事前に知っておきたい不動産購入から売却までに必要な税金9つ
By Oh!Ya編集部
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不動産投資をスタートするとき、多くの人は税金に対する知識を十分にそなえていません。特定の職業・立場ではない場合、税金を詳しく知る機会がないからです。
しかし、不動産投資を続けるうえで確定申告は避けられず、税金に理解がなければ思わぬ罰則や損失が発生してしまいます。
そこで今回は、不動産投資に関する各種税金を解説、適切に納税しなかった場合のリスクをご紹介します。
不動産の購入時に必要な税金
不動産投資のプロセスは大きく分けて3つ。購入時と運用中、そして売却時に大別されます。
この項では、投資物件の取得段階で発生する税金を解説します。
不動産取得税
投資物件を取得するたび、その年度のみ課せられる税金を「不動産取得税」と呼びます。
納税義務は取得時点で発生するものの、納付書が送付される時期は購入から半年以降。物件購入から納税までの期間が半端であるため、支払いの存在を忘れやすい税金の1つです。
不動産取得税は計算が複雑なので、納付にそなえて費用を用意しておく場合は「不動産取得税計算ツール」の利用がおすすめ。
物件購入から納税までの物件取得額に比例して納税額が大きくなるため、納付書の到着時に焦らないように注意しましょう。
登録免許税
投資物件を購入したあと所有権移転登記(名義変更)をおこない、買主に権利が移動したことを申請します。
このときに発生する税金を「登録免許税」と呼び、原則として「物件の購入価格に対して2.0%」に相当する税額を納めなければなりません。
印紙税
不動産売買にあたり売主と買主のあいだで金銭取引がおこなわれるため、印紙を使用して契約書や領収書に法的な信用を与えます。
この際、印紙に対して課せられる税金を「印紙税」と呼び、以下の基準のもと納税が必要です。
不動産譲渡契約書に記載された金額 | 税額 |
---|---|
50~100万円である場合 | 500円 |
101~500万円である場合 | 1,000円 |
501~1,000万円である場合 | 5,000円 |
1,001~5,000万円である場合 | 1万円 |
5,001万円~1億円である場合 | 3万円 |
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出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」を抜粋・改編
なお、上記は2020年3月末まで適用される「印紙税の軽減措置」に基づいたものであり、対象期間以降の税額は変更される可能性があります。
印紙を貼り付けていない場合には「過怠税」が課せられ、本来の印紙税の3倍に相当する納税額が必要になるため注意しましょう。
不動産の維持にかかる税金
納付の機会が1度しかない購入時の税金とは異なり、物件の維持にかかる税金は継続して支払います。手続きの回数が多ければ申告ミスの可能性が高まるため、定期的に納付する税金は特に理解が必要です。
この項では、物件の維持にかかる税金を解説していきます。
固定資産税
「固定資産税」は、土地・不動産の所有者に対して課せられる地方税です。毎年1月1日に納税義務者が決定し、所有物件がもつ固定資産税評価額にもとづいて税額が決定します。
固定資産税の計算式 |
---|
固定資産税評価額 × 1.4%(税率) = 固定資産税 |
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このとき計算に用いる固定資産税評価額は、固定資産税のほか都市計画税の計算にも用いられる基準。各市町村が独自に定めており、3年スパンで「評価替え」と呼ばれる基準の変更がおこなわれます。
固定資産税評価額は、基本的に各地域の地価の変動にリンクしていると考えて問題ありません。
都市計画税
固定資産税と同様に、「都市計画税」も年初に決定した税額を市町村に納めます。税率は最大3%までと規定されており、算出方法は以下の通り。
都市計画税の計算式 |
---|
固定資産税評価額 × 最大3%(税率)= 都市計画税 |
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市町村によって税率が異なるため、正確に計算するためには各地域に確認する必要があります。
また、すべての土地・不動産所有者が納税義務者となるわけではなく、都市計画区域内のみが対象。都市計画区域は「市街化を進めるエリア」を指す言葉で、優先して都市機能を充実させる場所をあらわしています。
そのため、現時点で需要が多いエリアや、将来的に需要が高まると予想されるエリアは、都市計画税が課せられる傾向が高いと言えるでしょう。
個人事業税
一定規模を超えた事業をおこなう不動産投資家は、「個人事業税」の納税義務者となります。個人事業税は地方税の一種であり、以下のいずれかを満たした場合には納付が必要です。
・独立家屋10棟以上を所有している ・独立室数10室以上を所有している ・貸付面積が2,000平方メートル以上ある ・貸付可能な住宅用の土地を10件以上所有している
そして、個人事業税の納税額はつぎの計算式をもとに算出します。
個人事業税の計算式 |
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(不動産収入-経費-専従者給与-控除)× 5%(税率)=個人事業税 |
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計算式に使用されている「専従者給与」は、家族従業者に支払う給与を指す用語です。また、不動産投資における控除は「繰越控除」と「事業主控除」があり、青色申告と白色申告の違いによって内容が異なります。
青色申告であれば、翌年以降3年のあいだは赤字損失を繰り越すことが可能。白色申告であれば、翌年以降3年のあいだ「災害で生じた事業用資産の損失」が繰り越せます。
一見すると記述内容は似ていますが、白色申告は災害で生じた損失にしか対応できない点に注意が必要です。
事業主控除は「事業の継続期間」によって金額が変動する控除で、1年以上継続していれば控除額は年間290万円。1年未満の場合は、以下の基準をもとに控除額が決定されます。
事業の継続期間 | 控除額 |
---|---|
1ヶ月 | 24万2,000円 |
2ヶ月 | 48万4,000円 |
3ヶ月 | 72万5,000円 |
4ヶ月 | 96万7,000円 |
5ヶ月 | 120万9,000円 |
6ヶ月 | 145万0,000円 |
7ヶ月 | 169万2,000円 |
8ヶ月 | 193万4,000円 |
9ヶ月 | 217万5,000円 |
10ヶ月 | 241万7,000円 |
11ヶ月 | 265万9,000円 |
12ヶ月 | 290万0,000円 |
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出典:東京都主税局「個人事業税」を抜粋・改編)
計算式に使用する税率は業種により異なり「不動産賃貸業」は5%となっています。
所得税
確定申告では、不動産投資で獲得した収入と経費をもとに、算出した利益を税務署へ申告します。利益には一定の税率が課せられ、「所得税」として納付しなければなりません。
不動産投資の収入にはインカムゲインとキャピタルゲインがありますが、所得税はそれぞれの売上に対して課せられるのではなく、1年間の収入を合計した金額に対して算出されます。
その際、利用する基準は以下の通り。
所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 控除なし |
330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,001万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
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出典:(国税庁「所得税の税率」を抜粋・改編)
たとえば年間の所得額が2,000万円であるとき、所得税はつぎの計算式で求められます。
所得額2,000万円の場合に用いる計算式 |
---|
2,000万円 × 0.4(40%)-279万円 =520万4,000円 |
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2018年時点では以上の基準が適用されているものの、法律や税制の変更により計算方法が変わる可能性があります。所得額における基準の出典元である「所得税の税率」に最新情報が記載されているので、確定申告時には事前に確認することをおすすめします。
復興特別所得税
「復興特別所得税」は、平成23年に発生した東日本大震災の復興に充てられる税金です。
所得税を納付するすべての人が納税対象であり、所得額に対して2.1%を納めなければなりません。
特殊な税金でありつつも平成49年まで実施されるため、対象期間内は他の税金とあわせて毎年申告が必要です。
不動産の売却時に発生する税金
不動産取得時と同様に、物件を売却するときにも税金が課せられます。不動産投資の開始直後に必要となるケースは少ないものの、売却時に焦ることがないよう事前学習が重要。
この項では、物件を売るタイミングで発生する税金を解説していきます。
譲渡所得税
不動産売却時の所得に対して課せられる税金を「譲渡所得税」と呼びます。
物件の保有年数が5年以上の場合は「長期譲渡所得」、5年未満であった場合は「短期譲渡所得」に分類され、それぞれの計算方法はつぎの通り。
長期譲渡所得の場合に用いられる計算式
はじめに以下の計算式を用いて「譲渡所得額」を算出し、譲渡所得に対して税率を掛けることで納税額が分かります。
長期譲渡所得の場合に適用される税率は15%であるため、計算方法は以下の通り。
長期譲渡所得における納税額の計算式 |
---|
物件売却益 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 譲渡所得 |
譲渡所得 × 15%(税率)= 納税額 |
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短期譲渡所得の場合に用いられる計算式
「譲渡所得額」は税率以外、長期譲渡所得と同じ形式の計算方法を用いて算出します。
短期譲渡所得における納税額の計算式 |
---|
物件売却益 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額 = 譲渡所得 |
譲渡所得 × 30%(税率)= 納税額 |
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短期譲渡所得の場合に適用される税率は30%であるため、長期譲渡所得時の2倍に相当する納税額が必要。
そのため、税率の違いが大きなダメージとなる個人投資家は、中長期的な運用を前提としたプランニングが一般的です
印紙税
不動産取得時に必要であった印紙は、買主には必要ですが売主にとって必須ではありません。そのため、1通作成した原本を買主が保有し、控えとして売主がコピーを1通保有するケースがあります。
このとき、コピーした控えは課税対象ではないため、印紙税を納める必要はありません。
ただし、買主と売主がそれぞれ1通ずつ原本を保管する場合、控えに「原本に相当する効力」を与える文言や署名・捺印をくわえた場合は、原本と同様に課税対象となるため注意しましょう。
贈与や相続時に必要な税金
不動産や土地は評価価値が現金より低く見積もられる傾向があり、節税対策として物件を贈与・相続するケースがあります。仮に贈与や相続をきっかけに不動産投資をはじめる場合は、どのような税金が課せられるのでしょうか?
この項では、それぞれの場合に課せられる税金の種類と、覚えておくべき制度についてご紹介します。
贈与された物件で不動産投資をはじめる場合
現存する人物に物件を譲り受けたとき、「贈与税」と呼ばれる税金が課せられます。通常であれば「暦年課税」という形式にもとづき、1年間に受け取った贈与額から控除額を除いた金額が課税対象となります。
また、暦年課税では110万円の基礎控除が適用されるため、年間110万円以下の贈与であれば税金は発生しません。基礎控除を超える贈与額に対しては、以下の税率・控除額を参考にしてください。
基礎控除適用後の合計額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | 控除なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 200万円 |
3,001万円以上 | 55% | 400万円 |
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出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」を抜粋・改編
たとえば、基礎控除適用後の合計額が2,000万円の場合、以下の計算が用いられます。
2,000万円贈与された場合の計算式 |
---|
2,000万円 × 0.5(50%)-200万円 =800万円 |
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納税額は800万円となり、贈与財産の約半分が納付対象。贈与財産が物件であっても納税は現金でおこなうため、キャッシュフローは大きく悪化します。
なお、直系の親族同士であれば「特例税率」が適用されるものの、税率や控除額が劇的に軽減されることはありません。
そこで、暦年課税に代替策として利用されるのが「相続時精算課税制度」です。
相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度は、申告書を提出することで「合計2,500万円までの贈与」が非課税となる制度です。
この非課税は一時的なものであり、贈与主の死後には「相続遺産と贈与資産を合算した金額」に対して課税されるため注意が必要。あくまで、納税のタイミングを後回しにする制度であると覚えておいてください。
それでもなお、不動産投資において初期の資金繰りは重要であり、贈与によるキャッシュフローの悪化を阻止できる点は大きなメリット。
さらに相続時精算課税制度には「物件の評価額が贈与時点で決定される」という特徴があります。
評価額が2,000万円の物件を贈与され、納税時には評価額が5,000万円に上昇していても、課税対象となるのは「贈与時点の評価額」である2,000万円です。そのため、価値の上昇が予想される物件の贈与は、相続時精算課税制度の利用で大きく節税できる可能性があります。
相続時精算課税制度は「一時的な非課税である」という注意点のほか、以下のポイントも把握しておきましょう。
・贈与額が2,500万円を超える場合、20%の税金が課せられる ・相続時精算課税制度は、途中で暦年課税へ変更できない ・非課税範囲内でも贈与がおこなわれた年度は申告が必要
毎年、継続して少額の贈与をうける場合は暦年課税が有効ですが、一度に大きな財産を譲り受けるときには相続時精算課税制度も有効な手段の1つです。
また、どちらの課税制度を利用しても、登録免許税や不動産取得税は必要であるため注意しましょう。
相続した物件で不動産投資をはじめる場合
遺産を相続する場合に課せられる税金が「相続税」です。相続税の計算はやや複雑ですが、表を交えつつ最低限おさえておきたいポイントを解説します。
基礎控除額の算出は相続する人数により変動し、相続人が3人である場合の計算式は以下の通り。
相続税における基礎控除額の計算式 |
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3,000万円 + 600万円 × 3人(相続人数)= 4,800万円 |
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ここで算出された基礎控除額を相続額から引き、つぎの規定をもとに「残った相続財産の総額」に対して相続税が課せられます。
基礎控除適用後の合計額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 控除なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
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出典:国税庁「相続税の税率」を抜粋・改編)
以上にもとづいて算出された「納付する相続税額」および「受け取る相続額」は、被相続人の家族構成や各相続人の属性によって割り振られます。
「相続人に子どもが含まれる場合」 配偶者が相続財産の半分を受け取り、残る半分は子どもの人数に応じて等分。 相続税の納付額も同様の割合が適用されます。
「相続人に子どもが含まれない場合」 配偶者が相続財産の3分の2を受け取り、残りの財産は被相続人の父母が等分。 相続税の納付額も同様の割合が適用されます。
「相続人に子どもや父母が含まれない場合」 配偶者が相続財産の4分の3を受け取り、残りの財産は被相続人の兄弟姉妹が人数に応じて等分。 相続税の納付額も同様の割合が適用されます。
仮に先ほどの計算式に用いた「3人の相続人」が配偶者1人と子ども2人だった場合、配偶者は相続財産の2分の1を受け取り、子どもは両者ともに4分の1を相続。相続財産に課せられた相続税も、同様の割合でそれぞれが納めるという仕組みです。
最後に一例として、配偶者が5,000万円、2人の子どもが2,500万円ずつ相続した場合の計算例をご紹介します。
相続税には「配偶者控除」と呼ばれる制度が存在し、配偶者が受け取る相続財産が1億6,000万円まで、もしくは先述した「家族構成や属性で決定された割合」にもとづいた金額であれば納税の必要はありません。
たとえば基礎控除適用後の相続財産5億円を、配偶者と2人の子どもで相続する場合、配偶者は2億5,000万円の相続額を受け取ることになります。このときは控除条件の1つである1億6,000万円を超えていますが、2分の1を超える金額ではないため課税対象ではありません。
節税と脱税の違いとは
節税と脱税は、どちらも納税の負担を軽減するための方法です。一見すると、両者は同じような意味をもつ行為ですが、どういった部分が善悪を分けるのでしょうか?
この項では、節税と脱税の違いを解説、脱税時の時効やペナルティについてご紹介します。
法律にもとづいて税金を軽減する「節税」とは?
税金の払い過ぎを阻止するため、法律や税制にしたがい適切な納税額を算出することを「節税」と呼びます。
基本的には、事業に使用した「経費」と法律で規定された「控除」を利用し、不動産投資で獲得した総所得を圧縮。財務上の収入を減らすことで、納税額として大きな割合を占める「所得税」を軽減します。
総所得と経費・控除の関係は、計算式であらわすと以下の通り。
確定申告における申告額の計算式 |
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不動産所得 -(経費 + 控除)= 申告する収入 |
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このとき、正しく節税をおこなうには「必要経費」となる出費の種類について覚えなければなりません。
原則として、必要経費だと認められるものは「事業の利益向上に必要な出費」に限られます。プライベートに使用する雑費など、不動産投資に関わりのない出費は経費として計上できないため注意が必要です。
「必要経費として認められる出費」
・租税公課に分類される税金 ・損害保険料 ・物件管理費 ・減価償却費 ・接待交際費 ・旅費交通費 ・借入金利(返済元本は対象外)
以上に分類されるもの、かつ事業にまつわる出費に関しては経費計上が可能です。
はじめに挙げた「租税公課」は、不動産取得税や印紙税など国税・地方税に分類される税金、または地方公共団体や類似する組合への会費などが含まれます。
事業ではなく個人に対して課せられる所得税や市町村税、誤申告時の罰則である加算税などは対象でないことに注意しましょう。
どのような行為が「脱税」だと認定されるの?
納税額の隠ぺいや虚偽申告、意図的な無申告は「脱税」として扱われます。たとえば、不動産投資で得た収入を過少申告した場合や、経費を実際より多く偽って申告した場合です。
悪質かつ巨額の脱税は刑事罰の対象となるケースもあり、納税額を偽る行為にメリットはありません。
脱税に時効はあるの?
確定申告の期限翌日から7年が、脱税時の時効として定められています。
しかし、催促状の送付や差し押さえがおこなわれた場合、時効に関する経過年数はリセット。再び1から年月がカウントされることとなり、新たに7年の時効が設けられます。
そのため、時効は実質「無制限」であると考えておくべきでしょう。
不正や誤申告をおこなった際のペナルティ
故意に脱税をおこなった場合ではなくても、法律にしたがって正しく申告できなければペナルティが課せられます。
特に不動産投資をスタートさせた初年度は、投資家自身が納税にまつわる知識に乏しいケースも多々。本人が気付かないうちに誤申告をしている可能性もあります。
申告に不備がある場合のペナルティは主に4つ。それぞれ順番に解説していきます。
過少申告加算税
納税額が「本来納めるべき金額」より不足していたとき、ペナルティとして課せられる税金が「過少申告加算税」です。
罰則の内容は「更生の予知」を基準として変動し、つぎの基準が適用されます。
過少申告加算税の増税額 |
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更生の予知以前であれば、本来の税額に対して5%の増税 |
更生の予知以降であれば、本来の税額に対して10%の増税 |
※横スクロールできます。
更生の予知とは、誤申告者が事前に「過少申告によってペナルティを受けること」を察知している状態です。
たとえば事前通知にて税務調査があることを知らされ、その要因が過少申告によるものだと判断。その時点で修正申告をおこなった場合は、更生の予知以降の申告として扱われる可能性があります。
例外として税務署から知らされるまえに「修正申告」した場合に限り免除となります。
無申告加算税
申告すべき期間内に確定申告をおこなわなかったとき「無申告加算税」が課せられます。本来、納付されるべき金額によりペナルティは変動し、それぞれに加算される税額は以下の通り。
無申告加算税の増税額 |
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「納付額が50万円未満」の場合、本来の税額に対して15%の増税 |
「納付額が50万円以上」の場合、本来の税額に対して20%の増税 |
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原則として、これらのペナルティが適用されますが、無申告が発覚するまえに自主申告することで「期限後申告」として増税が5%に軽減されます。
延滞税
申告期間を過ぎてから自主申告・修正申告をおこなう場合、期日から超過した日数に応じて「延滞税」が課せられます。
延滞税の割合は年度や期間によって異なるため、計算には国税庁ホームページに用意された「延滞税の計算方法」の利用がおすすめ。期限後申告用と修正申告用が分けられているため、利用の際には注意が必要です。
重加算税
脱税とみなされる悪質な不正をおこなった場合には、先述した加算税に代わり「重加算税」が課せられます。過少申告と無申告によってペナルティは異なり、それぞれの増税額は以下の通りです。
重加算税の増税額 |
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悪質な「過少申告」をおこなった際は、本来の税額に対して35%の増税 |
悪質な「無申告」をおこなった際は、本来の税額に対して40%の増税 |
※横スクロールできます。
くわえて過去5年以内に、無申告加算税や重加算税が適用されていた申告者に対しては、さらに10%の増税が課せられます。
過少申告であれば45%、無申告であれば50%増加した納税額が求められ、加算税におけるペナルティとしてもっとも大きな罰則となります。
まとめ
今回は、不動産投資の各プロセスで発生する税金や、誤った確定申告が招くペナルティをご紹介しました。
税金の知識を覚えることは大変であるものの、正しく理解すれば資金繰りにプラスの影響を与え、誤申告に対する不安を抱えることもありません。
申告漏れによるペナルティは事業に支障をきたすため、確定申告に慣れるまでの期間は「税理士」や「確定申告ソフト」などの利用もおすすめです。