【元不動産業者が語る】不動産投資の融資に関する7つの秘密
By Oh!Ya編集部
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不動産投資で物件を購入する際、融資を受けて購入する人が大半です。そもそも、融資を受けることでレバレッジ効果が高まるというのも、不動産投資の魅力といえるでしょう。今回は、そんな不動産投資の融資に関する秘密を紹介します。
筆者は長年不動産の仲介をしており、その際に融資も斡旋していたので、プロの観点から解説していきます。また、住宅ローンと不動産投資ローンは根本的に異なります。そのため、住宅ローンを組んだ経験がある方も、不動産投資ローンを組むときは注意すべき点が異なるので気を付けましょう。
目次
自宅を購入する前に不動産投資をする
まず1つ目の秘密は、自宅を購入する前に不動産投資をするということです。割と多くの人が自宅を購入し、その後に不動産投資をすると思います。というのも、融資を受けるなら投資用物件よりも自分が住む家を優先させたいからです。
しかし、本来であれば逆の方が良く、投資用物件を取得してから自宅を取得する方が不動産投資の観点からは良いといえます。
銀行にとって自宅は負債
では、なぜ自宅を購入する前に不動産投資をした方が良いかというと、銀行にとって自宅は負債になるからです。その点は、銀行の立場から「どんな人に貸したいか?」を考える必要があります。厳密にいうと銀行から融資を受けるときは、保証人の代わりに保証会社を立てます。
そのため、不動産投資ローンの「銀行ローン審査」とは保証会社の審査も含みます。余談にはなりますが、銀行よりも保証会社の審査の方が厳しいです。なぜなら、借入者が返済不能になったときに、保証会社はその残債を立て替える必要があるからです。
ただ、借入者は銀行に審査依頼をすれば自動的に保証会社にも審査されるので、さほど気にしなくて良いでしょう。
銀行は返済できる人に貸したい
さて、銀行にとって一番のリスクは、借入者が返済を滞納する、そして返済不能の状態に陥るということです。そのため、借入者の年収が安定しているか?職業は何か?年齢は?など、あらゆる角度からチェックするのです。
既に返済があるのはマイナス
その「きちんと返済できるか?」という観点は、何もその人の年収の高さや安定性だけではありません。仮に、安定している大企業に長年勤めていて、年齢も若く年収も高い、そして自己資金もあるという方の印象は良いです。しかし、その人に3,000万円の借入があったらどうでしょう?
借入があるということは別のローンを返済しているということであり、一定額の支出が毎月あるということです。そうなれば、先ほどの印象は悪化し、返済できるかどうかは分からなくなります。住宅ローンを組んで自宅を購入していると、まさにこのような状態になっているということです。
審査へどう影響する?
では、実際に自宅を購入するときに住宅ローンを借り入れていると、審査にどのような影響があるかを解説します。そのためには、銀行の審査に関して「返済比率」を知る必要があります。返済比率は、そもそも不動産投資の融資を受ける上で重要な言葉なので、必ず覚えておきましょう。
また、返済比率は不動産投資における収益を表すときにも使われる言葉ですが、ここでは融資における返済比率になります。
返済比率とは?
返済比率とは、「年間返済額÷年収」で計算される数値です。つまり、年収に占める月々返済額の割合を示したものであり、返済能力の指標になる数値です。たとえば、ローン返済が月々12万円(年間144万円)であり年収が600万円であれば、返済比率は24%になります。
この返済比率の基準は銀行によって異なります。住宅ローンの場合、たとえば「年収400万円以上は返済比率が35%以内」など明確に数値が決まっていますが、不動産投資ローンの場合は公表されていません。
審査金利は銀行によって異なる
ただ、注意したい点は審査する際の金利は銀行によって異なるということです。銀行はリスクヘッジのために、実際に適用する金利(実質金利)よりも審査するときの金利(審査金利)を高く設定します。
たとえば、実質金利が3%の場合、審査金利は3.5%で設定するようなイメージです。要は、自分で返済比率を計算するときは、実質金利より少し高めでシミュレーションしないと意味がないということです。
審査に通った金額が返済可能金額ではない
また、もう1つの注意点は銀行の審査に通ったからといって、返済可能な借入額とは思わないことです。銀行の審査は確かに厳しい目でジャッジをしますので、審査に通ると安心します。
しかし、それはあくまで銀行側の判断であり実際に返済できるかどうかは別問題です。将来、会社を辞めて収入が下がるかもしれませんし、子供が増えて支出も増えるかもしれません。大事なのは将来の収支バランスを計算し、自分自身の目で返済可能かを確かめることです。
不動産投資ローンは担保評価が重要
2つ目の秘密は、不動産投資ローンは担保評価が重要ということです。不動産投資ローンでは、住宅ローンを借り入れるとき以上に担保評価を重視するので、担保評価について詳しく理解しておく必要があります。
担保評価とは?
ここでいう担保評価とは、抵当権を設定して担保にした物件に、どのくらいの資産価値があるかどうかという評価です。不動産投資の場合は売却金額だけでなく、その物件は「収益性の高い物件か?」という観点を持ちましょう。
ここでいう収益性とは、その物件から得る家賃収入と経費を計算し、きちんと収益(利益)を上げられているか?という観点になります。
収益でローンを補填
自宅の場合の担保評価は「売却金額」を重視しますが、投資物件の場合は売却金額以外に、その物件の収益性を評価します。というのも、不動産投資の場合には、毎月の返済額はその物件の家賃収入で補填するケースが多いからです。
つまり、融資する物件が収益性の高い物件であれば、返済に補填する収益を上げられるということであり、返済が滞るリスクが小さくなるのです。そのため、収益性の高い物件を担保に入れれば、銀行の審査に通りやすくなります。
売却という観点
また、売却という観点からも、前項の収益性は重要になります。というのも、自宅の場合にはその物件には自分が住んでいるので、賃料収入で利益を出しているわけではありません。また、自宅の場合はその物件のエリアと築年数によって、大体の相場価格が分かります。
一方、投資用物件の場合はそのような要素だけでなく、「その物件は果たして儲かるのか?」という観点が重要なので、担保評価が高いか・・・つまり儲かる物件かどうかをチェックするということです。なぜなら、収益性が高ければ買い手がつきやすいですが、低ければ中々売れないからです。
耐用年数をチェック
さて、物件の担保評価を測る上では、その物件の耐用年数をきちんとチェックすることが重要です。耐用年数をチェックすることで、ある程度は銀行がどのような評価をするか分かります。
そのため、物件を購入するときは築年数をチェックしつつ、耐用年数との対比が重要となります。どちらの要素も重要ですが、もっとも大事なのは築年数と耐用年数を組み合わせて確認するということです。
構造による耐用年数の違い
物件の耐用年数は構造によって以下の違い※があります。
- 鉄筋(鉄骨)コンクリート造:47年
- 鉄骨造:22年~38年
- 木造:20年
鉄骨造に幅があるのは鉄骨の厚さによるもので、アパートや大きな戸建に利用される鉄骨造の厚さでいうと、耐用年数は30年と思っておいて良いでしょう。一般的にはマンションが鉄筋コンクリート造で、アパートは鉄骨造か木造、そして一戸建ては木造になります。
耐用年数をチェックする理由
耐用年数をチェックする理由は、銀行が物件の担保評価を算出するとき、耐用年数は重要な指標になるからです。耐用年数はあくまで指標なので、その年数に到達したからといって住めないわけではありません。むしろ、前項の耐用年数を過ぎている物件は世の中にたくさんあります。
とはいえ、耐用年数は担保評価を算出するときに必要なのは事実なので、不動産投資をする方であれば必ず知っておくべきでしょう。前項のように、特に鉄骨造は厚さによって耐用年数が変わるので、物件選びの際は注意が必要です。
耐用年数によって減価償却費用が異なる
銀行が担保評価を算出するときに耐用年数を重視する理由の一つに、耐用年数によって減価償却費用の計上年数が異なるという点が挙げられます。減価償却費用とは、物件の初期費用を各年で経費として計上できる費用です。
減価償却費用を計上できれば節税になるので、物件の収益は上がります。つまり、銀行からすると返済不安が小さくなるということです。その減価償却費用を計上できる期間は、耐用年数とイコールになります。その意味でも、銀行は耐用年数を重視するというわけです。
耐用年数によって売却金額が異なる
また、耐用年数は売却金額と深い関係があります。上述の通り、耐用年数を過ぎても物件には住めますが、査定価格には大きな影響を与えます。耐用年数を過ぎた物件は、それが理由で査定金額が0円になることさえあるのです。そうなると物件の売却はできません。
仮に値段が付いたとしても、耐用年数の過ぎた物件には融資が付きにくいです。つまり、買い手が見つかりにくく売りにくい物件になってしまうのです。このように、担保評価と耐用年数の関わりは頭にいれておきましょう。
自己資金を設定するコツ
3つ目の秘密は自己資金を設定するときはコツがあるという点です。その点を理解するために、以下の点を解説していきます。
- 自己資金はなぜ重要か?
- 自己資金を設定するコツ
自己資金と融資には深い関係があり、自分自身の収支状況にも影響を与えますので、しっかり理解しておきましょう。
自己資金はなぜ重要?
そもそも自己資金が重要である理由は以下2点です。
- 借入額を減らせる
- 資金を貯めることができる
これは銀行側の視点です。つまり、銀行から見て自己資金が潤沢な人はどのように映るか?ということになります。また、ここでいう自己資金は銀行に入れる頭金と同じ意味です。
借入額を減らせる
まず、自己資金があるということは、借入者の借入額が減るということです。そうなると返済金額が減るので借入者の負担が減り、返済が滞納するリスクが小さくなります。この理由によって、自己資金の多い人の方が審査には通りやすいのです。
資金を貯めることができる
また、銀行が融資したい人は資金力がある人であり、散財せず堅実な人です。年収がどれだけで高くても、過去に借入を何回も起こしており、何度も延滞している人は融資にはまず通りません。自己資金があるということは、少なくともその資金を貯めることができたということです。
実際は相続などによって資産があるのかもしれませんが、そこまで銀行はチェックしません。とにかく、自己資金があれば「そのくらいの資産は貯めることができる人」というポジティブな印象を持たれるということです。
自己資金を設定するコツ
さて、そんな自己資金ですが、前項までを踏まえて金額を設定するコツは以下になります。
- 区切りの良い数字を入れる
- 区切りの良い返済比率にする
- 余裕資金は残しておく
- 自己資金額によるメリット・デメリットを知る
区切りの良い数字を入れる
まずは、区切りの良い数字を入れるということです。上述したように、自己資金額は銀行が「お金を貯められる」という印象にも影響します。そのため、たとえば480万円の自己資金よりも500万円の自己資金の方が銀行の印象は良いのです。
もちろん、こちらは実際に自己資金を増額できれば・・・が前提です。要は、20万円の金額差ではありますが、区切りの良い数字の方が銀行の印象は良くなるということです。
区切りの良い返済比率にする
また、金額だけでなく返済比率も区切りの良い数字を意識すると、なお銀行の印象は良くなります。上述したように、銀行ごとに審査金利を設定しますが、ローンを斡旋してくれる仲介会社は審査金利を知っているケースが多いです。
そのため、仲介会社にシミュレーションを依頼するときに、自己資金額による返済比率の違いが分かります。その返済比率が20.1%よりは、19.9%の方が20%を切るので印象は良くなるというわけです。
こちらも前項と同様、自己資金を増額できれば・・・という前提です。仮に、自己資金を30万円上げることで、返済比率が20.1%から19.9%になるのであれば30万円の増額でも効果は高いということです。
余裕資金は残しておく
また、銀行の審査に影響するという点以外に、実際に物件を運営したときの収支バランスを考えなくてはいけません。つまり、手元資金をどれくらい残しておくべきか?という点です。不動産投資をする場合、空室リスクもありますし、補修費・税金などのコストがかかります。
その点を加味して、余裕資金を手元に残しておく必要があります。これは、仲介会社などと一緒に、綿密に収支シミュレーションをして決めると良いでしょう。
自己資金額によるメリット・デメリットを知る
また、自己資金額が高いと審査には通りやすいですが、手元資金が減り突発的な支出に対応できません。一方、自己資金額が低いと手元に資金は残りますが、審査に通りにくくなります。その点を加味しながら、上手く銀行の審査に通る金額を設定しなければいけません。
こればっかりは、いくら情報を集めても自分だけの判断では難しいです。そのため、何度もローンを斡旋している、不動産会社の営業マンと良く相談しながら決めましょう。
地銀は実績を重視する
4つ目の秘密は、地銀は実績を重視するという点です。もしかしたら、融資を検討している金融機関の中に、地銀は入っていないかもしれません。しかし、銀行の審査はそう甘くないので、地銀に頼る場面が出てくるかもしれません。
そのため、現在検討していない人でも、地銀について以下の点は知っておきましょう。
- 地銀を利用するケース
- 地銀のメリット・デメリット
- 地銀でいう実績とは?
- 今後の事業展開の期待も重視
また、今回説明する特徴は、地銀以外にも信用金庫などにも該当します。要は、都内以外にも地方に力を入れている金融機関全般にいえることになるのです。
地銀を利用するケース
地銀を利用することが多いケースは、以下のケースになります。
- 地方での不動産投資するとき
- 大手銀行の審査に落ちたとき
地方での不動産投資するとき
「地方」銀行というくらいなので、まずは都内ではなく地方で不動産投資をするときに地銀は利用されることが多いです。都内だと地銀自体が少ないので選択肢に入らないことが多いですが、地方では地銀のシェアは非常に高いのです。
大手銀行の審査に落ちたとき
地銀の役目の1つとして、個人も企業も大手銀行から融資を受けられないときの受け皿になるという点があります。
そのため、大手銀行の審査に軒並みに落ちてしまった時に、最後の受け皿として地銀を検討する人は多いです。東京都内だと地銀は少ないので、信用金庫などを利用するケースが多いでしょう。
地銀のメリット・デメリット
まず、地銀のメリットは大手銀行よりも審査が緩いという点です。地銀は次項で解説する「実績」を重視する傾向があるので、大手銀行に落ちた人でも審査に通ることは十分あります。
一方、地銀のデメリットは金利が上がりやすいという点です。借入者の状況によりますが、一般的に地銀は大手銀行よりも金利が高いです。大手銀行の受け皿としての役割もあるので、その点は仕方ないといえます。
地銀でいう実績とは?
さて、前項で出た地銀の「実績」とは、具体的には以下のようなことです。
- 定期預金や振込口座
- 過去の融資履歴
定期預金や振込口座
まずは、その地銀に定期預金口座をつくったり、給与の振込口座に設定していたりという点です。地銀は大手銀行よりも顧客の絶対数は多くないので、顧客とのつながりを重視します。そのため、定期預金や給与振込口座の設定など、長い期間付き合える状況の顧客を優遇するのです。
この点は、審査に通りやすいという点だけでなく、金利にも反映されます。このような点は、審査前に既に行っているのが理想ですが、融資の審査時に口座を開設するなどでも評価は上がります。
過去の融資履歴
また、前項の「付き合いを重視する」という点にも関わってきますが、過去の融資履歴も重要な指標になります。仮に、カードローンを利用したり、別のローンを組んだりした実績があれば優遇してくれるでしょう。
もし、そのような履歴があるならば、地銀に連絡して金利だけでも聞くのが得策です。もしかしたら、現在検討している銀行よりも低い金利で借入できるかもしれません。
今後の事業展開の期待も重視
こちらも前項の「付き合いを重視する」という点にも関わりますが、地銀は今後の事業展開の期待も重視します。つまり、今後どんどん物件を増やして不動産投資の規模を拡大していく予定であれば、地銀は非常に心強い味方になるということです。
もちろん、大手銀行でも融資に成功した実績があれば、今後の融資を受けやすいです。しかし、地銀の場合は大手銀行の比ではなく、審査のハードル・スピード・金利面で大きく優遇してくれる傾向があるのです。
そのため、特に地方で不動産投資を検討しており、今後事業拡大が視野に入っているのであれば、大手銀行よりもむしろ地銀の方が良いでしょう。銀行選びはそのような観点も取り入れて行いましょう。
銀行は時期によって審査の難易度は変わる
5つ目の秘密は、銀行は時期によって審査の難易度は変わるという点です。当然ながら、審査に通りやすい時期に行った方が良いですが、それを知るためには以下を理解しておきましょう。
- 銀行内の手続きとは?
- 比較的審査に通りやすい時期とは?
銀行内の手続きとは?
銀行によって審査の手続きは異なりますが、一般的な手続きは以下の流れになります。
- 仲介会社が銀行に事前審査を依頼
- 銀行書類を受け取り銀行内の審査部で審査
- 保証会社へ審査依頼
- 保証会社の承認を得る
- 本審査の書類を受け取る
- 銀行内と保証会社で再度審査
要は、事前審査と本審査に分かれており、銀行内と保証会社内のどちらでも審査をします。よほど状況が変わっていない限りは、事前審査で通過していて本審査で落ちることはないでしょう。
このように、審査1つとっても色々な手続きがあり、銀行だけでなく保証会社も絡んできます。また、融資金額によって決裁者が異なるので、融資額が大きいほど決済に時間がかかるのです。
比較的審査に通りやすい時期とは?
さて、前項を加味した上で、比較的審査に通りやすい時期は以下の通りです。
- 融資の審査が混まない時期
- 金利が下がった時期
審査が混まないということは、銀行にとってローンの申込者が少ない時期です。そのため、多少無理してでもローンに通さないと、銀行として「融資額○○億円」という目標をクリアできません。
融資の審査が混まない時期
まずは融資の審査が混まない時期です。逆に、融資の審査が混む時期とは3月末や9月末であり、その理由は以下です。
- 新築物件の竣工時期だから
- 仲介会社の都合によるもの
まずは、新築物件は3月末や9月末に竣工するパターンが多いので、この時期にはそれを購入する層が集まります。また、仲介会社も3月末や9月末に数字を上げる必要があるため、その時期に中古物件の売却を推し進めるので、中古物件もこの時期に売れやすいです。
そのため、3月末と9月末に引渡しができる、1月~3月中旬、7月~9月中旬の時期は審査が混む時期になります。それを外した時期が、比較的審査に通りやすいといえるでしょう。
金利が下がった時期
金利が下がるということは、政策金利が下がるか、もしくは積極的に融資を取りたいということです。もし、後者であれば比較的審査に通りやすい時期なので、借入者からするとチャンスです。ただ、不動産投資ローンの金利は公表されていません。
そのため、まずはその銀行が提供している住宅ローン金利を見てみましょう。住宅ローン金利が下がったからといって投資ローンも下がっているとは限りませんが、少なくとも参考にはなります。後は、仲介会社にヒアリングして確認することです。
信用情報に履歴があったときの対処法
6つ目の秘密は、信用情報に履歴があったときの対処法です。その点を知るためには、以下を理解しましょう。
- 信用情報とは?
- 履歴があったときの対処法
- 営業マンは積極的ではない
信用情報とは?
そもそも信用情報とは、以下のような履歴が蓄積されている機関です。
- 過去の借入履歴
- 過去の延滞履歴
- 自己破産利益
上述しましたが、過去に延滞歴がある場合、ローン審査にはまず通らないでしょう。それくらい、過去の延滞歴などは厳しく見られる項目であり、銀行にとっては重要な指標なのです。
また、これらの情報を蓄積している機関は、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなどが複数の機関があります。信用情報機関のどの機関を利用しているかは、不動産投資ローンの事前資産用紙に記載しています。かなり小さい項目にはなりますが、必ず記載してあるのでチェックしてみましょう。
履歴があったときの対処法
履歴が合ったときの対処法には以下の方法があります。
- 履歴を消す
- 履歴が消えるまで待つ
- 他の銀行をあたる
履歴を消す
仮に審査否決になると、それとなく営業マンから否決の理由を言われます。銀行側も個人情報なので、営業マンに直接伝えることはできませんが、大体営業マンには分かるような言い方で伝えてきます。
仮に、履歴があった場合は審査に通ることは難しいですが、もし履歴が「錯誤」であった場合は、その機関に直接問い合わせることで履歴を消去できることもあるのです。そのため、該当する信用機関へ連絡して、履歴が消去できないか掛け合ってみることは可能です。
ただし、履歴が消去できる可能性は極めて低いと思っておきましょう。本当に、全く身に覚えがないときだけ掛け合ってみることをおすすめします。
履歴が消えるまで待つ
2つ目の方法としては、履歴が消えるまで待つことです。履歴の種類と信用機関にもよりますが、大抵は5~8年で履歴が消えます。仮に、7年前の履歴が1つだけ残っていれば、もう少し待てば履歴が消えて審査に通るかもしれません。
前項のように信用機関で履歴をチェックすることで、その内容と時期が分かります。その意味では、履歴が消えるかは分かりませんが、利益をチェックする意味は大きいといえます。
他の銀行をあたる
また、基本的にはどの銀行も履歴があると一発アウトです。しかし、たとえば「4年前にカードローンで3万円借りて、1回だけ延滞した」などのように、そこまで質の悪い延滞でない場合は許容する銀行も中には存在します。
その点は、仲介会社に問い合わせてみると良いでしょう。最近の銀行の傾向はローンを斡旋している仲介会社しか知らないので、自力で探すのは難しいです。
営業マンは積極的ではない
1つ覚えておいて欲しいことは、信用情報によって否決になった借入者を、営業マンは積極的に案内しません。理由は、繰り返しになりますが信用情報で否決になると、ほぼどの銀行でも融資を受けられないからです。
仮に、否決理由が「返済比率が高い」や「自己資金比率が低い」などであれば、自己資金を減らしたり、物件を変えて借入金額を減らしたりと改善の方法はあります。しかし、信用情報による否決は、解決することはほぼ不可能なのです。
そのため、上記のように信用情報の履歴が見られることなどを案内しない営業マンも多く、「履歴が消えるまで待つしかない」といって、検討を諦めさせるパターンが多いでしょう。もちろん、それは事実ではあるのですが、どうしても何とかしたい場合は上記を自分でトライしてみることです。
ローン審査で絶対やってはいけないこと
さて、さいごの7つ目の秘密は、ローン審査で絶対にやってはいけない以下を知っておくことです。
- 同時に審査する
- 少なめの借入額で審査する
- 転職など状況が変わることを隠す
同時に審査する
まずは、複数の銀行を同時に審査することです。なぜなら、銀行が利用する保証会社はほぼ同じなので、別の銀行でも審査していることが分かってしまうからです。そうなると、銀行からすると「本当にうちから融資を受ける気があるのか?」と疑心暗鬼になります。
そのため、銀行の心証は著しく悪化するので、同時に審査するのは避けましょう。そもそも、仲介会社の営業マンも同時に審査することを提案してきませんが、注意すべきは複数の不動産会社と付き合いがある場合です。
そのときは、仮に別の物件の審査でも審査時期をズラした方が良いでしょう。なぜなら、物件が別でも、銀行からすると「天秤にかけられている」という状況は変わらないからです。とにかく、その銀行だけしか検討していないということをアピールした方が良いというわけです。
少なめの借入額で審査する
良くあるパターンとして、自己資金を「捻出できる最大の金額」で審査をして、なるべく借入額を低くして審査することです。もちろん、借入額を低くして審査した方が、審査には通りやすくなります。しかし、結局自己資金額を減らし借入額が上がるときは、再審査する必要があるのです。
たとえば、当初4,000万円の借入が4,100万円の借入になったとします。その際、もしかしたら「100万円くらいの増額は問題ないだろう」と思う人もいるかもしれません。確かに、このくらいの増額であれば再審査に通る可能性は高いでしょう。
しかし、銀行からすると「自己資金が減額」というネガティブな状況なので、心証が悪くなります。そのため、自己資金率や返済比率などによっては、審査否決の可能性も十分にあるのです。逆に、自己資金が増える場合は再審査が不要なので、自己資金額マックスでの審査はやめましょう。
転職など状況が変わることを隠す
上述したように、ローン審査は事前審査をしてから本審査という流れになります。「事前審査に通って本審査に落ちるケースは少ない」といいましたが、落ちるときは以下のようなケースです。
- 転職した
- ほかの借入をした
- 借入を延滞した
つまり、事前審査と大きく状況が変わり、それが収入の変動や銀行の信用に関連することである場合です。本審査をしていることは、物件の契約をしているということです。そのため、上記のように自己都合で本審査が否決になれば、売買契約は強制的に解約になります。
さらに、自己(買主)都合の解約の場合、違約となり手付金は没収されてしまうのです。手付金は数百万円になることも多いため、大変な損害になります。そのため、まずは上記の状況にならないことです。仮にリスクがあるなら、営業マンに必ず事前に相談しましょう。
まとめ
このように、不動産投資の融資は、住宅ローンとは違う注意点もたくさんあります。また、ローンを斡旋するのは不動産会社の営業マンですが、その営業マンによってローンの知識は大きく異なります。
そのため、営業マンだけに任せてしまうと、本来審査に通るはずが、銀行の選定ミスや自己資金率のミスなどで否決になるケースもあるのです。そのため、上述した点を理解しておき、自分自身である程度判断できる予備知識を頭に入れておきましょう。