高利回りreitは儲かる?5つの厳選銘柄を徹底比較
投資は「収益をあげるため」にするものなので、当然ながら誰もが儲けたいと思っています。そんな時、比較的高利回りなREITに興味を持ち検討する人もいるでしょう。しかし、高利回りの銘柄だとリスクも高いのでは?と思う人も少なくありません。
今回は、そもそもREITにおける利回りとは何か?について解説した後、高利回りREITを5つピックアップし、どの点に注目して銘柄を選べば良いか詳しく解説します。
目次
reitにおける利回りとは?
まずは、REITにおける利回りについて以下の点を解説します。
- reitの利回りは分配金
- reitの平均利回りとは?
- 利回りによる収益の実例
reitの利回りは分配金
REITにおける利回りとは、「年間で得る分配金÷REIT価格」になります。つまり、利回りが高いということは、REIT価格と比較して分配金が高いので、費用対効果の高い投資になるということです。
分配金とは?
そもそもREITとは、REIT(証券)を発行している投資法人(ファンド)が、投資家から集めたお金(投資家はREITを取得)と、金融機関からの借入で不動産を取得します。
そして、その不動産投資で得た収益の一部を投資家へ還元するという仕組みであり、その還元方法が「分配金」になるのです。REITを保有していれば、投資家は年に2回分配金をもらうことができます。
利回りの具体例
たとえば、あるREITの価格、および分配金予定額が以下だったとします。
- REIT価格:1口170,000円
- 分配金予定額:2019年4月期3,500円、10月期3,400円
この場合「年間分配金(3,500円+3,400円)÷REIT価格170,000円=利回り4.05%」になります。
reitの平均利回りとは?
不動産証券化協会によると、REITの平均利回りは4%前後になります。東証一部の配当金(≒分配金)利回りは2%前後で推移していることから見ても、REITは比較的高い利回りといえます。
reitの利回りをもっと知りたい!
前項まででREITの利回りの概要を解説しました。利回りについてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事を確認下さい。この記事を読めば、以下のようなことを理解できます。
- なぜJリートの利回りは高いのか
- Jリートのデメリット・リスクとは
- 不動産投資とJリートはどちらが高利回りなの?
- 株式投資とJリートはどちらが高利回りなの?
- 投資信託とJリートはどちらが高利回りなの?
5銘柄の比較表
では、次に利回りが高い上位5銘柄を比較していきます。
REIT | REIT価格 | 利回り | 不動産種類 |
---|---|---|---|
タカラレーベン不動産 | 92,900円 | 6.5% | 総合型REIT |
サムティ・レジデンシャル | 99,600円 | 6.42% | 住居特化型REIT |
マリモ地方創生リート | 111,100円 | 6.17% | 総合型REIT |
トーセイ・リート | 118,100円 | 6.16% | 総合型REIT |
ヘルスケア&メディカル | 112,400円 | 6.1% | ヘルスケア施設特化型 |
上記は、2019年3月28日時点の情報を基にしています。
1.タカラレーベン不動産投資法人
まずは、タカラレーベン不動産投資法人です。タカラレーベン不動産投資法人の利回りは6.5%になります。以下より特徴などを見ていきましょう。
タカラレーベン不動産投資法人の特徴
タカラレーベン不動産投資法人の特徴は以下の通りです。
- 2018年7月上場の比較的新しいREIT
- マンションディベロッパーのタカラレーベンがメインスポンサー
- オフィスビル中心の総合型REIT
- エリアは東京23区38%、その他関東地区や中部・近畿・地方も多い
利回りの推移
上場当初は3%台で推移していた利回りですが、上場から2か月後の2018年9月からは6%台に落ち着いています。とはいえ、データがまだ9カ月ほどしかないので、これだけの情報で利回りが高い水準をキープしているとは言い難いです。
価格推移はそこまで大きな変動はありませんが、次項で解説する要素によって安定性は高いとはいえないでしょう。
タカラレーベン不動産投資法人の注意点
本REITの注意点は以下の通りです。
- 総資産が600億円強と少ない
- 特定の物件の出資比率が高い
時価総額が大きいREITになると総資産8,000億円を超えるREITもあるので、総資産600億円は小さい規模といえるでしょう。また、NTビル、東池袋セントラルプレイス、名古屋センタープラザビルの3物件だけで、総資産の約42%を占めます。
つまり、特定の物件に依存性が高く、その物件の運営が低迷すれば、ファンド全体の業績に大きな影響を及ぼすということです。
利回りの総論
確かに、現時点でタカラレーベン不動産投資法人の利回りは高いです。ただし、実績が少ないという点と、前項の「特定の物件に依存している」点から考えると、利回りが今後安定して高水準で推移するかは分かりません。
これらの点を総合して不安を感じる人は、少額の取得にするか、せめて1年の運用実績を見てから投資することをおすすめします。
2.サムティ・レジデンシャル投資法人
2番目に高い利回りのREITは、サムティ・レジデンシャル投資法人です。サムティ・レジデンシャル投資法人の利回りは6.42%になります。以下より特徴などを見ていきましょう。
サムティ・レジデンシャル投資法人の特徴
サムティ・レジデンシャル投資法人の特徴は以下の通りです。
- 関西基盤のサムティグループがメインスポンサー
- シングル・コンパクトマンション中心の住居特化型REIT
- ポートフォリオの8割超が地方のレジデンス
個人で不動産投資する場合も住居(区分マンションやアパート一棟)を所有するので、住居特化型REITはイメージしやすいと思います。ファンドの代わりに自分が運営すると考えると、自ずとリスクが見えてくるはずです。
利回りの推移
サムティ・レジデンシャル投資法人の利回りは、上場から半年2016年1月頃から上昇しはじめ、2017年1月頃から6%台を維持しています。ある程度実績があるので、前項よりは信頼性の高い利回りといえるでしょう。
また、REIT価格が上昇しているのに利回りも上昇しているので、REIT価格の上昇と同じくらい分配金も上昇しているということです。つまり、ファンドの不動産運営が上手くいっていることを表しています。
サムティ・レジデンシャル投資法人の注意点
サムティ・レジデンシャル投資法人の注意点は「地方に特化している」という点です。仮に、個人で不動産投資をするとしたら、大きく分けて以下2つの選択肢があります。
- 需要は高いが利回りは低くなりがちな都心を取得
- 需要は低いが利回りは高くなりがちな地方を取得
サムティ・レジデンシャル投資法人はまさに後者を選択しているので、空室リスクや賃料下落リスクは低くありません。また、全国的に人口減、かつ都心へ流入している点を考えると、地方はさらに需要減のリスクがあるということです。
利回りの総論
このように、現在は地方のレジデンス事業が好調であるからこその利回りといえるでしょう。もちろん、このまま地方のレジデンスが高利回りをキープし続ける可能性はありますが、前項のリスクがある点も忘れてはいけません。
3.マリモ地方創生リート投資法人
3番目に高い利回りのREITは、マリモ地方創生リート投資法人です。マリモ地方創生リート投資法人の利回りは6.17%になります。以下より特徴などを見ていきましょう。
マリモ地方創生リート投資法人の特徴
マリモ地方創生リート投資法人の特徴は以下の通りです。
- 不動産ディベロッパーのマリモがメインスポンサー
- 約86%が地方の物件
- レジデンスと商業施設中心の総合REIT
名前の通り、「地方創生」を目的としたREITであり、レジデンス(44%)・商業施設(44%)が中心の総合REITになります。
利回りの推移
上場から半年後の2017年に利回り7%超までいきますが、そこから緩やかに下落して一時は利回り6%を切りました。しかし、そこから緩やかに上昇し直近1年強は6%を維持しているという水準です。
ただ、少々利回りの変動が激しく、それは地方中心にレジデンスと商業施設を展開していることが原因と考えられます。
マリモ地方創生リート投資法人の注意点
マリモ地方創生リート投資穂人の注意点も、前項と同様で需要が落ち込みやすい地方で不動産を保有している点でしょう。
具体的には、東京23区は6%、その他関東圏が11.7%、中部・近畿が16.7%、残りの69.2%がその他の地方という構成です。レジデンス・商業施設など分散しているものの、地方であることの需要減リスクは変わりません。
利回りの総論
このように、地方を中心に展開しているという点がリスクとなり、さらに総資産262億円、26棟と小さいREITです。そのため、このREITを取得するのであれば、全26棟の詳細を見るべきでしょう。
商業施設といっても、アウトレットなのかGMS(総合スーパー)なのか…レジデンスはワンルームなのか、もう少し小さいのか…という点を良く検証してから判断する必要があります。そうすることで、高利回りをキープできるかどうかが見えてきます。
4.トーセイ・リート投資法人
4番目に高い利回りのREITは、トーセイ・リート投資法人です。の利回りは6.16%になります。以下より特徴などを見ていきましょう。
トーセイ・リート投資法人の特徴
トーセイ・リート投資法人の特徴は以下の通りです。
- 不動産会社トーセイがスポンサー
- 総合型REITでオフィスビルと住居が中心
- 総資産559億円、36棟
- 物件のエリアは首都圏が中心
このように、トーセイ・リート投資法人はオフィスビル・住居が中心の総合REITであり、前項と異なり地方ではなく首都圏で展開している点が特徴です。
利回りの推移
上場してから数か月で利回りは5%台に達し、そこから緩やかに推移しています。2016年4月以降は5%を切ったことがなく、REIT価格も利回りも比較的安定している銘柄といえるでしょう。この点は、やはり地方ではなく首都圏を中心に展開していることが要因と考えられます。
トーセイ・リート投資法人の注意点
トーセイ・リート投資法人の注意点は、築古物件も積極的に取り入れている点です。通常は、住居をポートフォリオに組み込んでいるREITで、特に大規模なREITほど資産価値の高い築浅物件を好みます。
しかし、スポンサーであるトーセイはバリューアップ工事も手掛けるので、築古物件を取得しバリューアップ工事することが可能です。ただ、築古物件なので需要減のリスクもあり、今後はどんどん資産価値が落ちていく点はリスクといえるでしょう。
利回りの総論
そもそも、首都圏の住居系を中心に展開している場合、需要は期待できるものの利回りは低くなりがちです。逆に言うと、このREITは前項でリスクに挙げた「築古物件」を取得しているからこそ、高利回りを維持できるともいえます。
そのため、トーセイ・リート投資法人が高利回りを維持できるかどうかは、築古物件でもきちんとバリューアップ工事をして価値を高められるか?という点が重要です。細かい戦略などもHPに載っているのでチェックしてみましょう。
5.ヘルスケア&メディカル投資法人
5番目に高い利回りのREITは、ヘルスケア&メディカル投資法人です。ヘルスケア&メディカル投資法人の利回りは6.10%になります。以下より特徴などを見ていきましょう。
ヘルスケア&メディカル投資法人の特徴
ヘルスケア&メディカル投資法人の特徴は以下の通りです。
- ヘルスケア施設特化型REIT
- 三大都市(首都圏、近畿圏、中部圏)の物件が80%以上
- ヘルスケア施設特化型としては最大級の総資産650億円、35棟
REITの中でもヘルスケア施設特化型REITはそう多くありません。そもそもヘルスケア施設とは、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホームなどの施設のことです。
利回りの推移
上場から数か月で利回り4%台を突破し、そこから5%台…6%台と徐々に利回りが上がってきています。6%台になったのは最近なので、利回りランキング上位になったのも最近です。
ただ、REIT価格自体はほぼ変わっていないので、ヘルスケア施設の運用状況が良好で、分配金が上昇したことが利回り上昇の要因と考えられます。
ヘルスケア&メディカル投資法人の注意点
ヘルスケア&メディカル投資法人の注意点は、やはりヘルスケア施設はほかの物件と比べて実績が少ないという点でしょう。たとえば、「オフィスビル」や「住居」などは何となくイメージできます。
仮に、都心3区の築浅マンションを多数保有…というREITであれば、「利回りは低いかもしれないけどリスクも低そう…」と思う人は多いでしょう。しかし、ヘルスケア&メディカル投資法人は有料老人ホーム72.1%、サービス付き高齢者向け住宅4.8%です。
有料老人ホームが果たして都心が良いのか地方が良いのか…、そもそもどのような収益形態なのか?という点から理解する必要があります。
利回りの総論
このように、ほかのREITと比べると少々分かりにくいヘルスケア施設特化型ですが、少子高齢化の中では期待されているのも事実です。
いち早く目を付け、自ら分析することでヘルスケア施設特化型に詳しくなれば投資における強みといえるでしょう。
不動産投資とは特徴が異なる
さいごに、不動産投資とREITの「特徴」の違いを簡単に触れておきます。というのも、REITは間接的に不動産を保有する投資なので、不動産投資の一種ともいえるからです。
そのため、REITを検討している人の中には不動産投資に興味がある人も多いです。結論からいうと、資産をつくるなら不動産投資、リスクヘッジを重視するならREITが良いでしょう。
不動産投資の特徴
不動産投資の特徴は以下の通りです。
- 融資を利用できるので収益性が高い
- 初期費用が「物件価格×5%~8%」ほどかかる
- 流動性(売りやすさ)が低い
不動産投資は初期費用がREITより高く、流動性も低いです。しかし、融資を利用することで自己資金の10倍程度の資産を手に入れることも可能です。
そのため、物件運営に成功したときには、REITよりも収益は高くなるでしょう。
reitの特徴
REITの特徴は以下です。
- 複数物件に投資するのでリスクヘッジできる
- 初期費用はREIT取得費用が大半
- 上場しているので流動性が高い
- 収益性は不動産投資に劣る
このように、不動産投資とは逆に初期費用が安価で流動性が高いです。また、投資法人が複数物件所有するので、自然とリスクヘッジできています。
しかし、不動産投資よりも収益性は劣るので、資産をつくるなら不動産投資、リスクヘッジを重視したい場合はREITが良いでしょう。
まとめ
このように、REITの利回りは分配金の利回りです。REITは利回りが高いので、この分配金狙いで中長期の投資をする人も多いです。そんなときに、今回紹介した高利回り銘柄は魅力に感じるでしょう。
しかし、重要なのは利回りの高さだけでなく、利回りの推移や保有している不動産種類などの詳細です。利回りだけに注目せず、その投資法人が保有する物件詳細まできちんとチェックしてから銘柄を選びましょう。