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不動産収入の計算に「返済後利回り」を使うべき理由とは?

By Oh!Ya編集部

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不動産収入の計算に「返済後利回り」を使うべき理由とは?

不動産投資は「計算の入念さ」により、成功・失敗が大きく分かれるとご存知でしょうか?

受験勉強や面接練習など、私たちは未成年のころから「成功するための準備」を数多くこなしてきました。準備をしても成功を収められる保証はありませんが、準備の有無が成功率に影響することは周知の事実です。

そこで今回は、不動産投資を成功に導く方法の1つ「返済後利回り」について解説していきます。

「返済後利回り」を計算して現実的な不動産収入を求めよう!

収益 不動産投資にもちいる利回りは、基本的に3種類に分けられます。

  • 表面利回り:運用経費を除外した満室想定時の利益率
  • 実質利回り:運用経費を加味して空室リスクを考慮した利益率
  • 返済後利回り:実質利回りに「融資の返済」を加味した利益率

このうち、なぜ表面利回りや実質利回りだけでなく、返済後利回りまで計算すべきでしょうか?

なぜ表面利回りや実質利回りだけではダメなの?

不動産業者との会話や物件資料にもちいられるのは、満室想定を前提にした表面利回りです。しかし、当然ながら表面利回り通りの利益率は出ず、実際の収益性はこれを大きく下回ります。

そこで投資家に活用されているのが、運用経費や空室の可能性を含めた実質利回りです。簡易的に算出される表面利回りに比べて、実質利回りは現実的な数値が出るため、多くの投資家は実質利回りを計算して参考にします。

そのため、少しだけ不動産投資を勉強した程度では、「実質利回りが良ければ安心だ」と短絡的に答えを出してしまいがち。しかし、投資初心者が実質利回りだけを計算した状態で、そのまま物件購入に踏み切るのはリスキーだといえます。

なぜなら、実質利回りの計算で満足した投資初心者は、ベテラン投資家が常に意識している「融資の返済」という要素を見落としているからです。

実質利回りだけではキャッシュフローがイメージできない

実質利回りは以下のような計算式をもちいて、運用経費と空室リスクを含めた利益率を算出します。

実質利回りの計算式
(空室リスクを加味した年間利益-運用経費)÷(物件価格+購入経費)× 100%

一見すると現実的な利益率を求められたように感じますが、これを有力な材料だと捉えて良いのは「自己資金のみ」で収益物件を購入した場合に限ります。

実際に手元へ残る利益は融資条件や借入金額、返済期間によって大きく異なるのです。

なお、表面利回りや実質利回りの詳しい計算方法、および実質利回りにもちいる諸経費の考え方は「【2019年最新】正しい利回りの算出方法と全国の平均利回りまとめ」で解説しています。どのような支出を経費として計算するのか分からないときは、こちらの記事を参考にしてみてください。

物件情報を受け取ったら返済後利回り算出しよう

どれくらい融資が受けられるのか分からない状態で、返済後利回りを計算しても無意味ではないのか?

多くの投資初心者は、このように考えるかも知れません。しかし、不動産投資において最も避けるべき事態は、最初に収益性の低い物件を買ってしまうことです。

なぜなら、手元に利益が残らなければ経済状況は豊かにならず、2軒目,3軒目と収益物件を買い進められません。さらに、収益性の低い物件を持っている場合、金融機関から返済能力を低く見られやすく、融資が受けづらい状況に陥るのです。

そのため、情報をキャッチアップした興味のある物件は、まず返済後利回りを算出して「利益維持に必要な融資の最低条件」を求めることをおすすめします。

【具体例】返済後利回りはどのように計算すれば良いの?

物件情報
物件価格4,100万円
表面利回り約10.2%
想定年間収入415万円
建物構造鉄骨造
築年数築34年
種別1棟マンション
戸数8戸

このような物件情報をベースに、以下のような融資条件を加えていきます。

  • 想定空室率:12.5%(1戸空室を想定)
  • 運用経費:15%
  • 借入金利:3%
  • 返済期間:20年

なお、借入金利・返済期間が複雑に影響する返済後利回りは、計算に手間がかかるため「収益・投資物件 簡易収支シミュレーション」の使用をおすすめします。

返済後利回りを計算
想定ケース返済後利回り手取り収入(年間)
4,100万円をフルローン0.7%28万円
2,100万円を部分ローン4%161万円

※1万円以下は切り捨てて表示しています。

物件情報では10%弱だった利回りはフルローン時に0.7%、約50%の部分ローン時には4%まで低下すると分かりました。これらの利回りは毎年達成できるわけではなく、大規模修繕や設備交換により低下します。

また、地方では過疎化により空室が増えるリスクもあるので、仮に2戸空室が発生すれば空室率は25%となり、フルローン時の返済後利回りは-0.5%とギリギリのマイナス水準になります。

これら一連の計算により、以下のような点に注意すべきだと分かるのです。

  • 過疎化による空室リスクを人口推移ベースでシミュレーション
  • 修繕履歴を聞き出して大規模修繕の必要性がないかチェック
  • 返済期間が20年未満だとキャッシュフローはほとんどない
  • いまの賃料より割高で入居している長期入居者を確認

空室が1戸増えれば利益率はガクリと下がるので、地域全体が過疎化の傾向にないか調査が必要です。

また、建築から34年も経過しており、特定部位の激しい劣化が懸念されます。修繕費は大規模になるほど高くなるため、過去の修繕履歴を聞き出しておき、修繕が購入直後に発生する事態は避けたいところです。

そして、返済期間次第では手残りがほぼなくなるので、ギリギリの条件で融資を受けるのは危険。最後に挙げた「割高賃料の長期入居者」は、退去してしまったとき現状の適正賃料に値下げすることになるため、空室が埋まっても利回りが低下することに注意すべきです。

返済後利回りから分かる「長期融資の欠点」

マイナス 収益物件を探してシミュレーションをしたとき、低い返済後利回りを解決しようと「長期融資」を希望するケースが多くあります。返済期間を延長すれば毎月の返済額は減り、手元に残る利益が増えるからです。

しかし、こうした目先のキャッシュフローを追求する考え方は、トータルリターンを減少させる原因になります。返済期間を伸ばすことによる問題も、返済後利回りを利用すれば理解が容易です。

目先のキャッシュフロー追求は収支をマイナスにする

先ほど算出した返済後利回りの結果をもちいて、返済期間を伸ばしたケースを想定していきます。

返済期間による「返済総額」の違い
  • 融資金額:4,100万円(フルローン)
  • 想定空室率:12.5%
  • 運用経費:15%
  • 借入金利:3%
返済後利回り返済総額
返済期間20年0.7%5,457万円
返済期間25年1.7%5,832万円
返済期間30年2.3%6,228万円
返済期間35年2.8%6,627万円

※1万円以下は切り捨てて表示しています。

返済期間が伸びるほど返済後利回りは高くなり、キャッシュフローが良くなっていると分かります。しかし、同時に「返済総額」がどんどん増えている点を見逃してはいけません。

融資金額はどれも4,100万円ですが、返済期間20年と35年では返済総額に1,170万円もの差が生まれています。これらから、不用意に返済期間を伸ばす行為が、効率的な資産形成を妨げるとハッキリ分かるはずです。

そのため、融資時は以下のような認識を持って、慎重に検討することをおすすめします。

  • 返済期間の延長によるキャッシュフロー確保は「トータル収支」で損をする
  • 長期融資を利用すると「利息」が大きくなり資産拡大のスピードが鈍化する
  • 返済期間の延長でしかプラスを出せない収益物件は再検討の余地あり

手残りを確保するために、長期融資を利用しなければならない収益物件は危険。かつ、残債のある保有物件は融資審査で不利になるため、結果的に資産拡大が難しくなると覚えておいてください。

不動産収入の利回りを高めるテクニック

上昇 「返済期間を延長する」という方法を使わずキャッシュフローを改善するには、どのような方法が適しているのでしょうか?

こういった疑問を解決する、不動産収入の利回りを高めるテクニックをご紹介します。

より低金利な金融機関で融資を受ける

融資金額を下げれば返済総額は少なくなりますが、これでは投資先の選択肢が狭まり抜本的な改善とはいえません。そこで、融資時に意識すべきなのが「低金利で融資を受けること」です。

融資に利用できる金融機関は大きく5つあり、それぞれ以下のような特徴を持っています。

  • メガバンク:金利は低く全国で利用できるが、属性に対する審査は厳しい。
  • 地方銀行:金利はメガバンクより高いが、店舗に近い融資案件には積極的。
  • 信用金庫:金利は地方銀行より高いが、銀行系より融資審査が易しい。
  • 日本政策金融公庫:金利は極めて低いが、計画性に対する審査は厳正。
  • ノンバンク:金利は高く優先的に選ぶべき融資元ではないが、審査は緩い。

このうち、メガバンクと日本政策金融公庫は「低金利だが審査が厳しい」という特徴を持っていますが、両者の審査におけるシビアさは異なります。

メガバンクと日本政策金融公庫の「審査の厳しさ」はどう違うの?

まず、メガバンクは融資希望者の経済力や社会的地位、いわゆる「属性」から返済能力を判断します。そのため、高所得者でなければ融資が難しいのです。

一方、日本政策金融公庫は属性よりも、「事業者としての素養」や「事業プランの綿密さ」を重点的にチェックします。つまり、メガバンクの審査時に職種・年収がネックとなる人でも、優れた事業性をアピールできれば低金利での融資が期待できるのです。

属性が優れていないことを理由にして、審査の緩い金融機関を選ぶのではなく、どのように低金利な融資を取り付けられるか考えることが、利回りを高めるうえで重要だといえます。

内外装への手入れで入居率を維持する

金利を下げる努力は、あくまで不動産投資を始めるまでのテクニック。すでに収益物件を運用しているなら、優先すべきなのは空室リスクへの対策です。

人口減少・地方の過疎化が問題に挙がる昨今、これまでより「選ばれやすい住居作り」が重要になってきます。

  • 内外装に古さを感じるならリフォーム工事
  • 故障していなくても最新設備に取り換える
  • 初月無料や敷金返金ゼロなど入居ハードルを下げる工夫を採用

これらを行えば、入居率の改善だけでなく賃料設定の底上げも可能。利回りを高める方法としては、基本中の基本といえるテクニックです。

工事費用は複数社に見積もりを出してもらう

工事は大規模になるほど高額になるものですが、1社だけに見積もりを出してもらい「相場価格はこれくらいか」と判断するのは早いです。

どんな業界も価格競争が進んでいるため、複数の工事業者に見積もりを依頼したうえで、信頼・価格面のバランスが優れた業者を選びたいところ。一刻を争う状況でなければ、割高で工事しないよう慎重にリサーチすることをおすすめします。

不動産投資で成功を収めるのは「経営者意識」を持った人

意識する 返済後利回りを考えずに計画を進める人、工事業者が提示する割高な価格に従ってしまう人は、考え方を改めない限り成功を収める可能性が低いです。

たとえば、2019年2月に話題となった「ケリーバックスの不正融資問題」は、投資家に経営者意識があれば避けられた問題の1つだといえます。

2019年2月に話題となった「ケリーバックス事件」の問題点

もちろん不正を働く人々に非があるのですが、以下のような状況で不動産投資を始めた投資家本人は、勉強・リサーチ不足だったと判断できるはずです。

  • 貯金額5万円を偽装して、不正融資により8,000万円の収益物件を購入した
  • 購入直後に退去者が続出。賃料収入15万円に対してローン返済額は45万円/月
  • 公開情報から1部屋あたりの賃料は2万円前後。18部屋満室でも返済額に届かない

貯金額が5万円であれば、初年度に支払う登録免許税や不動産取得税が支払えないはずです。さらに、8部屋埋まった状態で賃料収入が15万円/月だと公開されており、単純計算で1部屋あたりの家賃が1万8,750円だと算出できます。

これが正しければ18部屋が満室状態でも、賃料収入は33万7,500円/月という計算になり、ローン返済額45万円/月には到底届きません。つまり、どう努力しても失敗の可能性が高い、明らかに粗悪な投資案件だったのです。

まとめ

ケリーバックスの事件は、投資家に「自分の資産を守る意識」があり、少しでも勉強していれば避けられた問題だったといえます。仲介業者との詳細なやり取りは不明ですが、都合の良いメリットを聞かされて流されてしまった可能性は高いです。

本記事に挙げたような、返済後利回りやキャッシュフロー改善の考え方を取り入れて、投資家自身が考え続けることこそ「不動産を成功させる最大のカギ」だといえます。

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