不動産投資に宅建・FPなどの資格は必要?どんな資格が役立つ?
By Oh!Ya編集部
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不動産に関係する資格というのは、メジャーなものだけでも数多く存在します。
たとえば、宅建(宅地建物取引士)はその最たる例です。いまから不動産投資を始めるなら、こういった不動産投資に関連する資格は必要なのでしょうか?
今回は、宅建・FPを始めとする資格が、不動産投資に必須か否かを解説していきます。
不動産投資に宅建・FPなどの資格は必要?
大家として成功を収めて、書籍を出している不動産投資家のなかには、不動産に関連する資格を保有している人が一定数います。そういった投資家を見たとき、「やっぱり資格は必要なのか」や「資格を持っているから成功したのだろうか」と考えてしまうものです。
しかし、資格を保有しているかどうかは、実際にはそれほど関係ありません。持っている知識量を一般人と比べたとき、確かに資格保持者は圧倒的に有利なのですが、資格保持者だけがその知識を得られるわけではないからです。
勉強さえすれば、資格保持者と同等の知識を得られるため、必ずしも資格取得を目的にする必要はないでしょう。
資格は不動産投資の成否に関係ない
資格そのものが不動産投資の成否に関係しないことは、現役投資家がコラムを寄稿する「楽待」の記事からも明らかです。
もともと仲介会社に勤務されていたキクさんのコラム、宅建を超える難関資格を持った鑑定士×投資家さんのコラムでも、資格保持者が特別何かしらの優位性を得ることはなく、むしろ最優先で学ぶべきことではないと主張しています。
ただ、不動産関連の資格を取得することに、一切のメリットがないともいえません。
不動産関連の資格を取得するメリット
資格取得を目先の目標として勉強をすれば、資格取得を通じて体系的に知識を学べます。目指すべきゴールも教材もないところから、やみくもに断片的な知識を身に付けるのと比べれば、素早く正しい知識を会得できるのは資格取得を目指す場合のメリットです。
さらに、不動産関連の資格というのは、保持しているだけで権威性があり「この人に嘘は通用しないだろう」といった抑止力になります。これにより、入居率の偽装やリフォーム工事費の高額請求など、素人がたびたび遭遇する被害を受ける可能性は低くなるはずです。
こうしてメリットを洗い出せば、資格そのものは不動産投資の成否に必ずしも影響しない一方、資格取得を通じて「不用意なミスをしない」といった能力を手に入れられるのだと分かります。
資格取得をゴールにしないよう要注意
資格取得は意義のある行為ではありますが、それ自体をゴールにしてしまってはいけません。独学による知識習得も、資格取得による学習も、結局は不動産投資を始めるための前準備に過ぎないのです。
資格取得を終えて、不動産投資に対する熱が冷めてしまったというエピソードもあるため、あくまで不動産投資を経て資産拡大を目指すための通過点だと意識しましょう。
不動産投資に関連する資格一覧
不動産投資に関連する資格の種類は多く、メジャーなものからマイナーなものまで含めれば、軽く10を超える数になります。この項では、そのなかでも特に不動産投資に活かしやすい資格をピックアップして、順番に解説していきます。
宅建(宅地建物取引士)
宅建は「宅地建物取引士」という国家資格の略称で、不動産に関連する資格の代表格として知られています。合格率は20%未満と低く、取得難度の高い資格の1つです。
宅建を保有している「宅建士」と呼ばれる人たちの仕事は、不動産知識のない顧客が不利益を被ることのないよう、契約上の重要事項を伝えることです。重要事項の解説は、宅建保持者のみに認められた行為であるため、仲介業者にとって宅建保持者は不可欠な存在だといえます。
ただし、不動産投資に関わる人が取得する資格ではあるものの、投資判断に直接関連する資格ではありません。そのため、不動産投資を始めるまえに「宅建を取得して不動産業界に転職したい」といった希望がなければ、取得の優先度は低いといえるでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)
経済状況や経済動向を考慮して、顧客に最適なライフプランを提案する「ファイナンシャルプランニング」の専門家である証が、FPの資格です。
FPの資格も不動産投資には直接関係しないものの、取得にあたり金銭管理や税制について深く理解する必要があるため、結果として「不動産賃貸業の資金管理」に役立ちます。
節税に対する認識も正しく備わることから、資産運用をする人にとって有意義な資格だといえるでしょう。なお、FPの資格には種類が3つあり、それぞれ取得の難度が異なります。
- FP技能士:国家資格で1~3級まで存在する
- CFP:1級FP技能士に相当する民間資格
- AFP:2級FP技能士に相当する民間資格
このうち、CFPとAFPは資格が更新制であるため、「維持に継続的な勉強が必要」という知識更新のモチベーションに繋がります。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、最終合格率1桁%台の超難関資格として知られており、資格保持者は希少性の高い人材として扱われています。
不動産鑑定士の主な仕事内容は、不動産の価値を求める鑑定評価業務のほか、不動産にまつわるコンサルティング業務など。一見すると、宅建やFPと比較して実務に近いため、投資にも役立てられそうに感じます。
しかし、先ほどご紹介した鑑定士×投資家さんのコラムのなかで、資格取得前に不動産投資について詳しく知っていれば、資格取得を目指さなかっただろうと言及されており、投資の現場に活かすのは難しいようです。
公認ホームインスペクター
公認ホームインスペクター(住宅診断士)は、住宅診断に関するプロであることを明示するため、資格試験に合格した者へ与えられる民間資格です。ホームインスペクションは「住宅の健康診断」と呼ばれることから、ホームインスペクターは住宅専門の医師だといえます。
ここまで紹介した資格とはやや異なり、現場に立ち入って物件そのものの状態を見極めるスキルが欠かせません。公認ホームインスペクターは、住宅の調査から以下のような問題点を洗い出します。
- 住宅の劣化状況
- 改修が必要となる箇所・時期
- 改修にかかる工事費用
昨今、不動産価格が高騰していることから、中古物件を手掛ける投資家も増えており、こういった投資家像を目標とするなら役立つ資格だといえます。
ただし、ホームインスペクションは相場費用が10万円に満たないこともあり、決して費用対効果の高い資格とはいえません。
業者に頼らず自身の力で中古物件の良し悪しを見極めたい、もしくは格安な中古物件を手掛けるため依頼費用がかさむであろう場合には、取得を検討する余地があると考えられます。
不動産投資の知識を身に付けるおすすめの方法
前半部分で解説したように、資格取得は体系的に知識を身に付けるうえで有効ですが、資格そのものが不動産投資の成否を分けるわけではありません。
不動産投資の成否を決めるのは、資格の有無ではなく「知識」と「事業者としての判断力」であるため、資格取得を目指さなくてもこの2点を押さえて勉強をすれば良いのです。
この項では、資格取得よりも不動産投資の知識習得に重きを置く人へ向けて、各勉強方法の特徴を解説していきます。
最新情報をいち早く得られる「ネット記事」
不動産市場の流れは、株式投資やFXと密接している金融市場ほど早くはありません。しかし、投資の世界は基本的に「新しい情報を持つ者」が有利になるため、最新情報の収集は必須です。
その点、出版後に更新されることのない書籍とは異なり、ネット記事は常に更新され続けているため最適な情報源だといえます。ただ、最新情報が公開されても、古い情報は消されることなく放置された状態なので、情報収集の際には公開日時の確認を忘れてはいけません。
現役投資家が出版している「書籍」
ネット記事と比べて情報が古くなりやすいからといって、書籍が不要なわけではありません。
ネット記事は情報が断片的になっている場合が多く、不動産投資を体系的に学ぶことには不向きです。一方で、ちゃんとした出版社を通して販売される書籍は、その多くがロジカルな構成となっており内容にも信憑性があります。
不動産投資をするうえで最新情報は重要になるものの、根底にある基礎部分は昔から変わりません。ネット記事を読んだとき、情報がそれぞれ繋がらず知識として定着しないなら、書籍による基礎学習が必要なタイミングだと判断できるでしょう。
通勤中のインプットは「オーディオブック・音声読み上げ」
ネット記事・書籍が学習方法として優れていることは知っていても、平日は満員電車や自動車での通勤、休日は家事に追われてまとまった時間を作れない場合もあります。
こういったとき有効なのが、オーディオブックや音声読み上げ機能を活用した、耳から行う情報収集です。オーディオブックは書籍をベースにしたものが多いので、書籍と同様に基礎学習に適しています。
ただし、これだけでは最新情報を収集できません。ここで、スマートフォンの音声読み上げ機能を利用した、ネット記事の自動音読が役立つのです。
オーディオブックと音声読み上げ機能、この2点を効果的に活用することで、じっくり腰を据えて勉強できないスキマ時間に情報収集を進められます。
セルフリフォーム・中古物件の解説は「動画」が最適
ネット記事や書籍を駆使すれば、不動産投資に関する大部分の情報は学べるのですが、これらは「文字+画像」での解説にとどまるため、現場の空気感を知る方法としては力不足です。
特にセルフリフォーム、いわゆるクロスやフローリング材の張り替えや、築古物件における内見時の留意点はどうしても伝わりづらいのです。こういった情報は、動的な情報を伝えやすい動画からインプットすることをおすすめします。
動画プラットフォームであるYouTubeは、以前に比べて不動産投資の教材系動画が増えてきました。現役投資家が投稿するリフォームや内見の現場は、実際に自身がそこにいるような感覚で空気感を体験できるため、文字ベースの学習方法とは異なる学びがあります。
また、トーク形式で進行する動画はオーディオブックに近い使い方ができるため、こちらも手がふさがっているスキマ時間を活かせる勉強法だといえるでしょう。
人脈作りを意識するなら「大家の会」に参加するべき
仲介業者は優良な投資案件を、わざわざ実績も現金も少ない素人に優先して流しはしません。すでに関係を深めている投資家や、資金力のあるベテラン投資家に案件を紹介した方が、スムーズに商談がまとまるからです。
そのため、素人が何の人脈もないところから投資案件を探すとなれば、ネット情報を参考にしたり実際に足を運んで仲介業者に聞き込んだり、時間のかかる泥臭い工程を踏む必要があります。
このプロセスを省略して、できる限り良い情報を手に入れようと思うなら、地域の不動産投資家が集まる大家の会などのコミュニティに参加するほかありません。やはり、昔から「人対人のビジネス」というイメージが強い不動産投資は、横の繋がりが重視されます。
つい、準備期間中は知識を身に付けることに集中しがちですが、知識と同じくらい人脈も重要であるため、一度は先輩投資家の集まるコミュニティに参加することをおすすめします。
「セミナー」に参加するなら中級者向けの有料セミナーがおすすめ
ひと昔前であれば、不動産投資の基本を教えてくれる無料セミナーにも、大きな価値がありました。しかし、ネット記事が充実しているいま、初心者向けの無料セミナーに参加をしても得られるものは多くありません。
それよりも、先行投資だと思って中級者向けの有料セミナーに参加する方が、ネット記事や書籍では学べないディープな体験談を学びとして得られるでしょう。
また、大家の会のように人脈を作るチャンスでもあるため、基礎知識を身に付けたあとは積極的に参加することをおすすめします。
まとめ
今回ご説明したように、資格は不動産投資の成否を左右するものではありません。そのため、資格取得で不動産投資の成功に近づくと考えていれば、思わぬ肩透かしを食らう恐れもあるのです。
ただし、不動産投資の知識を体系的に学ぶという観点では有効であり、資格保持者という肩書きは「素人から搾取しようとする悪徳業者」への抑止力にもなります。
資格が成功に直結するという見当違いのイメージと、現実的な効果の相違点を理解しているのであれば、どの資格も役立てる機会はあるはずです。資格取得を迷っているのであれば、本記事を参考に今後のプランを立ててみてください。