【徹底解説】不動産投資が抱えるリスクの種類と対策
By Oh!Ya編集部
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不動産投資にもリスクがあります。ただ、投資する前にそのリスクを把握し、対策を知っておけばリスクヘッジすることは可能です。今回は、不動産投資が抱えるリスクを紹介し、そのリスクへの対策法を解説していきます。
不動産投資が抱えるリスクの種類と対策
不動産投資のリスクは、大きく分けて以下の種類があります。
- 金銭面
- 物件面
- 運用面
この3種類のリスクのどれを重点的に対策すべきかは、不動産オーナーによります。まずは、3種類のリスクと対策を網羅的に理解しておきましょう。
金銭面
金銭面で抱えるリスクは以下の点です。
- 抱える債務
- 金利の上昇
- 増税の関係
抱える債務
まず、投資用物件を購入するときにはローンを組むケースが大半なので、そのローンという債務を抱えるという点はリスクです。ローンは借入額や金利によっても異なるので、対策としては入念にローンシミュレーションをすることになります。
【対策】ローンシミュレーションをきちんと行う
ローンシミュレーションをする際には、まず借入年数と金利を入力して、総返済額と月々返済額を算出します。金利は金融機関ごとに異なるので、実際に借入できる金利でシミュレーションしましょう。また、借入期間によって月々返済額は大きく異なるので、自分の無理のない範囲の借り入れが重要です。
ただし、借入期間を延ばしすぎると、月々返済額は下がりますが、ローンを負担する期間が長くなってしまいます。そのため、借入期間は20年~25年程度にしつつ、目安としては10年以内に借り入れ割合を40%にすることです。
10年以内に借入額を40%以内にすれば、次項で解説する金利の上昇時にも対応できます。不動産投資時に組むローンは、自分の年収や年齢以外に、その物件からの収益性も重視します。それは、逆に言うと身の丈以上の借り入れも可能ということなので、借入額は自分でコントロールしましょう。
金利の上昇
次のリスクは金利上昇というリスクです。不動産投資ローンも、変動金利、一部期間固定金利、全期間固定金利の3種類があります。変動金利は半年ごとに金利を見直し、5年に1回のペースで返済額に反映するプランです。
一部期間固定金利は、たとえば「10年固定」であれば、10年間は固定金利でその後は固定か変動かをもう一度選ぶプランになります。つまり、変動金利と一部固定金利を選ぶと、金利上昇局面で支払額が上がる可能性があるということです。
【対策】金利上昇をシミュレーションしておく
さて、そんな金利上昇リスクへの対策は、金利上昇をシミュレーションしておくことです。
1つのシミュレーションケースとしては「全期間固定金利を選んだときの金利まで上がっても支払いできるか」で考えることです。全期間固定金利は、金利変動リスクがない分、3種類のローンの中で最も金利が高く設定されています。
それでも、変動金利を選ぶということは、「全期間固定金利までは金利が上がる可能性は低いだろう」と思う人が多いということです。つまり、全期間固定金利でシミュレーションしておくことは、世間でいう「予想外な事態」にも対応できるということになります。
増税の可能性
次のリスクは、増税リスクを考えることです。不動産投資のリスクに関係する税金は以下3つの税金になります。
- 消費税
- 不動産取得税
- 固定資産税
物件購入時には消費税と不動産取得税がかかり、物件運用していくと、継続的に固定資産税がかかってきます。不動産取得税に関しては、仲介会社に概算を出してもらい、それを加味することが対策です。
【対策】増税リスクの把握
不動産売買における消費税は、まず土地は非課税で建物は課税です。ただし、個人が売主の場合は建物は非課税になります。
つまり、物件取得時に消費税がかかるのは、法人が売主の建物部分だけです。消費税は売買契約時ではなく「引渡し時」の税率が適用される点は覚えておきましょう。
不動産投資の物件は、個人も法人もどちらのケースも考えられます。そのため、特に消費増税に近づいたときに売買契約を交わすときは、消費税率に気を付けましょう。
また、不動産運営時にも固定資産税がかかります。固定資産税には、以下の軽減が適用されます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分):固定資産税評価額 × 1/6
- 一般住宅用地(200㎡を超える部分):固定資産税評価額 × 1/3
大切なのは上記の軽減税率は途中で変わる可能性もあるので、不動産を取得した後も油断せずに随意チェックしていきましょう。
物件面
次に物件にまつわる以下のリスクを解説します。
- 天災
- 物件の老朽化
- 価値の低下
天災
天災による被害で気を付けるべきは、地震・火事・水災の3点になります。これは、実物資産を保有するという、不動産投資ならではのリスクと言えるでしょう。
地震
日本は言わずと知れた地震大国になるので、地震に対するリスクはつきものです。特に、築年数によって耐震基準が異なり、建物の耐震性が異なる点は要注意です。
【対策】耐震基準を確認する
耐震基準については、旧耐震か新耐震かを確認しましょう。建築基準法の耐震については、今まで何度も変更を繰り返しています。その中でも1981年6月に施行された変更が一番大きく、この時期を境に旧耐震と新耐震に区別されているのです。
そのため、投資物件が旧耐震か新耐震かで資産価値は大きく変わってきます。ここで大切になるのは、1981年6月に「竣工」されたかで判断するのではなく、「建築確認の許可が下りたか」という点で判断するということです。建物を建築するときは、大まかにいうと以下の流れになります。
- 建築確認申請
- 建築確認審査OK
- 着工
- 上棟(外観の完成)
- 竣工(全て完成)
- 検査済み証発行
上記のように、まずは建築基準法に準拠しているかどうかの確認をする「建築基準法確認申請」をして、受理されなければいけません。この建築確認申請を旧耐震で行っていては意味がないので、建築確認申請の時点1981年6月以降である必要があります。
火事
次に火事に対するリスクです。最近では、火事で家が全焼するような事件は少ないですが、自分の物件が全焼してしまえば、資産がなくなってしまうということです。
【対策】構造と立地
そんな火事への対策は、構造と立地に気を付けるという点です。一般的に建物の構造は以下に分かれます。
- 木造
- 鉄骨造
- RC造(鉄筋コンクリート造)
- SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
上記は、番号が若いほど火事のリスクは高いです。木造物件に投資するときは、アパート投資の場合が多いでしょう。2階程度の小規模なアパートであれば木造のことが多く、3階以上であれば鉄骨造の場合が多いです。また、マンションはRC構造が多く、大規模なマンションになるとSRC造のケースが多いです。
木造が火事のリスクは高いとはいえ、自分が投資したい物件が木造の場合もあります。また、上記の中で火事のリスクが高いだけで、そもそも今の日本で建物が火事になるリスク自体は決して高くはありません。
そのため、木造を選択しても良いですが、木造家屋が密集しているエリアを避けたり、緊急車両が入りにくい道路に面していたりする物件は避けましょう。
水災
次に水災です。水災とは、大きく分けて川の氾濫・豪雨・津波の3つのリスクに分けることができます。
【対策】ハザードマップの確認
水災に関する対策は、ハザードマップをチェックすることです。今は、ハザードマップはインターネットで閲覧することができるので、「地名 ハザードマップ」で検索してみましょう。豪雨を想定したときの、豪雨による浸水リスクや、川の氾濫リスクをチェックすることができます。
また、湾岸エリアなどは津波リスクを心配する人も多いと思いますので、津波による被害想定もハザードマップでチェックしておきましょう。
これらのリスクを物件取得時に心配するということは、そこに住む人も同じように心配します。また、その物件を将来的に売るとき、買主が心配する事項でもあるのです。
物件の老朽化
つづいて、物件の老朽化というリスクです。物件の老朽化も、実物資産という不動産投資ならではのリスクと言えるでしょう。
【対策】修繕計画のチェック
物件の老朽化への対策は、以下の修繕計画にまつわることです。
- マンションの区分所有は修繕計画をチェック
- 建物を所有するなら修繕金の積み立て
建物は、築年数が経過するにつれて劣化していきます。そのため、マンションの区分(1部屋)所有であれば、元々のマンション修繕計画をチェックしましょう。細かい箇所まで修繕金の想定や、修繕内容の想定ができているかをチェックします。
この辺りは、複数物件チェックしないと判断しかねる部分でもあるので、物件選びの過程で修繕計画はチェックして経験を積んでおくと良いでしょう。
また、アパート経営や一戸建て経営など、建物を自分で所有する場合は、修繕金を積み立てておく必要があります。具体的には、以下のような修繕金が必要です。
- 屋根・外壁の修繕
- 給湯器の交換
- 配管設備の交換
目安としては、築10年目ぐらいに大きな修繕費用が掛かると思っておくと良いでしょう。具体的な金額は構造などによるので、仲介会社や管理会社と相談してプールしておくことをおすすめします。
価値の低下
次に、物件価値が下がってしまうリスクです。価値が下がるということは、物件の劣化などもありますが、一番のリスクはエリアの価値が下がることです。そのため、分かりやすい指標として路線価と地価(公示地価)の低下について、それぞれ対策を解説します。
ただ、路線価は公示地価を参考に算出しているので、この2つの価値が低下することへの対策は共通しています。つまり、以下「路線価」「地価」の低下に関する対策は、どちらもエリアの価値低下に対する対策ということです。
路線価
路線価とは、土地の相続税評価額を算出するために利用します。土地が接している道路に路線価という価額が設定されているという仕組みです。路線価が下がるということは、相続税評価額も下がり相続税も下がるのですが、その土地の資産価値も下がるということです。
【対策】路線価の推移と道路づけ
まずは、路線価図で自分が購入しようとしている物件の路線価をチェック※しましょう。角地などは計算が難しいことがあるので、土地が接している道路の路線価だけをチェックすれば良いです。大事なのは、路線価がここ数年で大きく変化していないか?という点になります
その物件の路線価が大きく変化しているのであれば、何か原因があるはずです。その変化は物件価値にも反映されている可能性が高いので、不動産会社などにエリアの変化をヒアリングしましょう。また、これは次項の地価(公示地価)にも言えます。
地価
地価とは、一般的には「公示地価」のことを指します。国土交通省から指定された土地鑑定委員会(不動産鑑定士)が、毎年1回、決められた地価を算出する価額です。地価は、土地の利用状況や、実際の取引事例を基に算出され、公示地価が路線価や固定資産税評価額などの基になる価額です。
【対策】人口密度をチェック
そんな公示地価も、まずは路線価と同じように国土交通省※2のサイトで金額の推移を調べましょう。地価が上下していて、それが不動産価格に反映しているときは、そのエリアの需要の増減が関係していることがあります。
要は、需要が高まっていれば価格は上がっていて、需要が下がっていれば価格は下がるというわけです。その需要を見る指標としては、総務省統計局※2のデータを見ると良いでしょう。地価の上下と人口密度や流入予想で、需要を判断することが可能です。
運用面
次に運用面のリスクである以下の点を解説します。
- 空室が発生した場合
- 管理会社の倒産
- 家賃滞納リスク
空室が発生した場合
空室になると賃貸収入がゼロになるので、不動産投資においては大きなリスクと言えます。空室を完全に防ぐことはできませんが、以下の対策をすれば空室率は改善することができます。
【対策】オーナーとしてできることを最大限行う
効果のある空室対策は以下です。
- 競合物件との比較
- 金曜日に管理会社へ営業する
- 建物の共用部をチェックする
まずは、家賃や設備・仕様などを競合物件と比較しましょう。特に、比較的築年数の浅い競合物件が多いときには、その物件と比較されて中々賃付けできないケースもあります。
また、賃付けを担当している管理会社(仲介会社)は、主に土日に接客した顧客を賃付けします。ただ、その管理会社もたくさんの物件を抱えているので、その中からどの物件を顧客に紹介するかは分かりません。
そのため、金曜日に営業担当者に連絡をして、自分の物件の存在をリマインドしておきましょう。地味な事ですが、意外と効果を発揮することでもあります。
仮に、アパート経営など、自分が建物も所有しているなら、共用部を隈なくチェックしましょう。共用部とは、外部廊下やエントランスのことで、この共用部が汚れていれば、せっかく見学にきても成約しない可能性が高くなります。管理会社に任せていたとしても、自分の目でチェックし指摘することが大切です。
管理会社の倒産
不動産投資は賃付けや契約、家賃回収などを管理会社に依頼することが多いです。ただ、回収した家賃を受け取る前に管理会社が倒産してしまえば、家賃をもらえないかもしれません。また、敷金は管理会社が預かっているので、倒産してしまえばどうなるか分からないというリスクもあるのです。
【対策】信頼できる管理会社選び
管理会社の倒産リスクへの対策は、以下の点をチェックし信頼できる管理会社を見つけることです。
- 管理戸数
- 賃貸住宅管理業登録制度
まずは、管理会社の管理戸数や実績を確認しましょう。管理戸数などは企業のホームページに記載していることが多いですし、担当者に聞けば教えてくれます。逆に、公表していない管理会社であれば、実績の少ない会社の可能性が高いです。
管理会社の収益は管理戸数が多いほど安定します。さらに、不動産管理はリスクが少ない事業なので、ある程度の規模を管理していれば、その管理会社の収益は安定しやすいです。
また、管理会社が賃貸住宅管理業に登録していれば、倒産したことで家賃や敷金が支払えないという状況を防げます。なぜなら、賃貸住宅管理業に登録しているということは、入居者から受け取った家賃や敷金を、会社とは別の口座で管理しているということだからです。
登録しているかどうかは、国土交通省※のホームページで調べられるので、管理会社を選定する前に必ずチェックしましょう。
家賃滞納リスク
不動産オーナーが空室リスクと同じくらい嫌がるリスクが、入居者が家賃を滞納するリスクです。滞納だけならまだしも、未払いのまま住み続けられても、強制的に追い出すのは困難になります。家賃を滞納しているのだから退去命令は当然出せますが、無理やり追い出すことはできず、最悪の場合裁判にまで発展するのです。
【対策】入居審査と保証会社
そんな家賃滞納リスクへの対策は、入居時の審査を徹底することと、保証会社を活用することです。一概には言えませんが、入居審査では以下のような点をきちんと審査しましょう。
- 年収は安定しているか?
- 職業柄「歩合給」の割合は多くないか?
- 勤続年数は短くないか?
- 年収と家賃の比率は適正か?
家賃を滞納するということは、家賃を支払えなくなる状況ということです。もちろん、いくら年収が高くても、入居後に多額な借金などをして支払い不能になることもあります。ただ、入居後のことまでは分からないので、少なくとも入居時の段階では、上記を調べて年収の安定性を図っておきましょう。
また、家賃保証会社を義務付けるという手段もあります。家賃保証会社とは、入居者から家賃が支払われないと、代わりに家賃を支払ってくれる会社です。連帯保証人がいれば家賃保証会社は不要ですが、保証会社を義務付ければ家賃滞納リスクは小さくなります。
まとめ
このように、不動産投資にはリスクがありますが、それぞれ対策があります。まずは全体を把握し、どのリスクを重点的に対策すべきかを考えましょう。そうすれば、リスクの小さい不動産投資につながっていきます。