Jリートの指数とは?影響が大きい10銘柄を徹底解説
元本保証の投資は収益額が低すぎるものの、リスクが高い投資は怖い…と思っている人は多いでしょう。そのような方は、比較的低リスクで利回りの高いREITがおすすめです。特に、「REIT指数に影響を与える銘柄」は安定性が高いといわれます。
そこでこの記事では、そもそもREIT指数とは何か?指数に影響の大きい銘柄の特徴は?どんな人に向いているのか?を解説していきます。
目次
指数についての基礎知識
まずは、指数についての基礎知識として、指数とは何か?指数はどのように調べるのか?について解説します。
指数とは?
REITの指数とは、株式投資でいう日経平均株価のようなものです。日経平均株価は、上場銘柄でもメインである225銘柄をピックアップして、その株価の加重平均額(≒平均額)を算出します。
ちなみに、株式投資にはTOPIXという指数もあり、これは東証一部に上場している全銘柄の加重平均額を表しています。
REITの場合は全銘柄
一方、REITの銘柄は全部で62銘柄(2019年3月時点)なので、日経平均株価のように主要銘柄をピックアップしません。つまり、REIT指数は上場されている全REITの加重平均額というわけです。
指数の利用方法
日経平均株価やREIT指数などは、その投資市場全体の先行きを判断するために利用します。REITも株式のように上場しているので、需給バランスによってREIT価格は変動します。
そのため、REIT指数が上昇しているのであれば、REIT市場が全体的に盛り上がっているというわけです。もちろん、現在のREIT指数が上昇トレンドでも将来的には分かりませんが、将来を占う上での判断材料の1つにはなります。
指数の調べ方
REIT指数の調べたは、不動産証券化協会のマーケット概況を見れば分かります。このサイトではREIT指数だけではなく、TOPIXもチェックすることができ、これらの指数は連動することが多いです。
ただ、TOPIXは株価の加重平均であり、REITはREIT価格の加重平均です。つまり、TOPIXは「企業業績」でREITは「不動産市況」という別の軸が評価されるので、完全に一致するわけではありません。
いずれにしろ、REIT投資する際は指数を調べ、REITの全体市況を把握した上で行う必要があります。
指数について詳しく知りたい
前項までで、指数についての基礎的な解説をしました。ただ、指数についてもっと知りたいという方は、以下の記事を確認ください。本記事と合わせて確認することで、一層REIT指数についての理解が深まります。
また、以下の記事でもREIT指数に影響を与える銘柄について解説していますが、本記事では別の観点から同じ銘柄を解説しています。そのため、REITの影響を与える銘柄を検討している人は、2記事読むことで「指数」という言葉だけでなく銘柄への理解度が深まるでしょう。
Jリート指数の基本知識~東証リート指数を左右する10の銘柄~
jリート指数に影響を与える10銘柄の特徴
では、REIT指数に影響を与える10銘柄をピックアップし紹介します。
1.日本ビルファンド投資法人
2.ジャパンリアルエステイト投資法人
3.日本リテールファンド投資法人
4.日本プライムリアルティ投資法人
5.ユナイテッド・アーバン投資法人
6.アドバンス・レジデンス投資法人
7.森トラスト総合リート投資法人
8.フロンティア不動産投資法人
9.野村不動産マスターファンド投資法人
10.オリックス不動産投資法人
今回紹介する要素にREIT価格と利回りがありますが、これは2019年3月27日時点の数字になります。
jリート指数に影響を与える銘柄に投資するメリット
そもそもREIT指数に影響を与える銘柄に投資するメリットは、比較的REIT価格が変動しにくく安定しているという点です。というのも、REIT指数に影響を与えるということは、時価総額(REIT価格×発行済み証券)が大きいということです。
つまり、株式投資でいうとトヨタやUFJ銀行のようなイメージになります。時価総額が大きいということは、発行済み証券が多い、もしくはREIT価格が高いということなので、大量に売り・買いするのは相当な資金がないとできません。
つまり、大量の売りや買い注文が出にくく、REIT価格は比較的安定しやすいため、どちらかというと長期スパンの投資に向いているといえるでしょう。
1.日本ビルファンド投資法人
日本ビルファンド投資法人は、日本最大規模のREITであり以下のような特徴があります。
- 三井不動産がスポンサー
- オフィスビル特化型
- 東京都心を中心に展開
- 71物件で稼働率が99.5%
端的にいうと、オフィスビル特化型のREITの中では安定性が非常に高く、今後も大きな変動は少ない優良銘柄といえるでしょう。
REIT価格と利回りについて
オフィスビルは市況の影響を比較的受けやすいですが、エリアと稼働率を見るとある程度安心できます。現在REIT価格は1口764,000円で2019年6月の分配金予想が10,440円、12月期は10,630円なので、利回りは2.75%といえます。
どんな人に向いている?
日本ビルファンド投資法人は、長期で保有し高利回りではなく安定性を重視する人に向いています。というのも、REITの平均利回りは4%ほどなので、本REITの利回りは決して高くありません。
しかし、上述したように安定性は高いREITなので利回りの変動も小さいと予想されます。そのため、長期で保有し、「ブレが少ない銘柄」としてポートフォリオの1つに組み込んでおけば安心でしょう。もちろん、価格が上昇すれば売却して再投資する選択肢もあります。
2.ジャパンリアルエステイト投資法人
ジャパンリアルエステイト投資法人は、以下のような特徴があります。
- 三菱地所と三井物産が出資
- オフィスビル特価で都心のAクラスビルが中心
- 主要格付け会社の格付けもAクラス
- 入居率99%以上の高水準
ジャパンリアルエステイト投資法人も、前項の日本ビルファンドと同じくらい安定性があります。三菱地所と三井物産という大企業がバックアップしており、主要格付け会社の格付けも良好な評価を得ています。
REIT価格と利回りについて
ジャパンリアルエステイト投資法人のREIT価格は1口660,000円で、分配金は以下の通りです。
- 2019年3月期(第35期):9,550円
- 2019年9月期(第36期):9,620円
つまり、2019年の利回りは2.9%になります。
どんな人に向いている?
ジャパンリアルエステイト投資法人と日本ビルファンド投資法人の特徴は似ています。そのため、安定性を重視する投資家が、ポートフォリオの1つとして取得するのに適したREITです。
同じような性質なので、どちらか1つをポートフォリオに入れて、残りの資金でもう少し高利回り・高リスクの銘柄を組み込むという方法もあります。
3.日本リテールファンド投資法人
日本リテールファンド投資法人は、以下のような特徴があります。
- 三菱商事、UBS AG(スイスの最大級金融グループ)がスポンサー
- 日本初の商業施設特化型
- 99物件を運用して約8,949億円の安定したポートフォリオ
- 東京・関西圏を中心に展開
具体的には、イオンモールやイトーヨーカドーを運営しているREITになります。
REIT価格と利回りについて
日本リテールファンド投資法人のREIT価格は1口225,600円で、34期(2019年)予想は4,430円×2回の予定です。つまり、利回りは3.92%となります。
どんな人に向いている?
商業施設に興味があり、安定して商業施設特化型のREITを取得したい人に向いているREITです。そもそも商業施設特化型は商業施設の業績次第でREIT価格も分配金額も変わりますが、現在はアマゾンなどのECに押されている状況です。
とはいえ、立地次第では将来性があるので、立地の良い場所に店舗のある日本リテールファンド投資法人は比較的安定しているといえるでしょう。
4.日本プライムリアルティ投資法人
日本プライムリアルティ投資法人は、以下のような特徴があります。
- オフィスと商業施設を運用する複合型
- 不動産ディベロッパー東京建物がメインスポンサー
- 東京で80%以上~90%以下の物件を取得するという方針
- 保有物件数62棟
REIT価格と利回りについて
日本プライムリアルティ投資法人のREIT価格は470,500円で、分配金の予想額は以下の通りです。
- 予想分配金(2019年6月期):7,350円
- 予想分配金(2019年12月期):7,380円
つまり、利回りは3.13%となります。
どんな人に向いている?
日本プライムリアルティ投資法人は複合型なので、オフィスと商業のどちらにも興味がありつつ、特化型にリスクを感じる人に向いています。日本プライムリアルティ投資法人は東京オフィス×地方オフィス×都市型商業施設の組み合わせです。
つまり、オフィスビルと商業施設の2軸で展開してリスクヘッジしながらも、エリアを分散させることでさらにリスクヘッジをしているというわけです。この辺りの戦略に賛同するかどうかも、REITを選ぶ基準になります。
5.ユナイテッド・アーバン投資法人
ユナイテッド・アーバン投資法人は、以下のような特徴があります。
- 総合商社の丸紅がスポンサー
- 資産規模は6,000億円超
- 商業、オフィス、ホテル、住宅などの総合型
REIT価格と利回りについて
ユナイテッド・アーバン投資法人のREIT価格は178,600円で、分配金予想は以下の通りです。
- 第31期(2019年5月期):3,550円
- 第32期(2019年11月期):3,400円
つまり、利回りは3.89%になります。
どんな人に向いている?
ユナイテッド・アーバン投資法人は、取得費用を抑えたい人、そしてリスク分散させたい人に向いています。ユナイテッド・アーバン投資法人は比較的REIT価格が低いので取得しやすいです。
また、オフィスビル33%、商業施設30.7%、ホテル20.9%、住宅7.5%、その他7.9%という総合型です。
さらに、首都圏62.0%(東京都心6区:21.2% 東京23区:8.6% 首都圏地域:32.2%)地方:38.0%(大阪圏16.4%、名古屋圏3.4%、その他18.2%)とエリアを分散させることでもリスクヘッジしています。
6.アドバンス・レジデンス投資法人
アドバンス・レジデンス投資法人は、以下のような特徴があります。
- 伊藤忠商事がメインスポンサー
- 住宅特化型REIT
- ポートフォリオの70%を東京23区に投資
- 保有賃貸マンションは「レジティア」としてブランド展開
REIT価格と利回りについて
アドバンス・レジデンス投資法人のREIT価格は432,000円で、2019年の分配金は以下の通りです。
- 2019年1月期(実績):5,422 円
- 2019年7月期(予想):5,379 円
このように、利回りは2.5%になります。
どんな人に向いている?
アドバンス・レジデンス投資法人は、住宅特化型REITが欲しい…つまり東京都内の住宅需要は今後も良好で、将来的にも収益を上げ続けられると予想している人に向いています。
というのも、アドバンス・レジデンス投資法人は物件数263棟、保有賃貸戸数2万戸以上であり、これは日本最大級の住宅特化型REITだからです。ただ、安定しているものの、前項のように利回りは決して高くないので、高利回りを求めるならほかの住宅特化型REITの方が良いでしょう。
7.森トラスト総合リート投資法人
森トラスト総合リート投資法人は、以下のような特徴があります。
- オフィスビルや商業施設、住宅・ホテルなどの総合型
- 森トラストグループがスポンサー
- 東京都心部に60%~80%を展開
- 保有物件数は15棟
REIT価格と利回りについて
森トラスト総合リート投資法人のREIT価格は175,700円で、2019年の分配金は2期とも3,650 円の予想です。つまり、2019年の利回りは4,15%になります。
どんな人に向いている?
森トラスト総合リート投資法人は、ある程度利回りを確保したい、かつ安定性を求める人に向いているREITです。ただ、総合型REITとはいえオフィスビル71.2%、商業施設22%、住宅・ホテル6.8%なので、オフィスビル中心の総合型になります。
そのため、将来的にオフィスビルの賃貸需要を見込めると予想していることが、このREITを取得する条件といえます。
8.フロンティア不動産投資法人
フロンティア不動産投資法人は、以下のような特徴があります。
- 三井不動産がスポンサー
- 商業施設特化型REIT
- 都心型商業施設および都心近郊型商業施設を展開
- 保有物件は35棟
REIT価格と利回りについて
フロンティア不動産投資法人のREIT価格は473,500円で、分配金は以下の通りです。
- 第29期(2018年12月期)実績:10,282円/口
- 第30期(2019年6月期)予想:10,490円/口
つまり、このREITの利回りは、4.39%です。
どんな人に向いている?
フロンティア不動産投資法人は、上述した日本リテールファンド投資法人と同じく、商業施設に将来性を感じている人が取得すべきREITです。
ただ、同じ商業施設特化型REITでも、保有物件のエリア・種類などを比較してみると良いでしょう。商業施設といっても、アウトレットやGMS(総合スーパー)など種類はたくさんあります。
また、フロンティア不動産投資法人は10年超の長期契約が90.2%、平均残契約期間が平均10.2年です。つまり、長期の契約を多く結び残存期間が長いので、今後も安定して継続的に収入を得やすいというわけです。
9.野村不動産マスターファンド投資法人
野村不動産マスターファンド投資法人は、以下のような特徴があります。
- 野村不動産グループがスポンサー
- 日本最大級の総合型REIT
- 271物件、9,225億円のポートフォリオ
- 稼働率99.3%の高水準
REIT価格と利回りについて
野村不動産マスターファンド投資法人のREIT価格は161,800円で、分配金予想は以下の通りです。
- 2019年2月期:3,111円
- 2019年8月期:3,166円
このように、利回りは3.88%になります。
どんな人に向いている?
野村不動産マスターファンド投資法人は、ミドルリスク・ミドルリターンを狙う方に向いています。というのも、野村不動産マスターファンド投資法人がミドルリスク・ミドルリターンを宣言しており、景気感応度が高いセクターと低いセクターを組み合わせているのが特徴といっているからです。
現に、ポートフォリオは以下の組み合わせです。
- 景気変動に左右されない収益の安定化が見込めるセクター
- 景気変動による収益の上昇が期待できるセクター
そのため、「総合型=低リスクを期待」する方は、上述したユナイテッド・アーバン投資法人の方が適しているでしょう。
10.オリックス不動産投資法人
オリックス不動産投資法人は、以下のような特徴があります。
- オリックスグループがスポンサー
- 日本初の総合型REIT(オフィスビルの比率が高め)
- 保有棟数111棟
REIT価格と利回りについて
オリックス不動産投資法人のREIT価格は196,500で、分配金予想は以下の通りです。
- 2019年2月期(第34期):3,350円
- 2019年8月期(第35期):3,430円
このように、利回りは3.45%です。
どんな人に向いている?
オリックス不動産投資法人は森トラスト総合リート投資法人と似ている総合型REITです。というのも、森トラスト総合リート投資法人はオフィスビルが7割強のオフィスビル中心型のREITでした。また、オリックス不動産投資法人もオフィスビル53.7%と比率は高めです。
そのため、オフィスビルに興味があるものの特化型はリスクがある…かといって森トラストはオフィスビルのシェアが高い…と思う人に向いてます。一方、不動産種類をもっと分散させたいのであれば、同じ総合型REITの、上述したユナイテッド・アーバン投資法人がおすすめです。
資産をつくるなら不動産投資の方が良い理由
さて、ここまでREIT指数に影響の大きい銘柄を紹介してきましたが、上述したように比較的安定性の高いREITです。一方で分配利回りは低くなりがちなので、資産を作るという観点では不動産投資の方が向いているといえるでしょう。
その理由は以下の点です。
- レバレッジ効果の高さ
- 収益性の高さ
- 事業規模拡大のしやすさ
- jリートと併用もあり
レバレッジ効果の高さ
最も大きな理由は、不動産投資はローンを利用できることによりレバレッジ効果は高いからです。というのも、同じ利回りだとしたら「保有資産額」によって収益が異なります。REITは信用取引を利用できますが、そのレバレッジ効果はせいぜい3倍程度です。
一方、不動産投資の場合は10倍程度のレバレッジ効果を得ることもでき、これは投資の中でも非常に高い水準といえるでしょう。
収益性の高さ
不動産投資は、レバレッジ効果が高いが故に収益性も高いです。上述したように、REITの平均利回りは4%であり、不動産投資は一般的に2.5%~3%(ローン返済額も加味した返済後利回り)程度の利回りです。
ただ、前項のレバレッジ効果の違いによって、たとえば投資金額400万円でも収益額は以下の違いになります。
- REIT:400万円×レバレッジ3倍×利回り4%=年間48万円
- 不動産投資:400万円×レバレッジ10倍×利回り3%=年間120万円
このように、安定性した資産づくりを実現するためには、レバレッジ効果の高い不動産投資が適しているというわけです。
事業規模拡大のしやすさ
また、不動産投資の場合は事業規模の拡大もしやすいです。といのうのも、物件運営に成功して、ローンをきちんと返済できれば実績ができ、金融機関から次の物件の融資を受けやすくなるのです。
このように、実績を出して融資を再度引っ張り、新たに物件を購入する…というような良いルーティーンになり、結果的に事業規模を拡大しやすいの点も不動産投資の特徴です。
jリートと併用もあり
このように、収益性が高く事業拡大もしやすいのが不動産投資のメリットですが、複数の物件を取得するのは費用がかかりますし、仮にアパート経営などを行ったとしてもREITほどはリスク分散できません。
そのため、不動産投資とREITを併用するというポートフォリオを組むことで、リスクヘッジした投資をすることが可能です。分配金額や初期費用、リスク分散などの観点から、不動産投資をするのか?REIT投資をするのか?それとも2つの投資を併用するのか?を決めましょう。
まとめ
このように、REIT指数はREIT全体の動向を読むために必要な指標です。そんなREIT指標に影響を与えるほど大規模なREITであれば、比較的安定性は高いものの銘柄ごとに特徴が異なります。
そのため、「REIT指数に影響のあるREIT」という理由で銘柄を選ぶのではなく、それぞれの特徴をしっかりと把握した上で銘柄選びをしましょう。そうすることで、安定性がさらに増す投資になります。