不動産投資ローンの事前審査を100%通すための7つのポイント
By Oh!Ya編集部
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年収や職種といった「属性」と呼ばれる返済能力の指標は、金融機関の担当者が注目する最重要項目です。そのため不動産投資ローンを通すには、属性を高めることが近道なのですが、年収や職種は一昼夜で変えられるものではありません。
そこで今回は、不動産投資ローンを通すために必要な、意識次第で改善できるポイントについてご説明します。
目次
ポイント1:金融機関の信頼を勝ち取る「事業計画」を作る
銀行は融資希望者を審査するとき、事業計画を重要視します。特に銀行は営利目的で運営されているため、リスクを取って融資をする可能性が極めて低いです。
そのため、融資希望者は説得力のある事業計画を作成し、検討している投資案件が高確率で順調に利益を生むと証明しなければなりません。この項では、事業計画において意識すべき2つのポイントを解説していきます。
収支シミュレーションは妥当性と再現性を重視する
事業計画を立てるとき、収支シミュレーションを作成することになりますが、この試算には妥当性と再現性が必要です。たとえば、以下のような要素を抱える収支シミュレーションは、説得力のない資料だと判断されます。
- 同ランクの周辺物件より賃料設定が高い
- 将来的な資産性・家賃の下落率を考慮していない
- 数年スパンで必要となる修繕費が加味されていない
- 少しでも金利が高くなると収支がマイナスになってしまう
入居者は当然、同ランクの物件を比較したとき「家賃が高い部屋」をあえて選ぶことはありません。物件が実物資産である以上、新築より築古物件の資産価値は下がりますし、劣化箇所の修理は必要となってきます。
そのため、これら問題を盛り込んでいない収支シミュレーションは、現実よりも楽観的な試算がなされている資料だとみなされるのです。まずは上記4点をしっかり押さえて、年々収益が低下することを考慮してもなお、問題なく融資を返済できる事業計画を立てなければなりません。
人口減少を加味した空室リスク対策を用意する
先ほど解説した4点は、あくまで試算における基本的なポイントです。これに加えて、今後はますます人口減少や過疎化といった問題に対する具体案が必要となってきます。
人口が集中しており、今後もしばらく人口減少の心配がない都市部でもない限り、面談時に「人口減少についてはどうお考えですか?」といった質問をされると考えておくのが無難です。
こういった質問を投げかけられたとき、投資エリアのニーズをしっかりと掴んだ解答ができれば、担当者に与える心証は良くなります。収支シミュレーションとあわせて「事業者としての素養」をアピールできるポイントなので、ネガティブな話題を振られたときにも解決策を提示できるよう戦略を練って臨むべきです。
ポイント2:普段から「信用力」を意識した行動をする
融資希望者の個人信用情報も、金融機関に注目されるポイントです。クレジットカードやキャッシングなどの利用情報は全て金融機関側で調査され、支払いの延滞は容易に見つけられてしまいます。
支払いの延滞履歴があれば返済能力に問題があると受け取られるため、審査に多大な悪影響を及ぼすことは確実。なお、信用を損ねてブラックリストに登録されてしまえば5年間、場合によってはそれ以上のあいだ信用情報はそのままです。
過去の延滞をすぐさま帳消しにできる手立てはありませんが、いち早く不動産投資ローンを利用できる状態に復帰したいと考えるなら、普段から信用を損ねる行動を徹底的になくすべきでしょう。
ポイント3:支出を見直し「経済状況」の改善を図る
冒頭部分で、不動産投資ローンの担当者は「属性」に注目すると解説しましたが、年収や職種が優れているからといって確実に融資が付くわけではありません。
その典型例が「収入に対して保有資産が少ない」という状態です。このような状態では、支出をコントロールできていないと捉えられてしまいます。
不動産投資は投資と名が付くものの、実際には会社経営と同様に繊細な資金繰りが不可欠です。支出をコントロールできない投資家が、長期的に不動産投資で利益を出し続けられるとは考えづらく、これは金融機関の担当者にとって大きな不安材料となります。
こういった理由から、高収入であったとしても一定額は貯蓄や資産運用に充てて、金銭管理能力を持っていると証明できるよう意識すべきでしょう。
世帯収入の底上げはプラス評価に直結する
夫婦世帯で片働きなのであれば、共働きに切り替えて世帯収入を上げることで、経済状況の劇的な改善が見込めます。つまり、家族から資産運用に対する理解を得ており、世帯収入の底上げに協力してもらえるなら審査通過の確率をグッと高めることが可能なのです。
家庭内の状況にも関係しますが、どうしても不動産投資ローンの審査を通したいのであれば検討しましょう。
できる限り自己資金を用意しておく
不動産投資ローンの借入金額は、おおむね「融資希望者の年収の5倍」が目安になるといわれています。つまり、年収が600万円のサラリーマンであれば、不動産投資ローンを利用することで3,000万円の融資を受けられる計算です。
金融機関や経済状況によって、また持ち寄った物件の条件によって融資限度額は全く異なるのですが、目安程度に意識することをおすすめします。これを指標としてもちいることで、物件を購入するとき用意すべき自己資金を予測できるからです。
上記のような年収600万円、予想融資限度額が3,000万円のサラリーマンであれば、4,000万円の不動産を購入したいときに約1,000万円が自己資金として必要だと分かります。
自己資金の不足で理想的な案件を見送ってしまわないよう、どの程度の価格帯に希望する物件があり、予想融資限度額から逆算して用意すべき自己資金を割り出して、チャンスに備えるのが理想的です。
ポイント4:不動産投資ローンを利用するまで「転職」は控える
属性として挙げられるのは、年収や職種など短期的に変えられない要素ばかりです。ただし、すぐには変えられないものの、今日から意識することでプラス評価を重ねられる項目があります。
それは「勤続年数」です。年収と同じように意図的に操作はできませんが、会社を辞めさえしなければ勤続年数は増え続けます。
勤続年数が長いほど収入が安定している証明になるため、特別な理由がないのであれば不動産投資ローンを通すまで転職は控えることをおすすめします。
ポイント5:融資引き締めの傾向にあるときは「小さな物件」を選ぶ
融資が引き締められている状況下では、不動産投資ローンのハードルが一気に高くなります。特に不正融資の直後は、債務不履行になることを懸念して各金融機関とも融資を渋るのです。
こうしたなか、問題なく不動産投資ローンの審査を通せるのは、すでに複数の運用実績がある中堅以上の投資家に限られます。そのため、融資引き締めの傾向にあるとき堅実な選択となるのは、自己資金で小さな物件を購入して実績を積むことなのです。
審査に通す方法とは真逆の戦略にも思えますが、「つぎの審査に通すための一手」と考えれば合理的な行動だといえます。いつ緩和されるか分からない融資情勢の動きを待つより、確実に資産運用を進める選択として覚えておいてください。
高利回りより高入居率をアピールできる物件が理想
融資審査が緩い時期というのも確かに存在しており、そういった状況下では多少リスクのある物件でも審査に通ります。しかし、融資を引き締められているとき、リスクを取る代わりに大きく稼げる物件というのは歓迎されません。
こういった場合、課題を抱えた高利回り物件よりも、確実な利益獲得が期待できる高入居率物件が好ましいです。特に運用実績のない期間は、赤字になったとき補填する資金が給与頼りになり危険度が高いため、賃貸需要の優れたエリアで手堅く運用するべきでしょう。
担保力のある物件ほど不動産投資ローンに通りやすい
金融機関は、融資審査にあたり物件の担保力にも着目しています。担保力とは、債権者が破産したとき「物件を売却することで回収できる金額」のことです。
担保力は物件の資産価値と連動しているため、中古物件よりも新築物件、立地が悪い物件よりも立地の良い物件、土地面積が狭いよりも広い方が評価は高くなりやすいです。
そのため、検討している物件では審査に通らない場合、担保力の高い物件を第一候補に切り替えることも大切です。
ポイント6:不動産投資ローンに通るまで「複数の金融機関」をあたる
ここまで、不動産投資ローンに通すためのポイントを解説してきましたが、「一度で絶対に融資審査を通過させる方法」というのは存在しません。そのため、不動産投資ローンが通るまで、今回列挙したポイントを意識しながら粘り強くトライし続ける必要があります。
理想的なアプローチは「金利の低い金融機関」から、順を追って融資を交渉することです。金利が低い金融機関は審査も厳しい傾向にあり、投資未経験かつ平均程度の年収であれば、低金利な金融機関からアプローチをすると最初の数件は断られがちです。
しかし、数千万円で借入をするならわずか数%の金利差が大きな影響をもたらすため、より高利回りを目指すなら上記のような手順を踏むのは避けて通れない道でしょう。
「できる限り簡単に不動産投資ローンに通すこと」を目標とするのではなく、長期にわたって負担する利息を少しでも軽減できるよう、金利を意識しながら不動産投資ローンの利用を決めることをおすすめします。
複数の金融機関に同時に申し込むのはリスキー
金利の低い金融機関から、順を追って融資の交渉をすることを推奨しましたが、同時に複数の金融機関に申し込むのはリスキーです。
不動産業界内には「複数同時に融資を受けても良い」と考える同時融資の賛成派と、「与信を確認されるので心証を悪くする」と考える同時融資の否定派がいます。
どちらも経験者が語っており、どちらの意見が正しいかを断定することは難しいものの、どうしても欲しい物件なら単発で融資を持ちかけるのが無難です。融資の担当者によっては「片っ端からローンを申し込んでいる」と評価される可能性があるからです。
融資を申し込んで落とされても、金銭的負担はないのだからノーリスクだと考えられる一方で、単発に絞っていたら通っていた融資を落としたなら重大な機会損失だったといえます。
ポイント7:繁忙期である3月・9月・12月を狙って審査を受ける
金融機関は事業年度を4月~翌年度の3月に設定しているため、3月に決算、9月に仮決算があります。そして、決算後の4~9月の上半期、仮決算後の10~3月の下半期にそれぞれ目標を設定することとなっており、各最終月には目標達成のため融資に積極的になるのです。
もちろん事業計画が粗末であったり、経済状況が著しく悪かったりすれば審査は通らないものの、意図的に融資を絞っている状態に比べれば審査のハードルは下がっています。
また、上記の決算・仮決算日のほかにも、資金調達が盛んになる12月も融資に積極的です。これは、資金調達の増加に乗じてノルマ達成率を上げるため、あるいは申込数が増えるため審査に時間を費やせないためだといわれており、決算月と同様に狙い目として知られています。
ただし、ここまでに解説した各ポイントに比べて、この方法は不動産投資ローンを通すための本質から外れたテクニックです。小手先の手法であり、審査通過へ劇的に近付くとはいえないため、まずは基礎的な部分を押さえるべきでしょう。 なお、3月・9月・12月に申し込みをしても融資が間に合わない可能性があるため、前月上旬ごろから準備を進めるのが無難です。
まとめ
不動産投資ローンを利用できるか否かは、今後の投資人生を180°変えるといっても過言ではありません。融資を利用できず、自己資金を投じて物件を購入することになれば、物件を買い進めるスピードが遅くなり投資対象の幅は一気に狭まるからです。
投資対象の幅が狭くなるということは、目の前に優良物件があらわれても何もできずにチャンスを逃すことに繋がります。不動産投資ローンを利用できなくても投資家として成功することは可能ですが、経済的自由までの道のりは長いです。
そのため、いち早く脱サラや早期リタイアを目指すのであれば、この記事を見て不動産投資ローンを確実に通せるよう行動することをおすすめします。G