【元不動産仲介が教える】不動産投資で失敗しない6つのポイント
By Oh!Ya編集部
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不動産投資は当然ながら「失敗」もあり得る投資です。ほかの投資に比べると比較的失敗するリスクは小さいですが、それでも慎重に物件を選び、上手に運営をする必要があります。今回は、そんな不動産投資で失敗したくないと思っている人に向けて、失敗しないための6つの要素を厳選しています。
筆者は長年不動産仲介の仕事をしてきました。今回はその経験を活かして、不動産投資に失敗したくない人に向けてアドバイスを贈ります。
不動産投資で成功するためには、情報収集が大切です。
不動産投資は長期スパンで考える
失敗しないための1つ目のアドバイスは、不動産投資は長期スパンで考えるということです。投資には短期・中期・長期とありますが、不動産投資の基本は長期投資です。その視点で不動産投資に取り組まないと、物件選びはもちろん、不動産運営での判断も間違え失敗してしまいます。
その点に関しては、以下を理解しておきましょう。
- インカムゲインとキャピタルゲイン
- キャピタルゲインを狙うリスク
- インカムゲインを狙うメリット
インカムゲインとキャピタルゲイン
まずは、投資における収益の種類を解説します。収益にはインカムゲインとキャピタルゲインがあり、長期投資はインカムゲインを優先させます。インカムゲインとは、株でいう配当収入、債券でいう利息、不動産投資でいう家賃収入のことです。
一方、キャピタルゲインは売買益のことであり、株なら株の売買、不動産投資なら不動産の売買であげる収益のことです。つまり、インカムゲインは定期的かつ継続的に得られる収益なのに足して、キャピタルゲインは一時的な収益になります。
上手くいけばキャピタルゲインの方が大きな収益をあげられますが、安定性に欠けます。一方、インカムゲインはキャピタルゲインほど一時的に大きな収益をあげるのは難しいですが、安定しているという点が特徴です。
キャピタルゲインを狙うリスク
さて、ではなぜ長期投資でインカムゲインを狙うべきかというと、キャピタルゲインを狙うと以下のようなリスクがあるからです。
- 売買益で物件を選んでしまう
- 売却価格は相場による
- いつ売れるか分からない
売買益で物件を選んでしまう
まず、「賃料を安定的に得られる」ではなく、「今後売却価格が上がりそう」という視点で物件を選んでしまうからです。つまり、不動産投資の基本である家賃収入をあまり気にせずに、一時的に資産価値が上がる「再開発」や「商業施設の誕生」などエリア的な価値に目を向けてしまいます。
そのため、キャピタルゲインを重視すると、インカムゲインを狙う物件選びとは根本的に軸が異なるというわけです。その結果、賃料収入を安定的にあげられない物件を選んでしまうリスクが高まります。
売却価格は相場による
もしかしすると、「売却益が出ればキャピタルゲインを狙っても良いのでは?」と思う人もいるかもしれません。確かに売買益をあげられるのであれば、そちらを優先させる人もいるかもしれません。しかし、売却価格は相場によって大きく変動するので、失敗する確率が極めて高いのです。
仮に、再開発を見越して物件を購入したとしても、本当に再開発が行われるかは分かりません。また、仮に再開発が行われたからといって必ず価格が上昇するわけではありませんし、日本全体の市況が落ち込んでいれば価格は暴落します。
つまり、キャピタルゲインは価格変動リスクが大きく、大きな収益を得られる可能性もありますが、大きな損失を出す可能性もあるのです。
キャピタルゲインを狙うという発想はデイトレーダーの発想と似ています。デイトレーダーは株の売買益で収益をあげますが、株は上がるかどうか分かりません。これはある意味ギャンブルに近い発想であり、「資産を築く」という投資の本質ではないのです。
いつ売れるか分からない
仮に、思惑通り価格が上がるとしても、そのタイミングが物件を取得してから半年後なのか3年後なのか分かりません。少なくとも、その期間はインカムゲインを重視した運営をする必要がありますが、上述したようにインカムゲイン狙いの視点で物件選びをしていないので、収益をあげられるかは不透明です。
さらに、結局価格が上がらなければ「収益性の低い物件」を保有し続けることになります。そうなれば、その保有している物件はインカムゲインで収益をあげにくいですし、収益性の低い物件なので売ることもできないという状態に陥ってしまうのです。
インカムゲインを狙うメリット
一方、インカムゲインを狙った投資は、以下のメリットがあります。
- 賃料は変動しにくい
- キャッシュフローを重視するので現実的
売却益は相場によって大きく変動しますが、賃料は変動しにくいです。たとえば、現在3,000万円で売れるマンションも、リーマンショック直後の2009年であれば2,300万円で売られていたかもしれません。一方、賃料がそれほど増減することは少なく、良くも悪くも変動しにくいのです。
また、物件選びの際はキャッシュフロー(手元に残るお金)を重視して物件選びができます。だからこそ、インカムゲインを重視することで、安定して収益を得て資産つくることができるというわけです。
無理な借り入れは絶対に避ける
失敗しないための2つ目のアドバイスは、無理な借り入れは絶対避けるという点です。結局、投資に失敗するときは「収入<支出」という状態になってしまうことで、その支出はローン支払いが大きな鍵を握っています。そのため、借入に関しては、以下の点を理解しておきましょう。
- 不動産投資ローンの特徴
- 諸費用も加味して選ぶ
- スマートデイズ事件に見るローン審査の危うさ
不動産投資ローンについて理解を深めることで、過度な借り入れはリスクが高いという点が理解できるでしょう。
不動産投資ローンの特徴
まずは、不動産投資ローンの特徴である以下を理解しておくことです。
- 金利が高い
- 物件の価値を重視する
金利が高い
住宅ローンの金利は2018年10月現在で0.5%ほどの銀行もありますが、不動産投資ローンの場合は3%前後です。仮に、借入額3,000万円、借入期間25年で比較してみます。
- 金利0.5%(住宅ローン):月々106,400円、総返済31,920,142円
- 金利3%(不動産投資ローン):月々142,263円、総返済42,678,858円
これは、決して不動産投資ローンの金利が高いわけではなく、住宅ローンが低すぎるのですが、それでも住宅ローンとの差がここまであることは認識しておきましょう。上記のように、金利以外を同じ条件で借り入れても、返済金額は大きく異なります。
物件の価値を重視する
また、不動産投資ローンの場合は、住宅ローン以上にその物件の価値を重視します。つまり、担保評価が高いどうかを重視するというわけです。
言い換えると、収益性の高い物件であれば、不動産投資ローンであれば身の丈以上の借入ができてしまいます。だからこそ、過度な借り入れに注意すべきなのです。
諸費用も加味して選ぶ
次に、不動産投資ローンを組むとは、ローン返済額だけでなく以下の諸費用もかかります。
- 手数料
- 保証料
大事なことは、上記の金額も銀行ごとに異なるので、その金額も加味して選ぶという点です。
諸費用は銀行によって異なる
諸費用の金額は銀行によって大きく異なります。特に、ネット銀行が台頭してきてからは、金利だけでは中々差別化できないので、諸費用に差を付けて魅力的な商品にしようとする傾向が強いです。
また、その金額は十万円単位で変わってくる大きな金額になります。だからこそ、銀行ごとの比較が必須になるのです。
諸費用額のシミュレーション
保証料とは、保証人の代わりをする保証会社に支払うお金です。この保証料を高く設定する銀行は「借入金額×2%」ほどです。一方、手数料を20万円ほど取る代わりにこの保証料を0円にする銀行もあります。
つまり、たとえば3,000万円の借入を行うときを想定すると、以下のような金額差ができるということです。
A銀行:手数料20万円、保証料0円 B銀行:手数料3万円、保証料60万円(3,000万円×2%)
このように、43万円もの違いが生まれ、この金額を一括で支払う必要があります。諸費用額は意外と大きな差になるので、金利以外にも必ずチェックしておくべき項目です。
スマートデイズ事件に見るローン審査の危うさ
先日、「かぼちゃの馬車」というシェアハウスを運営していたスマートデイズという会社が破綻しました。一番の原因は急速な事業拡大であり、それにはスルガ銀行が絡んでいます。というのも、スルガ銀行は借入者の資産額を水増しして無理やり審査に通し、本来借入ができない人にも融資をしていたからです。
この事件から、いかに銀行の審査がいい加減であるかが分かります。そして、借入可能額と返済可能額がイコールではないことも分かると思います。
そのため、銀行の審査に通ったからといって、「銀行のお墨付き」がもらえたと思ってはいけません。大事なのは、きちんと収支計画を立てて、無理のない返済計画になる借入金を設定することです。
利回りを信じすぎない
失敗しないための3つ目のアドバイスは利回りを信じすぎないことです。投資物件を選ぶときに利回りという指標は確かに大事ですが、利回りを信じすぎてしまう傾向があります。しかし、利回りについて深い理解がないと、物件選びに失敗するリスクは高まってしまうのです。
そのため、利回りについては以下の点を理解しておきましょう。
- 広告には表面利回りが記載されている
- 利回りは大成功しているときだけ
- 利回りがブレるシミュレーション
- 利回りとキャッシュフローを算出
結論からいうと、利回りは物件を選ぶ際の1つの指標に過ぎず、それだけを信じてはいけないということです。
広告には表面利回りが記載されている
前提として、利回りには以下2種類があります。
- 表面利回り:年間家賃収入÷物件取得費用
- 実質利回り:(年間家賃収入-年間経費)÷物件取得費用
上記のように、年間の経費(支出)を加味している実質利回りの方が、より現実的な利回りです。しかし、広告に記載されている利回りは表面利回りなので、実質利回りはその数値よりも落ちるという点を認識しておきましょう。
なぜ広告には表面利回りが記載されているかというと、経費額は人によっても異なってくるので、実質利回りを一律で算出するのは難しいからです。後は、単純に表面利回りの方が収益性の高い物件に見えるので、不動産会社が好んで表面利回りを使うという理由もあります。
利回りは大成功しているときだけ
また、広告に記載してある利回り、もしくは実質利回りを改めて計算したとしても、その利回りを実現しているのは投資に大成功しているときだけの話です。
というのも、利回りが崩れる要素は、以下のようにたくさんあるからです。
- 空室時
- 家賃下落時
- 経費増加時
そのため、広告に表示されている利回りをそのまま信じて投資をしたら、実際に利回り通りに運営することは困難です。空室になったり、家賃が下落したり・・・もしくは経費が増えたときを想定して利回りの計算をしなければいけません。
空室時
空室ということは、その空室からの家賃収入はゼロになります。仮に、空室の状態が1か月つづくと約8.3%家賃収入が落ちていくので、利回りもどんどん落ちてきます。
物件を運用していると、どうしても空室のタイミングは出てくるので、少なくとも年間に0.5カ月~1か月程度は空室になることを見越してシミュレーションしておきましょう。計算方法は、単純に利回りを計算するときの家賃収入から、その空室分を差し引けば良いです。
家賃下落時
不動産は経年劣化するものなので、どうしても家賃は下落していきます。家賃が下落すれば家賃収入が減額するので、たとえ空室がなくても利回りは下落していきます。
直近数年間は同じ家賃で賃付けできるかもしれませんが、その後は数%~10%ほど下落すると思っておいた方が良いでしょう。これは、中長期の収支計画を立てるときに加味することをおすすめします。
経費増加時
経費が増加すれば支出は増えるので、当然ながら利回りは低下します。経費とは、たとえば以下の項目があります。
- 補修費用
- 設備入れ替え費用
- 固定資産税・都市計画税
税金関係はある程度読めますが、補修費用や設備入れ替え費用は読めません。不動産会社がその点は提案してくれますので、これも中長期的な収支計画を立てるときに加味しましょう。
利回りがブレるシミュレーション
仮に、22㎡1Kの区分投資を行っていたとして、中期的に利回りがどう落ちていくかをシミュレーションしていきましょう。なお、物件の取得費用は1,800万円を想定しています。
時期 | 利回り | 年間家賃収入 | 年間経費 | 備考 |
---|---|---|---|---|
初年度 | 約6.6% | 144万円(月12万円) | 25万円 | 物件取得にかかった経費は加味しない |
5年目 | 約5.9% | 138万円(月11.5万円) | 32万円 | 家賃5千円減、補修費用が増加 |
10年目 | 約4.7% | 132万円(月11万円) | 47万円 | 家賃さらに5千円減、設備入れ替え費用増加 |
※横スクロールできます。
このシミュレーションは、もちろん予測なので必ずしもシミュレーション通りいくかは分かりません。また、10年目の設備入れ替え費用は一時的な費用なので、次年度は利回りが上がるでしょう。
ここで大切なのは、初年度の利回りだけを確認して判断しないということです。利回りは年々下落するリスクがあり、シミュレーションしておくことが大切です。ある程度下落したとしても採算が合う投資をしないと、結果的に不動産投資は失敗に終わってしまいます。
利回りとキャッシュフローを算出
前項までで、提示されている利回りだけでなく、自分自身で考えて利回りを精査する必要があることが分かったと思います。ほかにも、利回り以外にキャッシュフローを算出することが大切になります。
キャッシュフローとは?
キャッシュフローとは、簡単にいうと「手元に残るお金」を計算することです。利回りは「物件の取得費用を何年で回収できるか?」という指標なので、結局お金がどのくらい残るのか?は分かりません。そのため、現実的に手元にお金がいくら残るかを、以下の計算式で算出する必要があります。
キャッシュフロー:家賃収入-諸経費-ローン返済額
簡単な話で、計算式としては家賃から実際に発生した支出を引くだけになります。
利回りとキャッシュフロー
キャッシュフローを算出する理由は、実際に手元に残るお金を把握すれば、上述した「無理な借入は絶対に避ける」につながってくるからです。借入額によって「ローン返済額」が変わるので、借入額を増やすほどキャッシュフローは悪化します。
そのため、キャッシュフロー上厳しい数字になれば、借入額を減らす選択を取らなければいけないということです。利回りで物件を比較し絞り込んだ後は、キャッシュフローを利用して予算立てをしましょう。そうしないと、利回りの高い物件でも手元にお金が残らないという事態になってしまいます。
悪徳不動産会社の本音は「儲けさせること」ではない
失敗しないための4つ目のアドバイスは、悪徳不動産会社のカモにならなことです。悪徳不動産会社は投資家に「儲けさせよう」という考えはほとんどなく、とにかく早くたくさんの物件を仲介したい(もしくは売りたい)と思っているのが本音です。
それを知らずに不動産会社とやり取りすると、悪徳不動産会社の見分けがつかず、収益性の低い物件を購入することになってしまいます。そのため、以下の点を理解しておきましょう。
悪徳不動産会社は早く売りたい
悪徳不動産会社は「早く売りたい」という思っている理由を知るためには、以下を理解しなければいけません。
- 不動産の売却は時間がかかる
- 時間をかけずに売りたい
不動産の売却は時間がかかる
まずは、不動産を売却する流れを、不動産会社の視点からみていきましょう。
- 検討顧客が来店
- 検討顧客の希望条件を整理
- 合致した物件を紹介
- 内見予約を入れる
- 内見
- 収支や物件の詳細を説明
- 交渉
- 申し込み&契約
- 引渡し
上記のように、投資物件を売る立場からすると、1つの物件を売るのには時間がかかります。特に、慎重な人は内見を何度も行い、営業マンからすると多くの時間を割かなくてはいけないので、それで「購入しない」という結論になると不動産会社の収益はゼロなのです。
時間をかけずに売りたい
慎重な人だと、来店してから引渡しまで半年~1年以上かける人もいます。しかし、仮に5,000万円の物件を仲介しても、仲介手数料は150万円~160万円ほどです。1年かけてこの金額では、割に合わないのが正直なところです。
そのため、不動産会社の本音としては、時間をかけずに成約にもっていくこと。そして、買わなそうな顧客、時間がかかりそうな顧客に割く時間は極力減らすという点が挙げられます。悪徳不動産会社はこの傾向が顕著なのです。
悪徳不動産会社も存在する
このように、不動産会社は時間をかけずに成約したいので、中には悪徳不動産会社も存在します。悪徳不動産会社とは、家賃設定を高めにして利回りを高めに見せたり、そのエリアの将来性を不確かなまま提供したりする不動産会社です。
そのような不動産会社につかまってしまうと、収益性の低い物件を買い投資に失敗するリスクがあります。
悪徳不動産会社のカモにならない
さて、上記が不動産会社の本音なので、とにかく悪徳不動産会社のカモにならないようにしなければいけません。そのためには、物件を探す前に以下の点を押さえておきましょう。
- しっかりと勉強しておく
- 収益目標を定めておく
- 物件の条件を絞る
しっかりと勉強しておく
この記事でも解説していますが、不動産会社に相談しに行く前に以下の点を勉強しておいた方が良いでしょう。
- 利回りとは?
- キャッシュフローとは?
- 発生する経費とは?
仮に、この言葉を知らないということは、不動産会社がわざわざ一から説明しなければいけないので、営業マンからすると時間がかかる顧客です。また、本気で不動産投資を検討していれば、上記の言葉くらいは知っていて当然です。そのため、知らないことで営業マンに「本気度は低いな・・・」と思われてしまいます。
そうなると、掘り出し物件は紹介されないでしょうし、「この検討顧客にはあまり時間をかけないでおこう」と優先順位を下げられてしまうのです。
収益目標を定めておく
次に、自分は不動産投資を通じて、どのくらいの収益をあげたいか?いくらくらいが予算か?という点を決めておくことです。要は、不動産会社が「検討顧客の条件を整理する」というフェーズを楽にしてあげるのです。
仮に、予算を全く立てていない顧客であれば、不動産会社は物件を選定しようがありません。また、一から予算組みをするには時間がかかります。もちろん、収益目標は変えても良いのですが、まずは目安としてどのくらいの収益を生み出したいか?予算はどのくらいか?はおおよそで良いので決めておきましょう。
物件の条件を絞る
さらに、以下の軸から物件の条件を絞っておきましょう。
- 区分なのか一棟なのか
- 投資するエリア
- 投資する物件の広さやターゲット
これらも前項と同様、営業マンと話をしていくうちに変わっても構いません。しかし、大前提として上記を決めておき、それを軸に話をしていく方が条件を整理しやすいのです。
ここまでやれば、そもそも自分に知見も蓄えられているので、不動産会社に変な物件を紹介されないでしょう。また、不動産会社に本気度が伝わり、優先的に案内してもらえるようになります。
節税に騙されない
失敗しないための5つ目のアドバイスは「節税」という言葉に騙されないことです。確かに不動産投資はほかの投資よりも節税効果は高いでしょう。しかし、その本当の意味を知らない人は意外と多いです。
また、結論からいうと節税は不動産投資の目的ではなく副次的なメリットなので、その点を認識した上で不動産投資に臨まなければいけません。節税だけに注目して結局キャッシュフローがマイナスになれば本末転倒です。
そんな節税に関しては、以下の点を理解しておきましょう。
- そもそも何が節税につながる?
- 二年目以降は税額が上がる
- 売却時は税制優遇が利用できない
上記を理解すれば、節税のからくりが分かります。同時に、節税はあくまで副次的な要因であり、目的にしてはいけないことが分かるでしょう。
節税に関しては、「評価額が○○%減少する」や「税額が1/2になる」など細かいことを覚える必要はありません。大事なのは、何の税金がなぜ節税できるかという点のみです。
そもそも何が節税につながる?
そもそも何が節税につながるのかという、以下の点です。
- 所得税と住民税の節税
- 相続税評価額の減額
- 固定資産評価額の減額
- 総合課税による節税
所得税と住民税の節税
不動産投資の家賃収入は不動産所得になるので、所得税と住民税が課せられます。しかし、不動産投資は減価償却費用があり、減価償却費用は物件の取得費用を一定期間計上できる費用です。
つまり、毎月一定額を所得額が差し引けるので、所得税が安くなるというわけです。住民税は所得税額によって決まるので、所得税の節税は住民税の節税にもつながっていきます。
相続税評価額の減額
次に、不動産だと相続税評価額も減額されます。そもそも不動産は現金よりも評価額が安くなるので、投資をしていなくても不動産を所有しているだけで相続税の節税になるのです。
たとえば、3,000万円の土地を買えば、相続税の評価額は2,100万円~2,400万円くらいまで減額されます。なぜ不動産の評価額が減額されるかというと、現金で持ち続けるのではなく、不動産を購入して世の中にお金を回すようにすることが目的です。
固定資産評価額の減額
また、固定資産税は貸家の方が安くなります。そもそも土地に建物が建築されている時点で固定資産税は安くなります。さらに貸家だと安くなるので、不動産投資時の固定資産税の節税効果は高いのです。
総合課税による節税
不動産所得は総合課税なので、ほかの所得と合算することができます。たとえば、会社員が不動産投資をしていれば、会社からもらう給与所得と不動産所得を合算することができます。仮に、給与所得650万円の会社員が不動産投資をして、不動産所得が35万円の赤字だったとしましょう。
このとき、減価償却費用が50万円であれば、キャッシュフロー上は15万円の黒字です。ただ、総合課税のルールを使うと、給与所得の650万円から50万円を差し引いた、600万円の所得になるということです。つまり、所得が下がり所得税と住民税の節税につながるというわけです。
二年目以降は税額が上がる
節税において気を付けたいことは、初年度は節税効果が高いのですが、二年目以降は所得税・住民税が上がるという点です。というのも、初年度は以下の費用が経費として計上できるからです。
- 土地・建物の不動産取得税
- 土地・建物の登録免許税・登記費用
- 収入印紙
これらの費用は基本的に初年度しか発生しなく、特に不動産取得税は区分投資でも数十万円かかるケースもあります。そのため、不動産所得額が減額され、初年度は赤字計上になり節税効果が非常に高くなるのです
一方、二年目以降は上記の金額を費用計上できないので、グンと税額が上がる可能性があります。税額が上がるということは、手元に残る資産が減るという大きなデメリットにつながります。
そのため、節税効果は初年度と二年目以降では大きく変わってくるという点を認識した上で、収支のシミュレーションを行いましょう。
また、二年目以降ではありませんが、上述した減価償却費用は基本的に耐用年数までしか経費計上できません。つまり、物件の築年数が耐用年数を上回った時点で減価償却費用の計上はなくなるので、税額はさらにアップするという点は認識しておきましょう。
売却時は税制優遇が利用できない
上述の通り、不動産投資の基本は家賃収入による不動産所得です。しかし、将来的に不動産を売却することはあり得ますので、そのときのために売却時の税制優遇は利用できない点は認識しておきましょう。
売却時の税制優遇とは、いわゆる「3,000万円の特別控除」のことで、適用できれば売却益(譲渡所得)から3,000万円軽減できます。言い換えると、売却益が3,000万円以下であれば税金はかからないということです。
しかし、この3,000万円の特別控除は自宅の売却時しか適用できず、投資用物件の売却時は適用できません。そのため、投資用物件の売却時は高額な譲渡所得税がかかる可能性がある点は認識しておきましょう。
自宅の売却経験がある方は、3,000万円の特別控除を知っている方も多いので、そのような方は特に気を付ける必要があります。
新築物件は避ける
失敗しないための6つ目のアドバイスは、投資物件に新築物件を選ぶことは避けるということです。この章では、新築物件を避けた方が良い以下の理由と、どうしても新築物件が欲しい人向けに「投資して良い新築物件」を紹介します。
- 新築はプレミアム価格が上乗せされている
- 賃貸時は築年数の効果はすぐ切れる
新築はプレミアム価格が上乗せされている
まず、最も大きな理由は以下のような理由によって、新築はプレミアム価格が上乗せされているからです。
- 売主の利益が乗っている
- 経費率が高い
つまり、新築物件は中古物件よりも割高なケースが多く、利回りもキャッシュフローも悪くなりがちというわけです。「新築は住んだ瞬間1~2割価格が落ちる」といわれているほど、新築には価格が乗っています。
売主の利益が乗っている
新築物件の売主はディベロッパーであり、ディベロッパーは利益を出さないといけません。もちろん、中古物件を売却するときも利益を求める人はいますが、ディベロッパーは会社なので求める利益額が遥かに高いです。
新築の場合、その利益額が上乗せされているので、どうしても割高な物件になってしまうのです。
経費率が高い
新築物件はモデルルームの設営や、数多くの関係者たちの人件費、そして内覧会などのイベント費用などの経費が高いです。利益を出すためには、当然このような経費は価格に上乗せするので、新築物件の価格は上がってしまいます。
中古物件も、売主が「仲介手数料や登記費用などの経費を上乗せする」というパターンは良くありますが、新築時に上乗せする経費の金額は中古の比ではありません。
賃貸時は築年数の効果はすぐ切れる
仮に、新築物件を賃貸に出したとします。最初は「新築」というカテゴリーに入るので、多少集客力もあがり賃付けはしやすいでしょう。しかし、その「新築効果」はたったの1年で終わってしまいます。
また、賃貸物件をネットなどで探すとき、築年数の括りは築3年以内・5年以内・7年以内・10年以内・15年以内・20年以内・・・以降は5年刻みというパターンが多いです。つまり、検索時に新築は特にピックアップされないので、新築であることのアピール効果は決して高くはないのです。
投資して良い新築物件
このように、利回りもキャッシュフローも中古物件より悪く、さらに新築物件であるメリットも大して無いので、不動産投資をするなら基本的に中古物件にしましょう。ただ、どうしても新築物件で投資したいという人は、安価で売られている物件を探しましょう。
たとえば、「残り1邸!」と銘打って値下げしている物件や、相場よりも明らかに安い物件です。値下げしている物件であれば、上述した新築プレミアム分は価格が下がっているかもしれません。また、相場よりも明らかに安い物件は、仕様・設備のグレードが低い物件が多いです。
しかし、賃貸にする際は一生住むわけではないので、そこまで設備・仕様のグレードは気にしません。つまり、グレードが低い割安物件でも、賃貸で回るのであればさほど関係ないということです。このように、新築物件で不動産投資するなら、割安な物件を買うことがマストでしょう。
まとめ
このように、不動産投資で失敗しないために、以下の点を押さえておきましょう。
- 不動産投資は長期スパンで考える
- 無理な借り入れは絶対に避ける
- 利回りを信じすぎない
- 不動産会社の本音を知り悪徳会社のカモにならない
- 節税に騙されない
- 新築物件は避ける
上記は、不動産投資で失敗する代表的なパターンといえるでしょう。特に、借入と利回りは誰しも陥りやすいことなので、必ず理解した上で不動産会社に来訪した方が良いです。それが、良い物件選びにもつながってきます。
不動産投資で成功するためには、情報収集が大切です。
たった1分の申し込みで複数社の比較ができるOh!Yaの一括資料請求を是非活用しましょう。