「不動産投資」or「投資信託」どっちが良い?ポイント4つから分析
By Oh!Ya編集部
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安定利益を得られる資産運用として名前が挙がる「不動産投資」と「投資信託」。資産運用を始めるにあたり、どちらが良いのか簡単に決められませんよね?
そこで今回は、どちらの投資が適切な選択なのか参考になるよう、不動産投資と投資信託を4つのポイントから徹底比較しました。
目次
不動産投資と投資信託の違い
不動産投資と投資信託の違いが分かるよう、投資家が気になる4つのポイントを比較できる表を用意しました。
不動産投資 | 投資信託 | |
---|---|---|
利益率 | 高い | 低い |
初期投資 | 数百万円~ | 数百円~ |
運用の手間 | やや多い | ほとんどない |
景気の影響 | ほとんどない | やや大きい |
これらのポイントから、それぞれの特徴と利点・欠点を解説していきます。
利益率が高いのは不動産投資
利益率の高さは、不動産投資が圧倒的に勝っています。なぜなら、不動産投資は金融機関の借入を利用することで、自己資金の数倍に相当する投資額を運用できるからです。
これは投資効果の面で、以下のような大きな違いをもたらします。
利回り5%で資産運用を行うとき
融資の本質は「投資額を増やす」というシンプルなものですが、以下のように利益額に多大な影響を与えます。
- 自己資金1,000万円を運用:年間利益は50万円
- 自己資金+融資額5,000万円を運用:年間利益は250万円
もちろん借入金利が発生するため、純粋に5倍増加するわけではありませんが、短期間のうちに資産拡大を目指すとき有効なのは確か。不動産投資がセミリタイアに適しているのは、こういった投資効果の高さによるものです。
投資信託は堅調な利益率が特徴
一方、投資信託に金融機関の融資は付かないため、基本的には自己資金のみを運用することになります。そのため、不動産投資に比べて資産拡大のスピードは数段劣るのです。
ただし、劇的な利益率こそ目指せないものの、借金をしないため資産運用が破綻する可能性はほとんどありません。ときに数千万円の借金を抱える不動産投資とは異なり、マイナスを背負うプレッシャーがないことは投資信託の利点です。
持ち前の堅調な利益率を活かして、コツコツと資産形成を進める目的には最適だといえます。
初期投資の手軽さは投資信託が優秀
利益率では不動産投資に大きく劣る一方、投資信託は初期費用の少なさに定評があります。
最低単価は利用する証券会社や投資銘柄により異なりますが、おおよそ数百円台から投資が可能。家計に負担を与えることなく、手軽に資産運用を始められる点がメリットです。
運用コストも小さいので、多額の投資額を用意することが難しいなら投資信託が有利だといえます。
不動産投資の初期費用は物件次第で大きく変動
不動産投資は住宅を購入して貸し出すため、初期費用は大きくなりがちです。
前述した「金融機関の借入」を利用して少額の自己資金でも始められますが、メンテナンス費や税金の支払いを考えれば蓄えは用意しておきたいところ。
- 物件購入費
- 登録免許税
- 不動産取得税
- リフォーム費用(中古物件の場合)
購入年度のまとまった支出には、上記のようなものがあります。
昨今は融資事情が厳しくなっており、投資初心者がフルローンを取り付けるのは難しくなってきました。そのため、投資信託より初期費用の負担が軽くなることは、まずないと考えておきましょう。
「ほったらかし運用」に近いのは投資信託
投資信託は「ファンドマネージャーに資産運用を一任する」という特徴を持つ金融商品です。そのため、投資家自身が行う操作は、投資信託を売買するときの注文程度。
資産運用の専門家が金融市場を分析して、最適な投資先を判断してくれるため、こまめなチェックを強要されることはありません。これにより「ほったらかし運用」と呼べるほど手間がかからないため、多忙なサラリーマンや主婦に適しているのです。
そのため、わずかな時間を捻出することも難しければ、不動産投資ではなく投資信託をおすすめします。
不動産投資で成功するに努力が不可欠
不動産投資は実物資産の運用であるため、経年劣化に対する修繕・清掃業務が求められます。そのため築年数が経過すれば、いずれ外観維持や内装工事といった作業に追われる時期が来るのです。
また、ずっと入居率を維持するには、顧客目線での戦略が欠かせません。周辺の賃貸不動産よりも魅力的でなければ競争に負けてしまうため、時代の流れを察知する努力は重要だといえます。
ただし、前半部分に解説した諸業務に関しては、管理会社や専門業者に委託することが可能。依頼費を回収できる範囲で外注化を進めれば、不動産投資もほとんど手間をかけなくて済む体制が整います。
不動産投資は収益性が景気変動に影響されづらい
間接的に株式市場を投資対象とする投資信託と異なり、不動産投資は独自のマーケットに属しています。
さらに、メインの収益は売買益ではなく賃料収入であるため、景気変動による収益性の増減はわずか。不景気にもそれほど動じない、安定感のある収入源として機能することが特徴です。
たとえ利益率が高いとしても、景気変動によって収益性が左右されるなら、大切な資産を投じる先としては不安なもの。その点、価格推移が緩やかでコンスタントに稼げる不動産投資は、第二の柱として頼れる収入源となります。
投資信託の収益性は金融市場に依存する
専門家に株式・債券の運用を任せる投資信託は、主な投資先が金融市場になるため景気変動の影響を受けやすいです。そのため、大規模な好景気が訪れているときは良いものの、不景気時の成績は期待できません。
安心だからと投資信託の運用を勧められ、リーマンショックにより資産の約半分を失ったケースも報告されています。基本的には低リスクな投資方法として知られていますが、価格推移はおおむね金融市場に連動すると覚えておきましょう。
副収入源として運用するならどっち?
ここまで挙げた相違点を確認すると、2つの投資は大きく異なる特性を持つことが分かりました。目的別に分類するなら、以下のように説明できます。
- 不動産投資:多額の投資資金でスピーディに資産拡大を進めたい
- 投資信託:少額からコツコツ貯金のように手堅く運用したい
社会人としてベテランになり経済基盤が安定したうえで、家計を支える収入の柱を増やすなら不動産投資。できる限り早くから資産形成を始めたいと考える、意欲的な若手の社会人なら投資信託というように、経済状況に無理のない選択をおすすめします。
少額から不動産市場に投資するなら「REIT」も有力候補
不動産市場に投資したいと思いつつ、投資資金を用意できないのであれば「REIT」と呼ばれる不動産投資と投資信託の性質をあわせもつ金融商品も候補に挙がります。
投資信託のように手間をかけずに運用できることが支持されており、初期費用も10万円程度から始めることが可能。詳しくは「10万円から始められる!不動産投資信託(J-REIT)まとめ」にて解説しているので、参考にしてみてください。
不動産投資スタートまでのプロセス
投資信託や株式投資とは異なり、不動産投資の契約はオンラインで完結しません。
具体的な流れはケースバイケースですが、仲介業者や金融機関の担当者と対面するプロセスが大部分を占めます。融資を利用する場合、下記の4と5で数ヶ月かかるケースも多いため、焦ることのないよう大まかな流れを把握しておきましょう。
大まかな不動産投資までの流れ
1.目的の条件で不動産を探す
2.気になる不動産の資料を請求する
3.資料や現地視察で良し悪しを判断
4.買付申込書を提出したのち融資審査
5.諸契約を結んで不動産を決済する
買主に直接交渉する場合や、現金で一括購入する場合はこの限りではありませんが、融資を利用する一般的なケースでは上記のような流れが基本。このなかで、不動産投資の成功を大きく左右するのは3番目のプロセスです。
資料や現地視察でチェックすべきポイント
資料や現地視察のチェックは、提示価格が適正なのか見極める役割を持ちます。以下のような要素を見て、周辺の条件が近い不動産より価格が高くないのか確認してください。
見落としやすい箇所 | |
---|---|
雨漏り | カビの原因となり建物劣化を早めるため精査が必要 |
設備故障 | しばらく入居者のいない部屋は設備動作を要確認 |
水回り | 3点ユニットは不人気かつ水回りの改装工事は高額 |
シロアリ | シロアリがいれば価格を下げてもらえる可能性あり |
ひび割れ | 種類によっては多額の費用を要する全面剥離が必要 |
間取りや立地条件にばかり目を向けて、これらを十分に確認しないまま購入を決めるのは危険。運用直後に対処が必要になれば、数十万~数百万円の出費となり利回りは著しく低下してしまいます。
シロアリの項目で解説したように、欠陥を価格交渉の材料にもちいる投資家もいますが、初めての不動産選びであれば避けるのが無難です。
投資信託スタートまでのプロセス
投資信託は、基本的にオンライン上の手続きと1度の郵送で完了します。
利用する証券会社はどこでも問題ありませんが、初めての口座開設であれば業界最大手のSBI証券や楽天証券がおすすめ。これらはユーザー評価や実績が優れており、不具合に対して迅速に対応してくれます。
また、取り扱う投資信託の本数も多いため、オーソドックスな利用先だといえます。
1.証券口座を開設する
2.分配型・無分配型のどちらかを決める
3.運用する投資先を選ぶ
4.投資信託を購入する
投資信託をスタートするには、これらの4ステップを踏む必要があります。
このうち最も注意すべきポイントは、2番目に挙げた分配方法の違いです。特に「毎月分配型」はトータルリターンが悪い傾向にあるため、特別な理由がなければおすすめしません。
なお、REITを売買する証券口座は、投資信託で利用するものと同様です。
毎月分配金の投資信託は基本的にNG
毎月分配型のほか、投資信託の分配方法は以下の3パターンに分けられます。
- 毎月分配型:毎月決まった日に分配金を受け取れる
- 年1回分配型:年に一度だけ分配金を受け取れる
- 無分配型:分配金を設定していない
これらのほか隔月や半年スパンで分配するものもありますが、投資信託の大部分は3つのどれかに当てはまります。この説明を見て比較すれば、一見すると毎月分配型の収益性が一番優れているように思えますよね?
しかし、実際には毎月分配型のほとんどが、運用資金を切り崩して分配金を捻出しており、投資家は「自身が投じた資金」を受け取っている状態になっています。つまり、実質的な利益は生まれておらず、預けたお金を返金してもらっているにすぎないのです。
REITの場合は分配方法を気にしなくてOK
投資信託は分配するたびに運用規模が小さくなるため、投資効率を最大化するのであれば無分配型の銘柄が理想的です。ただしREITに限り、分配回数を気にする必要がありません。
REITは基本的に分配金を設定しているものが多いですが、これは「利益の9割を分配すれば法人税免除」というREITの優遇措置によるもの。分配しなければ納税額が大きくなるため、どちらにせよ資金の流出は避けられないのです。
- 無分配型の投資信託:分配金を配らず利益は再投資に充てて欲しい
- 分配設定のあるREIT:分配金を受け取りつつ運用を続けたい
金融市場や不動産市場の違いにこだわりがなければ、投資信託とREITを上記のように使い分けても良いでしょう。
投資は始めるタイミングの見極めが重要
不動産投資の賃料収入は、景気変動に影響されづらいと解説しましたが、不動産価格そのものは景気によって大きく推移します。このとき注意すべきなのは、不動産投資の利益率は「購入価格」によって決まるという点。
賃料収入の変動はほとんどないため、高値で購入すれば利回りは低くなり、安値で購入するほど利回りは高くなります。つまり、不動産投資の収益性を最大化するなら、不景気の底を見極めて最安値で運用を始めるのが理想的なのです。
不動産バブルの崩壊を示唆する見解がある
当然、不景気の底を判断するのは容易ではありません。しかし、専門家や投資家たちの見解には、いまの不動産市場は高値圏ギリギリに到達しているという意見も多々。長く続いた不動産バブルが、そろそろ崩壊するのではないかと噂されているのです。
あくまで未来がどうなるのか予測はできませんが、この意見に同意をするなら急いで投資を始める必要はありません。リーマンショック時の強烈な売り相場のとき、安値で資産を買い集めた投資家たちが成功を収めたように、金融市場の大暴落を確認するまで力を蓄えておくことも1つの戦略だといえます。
まとめ
今回ご説明したように、不動産投資も投資信託もそれぞれ異なる魅力があります。
ただし、投資の法則である「リスクの大きさはリターンに比例する」の通り、資金・労力面でリスクを取る不動産投資は、投資信託とは比較にならない規模のリターンを期待できます。
つまり、運用先に本業と同程度の収入額を求めるなら、必然的に不動産投資を選ぶことになるのです。目標を達成するには、逆算して適切な資産運用を選ぶ必要があるため、いま一度どのような結果を投資に求めているのか考えてみてください。