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不動産投資ローンで必要な自己資金はいくら?

By Oh!Ya編集部

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不動産投資ローンで必要な自己資金はいくら?

不動産投資で効率的に資産拡大を進めるなら、不動産投資ローンを利用した運用が近道です。

しかし、不動産投資ローンというのは、いつでも誰であっても利用できる制度ではありません。利用する条件の1つに「自己資金」という要素が絡んでくるのです。

今回は、不動産投資ローンを利用するにあたり、どの程度の自己資金が必要となるか解説していきます。

不動産投資ローンで自己資金の目安は「物件価格の1~3割」

自己資金
不動産投資ローンで自己資金を利用するなら、物件価格の1~3割を用意すべきだといわれます。もちろん全ての場合に当てはまる条件ではなく、景気や借り手など複数の要素が関わり合います。

あくまで、不動産投資の実績がない平均的な経済状況の会社員であれば、おおむね1~3割程度が基準だということです。1~3割という割合は、物件によっては決して小さな金額ではなく、取引価格が5,000万円であれば500~1,500万円ほどの自己資金を求められます。

2018年後期に不動産情報サイトの健美家が公表したレポート「第10回不動産投資に関する意識調査」によれば、自己資金が必要なかったという意見は38.9%に上りますが、これに答えた大多数は実績を武器に融資を引ける現役投資家だということに注意が必要です。

景気が良いとはいえない昨今、新規参入者の多くは自己資金を貯めてやっとスタートラインに立てると考えるのが無難でしょう。

なぜ不動産投資ローンの利用にあたり自己資金が必要なのか

不動産投資ローンを利用するにあたり、自己資金は「返済能力」を判断する材料として参考にされます。自己資金を多く持っているほど、経済的に破綻する可能性が低く出資先として低リスクなのです。

特に営利目的で運営されている銀行は、政府系の金融機関である日本政策金融公庫などよりも、出資先が債務不履行に陥ることを警戒します。自己資金が多いほど金融機関にとっての安心材料は増えるので、不動産投資を始めると決めた段階から着実に貯金すべきでしょう。

また、自己資金を用意していない状況は、金融機関に「金銭管理を怠っている」と評価されかねません。年収が高ければ返済能力を評価されやすい傾向にありますが、貯蓄額が著しく少なければ資金の貸し手としては不安を覚えるものです。

保有資産が少ないなら、どうして少ないのか納得させられる説明を用意しておくべきでしょう。

堅実性を重視するなら自己資金は多めが理想的

自己資金は1~3割ほど必要だといった基準は、あくまで最低条件を述べているに過ぎません。できる限り自己資金を多めに用意して、現金買いできるほどのキャッシュを持った状態で不動産投資に臨むのが確実な安全策です。

企業の経営状況が健全か否かを判断するときに、「自己資本比率」という指標を参考にします。これは、借入による資本と自己資本が、それぞれ総資本のうち何割を占めるか示しており、借入が多いほど倒産するリスクが高いのです。

不動産投資ローンを利用した資産拡大は、スピード感があり大変魅力的ではありますが、堅実性を重視して「失敗しないこと」重視するなら自己資金は多めが理想的。

一棟マンションやアパートで物件価格の半分を用意するのは難しいですが、初めての物件として選びやすい戸建や区分マンションなら、物件価格の半分近くまで貯金することも不可能ではないはずです。こうしてリスクをコントロールしつつ、自身の性格に合った投資を目指してみてください。

自己資金の割合は多く求められる傾向になりつつある

お金
先ほど掲載した健美家の調査によれば、不動産投資ローンの基準は厳しくなっており、融資の環境が厳しく変化したと答えたうち67.1%の人が「(求められる)自己資金の割合が増えた」と主張しています。

この主張は「融資の環境が厳しく変化した」という意見が、前年度よりも7.5%上昇したうえでの回答であるため、非常に多くの投資家が体感として持っているのは明らかです。

だからといって、いま不動産投資に手を出すのは危険かというと、決してそんなことはありません。不動産投資ローンがシビアな時期から実績を積んでおくことで、融資の環境が緩和されたときに大きな借入をできる可能性が高まるからです。

いつ迎えるか分からないチャンスを「いまは融資が難しい」といって待つだけでは、何年後に第一歩を踏み出せるか分かりませんよね?未来は誰にも予測できず、融資はさらに厳しくなる可能性もあるので、いまできることを探すことが成功への最短ルートだといえます。

不動産投資ローンで全額融資を受けるときの注意点2つ

新規参入者であっても、なかには年収・勤続年数・業種の安定性などが評価されて、全額融資(フルローン)を受けられるケースもあります。医師や弁護士といった高所得層、公務員など将来にわたり安定を保証されている立場であれば全額融資も現実的です。

ただし、属性を評価されて全額融資を受けられたからといって、それが必ずしもプラスに働くわけではありません。この項では、不動産投資ローンで全額融資を受けるとき、注意すべき2つのポイントについて解説していきます。

経営状況が不安定になりがち

不安
自己資金の比率は、経営状況の安定性を測る指標になるのだと解説しました。全額融資の場合は100%借入による経営となり、決して安定しているとは評価できません。

全額融資はその特性上、短期間で完済を目指すプランであれば返済が苦しいのです。たとえば、5,000万円の不動産投資ローンを利用して、10年間という短期間で返済するなら「500万円+金利」を毎年返済することになります。

金利2.5%程度で借入をしても毎年560万超を返済することとなり、一般的な会社員にとって現実的ではありません。そこで、つぎに考えるのが「借入期間の延長によるキャッシュフローの確保」です。

借入期間を延ばせば月々の返済額を下げられるため、手元に現金を残しやすく資金繰りの難度が下がります。ただし、これは表面的に経営状況の不安定さを解消したものであり、安易におすすめできる手法とはいえないのです。

キャッシュフローを確保するための借入期間延長は禁じ手

大前提として、戦略の一環である「借入期間の延長」は一概に否定できないものです。ただ、投資初心者が資金繰りの改善を目指して、安易に借入期間を延ばすことはリスキーだといえます。

5,000万円を借入期間10年の設定で借りれば、非常に大きな負担になることは前述した通りです。そこで、借入期間を20年と30年に設定したケースも数値を用意しました。

不動産投資ローンにより金利2.5%で5,000万円を借り入れた場合
借入期間月々の返済額年間の返済額返済総額利息総額
10年47万1,350円565万6,200円5,656万1,856円656万1,856円
20年26万4,952円317万9,424円6,358万8,121円1,358万8,121円
30年19万7,561円237万732円7,112万1,363円2,112万1,362円

借入期間が10年であれば、月々の返済額は47万円超と高額でした。しかし、借入期間を30年まで延ばせば負担は軽減され、1ヶ月あたりの返済額は半分以下になっています。

こうして、キャッシュフローは改善されたように見えるのですが、注目すべきなのは返済総額と利息総額。借入期間20年で1,300万円超、30年であれば2,000万円を超える利息が発生しています。

高額な物件を全額融資で購入すれば、短期間で毎月大きな負担を抱えながら完済を目指すか、借入期間を伸ばしてトータル収支を減らしながら運用しなければなりません。どちらにしても多大なストレスがかかり、自己資金を投じるよりもリスクを負うことになります。

全額融資を受けられるからといって、安易に危ない道を渡ることがないよう注意が必要です。

金利上昇により多大な影響を受ける

不動産投資ローンを利用するにあたり、固定金利型と変動金利型から融資のタイプを選ぶ場合があります。これらは、それぞれ以下のような特徴を持っています。

  • 固定金利型:金利設定は割高だが所定の期間は金利が変動しない
  • 変動金利型:金利設定は割安だが借入期間中に金利が変動する

リスク管理の観点でいえば、金利が変わらず計画通りに返済を進めやすい固定金利型が優れています。しかし、いまは金利上昇の予兆がなく低金利が継続すると予想されるため、投資家は割安な変動金利型を選びがちです。

金利を抑えることは利回り改善に繋がるため、変動金利型を戦略的に利用するのは賢明な選択ですが、全額融資を受ける場合は金利が返済総額に大きく影響するため要注意。少しでも金利を抑えようと変動金利を選んだ結果、金利上昇により損をする可能性もあります。

不動産投資ローンは金利と密接に関係しており、ほんの0.5%でも上下すれば投資家への影響は相当なものだと忘れてはなりません。

わずかな自己資金で不動産投資をスタートした失敗事例

負債
一定以上の自己資金を用意しなければ、平均的な会社員は不動産投資ローンを利用できないケースがほとんどです。しかし、なかには預金残高を操作して自己資金を偽造し、不正に融資を利用した事例があります。

こういった複数の事例は、のちに悲惨な結果を招きニュースとして取り上げられました。この項では、わずかな自己資金だけで不動産投資を始めた、不正を原因とする失敗事例について解説します。

預金残高5万円で不動産投資をスタート⁉ ケリーバックス問題

経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」で、大々的に取り上げられたのがケリーバックス問題。自己資金もリサーチも足りないまま不動産投資を始めてしまった例の1つです。

この問題に登場する投資家は、取材から2年ほど前に中古マンションを購入した50代女性です。当時、女性の預金残高は5万円でしたが、業者は偽造により5,000万円に変更。自己資金があるように見せかけて銀行から融資を取り付けていました。

購入した物件は8,000万円で、ローンの返済額は毎月45万円。マンションからの収入がなければ到底返済できる金額ではありませんが、購入直後に入居者の半数が退去したことで賃料収入は15万円まで低下しました。

購入直後に退去が続いたことも、「入居偽装」の可能性があり怪しいですが、そもそも収支計算からずさんだったようなのです。

購入後に18部屋が満室になっても収支はマイナスだった

公開された情報によれば、18部屋のうち8部屋埋まった時点での賃料収入は月あたり15万円でした。つまり、1部屋につき毎月2万円弱の利益があるということです。

同じマンションのなかで、家賃が2倍も3倍も異なる可能性は低いと考えられるため、満室時の想定利益は多く見積もって毎月36万円ほど。対してローンの返済額は毎月45万円なので、満室運用を続けても毎年108万円の赤字が続くことになります。

そもそも前提条件から投資として成立していなかったのです。

自己資金があれば損失の最大化を回避できた

こういった状況に陥ったとき、自己資金が物件価格の1~3割(この例なら800~2,400万円)あればどうだったでしょう?

損失が広がるまえに手放すことは変わりありませんが、できる限り高値で売れるように買主を選ぶこともできたはずです。5,000万円で購入するといった一番手を断ったあとに、6,000万円で購入したいと申し出る二番手に出会えたかも知れません。

ただし、手元に現金がなく来月の返済もできない状態なら、安値であっても一刻も早く手放す必要があります。このように自己資金がないまま不動産投資を始めれば、取れる行動が狭まり八方塞がりになる可能性が高いのです。

まとめ

今回は、不動産投資ローンの自己資金に関する話題をメインにしつつ、投資家に求められる要素についてご説明しました。まず覚えておくべき事項は、一般的な会社員であれば「物件価格の1~3割」が自己資金として求められるということです。

数十万~数百万円を貯めることになりますが、こういった参入障壁があるからこそ新規参入者にも勝機があります。目標を持ってゴールを目指せる人だけが、不動産投資で成功できるのだと忘れてはなりません。

スタートラインに立つことは決して簡単ではないですが、自己資金の準備が後々の結果を大きく左右するのだと意識して、不動産投資の世界に足を踏み入れてください。

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