ソーシャルレンディングで失敗する理由とは?事例から見えた3つのポイント
By Oh!Ya編集部
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ITを活用し、「投資をしたい個人」と「資金調達をしたい企業」とのマッチングを行うソーシャルレンディング。
株や社債などとは違った形で、企業に数万円からの小口投資ができる革新的なサービスである反面、投資家を保護する仕組みがまだ十分に確立されておらず、手痛い失敗に涙を飲むケースも見られます。
ここでは、そうした失敗を避けるための参考情報として、ソーシャルレンディングのトラブル事例やリスクなどを紹介していきます。
ソーシャルレンディングの失敗談
ソーシャルレンディングは、少ない元手で手軽にできる、最先端の投資と思えるかもしれません。
しかし、どのような投資にも必ずリスクはあります。以下に、ソーシャルレンディングで失敗した人の事例を紹介します。
【Case.1】おいしい投資だと飛びついてしまい…
ソーシャルレンディングでお金を儲けている同僚がいて、自分も軽い気持ちで始めてみようと思いました。
少額から始めたのですが、数ヶ月間にわたり安定的に金利が入ってきて、これならもっと金額を大きくしても大丈夫だろうと判断。100万円をつぎ込みました。
それまで投資なんてしたことがなかったので、こんなに簡単にお金が増えるならもっと早くやっておけばよかったと思いましたね。正直、投資をしていない人を馬鹿にしたくなる気持ちもありました。
でも、そうしているうちに投資先の会社が傾き、返済が絶望的な状態に。
元本保証はされない、ということは知っていたのですが、まさか自分の身に降りかかるなんて思いもしませんでした。いま思えば、投資をしない人より、何も知らずにお金を差し出していた自分の方が愚かだったと反省しています。
【Case.2】高利回りに目がくらんで…
某大型Q&Aサイトに投稿されていた情報を参考に、ソーシャルレンディングサービスを試しました。
他のところより利回りが高く、キャッシュバックキャンペーンまで行っている優良サービスを選んだのですが、じつはその会社は、集めたお金を自社のグループに回している悪徳業者でした。
投資家への金利は支払われていたものの、あとから他ファンドの資金を流用して返済に充てていることが分かり、行政処分。その後、お見舞金の案内や社名変更などを経ましたが、返済はいまだにありません。
15万円ほどなので大きな損失とは言えませんが、悔しさと怒りでいっぱいです。
【Case.3】調査不足により詐欺業者の餌食に…
ソーシャルレンディングは儲かる、という話を聞いて自分もやってみようと思いました。
こういうのは周りがまだ手を出していない内に始めるのがいい、と考えていたので、業者についてとくに調べることなく、とにかく利回りが高くてお得そうなところを選びました。
それが失敗の始まりでした。
広告の文句では、高利回りなことや、高度なシステム化によって成長企業を吟味していること。知名度は低いながらもソーシャルレンディング業者としての地位を確立しつつあることなどが謳われていたのですが、いずれも事実無根。
微々たる金利を貰えたきりで、その会社はサービスを凍結されてしまいました。
投資家から集めた資金を使いこんだり、別の投資家への返済としたり、かなり悪どいことをやっていたようです。ビットコインなどもそうですが、新興分野へ投資するときには本当に慎重に下調べを行った方がいいと思います。
【Case.4】投資家を軽んじる業者に…
どうしてこんなことが許されるのかわかりませんが、運営会社が自社グループの関連会社に資金を流し、しかもその会社が返済できなくなるという事案に巻き込まれました。
自社の子会社であるにも関わらず、さも自分たちが被害者であるかのような文面のメールを送ってきて、あまつさえ債権を債権回収業者に売却するというのです。
売却費用で補償を行うとのことですが、元本に及ぶはずもなく…。これでサービス会社としての社会的責任を果たしたことになるのかと思うと、怒りのやり場がありません。
【Case.5】元本をすぐ引き出せると思っていた矢先…
これまで、リスクのある投資をしないように心がけてきました。
株式投資も行いますが、日経平均採用銘柄を中心に、利回りは小さくとも長期的にはプラスになるよう、がんばってきたつもりです。
そんなとき、ソーシャルレンディングという新しい形の投資商材を知りました。
リスクの小さそうな商品でも、当時の自分の運用成績から見たら魅力的な金利だったので、株式を現金化した上、貯蓄の大半もつぎ込んでソーシャルレンディングを試してみることにしたのです。
リスクが低くて金利もそこそこなら、元手が大きい方がリターンも大きい、と安易に考えたのが失敗でした。毎月細々とやりくりしていたのですが、運用して半年くらい経った頃に、急遽まとまったお金が必要になったのです。
債券投資と同じ感覚でいたため、多少の手数料は取られても、かんたんに現金化できると思っていました。しかし、ソーシャルレンディングの場合、満期になるまで償還できないとのこと。
結局、消費者金融からお金を借りることになり、金利で得た分の利益がかなり目減りしました。完全に自分が悪いのですが、素直に堅実な運用をしていればよかったと後悔しています。
失敗談からわかること
上記は、ウェブ上に散見されるソーシャルレンディングの失敗談を集め、固有名詞や表現等を曖昧な形に書き直したものです。
中には、本人の注意不足、勉強不足が原因というものもありますが、意外なことに、頼った業者が悪質なサービスを行っていた、というものが少なくありません。
じっさい、有名経済雑誌に紹介されるレベルのソーシャルレンディング業者が、投資家を騙すような極めて性質の悪いサービスを提供していた、という事実があり、現在はこうした風評が悪目立ちしているようです。
ソーシャルレンディングは、まだまだ新しい分野の投資です。競争相手が少ない分、場合によっては効率的にお金を増やすことができますが、相応のリスクも付きまといます。
高い金利に惑わされず、数字の根拠を確かめながら、堅実な投資を行っていく必要がありそうです。
知っておきたいソーシャルレンディングのリスク
リスクは、予想外のタイミングでやってきたときに脅威となります。しかし、あらかじめ対策をしていれば、万が一のときにも迅速な対応が可能。
ここでは、ソーシャルレンディングで想定される、主なリスクを紹介します。
元本割れリスク
ソーシャルレンディングの仕組みは融資と似ています。サービス会社を通して、個人で融資をするようなものです。しかも、金利は一般的な融資より高く、必要最低金額も多くありません。
一見魅力的に見えますが、融資と違って、元本保証(貸したお金が返ってくる保証)がないというリスクが。
ソーシャルレンディングはあくまで投資です。投資先の企業の事業がうまく行かない場合、元本割れ(投資したお金が目減りすること)も考えられるわけです。
貸し倒れリスク
これは融資でもソーシャルレンディングでも同じですが、投資した企業が倒産してしまった場合、提供していた資金は返ってきません。
差し押さえられた段階でその企業が持っている資産によっては、ある程度の配当が期待できるケースもあります。
ただそれでも、倒産から債権回収までの間に当該資産の価値が急上昇するなどの特殊な事情がない限り、元本以上のリターンは期待できないでしょう。
新興のサービスであるというリスク
金融機関が融資を行う場合、その企業に対して入念な審査を行います。金融機関はお金を出す当事者のわけですから、貸し倒れのリスクを可能な限り軽減するための審査は、必要不可欠なわけです。
一方、ソーシャルレンディングの場合は、お金を出すのは投資家です。もちろん多くのソーシャルレンディング事業者は厳密な審査を行っていますが、新興のサービスである分、いい加減な運営を行う事業者も中には存在します。
じっさい、投資家から集めたお金を自社の子会社に回し、業務停止処分が下された事例もあるくらいです。
手間なく少額から投資をはじめられるのがソーシャルレンディングのメリットですが、始める前に、事業者の社会的信用や信頼性などは厳密にチェックされることをおすすめします。
自由に現金化できないリスク
これは仕組み上のルールなので仕方がないのですが、いざソーシャルレンディングを始めた後になって、自由に現金化できないことを後悔する人も少なくありません。
投資商材には流動性というものがあります。流動性というと難しく聞こえますが、要は現金化のしやすさという意味。
たとえば株式の場合、市場にその株を買いたい人がいればボタン1つで株式を売却できますから、流動性の高い投資商材と言えます。
一方、ソーシャルレンディングは、期限が来るまで返済できませんから、流動性の低い投資商材と言えます。
流動性の低い投資商材に投資する場合、「緊急では絶対に必要にならない金額」、を投資しないと、後々資金繰りに困る可能性がありますので、注意が必要です。
ソーシャルレンディングで失敗しないための3つのポイント
続いて、ソーシャルレンディングのリスクを軽減するために気を付けたいポイントを解説します。
【その1】元本・投資期間は要チェック
ソーシャルレンディングの失敗でよくあるのが、元本保証がないことや、所定の期間中は元本を返してもらえない、という事実を見落とすことです。
これらはソーシャルレンディングの基本的な知識なのですが、手軽にお金を増やすことができるというメリットに気を取られて、あとで気づいて後悔するというケースが少なくありません。
利回り3~10%と、決して高くはない利回りですが、元本割れをするリスクがあり、満期が来るまで償還できない、という事実は知っておくとよいでしょう。
【その2】 事業者は信頼できるか?
事業者については、ぜひ入念に、その信用をチェックしましょう。
新興な上、大資本がバックにない業者には注意が必要です。現に、そうしたマイナー業者を中心に、ソーシャルレンディングというサービス自体の信用を失墜させる事件が複数起きています。
どんなに慎重に審査していても、不測の事態によって貸し倒れが起こるリスクはゼロではありません。金融機関の代表格である銀行でも、貸し倒れに備えるための資金を確保しているくらいです。
ソーシャルレンディングには、常に貸し倒れのリスクが付きまといます。そのリスクを軽減するために、どういった企業努力を行っているか。そして、その努力に対してどういった結果が出ているか、という点で、サービス会社の力量を図ることができます。
誠実なソーシャルレンディング業者は、貸出案件に対する貸倒率や延滞率を、投資家にしっかり提示しています。
もちろん、数字を出していないから信用できない業者、というわけではありませんが、初心者のうちは、そういったわかりやすい数字に着目して業者を選ぶことをおすすめします。
【その3】担保を過信しすぎない
投資案件を選ぶ際、担保が付いている、という事実は安心感に繋がります。
とはいえ、担保が付いているから万が一貸し倒れが起きても大丈夫だろう、と判断するのは禁物です。というのも、担保の価値を十分に判断することが難しいからです。
そもそも大抵のモノの価値は変動するものですし、望んだ価格でその担保を売却できるとも限りません。
また、仮に売却できたとしても、その案件が集めた資金全額を賄えるケースは多くないでしょう。担保はあくまでもオプションです。投資案件を決定するときは、もっと具体的な根拠。たとえば、客観的な数字などに目を向けることが大切です。
まとめ
ソーシャルレンディングの失敗には、大きく2つのパターンがあります。
自分のミスによるものと、業者トラブルによるものです。自分のミスならまだ納得できますが、業者トラブルによる失敗は、泣くに泣けません。
これは新興の投資分野に付きまとう問題ですが、信用できる業者とそうでない業者をしっかり見極められるよう、慎重に情報収集した上で投資判断を行うことが大切です。