初心者も分かる!サラリーマンが副業で不動産投資をする場合の注意点
By Oh!Ya編集部
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バブル崩壊までは、安定した企業に定年まで勤めあげさえすれば、退職金や公的年金で老後の暮らしは安泰といわれていました。 ところが、長引く不況や少子高齢化の影響、働き方改革などの社会の変化により、そういった常識はもはや過去のものとなりつつあるといわれています。
会社員としてお勤めをされている方で、老後対策や資産形成の一環として、不動産投資に興味をもたれている方は大勢いらっしゃると思います。しかし、いざはじめようとすると、勤務先の副業規制上問題は生じないか、どのようなプロセスをへて投資を始めればよいものか、迷ってしまいますね。
この記事では、サラリーマンが副業として始める不動産投資の始め方について、ステップごとに手順をご紹介します。
不動産投資は副業扱いなの?
不動産投資は、「投資」なのでしょうか、「副業」なのでしょうか。 「サラリーマン大家さん」という言葉に表されるように、不動産投資には資産運用の側面に加えて事業としての要素も含まれます。副業と判断されると、本業である会社の就業規則に抵触しないか気になりますよね。
原則としては副業とみなされない
不動産投資は、資産運用を主たる目的として行われるので、原則としては、副業であるとはみなされません。資本主義社会において自身が持つ資産を運用し殖やして豊かになることを目指すことは、自由に認められるべきですし、推奨されるべきことでもあります。
しかし、上記はあくまで原則です。不動産投資の規模が大きくなり、本業の給与収入よりも不動産投資による家賃収入や売却益のほうがはるか上回っている場合。不動産投資にかける時間や手間が本業にも影響するような規模になってしまう場合は話が違ってきます。 こうした場合は、不動産投資の事業としての側面がクローズアップされ、副業であると判断されることもあるのです。
目安として、不動産投資=事業となるメルクマール(指標)として、1棟10室と言われています。本業の収入規模によっても異なるので絶対ではありませんが、一応の目安として覚えておくと良いでしょう。
就業規則を確認しておこう
勤務されている会社の就業規則を確認し、「副業が禁止されているのか」、「禁止されている副業はどのようなものか」をチェックしておきましょう。
従前の日本社会では、サラリーマンの副業はご法度でした。 理由としては、従業員に副業をされると、本業に集中してもらうべきエネルギーや時間が分散してしまうことや、競合他社の案件を取り扱われることで自社のノウハウや秘密情報が漏洩してしまうことが心配されるためです。
しかし、冒頭で記述したように、終身雇用により老後の生活が保証されていた時代が終わりを告げるとともに企業や社会のスタンスも変わってきました。
企業としても、自社で十分な給与を支払うことが難しいことを自覚している場合は、他で副収入を得て生計をたててもらうことを容認する場合もあります。また、副業・パラレルワークによりプラスで得られた人脈・知識・経験により、一回り成長した従業員が自社の業務に貢献してくれることを期待する側面もあるからです。
副業を「推奨・容認・禁止」するというスタンスは、企業によって大きく異なります。そのため、不動産投資に一歩踏み出す前に就業規則を確認して、自社ではどのような取り決めをしているのかを確認する必要があるのです。
一定の範囲での副業は憲法で認められた権利でもあるので、完全に不動産投資が禁止されるという可能性は低いかもしれません。安定した本業での給与収入は、不動産投資のローンを支払っていくためにも必要なものです。雇用主とトラブルにならないように十分に気をつけて進めましょう。
サラリーマンが不動産投資をする場合の注意点
サラリーマンは会社との間で雇用契約を締結し、誠実かつ勤勉に業務を実施する義務があります。そのため、サラリーマンが不動産投資をする場合、あくまで本業に差し支えないよう配慮をして行う必要があります。
本業はしっかりやる
大前提として、本業にさく業務時間を不動産投資に傾けないようにしましょう。これを精力分散禁止義務といい、副業を容認している企業であっても、この義務は従業員に最低限課しています。不動産投資の勉強や事務作業は、土日など勤務外の余暇で行うようにしましょう。
賃貸物件は不動産管理会社に委託する
本業に集中するためには、アウトソースができる部分は不動産専門の業者に業務委託をすることが必要です。
不動産投資による収益は家賃収入が中心となります。 家賃収入を得るために必要な業務は以下の通りです。
- 賃借人の募集
- 入居や退去の管理
- 賃料の回収や滞納の対応
- 原状回復
- 賃借人からのクレーム対応
上記のような不動産管理業務が必要になります。
例えば雨漏り・騒音などのクレームは24時間365日発生する可能性があるので、とても片手間で行うことはできません。そのため、サラリーマンが不動産投資をする場合は、信頼できる不動産管理会社をみつけて、それらの業務を一任するという選択肢が現実的でしょう。
自分で確定申告を行う
不動産投資をする場合は、毎年確定申告が必要です。不動産投資から得られる家賃収入から、金融機関への利子、固定資産税、損害保険代、建物の減価償却分などの経費を差し引いて確定申告をすることで、税金の還付を受けることができます。
確定申告は税理士などに委託することも出来ますが、サラリーマンによる不動産投資のように小規模な場合は、資産運用の一貫として自分で確定申告を行うのが良いでしょう。自分で確定申告を行うことにより、税理士にかかる費用も節約できるし、キャッシュフローも把握できるというメリットがあります。
副業として不動産投資を始めるには
ここからは、副業として不動産投資を始めるための具体的なステップをご説明します。
不動産投資はシンプル
不動産投資と聞くと難しそうに思えますが、実はとてもシンプルな投資方法です。不動産投資で収益をあげる方法は、物件購入時よりも高い値段で売却して差益(=キャピタルゲイン)を得る方法と、家賃収入(=インカムゲイン)を得る方法です。
キャピタルゲインとインカムゲインを得るために、賃借人がつきやすい優良な物件を適正価格以下で購入し、コツコツと物件管理をしていくシンプルな業務を行っていきます。
株式や FX との違い
不動産投資は資産運用の方法の一つです。投資といえば、株式やFXなど有価証券への投資がイメージしやすいかもしれませんが、これらとの違いは一口でいえば投資対象の違いです。 不動産投資は土地と建物に資金を投資するので、通常株式やFXよりも投資対象の価値が高く、高額な資金が必要です。そのため、不動産投資は多くの場合、金融機関からの融資を受けて行われます。
一方の株式やFXは、基本的に自己資金のみで行われ、株式やFX投資を目的としたローンは存在しません。投資額が多く必要という意味ではリスクに感じられるかもしれませんが、キャッシュを手元に置きつつ、長期返済ローンで投資を行うことができるということは、レバレッジの観点で非常にメリットがあります。
また、不動産投資のメリットとしては、投資対象の価値が完全にゼロになるということがない、という点です。株式やFXは失敗してしまうと最悪の場合、投資対象物である有価証券はただの紙切れになってしまいます。一方、不動産は有体物(資産)ですので、いきなり消えて無くなることはありません。賃貸や売却によって換金していくことができます。
物件を「買う」「貸す」「売る」
不動産投資に必要なステップを細かく見ていくと、物件を「買う」「貸す」「売る」に分けられます。
不動産投資を進めるステップ
不動産投資のステップごとに、やるべきことや注意しておきたいことをご紹介します。
不動産投資の入口と出口戦略を考える
不動産投資は、入口(購入)と出口(売却)がとても重要です。物件を保有して運用する期間や売却のタイミングは、人によって、また物件によって大きく異なります。 長期かつ高額な投資になるので、決して、決断がいきあたりばったりにならないようにしましょう。物件の購入前、物件保有中、物件売却それぞれについて戦略的に行動することが大切です。
物件を購入する前にやること
まずは、大変重要な物件選びです。不動産投資の成否は、星の数ほどある不動産の中から、確実に収益が見込める物件を選定して、適切な価格で買い付けることにかかっています。
- 机上で不動産相場のチェック まずは、予算、不動産収入から得たい利回り率、希望エリア、将来的にその物件を自分で利用したいかなどの諸条件を整理します。
その後、大まかな情報収集をはじめましょう。インターネットや書籍等で、希望にあった不動産の相場をチェックします。投資用不動産のポータルサイトなどでは、希望利回りと予算を入力することで簡単にリサーチができます。 また、収益物件の取引に強い不動産仲介業者をいくつか回り、希望する条件の物件が市場に現れたら教えてもらうように頼んでおきましょう。
- 現地で物件の現況チェック 気に入った物件候補を見つけたら、必ず現地を訪れて自分の目で確認しておきましょう。周辺環境や住民の雰囲気、日当たりなど、インターネット上では確認できない物件の情報は現場に行かなくてはわかりません。
投資用物件の場合は、賃貸中の物件のオーナーチェンジのときなど、入居者がいて内覧ができないこともありますが、そうでない場合は内見も必ずさせてもらいましょう。
- 物件購入の手続きをチェック いよいよ物件の購入を決めたら、物件を購入するための手続きに入ります。 不動産を購入する際は売買契約を締結します。契約手続きは、重要事項説明書を事前に提示されたうえで、宅地建物取引士の資格を有する担当者によって行われます。
法人から購入する場合、新築物件については10年間の瑕疵担保がつきますが、個人から中古物件を購入する場合は、特約によって建物についての保証がないことが一般的です。 築古物件等を購入する場合は、第三者のホームインスペクターに事前にチェックをいれてもらうなど、建物に大きな瑕疵がないかを確認してもらいましょう。
不動産を購入したら、司法書士に依頼して、保存登記または所有権移転登記をしてもらいます。これで、晴れて不動産のオーナーとなります。
物件の賃貸運用中にやること
物件を購入したら入居者を探して賃借に出しつつ、管理維持をしていきます。
不動産管理会社を見極める
上述のように、サラリーマンが副業として不動産を賃貸運用していく場合は、管理を不動産管理会社に委託することが一般的です。
不動産管理会社とは長期の付き合いになるので、コミュニケーションが取りやすく、料金がリーズナブルな業者を選びたいところですね。数社に賃料査定と手数料の査定を依頼し、担当者と面談して相性を確認しましょう。不動産仲介業者から紹介を受けることもあります。
不動産管理会社のサービスプランには様々なものがあります。
- 賃借人の募集
- 空室保証
- 家賃保証
- 共用部の整理
- 管理組合との調整
- 原状回復
- 入退居管理
- クレーム対応
- 賃料回収
フルパッケージで提供する会社もありますし、料金をおさえて一部のみを受託している会社もあります。
空室対策を行う
不動産管理において、オーナーにとって最も大きなリスクの1つに空室リスクがあります通常の不動産投資は、金融機関から融資を受けて家賃の返済に充当しつつ、差益をコツコツとためていくという投資方法です。 そのため、空室が発生すると、その月のローン返済は手持ちの資金から持ち出しをしなければならず、キャッシュフローが悪化します。投資用ローンの返済のほかに自宅ローンの返済もある場合、もし空室が続くと、最悪の場合は物件を手放さなければならなくなる可能性もあるでしょう。
空室リスクを軽減するためには、どんな対応策がある?
1つは、不動産管理会社との契約を集金代行契約ではなく、サブリース契約にするという方法。集金代行契約は、貸主が物件のオーナー、借主が入居者となり、不動産管理会社は貸主のために家賃の集金等の事務を受託するのにすぎません。
一方でサブリース契約では、貸主は物件オーナー、借主はサブリース会社です。サブリース契約会社は、物件を更に居住者に転貸します。
サブリース契約のメリットとしては、空室となったとしても、空室期間の家賃がサブリース契約から不動産オーナーに振り込まれます。デメリットとしては、サブリースの場合の手数料は家賃の10%から15%と高額である点です。 管理代行契約の場合は、手数料の相場は家賃の1〜3%程度ですので、年間で見るとかなり差が出ます。 また、サブリース契約で保証される家賃は未来永劫据え置きされるわけではなく、入居者の入れ替わり等のタイミングで、賃料の見直しがなされます。
こういったメリットデメリットを踏まえて、たとえば駅から近い人気物件であれば、空室リスクを多少とっても管理代行契約を選ぶオーナーが多いです。
もう一つの空室対策として、適切なタイミングでリノベーションやリフォームをする、共用部分の管理がきちんとしている管理会社を選ぶなどして、物件の価値を維持する努力をする、ということがあります。部屋を借りるときは、通常周辺の物件と比較をして決めるので、周囲と比べて魅力的な物件である必要があるためです。
また、家賃設定を高めに設定しすぎて利回り計算を見込まないようにしましょう。家賃を上げると当然利回りは改善しますが、周辺物件と比べて割高感があると、どうしても空室リスクが発生してしまいます。
物件を売却するときにやること
投資用不動産には必ず出口が存在します。つまり、どこかのタイミングで売却に出すことになるので、売り時の見極めが大切です。
- 不動産会社に物件の査定を依頼する
不動産の売却を考えたときは、まず複数の不動産管理会社に物件の査定を依頼しましょう。インターネット上の一括査定サービスを利用すると、大手不動産仲介会社を含む複数の会社から、簡単に見積もりを取得することができます。
- いくらで売れるか自分でも査定してみる
不動産仲介会社の査定結果なども参考にしつつ、自分でもいくらで売れるか査定してみましょう。周辺の競合物件の売り出し価格や賃料を見ると、自分の物件がいくらで売れそうか想定できます。想定される物件価格から、売り出し価格と値引き交渉に応じても良い幅を予め検討し、不動産仲介会社にうまく伝えましょう。
土地総合情報システムのサイトから過去の不動産取引情報を見ることができます。 (参照:不動産取引価格情報検索)
- 売却した後の戦略を立てておく
手持ちの不動産を売却したら、それを元手に不動産を買い換えるのか、他の用途に使うのか等含めて、売却後の戦略も考えておきましょう。複数の物件を所有している場合、売却によって、不動産投資全体のポートフォリオがどのように変わるのか、も計算しておきたいところです。
資金計画を立てよう
不動産投資は長期にわたりローンを返済し、家賃収入を得るので、綿密な資金計画が必要です。
- 頭金をいくら入れるのか
- ローンの返済金利はいくらか
- 返済期間は何年か
- ボーナス払いを併用するか
などの要素によって数百万円単位で運用結果が変わってくる可能性があります。インターネットや、不動産仲介会社のサービスで、資金計画のシミュレーターが利用できるので、複数のパターンを作って試算してみることをおすすめします。
早期に購入して定年まで支払うプランの場合、子供の教育資金や転職などのライブイベントで、当初の資金計画から変更をした方が良い場合もあります。資金計画を立てたら、定期的に見直しをしてみましょう。
キャッシュフロー次第ですが、無理のない範囲で繰り上げ返済をしていくことで利回りを改善し、金利の支払い額を圧縮していくことも一つの方法です。
収益物件を探そう
収益物件の選び方には様々な考え方があります。利回りがよく、空室リスクが少ないバランスの良い物件が理想的です。 利回りは物件から得られる収益が投資額に占める割合なので、物件価格が安いほど高利回りとなります。しかし、あまりに相場よりも格安物件という場合は、駅から遠かったり、事故などのヒストリーがあったり、 安い理由があるので注意が必要です。 そうなると入居者が付いている間は良いものの、空室になるとなかなか埋まらず、キャッシュフローを圧迫してしまう可能性があります。
良い物件とは、安定的な利回りかつ空室リスクが低く、継続的な賃料収入を生み出す物件と言えます。こうした物件は資産価値も高いので、売却の際にも次のオーナーに需要があり、値段が下がりにくいのがメリットです。
不動産の売り物件は、毎日のようにレインズというマーケット情報ネットワークにアップロードされます。 (参照:レインズ) 優良物件には人気が集中するので、長丁場で探していくことが良い収益物件と出会う近道と言えるかもしれません。
収益物件を購入しよう
収益物件の購入にあたっては、物件選びとともに金融機関からいかによい条件で融資を得られるかも重要です。不動産管理業者から提携ローンを紹介してもらえる場合もありますし、自分で開拓する場合も。 現在は低金利時代と言われているので、変動金利で低い金利で融資をしてくれる銀行も多くあります。
頭金を多く入れるほど金利がさがるので利回りはよくなりますが、ローンのレバレッジを利用し「無理のない範囲で」、としましょう。ある程度、不動産投資が軌道にのれば、様子をみつつ繰り上げ返済をしていくのも一つの方法です。
複数の不動産を所有し、1軒目を頑張って完済したら、賃料収入で2軒目、3軒目の返済に充てていくと、不動産投資にはずみがつき良いサイクルが回ります。
収益物件の管理会社を探そう
収益物件の管理会社を選ぶ際は、大手不動産管理会社から地元の不動産管理会社まで複数会ってみることをおすすめします。 新興の不動産管理会社などは、大手と対抗するために、不動産管理手数料ゼロ円というプランを提案していることもあります。ただし、こういった会社はスタートアップで人手が足りず、管理がずさんになってしまうこともあるので注意しましょう。
管理手数料を比較しつつ、対面で実際に会って信頼できる会社であることの見極めを行っていくことは重要です。
家賃収入を管理しよう
無事に賃借人が決まり、家賃収入が入金され始めたら、入金された金額をきちんと把握するように管理しましょう。できれば、不動産投資専用の銀行口座をつくることがおすすめです。1月から12月の家賃収入は、翌年2月〜3月の確定申告で、事業収入として申告する必要があります。
不動産投資を副業で行うメリット
サラリーマンが不動産投資を副業で行うことには様々なメリットがあります。
家賃収入が得られる
家賃収入が定期的にはいってきます。賃貸借契約は通常2年間ずつ更新されていくので、毎月一喜一憂することなく、不労所得が得られるという点は大きな魅力です。 長引く不況の中、会社からの給与収入のほかに収入源があるということは、大きな心の支えや気持ちのゆとりになりますよね。
ローリスク・ミドルリターンが狙える
不動産投資は、他の投資手法と比べて、ローリスク、ミドルリターンが狙える投資手法と言われています。たとえばFXのような投資手法はうまくいけばハイリターンが生まれますが、投資対象を間違えたりタイミングによっては、資産価値が急落するハイリスクハイリターンの投資手法です。
株やFXなどと比べると、不動産は消えて無くなるものではないので、投資対象の価値が下落してもゼロになることはありません。 もちろん、不動産価値の下落や、震災・火災で建物が損傷したりと、リスクをゼロにはできません。適切な物件を選択したり、損害保険をきちんとかけておくことで、それらのリスクはある程度コントロール可能です。
リターンについては、東京などの都市物件だと4%~7%、地方物件だと15%程度の利回りが見込める場合が多いです。決して一夜にして資産が倍増するような投資方法ではありませんが、銀行預金の金利が1%未満である低金利時代にこれらの金利での運用が安定的に見込めれば、ミドルリターンを期待できるといって良いでしょう。
給与所得者はローンの融資が受けやすい
金融機関からの融資を受けるにあたっては、サラリーマンという職業は非常に有利です。一方、いくら現金が手元に大目にあったとしても、自営業者や芸能人などは、数十年にわたって今の安定した収入があるかわからないという理由から、融資の審査は厳しめです。
サラリーマンは、たとえ月々の収入はさほど多くなくても、安定した企業に一定の勤続年数で勤めている場合、給与収入が今後数十年にわたって入ってくるだろうという予測をもって審査をされます。こういった意味でも、サラリーマンの副業として、不動産投資は相性が良いのです。
副業としてのリスクの負担が少ない
本業と副業どちらも持つことで、リスクヘッジ効果が期待できます。サラリーマンとして安定した給与収入があるので、副業である不動産投資のリスクは、専業で大家さんをしている不動産賃貸事業家よりも、負担が少ないと言えるでしょう。
生命保険の代わりになる
不動産投資のもう一つの魅力は、生命保険の代わりになるという点です。投資用ローンを組むときに、通常団体信用生命保険に申し込みをします。団体信用生命保険、通称団信に加入すると、債務者が死亡したり高度障害状態になった場合には、ローンの残債が免除されて、不動産はそのまま遺族等の手元に残ります。
誤解されやすい不動産投資の不労所得
よく不動産投資は不労所得であるといわれますが、完全に労力がかからないかというと、そんなことはありません。
収益物件は管理が必要
収益物件を保有している間、こまめな管理が必要です。共用部分が荒れていたり、クレームにすぐ対応してくれないような大家さんだと、競合物件に負けてしまいかねません。これでは賃借人が出て行ってしまいます。不動産管理会社に委託はできますが、管理は必須です。
賃貸経営は経費が必要
賃貸経営には、一定の経費がかかります。代表的な経費は、毎年支払う固定資産税や、地震保険火災保険などの保険料、ローンの金利の支払いなどです。 また、入居者が交代するときに経年劣化部分については原状回復を貸主の負担で行わなければならないので、修繕積立金を用意しておかなければなりません。区分マンションの場合は、管理組合に支払う管理費等も別途発生します。
空室対策が必要
不動産賃貸経営には空室対策が必要です。古くなった物件には適切なタイミングでリフォームをしたり、賃料を見直したりする等の検討が定期的に必要になります。 キャッシュフローと利回りをみながら、場合によってはサブリースをした方が良い場合もあるでしょう。
物件の管理業者と仲介業者の違い
投資物件の管理業者と仲介業者は役割が違います。前者は購入後の不動産の管理が仕事、後者は物件の売買が仕事です。同じ不動産会社の系列でも、仲介業者からオススメされた管理業者が、ご自身の物件に最適であるとは限りません。管理業者とは長い付き合いになりますので、ご自身の目できちんと選定しましょう。
不動産の売買には諸費用が掛かる
不動産の売買には、少なからず諸費用が掛かります。諸費用については投資用ローンでカバーされないことも多いので注意しましょう。
不動産を「買う」ときに掛かる費用
まず、不動産を買うときには以下のような費用が掛かります。
- 仲介手数料
物件価格が400万円超の場合は、売買価格の3%+6万円を仲介手数料として不動産仲介会社に支払う必要があります。
- 印紙代
不動産売買契約を締結する際、物件価格に応じた印紙税額の印紙を契約書に貼り付けます。売主と買主折半が通例です。
- 不動産登録免許税
不動産を購入したあと、登記を移転しますがこの際に不動産登録免許税の支払いが必要です。
- 不動産登記手数料
登記を司法書士に依頼する場合、司法書士に支払う手数料が必要です。
- 固定資産税
毎年土地建物それぞれに対して、固定資産税がかかります。
- 不動産取得税
不動産を購入した際に、不動産取得税がかかります。
- 火災・地震保険料
投資用不動産には、火災保険と地震保険をかけましょう。保険料は、付保内容によってまちまちです。
不動産を「売る」ときに掛かる費用
不動産を売るときには、以下のような費用がかかります。
- 仲介手数料
買うときと同様、物件価格が400万円を超える場合は売買代金の3%+6万円の仲介手数料を仲介業者に支払います。
- 印紙代
買うときと同様、不動産売買契約に貼り付ける印紙代についての売主負担が発生します。
- 抵当権抹消登記費用
不動産を売却すると、抵当権の付従性といって、不動産についていた金融機関の抵当権も消滅します。抵当権も登記事項ですので、これを抹消登記するための費用が掛かります。
- 不動産登記手数料
不動産の所有権登記を買主に移転するので、売主の不動産所有権を抹消します。抹消登記費用や司法書士への手数料の支払いが必要になります。
- 固定資産税
固定資産税は、売却時点によって売主と買主が按分負担することが一般的です。 たとえば4月末に売却した場合は、年間固定資産税の4/12を売主負担額とします。
- 譲渡所得税
不動産の譲渡によりキャピタルゲインが出た場合は、譲渡所得税として課税されます。 譲渡所得税は、物件を所有している期間によって税率が異なります。
- その他・引っ越し費用等
取引によってはその他の費用が発生します。収益物件なので当てはまらないことが多いかもしれません。オーナーチェンジによる引っ越しが発生する場合はその費用などです。
まとめ
サラリーマンの副業として大変魅力的な不動産投資についてご理解いただき、始めの第一歩を踏み出すための一助になれば大変幸いです。
不動産の賃貸経営による所得は、不労所得ではありません。賃貸経営には様々な努力が必要ですが、正しい知識を身につけてコツコツと行えば、ローリスク・ミドルリターンの投資効果を得ることができます。