年収300万円の人こそ資産運用をするべき理由と運用法7選
By Oh!Ya編集部
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資産運用と聞くと、資産家などお金持ちのためのものだと思っていませんか?実は資産運用は年収が300万円クラス、貯金が数十万円という人こそ取り組むべきもので、そこから運用益を得ることがとても重要なのです。
しかし、資産運用といっても何から始めれば良いのか、少しでも安全にお金を増やすにはどうしたら良いのかという疑問がたくさんあることと思います。
そこでこの記事では、資産運用初心者の方向けに必須の知識と、おすすめの資産運用法を解説します。
目次
なぜ、資産運用なのか?
そもそも、なぜ資産運用をするべきなのでしょうか。特に先ほど年収300万円、貯金が数十万円という人ほど資産運用をするべきと述べましたが、その理由も含めて解説します。
資産運用の定義
資産運用とは、金融資産を運用することで運用益という金銭的な利益を目指す経済活動のことです。この表現だと小難しいですが、要は「お金を投資して、そこからのリターンを狙う」のが資産運用です。
ここには含まれていない意味合いですが、資産運用で重要なのは「自分ではなくお金に働いてもらう」という概念です。自分が働いてお金を稼ぐのは労働ですが、そうではなく資産が働くことでお金を稼ぐのが資産運用です。
資産運用の重要性
資産運用の重要性は細かいものまで挙げると実にたくさんあります。一次的な重要性を挙げてみると、こうなります。
- 銀行に預けていてもお金はほとんど増えない
- 先行きの不透明感があるので少しでもお金を増やしておくべき
- 老後不安への備え
さらに潜在的な重要性として、人によっては以下のような重要性、必要性をお感じの方もおられると思います。
- 万が一の事故や病気などで収入が途絶えた時の備え
- インフレリスクなど経済局面の変動に備える
- あわよくば会社を辞めて運用益で生計を立てられたら理想
最後の「あわよくば運用益で生計」というのは重要性というよりも願望に近いものですが、もし資産運用でそれが可能になるのであれば、ぜひ検討したいという方も多いのではないでしょうか。
100万円の手持ち資金を資産運用した未来をシミュレーションしてみよう
お金を持っているだけ、預けているだけだと金利がほとんどつかない時代です。しかし、資産運用をすれば結果は大きく変わります。どれくらい結果が変わるのか、野村證券の「みらい電卓」というシミュレーターを使って未来の姿を見てみましょう。100万円の手持ち資金を年利4%で20年間運用した結果は、以下のようになりました。
出典:みらい電卓(野村証券)
運用結果は、約219万です。実に2倍以上の資産になりました。30代や40代からこの運用を始めたとしたら、老後にひと財産を作ることができることが分かりました。しかも、100万円以上お金が増えましたが、すべて不労所得です。これが、資産運用が持つ最大のメリットです。
資産運用の本質は時間を味方につけること
100万円の元手が、放ったらかしにしているだけで219万円にも増やすことができるのは、時間をかけてお金が働いてくれたからです。言うなれば、時間を味方につけた結果です。
ちなみに、先ほどのシミュレーションで運用期間を30年にすると、運用結果は約324万円にまで増えます。運用期間が長くなればなるほど加速度的にお金が増えるのは、資産運用によって得られた運用益を再投資して運用するため、時間が経てば経つほど運用効率が高くなっていくわけです。
年収300万円で貯金50万円というと、決して裕福な所得水準ではありません。しかし、時間を味方につけることができれば、将来に向けてしっかりと資産形成ができるのが、資産運用の本質です。だからこそ、元からお金持ちの人ではなく、そうでない人こそ資産運用に取り組むべきなのです。
年収300万円、貯金50万円から始めることをイメージしてみよう
先ほどから「年収300万円、貯金50万円」という人物像を何度か例示しています。この数字を挙げているのは、実際にこの層の方々がとても多いからです。現在の中流といっても良いかも知れませんので、こうした庶民的な年収と貯金額から本格的な資産運用をするという、きわめて現実味のある道筋を解説していきます。
年収300万円、貯金50万円から始められるおすすめの資産運用法7つ
年収300万円、貯金50万円という現実味のあるお金を増やしていく方法として、7つの資産運用法をご紹介します。
個人向け国債
国債とは、国の借金のことです。日本の借金が1千兆円を超えたという報道もありましたが、この借金は発行した国債を投資家に買ってもらうという形で実行されています。国債の金利は銀行の定期預金よりはマシという程度ではありますが、国が保証している債券なので信用度が高く、これまで債務不履行(デフォルト)を起こしたことは一度もありません。1万円から始められますし、安全重視の資産運用であれば、個人向け国債は最も現実味のある選択肢です。
J-REIT、ETF
REITとは不動産投資信託のことで、その中でもJ-REITは証券取引所に上場されている不動産投資信託のことです。上場されているため株と同じ感覚で手軽に売買ができるメリットがあります。さらにJ-REITは全銘柄の分配金平均利回りが4%を超えているので、この超低金利時代というご時世にあって、とても魅力的です。先ほどの資産運用シミュレーションでは年利4%という運用利回りを想定しましたが、それもこのJ-REITの実績を用いました。
もうひとつのETFも、J-REITと同じく上場されている投資信託のことですが、ETFはインデックスファンドといって平均株価や株価指数と連動するように運用されている上場投資信託です。株価指数などに投資することができるため、個別の株に関する知識がなくても始めることができますし、J-REITと同様に上場されているので売買の手軽さも魅力です。
アクティブファンド
ETFはインデックスファンドの中でも上場されているものだと述べましたが、インデックスファンドの反対語はアクティブファンドです。つまり、インデックスファンドが連動している株価指数などの平均値を上回るように運用することを目指している投資信託です。
プロのファンドマネージャーが運用をしているため、当然ながら素人がいきなり株式投資をするよりも高い運用成績が実現します。もちろん株の世界は勝者がいれば敗者がいるので、アクティブファンドだからといっていつでも高い運用成績をマークできるわけではありません。
インデックスファンドよりも高い利回りを狙いたいというのであれば、ちょっと冒険する気持ちで資産運用に組み込んでも良いと思います。
不動産系ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングという投資商品をご存知でしょうか。2017年頃から急に注目を集め始めたこともあって知名度があまり高くありませんが、投資案件によっては利回りが10%を超えるものもあるという、このご時世では稀に見る高利回り商品です。
ソーシャルレンディングには投資対象別にいろいろな分類があるのですが、ここでは最も手堅い不動産系ソーシャルレンディングをおすすめしたいと思います。運用会社が不動産投資をするのにあたって投資家からお金を集め、そのお金で投資をした結果得られた運用益を投資家に配分するという仕組みです。
これだけだとREITと大差はないのですが、ソーシャルレンディングのほうがリスクが高い分だけ利回りが高く、とにかく高利回りを狙いたいという投資家向けです。
株式投資
投資といえば株というイメージを持っている方が多い、いわば資産運用の王様的な存在です。しかし多くの方が想像されている株式投資というのは、株価の変動を利用して差益を狙う形だと思います。もちろんこれも株式投資のひとつの姿ではあるのですが、それだと放ったらかしというわけにはいかず、資産運用の定義から外れてしまいます。
ここでおすすめしたいのは、配当収入を目的とした株式投資です。出資者に株を発行して株主となってもらい、会社の利益を出資者である株主に配分するというのが本来の株式会社の形なので、配当狙いの株式投資はむしろ本来の形に近いといえます。
株価の動きが少ない大型株を中心に長期保有をすれば、配当収入だけで年利数%の収入を狙うことができます。
FX
FXとは外国為替証拠金取引のことで、外貨の為替レート変動をいかして差益を狙う投資商品です。レバレッジといって少ない資金で多額の取引ができるため大きな利益を狙えるメリットがありますが、その一方でリスクがとても高く、下手をすると元手資金を一瞬で失ってしまうこともあります。
そんなリスクの高いものでどうやって資産運用をするのかといいますと、ねらい目は金利スワップです。言うまでもなく日本は超低金利なので、日本円で運用をしても大した金利はつきません。しかし、世界にはたくさんの高金利国があります。日本円を売ってそういった国の通貨を買うと、金利差を調整するためにスワップという金利が毎日支払われます。
高金利通貨といわれるオーストラリアドルやニュージーランドドルを1万ドル保有していると、1日あたり30~40円のスワップ収入が発生します(2019年3月現在)。これを長期間保有し続けることで、スワップ収入が貯まっていくというわけです。
もっとも、FXは投資効率が高いがゆえに急激なレート変動があるとロスカットといって投資金を失ってしまうリスクがあるので、毎日レートをチェックするといったメンテナンスが必要です。
不動産投資
この記事でおすすめしているのは主にミドルリスクの投資商品ですが、ミドルリスク投資の代表格には、不動産投資があります。動くお金は大きいですが収益物件という現物資産を保有するため、仮にうまくいかなくても投資金がゼロになってしまったりといったことはありません。
不動産投資を活用した資産運用については、「Oh!Ya」に詳しい記事がありますので、興味がおありの方はぜひそちらをお読みください。
初心者向けで安全志向の資産運用方法
先ほどご紹介した7つの資産運用法の中から、低リスクな順にひとつずつご紹介をしていきます。最初は最もリスクの低い資産運用法である、個人向け国債です。
個人向け国債のメリット
個人向け国債のメリットは、なんといっても事実上の元本保証であることです。金利は2019年の実績で0.05%と低いですが、それでも銀行の定期預金と比べるとかなりの高利回りです。
個人向け国債の始め方
個人向け国債はメジャーな投資商品なので、さまざまな買い方があります。証券会社、銀行、郵便局で購入可能です。個人向け国債を販売している財務省のサイトに、購入可能な金融機関の案内があります。
個人向け国債での資産運用に適している人
先ほども述べたように、個人向け国債は決して高金利とは言えません。あくまでも銀行の定期預金よりはマシという認識で、安全重視という方向けです。銀行に預けていてもお金が増えないという認識で他の資産運用法を探しているものの、やはりリスクが高いのは不安だという方に最適です。
また、個人向け国債では償還(返済のことです)の時期があらかじめ決まっています。将来に使う目的が決まっているお金で、その時期までただ持っておくのももったいないという方にも、個人向け国債は便利な投資商品です。
プロが運用する高利回り&株・FXによる資産運用方法
この章では、プロが運用することで一定以上の利回りを見込むことができる資産運用と、株やFXによる資産運用について解説します。これらはすべてミドルリスクに分類されますが、株とFXについては投資のやり方によってはリスクが高くなるとお考えください。
J-REIT、ETFの魅力
J-REITとETFがどんな投資商品なのかについては、すでに解説しました。この両者に共通するメリットは、もともとは参入ハードルが高かったりリスクが高い投資商品であるものが、プロによる運用という要素が加わることで手軽さや安全性が高くなっている点にあります。
J-REITが運用しているような不動産は数十億円クラスの優良物件が大半ですが、こんな物件を個人で買うのは現実味がありません。しかしJ-REITであれば投資家から集めたお金というスケールメリットがあるので、こうした優良物件にも手が届きます。優良物件なので運用成績も安定しており、年利4%を超えるような利回りを分配することができるわけです。
もう一方のETFについても、個別の株を自分で買うとなるとリスクが高いですが、株価指数という株式市場全体への投資であれば、あまり株を理解していない方や、個別の株だと紙切れになった時のリスクが怖いという方であっても気軽に始めることができます。運用対象も日本株だけでなく、海外株や債券、不動産など多彩です。
J-REIT、ETFの始め方と運用方法
J-REITとETFは、いずれも証券取引所に上場されています。そのため株と同じ感覚で売買が可能なので、実際に取引をする際にも証券会社の口座を利用します。まだ証券会社に口座をお持ちでない場合は、証券会社に口座を開設して(ネット証券がおすすめです)、そこからJ-REITやETFの銘柄を検索して買い付けます。
ネット証券であればどこでも手軽に売買が可能ですが、筆者のおすすめは「SBI証券」や「楽天証券」「マネックス証券」などです。
アクティブファンドの魅力
株式市場の平均値よりも高い運用成績を目指すアクティブファンドは、運用がうまくいっている時にはとても高い利回りをたたき出します。具体的な銘柄名を出すと、それがいつまで続くかについて自信のある言い方ができなくなってしまうのですが、2018年最も人気が高かったのは「ひふみ投信」です。2019年になって運用成績にかげりが見えてきているので今後どうなるか分かりませんが、それでもなお高い人気を維持しています。
その他には「さわかみファンド」「jrevive2」なども有名ですが、アクティブファンドの運用成績は刻一刻と変化するので、一概には言えません。
アクティブファンドの始め方と運用方法
アクティブファンドもJ-REITやETFと同じように投資信託なので、証券会社の口座から購入するのが一般的です。ただしアクティブファンドは上場されていないので、証券会社によっては取り扱い本数に違いがあります。先ほどご紹介したおすすめのネット証券は投資信託の取り扱い件数が多いので、主要な銘柄はほぼ取り扱いがあります。
運用方法についても、投資信託なので基本的には放ったらかしでOKです。購入したときよりも値上がりしているタイミングや、お金の入用がある時に売り注文を出せばすぐに現金化できます。
不動産系ソーシャルレンディングの魅力
資金を募っている事業者と個人の出資者をつなぐ、クラウドファンディングの仕組みを応用して誕生したソーシャルレンディングは、銀行など既存の金融機関を経由しない新しい金融の形として注目されています。既存の金融機関を通さないため中間マージンが少なく、その分高利回りであることが、投資家にとって最大のメリットです。
ただし、まだ未成熟な金融システムであることなど高利回りであるがゆえの注意点もあるので、その点については後述します。
不動産系ソーシャルレンディングの始め方
ソーシャルレンディングを始めるには、ソーシャルレンディング業者と呼ばれる会社に口座を開き、そこに入金をして募集案件に応募するという手順になります。不動産系ソーシャルレンディング業者には、以下のような会社があります。もっと多くの業者があるのですが、2018年から2019年にかけて焦げ付きを発生させた業者や、信用不安が発生した業者などは除外しています。
それぞれの業者が取り扱っている案件に応募するには、それぞれの業者で口座を開設する必要があります。若干不便ではありますが、その点も含めて発展途上の投資商品だと思います。
不動産系ソーシャルレンディングの注意点
まだまだ発展途上のソーシャルレンディングだけに、高利回りである一方で特有のリスクがあります。先ほどご紹介した業者では2019年3月の時点で遅延や焦げ付きなどは発生していませんが、一部のソーシャルレンディング業者では案件の遅延や焦げ付きが発生しており、投資家に損害が発生しています。
ひどい場合は資金の不正流用が発覚した業者もあるので、その点も含めて投資には一定のリスクが付きまとうことを留意してください。しかし、そうは言っても10%に達するような高利回り案件があるのは魅力的です。高利回りの資産運用法であることに変わりはないので、ここで解説したリスクに十分注意をして資産運用に活用してください。
株式投資による資産運用の魅力
売った買ったの株式投資だとリスクが高いですし、売買をするには相場に張り付いていなければならないこともあります。それだと片手間に取り組む資産運用としては魅力が薄れるので、ここでは配当狙いの株式保有をおすすめします。
それでは、株の配当というのはいったいどれくらいの利回りになるのでしょうか。「みんなの株式」というサイトがリアルタイムで配当利回りのランキングを発表しているので、それを見てみましょう。
上位の銘柄を見ていると10%を超えるような利回りが並んでいますが、これは一時的なものだと思います。株価が異常に低い銘柄についても利回り数値が高くなるので、これも投資対象として妥当ではないでしょう。ねらい目なのはトヨタ自動車や花王といった大型株で、長年にわたって安定して配当を出し続けている銘柄です。
先ほどご紹介した「みんなの株式」では個別の銘柄について配当の実績推移を公開しているので、大型株の中から安定して配当を出している銘柄を探してみてください。
資産運用で株式投資の始め方と運用方法
株式投資を始めるには、証券会社の口座が必要です。頻繁に売買をするわけではないので本格的なネット証券でなくても構いませんが、やはり売買の手軽さやスピード感はネット証券が抜群なので、ネット証券に口座を開いて、そこから買い注文を入れます。
お目当ての株を買ったら、基本的にはバイ&ホールド(買ったらそのまま持ち続ける)のスタンスです。年に一度配当が支払われるので、それを元手に再投資するようにすると、福利効果が発生してより早く資産を増やしていくことができます。
FXによる資産運用の魅力
FXは本来、デイトレードやスキャルピングといった短期売買に適した投資商品です。しかしそれだと相場に張り付いていないと満足な取引はできませんし、為替レートの変動を追いかけるにはかなりの勉強が必要になります。そこで、スワップ金利収入をひたすら貯め続けることで資産運用としての効果を狙うトレードをおすすめしています。
豪ドル円、NZドル円といった高金利オセアニア通貨と日本円のペア、その他には南アランドやトルコリラと日本円の通貨ペアも買いポジションに対するスワップが高いことで知られています。新興国の高金利通貨を持ち続けることには経済面でのリスクがあるので、あくまでも資産運用の一部として取り組むようにしてください。
資産運用でFXの始め方と運用方法
FX取引を始めるには、FX取引会社に口座を開設する必要があります。証券会社ではなく、専門のFX取引会社であることにご注意ください。口座を開設してトレード画面を開き、そこから通貨ペアの売買をすることができます。
この記事でおすすめしているトレード手法は、基本的に高金利通貨のバイ&ホールドです。筆者は長らくトルコリラ円の買い持ちをしていますが、1万リラあたりのスワップが1年で4万円弱になります。レバレッジを数倍にすることで日本円での投資額が4万円くらいに対して1年で4万円弱のスワップが貯まるので、利回りは約100%です。
資産運用につきまとうリスクの管理方法
ここまでさまざまな資産運用法をご紹介、解説してきました。どれも魅力的なものに見えたと思いますが、事実上の元本保証になっている個人向け国債以外はすべて元本保証ではなく、元手を毀損してしまったり、最悪の場合は全額を失ってしまうリスクがあることを忘れないでください。そこで重要になるのが、リスク管理です。
分散投資は基本中の基本
資産運用はお金を増やすことが目的ですが、それがうまくいかずお金を減らしてしまうリスクと隣り合わせです。そんな危なっかしい資産運用なんてしないほうがいい・・・というのがよくある意見ですが、その不安や懸念を解消するのがリスク管理という概念です。資産運用が攻めであるならば、リスク管理は守りです。攻守のバランスが保たれていてこそ、時間の経過とともに資産運用は結果を生み出してくれます。
資産運用のリスク管理では、分散投資が基本中の基本です。ここでご紹介した7つの資産運用法のうちどれか1つに集中投資をすると、個人向け国債以外は元本保証ではないのでお金を減らしてしまう可能性があります。そのリスクが大きくなってしまうとダメージも大きくなりますが、そこで威力を発揮するのが分散投資です。
日本国内への投資、海外への投資、金融商品を散らした投資といった具合に、性質が異なるものに分散させた資産運用をすると、どれかひとつで資産価値が下がったとしても他の金融商品で影響が出ていなければ、運用資産の全額が危険にさらされることはありません。
もっと言えば、投資マネーの世界には「リスクオン」「リスクオフ」という概念があります。新興国や高金利国などは利回りが高い一方でリスクが高いので、世界の投資マネーがだぶついている時に資金が流入しやすくなります(これをリスクオンといいます)。一方の日本は超低金利ですが世界の中でも安全な投資先と見なされているため、投資マネーが少なくなったり株安など投資リスクが高まると、リスクオフといって日本に資金が流入します。つまり、円高になります。
このシーソーゲームのような構造を知っておけば、日本国内の不動産系金融商品と、FXの高金利通貨といったように日本国内と海外に分散するだけでシーソーがどちらに傾いても運用資産全体の金額が大きく減ることはないという形を作ることができます。
時間軸による分散も効果的
先ほどは、運用資産を分散することで資産運用全体のリスクを軽減する考え方を解説しました。資産運用にはもうひとつ、時間軸でリスクを分散する方法があります。ドルコスト平均法という名称で広く知られているのですが、これだけだと分かりにくいと思いますので例を用いて具体的に解説しましょう。
日々価格変動している金融商品を100万円分買おうと思っているとします。ある時点で全額を投資すると、100万円の価値が90万円になったり110万円になったりと不安定になりがちですが、これを10万円ずつ10回に分けて投資すると様相が変わってきます。毎月決まった日に買うといったようにルールを決めて、価格変動に応じて10万円分を買い続けると、どうなるでしょうか。
価格が高い時は買える量が少なくなりますが、価格が安い時はたくさん買えるようになります。これを続けていくことで購入価格が平均化され、価格変動リスクを抑えることができます。毎月決まった金額分を買い続ける投資として知られているのは積立投資ですが、積立投資には一度に大金を用意しなくても良いというだけでなく、ドルコスト平均法によるリスク分散の効果もあるのです。
目的に応じたポートフォリオを組み立てる
ポートフォリオとは、何に投資をして資産運用をするのかという組み合わせのことです。先ほど国内の不動産系商品と海外の高金利通貨といったように異なる性質の金融商品を持つ例を挙げましたが、これもひとつのポートフォリオです。
利回りが高い一方でリスクが高いものと、反対に安全重視の金融商品を組み合わせるのが一般的で、目的はもちろんリスク分散です。
「逃げ足」を確保しよう
この章ではひたすらリスク管理に徹したお話をしていますが、そのための具体的な方法としておすすめなのが、「損切り注文」と「定期的なメンテナンス」です。
株やFX、投資信託など価格変動があるものについてはある程度より不利な価格になってしまったら自動的に売り払ってしまうように売り注文を入れておくと、損失がそれ以上拡大しないので保険代わりになります。
また、価格変動があるものについては少なくとも月に一度程度(株とFXは週に一度)のペースで価格と資産残高をチェックするようにしましょう。
まとめ
年収300万円、貯金50万円という現実的な経済状況の方こそ資産運用をするべきであるという視点に立ち、具体的な運用方法をリスク管理と交えながら解説してきました。資産運用をする重要性と、ずっと怖いと感じてきたリスク管理の方法をお伝え出来たのではないかと思います。時間を味方につけるのが資産運用の大きなメリットなので、早く始めるほど「味方」の力が大きくなります。