【徹底比較】Jリートと投資信託の決定的な5つの違い
By Oh!Ya編集部
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投資の中でもJリートと投資信託は、比較的手軽に始められる上に、利回りも高い金融商品といえるでしょう。その点に魅力を感じて、Jリートか投資信託のどちらかを始めようと思っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、初心者の方でも分かるように、Jリートと投資信託の概要、および投資をする上で重要な5つの項目で比較しています。この記事を読むことで、それぞれの投資にどのような特徴があるのか?自分に合っている投資方法は何か?が分かるはずです。
目次
Jリートと投資信託の概要を知ろう
Jリートと投資信託を比較する前に、そもそもこの2つの投資に関しての概要を解説します。それぞれ、どのように収益を上げるのか?売買するには何をすれば良いか?などを解説していきます。
Jリートで収益を上げる方法
まず、Jリートに関しては以下を解説します。
- Jリートとは何か?
- Jリートは証券会社で売買可能
Jリートとは何か?
Jリートとは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、その不動産の賃料収入から得た利益を投資家に分配する金融商品です。その分配金がJリートから得るメイン収益になります。
Jリートは自分の資金を第三者に委託して運用してもらうので、投資信託の一種になります。そもそも、JリートはJ-REITと書きますが、これは「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」にJapanのJを付けた言葉です。
Jリートは証券会社で売買可能
Jリートは株式と同じように上場しているので、株式と同じように証券会社を通じて売買できます。既に証券会社に口座を開設した株式投資をしたことがある人は、その口座を通じてJリートを取得することが可能です。
たとえば、福岡リート投資法人(福岡リート)というJリートがあります。この福岡リートは、2018年12月16日時点で1口171,700円(基準価格)です。そして、2019年2月期に予定している分配金は1口3,600円になります。
仮に、10口取得(1,717,000円)して、予定通りの分配金であれば36,000円の分配金を取得することができるということです。また、リート価格も株式と同じように上下するので、福岡リートの価格が上昇したところで売却すれば、分配金だけでなく売却益も得ることができます。
投資信託で収益を上げる方法
次に、投資信託に関して以下を解説します。
- 投資信託とは何か?
- 投資信託の収益も分配金
- 投資信託は解約も可能
投資信託とは何か?
投資信託とは、ファンドなどの資産運用会社に、自分の資産運用を委託することです。投資信託という商品を取得することで、そのファンド(委託先)にお金を預けているという扱いになります。
委託先であるファンドは、投資家から集めた資金を利用して、株式や債券、ときにはREITなどを組み込み資産運用します。
投資信託の種類
投資信託には大きく分けて以下3種類があります。
- 上場投資信託
- 非上場で証券会社を通じて売買できる投資信託
- 非上場で個別に売買する投資信託
上場投資信託とはETFと呼ばれるものであり、Jリートや株式と同じく証券会社を通じて売買できます。後は非上場の投資信託ですが、その中でも証券会社を通じて売買できるタイプと、個別にファンドに問い合わせて売買するタイプがあります。
証券会社を通じて売買できる非上場の商品は、上場しているわけではないので、株式や上場投資信託のように瞬時に決済することはできません。証券会社を通じてそれぞれのファンドに問い合わせ、投資信託を売買するというイメージです。
投資信託の収益も分配金
投資信託のメイン収益も、Jリートとおなじく分配金です。Jリートは家賃収入を還元されていましたが、投資信託の場合には上述のようにあらゆる金融商品からの収益を投資家へ還元します。言い換えると、投資信託の中でも、現物不動産のみを対象にする商品をJリートといっています。
投資信託にも売却益はある
投資信託もJリートと同様、分配金だけでなく売却益もあります。投資信託にも運用成績(需給バランス)によって変動する「基準価格」というものがあり、これはJリートの基準価格と同じく株式でいう株価のようなものです。
上場投資信託であれば、Jリートや株式と同じく証券市場で売買可能です。一方、非上場の投資信託は証券会社を通じて個別に解約(≒売却)するか、ファンドに直接問い合わせて解約(≒売却)します。解約時に返金される金額は、運用成績によって変わる基準価格によって変わります。
Jリート VS 投資信託の比較表
次に、Jリートと投資信託を以下の項目で比較していきましょう。
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
利回り | ○ | △~◎(商品による) |
レバレッジ効果 | ○ | ×(なし) |
流動性 | ◎ | △ |
手間 | ○ | ◎ |
始めやすさ | ◎ | △~○(商品による) |
※横スクロールできます。
なお、上述のように投資信託は上場投資信託と非上場投資信託に分かれます。上場投資信託はETFと呼ばれ、イメージとしては比較リスクの低い株式投資のようなものです。そのため、今回紹介する投資信託からは除外し、非上場投資信託をピックアップしています。
上場投資信託に関しては、個別に「ETF」として学んだ方が良いでしょう。それだけ、上場投資信託と非上場投資信託は性質が異なります。
1.利回りの比較
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
利回り | ○ | △~◎(商品による) |
※横スクロールできます。
まず、利回りを比較します。利回りはJリートも投資信託もそれぞれの商品ごとに異なりますが、総合的に見て利回りは投資信託の方が高いことが多いでしょう。
Jリートの平均利回りは4%
Jリートの平均利回りは4%※ですので、仮にJリートを300万円分取得すれば、年間で12万円の分配金がもらえます。また、Jリートの経費は手数料くらいなので非常に安価です。
上述したように、Jリートは上場しているので証券会社に手数料を支払って売買します。たとえば、楽天証券の手数料は100万円で525円(約0.05%)※です。そのため、よほど頻繁に取引しない限りは、手数料はあまり気にせずに売買できます。
投資信託の利回りは商品による
投資信託の利回りは商品によって全然違います。たとえば、マネックス証券が取り扱っている投資信託をピックアップしてみると、上位50銘柄の利回り平均で6.45%です。
もちろん、Jリートの方が利回りは高いこともありますが、商品ごとに比較すると、利回りが高い商品は投資信託の方が多いでしょう。
経費を加味する
利回りの計算方法はたくさんありますが、前項までの利回りは「分配金÷基準価格」で計算しています。しかし、本来は「(分配金-経費)÷基準価格」で考えないといけません。上述したようにJリートの経費は大したことがありませんが、投資信託には以下の経費がかかります。
- 販売手数料
- 信託報酬
- 監査報酬
- 売買委託手数料
- 換金手数料
この費用を加味すると、Jリートよりも利回りが落ちる投資信託の商品が増えてくるでしょう。上記の経費は投資信託の商品によって異なるので、取得するときは良く確認する必要があります。
とはいえ、投資信託には利回り10%以上の商品もあるので、そのような高利回り商品は上記の経費を差し引いてもJリートより利回りが高いケースは多いでしょう。いずれにしろ、上記を加味した利回りを計算してから商品を選ぶ必要があります。
2.レバレッジ効果の比較
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
レバレッジ効果 | ○ | ×(なし) |
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前項の収益性に関連することですが、レバレッジ効果について解説します。レバレッジ効果とは、「小さい資金で大きな資産を取得する」ということです。結論からいうと、Jリートは3倍程度のレバレッジを期待でき、投資信託はレバレッジ効果がありません。
Jリートは信用取引が可能
Jリートは、証券会社に資金を借りて売買できる「信用取引」が利用できます。レバレッジは証券会社によって異なりますが、一般的には自己資金の3倍ほどの取引が可能です。ただし、信用取引は資金を借りてJリートを取得するので、厳密にはJリートの保有者は証券会社になります。
そのため、信用取引でJリートを取得しても、正式にJリートを保有しているわけではないので、分配金は調整額を加えられて投資家に還元されます。調整額は、通常の分配金から所得税の源泉徴収額である15.315%を差し引いた金額(分配金の84.865%)です。
さらに、信用取引だと証券会社に資金を借りているため、証券会社に対して「取引金額×年利3%」ほどの利子もかかってくるので、長期で保有する場合には信用取引はあまり向きません。Jリートを信用取引で売買するときは、短中期のJリート売買益を狙った場合でしょう。
投資信託は基本的にレバレッジ効果なし
投資信託は基本的にレバレッジ効果がありません。今回除外した上場投資信託は、Jリートと同じく証券会社から資金を借りる信用取引の利用できます。しかし、今回ピックアップしている非上場投資信託に限っていえば、レバレッジ効果はないので自己資金のみで投資することになります。
レバレッジ効果による収益
少々脱線しますが、投資の収益についてはレバレッジ効果の収益を理解しておくべきです。たとえば、レバレッジ効果の高い投資の1つに不動産投資があり、不動産投資だと融資を利用して自己資金の10倍程度の資産を取得できます。
仮に、500万円投資した場合の収益額を比較してみましょう。
- Jリート:500万円×4%=20万円
- 投資信託:500万円×6%=30万円
- 不動産投資:500万円×10(融資)×6%=300万円
もちろん、融資を利用することでローン支払い額も発生しますし、不動産投資は物件運営の経費もかかります。そのため、上記の金額がまるまる利益になるわけではありませんが、それでもレバレッジ効果によるメリットは分かるはずです。
3.流動性の比較
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
流動性 | ◎ | △ |
※横スクロールできます。
次に流動性を比較します。流動性とは「商品の売りやすさ」や「現金化のスピード」などのことです。Jリートの流動性は非常に高く、投資信託の流動性は良いとはいえません。
Jリートの流動性は非常に高い
Jリートは上場しているので、証券市場が開いている平日の日中であればいつでも売買手続きできます。もちろん、そのときの基準価格によって売買価格は異なりますが、売却できる・現金化できるという意味では即時にできます。
たとえば、あるJリートの銘柄の基準価格が18万円だったとします。そして、証券会社の板情報(取引情報)を見ると、17万9,000円に10口の買い注文が出ていたとしましょう。この場合、すぐに「成り行き売り注文」すれば、最大で17万9,000円×10口の売却が瞬時にできます。
投資信託は制限もある
投資信託の場合、流動性に関しては以下を理解しておく必要があります。
- 現金化する方法・期間は異なる
- 現金化できないタイミングもある
現金化する方法・期間は異なる
投資信託の種類によって現金化する方法は異なります。上述したように、証券会社を通じて取得する商品は、証券会社を通じて解約手続きをします。一方、ファンドから直接取得したものは、ファンドに直接解約手続きを申し入れます。
解約方法も、メールや電話という連絡方法の違いもありますし、連絡してから現金化できるまでの期間も異なります。3営業日ほどで解約でき基準価格で換算した現金が返金されることもありますが、1~2週間ほど時間がかかる場合もあります。
そのため、投資信託を選ぶときには、利回りなどだけでなく、解約方法や換金するまでの期間も調べる必要があります。
現金化できないタイミングもある
投資信託には、クローズ期間という解約(現金化)できない期間もあります。というのも、ファンドは多くの投資家から資金を集め、その資金を利用して色々な金融商品を取得しているからです。つまり、投資家の都合で返金に応じてしまうと、想定していた運用ができなくなります。
そうなるとほかの投資家に迷惑がかかることになるので、クローズ期間を設けている投資信託もあります。投資信託を選ぶときはこの点も確認するようにしましょう。
4.手間の比較
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
手間 | ○ | ◎ |
※横スクロールできます。
次に、投資による手間を比較します。どちらも比較的手間はかかりませんが、投資信託の方がより手間がかからないといえるでしょう。
Jリートは投資信託よりは手間がかかる
Jリートにかかる手間とは以下が挙げられます。
- Jリートの種類を選ぶ
- 銘柄の入れ替え
Jリートの種類を選ぶ
Jリートにも色々種類があり、たとえば以下のようなJリートがあります。
- オフィスビル特化型
- 住宅特化型
- 商業施設特化型
- バランス型
特化型は、それぞれの不動産に特化します。たとえば、オフィスビル特化型であれば、オフィスビルを複数取得して運用するということです。一方、バランス型は色々な不動産種類を組み合わせることです。このように、Jリートは銘柄ごとの特色がハッキリしているので、株式などよりは選びやすいといえます。
また、2018年12月時点で、Jリートの銘柄数は61です。こちらも、たとえば株式では日本の証券市場で3,600を超える銘柄があるので、この点からもJリートは選びやすいといえるでしょう。
銘柄の入れ替え
上述したように、Jリートは投資信託より分配利回りが低い銘柄が多いです。また、Jリートは売買しやすいというメリットもありました。そのため、Jリート保有者は、分配金をメイン収益に置きながら、売買益をサブの収益として狙う投資家もいます。
そうなると、銘柄の入れ替えが発生するため、前項の「Jリート種類を選ぶ」という行為を何回も繰り返すことになります。投資スタイルにもよりますが、銘柄数が少ないとはいえ、Jリートの概要をチェックする必要がるので手間といえます。
投資信託は基本的に放っておく
投資信託の手間は、投資信託を選ぶときです。ただ、投資信託も以下のような種類に分類されます。
- 国内株式投資型
- 海外株式投資型
- 国内債券投資型
- 海外債券投資型
- バランス型(上記を組み合わせる)
- テーマ型(新興国やバイオなどテーマを絞る)
また、投資信託はリターンとリスクが概ね連動しているので、利回りの高さによってリスクも分かりやすいです。つまり、利回りの数値と、上記のようにどの金融商品を中心に運用するかチェックして、投資信託を選ぶという流れです。
このように、比較的商品を選びやすいですし、投資信託は基本的に資産を信託先に預けて、その資産を運用してもらうことで収益を上げるので売買(解約)は頻繁に行いません。そのため、商品を選んだら後は放っておけば良いので、手間は非常に小さいといえます。
5.始めやすさの比較
項目 | Jリート | 投資信託 |
---|---|---|
始めやすさ | ◎ | △~○(商品による) |
※横スクロールできます。
さいごに、「始めやすさ」の比較です。2つの投資を比較すると、Jリートの方が始めやすいといえます。
Jリートはすぐに始められる
繰り返しますが、Jリートは上場されているので、証券会社の口座さえつくればすぐに始められます。証券会社の口座は、身分証明書の提出などはありますが、数日~1週間程度で開設できますし、手続きも簡単です。
証券会社の口座を開設したら、その口座に現金を入金すれば、いつでもJリートを売買できる状態になります。
投資信託は少々手間がかかる
投資信託の場合で、特にファンドに直接問い合わせて口座を作る場合には少々手間がかかります。ファンドによっては、資料請求をしてからではないと口座開設を受け付けないケースもあり、ファンドが個別に口座を管理するので1~2週間程度の時間がかかることもあります。
不動産投資との違いを解説
さいごに、Jリートと投資信託と競合されがちな不動産投資との違いを簡単に触れます。そもそもなぜ不動産投資がこの2つの投資と競合するかというと、「収益の種類」に共通点があるからです。
収益はインカムゲイン
いずれの投資も、メイン収益はインカムゲインです。インカムゲインとは、保有している資産から収益を上げることであり、Jリートと投資信託は分配金、不動産投資は家賃収入です。一方、売却益はキャピタルゲインになります。
インカムゲインの場合、比較的収益が安定しやすいという特徴があります。もちろん、Jリートも投資信託も運用状況によって分配金額は左右されますし、不動産投資も空室や家賃下落によって収益は変わります。しかし、たとえば株式投資でいう「株価の変動」ほど大きなブレはありません。
そのため、この3つの投資は比較的安定して収益が得らえる投資になります。
不動産投資の特徴
不動産投資の特徴は、良い点ではレバレッジ効果があること、悪い点では経費がかかる点です。レバレッジ効果は上述した通りなので割愛しますが、不動産を所有すると以下のような経費がかかります。
- 固定資産税・都市計画税
- 管理会社への手数料
- 賃借人の退去時の補修費用
- 管理費・修繕積立金
これらの経費を差し引いて手元に残る利益を考えます。
それぞれの投資に向いている人
上述した点を踏まえ、それぞれの投資に向いている人は以下です。
- Jリート:安定した分配益を得つつ売買益も得たい
- 投資信託:運用を全てプロに任せたい
- 不動産投資:資産をつくりたい
Jリートは流動性も高く利回りもそこそこ高いので、分配金をもらいつつ売買益でも利益を得たい人に向いています。投資信託は資産運用に手間をかけたくなく、プロ集団に全て任せたい人に向いています。
不動産投資は、月々数万円~10万円ほどの収益をもたらす「資産」をつくりたい人に向いているでしょう。月々10万円以上の収益を生み出す資産をつくるためには、レバレッジ効果がないと厳しいです。
まとめ
このように、Jリートと投資信託は似ている部分もありますが異なる部分もあります。特に、流動性と手数料、そして利回りに関しては大きく違う点といえます。Jリートは上場しているので売買しやすいですし、手数料も比較的安価です。
しかし、投資信託の方が利回りの高い商品が多いです。上述したそれぞれの投資の違いを理解し、自分に合った投資を検討しましょう。