アジアの不動産投資信託が狙い目の理由とは?おすすめ銘柄も紹介
By Oh!Ya編集部
5,431view
アジアの不動産市場に、期待が集まっていることをご存知でしょうか?
株式投資や不動産投資といえば、日本国内やアメリカばかりが注目されますが、いま世界規模で見たとき随一の経済成長率を持つのは「アジア諸国」です。
そして、不動産の需要や相場価格というのは、経済成長に伴って上昇するもの。オフィスビルや商業施設が立ち並び始めたアジアは、いままさに黄金時代を迎えつつあるといえます。
今回は、アジアの不動産市場が「投資対象として相応しいのか」について解説。不動産投資信託を運用するメリットや、おすすめのファンドもご紹介します。
目次
なぜアジアを対象とした不動産投資信託が注目されているの?
「何となく儲かりそう」という曖昧な情報をもとに、大切な資産を投じるわけにはいきません。着実に利益を重ねるのであれば、トレンドに乗りつつも明確な根拠のある投資先を選ぶ姿勢が重要なのです。
この項では、なぜアジアの不動産投資信託に注目すべきなのか、メリットを順番に挙げていきます。
アジア諸国は経済成長を迎えており将来性がある
アジア圏は、近年急激な経済成長を果たしており、賃料増加により各世帯に金銭的余裕が生まれつつあります。
こういった好景気の効果により、各地では都市開発が活発化。オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産需要が一気に高まっているのです。
これだけ発展してなお、持ち前の生産力を活かした経済成長はとどまる気配がありません。成熟度はいまだ低いため、今後ますます生産年齢人口が増えると予想されており、生活水準の向上は続くと考えられます。
不動産市場への投資は「経済成長をしている地域への長期投資」が基本であるため、アジア諸国を対象とした不動産市場は、まさに狙い目なのです。
国外の不動産を運用するのはハードルが高い
アジア諸国の不動産市場には、いま強い追い風が吹いているものの、国外に投資不動産を所有するのは現実的ではありません。運用の管理が大変なのも当然ですが、そもそも優良不動産を見つけるには「現地のリサーチ」が欠かせないからです。
そこで、アジア圏の不動産市場へ投資する手段として注目されているのが不動産投資信託なのです。不動産投資信託であれば、運営元のスタッフによる現地調査により、常に最新情報を得た状態で不動産市場へ投資できます。
また、少額から投資可能であるため、海外不動産といえどもハードルは高くありません。それでありながら、個人レベルでは到底運用できない大型不動産にも投資できるため、より経済成長の恩恵を受けやすいのです。
これらのポイントにより、アジア諸国における不動産市場の成長に、日本国内から簡単にアプローチできることが魅力です。
日本やアメリカと比較してパフォーマンスが高い
三井住友アセットマネジメントが発表した資料「アジア・オセアニアリートに注⽬する4つのポイント」によれば、アジア・オセアニアを対象とした不動産投資信託が、アメリカや日本の指数より大きく上昇しているのが分かります。
また、同資料によればシンガポールは分配金利回りが優れており、香港・シンガポールともに負債の比率が小さいと確認できるのです。融資を活用しつつ不動産を売買・運用するという特性上、不動産投資信託の負債は大きくなりがちですが、借金が大きすぎるのは考えもの。
「安定感のある財務状況」を維持していれば、金融恐慌に直面したときに破綻する可能性がグッと下がります。そのため、負債の比率が小さいこれらの不動産投資信託を選べば、パフォーマンスを重視しつつも「大切な資産を危険に晒したくない」というニーズを満たしてくれるのです。
アジア圏を対象とする優れた不動産投資信託を見つける方法とは
なぜ、アジア圏の不動産市場が期待されているのか分かれば、つぎは具体的に投資先を選定する段階です。しかし、アジア限定に絞ればファンドの種類は多くないものの、一見すると似たような銘柄ばかりで比較ポイントが分からないもの。
そこで、この項ではアジアを対象とするファンドの選び方をご説明します。
投資法人が作成・配布している「交付目論見書」をチェック
交付目論見書は「投資信託説明書」とも呼ばれる概要マニュアルのようなものです。
ファンドがどのような投資方針・目的のもと運用されているのか、独自の強みはどういった部分なのかという情報が、網羅的に記載されています。
たとえば、この「アジア好利回りリート・ファンド」の交付目論見書であれば、読み取れる情報は以下のようなものです。
- ファンドの特色:アジア各国・オセアニアの不動産投資信託を中長期運用する
- 担当者メッセージ:急成長するアジア市場に分散投資して、安定利益を目指す
- 将来性について:不動産投資信託のマーケットが多様化し、収益機会が増える
他にも、アジア諸国が持つ「貿易の優位性」や「都市・農村の人口推移」など、投資対象にどのような特性があるのか詳しく解説されています。
いくらか目を通すだけでも基礎知識が身に付き、比較したときのポイントが明確になるため、優れた不動産投資信託を探すとき「交付目論見書のチェック」は欠かせません。
「交付目論見書」の運用実績は特に注目すべきポイント
交付目論見書を見れば、ファンドの特色や強みなど、魅力的なポイントが大々的に記載されています。もちろん、これらも重要事項として参考にすべき部分ですが、理論だけ優れていても実際に成果が出なければ意味がありません。
そのため、交付目論見書を見るときは「過去の運用実績」を注意深くチェックしましょう。長期的に優れた収益性を維持しているか、短期的に上下に振れて危うい値動きをしていないか。これらが安定しているほど、堅実に運用されている理想的なファンドだといえます。
長期運用においては「一時的に発生した大きな利益」より、「中長期的に重ねた小さな利益」が評価されるため、過去の運用実績は外してはならないチェックポイントです。
こんな銘柄を選ぶのはNG!買ってはいけない不動産投資信託とは?
優れたファンドの探し方とともに、購入すべきではないファンドの特徴が分かれば、銘柄選定はスムーズに進むものです。
この項では、安易に購入してはならない「危険信号が出ている銘柄」の見分け方をご説明します。
純資産総額が成長していないファンドはNG
純資産総額は「ファンドの投資規模」をあらわす目安として機能します。
健全な運用により、確かな成績を積み上げていれば、純資産総額は右肩上がりに成長していくものです。しかし、不動産投資信託のなかには、純資産総額の推移がリアルタイムに下降しているものが存在します。
この傾向は、「認知度が低く不人気」または「運用成績が投資先に相応しくない」というマーケットの総意として捉えられます。存続が危ういファンドに大切な資産を預けるのは危険であるため、投資するなら純資産総額が大きく上昇傾向にある銘柄が望ましいです。
売買や運用にかかるコストが大きい銘柄はNG
ファンドの購入時に発生する「購入時手数料」や、解約時に差し引かれる「信託財産留保額」など、不動産投資信託の運用には少額ながら複数のコストが発生します。
特に注目した方が良いのは、運用中に毎日課せられる「信託報酬」。信託報酬による負担は運用期間に比例して大きくなるため、似たような特性の不動産投資信託を比較するときには、より信託報酬が少ないファンドを選ぶことをおすすめします。
これらの負担が大きいほどトータルリターンは小さくなるため、軽視することなく確認しておいてください。
アジアの不動産市場に投資できるおすすめのファンドはコレ!
ここまでに解説してきた優れたファンドの選び方、および安易に購入してはならないファンドの特徴を踏まえると、投資対象として好ましい銘柄は絞られてきます。
この項には、運用方針・過去実績・投資家からの評価などの視点から選んだ、アジアの不動産市場に投資できるファンドをピックアップしました。
アジアREIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)
投資信託の格付機関であるモーニングスター主催の「ファンド オブ ザ イヤー」にて、2017年度にREIT(不動産投資信託)部門の最優秀賞を獲得したファンドです。
2017年におけるトータルリターンは、34.76%と驚異的なスコアを叩き出しており、同業界に注目する投資家たちを驚かせました。
最大の強みは、現地調査を担う調査員が持つ経験量。2017年の受賞時点で香港に駐在するアナリストは9年以上、シンガポールを担当するアナリストは13年以上の調査実績を積んでおり、それぞれ抜群のリサーチ能力を持っています。
- 運用会社:三井住友トラスト・アセットマネジメント
- 購入時手数料:3.24%(税込)
- 信託財産留保額:基準価額に対して0.3%
- 信託報酬:純資産総額に対して1.5984%/年(税込)
アジア好利回りリート・ファンド(年1回決算型)
三井住友アセットマネジメントの判断のもと、アジア・オセアニア圏の不動産投資信託に投資するファンドです。
当ファンドも、香港やシンガポールに専門知識を持ったアナリストを配置し、現地の不動産市場を細かく分析。あちらこちらで急成長している地域だからこそ、早く正確なマーケット調査が必要なため、確実なパイプラインを有しています。
交付目論見書は非常に分かりやすい構成で、なぜアジア圏への投資がおすすめなのか一目で分かる点も魅力。着実に人気を集めてきており、登場以降は純資産総額をじわりじわりと伸ばしています。
同名のファンドには「毎月分配型」のファンドも存在していますが、こちらは分配金を還元せずに再投資に充てているため、より長期目線で運用規模を拡大していけるような設計です。また、2018年初旬に開催された「ファンド オブ ザ イヤー」では、REIT部門で優秀ファンド賞を獲得しています。
- 運用会社:三井住友アセットマネジメント
- 購入時手数料:無料
- 信託財産留保額:基準価額に対して0.3%
- 信託報酬:純資産総額に対して1.8124%/年(税込)
ワールド・リート・セレクション(アジア)
香港やシンガポール、マレーシアをメインの投資対象に設定し、2017年度には28.52%と高水準なトータルリターン率を達成したファンドです。
2007~2017年のあいだ、マイナスとなったのはわずか3年間。それ以外はコンスタントにプラスの運用成績を出し続けており、多くの投資家が認めるハイパフォーマンス銘柄の一角です。
ファンドの方向性を決める役割には、20年ほど不動産投資信託の投資判断や市場調査に携わってきたベテラン担当者が就いており、確かな実績・経験にもとづく運用が期待できます。
- 運用会社:岡三アセットマネジメント
- 購入時手数料:3.24%(税込)
- 信託財産留保額:基準価額に対して0.3%
- 信託報酬:純資産総額に対して1.62%/年(税込)
アジアリートファンド(毎月分配型)
香港やシンガポールの商業施設・リゾートホテルなどを対象とし、現在進行形で急成長しているアジア諸国へ投資するファンド。
2012年の登場以降、2015年と2018年以外はプラスの成績が出ており、マイナスだった2年間も暴落率は10%以内に収まっています。
アジアを対象にしたファンドには、数か国を対象とする広範囲をカバーする銘柄が多いなか、当ファンドはシンガポールを約7割、香港を約3割組み込んだピンポイントな構成が特徴です。
歴史はまだ浅いものの滑り出しは好調で、純資産総額も着実に増えつつあるため、アジアの不動産市場へ投資するなら有力候補として挙げられます。
- 運用会社:日興アセットマネジメント
- 購入時手数料:3.24%(税込)
- 信託財産留保額:基準価額に対して0.3%
- 信託報酬:純資産総額に対して1.62%/年(税込)
まとめ
いま急成長の真っただ中にあり、巨大な経済圏へと発展しつつあるアジア諸国。経済成長による賃金増加や消費拡大といった背景は、ほぼ確実に不動産市場を押し上げる要素です。
これまでにも優れた成長率からたびたび注目されてきましたが、いまだ未成熟な市場だと判断できるため過熱感はありません。
「出遅れたからチャンスがない」と考えるには早く、投資対象としては有力であるため、成熟した相場推移の小さい市場ではなく「急成長が期待できる市場」に投資するのであれば、アジア市場への投資は賢明な選択だといえます。