【初心者向け】ソーシャルレンディングの始め方から確定申告までの流れ
By Oh!Ya編集部
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投資情報に敏感な人のあいだで、度々話題になるソーシャルレンディング。初期費用や確定申告の方法が広まっていないため、実際はどうなのだろうかと気になり、なかなか手を出せない人も多いようです。
そこで今回は、ソーシャルレンディングのスタートから確定申告までを解説。要所要所を押さえつつ、ソーシャルレンディングの全容に迫っていきます。
目次
そもそもソーシャルレンディングは投資先としてアリ?
ソーシャルレンディングは、「出資先を探す投資家」と「借入先を探す事業主」を結びつけるサービス。日本国内では不動産案件を中心に、少しずつマーケットを拡大してきました。
しかし、不動産投資や株式投資と比べて認知度は低く、まだまだマイナーな投資手段だといえます。そんなソーシャルレンディングは、以下のようなメリットを持っています。
- 少額投資OKで難しい知識は不要
- 投資先進国ではマーケットが急拡大している
これらのポイントに魅力を感じるのであれば、ソーシャルレンディングは投資先の検討候補としておすすめです。
少額投資OKで難しい知識は不要
ソーシャルレンディングが持つ最大の魅力は、わずか数万円から運用できるハードルの低さです。一度投資すれば運用満期まで操作が求められず、専門知識がなくてもスタートできます。
現状、投資信託やETFより高利回りな投資案件が多く、少額からテンポ良く資産拡大を目指せる商品として支持を集めています。
投資先進国ではマーケットが急拡大している
日本国内では認知度が乏しいものの、アメリカのソーシャルレンディング市場は急拡大しており、2020年代には数兆円を超える規模になると予想されています。
皆さんもご存知のように、アメリカで流行した投資やビジネスは、数年後に日本へやってきて流行を巻き起こします。
日本国内のソーシャルレンディング市場は、2018年時点で200億円ほど。まだまだ伸びしろがあると捉えて、アメリカの市場成長にシンクロしつつ1,000億円,1兆円と国内市場が拡大される可能性が想定できるのです。
ステップ1:ソーシャルレンディングを始めてみよう
ソーシャルレンディングに魅力を感じたなら、早速サービスに登録してみましょう。基本的にはネット上の手続きだけで、スタートまでの準備が整います。
まずはソーシャルレンディングを始めるときの注意点、必要手続きについてご説明します。
利用するサービスは実績・評価を最重視
いまだソーシャルレンディングの認知度は低いですが、ネットを見れば意外にも数多くの業者がサービスを展開しています。しかし、過去には不正行為を働く業者がいたため、全ての業者が安全とはいえないのです。
- 実績
- 評価・口コミ
- 不祥事の有無
大切な資金の投資先を決めるうえで、少なくとも上記のポイントは抑えておきたいところ。債務不履行(デフォルト)が頻発しているサービス、ネット上に悪評ばかりが並ぶサービスは、登録しないことをおすすめします。
口座開設の流れ・必要なもの
ソーシャルレンディングサービスの口座開設は、基本的に似たような流れで行われます。
- 個人情報と必要情報を登録ページで入力
- 本人確認書類をアップロード・郵送
- 利用条件を満たしているのか審査
- 手続き完了の通知書にて審査通過
これらの手続きが完了すれば、あとは入金を済ませて投資案件を選び、資産運用を始められます。
ステップ2:投資案件はどのように選べば良いの?
ソーシャルレンディングの運用において、最も重要なプロセスが投資案件の選定。リスク・リターンは表裏一体だという投資の鉄則を意識して、低リスクな運用でコツコツ利益を重ねるのが理想的です。
投資案件の選定方法を5つに分解して、順番に解説していきます。
運用期間は短いほど低リスク
いかに魅力的な条件であっても、運用期間を長期的に設けている案件には注意が必要です。
投資の世界における1年,2年は、全てが様変わりする期間としては十分。運用当初に見込んでいた利益率が、運用途中にマイナスへ転じる可能性も考えられます。
投資のリターンを予想するとき、イメージする結果が未来であるほど精度は落ちるものです。そのため、低リスクな運用を重視するなら、運用期間が短い投資案件を選ぶことをおすすめします。
案件に対するコメントや概要欄は全文チェックする
いくつもの投資案件を見比べるとき、つい運用期間や利回りなど数字にばかり目を向けますが、スタッフが記載した概要・コメントには必ず目を通しましょう。投資の成功や失敗を分けるのは、数字ではなく「投資対象の事業モデル」や「需要とのマッチング」です。
たとえば、不動産関連の案件に投資するとき、もし運用物件の賃料設定が相場価格より高ければ事業は成功するでしょうか?
いくら理論上の利回り高くても、周囲の物件を押しのけて人気を獲得できないなら、実際の利回りは予想を大きく下回ります。こうした数字だけでは分からない情報を、概要やコメントから読み取らなければ、運任せのギャンブルと同じです。
- なぜ、この賃料設定なのか
- この物件の魅力は何なのか
- 周囲の物件と差別化できるポイントは何なのか
不動産案件あれば、これらの情報は最低限チェックすることをおすすめします。そのうえで不安要素がなければ、有力な投資先として選んでも問題ないといえます。
できる限り担保・保証内容が厚いものを選ぶ
ソーシャルレンディングは事業に対する融資であり、融資には貸し倒れのリスクが伴います。もしも「担保がない投資案件」に貸し倒れが発生したときは、1円も回収できないまま諦めることとなるのです。
これを阻止するためには、担保が設定されている投資案件、もしくは何らかの保証が設定されている投資案件を選ぶ必要があります。
どれだけ高い成功率を謳っていても、事業が失敗に終わるケースは少なくありません。常に最悪の事態をイメージして、少しでも資金の安全面が優れている方法を選ぶのが望ましいです。
高利回り案件にはリスクが伴うことを忘れない
投資の世界において、リスクとリターンが連動していることを忘れてはいけません。
基本的に、高利回りな投資案件はハイリスクです。収益性が高いからと短絡的に投資するのではなく、リターンの裏に隠れている危険性を把握したうえで、それでも投資すべきなのか考えることをおすすめします。
また、高利回りな投資案件を運用するときは、全ての資金を集中させないよう注意しましょう。
一極集中スタイルで投資を始めるのは危険
投資先Aに全ての資金を集中させたとき、投資先Aがマイナスに傾けば資金総額は大ダメージを受けます。投資の世界では、これを軽減するため「分散投資」というテクニックをもちいます。
たとえば、投資先をA・Bに半分ずつ分ければ、以下のようにマイナスの最大化を阻止することが可能です。
投資先Aはプラス | 投資先Aは変動なし | 投資先Aはマイナス | |
---|---|---|---|
投資先Bはプラス | 大きくプラス | プラス | 相殺される |
投資先Bは変動なし | プラス | 変動なし | 損失が軽減 |
投資先Bはマイナス | 相殺される | 損失が軽減 | 大きくマイナス |
投資先Aだけの運用であれば、マイナスが最大化する可能性は高いです。しかし、ここに投資先Bが加わったことで、片方にマイナスが発生しても相殺できます。
ソーシャルレンディングの運用でも、こういった分散投資は有効です。特に高利回り案件に投資するときは、一ヶ所に資金を集中するのではなく、いくつかの投資先に分散して大損失を回避することをおすすめします。
ステップ3:税金を知って確定申告に備えよう
多くの投資家が「難しそうだ」と感じているのは、税金・確定申告にまつわる手続きです。しかし、ソーシャルレンディングはすでに源泉徴収が行われており、確定申告が必要ないケースもあります。
さらに、面倒に思われがちな確定申告の手続きも、実際のところ国税庁のツールを使用すれば簡単です。この項では、どういった場合に確定申告が必要なのか、および確定申告はどのように進めるのかを解説します。
確定申告の必要・不必要が分かれるポイント
確定申告が不要なのは、以下のような条件に当てはまる投資家です。
- 給与所得が2,000万円を下回り「その他の所得」が合計20万円以下である
- 年金支給額が400万円を下回り「その他の所得」が合計20万円以下である
- 合計所得が控除適用により全額相殺される場合
ここでもちいる「その他の所得」は、ソーシャルレンディングで得た利益や、年末調整を受けている本業以外の収入を指します。
また、広く知られてはいませんが、ソーシャルレンディングを通じて受け取る利益は「20.42%の税金が引かれた状態」です。そのため、所得税率が20%未満である「所得額330万円以下」の人は、確定申告を行えば払い過ぎた税金が還付されます。
この場合、申告は義務ではないのですが、本来得られたはずの利益を取り戻すのであれば確定申告を行ってください。
申告に必要な「確定申告書」の作成方法
ソーシャルレンディングの確定申告に使用する「確定申告書」の作成には、以下のような書類が必要です。
- 取引残高報告書
- 源泉徴収票
- マイナンバーカード
このほか、医療や保険などの控除制度を利用する場合は「控除証明書」、関連性の高いセミナーや書籍など必要経費になる出費があったなら「レシート・領収書」を用意しておきましょう。
これらが準備できれば、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から、ソーシャルレンディングと給与所得の情報入力を進めていきます。
7ステップで完了!ソーシャルレンディングの情報入力手順
まずはソーシャルレンディングの情報入力から、必要なポイントのみを押さえて解説していきます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開いた状態から、下記カギカッコ内と同じ項目を選択することで、ソーシャルレンディングの情報入力が完了します。
1.「申告書等を作成する」から「作成開始」を選択
2 .「印刷して書面提出する」を押して事前確認を進めてください
3 .「所得税」から「左記以外の所得のある方(全ての所得対応)」を選択
4.「申告書の様式をイメージした入力画面で申告書を作成する」にチェック
5 .「所得金額>雑>その他」と選択して「上記以外(報酬等)」をクリック
6 .「種目」に分配金、収入金額と必要経費(セミナー代など)へ数字を入力
7.「報酬などの支払者の氏名・名称 所得の生ずる場所」に利用業者・住所を記入
これら7ステップを終えれば、ソーシャルレンディングの情報入力は終了です。あとは、源泉徴収票の情報を「給与」の項目に入力していくだけです。
3ステップで完了!給与の入力方法から印刷までの手順
ソーシャルレンディングの情報入力を済ませば、確定申告書の印刷まではあと少し。給与所得に関する情報入力と、個人情報の提出が完了すれば書類を印刷できます。
1.「収入金額等>給与」を選択
2.「支払金額」や「源泉徴収税額」など各項目に源泉徴収票の情報を転記
3 .「住所・氏名等入力」と「マイナンバーの入力」を入力して印刷すれば完了
以上で確定申告書の作成・印刷は完了します。なお、ネット・書籍では解決できない不明点がある場合、必要書類を持って税務署へ相談に行けば対応が受けられます。
より詳細な確定申告の方法については、当メディアの「お金が戻ってくる?ソーシャルレンディングで確定申告すべき3つの理由」で解説しています。
事件・詐欺が報告されているため業者の見極めは必須!
投資家が貸金業のようにならないよう、ソーシャルレンディングの投資案件は一定以上の情報を開示していません。これを利用して、過去には以下のような大事件が発生しました。
みんなのクレジット事件
みんなのクレジットは、2016年にスタートしたソーシャルレンディングサービスです。みんなのクレジットは有名メディアに取り上げられ、高利回りな投資案件を掲載していたことから、多くの投資家に注目されていました。
しかし、その実態は「投資家から集めた資金を別の投資家に分配する」という、自転車操業のような状態だったのです。ほかにも虚偽情報を掲載したり、自身の口座に出資金を送金したりといった悪質な行為が怒りを買い、被害者たちが集団訴訟を起こしています。
ラッキーバンク事件
全ての投資案件に担保を設定しており、安全性が高いと評判だったラッキーバンク。しかし、担保にしている不動産価値が適正なものではありませんでした。
こういった状態でサービスを運営しつつ、投資家から集めた資金の「貸付先審査」がずさんだったため、扱っていた多くの投資案件で返済遅延が発生。結果的に、公表していた評価額を大きく下回る金額で担保を譲渡し、投資家への返金がままならないほどの損失を計上しました。
本件も被害者たちが訴訟する事態へと発展しています。
このようにソーシャルレンディング業者のなかには、悪質行為を働く事業主が一部存在しています。巧妙に隠されていれば見極めは困難ですが、前述した2つの事例には以下のような共通点がありました。
- 開示している利回りが異常に高い
- 未上場企業である(上場企業との関与もない)
どちらの案件も10%前後の高利回りを謳っていましたが、仲介業者の手取りを考慮すれば、これほどの利回りを安定的に実現させることは難しいです。投資額に対して手取り5~7%程度で優秀だといわれるなか、利回り10%ほどの案件ばかりを扱うのは非現実的だといえます。
また、上場・未上場という部分も注目すべきポイント。一般的に上場企業の方が監査が厳しくなるため、不正を働きづらくなります。上場企業だからといって不正ゼロが約束されるわけではありませんが、リスクは大きく軽減できるはずです。
これらのポイントに注意して、一極集中で投資を行わないよう意識すれば、成長過程にあるソーシャルレンディング市場で堅実に利益を得られるでしょう。
まとめ
いまだ日本国内におけるソーシャルレンディング市場は発展途上。アメリカの巨大なマーケットを見れば、内に秘めているポテンシャルの高さは明らかです。
今回ご説明したように、スタートすることも確定申告で納税手続きを行うことも、実際のところ難しいものではありません。まずはリスク管理をしつつ少額投資から始めて、自身の性格とソーシャルレンディングの相性を見極めることをおすすめします。
業者選びと案件選びは慎重に進めて、将来性に期待が集まるソーシャルレンディングをいち早く体験してみてください。