他人任せは禁物!投資信託で失敗した6つのケースまとめ
By Oh!Ya編集部
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「投資信託って安全な金融商品なんだよね…?」 「投資信託で失敗するのは具体的にどんな場合なの?」
投資の世界において100%安全ということは原則ありません。どういった投資手法にもリスクが存在します。これは、あなたが資産を提供し、それをプロが運用する投資信託であっても同じです。
今回の記事では投資信託の失敗例から、成功するためのポイントを抽出していきます。具体的には
- 失敗例6選
- 失敗例に共通する要因
- 投資信託で失敗しないための対策
- 投資全般に関する注意点
- リスクを回避する分散投資の具体的手法
を紹介します。具体的な失敗例を見ることで、同じ状況に陥ることを避けられるでしょう。また投資全般に関する注意点は多くがそのまま投資信託にも当てはまるので、これを機に再確認してみてください。その上で分散投資の方法を学び、リスク回避に努めましょう。
投資信託の典型的な6つの失敗例
はじめに投資信託の典型的な失敗例を6つ紹介します。具体的な事例を記載するので、そこから失敗原因ととるべきであった対策を考えていきましょう。
事例1:営業マンのおすすめ商品を買って失敗
上場されていない投資信託は特定の金融機関でのみ販売が行われています。そして投資信託を販売することで金融機関に手数料が入るのです。つまり金融機関は投資家に投資信託を勧める場合が多いのです。最初の事例は営業マンの勧めるままに投資信託を購入して失敗した例です。
事例
Aさんは銀行に資産運用の相談をしていましたが、その中で営業マンからXという投資信託を勧められました。この投資信託は現在経済成長が著しいアジア諸国の株式投資型ファンドということです。そのため利回りも12%が期待できるとのことでした。
かねてから投資に興味のあったAさんはアジア諸国の経済成長も小耳にはさんでいたため、「なるほど、確かに今が買い時かもしれない。これほど勧めてくるということは安全なのだろう」と考え、営業マンの勧めるままに100万円を使ってX投資信託を購入します。
その後、半年間は利回り12%を実現する分配金が入金されていましたが、半年経過後突然ファンドが潰れてしまったと報告を受けました。X投資信託が投資をしていたアジアの会社に不正が発生し、会社ごと倒産してしまったためです。
結局Aさんは100万円を投入して回収できた額は6万円であり、最終的に94万円の損失を被りました。
失敗原因
失敗の原因はAさんが自らアジア諸国の株式投資ファンドについて調査しなかったことです。もちろん投資信託法人から投資家に後悔される情報には限りがあるため、全てを調査することは難しくなっています。
しかし、そもそも新興国の株式には大きなリスクがあることすら知らないまま初回から100万円を一つの銘柄につぎ込んでしまった点は迂闊でした。後述しますが、投資の基本は分散投資でリスクを回避していくことです。それをせず、営業マンに勧められるままに購入したことが失敗の原因です。
とるべきであった対策
Aさんは投資信託全般に対する知識を深めてから購入に踏み切るべきでした。投資信託の中にも利回りこそ低くとも、安全性の高いものもあります。公開されている情報を使って、リスクの高さをある程度読み取ることができるようになる必要があったでしょう。
事例2:ランキング上位の商品を買って失敗
金融機関が勧める投資信託には人気ランキングが存在します。ランキング上位は多くの投資家が購入しているものであるため安全と考えがちですが、そのランキングはバイアスがかかった上で形成されたものなのです。ここではランキング上位の投資信託が安全とは限らないという事例をみていきます。
事例
本格的な資産運用を考え始めたBさんは、金融機関を訪れ投資信託の紹介を受けました。その中で営業マンからアメリカ株式型のものを勧められます。しかしBさんは何となく営業マンの勧めるままに購入することに反発を覚え、公開されているランキングを参考にすることとしました。
そのランキングには圧倒的な人気銘柄として「アフリカ不動産投資型」が君臨していました。一見するとアフリカの不動産は価格変動が激しそうに思われてリスクも高いのではな…と訝しみましたが、投資初心者であるBさんは先輩投資家も買っているからこそランキング1位となっているであろう「アフリカ不動産投資型」投資信託を購入しました。
資金は200万円をつぎ込みました。その結果、1年後にファンドが解散し、B さんは190万円を超える損失を抱えるに至りました。
失敗原因
この事例の失敗原因はランキングにバイアスがかかっていると見抜くことができなかった点です。つまりランキングは全ての投資家が自らの判断で適切に銘柄を選択した上で形成されているのではなく、前述した事例1におけるAさんのように営業マンから勧められるままに購入する初心者の判断もあった上で形成されているのです。
そして営業マンから勧められるままに購入してしまう投資初心者はことのほか多いのです。つまりランキング上位の銘柄であっても、プロの投資家が適切に選んだものとは限らないということです。特に営業マンの腕が良ければ良いほど、ランキング上位には「金融機関が売りたい銘柄」が並びます。
とるべきであった対策
Bさんはこういった金融機関が作成するランキングの仕組みを理解しておくべきでした。それを知っていたならば、営業マンのお勧めを疑ったように、ランキング上位銘柄も疑うことができ、自ら調査をする必要性に気づいたでしょう。
事例3:手数料を確認せずに失敗
投資信託には一般的に以下の手数料がかかります。
- 販売手数料:銀行に支払う手数料、購入価格の2~3%が相場
- 信託報酬:保有中支払い続ける運用手数料、年0.5~3%が相場
- 信託財産留保額:売却時に支払う手数料、価格の0.3%が相場
このように投資信託には複数の手数料が発生します。これらを明確に理解して購入しないと、元本割れのリスクが生まれます。
事例
Cさんは分散投資の一環として投資信託に手を出すことにしました。投資信託は営業マンの勧めるものと本当に利益を得られるものの間に齟齬があると知っていたため、Cさんは国内不動産投資型の投資信託を自ら選び購入しました。
日本国内の不動産投資であれば価格変動が起きにくく、ローリスクでの運用ができると考えたためです。投資信託の利回りも4%程度と低くなっていましたが、それはリスクの低さの裏返しだと気にしていませんでした。
ところが実際に運用を開始すると、毎年利回りにして1%にも満たない利益しか入ってきません。年によっては分配金がない場合すらありました。Cさんが原因を調べると、その投資信託には信託報酬3%が発生していたのです。
そのため毎月の利益から信託報酬が差し引かれ、実質的に1%に満たない額にしかならなかったのです。Cさんはこれならば他の投資にお金を回した方が良いと考えて素早く損切りしましたが、最終的には販売手数料と信託財産留保額を支払ったせいもあり赤字となりました。
失敗原因
失敗原因は投資信託に発生する手数料への認識が甘かったことです。これは投資信託を初めて行う人に共通する特徴です。そもそも資産の運用を他者に任せているため、当然にそのことについての手数料が発生するのです。また銀行の販売手数料もあることから、投資信託を短期で売買するとそれだけ損が発生しやすくなります。
事例におけるCさんは機会損失を恐れて損切りをしていますが、通常であれば投資信託は長期にわたって保有した方が黒字化しやすくなります。もちろん損切りをして他の投資で利益を上げるという選択も間違いではありません。
とるべきであった対策
はじめから手数料を名アックに認識して投資計画を立てておくべきでした。そうすることで、そもそもの期待利回りに対して信託手数料が高すぎる点に気づくことができたはずです。
事例4:利回りの高さにのみ注目して失敗
投資信託を購入する上で利回りの高さは重要な判断要素となります。しかし利回りが高いということは一般的にリスクも高いということを理解しておく必要があります。
事例
Dさんは20年かけて老後の資金を貯めていこうとする中で、利回り20%というブラジル株式特化型の投資信託を発見しました。その他の投資信託の利回りが6%程度であるのに対して、20%は非常に魅力的です。そこでDさんは多少のリスクを抱えても仕方がないと安易に判断し、その投資信託を購入しました。
その結果、ブラジルに大きな財政危機が起きてDさんが購入したファンドは一夜にして潰れてしまいました。結果、Bさんには多額の損失が発生し、老後資金を貯めるという目標の実現が遠のきました。
失敗原因
失敗原因は以下の2つです。
- 過度に高い利回りはそれだけ高いリスクをはらんでいるという点を安易に考えたこと
- 20年をかける前提の長期投資であるにもかかわらず、ハイリスクハイリターンのものを選んだこと
そもそも投資信託の利回りは投資先の信用力(貸したお金を返すことの確実性)と大きく関係しています。つまり信用力が高ければ高い利回りを設定せずとも、安全な資産運用のためにお金を貸してくれる相手を見つけることができるのです。
一方で信用力が低い場合は、利回りを高めてメリットを強調しなければ誰もお金を貸してくれません。これが利回りという数値に表れるリスクの高さなのです。
とるべきであった対策
Dさんはそもそも20年をかけて老後資金を貯めることを目標としていたため、ハイリスクハイリターンの商品に手を出す必要はありませんでした。しかし、「利回り20%」という数字の魅力に抗うことができなかったのです。100万円の元本を投入して、毎年20万円の分配金を得られるという状況は確かに魅力的です。
しかしその裏には一夜にしてファンドが消えるほどのリスクが潜んでいるということを見抜ける知識を持つべきでした。それがあったならば、Dさんは利回りが低くともローリスクの投資信託を購入して20年かけてコツコツと資産を増やすことができたはずです。
事例5:テーマ型ファンドを買って失敗
投資信託にも流行り廃りがあります。そういった投資信託はテーマ型ファンドと呼ばれることがあります。昨今であれば、バイオエネルギー、人工知能および仮想通貨などは人気の出るファンドです。しかしテーマ型ファンドはブームが終わると急速に価値を落とすリスクがあるのです。
事例
Eさんは昨今の流行を受けて仮想通貨特化型の投資信託を購入しました。自ら仮想通貨で投資をすることは難しいですが、プロに任せれば大きな利益を得られると考えたのです。Eさんが購入を決めた当初はそもそも仮想通貨の投資信託人気が過熱しており、購入価格自体も高くなりました。
しかしEさんは今後仮想通貨は世界共通の通貨になると信じていたのです。その後、国内および海外で仮想通貨流出のアクシデントが続き、Eさんの購入した投資信託の価値は大きく下がりました。
失敗原因
テーマ型ファンドの息の短さを適切に見抜くことができなかった点が失敗原因です。特に仮想通貨のような一大ブームを作った金融商品に関する投資信託はブームが短くなる傾向があるため、短期で売り抜ける算段を持つことができない場合は危険です。
長期保有しても購入価格を取り戻すほどの利益を得ることができない恐れがあるためです。
とるべきであった対策
Eさんが仮想通貨の投資信託を購入するのであれば、最終的にどのタイミングでいくらで売却できるかまで検討しておくべきでした。それをせず、適当に保有して利益を得ようと考えた点が大きなミスです。そもそも購入時点で価格が高騰していたため、確実に売り抜ける算段をもってのみ購入すべきだったといえるでしょう。
過去にはインターネット、環境問題、SNSといったテーマ型ファンドも大きく流行りました。そういったものを例として、価格の推移を調査しておくと良かったでしょう。
事例6:生活資金を投資して失敗
投資は余剰資金で行うのが鉄則です。それをせず、生活資金まで投資に回してしまうと適切な選択ができなくなるのです。
事例
Fさんは投資資金とは別に確保しておいた生活用の貯金30万円を使って投資信託を購入しました。購入後1年間は安定した運用ができていたのですが、1年後Fさんは突然の病気で長期入院をしなければならなくなったのです。
そして、入院のためにまとまったお金が必要となりました。生活用の貯金まで投資に回して投資規模の拡大を進めていたFさんは急遽投資信託を売却します。最終的に手数料なども含めて赤字を出すことになりました。
失敗原因
投資は余剰資金で行うという鉄則を破ったことです。事例のように生活資金および生活のために必要な最低限の貯金にまで手を付けてしまうと、突然のアクシデントによって金融商品を売却しなければならなくなります。長期保有を前提とした投資信託などは短期で売却することで、手数料が利益を上回ってしまう恐れがあるのです。
また生活資金を使って行った投資で損失を出すと、それを取り返すことに躍起になり冷静な判断ができなくなる恐れもあります。くれぐれも投資は余剰資金のみで行いましょう。
とるべきであった対策
生活資金には絶対に手を付けないという認識を持っておくべきでした。それには生活資金に手を付けるリスクを知ることが役立ちます。投資で利益を得ることよりも、迅速に投資規模を拡大することよりも、まずは安定した生活を送ることのできる環境を守ることが第一です。
失敗例から抽出できる共通要因
ここまで6つの失敗例をみてきました。どれも投資信託初心者に起こり得る典型的なものです。ここでは失敗例に共通する要素を抽出してみましょう。そうすることで、避けるべき状況を知ることができます。
自分で商品を選んでいない
一部の失敗例では、投資家自ら投資信託を選ばずに、営業マンの勧めやランキングを銘柄選択の根拠としてしまっています。こういった他人任せの態度は大きなリスクに繋がるのです。
前述したとおり営業マンが勧めるものは「金融機関が売りたい銘柄」であって、必ずしも「投資家の利益になる銘柄」ではありません。それこそ営業マンに一定のノルマが課されている場合もあるでしょう。そのような中で営業マンが誠実に投資家に最も適した銘柄を勧めるということは期待できないのです。
投資信託を購入する場合は自らリスクと利益を調査していきましょう。
投資に関する知識が不足している
投資信託は資産運用自体はプロに任せることができますが、銘柄選定は投資家にかかっています。そのため投資信託を利用する場合であっても広く投資に関する知識を持っておくべきなのです。むしろ運用先が幅広い投資信託だからこそ投資全般についての広い知識が求められます。
このようにして投資についての知識を深めていくことが、リスクの高い銘柄を避けて安定した利益を生むことに繋がるのです。上述した事例では、投資初心者が自らの知識不足ゆえに選定を誤る場合が多くありました。
必要経費を理解していない
投資には必ず経費が発生します。不動産の現物を所有してい行う投資と比較すると、確かに投資信託は経費が目立ちません。しかし上述した信託報酬は投資信託を保有している限り定期的に支払いが必要になるものです。
これらを理解していないと、投資信託であっても経費を原因として赤字が起こる恐れがあります。特に短期で売買をしていますと、購入時点と売却時点で発生する費用が全体に大きな影響を及ぼします。
長期的な視野を持てていない
投資信託であっても、購入したものを「どの時点でいくらで売却するか」といった出口戦略を描く必要があります。また先ほども触れたとおり投資信託は購入時点と売却時点に特定の費用が発生します。そのためある程度は長期にわたって保有した方が全体を黒字化しやすいのです。
もちろん購入から半年後に銘柄の価格が倍になっているような場合は、短期で売り抜けて利益を確定させても構いません。しかしそういった事態は稀であるため、投資信託を購入する場合は原則として長期的に保有することを前提とすべきです。
リスクヘッジができていない
投資信託はあなたの資産が実質的に複数の投資先に分散されるため、一つの銘柄を購入した場合であっても一定の分散投資の効果を得ることができます。しかしテーマ型ファンドを購入するような場合は、業界全体が廃れることによりファンドに大きなリスクが発生します。
こういった場合があるため、投資信託を購入する場合であってもあなたなりのリスクコントロールが必須となります。リスクを回避する手段としては分散投資が最も効果的です。つまりあなたの資産の全額を一つの投資信託銘柄に投入することは絶対に避けて、複数銘柄もしくは他の投資手法に分散させていくのです。
またリスクヘッジの観点では生活資金を十分に確保しておくことにも大きな意味があります。前述した事例では生活資金に手を付けたことにより投資信託を短期で売却しなければならず、それが最終的な損失を生んでいました。
特に投資初心者の場合は、資産運用規模も小さくなるため生活資金を労働で稼ぐメリットは大きいです。そして余剰資金のみを投資に回すのです。結果、余剰資金が底をついても、また労働で生活資金を確保しつつ余剰資金を貯めていくことができます。
投資信託で失敗しないための対策
投資信託で失敗する場合に共通する要因を理解したところで、ここからは具体的に失敗を避けるための対策をみていきましょう。
交付目論見書を熟読
はじめに投資信託を購入する際に目にする「交付目論見書」を徹底的に読み込むことが失敗を回避するために最重要です。交付目論見書とは投資信託の説明書であり、そこには信託の概要から手数料まで投資家に公開されている情報の全てが詰まっています。
つまり交付目論見書を読むことで、あなたがこれから何に投資をしようとしているのかを掴むことができるのです。交付目論見書は投資信託を販売している金融機関から入手することができます。
どんなに魅力的と思える投資信託があっても購入を即決せず、まずは交付目論見書にある情報からあなたなりに投資計画を立ててみてください。折る程度のリスクを織り込んだうえで、黒字となりそうと判断してはじめて投資信託を購入するのです。
損切りのルールを設定する
投資信託は全てが成功するわけではありません。購入時には十分な勝算を見込むことができた銘柄も時の経過により旗色が悪くなることがあります。そのようなとき、人には以下のような心理が生まれます。
「ここまで信託報酬を支払い、保有し続けてきた。ここで売却してしまうと、これまで支払った信託報酬が無駄になってしまう。赤字を作るために報酬を支払っていたなんて許せない。だから、このまま保有し続けて価値が回復するのを待とう」
これはサンクコスト効果と言われている、人に共通する心理現象です。つまり損を確定させることを恐れて、今後もずるずると含み損を膨らませてしまうのです。
こういったバイアスのかかった心理によるネガティブな影響を回避するには、あなたなりの損切りルールを定めて、それに機械的に従うことがお勧めです。それこそ「売買価格が購入時の70%となった時点で売る」と決めておくのです。
含み損を抱えた投資信託は売却することで損失額を確定させることができます。そして損失額が確定するということは、それ以上の損失が発生しないということなのです。損切りは冷静に機械的に行いましょう。
短期で次々とファンドを売買しない
上場されていない投資信託は値動きが小さく、購入時と売却時に特定の手数料が発生するため、短期で売買を繰り返すことに向いていません。例えば上場株式であればリアルタイムな値動きがあり、売却手数料も低いためデイトレードができます。
投資信託はそういった運用には向かず、原則としては長期にわたって保有して利益を積み重ねていくものなのです。そのため短期売買のために購入しても多くの場合は損失に繋がるだけです。
投資をする際に注意すべきポイント
ここまで投資信託についてみてきました。投資信託で失敗しないための方法が理解できたでしょうか。ここからは投資全般に関する知識をおさらいしていきます。投資信託であっても、あなたの資産が何かしらの投資手法によって運用されることには違いがありません。
そのため投資全般についての知識を定着させておくことは、投資信託のリスクを回避することに繋がるのです。
投資はリスク管理
全ての投資にはリスクがついてまわります。そのため投資においてはリスクコントロールが最も重要なのです。これができていないと、積み上げた利益が一瞬にして消滅してしまいます。つまり利益を積む→リスクの顕在化で消滅、→利益を積む→リスクの顕在化で消滅…を繰り返すのです。
これではいつまでたっても資産を増やすことはできません。それどころかローンや信用取引に手を出していると、自己破産の恐れすら出てしまいます。投資とはリスク管理なのだと頭に刻み付けておきましょう。
もちろん投資信託であってもリスクコントロールが重要である点は変わりません。
投資は長期的に行う
投資における一攫千金は多くの人が夢に見ますが、それは宝くじに当たることを夢見ているのと同じです。短期的に巨額の利益を得たような体験談は、万人に共通して起こるものではありません。
そのため投資で成功するためにはそういった希望的観測を捨てる必要があります。その上で長期にわたって戦略的に利益を積み重ねることで資産を増やすことができるのです。
利回りは実質利回りを使う
投資には様々な利回りがありますが、あなたが投資計画を立てるために使うべきは実質利回りです。つまり経費の支払いを織り込んだ上で利益を出していくことができるか否かを検討していくのです。
表面利回りは金融商品同士を素早く比較する際に有効ですが、経費が織り込まれていない以上、実際の投資家計画を立てる際には使うべきではありません。これは投資信託でも同じであり、必ず最終的な売却時の手数料もふまえて投資計画を立てましょう。
分散投資は基本中の基本
リスク管理との関係で、最も効果があるのが分散投資です。分散投資には以下の2つのパターンがあります。
- 同一の投資手法に資産を集中させない
- 同一の投資手法内であっても、同一の銘柄に資産を集中させない
この双方を実現することができると、リスクをより回避することができます。そもそも投資信託は少ない金額から分散投資が可能な金融商品ですが、それでもなお複数の銘柄を持っておく必要はあるでしょう。また資産の全てを投資信託に投入せず、一部を株式投資、一部を国債…と振り分けておくことも重要です。
特にテーマ型ファンドに投資をする際は、リスクの高さを補うために国債などのローリスク金融商品に資産を分散させておくと良いでしょう。
このように分散投資はリスクを軽減しますが、一方でデメリットも存在します。それは分散させすぎると、リターンを得にくくなるというものです。簡単い説明すると、あなたが1,000万円を1,000の銘柄の株式に分散投資している場合を想像してください。
その中の一つの株式が業績絶好調により大きく値上がりしても、あなたはそのリターンを1万円との関係で受け取ることができるのみです。一方で1,000万円を10の株式に分散投資しているだけであれば先ほどの100倍のリターンを得ることができます。
このように分散投資は可能な限り分散させればよいというものではなく、リスクを一定以下にする最低限の形で行うのが良いのです。そうすることで利益とリスクのバランスをとることができます。
金融商品を購入する前の調査が重要
投資信託では購入前に交付目論見書を徹底的に読むことが重要と説明しましたが、こういった購入前の調査は全ての金融商品について大切です。それこそ分散投資の一環として投資信託以外の金融商品を購入するのであれば、それについて綿密な調査を実行してください。
それを疎かにすると、投資信託で得た利益が他の金融商品の損失でかき消されてしまうことになりかねません。分散投資は一つひとつの投資手法および金融商品について綿密な調査をした上で実行していく必要があるのです。
まとめ
今回は投資信託に失敗する典型例を解説しました。共通する原因を抜き出して理解することで、あなたは失敗を回避できるはずです。
以下は今回の記事のポイントです。
- 他人任せで投資信託を選ぶことは非常に危険
- 投資信託は手数料が高い
- 投資信託購入時は交付目論見書を徹底的に読む必要性あり
- プロに運用を任せる投資信託であっても、投資全般に対する知識が必要
- ルールを決めて、機械的に損切りを行おう
- 分散投資は金融商品の調査を綿密に行った上で実現させる
投資信託は資産運用をプロに任せるため一見すると投資家にとっては非常に楽な金融商品と思われます。しかし実際の銘柄を選定する際には、あなたにも一定の投資の知識が必要となります。それがないと、人の勧めるままに不適切なものを購入してしまう恐れがあるためです。
結局、投資背成功するために楽な方法はなく、自己学習は必須ということです。その上で適切な事前調査と分散投資を行い、あなたも投資信託を用いて長期的な資産形成を実現させてください。