REIT(リート)とは~初心者のための不動産投資信託ガイド~
By Oh!Ya編集部
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資産運用を考えている方なら、きっと耳にしたことがある「REIT」についてご紹介します。
不動産投資は他の資産運用方法と比べても、比較的安定した利益を得ることができ、リスクの少ない運用方法だと知られていますが、REITは一般の不動産投資に比べてもさらにメリットの多い運用方法です。
REITとは
まずはREITについて、仕組みやお金の流れ、不動産投資の違いなど基本的な知識を解説していきます。
仕組み
REITとは、不動産投資信託を意味する「Real Estate Investment Trust」の略称です。
複数の投資家から集めた資金で、不動産の専門家が投資家に代わって運用を行います。そこから得られる家賃収入などの利益が、投資家に分配されるという仕組みです。
個人では難しかった大規模なオフィスビルなどへの投資も、REITでは手の出しやすい金額から投資をすることができます。また、他の運用方法と比べて安定性が高いことも人気の理由でしょう。
もともとこの投資商品は、1960年頃にアメリカで誕生しました。日本では2000年11月に法律が改正され、2001年9月に東京証券取引所に上場。アメリカのREITとは異なる点があるため、日本では「J-REIT」と呼ばれています。
大まかなお金の流れ
J-REITは、不動産投資法人という会社のようなもの。株式会社の株式と同じように、「投資証券」を発行し、J-REITに投資をする投資家はこの投資証券を証券会社で購入します。
投資口の購入代金は、証券会社を通してJ-REITへ。J-REITは投資家から集められた資金の運用を、資産運用会社に委託します。
資産運用会社は、いわば不動産運用の専門家。投資の戦略を立て、購入する不動産を決めます。
この時、ひとつに絞るのではなく、複数の不動産を購入することで運用リスクを分散。これがJ-REITの利益が安定していると言われる理由のひとつでもあります。
賃料収入や不動産の売却収入から諸費用を引いた分が収入となり、投資家へと分配されます。
また、J-REITは、資金調達のために、金融機関から融資を受けたり投資法人債を発行することがあります。
投資対象の種類
J-REITの投資先は、オフィスビル、商業施設、住居、ホテル、物流施設、ヘルスケア施設など複数の種類があります。J-REITの特徴は、投資先によって左右されるため、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。
またJ-REITは、1種類の不動産のみに投資する特化型、2種類の不動産に投資する複合型、3種類以上の不動産に投資する総合型、というように3つのタイプに分けられます。
まずは、主な投資先にどんな特徴があるのか見ていきましょう。
オフィスビル
市場規模が大きいのが特徴。立地が良く、設備が整った物件なら、安定した賃料収入を得ることができます。
しかしオフィスビルの場合、テナントの多くは会社となります。そのため賃料収入は、景気の変動や会社の業績に左右されやすくなります。
商業施設
商業施設のタイプは大きく分けると2種類あります。
1つ目は、郊外の大型ショッピングセンターのようなタイプ。ひとつのテナントが長期に渡って借りているという場合が多く、賃料収入は比較的安定しています。
2つ目は、ブランドショップなどが入っている都心の商業ビルのようなタイプ。賃料がテナントの売り上げに連動していることがほとんど。また、テナントの入れ替わりもあるため、賃料収入は景気変動の影響を受けやすいと言えます。
住居
一般的な賃貸マンションのこと。家族向け、単身者向け、シニア向けなど様々な種類があります。住居の場合、景気変動の影響は受けにくいため、家賃の急激な増額や減額はありません。
また、退去などがあったとしても、ひとつのテナントの占める割合が小さいため、オフィスビルや商業施設と比較すると、最も家賃収入が安定している投資先だと言えるでしょう。
メリット
J-REITには主に、「分配金が高い」「情報開示が充実している」という2つのメリットがあります。
分配金が高い
J-REITの分配金の高さには、投資法人にかかる法人税が関係しています。
例えば株式投資の配当金の場合は、確定した会社の利益から法人税が引かれ、その残りが株主に分配される仕組みです。
しかしJ-REITの場合は、「利益の90%以上を投資家に分配する」ということを条件に、法人税が免除されます。そのため利益のほとんどを分配金として受け取ることができるのです。
また、賃貸事業は定期的な賃料収入が得られるため、収入が安定しています。
J-REITでは、空室が多く賃料収入が得られない、いわゆる空室のリスクを回避するために、多くの不動産に分散投資を行い分配金の安定性をさらに高めています。
情報開示が充実している
J-REITは、運用の透明性を高めるため、一般の株式などよりも情報開示項目が多いという特徴があります。
銘柄や投資口の価格は、新聞やインターネット上に情報開示されています。また、不動産の購入や借入のなどを行った場合には、各社のホームページで情報を確認することができます。
さらに決算ごとの財務状況や、個別物件の終始・鑑定評価額・空室率などの保有資産状況なども公開。
投資家はこれらの情報をもとにして、自分自身で信頼できるJ-REITを見つけ出すことができるというわけです。
リスク
J-REITには、主に4つのリスクが考えられます。それぞれの特徴をしっかり理解しておきましょう。
価格変動
J-REITは、証券取引所に上場している、投資信託の一種。そのため、株式などと同じように日々価格が変動しています。
分配金減
分配金の内訳はほとんどが賃料収入です。不動産の賃貸市場の影響を受けやすく、空室率が高ければ、その分受け取る分配金は少なくなり、元本から取り崩して支払われるという場合もあります。
また、不動産の購入のためにJ-REITは銀行などから借入を行っています。金利の上昇などを理由に支払い負担が増え、分配金が減額になることも考えられます。
災害
予測不可能な地震や台風などの自然災害。
これによって保有している不動産に影響があった場合、賃料収入に影響が出るだけでなく、修繕費用やリフォーム費用などの負担も必要となります。
法制度の変更
不動産に関する規制の強化や、新たな規制がつくられることによって、不動産の価値が低下し、J-REITの価格が下がってしまうという可能性が考えられます。
種類
REITは主に3つの投資形態に分けることができます。
REIT
これまでにご説明してきた通り、不動産投資法人が投資家から集めたお金で、マンションやオフィスビルなどの運用を行う、というものです。
よく混同されがちですが、名前の似ている「REITファンド」や「REIT ETF」とは別物なので注意してください。
REITファンド
REITファンドは、投資信託の種類のひとつ。REITがひとつの不動産投資法人に投資を行うのに対して、REITファンドでは、複数の不動産投資法人へ投資を行います。
複数の不動産投資法人に投資をすることで、さらに投資先を分散させることが可能。
J-REITへのみ投資をする「J-REITファンド」のほか、「グローバルREITファンド」「米国REITファンド」「アジアREITファンド」など、海外のREITに投資を行うファンドもあります。
REIT ETF
REIT ETFは、REIT市場の値動きを表す株価指数と連動する上場投資信託のことです。
現在東京証券取引所で取り扱っているREIT ETFのうち、7銘柄は東証REIT指数に連動。1銘柄はオーストラリア、1銘柄はアメリカのREIT指数に連動しています。
投資信託は基準価額がわからない状態で売買を行いますが、ETFは市場が開いている時間ならリアルタイムでの売買が可能。また、手数料が安いというメリットもあります。
不動産投資との違い
不動産に投資をするという点では同じ2つの投資方法。どんな違いがあるのかを詳しくチェックしてみましょう。
流動性の高さ
投資において、流動性の高さは重要なポイントです。
流動性とは一言で表すと、現金化しやすいかどうかということ。株式と同じように市場で取引することができるREITは、流動性が高い投資です。
まとまった資金が必要になった時でも、REITなら投資している資金をすぐに現金化することができます。
一方不動産投資は、不動産を売却して現金化するためには時間も手間もかかるため、流動性の低い投資ということになります。
利回りの安定性
J-REITは、不動産投資と比べて利回りが高いというメリットがあります。
その1番の理由は、不動産投資法人が賃貸事業に特化しているという点。それによって、不動産の開発も行う一般的な不動産会社よりも収益が安定しています。
また、「メリット」の項目でもご説明したように、法人税が免除されるため利益のほとんどが投資家に分配されます。
2008年〜2017年のJ-REITの分配金の利回りは、1度も4%を下回っておらず、他の投資商品と比べても高い数値を保っています。
利回りとコストについて
J-REITの利回りとかかるコストについて詳しく解説していきます。
取引に掛かるコスト
J-REITは市場に上場しているため、取引方法はもちろん、取引にかかるコストについても、株式投資と同じと考えて良いでしょう。
売買を行う際に必要になるのは「売買手数料」。購入時や売却時に、直接証券会社に支払います。
この売買手数料は証券会社ごとに異なります。さらに支払い方法にもいくつか種類があるため、事前に確認しておくと安心です。
税金
税金についても、基本的には株式投資と同じ。売却益、分配金に対して税金を支払わなければいけません。
売却益は申告分離課税の対象となり、利益に対して20.315%の税率がかかります。原則確定申告が必要ですが、証券会社が売却益から差し引いて納税してくれる方法を選択すれば、確定申告は不要となります。
分配金は、配当所得にあたるため総合課税の対象となります。税率は売却益と同じく20.315%。現在は「確定申告不要制度」が採用されているため、確定申告は不要です。
REIT投資で節税できる?
結論から言うと、REITで節税をすることはできません。
不動産投資の節税方法といえば、減価償却です。減価償却とは時間の経過によって減少していく不動産の価値を、正しく評価するための制度。
その物件から収益を得られる期間、毎年経費として計上することができます。また、不動産投資の収入を上回っている場合には、それ以外の所得から差し引くことも可能です。
このような不動産投資の節税方法は、REITでは使うことができません。
REITの始め方
ここからは具体的にREITを始める方法を解説していきます。
証券会社を選ぶ
まず初めにやらなければいけないのは、証券会社を選び口座を開設すること。証券口座には、総合証券とネット証券の2つの種類があります。
実は投資を行っている人の多くは、ネット証券を利用しています。総合証券の場合、対面式で相談ができるというメリットはありますが、売買手数料や手軽さを考えると、おすすめはやはりネット証券です。
特に総合証券の売買手数料は、ネット証券よりも何倍も高くなるので、注意が必要です。
SBI証券
画像引用元:SBI証券|株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA
SBI証券は、シェアNo,1のネット証券会社。口座数や預かり資産、個人株式委託売買代金など、あらゆる面でほかの証券会社を引き離しています。
またSBI証券の取引手数料は、主要ネット証券の中でも格安。これが決め手でSBI証券を選んだという方も少なくありません。
通常の証券会社では、J-REIT価格や分配金の利回りに加えてNAV倍率も表示しています。NAV倍率とは、J-REITの割安度を判断するための指標のこと。この指標は、投資を行う上でとても参考になる数値です。
価値のある情報が凝縮され、また銘柄の比較もわかりやすいため、J-REIT初心者の方でも安心です。
楽天証券
画像引用元:楽天証券 | ネット証券(株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA)
ネット証券の中でも大手と言える、楽天グループの証券会社。個人投資家からの人気も高く、初心者の方にも安心しておすすめできる証券会社のひとつです。
また注目すべき点は、楽天スーパーポイントを貯められるというところ。楽天証券と楽天銀行に口座を開設し、ハッピープログラムという楽天銀行の優遇プログラムに申し込むと、取引ごとにポイントが貯まります。
楽天市場での買い物や、楽天トラベルでの決済にも利用することができるためとてもお得。もともと楽天会員の方は、口座開設にかかる時間も短時間で済みます。
カブドットコム証券
画像引用元:株のことならネット証券会社【カブドットコム】
三菱UFJグループのネット証券会社であるカブドットコム証券。知名度が高く、人気のあるネット証券のひとつです。
1番の特徴は、「MAXIS Jリート上場投信(1597)」の売買手数料が無料という点。
また、貸株サービスにも対応しています。これはREIT・株式・ETFなどをカブドットコム証券に預けることで、貸株金利を受けることができるというサービス。銘柄によっては20%もの金利がつくこともあるため、利用する方は続々と増えています。
マネックス証券
画像引用元:マネックス証券 | ネット証券(株・アメリカ株・投資信託)
マネックス証券は、1999年創業の大手証券会社。利用者からは、他社よりも分かりやすく、使いやすいという声が多く、投資初心者の方からベテランの方まで幅広く利用されています。
海外のETFを経由したREITへの投資も可能。その際特定口座を利用すれば、国内株式などとの損益通算が行われるため、確定申告も不要となります。
またREITの取引画面のわかりやすさも高く評価されているようです。取引の基本操作にも丁寧に答えてくれるなど、サポート体制も充実しています。
銘柄を選ぶ
次に投資する銘柄を選びます。ひとくちにJ-REITと言っても、オフィスビルや住居、商業施設、物流施設など投資対象の種類は様々。それぞれの特徴について理解しておく必要があります。
例えばオフィスビルや商業施設の場合。賃料の変動は、不動産市況に大きく左右されます。これに対して物流施設などは、市況の影響受けにくいと言えるでしょう。
投資対象によって、賃料の変動や特徴が異なります。銘柄選びは、これらを踏まえて慎重に行わなければいけません。
J-REITの銘柄の詳細は、日本取引所グループ(JPX)のHPなどで確認することができます。
売買注文を出す
J-REITの売買は、証券会社を通して行います。ネット証券なら、スマートフォンからでも購入が可能。外出先などでも売買取引をすることができます。
REITの買い注文は、株の買い注文の方法とほとんど同じ。各銘柄に割り振られた銘柄コードを入力し、購入する株数や金額を入力すれば完了です。
適切なタイミングで売却する
株式投資と同じように、J-REITでも銘柄が値上がりしたタイミングで売却をすることで、利益を得ることができます。
売却するタイミングは、配当利回りを基準に判断しましょう。購入したREITが値上がりすることで配当利回りが下がった場合、その時点の配当利回りをほかの投資先と比較。ほかの投資先の方が有利だと思ったら、売却するタイミングです。
しかし売買には、手数料や税金が発生します。無駄な売買を行い出費を増やすのは損。大幅な価格変動などの問題がない限り、長期保有が基本となります。
押さえておきたい優良銘柄の選び方
続いて銘柄の選び方について解説します。
投資対象の不動産をチェック
REITの投資対象の不動産は、大きく分けて3タイプ。それぞれの特徴を解説します。
特化型
1種類の不動産のみに投資するスタイルを特化型と言います。分散投資ではないため、ほかの方法に比べるとリスクは高くなります。
また、商業施設やオフィスなどに投資をする場合、景気の影響を受けやすいのが特徴。景気が悪くなることで企業が撤退し、空室が増えてしまうという心配もあります。逆に言えば、景気が良くなっている時が買いのチャンスです。
特化型に分類される6種類の不動産タイプの特徴をそれぞれまとめてみました。
オフィス型
企業のオフィスの賃貸に特化したREITのこと。オフィス型はJ-REITの大半を占めており、複数型のREITでも、オフィスビルをメインにしている場合が多いようです。
しかし、上記でもご説明した通り、景気の影響を受けやすいというデメリットがあります。
商業施設型
ショッピングモールなどの商業施設に特化したREITのこと。オフィス型と比べて景気の影響を受けにくく、賃貸契約の期間が長いというメリットがあります。
また、都心部の商業施設は需要が高く、もしテナントが退去してしまった場合でも、比較的借り手が見つかりやすいでしょう。
ただし、郊外に比べると賃貸契約期間が短く設定されることが多く、収益の安定性の面では、郊外に軍配が上がります。
物流施設型
配送センターなど、物流施設に特化したREITのこと。物流施設の建築数はリーマンショックの影響を受け、一時的に落ち込んでいましたが、現在はその数も増え、さらに施設の大型化・多機能化が進んでいます。
インターネットでの買い物が主流となっている現代、物流施設の需要はさらに高まっていくことが予想できます。
また、テナントが1度入ってしまえば、入れ替わりが少ないところも魅力のひとつ。長い期間安定して賃料収入を得ることができるでしょう。
住居型
賃貸住宅に特化したREITのこと。緩やかに景気の影響を受けることが特徴です。
一戸ごとの契約となるため、入居者が入れ替わったとしても、収益に大きな変動がないというメリットがあります。
また、オフィスや商業施設に比べても、ひとつの物件あたりの金額が小さく、売却しやすい点も魅力です。
ホテル型
ホテルや旅館に特化したREITのこと。最近は日本を訪れる外国人旅行者が増えています。2020年の東京オリンピックに向けて、需要はさらに勢いを増していると考えられます。
また、投資先ホテルの優待券などが用意されているところもあります。
ただし、オフィスや住居と比べて、収益は不安定。季節ごとの需要の変動のほか、災害などをきっかけに利用者が激減してしまったという例もあります。
今後需要が増えることは間違いありませんが、ホテル型に特化するリスクは高いと言えるでしょう。
ヘルスケア施設型
高齢者住宅や有料老人ホームなどに特化したREITのこと。高齢者の割合が次第に増えているという背景から、高齢者のための施設の需要は今後も増加していくことが見込めます。
注意しなければいけないのは、安定性が低いという点。テナントの運営は、利用者からの賃貸収入だけでなく、介護保険制度を加えて成り立っているというケースがほとんど。
そのため、制度の方針変更や、何らかの理由で介護保険の適用が停止されてしまえば、運営を続けることは難しくなるでしょう。
シニアビジネスの需要は拡大傾向にありますが、長く安定した運営ができるかどうかは別問題と考えておいた方が良さそうです。
複合型
複合型REITは、2種類の特化型REITを合わせたREITのこと。例えば、景気の影響を受けやすいオフィスビルと、影響を受けにくい住居を組み合わせることで、リスクを軽減し、収益を安定させることができます。
しかし現状では、2種類のみに分散する複合型REITは多くありません。分散投資の場合のほとんどが、次でご説明する「総合型REIT」になります。
総合型
3種類以上の不動産に投資を行うREITのこと。J-REITの中の多くの銘柄が、この総合型REITに当てはまります。
特化型や複合型に比べて、最も分散投資効果が高く、収益の安定性も高まります。
一方、分散投資を行うほど、期待できるリターンも低くなります。そのため、安定性を重視するのであれば総合型、より高いリターンを狙いたいのであれば特化型での運用がおすすめです。
投資法人の格付けをチェック
投資法人は、投資家に対してREITの安全性を示すために、第三者機関に評価された格付けを取得しています。会社によって異なりますが、「BBB」「A」「AA」「AAA」と続き、最も良い評価は「AAA+」となります。
この格付けは、REITを選ぶ際の指標となります。取得している投資法人は公式サイトなどで公表しているため、REITを選ぶ際にはぜひ参考にしてみてください。
各種指標をチェック
REITの銘柄を選ぶ際にチェックしたいのは「分配金利回り」「NAV倍率」「NOI利回り」という3つの指標です。
分配金利回り
年間予想配当金を投資額で割ったもの。分配金利回りが高ければ高いほど、利益が多くなります。上場REITの平均は、3%台半ばとなっています。
NOI利回り
不動産の収益力を示すためのもの。NOI利回りが高ければ高いほど、収益率の高い不動産だと言えます。不動産市況によって、NOI利回りの鑑定評価額は変わるため、定期的に鑑定評価が行われます。
NAV倍率
純資産価値に対して、現在の投資口価格が何倍かを示すためのもの。株式でいうPBR(株価純資産倍率)と似たもので、市場での評価を見極めるための指標です。
NAV倍率が1倍を上回っていると過大評価、1倍を下回っている時は割安だと判断することができます。
REIT投資で損をしないためのコツ
メリットの多いREITですが、損をしないためにはいくつかコツがあります。
個別銘柄だけでなく全体を見る
どんな投資商品でも言えることですが、個別銘柄だけに注意を向けるのはリスクが高いです。
可能な限り視野を広くし、市場全体のお金の流れを把握するよう意識しましょう。各種インデックスや、公的機関、財団法人などが提供している統計情報など、市場の動向を示す指針は無数に考えられます。
もちろん、各数字からいきなり市場の動向を予測するのは難しいでしょう。しかし知っておきたいのは、そうした数字から市況を分析する努力を続けていると、自分なりの投資ノウハウが自然と確立されてくるということ。
成功している投資家は、経済に対する深い洞察を持っているのはもちろん、独自の戦略に基づいて資金を動かしていることがほとんどです。
戦略の根拠は投資家ごとに違いますが、興味深いのは、分析方法が千差万別であるにも関わらず、導き出される答えが一致する傾向にある、ということ。
市場の動向を予測する単純な方程式はありませんが、考え続けることで、そうした方程式を自分で作り出せる可能性はあるわけです。
可能な限り分散投資を行う
リスクを軽減し、安定した収益を得るためには、分散投資が有効。物件の種類や所在地などを分散させて投資を行えば、リスクの軽減につながります。
またETFなら、少額の資金で複数のREITに分散投資しているのと同じ効果を得ることができます。
というのもETFは「REIT指数」という、全体の値動きの指数と連動した成果を目指して運用を行います。
つまり、REIT指数に価格が連動するため、全てのREITに分散投資したのと同じことになるのです。
個別銘柄に加えて、ETFへの投資もぜひ検討してみてください。
高利回り銘柄はまず疑う
投資において、リスクとリターンは比例します。
高利回りであるからには、何らかのリスクがあると考えてまず間違いありません。
利回りだけを見て安易に投資判断を下してしまうと、後になって大損してしまう可能性も十分考えられます。
REITに限らず、どのような投資にも言えることですが、まず利益の根拠を把握することが大切。もしそれが単純にわかるものでないならば、答えが出るまで、手を出すのは控えた方が無難です。
投資でもっとも重要なのは、生き残ることです。
仮にそれが最終的に大儲けできる銘柄であったとしても、大損して再起不能になるリスクがあるなら、手を出すべきではありません。
基本的に長期目線で保有する
短期的な売買は、ギャンブルと同じです。
将来的な資産形成を考えて投資を行う場合、短期間に売買を繰り返すよりも、本当に価値が見込める(または継続収入が見込める)投資商材をじっくり選んで、長期的に保有するのがおすすめ。
また、購入の際は一度にまとめて購入するのではなく、コンスタントに買い続ける方が、価格変動によるリスクを抑えることができます。
たとえば100円で買った商品が、1ヶ月後に90円に値下がりしてしまった場合、このタイミングでもう1つ商品を買えば、95円で2つ買ったのと同じ状況になります。
もし反対に、1ヶ月後に110円になっていた場合、買い足すと105円で買ったのと同じ状況になってしまいますが、それでも損益はプラスです。
これを中・長期的に積み重ねていって、もっとも利益が大きくなるタイミングで売却すれば、低リスクで相応のリターンが得られる、というわけです。
まとめ
投資初心者の方にとって、知識とまとまった資金が必要な不動産投資はハードルが高いもの。それに比べると、運用をプロにお任せすることができるJ-REITは、初心者の方でも始めやすい投資方法だと思います。
今後の資産の運用を検討しているのであれば、ぜひJ-REITを候補の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。