正しく理解すべき不動産投資信託における証券についておさらい
By Oh!Ya編集部
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「不動産投資信託を始めたいけれど、証券ってそもそも何?」 不動産投資信託の証券はどうやって購入するのだろう…」
不動産投資信託の仕組みはわかるようでわかりません。不動産投資信託において、あなたは具体的に何をすべきなのでしょうか。
今回の記事では不動産投資信託の仕組みとメリットについて解説します。不動産投資信託はあなたがほとんど手間をかけることなく行うことのできる投資なのです。またそれらに先立って「証券」という語句の意味もおさらいしましょう。
この記事を読むことで、不動産投資信託を適切に利用して投資の利益を上げていくことができるようになります。
目次
そもそも証券とは
はじめに、そもそも証券とは一体何なのでしょうか。証券という言葉は不動産投資信託にのみ限って使われるものではありません。証券は金融について一般的に使われる言葉なのです。
証券=財産上の権利を表す証書
です。これを狭義の証券ともいいます。
そして不動産投資信託についての証券は、不動産投資信託法人が出している銘柄を購入することで得られる財産上の権利の証書となります。つまり不動産投資信託における具体的な銘柄を購入した際に法人から手渡される書類が該当します。
広義の証券
条件という言葉は上述した意味よりも広く一般的に使われることがあります。これを広義の証券といいます。広義の証券の意味は「(財産的権利のみならず)事実、権利、権限を広く表す証書」となります。
しかし投資の世界で証券という言葉が出てきた場合は狭義の証券の意味でとらえておいてください。
証券の具体例
証券は財産上の権利を示すものであり、様々なものがあります。以下は代表例です。
- 株式
- 国債
- 債権
- 手形
- 小切手
通貨ほど日曜的に使用するものではありませんが、投資をしている場合は身近に存在するものとなりますね。ただし昨今は株式も電子化されてきており、必ずしも証券が紙媒体で存在するわけではなくなっています。
不動産投資信託とは
さて証券の意味を理解したところで、不動産投資信託の仕組みを見ていきましょう。仕組みを知ることで投資手法の特徴やあなたが得られるメリットが見えてきます。
不動産投資で利益を得られる仕組み
はじめに不動産投資信託であなたが利益を得られる仕組みについてみていきます。利益を得られる仕組みを知ることで、不動産投資信託の全体像がはっきりとするはずです。以下の図を見てください。
上記の図において、あなたは投資家です。あなたは不動産投資法人に資金を提供します。不動産投資法人は複数の投資家および金融機関から集めた資金を使って、不動産投資を行います。そして、そこで利益を得ることができた場合、一部を投資家への分配金、一部を金融機関からの借入金の返済に使うのです。
これが不動産投資信託の仕組みです。つまり、あなたは資金提供をするのみでよく、後はプロの投資家が利益を上げてくれるというわけです。もちろんプロの投資家であっても失敗することはあり、そのような場合は分配金を得られません。
しかしあなたが負うリスクは原則として不動産投資法人に提供した資金の範囲に収まります。そのためプロの投資家が違法な行為をはたらき、投資法人が損害を被ったとしても、あなたにそれを補う義務はないのです。
信託とは
そもそも信託とは「あなたの財産を他者に専有させ、あなたの決めた目的に沿って運用・管理をしてもらう制度」を指す一般的な用語です。つまり不動産投資信託とは、不動産投資について行われる信託なのです。
信託は不動産以外の分野でも行われています。例えば、複数の投資家から資金を集めて株式投資や債券投資を行う組織をファンドと呼びますが、これも信託の一つの形態です。
信託の制度は分業の仕組みに基づいて構築されています。あなたは財産を用意する、プロの投資家は投資活動をする、それぞれが自分の得意なことをして全体で利益を得ていこうというのが信託の根本にある考え方です。
不動産投資信託
上述したとおり、不動産投資信託においてあなたは不動産投資法人に資金を提供するだけです。しかし先ほど見た図にあるとおり、不動産投資法人自体はあなたから提供を受けた資金の用いて投資活動はしません。
なぜならば不動産投資法人は実務的な業務をすることが禁じられているためです。そこで不動産投資法人は以下の3つの業務を外注します。
- 資産運用業務→資産運用会社
- 資産保管業務→資産保管会社
- 一般事務業務→事務受託会社
このようにし不動産投資法人が実質的な業務に携わらないことで、以下のメリットが産まれます。
- 不動産保有主体と資金運用主体を分けることで連鎖倒産を回避
- 投資法人の決算において間接費用が計上されず、投資の損益が明白
- 投資法人に特別な税制を適用させ、投資家の二重課税を回避できる
つまり投資家保護の目的なのです。仮に資産運用主体が違法行為を働いたとしても、それは不動産投資法人とは関係のない話となります。そうすることで不動産投資法人に投資をしているあなたが守られるというわけです。
なぜここまでして投資家保護を行うかというと、一般投資家を呼び込むことで不動産投資市場を活性化させる目的のためです。従来、不動産投資市場には機関投資家が多かったのですが、制度を構築して一般投資家をも呼び込むことでより多くの資金を投入する狙いなのですね。
現物不動産投資との比較
不動産投資信託も不動産現物投資もどちらも不動産市場において行われる投資です。ではこの二つにはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれ以下のような特徴を持っています。
注意してほしいのは、これらの特徴はどちらか一方が優れていることの証明ではないという点についてです。常にメリットはデメリットの裏返しなのです。
例えば不動産投資信託の場合、資産の運用はプロの投資家に任せるため彼らに対して支払うべき手数料が発生します。これは不動産現物投資には構造的に存在しないものです。
また不動産投資信託は小額から始めることができますが、つまりは大きなリターンを得にくい投資方法であるということです。このように不動産投資信託と不動産現物投資には違いがあり、つまりはあなたに合った投資手法はどちらなのかが重要となります。
上場している不動産投資信託がある
不動産投資信託の中には上場している銘柄があります。それらはREIT ETFと呼ばれています。上場しているため株式と同様にリアルタイムで売買をすることができ、流動性が非常に高くなっています。
つまり上場不動産投資信託は保有することで分配金を得る目的で購入されることは少なく、株式投資と同じように購入価格と売却価格の差から利益を得るために売買されることが多いのです。そのため通常の不動産投資信託にあるようなプロの投資家に支払う手数料は発生しません。
不動産投資信託の対象となる不動産
不動産投資信託においては、あなたは資金を提供することで実質的には不動産の間接オーナーとなります。つまり複数の投資家と共同して複数の不動産を所有している状態になるのです。
もちろん不動産の運用そのものについては、不動産投資法人を介して資産運用会社に任されているため、あなたが自由に行うことはできません。そして資産運用会社が実際に投資をしていく不動産には以下のような様々な種類があるのです。
- オフィスビル
- レジデンス
- 宿泊施設
- 商業施設
- 商業用不動産
- 物流施設
- ヘルスケア施設
そして資産運用会社が投資する物件の種類により、不動産投資信託は個性を持つようになります。例えば、レジデンスに特化して投資をしている不動産投資信託とヘルスケア施設に特化して投資をしているものでは、自ずと得られる利益に差が生じるのです。
そこで以下では不動産投資信託が投資の対象としている物件7種類について、それぞれの特徴を見ていきましょう。特徴を知ることで、あなたの投資計画に合った不動産投資信託を見つける手がかりを得ることができます。
オフィスビル
オフィスビルは企業が事務所のために賃貸する物件です。企業が存在する以上、本社となる物件は必ず必要となるため、オフィスビルについての需要は常に一定程度存在します。一方で景気の影響を受けやすい点も事実です。
例えば景気が下がると、都心の高価なオフィスビルは企業を呼び込むことが難しくなるのです。もちろん賃料の値下げにより対策を取ることは可能ですが、そうすると不動産投資法人が得られる利益が下がります。
反面、警視が下がっても利益を出し続けることのできる巨大企業がいた場合、都心部のオフィスは景気動向に左右されずに高いニーズを持つということもできます。底堅いニーズがありつつも、景気動向によって値上がりや利回りの上昇が期待できるのがオフィスビルのなのです。
レジデンス
レジデンスとは住宅の意味です。レジデンスは一つの一つの物件の規模が小さく、数多くの物件を保有しやすいところに特徴があります。そのためリスクヘッジの効果が高くなります。
なぜならば、1つのオフィスビルを保有しているよりも20のレジデンスを保有している場合の方が、一つの事象によって物件すべての価値が下落するという場合を回避できるためです。
またレジデンスは人が生活を営むために必要不可欠な最小単位の物件となります。そのため不景気になっても影響を受けにくいところにも特徴があります。景気が下がったかたといって、家を手放そうという人は多くないのです。
このようにレジデンスは資産としての価値が高いレベルで安定しています。しかし、そのために値動きの幅が小さいので、高い利回りは期待できない種類となります。
宿泊施設
宿泊施設の代表はホテルです。ホテルは比較的景気の影響を受けやすいタイプの物件であるということができます。なぜならば景気が下がると旅行をしようと考える人が減るため、宿泊費を稼げなくなるためです。
また訪日外客数にも大きな影響を受けます。それこそ訪日外客が増えれば増えるほど宿泊費を得られるためです。さらに訪日外客との関係では、為替相場からも大きな影響を受けます。
そして、注目すべき点はホテルを運営している主体によるイメージ戦略や運営方法からも大きな影響を受けるという点です。つまり経営の上手いホテルに投資をしている不動産投資法人は利益を得やすいのです。
一方でブランドイメージも悪く、部屋も汚くて食事も不味いホテルには客が寄り付かないため不動産投資法人は利益を得にくくなります。このようにホテルは様々な要因から影響を受け、運営主体の経営手腕も大きな意味を持つ物件ということができます。
商業施設
商業施設としてはショッピングセンターやアウトレットモールが挙げられます。また都内にあるビル型の商業施設も含まれます。商業施設は物件内にテナントが入るか否かが利益を得るためのカギとなります。テナントは人を呼び込むことのできる場所にしか入りません。
そのためモールや商業ビル自体のブランド力や立地に大きな影響を受けます。またもちろん消費者の消費動向からも影響を受けます。このように商業施設もホテルと同様に景気の影響を受けやすい物件であるということができます。
一方で、商業施設に一度テナントが入ると長期で賃貸契約を結ぶことが多くなっています。つまり一度テナントが入ると収益が安定し、かつ、将来の収益を予想しやすくなるのです。
物流施設
物流施設としては倉庫が代表的です。このような施設も不動産投資の対象となっているのです。物流施設は景気の影響を受けやすい反面、一度テナントが入ると契約が長期化することが多く、物流事業を行う会社は資金的にも体力を持っていることが多いため一定の安定性も有しています。
しかし物流施設は一つの物件の規模が多いことから、1つのテナントが抜けた際に全体に与える影響が大きくなります。これは空室リスクについても同じであり、そのため物流施設はリスクヘッジの効果が低いということができます。
ヘルスケア施設
高齢化の余波を受けて台頭して生きたのがヘルスケア施設です。今後も日本においては高齢化が進むため、一定の期間は高い需要が見込まれます。そのため将来性の高い物件であるということができます。
しかし高齢化した社会への対応策として法律や制度が変わると、その影響を直接受けることになります。またホテルと同様に施設を運営する主体の経営手腕からも大きな影響を受けます。
昨今は全国においてヘルスケア施設が増加傾向にあり、同業他社との競争は激しさを増しています。その競争に敗れた施設は市場から姿を消してしまうかもしれません。
投資の形態
ここまで不動産投資信託の仕組みをみていきました。また不動産投資法人がどのような物件に対して投資活動をしているかによって、あなたの抱えるメリットやリスクが異なる点を理解していただけたでしょうか。
不動産投資法人は必ずしも単一の種類の物件の投資をしているわけではありません。それこそ複数の種類の物件に投資をすることでリスク分散の効果を得ることができるためです。
ここでは不動産投資法人がいくつの種類の物件を投資対象としているかによる以下の3つの区分について解説します。
- 特化型
- 複合型
- 総合型
これらの区分は売買されている不動産投資信託の銘柄についてほとんど必ず記載されている情報でもあります。つまり3つの区分の特徴を知ることで、一見するだけで具体的な不動産投資信託の銘柄が抱えるメリットとリスクの一部を知ることができるようになるのです。
特化型
特化型は上述した6種類の物件のうち、1つのみ投資している不動産投資法人を指します。そのため投資対象となっている種類の物件が持つメリットおよびデメリットが直接不動産投資法人に影響を与えます。
このように特化型は一つの事象に利益を左右されやすいためリスクヘッジの効果は低くなります。一方で一つの事象からポジティブな影響があった場合は保有している全ての物件が反応するため、値上がりと利回り上昇の幅も大きくなります。
不動産投資信託の中ではハイリスクハイリターンとなるのです。そのため景気が上向きの場合は買いだと考えられています。
複合型
複合型は2つの種類の物件に投資をしている不動産投資法人を指す言葉です。多くの場合、一つ目の種類の物件が欠けるリスクを分散させることができるという観点で二つ目の物件の種類を選んでいます。例えば、ホテル投資とレジデンス投資を並行してい行っていくのです。
上述したようにホテルた様々な要因から影響を受ける物件であり、ハイリスクハイリターンです。一方でレジデンスは影響を受ける要因が少なくローリスクローリターンです。
これら2つの物件を利用してリスクコントロールをしつつ利益を上げようというのが複合型です。
総合型
総合型は3つ以上の種類の物件に投資している不動産投資法人を指します。また上述した複合型と総合型を合わせて「複数用途型」とまとめられる場合もあります。
総合型は3つ以上の種類の物件に投資するため、リスクヘッジの効果が高いところに特徴があります。それこそ6種類すべてに投資を分散させている場合は最も高いリスクヘッジ効果を得ることができるでしょう。
一方で全体的な値上がりへの反応や利回り上昇は鈍くなります。最もローリスクローリターンな区分ということができます。
不動産投資信託のメリット
ここからは不動産投資信託のメリットについてみていきましょう。投資の目的なあなたの資産を増やすことです。そのため不動産投資信託のメリットを知り、あなたの投資計画に適切な形で利用していってください。
少額から投資できる
不動産投資信託においてあなたは丸ごと一つの不動産を購入するわけではありません。そのため20万円程度の少額から不動産投資を始めることができる点にメリットがあります。
この点は不動産現物投資と比較することでより際立つでしょう。あなた一人で不動産現物投資を始める場合、地方の中古マンション一室を購入するにしても数百万円は必要となります。
そういった元手がなければ始めることができない不動産投資を20万円単位から始めることができるのです。
少額で分散投資が可能
少額に共通する要素として、不動産投資信託は集めた資金を複数の不動産に投資するため、少額で分散投資を実行できる点にも大きな特徴があります。分散投資とはある程度の規模の資産がなければ実行できない側面がありますが、不動産投資信託を利用することでやはり20万円から開始することができます。
分散投資は投資の基本中の基本なので、資産の規模が小さい場合においても適切に行う必要があります。そうすることで回避できるリスクを回避し、それが最終的な資産の大きさに繋がるのです。
資産を運用するのがプロフェッショナル
不動産投資信託のメリットとしては、あなたの資産を不動産投資のプロが運用してくれる点にも大きなメリットがあります。もちろんプロに対して手数料を支払うことにはなりますが、不動産投資の初心者であっても資金を提供するだけで、効果を得ることができるのです。
流動性が高い
不動産投資信託は不動産の現物に比べて流動性が高くなっています。そのため投資計画に合わせて柔軟に売買ができるのも大きな魅力です。特に上場されている不動産投資信託の流動性は株式に匹敵するほど高くなっています。
投資を始めるとわかりますが、金融商品を現金に換えたいタイミングで換えられることには大きなメリットが存在するのです。なぜならば、それだけマーケットに迅速に反応していくことができるためです。
不動産投資信託のリスク
ここまで不動産投資信託のメリットを理解できたでしょうか。ここからは不動産投資信託のリスクについて紹介します。メリットとリスクの両方を正確に理解することが、不動産投資信託を適切に利用することにつながります。
上場廃止のリスク
これは上場している銘柄についてのリスクです。つまり上場が廃止されることで不動産投資信託のメリットの一つである流動性を失ってしまうのです。過去には不動産投資法人が倒産するという事例もありました。
そうなると不動産投資信託の銘柄の価値が急激に下落します。つまりキャピタルロスの危険性があるのです。
現物不動産を所有できない
不動産投資信託において、あなたは疑似的に不動産現物のオーナーのような立場となりますが、それはあくまで疑似的にです。そのため実際には不動産の現物を所有することができないという点に大きなデメリットがあります。
不動産の現物投資の場合、購入した不動産投資信託は大きな額の一定の資産となります。また不動産投自体は資産価値が高い水準で安定しています。
これに対して不動産投資信託はあくまで投資信託証券を有しているだけなので不動産の現物ほどの高い安定性を有する市さんではないのです。
不動産投資一般に通ずるリスク
また不動産投資信託には不動産投資そのものについてのリスクが必ずついてきます。もちろんそのリスクは資金提供を行っているあなたが主に負うことになるでしょう。こういった不動産投資信託におけるリスクを正確に理解し、適切な形で利用していってください。
不動産投資信託を始めるために知っておくべき指数
ここからは不動産投資信託を利用する際に知っておくべき4つの指数を解説します。どれも不動産投資信託の銘柄の価値を把握するうえで欠かすことのできないものです。
利回り
はじめに不動産投資信託における利回りは一般的に分配金利回りを指します。以下の計算式で求めることができます。
分配金利回り=年間の一口あたり予想分配金÷投資価格
日本における不動産投資信託の代表であるJ-REITの利回りは以下のように推移してきました。
(参照元:JAPAN REIT)
現在、平均して利回りは4%程度となっています。2018年における東証一部上場株式の加重平均利回りが2.05%であることを考えると、不動産投資信託の利回りは比較的高い水準であるということができます。
利回りからは元本回収までに要する期間を知ることができます。また具体的な投資計画を立てる際に、年間の収支を計算する基ともなります。利回りは不動産投資信託の銘柄と合わせて表示されている情報なので、常にチェックしていく必要があります。
LTV
LTVとはLoan To Valueの略称であり、「総資産有利子負債比率」という意味です。つまり総資産における負債の割合を示す数字なのです。LTVは以下の計算式で求められます。
総資産有利子負債比率=有利子負債÷総資産
これは不動産投資法人の財務状態の健全性を示す手掛かりとなります。LTVの値が小さいほど負債の割合が低く、値が大きいほど負債の割合が高くなります。つまりLTVの値が小さい不動産投資法人は借金の割合が小さいことから金利変動などのリスクが小さいのです。
また更に借金をして新規の物件を取得する余裕も有していることになります。しかしながら、必ずしもLTVの値が小さいほうが良いということはできません。LTVの値が大きいということは、少ない自己資金を効率的に使って規模の大きな投資を実現できているということを指すためです。
NOI
NOIとはNet Operating Incomeの略称であり、「純利益」という意味です。そしてNOIは保有する物件価格との関係を表すNOI利回りを見ることで、不動産投資法人の収益力を測る目安となります。
NOI利回りは以下の計算式で求めることができます。
NOい利回り=NOI÷保有する物件価格
つまりは保有資産を利用していかに大きな額の利益を稼ぎ出しているかを知るための数値なのです。純利益を高めるためには、売上を伸ばす、経費を削減するといった2つのアプローチがあります。
NAV
NAVとはNet Asset Valueの略であり、「純資産価値」という意味です。そしてNAVは以下の計算式で求めることができます。
NAV=資産÷負債
つまりどの程度の割合で資産を有しているかとおうことを示します。そして求めたNAVを利用してNAV倍率を求めることで、不動産投資信託の具体的な銘柄の投資口価格が割安なのか割高なのかを判断することができます。
NAV倍率は以下の計算式で求めます。
NAV倍率=現在の銘柄1口あたりの投資口価格÷NAV
この数値が1を下回る場合は割安であると判断でき、1を上回る場合は割高であると判断できるのです。
不動産投資信託証券の購入方法
最後に不動産投資信託を購入する方法を紹介します。ここまで記事を読んだあなたであれば、具体的な銘柄を目にした時に着目すべきポイントがわかっているはずです。不動産投資信託は以下の3つのステップで購入することができます。
- ステップ1:証券会社で口座を開設
- ステップ2:銘柄を選択
- ステップ3:購入注文
証券口座を解説で切れば後は簡単です。
ステップ1:証券会社で口座を開設
ステップ1では、証券会社を選択して口座を開設します。不動産投資信託を扱っている証券会社としては以下が代表的です。
- SBI証券
- カブドットコム証券
- 楽天証券
- マネックス証券
この中ではSBI証券が不動産投資信託の取扱い本数が多いため、初心者にお勧めです。証券鋼材を開設する会社を決めたら、次は口座の種類を選択します。口座のは以下の3つの種類があります。
- NISA口座
- 一般口座
- 特定口座
NISA口座は取引できる金額が年間120万円までとなりますが、その分その口座で得た利益は非課税となります。
一般口座は一定の利益を得た際に必要となる確定申告に必要な書類作成を自分で行う口座です。
特定口座は一般口座と対を成すものであり、一定の利益を得た際に必要となる確定申告に必要な書類作成を証券会社が行ってくれるものです。
初心者は確定申告の手間を省くために特定口座を開設するのがお勧めです。特定口座には源泉徴収をしてくれるものとしてくれないものがあります。投資による年間の所得が20万円を超えない場合は源泉徴収なしを選ぶと節税になります。
これで口座を開設し、そこに一定の資金を預けたら不動産投資信託の銘柄を購入する準備が整います。
ステップ2:銘柄を選択
ステップ2では、今回の記事で解説した要素を加味しながら、あなたが購入する不動産投資信託の銘柄を選択します。この際、利回りのみに着目して購入を決めるのはやめてください。利回りは目につきやすい数値ですが、あくまで不動産投資信託の側面の一つを表しているに過ぎないためです。
投資している物件の種類、LTV、NOI利回り、NAV倍率といった情報と合わせて銘柄を選択しましょう。
ステップ3:購入注文
そして銘柄が決まったら、買い注文を出します。それに応じる売り注文があれば、その時点で取引成立です。あなたの口座残高から取引価格が差し引かれ、不動産投資信託があなたの所有物となります。
いかがでしょうか?不動産投資信託を購入するのは簡単だということが理解できたでしょうか。分散投資の高い不動産投資信託なので、他の方法ですでに投資を始めている人も不動産投資信託を買ってみてください。
まとめ
今回は不動産投資信託について解説しました。あなたもこれを機に不動産投資信託を購入してみてください。
以下は今回の記事のポイントです。
- 証券とは財産上の権利を表す証書
- 不動産投資信託において、投資家は資金を提供するだけ
- 不動産投資信託は小額から始めることのできる不動産投資
- 不動産投資信託は高いリスクヘッジの効果を持つ
- 法人が投資する物件の種類によって、銘柄のメリット・リスクが異なる
- 銘柄選択の際は利回り、投資物件の種類、LTV、NOI利回り、NAV倍率を利用しよう
不動産投資信託は小額から購入することができるため、あなたの投資計画に合わせて柔軟に利用することのできる金融商品です。他の投資手法と組み合わせた際のリスクヘッジ効果は見逃すことができません。あなたも是非とも不動産投資信託を購入してみてください。