おすすめのREIT銘柄4選!投資先として人気である3つの理由とは
資産運用によって得られる利益は、投資商品の売買差益を収入とする「キャピタルゲイン」と、資産の保有により定期的に得られる「インカムゲイン」に分類できます。このうち給与以外の定期収入や、年金の代わりとして期待できるのはインカムゲインです。
今回は、高利回りなインカムゲインを獲得できるREITのうち、おすすめの銘柄を4つピックアップしました。
目次
おすすめのREIT銘柄4選
REITに馴染みのない投資家にとって、60を超えるREIT銘柄から投資候補を探すことは容易ではありません。そこで、この項では2019年11月執筆時点における、おすすめのREIT銘柄を4つご紹介しています。
銘柄名 | 投資対象としての魅力 |
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大和ハウスリート投資法人 | 物流施設が大半を占める景気変動に強いREIT |
星野リゾート・リート投資法人 | 観光客増加で追い風が吹くホテル特化型REIT |
日本賃貸住宅投資法人 | 少額投資が可能な住居特化型のREIT |
日本ビルファンド投資法人 | 安定感のある最古参銘柄のREIT |
より多くのREIT銘柄を分析する場合は、記事後半で解説する「REITを購入するときに注目すべきポイント」を参考にしつつ、理想の投資先を探してみてください。
大和ハウスリート投資法人
大和ハウスリート投資法人は、その物流施設と住宅が大半を占めているREIT銘柄。スポンサーが「大和ハウス工業」であり、不動産業界に太いパイプラインを有している点で優れています。
格付け機関からの評価は高く、それでいて分配金利回りは平均以上。大手の不動産メーカーがスポンサーであること以外にも、投資対象として魅力的なポイントが多く、優良銘柄として支持を集めています。
基本情報 | |
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1口あたりの価格 | 30万3,500円 |
分配金利回り | 3.73% |
運用物件の種類 | 総合型 |
NAV倍率 | 0.77 |
FFO倍率 | 44.71 |
取引出来高 | 4,455口 |
※2019年11月執筆時点の情報です。
星野リゾート・リート投資法人
星野リゾート・リート投資法人は、ホテル開発の分野で知名度の高い「星野リゾート」をスポンサーとする、ホテル特化型のREIT銘柄。直近5年のあいだ分配金利回りを安定的に伸ばしており、今後期待されるインバウンド需要の高まりから、さらなる飛躍が見込まれます。
2019年執筆時点では、分配金利回りが4%半ば。これは、REIT市場の平均利回りを大きく上回っており、インカムゲインを重視する投資家にとっては有力な投資対象となります。
基本情報 | |
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1口あたりの価格 | 57万6,000円 |
分配金利回り | 4.59% |
運用物件の種類 | ホテル特化型 |
NAV倍率 | 1.02 |
FFO倍率 | 31.36 |
取引出来高 | 948口 |
※2019年11月執筆時点の情報です。
日本賃貸住宅投資法人
日本賃貸住宅投資法人は、「大和証券グループ」がスポンサーを務めるREIT銘柄。運用物件は契約入れ替えの少ない住居に特化しており、安定して高水準にある分配金利回りが魅力的です。
また、今回ご紹介する銘柄のなかでは1口あたりの価格が安く、容易に高利回りな資産運用を始められます。
基本情報 | |
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1口あたりの価格 | 10万7,200円 |
分配金利回り | 3.73% |
運用物件の種類 | 住居特化型 |
NAV倍率 | 1.12 |
FFO倍率 | 35.22 |
取引出来高 | 7,826口 |
※2019年11月執筆時点の情報です。
日本ビルファンド投資法人
日本ビルファンド投資法人は、日本REIT市場の黎明期から存続する古参銘柄の1つです。資産規模は1兆円を超えており、業界トップの安定感を誇るREIT銘柄だといえます。
運用方針も堅実で、直近5年の分配金利回りは2.5~3.5%前後。分配金利回りを最優先とせず、長期的に安心して保有できるREIT銘柄を探している場合、日本ビルファンド投資法人は有力な候補となります。
主要スポンサーが、不動産業界を牽引する「三井不動産」であることも安心材料の1つです。
基本情報 | |
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1口あたりの価格 | 83万円 |
分配金利回り | 2.61% |
運用物件の種類 | オフィスビル特化型 |
NAV倍率 | 1.46 |
FFO倍率 | 50.75 |
取引出来高 | 2,086口 |
※2019年11月執筆時点の情報です。
REITが投資先としておすすめできる3つの理由
数多くある投資商品のなかから、あえてREITを選ぶ理由を明確にしない限り、大切な資産をREITに投じるのは不安になるものです。実際、REITは株式投資や不動産投資に比べて、どのような強みを持っているのでしょうか?
投資先としておすすめできる3つの理由 |
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高利回りなインカムゲインが期待できる |
不動産の管理維持にかける手間が不要 |
少額から複数の不動産に分散投資が可能 |
この項では、REITが持つ「投資商品としての優位性」である、これら3つのメリットをご説明します。
高利回りなインカムゲインが期待できる
REITが投資商品として優れている点の1つは、投資利回りが高いことです。2019年11月時点で、分配金利回りが3%を下回るREIT銘柄はわずか4つ。残る60近い銘柄は、いずれも3%を超える分配金利回りでした。
なかには、5%を超えるREITも存在しており、株高により株式の配当利回りが低下するなかでも、多くのインカムゲインを獲得できる投資対象として注目されています。こうした分配金利回りの高さは、税制の都合上、REITが運用利益の9割を投資家に還元することで実現しているものです。
また、株式の配当金が「企業の利益」から捻出されることに対し、REITの分配金は「不動産の賃料収入」から捻出されているため、大幅減配の可能性が少ない点も魅力的。株式や投資信託と比較して、全体的に安定して高利回りであることはREITの大きなメリットです。
不動産の管理維持にかける手間が不要
REITの分配金は、不動産の賃料収入から捻出されています。つまり、REITを購入・運用することは、不動産オーナーとして賃貸業を行っている状態に近いのですが、実際には証券化された商品を買っているため管理維持の手間は発生しません。
自身で実物の不動産を運用するより、コントロールできる要素は少ないといえるものの、同時に管理維持の労力が一切かからないことは利点です。また、REITを通じて購入できる不動産は、個人レベルでは購入が難しい数億~数十億円クラスの物件ばかりです。
こうした高額な不動産を運用できる点は、実際の不動産投資では経験できないため、REITならではのメリットだといえます。
少額から複数の不動産に分散投資が可能
実物の不動産は数千万円、少なくとも数百万円の投資額を必要としますが、REITはわずか数万円から購入できます。また、REITは1つの銘柄に複数の不動産が組み込まれているため、運用するREITが1つであっても実質的に分散投資をしている状態になります。
分散投資をするためには、多額の資金が必要となる不動産投資と違い、少額から手軽に分散投資ができる点は個人投資家にとって魅力的です。
REITを購入するときに注目すべきポイント
多くのREIT銘柄は、分配金利回りが3%を超えているため、どのREITを選んでも失敗がないように思えます。しかし、REITのなかでも割安な銘柄、割高な銘柄というものが存在しており、割安な銘柄を購入した方がトータルリターンは大きくなります。
つまり、REITを通じて大きな利益を得るためには、銘柄同士を比較してより優れた投資対象を探す必要があるのです。優れたREIT銘柄を探すとき、以下のポイントが重要な役割を担います。
REIT購入時に注目すべき4つのポイント |
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NAV倍率 |
FFO倍率 |
取引出来高 |
分配金利回り |
この項では、REITを購入する際に、どういった分析を行っていけば良いのかご説明します。
割安・割高を分析できる「NAV倍率・FFO倍率」
NAV倍率とFFO倍率は、いずれもREITの割安感を算出するための指標。それぞれ、以下のように違った役割を持っています。
指標の種類 | 指標の役割 |
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NAV倍率 | 評価対象の理論価格と現在価格を算出する |
FFO倍率 | 評価対象を複数用意し、相対的な割安感を算出する |
どちらも利用方法はシンプル。NAV倍率を使う場合、評価対象のNAV倍率が1を超えるときは割高、1を下回るときは割安だと判断します。NAV倍率は、最新のものが「JAPAN-REIT.COM」に掲載されているため、1分もあれば割安・割高のチェックが可能です。
FFO倍率は、2つ以上の評価対象を用意して、FFO倍率が低いものを割安、FFO倍率が高いものを割高と判断します。たとえば、以下のような方法で活用します。
- 「REIT銘柄A」と「REIT銘柄B」を比較
- 「REIT銘柄A」と「宿泊施設の市場」を比較
上記のように、FFO倍率は評価対象の種類を問わず利用できます。FFO倍率は「J-REIT INSIGHT」にて参照できるので、NAV倍率をあわせて割安感を求めるときにご活用ください。
取引の活況さを判断できる「取引出来高」
REITを選ぶとき、割安感が投資判断の全てを左右するわけではありません。割安感と同時に、取引の活況さを示す取引出来高が重要になってくるのです。
取引出来高が極端に少ないREIT銘柄は、そもそも買い手・売り手が市場にほとんどいないことを示しています。そのため、実物資産の不動産と比較して、「即金性が高い」というREITのメリットが損なわれてしまうのです。
売却時に、買い手不在のため適正価格で売れない可能性があるので、取引出来高が少ないREIT銘柄は避けることを推奨します。
キャッシュフローに直結する「分配金利回り」
割安感や取引出来高と同じく、分配金利回りも重要な要素です。まずは目標から逆算し、どの程度の投資利回りが必要であるのか確認すべきです。
そのためには、以下のような項目を洗い出す必要があります。
- 毎月積み立てられる金額
- 何年後にどの程度のインカムゲインを得たいのか
例として、月あたり4万円のインカムゲインを、10年後に達成するプランを考えてみましょう。毎月10万円の積み立てが可能であれば、10年後の積立額は1,200万円です。
これらの情報から、税引き後利回りが4%以上のREITに投資を続けることで、10年後には月換算4万円のインカムゲインを得られることが分かります。投資1年目から、毎月10万円の積み立てに加えて分配金を再投資すれば、より早期に目標を達成することも可能です。
こうして、目標から必要な分配金利回りを逆算することで、理想的な投資先を絞れるはずです。なお、多くのREITは分配タイミングを年2回に設定しているため、1つの銘柄から毎月収入を得られるわけではない点に注意してください。
REITに投資をするリスクはあるの?
現在、REIT市場は好調が続いており、一見するとメリットばかりに思えます。しかし、REITにも以下のようなリスクはあります。
REITに投資をする3つのリスク |
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運用成績の悪化により減配する可能性がある |
投資法人の上場廃止・倒産リスクがある |
人口減少による業界縮小が懸念される |
いずれもREIT特有のリスクではなく、似たような欠点を株式投資や不動産投資も抱えています。投資に「絶対」はないため、損をするリスクに警戒し、無理のない投資額で資産運用をスタートすることが成功へのカギです。
また、不動産投資のようにローンを利用した投資はできず、レバレッジ効果を生かして投資効率を最大化させることが難しいため、スピード感のある資産拡大には不向きである点に留意してください。
まとめ
REITは、株式投資より安定した高利回りが期待できて、かつ実物資産を保有することなく不動産を運用できるバランスの良い投資商品です。
現在、株高により株式の配当金が低くなっているなか、依然REITの分配金利回りは高水準を維持しています。インカムゲインを重視した投資商品を探している、もしくは手軽に不動産へ投資できる商品を探しているのであれば、REITは有力な選択肢になるはずです。