不動産投資はこれからどうなる?絶対に知っておくべき4つのこと
By Oh!Ya編集部
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不動産投資に興味があるものの、今後は人口も減っていくし大丈夫なのか…こんな風に思っている人は少なくないでしょう。
確かに不動産投資は商品が「住まい」なので、日本の人口減の影響はあります。しかし、単に人口減だからといって悲観するのではなく、きちんと根拠をもって不動産投資のこれからを考えなければいけません。
そこでこの記事では、不動産投資はこれからどうなるか?をテーマに、知っておくべき4つを解説していきます。
1.これまでの価格推移を知る
不動産投資のこれからについて知っておくべき1つ目は、「これまでの価格推移」についてです。この点に関しては以下を知っておきましょう。
- 新築不動産の価格は高水準
- 中古不動産の価格は高水準
- 契約率は高くはない
そもそも今の不動産市況はどうなっているのか?が分からなければ、不動産投資がこれからどうなっていくかは判断できません。
また、不動産投資で取得する物件の多くは集合住宅なので、今回ピックアップしているのはマンションの価格推移です。
新築不動産の価格は高水準
国土交通省が出典する不動産価格指数のデータによると、マンション価格の指数は以下の通りです。
- 2012年1月:102.8
- 2013年1月:102.5
- 2014年1月:110.5
- 2015年1月:118.1
- 2016年1月:126.8
- 2017年1月:133.7
- 2018年1月:139.3
- 2019年1月:147.4
この指数は2011年のマンション価格を100としており、そこからどのように価格が上下したかを数値化しています。上記を見ると、マンション価格の推移は右肩上がりになっていることが分かります。
中古不動産の価格は高水準
また、中古不動産の価格推移も基本的には新築マンションの価格推移と連動するので、右肩上がりで推移しています。
これは、東京カンテイが出典しているデータを見ても分かります。つまり、不動産価格は全体的に右肩上がりというわけです。
契約率は高くはない
次にマンションの契約率を見てみましょう。マンションの契約率とは、新築マンションが初月にどれだけ売れたか?の指標であり、消費者マインド(≒購買意欲)を反映しています。
そして、契約率は70%が好不調の境目といわれています。つまり、契約率が70%以上であれば、購買意欲が高いということです。
2017年~2019年の推移
不動産経済研究所の資料によると、2017年の契約率は67.1%、2018年は契約率67.5%、そして2019年は以下の通りです。
- 2019年4月度:64.3%
- 2019年3月度:72.2%
- 2019年2月度:66.5%
- 2019年1月度:67.5%
消費者マインドは悪くない
前項を見る限り、好不調の境目である70%を切っています。しかし、2017年から契約率にさほど変化はないものの、上述したようにマンション価格は上昇しています。
つまり、マンション価格は上昇しているのに、消費者マインドが下がっているわけではないということです。ということは、マンション価格に対して悲観的ではなく、購買意欲は決して低くないといえるでしょう。
つまり、マンション「需要」は低くないので、今後は現在の高価格を維持…場合によっては上昇する可能性もあります。仮に、現在の価格を「高い」と感じていれば、契約率はもっと低いはずだからです。
そのため、マンションを購入するタイミングとしては悪いタイミングではないでしょう。
2.オリンピック後に予想されることを知る
不動産投資のこれからについて知っておくべき2つ目は、「オリンピック後に予想されること」についてです。この点に関しては以下を知っておきましょう。
- オリンピック後の景気減退リスク
- 選手村の供給増は限定的
オリンピックは2020年という限りなく近い未来の話なので、その後に起こり得ることを知ることで、今後の不動産市況を予測しやすくなります。
オリンピック後の景気減退リスク
オリンピック後の景気減退リスクとは、オリンピックのお祭りムードが終わり、盛り上がっていた反動で消費マインドが下がるということです。
つまり、財布の紐が固くなり、不動産に限らず物全般が売れなくなる可能性があります。
このようなことは、「オリンピック」や「消費税増税前」など、消費者マインドが盛り上がった状況の後に起こり得るので、今回も景気減退する可能性はあるでしょう。
選手村の供給増は限定的
前項の「購買意欲の低下」もリスクですが、不動産市況にとって最大のリスクは「選手村が分譲マンションとして供給される」という点です。
需給バランスが崩れる
つまり、晴海エリアに建築されている選手村がオリンピック終了後に大量供給されることで、需給バランスが崩れて不動産価格が下がる可能性があるということです。
供給が多くなれば不動産価格は下落する可能性はありますが、晴海エリア以外への影響は限定的でしょう。
エリアが離れていれば関係ない
というのも、不動産は「エリアが近い物件」で比較検討するからです。たとえば、豊島区と晴海エリアの物件を比較検討する人は極めて少ないです。
つまり、晴海エリアから距離的に遠ければ、供給が増えても競合しないので不動産価格に影響はないでしょう。
そのため、投資物件を晴海エリアから離れて購入する…言い換えると需給バランスが選手村の供給とは無関係なエリア選定をすれば、オリンピックによる影響は小さいといえます。
3.融資が厳しくなっていることを知る
ここまでで、不動産の価格推移と契約率から、不動産を購入するタイミングとして今は悪くない点を解説しました。そして、オリンピックの影響はエリアを選定すれば大きな問題がない点も解説しました。
次に、不動産投資のこれからについて知っておくべき3つ目である、「融資が厳しくなっていること」についてです。この点に関しては以下を知っておきましょう。
- 不動産投資で融資は重要
- スマートデイズ事件を理解する
- 金融機関は審査を厳しくする
- 今後はより粘り強い交渉が必要
結論からいうと、不動産投資ローンの審査ハードルは上がっているので、金融機関とは粘り強い交渉が必要です。
不動産投資で融資は重要
不動産投資で融資が重要な理由は以下の通りです。
- レバレッジ効果を高められる
- 収益性を高められる
- 審査ハードルは元々低くない
- 金利による支出差が大きい
レバレッジ効果を高められる
ここでいうレバレッジ効果とは、小さい資金で高額な資産を取得することです。不動産投資はローンを利用できるので、レバレッジ効果が高い投資といえます。
どのくらいのレバレッジ効果になるかは借入者によりますが、たとえば「400万円の自己資金で4,000万円の物件を取得する」というように、レバレッジ効果10倍程度になることも少なくありません。
収益性を高められる
レバレッジ効果が高いということは、保有資産額が上がるということです。投資による収益は「保有資産額×利回り」なので、保有資産額が上がれば収益は上がりやすいといえます。
もちろん、不動産投資においては空室率や家賃下落率など色々な要素が加味されますが、レバレッジ効果が高いことで保有資産額が上がるのは事実です。
つまり、融資を利用することで保有資産額を上げ、それに伴い収益を上げられるチャンスが増えるということです。
審査ハードルは元々低くない
不動産投資ローンは以下の項目を審査します。
- 借入者の年収や年齢
- 勤務先や勤続年数、雇用形態
- 信用情報(過去の延滞歴など)
- 物件の担保価値と収益性
住宅ローンと違い、不動産投資ローンの場合は物件の収益性も審査項目の1つです。また、住宅(自宅)は生活必需品ですが、投資用物件は生活必需品ではありません。
投資用不動産を取得するということは、自宅の費用を支払いつつ投資用不動産のローンも支払うことです。そのため、不動産投資ローンの審査は住宅ローンよりも厳しいのです。
金利による支出差が大きい
不動産投資ローンの場合、金利は借入者によって異なります。そして、「ローン支払い額」が不動産投資における最も高額な支出であり、以下のように金利差による返済額の差は大きいです。
金利 | 総返済額 | 月々返済額 |
---|---|---|
1.5% | 35,994,148円 | 119,980円 |
2.0% | 38,146,723円 | 127,156円 |
2.5% | 40,375,309円 | 134,585円 |
3.0% | 42,678,858円 | 142,263円 |
※借入額3,000万円・借入期間25年・元利均等返済を選択
つまり、良い条件で融資を受けて低金利が適用されるかどうかは、不動産投資の収益に大きく関係してくるということです。
スマートデイズ事件を理解する
前項までで、不動産投資と融資は非常に重要な関係であることが分かったと思います。では、この章からは不動産投資ローンの融資が厳しくなっている理由について解説します。
その理由の要因として挙げられるのは「スマートデイズ事件」であり、この点に関して以下を知っておきましょう。
- スマートデイズ事件の概要
- スルガ銀行の関わり
- 金融庁の引き締め
スマートデイズ事件の概要
スマートデイズ事件とは、「かぼちゃの馬車」というシェアハウスを運営したスマートデイズが倒産したことで、投資家が被害を受けた事件です。
スマートデイズは、投資家にローンを組んでもらい、シェアハウスを建築してもらっていました。そして、スマートデイズが一括で借り上げて賃借人を付けるというビジネスモデルです。
つまり、投資家からするとスマートデイズから賃料をもらうのですが、賃付けがうまくいかずにそのままスマートデイズは倒産しました。
スマートデイズは倒産前に資金繰りが悪化し、投資家(シェアハウスのオーナー)への「賃料未払い」がつづいていた状態です。
そして、何か月も賃料が未払いのまま、結果的にスマートデイズは破綻してしまったというわけです。
スルガ銀行の関わり
この事件の背景には、スルガ銀行の不正融資が深く関わっています。簡単にいうと、投資家の所得を水増ししたり、不動産評価を改ざんしたりして、無理やりローンを通していました。
つまり、本来はローンを組めない投資家にローンを組ませていたということです。
この不正には、スルガ銀行の一部の銀行員だけでなく、大多数の行員が関わっていたことで大きなニュースになりました。
金融庁の引き締め
このスマートデイズ事件を受けて、金融庁はスルガ銀行に行政処分を下し、ほかの銀行への立ち入り検査を実施しています。
今回の事件が起こったのは、スルガ銀行が無理やりローンを通していたことも大きな原因の1つなので、金融庁が金融機関の監視を強化するのは当然のことです。
ということは、金融機関は不動産投資ローンの審査を厳しく見ざるを得ず、今までよりも不動産投資ローンの審査が厳しくなることが予想されます。
現に、スマートデイズ事件の後に野村不動産アーバンネットが実施した不動産投資に関する意識調査では、「ローン審査が厳しくなった」と回答した人が多くいました。
今後はより粘り強い交渉が必要
そもそも、不動産投資でローンを組むときは、仲介会社などが斡旋してくれるケースもあれば、自ら探してくるケースもあります。
特に、自ら探してくるケースは直接金融機関に連絡をしてアポイントを取る…という流れなので交渉が大変です。そして、審査に通るかはもちろん、通ったとしても金利がいくらになるか?は交渉次第です。
そのため、審査が厳しくなっている昨今では、さらに粘り強い交渉が必要な点を認識しておきましょう。
また、このような事情なので、なるべく金融機関を斡旋してくれる不動産会社の元で物件選定した方が良いです。
4.人口動態を知る
不動産投資のこれからについて知っておくべき4つ目は、「人口動態」についてです。この点に関しては以下を知っておきましょう。
- 不動産投資のリスクは人口減少
- 都心はある程度人口を確保できる
- これから不動産投資で期待できるエリア
不動産投資のリスクは人口減少
今後の日本は少子高齢化の上、人口も減少していきます。人口が減少するということは、単純に「賃借人」というターゲットが減るということです。
つまり、需要が減るということであり、不動産価値が下がり、賃料下落・空室リスクは上がるということです。そのため、これから不動産投資をするときは、エリアごとの人口動態の確認は必須といえます。
もちろん、いつの時代でも不動産投資は需要が重要なので人口動態は大切ですが、これからは人口減が明らかなので、より重要になるということです。
都心はある程度人口を確保できる
では、実際に人口がどのように推移していくかを見てみましょう。以下は東京都および 総務省統計局の資料を参考にしています。
西暦 | 日本 | 東京都 | 区部 |
---|---|---|---|
2015年 | 12,710万人 | 1,352万人 | 927万人 |
2025年 | 12,254万人(-3.58%) | 1398万人(+3.40%) | 979万人(+5.61%) |
2030年 | 11,913万人(-6.27%) | 1394万人(+3.11%) | 970万人(-1.0%) |
2035年 | 11,522万人(-9.35%) | 1375万人(+1.70%) | 952万人(-1.9%) |
2040年 | 10,642万人(-16.27%) | 1346万人(-0.44%) | 931万人(-2.2%) |
2045年 | 9,744万人(-23.33%) | 1312万人(-2.96%) | 906万人(-2.7%) |
このように、日本全体での減少率は大きいですが、東京都に絞ってみると実は人口減は2035年まで起こりません。さらに、その後も比較的緩やかな減少です。
日本全体でいうと、2015年から2045年の30年間で約24.4%も人口が減少しますが、東京都ではわずか3%です。
これから不動産投資で期待できるエリア
このように、日本全体は人口減するとはいえ、東京都ではあまり気にしなくて良いレベルです。ただし、東京都といっても広いので、市区町村ごとに人口動態はきちんと見るべきです。
たとえば、渋谷区の人口推移や渋谷駅の乗降客数をチェックすることで、渋谷区渋谷駅のポテンシャルが分かります。
このように、これからの不動産投資は、より人が集まる場所を意識するべきであり、それは市区町村や駅という狭い範囲での人口推移・乗降客数の推移をみる必要があります。
まとめ
上述したように、まずは現在の不動産市況を知り、オリンピック後に予想されることを知りましょう。そして、融資の厳しさを知り、実際にどのようなエリアで物件を探すべきかを理解するという流れです。
特に、今の時代は人口動態にはきちんと注目し、需要が高く維持しそうなエリアを選ぶことが重要といえるでしょう。