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大家が知らないと超危険!不動産投資で知っておくべき「おとり物件」

By Oh!Ya編集部

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大家が知らないと超危険!不動産投資で知っておくべき「おとり物件」

「おとり物件」という言葉を聞いたことはありますか?

「おとり物件」とは、実際には販売できない物件であるにも関わらず、集客効果狙って広告に掲載する物件のことです。あまり知られていませんが、おとり物件は賃借人だけでなく大家にもリスクがあります。というのも、自分の物件がおとり物件に使われていたら、不動産会社を変更したり、現入居者とのトラブルリスクにつながったりする恐れがあるからです。

この記事では、おとり物件の種類の紹介から、自分の物件をおとり物件に使われないようにするための対策法まで解説していきます。これを読めば、自分の物件をおとり物件にされるリスクは極めて低くなるでしょう。

おとり物件の基礎を知ろう

まずは、意外と知らない「おとり物件」の基礎について、以下の点を理解しておきましょう。

  • おとり物件とは?
  • 具体的なおとり物件の事例
  • おとり物件が存在する理由

おとり物件とは?

おとり物件とは、具体的に以下3つの物件が該当します。これは、消費者庁の景品表示法第5条第3号の規定に基づいています。

  • 1.実際に存在しない不動産を表示する
  • 2.存在はするが取引に応じない不動産を表示する
  • 3.存在はするが取引できない不動産を表示する

上記1は、そもそも存在しない不動産を表示しているケースです。上記2は、物件自体は存在するものの「申込中です」などといい、申し込みには応じないような物件です。

そして、上記3が不動産投資をしている大家が最も注意すべき「おとり物件」になります。これは、実際に存在はするものの、既に「成約済み」の物件をサイトなどに掲載し続けている状態です。

具体的なおとり物件の事例

さて、前項の「3.存在はするが取引できない不動産を表示する」について具体的に紹介します。たとえば、あなたが6戸のアパート経営をしており、そのうちの1戸が空室になったので、不動産会社に客付けを依頼していたとします。

そして、先週無事に入居者と賃貸借契約を結びました。しかし、1か月後に賃貸のポータルサイトを見てみると、まだあなたの物件が掲載されており、しかも「募集中」となっています。まさに、この状態がおとり物件として自分の物件が掲載されている状況です。

もしかしたら、単純に掲載取り下げを忘れていただけかもしれませんが、その場合でも客観的に見たらおとり物件になります。

おとり物件が存在する理由

ではなぜ「おとり物件」が存在するのでしょうか?それは、単純に集客効果を期待しているからです。「おとり物件」は比較的人気物件を掲載することが多く、さらに賃料などの条件を変えて掲載しているケースが多いです。

これは故意的な場合が大半であり、要は「良い物件に見せて集客効果を上げる」のが目的です。そして、その「おとり物件」を見た賃貸検討者を自社の店舗に集客し、結局は別の物件を成約してもらおうというのが最終的に目的になります。

そのため、賃貸検討者は騙されていることになり、大家としても成約済みの自分の物件がダシに使われているということになります。

おとり物件が発覚したときの大家のリスクと罰則

罰則

さて、前項までで「おとり物件」の概要が分かったと思います。次に、おとり物件の掲載によって、大家には具体的にどんなリスクがあるのか?という点と、おとり物件が発覚したときの不動産会社に対する罰則について解説していきます。

大家にもリスクがある

まずは大家のリスクについてです。上述したようなケースで自分の物件がおとり物件に使われてしまうと、以下のようなリスクがあります。

  • 仲介会社を変更しなくてはいけない
  • ほかの入居者とのトラブルリスクがある

仲介会社を変更しなくてはいけない

大家は自分の物件への客付けのため、不動産会社に仲介を依頼します。後述しますが、おとり物件であることが発覚すれば不動産会社は業務停止処分になることもあるため、大家からすると仲介してくれる不動産会社が業務停止になるということです。

そうなれば、当然客付け作業は止まってしまうので、ほかの不動産会社を探すしかありません。仮に、アパート経営でほかの部屋の客付け中であった場合は、非常に迷惑な話でしょう。

いくつかの不動産会社に依頼していれば大きな問題はありませんが、専任系媒介契約を結んでおり一社にしか依頼していないときは大問題です。その意味からも、賃貸の客付けは一般媒介契約で複数の不動産会社に客付けを依頼した方が良いでしょう。この点の詳細は後述します。

ほかの入居者とのトラブルリスクがある

仮に、あなたが6戸のアパート経営をしていたとします。このアパートは2階建てで1階部分の家賃は7万円、2階部分が8万円です。無事に満室になったものの、2階部分の1部屋だけが「おとり物件」に使われており、さらに家賃が7万円で掲載されているとします。

そうなると、同じ2階の住民は「賃料が違うのは不公平だ」とクレームをいうかもしれません。もちろん、その入居者とは家賃8万円で賃貸借契約を交わしていますし、部屋ごとに賃料は変えても問題ありません。しかし、心情的にはクレームをいいたい気持ちは理解できます。

しかも、その入居者に「おとり物件」だと説明しても、中々信じてもらえないでしょう。このように、自分の物件が条件を替えられて掲載されることで、現入居者と無用なトラブルに発展するリスクがあるのです。

不動産会社はポータルサイトに掲載停止になる

次に前項に付随する「不動産会社への罰則」に関して解説していきます。まず、首都圏不動産公正取引協議会(公取協)という組織があり、この公取協が「おとり物件」を掲載した不動産会社に対して以下4種類の罰則を設けています。

・注意 ・警告 ・厳重警告 ・厳重警告・違約金

おとり物件の罰則で厳重警告を受けた場合は、その不動産会社は不動産情報サイトに1か月以上掲載停止処分を受けます。つまり、事実上1か月以上の業務停止処分に近い罰則ということです。

実際の摘発事例

もしかしたら、本当におとり物件なんて世の中にあるの?と思っている大家もいるかもしれません。ここでは、実際にどのような「おとり物件」があるかを、公取協が2018年11月公表している資料※で紹介します。

この事例を見ても分かりますが、公取協も続々と摘発に乗り出しており、おとり物件は段々と発覚しやすくなっています。それは、不動産会社におとり物件を使わせない抑止力になりますが、逆にいうと不動産会社が業務停止処分を受けるリスクも増えるということです。

取引できない物件を数か月継続して掲載

東京都新宿区の不動産会社は、既に成約済みの物件を数か月継続して広告に掲載していました。

更に、その中のある物件では、「家賃4.8万円 インターネット代込み」という表示をしていたものの、実際にはインターネット利用料は含まれていませんでした。

このような物件が自分のアパートの物件であれば、既に成約済みの入居者から「なぜ、うちはインターネット料金が別料金なのか?」とクレームが入るリスクもあるでしょう。

同社では他にも、シャワーのみで浴槽が無い物件にもかかわらず「バス・トイレ別」と記載した「おとり物件」の掲載も行っていました。

駅距離の不当表示

次に、東京都足立区所在の不動産会社が摘発された例です。この不動産会社は既に契約済みで取引できないにもかかわらず、2か月半以上継続して広告しました。

ここまでは前項と同じですが、更に、丸ノ内線新大塚駅から徒歩18分のところを15分、新宿線曙橋駅から徒歩17分を12分と表示していたのです。言わずもがな、駅からの徒歩分数は、賃貸検討者にとって重要な要素の1つでしょう。

仮に、上記のような不動産会社の仲介で成約した場合、入居者から「駅距離が12分と表記されていましたが本当ですか?」と指摘が入るかもしれません。

公取協通信第295号(2018年11月号)

おとり物件への対策

チェック

おとり物件を掲載されると大家にもリスクがあることが理解できたと思います。次に、自分の物件がおとり物件にならないようにするため、また万が一おとり物件になったときに行う以下の対策を紹介します。

  • 大家自らがサイトをチェック
  • 一般媒介契約を結ぶ
  • おとり物件チェッカーを利用する

大家自らがサイトをチェック

まずは地道な作業ですが、大家自らが不動産情報サイトをチェックすることです。最も早い方法はネットで「駅名 賃貸」などと検索しておき、自分の物件がないかをチェックします。

仮に、自分の物件が掲載されているサイトがあれば、ブックマークしておきましょう。そして、そのブックマークしておいたサイトを、定期的にチェックします。

不動産会社は1週間に1回更新する

不動産会社は大体1週間に1回のペースで物件情報を更新します。そのため、自分の物件が成約済みになれば、1週間後には掲載が中止になるはずです。

不動産会社によって更新曜日は異なりますが、その点を意識してチェックしてみましょう。仮に、1週間経っても掲載されている場合は、不動産会社に指摘して早めに掲載中止にしてもらいましょう。

継続的にチェックする

重要なのは、成約済みの直後だけチェックするのではなく、その後も継続してチェックするということです。1週間に1回とはいいませんが、月2回ほどはチェックした方が良いです。成約済みのときに一度掲載を中止して、その後に再度掲載するという悪質なケースもあります。

競合物件の調査にもなる

前項までを受けて、「定期的・継続的に物件チェックをするのは面倒だな」と思う人もいるはずです。しかし、その場合は考え方を変えて、競合物件の調査も兼ねてチェックしていると考えてはいかがでしょうか。

将来的に家賃を変更したり、リフォームを検討したりするかもしれません。そんなときに競合物件の情報を知っていれば、費用対効果の高い家賃改定やリフォームができるようになります。

一般媒介契約を結ぶ

次に、先ほども少し触れましたが一般媒介契約を結ぶという点です。この点を理解するためには、まず媒介契約による違いを理解しましょう。

媒介契約による違い

媒介契約は以下3種類あります。

  • 一般媒介契約
  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約

細かな違いは多々ありますが、最も違う点は媒介契約を結べる不動産会社数です。一般媒介契約は複数社と媒介契約を結べるので、複数社が自分の物件の客付けをしてくれます。

一方、専属専任媒介契約と専任媒介契約(専任系媒介契約)の場合は、一社としか媒介契約を結べません。つまり、一社しか自分の物件を客付けしないということです。

売買と賃貸は異なる

不動産投資について知識が豊富な方は、「媒介契約といえば専任系媒介契約」と思っている人もいるはずです。なぜなら、不動産を売却するときは専任系媒介契約の方が有利といわれているからです。

というのも、売買の場合は大々的に広告を出して、売却活動をします。一般媒介契約にしてしまうと「ほかの会社が先に成約したら広告費が無駄になる」という理由で、あまり広告費を投下しないのです。

そのため、複数社に依頼することで不動産会社の売却意欲が薄れ、結果的に売却しにくい状況になってしまいます。そのため、不動産売買においては専任系媒介契約の方が有利になるのです。

しかし、賃貸の場合は一般媒介契約が良いとされます。その理由は、次で解説します。

賃貸の場合は一般媒介契約が良い

なぜ賃貸の場合は一般媒介契約の方が良いのでしょうか。それは、不動産会社は、不動産売買とは異なり物件1件1件に時間をかけるのではなく、物件の「数」で勝負するからです。不動産会社は、賃貸検討者にはたくさんの物件を紹介して、その中から絞り込んでもらいます。

そのため、不動産会社にとって媒介契約の種類はあまり関係なく、専任系媒介契約だからといって優遇されるわけではありません。そのため、複数社が客付けしてくれる一般媒介契約の方が成約率は上がります。

一般媒介契約はおとり物件へのリスクヘッジ

そもそも成約率が上がるので一般媒介契約にすべきですが、同時に今回の主題である「おとり物件」へのリスクヘッジにもつながります。

仮に、専任系媒介契約で不動産会社Aに客付けを依頼していたとします。

その場合、不動産会社Aがおとり物件を掲載していたことで業務停止処分になれば、自分の物件の客付けはストップします。そうなると、また不動産会社を探し媒介契約を結んで・・・と面倒な作業が増えるのです。

一方、一般媒介契約で5社に客付けを依頼しておけば、1社が業務停止処分になったところで、大きな問題はありません。

おとり物件チェッカーを利用する

さいごに紹介するのは「おとり物件チェッカー」を利用することです。これは、本来賃貸検討者用のサービスではありますが、大家も使うことはできます。おとり物件チェッカーとは、不動産会社がおとり物件を調べてくれるサービスです。

これを使って、自分の物件を問い合わせてみて、おとり物件として登録されていないかを調べることができます。

まとめ

このように、おとり物件は賃貸検討者だけでなく、大家にとってもリスクがあります。特に、アパート経営をしている方は、入居者とのトラブルリスクになると非常に面倒です。仮に、その場は収まったとしても、入居者との関係性は悪化しているかもしれません。

そうなると、結果的に退去率が高まるというリスクにつながります。つまり、自分の物件がおとり物件として掲載されてしまうと、回りまわって収益の悪化につながるということです。多少面倒な作業ではありますが、定期的に、そして継続的におとり物件はチェックしましょう。

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