めておきましょう。 担当者の知識が少ないと、自分であれこれ調べる必要が出てきてしまい、なにかと手間が掛かります。

7. 売り急がさないか

担当者によっては、「いまが売り時ですよ!」と言ってくることがあります。本当に売り時なのかどうかはバランスシート(貸借対照表)やキャッシュフローなどを確認してから判断するのが良いのですが、「売り時です!」と言う根拠を訊いてみましょう。

もし根拠の説明が不十分であれば、担当者と仲介業者のメリットのためだけに発言している可能性が高いです。売主のことは「その次」なのでしょう。

8. 物件調査の対応が早いか

売却物件の査定を依頼したときや、実際に売買が決まった際には、不動産仲介業者は物件調査を行います。物件調査の対応が早ければ契約書などの完成も早まるので、売買の予定が立てやすくなるでしょう。 また、早めに物件調査が行われていると、後から設備の不具合などがあった場合でも対応が早くなるというメリットがあります。

9. 担当者が物件のメリット・デメリットをきちんと説明できるか

物件の購入希望者に対して、仲介業者の担当者がきちんと説明・提案ができるかが重要です。物件のメリットは伝えやすいのですが、デメリットについても説明できていないと、後になって「そんなこと聞いてない!」と買主からクレームが来る可能性もあります。

しっかりとメリット・デメリットが説明できる担当者かどうかを見極めておきましょう。

10. 担当者が宅地建物取引士の資格を持っているか

「宅建」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?もともとは「宅地建物取引主任者」が正式名称でしたが、2015年から「宅地建物取引士」という名称に変更されました。

不動産取引業をする際に重要な知識を有した者が「宅地建物取引士(略して宅建士)」です。また、不動産会社の事務所には、5人に1人の割合で宅建士を設置する義務があります。

売却の担当をしてくれる方が宅建士の資格を有しているかどうかも売主にとっては重要です。

売却したい不動産の相場は自分でも調べられる

白いマンション

最後に、売却する物件の不動産相場を自分で調べる方法をご紹介します。

収益物件の場合は、「収益還元法」を用いるのが一般的。収益還元法は、直接還元法とDCF法の2つがありますが、ここではわかりやすく直接還元法を使ってみましょう。

直接還元法の計算式
収益物件価格=年間純利益÷還元利回り
収益物件価格2,400万円=年間純利益216万円÷還元利回り9%

還元利回りとは、投資対象の収益物件から得られる利益の割合のこと。投資対象物件と同じエリアで売却に出ている類似物件の利回りや、過去の取引事例などを参考にして還元利回りを求めます。

年間純利益とは、1年間で得られる家賃収入から諸経費や税金などを差し引いた純粋な利益のことです。年間純利益を還元利回りで割ることで、収益物件の価格が算出できます。

路線価から土地価格をチェック

土地価格についてもっと詳しく知りたい場合は、路線価を見ることで土地の相場がわかります。

路線価とは、市街地の道路に面する宅地1平方メートルあたりの評価額のこと。 路線価は公示地価(国土交通省が定めた標準地の価格)の80%なので、以下の計算式によって土地の実勢価格(実際に市場で取引される価格)を算出できます。

土地の実勢価格の計算式
実勢価格=路線価÷80%×110%

路線価の調べ方

路線価は、「路線価図」のWebサイトから確認できます。

物件がある所在地をクリックしていきましょう。地図が表示され、そこに「230D」などといった記載があります。 これは、「230D」という表記がある道路に面した宅地の1平方メートルあたりの評価額のことで、23万円ということを意味します。宅地の1平方メートルあたりの評価額がわかれば、あとは土地の面積に乗じて計算するだけです。

まとめ

収益物件としての不動産を売却するときは、売却のタイミングが難しいところです。不動産投資で失敗しないためには、「いつまで賃貸経営を続けるのか」「物件を買ってから何年後に売却するのか」といった経営戦略を立てておかなければなりません。

物件の売却を依頼する不動産仲介業者も様々で、しっかりと見極めておかないと、「早く高く売る」ということが困難になってしまいます。不動産仲介業者は大手の業者と地場業者の2つのタイプに分けられますが、どちらを選ぶかは物件の環境などによって違います。 まずは売却査定を依頼してみて、相談してから判断すると良いでしょう。

不動産会社の担当者によっても経験と知識のレベルが異なるため、10個のチェックポイントを意識して見極めていくことが大切です。

不動産投資は物件を購入する「入口」から売却の「出口」まで、しっかりと戦略を立てておくことで成功へとつながっていきます。物件についてわからないことがあれば、どんどん不動産のプロに相談してみましょう。

関連記事