老後資金を貯めるには?老後資金を貯める5つの方法
By Oh!Ya編集部
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退職金や年金額も不透明な中で、老後に備えて資金を貯めておきたい…という方は少なくないはずです。
しかし、具体的にどう貯めて良いか分からない…という方に、この記事では老後資金を貯める5つの方法を解説します。それぞれの特徴をつかみ、自分に合った貯め方を見極めましょう。
目次
老後資金はいくら必要?
老後資金を考える上では、そもそも老後はどのくらいの資金が必要か?を知っておく必要があります。
というのも、老後資金を貯めるにしても、老後の支出がどのくらいになるか分からなければ計画を立てにくいからです。
世帯と単身の老後支出
公益財団法人である生命保険文化センター※のデータによると、世帯主が60歳以上で無職の夫婦の支出額は月々約23.8万円になります。
これを、60歳以上の単身無職の家計に換算すると支出は約14.2万円になります。つまり、老後は夫婦世帯で年間約285.6万円、単身で年間約170.4万円の支出が発生するということです。
世帯と単身の老後所得
一方、この世代の所得の平均額は年間約212.4万円(月々約17.7万円)です。
つまり、前項の支出を加味すると、60歳以上の世帯で年間約73.2万円、単身者で年間約42万円が不足しているという計算です。
今回の計算は60歳以上で、かつ無職の方が対象なので所得の大半は年金であると考えられます。
老後の所得と支出から考える老後資金
前項のように、現在の年金制度でも老後には不足が生じる計算です。
また、現時点でも「年金の給付を後ろ倒しにする」など年金が不足している状態であり、今後は少子高齢化の影響を受けて、年金が「いつ」「いくら」もらえるかが増々不透明になります。
もちろん、所得も支出も人によって異なります。ただ、老後資金を貯める方法を考える上では、将来的には前項で解説した金額よりも、さらに不足する可能性がある点は認識しておきましょう。
1.iDeCoを活用
老後資金を貯める1つ目の方法はiDeCoになります。結論からいってしまうと、老後資金を貯める5つの方法に共通するのは長期スパンで投資することです。
ここでは、iDeCoの概要とメリット・デメリットを解説していきます。
iDeCoとは?
iDeCoとは「個人型確定拠出年金」のことであり、まさに老後資金を自分自身でつくるためにつくられた制度になり、概要は以下の通りです。
- 国民年金や厚生年金にプラスして個人で加入する年金
- 掛け金は毎月5,000円から1,000円単位で選べる
- 掛け金は自分自身で運用しながら原則60歳以降に受け取れる
- 運用商品は投資信託や定期預金など
簡単にいうと、iDeCoは年金を増やすための制度です。毎月掛け金を投資して、その投資結果に応じて老後の年金が増えます。
iDeCoをはじめる方法
iDeCoをはじめる手順は以下の通りです。
- 証券会社でiDeCo申込書を請求
- 申込書に記入して証券会社に返送
- 口座開設
- プラン選択
プランは証券会社によって異なりますが、代表的なプランは「元本確保型」と「元本変動型」があります。元本確保型は定期預金での運用、元本変動型は投資信託での運用というイメージです。
それぞれリスク・リターンが異なるので自分の好みに合わせて運用します。
iDeCoのメリット
仮に、「元本変動型」を選んだ場合「自分で投資信託を運用すれば良い…」と思うかもしれません。しかし、実はiDeCoには以下のメリットがあるのです。
- 掛け金が全額「所得控除」される
- 運用中の収益は非課税
- 運用資産を受け取るときも節税につながる
- 運用コストが低い
簡単にいうと税制メリットが大きいため、年金のもう1つの柱としてiDeCoという制度ができ注目されているというわけです。
掛け金が全額「所得控除」される
まず、掛け金が全額所得控除の対象となる点がiDeCoのメリットです。仮に、年収500万円の人が毎月2万円をiDeCoで積み立てたとします。
その場合、年間24万円は所得から控除できるので所得額が減り、結果的に所得税が約4.8万円安くなるという計算です。所得が高い人は税率も高いので節税効果はさらに大きくなります。
仮にiDeCoではなく、通常の証券口座で投資信託を年間24万円(月2万円)取得したとします。その場合、その取得費用は所得控除の対象にならず単に支出となるということです。
運用中の収益は非課税
2つ目のメリットは運用中の利益は非課税という点です。通常は、投資信託や株式投資などで得た収益には、20.315%の税金がかかります。
仮に、投資信託で50万円の収益があれば約10.2万円の税金がかかるということです。一方、iDeCoの場合はこの収益には税金がかからないので、収益額は大きくなります。
運用資産を受け取るときも節税につながる
iDeCoは、運用資産を60~70歳までの間に以下3つの方法のいずれかで受け取れます。
- 一時金
- 年金
- 一時金+年金
上記のどの方法を選んでも、税金の優遇が受けられる点もiDeCoのメリットです。
一時金で受け取れば退職所得控除が適用され、年金で受け取れば公的年金控除が受けられるので、所得税が安価になるのです。
運用コストが低い
4つ目のメリットは、iDeCoで運用すると運用コストが低い点です。たとえば、投資信託を取得するとしたら、ファンドにお金を預けて運用してもらうことになるので手数料などのコストがかかります。
一方、iDeCoで取り扱う投資信託は、コストが低いものをチョイスしており、購入手数料がかからない商品も多いです。
運用コストが低い点は収益性の高さにつながり、結果的に老後資金を貯めやすくなります。
iDeCoのデメリット
iDeCoには前項のメリットがある一方で、以下のデメリットがあります。
- 60歳までは運用資金を引き出せない
- 口座開設と維持費用がかかる
60歳までは運用資金を引き出せない
iDeCoは、あくまで年金にプラスする老後資金の確保を目的とした制度なので、60歳までは運用している資金を引き出せません。
つまり、株式投資のように途中で売却することもできず、個別に取得する投資信託のように途中で解約(換金)手続きすることもできないということです。
あくまで、老後資金の積み立てのための制度であり、そのような長期運用の制度だからこそ前項のような税制上のメリットがある点を認識しておきましょう。
口座開設と維持費用がかかる
前項のように、運用コストが低い点はiDeCoのメリットですが、iDeCoは「口座開設と維持」に手数料がかかります。
まず、iDeCo加入時に最低でも2,777円、運用期間中にも月々の口座維持手数料がかかります。
当然ながら、口座開設と維持費が高いほど収益性は低くなるので、iDeCoをはじめる金融機関を選ぶときは費用を確認してから選びましょう。
2. 小規模企業共済
老後資金を貯める2つ目の方法は「小規模企業共済」になります。
小規模企業共済は自営業者や経営者が対象になるので、会社員の方で興味のない方は読み飛ばして次項の「不動産投資」をお読み下さい。
小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、そもそも「経営者も退職金をもらえること」を目的につくられた制度であり、中小機構(独立行政法人)が提供している制度になります。
上述のように、対象は小規模な法人の役員と個人事業主であり、退職時や事業の廃止時に解約することで、それまでに積み立てた共済金を受け取れます。
その「受け取れる共済金」が退職金代わりになり、老後資金につながっていくのです。
小規模企業共済のはじめ方
小規模企業共済をはじめる流れは以下の通りです。
- 中小機構より必要書類を入手
- 書類へ必要事項を記入し提出
- 中小機構からの書類を受け取る
掛け金は月1,000円~7万円まで選ぶことができ、途中で増額・減額することも可能です。
小規模企業共済のメリット
小規模企業共済のメリットは以下の点です。
- 最大で120%返還される
- 掛け金は所得控除の対象になる
- 退職金代わりで税負担が軽くなる
最大で120%返還される
掛け金は中小機構によって運用されるので、手元に戻ってくるお金はその運用状況によって左右されます。
そして、掛け金納付期間によっては最大で120%相当額が返還されるので、その点は小規模企業共済のメリットです。
また、原則「20年(240ヶ月)以上積み立てていれば、掛け金の100%以上の給付が見込める」とされています。
つまり、完全に元本保証されている…とまではいえませんが、元本割れするリスクは極めて低いといえます。
掛け金は所得控除の対象になる
小規模共済の掛け金はiDeCoと同じように所得控除の対象になります。そのため、「経費」として扱うことで所得額が減額でき、結果的に節税につながるのです。
退職金代わりで税負担が軽くなる
このメリットもiDeCoと似ており、仮に個人事業主の廃業などで積立金を受け取るときには、個人事業主なら「退職所得」となります。
退職所得は、事業所得などほかの所得よりも税負担が大幅に軽くなるので、結果的に節税効果が高いということです。
資金調達手段になる
小規模法人や個人事業主の場合、会社員と違い事業を行う上で資金繰りに困ることがあります。
小規模企業共済の場合には「契約者貸付制度」があるので、積み立てている資金の範囲内で借り入れ可能です。
資金繰りに困っている小規模法人や個人事業主は、金融機関から融資を受けられないこともあるので、この点もメリットといえるでしょう。
小規模企業共済のデメリット
小規模企業共済のデメリットは、元本割れのリスクがある点です。
中小機構のホームページ※にも「掛金納付月数が240ヵ月(20年)未満の場合は元本割れ」なると明記されているため、納付期間には気を付けましょう。
3.不動産投資
老後資金を貯める3つ目の方法は「不動産投資」です。この章より、掛け金を支払うのではなく、「個別に投資する」方法の紹介になります。
不動産投資とは?
不動産投資とは、区分(一室)マンションやアパートなどの不動産を購入し、その家賃収入で収益を上げる投資です。
基本的には長期で不動産を保有して家賃収入を上げることが目的であり、老後年金を貯めるという意味では家賃収入をコツコツと積み上げていくことになります。
もしくは、老後にも不動産を保有しつづけておくことで、年金にプラスした家賃収入を上げることも可能です。
不動産投資のはじめ方
不動産投資のはじめ方は、ネットで「収益不動産」を検索したり、不動産投資会社が運営しているセミナーに参加したりするところからスタートします。
要は、自ら物件情報を収集し、その物件の収支計算をして収益を上げられると思ったら購入するという流れです。
不動産仲介会社に物件を仲介してもらうこともあれば、不動産会社が売主となっている物件を購入することもあります。
不動産投資のメリット
不動産投資が老後資金を貯める方法として適しているのは、以下のメリットがあるからです。
- 収入が安定している
- 融資を利用できる
- 売却も居住も可能
- ローンを完済すれば資産になる
- 手間がかからず継続性が高い
収入が安定している
まず、不動産収入は家賃収入がメインなので、比較的安定している収入です。もちろん、その不動産が空室になったり、将来的に家賃が下落したりすることもあります。
しかし、たとえば「1年で株価が半分になる」ことはあり得ても、「1年で家賃が半値まで下がる」ということはほぼあり得ません。
また、「1年間ずっと空室状態がつづく」ということも少なく、家賃を下げたり初期費用を下げたり…と対策することでリスクを軽減できます。
融資を利用できる
不動産投資は融資を利用できるので、自己資金の何倍もの資産を取得できます。投資による収益は「保有資産額×利回り」で決まるので、保有資産額が高額なほど収益性も高くなるのです。
収益性が高くなれば老後資金も貯めやすいため、融資を利用できる点はメリットといえるでしょう。
売却も居住も可能
仮に、区分マンションを購入するとします。上述のように、不動産投資のメインはその不動産からの家賃収入ですが、不動産価格が上がっている状況であれば売却益を得ることも可能です。
また、賃借人が退去するタイミングであれば、その家に移り住む…という選択もできるので、老後の居住地の確保にもつながります。
ローンを完済すれば資産になる
一般的に不動産はアパートローンや不動産投資ローンなどを組み購入します。
仮に、35歳のときに区分マンションを25年ローンで所得すれば、60歳にはローンを完済しているという計算です。
そうなれば、その不動産は借金なしの資産になるので、「ローン支出」が減ることで家賃収入が高くなります。つまり、老後に収入を得やすい状態になっているということです。
ただ、ローンが完済しているということは、それだけ築年数も経過ているので、その家賃下落率によってはローン支出がなくなっても収益性は下がります。
手間がかからず継続性が高い
不動産投資は運用中に以下の手間があります。
- 入居者の募集
- 家賃の徴収や滞納時の対応
- 共用部の掃除や修繕(一棟投資時)
- 退去時の立ち合いや修繕作業
これらの手間は、家賃の数%ほどの手数料を支払えば全て管理会社に委託できるので、不動産のオーナの手間がほぼありません。
いくら老後資金を貯めるためとはいえ、手間のかかる方法だと本業に支障を来してしまう恐れがあります。そのため、「手間がかからない」という点は、老後資金を貯める上で重要なのです。
不動産投資のデメリット
不動産投資には前項のようなメリットがあります。一方、以下のようなデメリットがある点も認識しておきましょう。
- 初期費用がかかる
- 物件取得時には手間がかかる
- 地政学的リスクがある
初期費用がかかる
不動産は取得時に以下の初期費用がかかります。
- 仲介手数料(中古のみ)
- 登記関係費用
- ローン関係費用
- 固定資産税・都市計画税の精算
- 不動産取得税
- 保険料(火災保険や地震保険)
上記の費用は物件ごとに異なるので一概にはいえません。目安としては、新築物件取得時で物件価格の4%~5%、中古物件の取得時に物件価格の7%~8%の初期費用がかかります。
不動産取得時に、仲介手数料や売主から概算が出されるので、その費用をきちんと加味した上で物件選定する必要があります。
物件取得時には手間がかかる
前項のように物件運営に手間はかかりませんが、物件取得時には手間がかかります。
というのも、上述した「初期費用」や「家賃予測」「空室予測」「経費」などを計算し、その物件を取得して本当に収益を上げられるのか?という点を検証する時間がかかるからです。
iDeCoや小規模企業共済は掛け金を決めたりプランを決めたりするだけなので、それに比べると物件選定の手間が不動産投資のデメリットといえます。
地政学的リスクがある
不動産投資は現物不動産を保有するので、地震や災害などの地政学的なリスクがあります。
そのため、地震による被害・液状化リスク・水害リスクなどを行政が出典しているハザードマップで調べ、その物件にどのくらいの地政学リスクがあるかを検証する必要はあります。
4.投資信託
老後資金を貯める4つ目の方法は「投資信託」になります。iDeCoなどでも投資信託で投資しますが、今回解説する投資信託はiDeCoではなく通常の口座で取引する投資信託です。
通常の口座で取引するということは、途中で売却もできますし、別の投資信託を購入することもできます。つまり、iDeCoで投資信託を購入するよりも、自己責任の元で投資するということです。
投資信託の仕組み
投資信託にも色々な種類がありますが、原則は自分の資金を「ファンド」という資産運用のプロに運用してもらう商品です。
たとえば、「三井住友・日本債券インデックス・ファンド」「ニッセイ日本インカムオープン」などの商品があり、それぞれ三井住友系のファンド、ニッセイ系のファンドに運用を任せるということです。
基本は分配金で収益を上げる
ファンドは、投資家から集めた資金で株式・債券などを取得して運用し、その運用益を「分配金」として還元してもらうことで投資家は収益を得ます。
この「分配金」が、投資家が投資信託から得るメインの収益です。
売却益も収益になる
また、投資信託は株式と同じように、需給バランスによってその投資信託の価額が変わります。つまり、その投資信託に需要(人気)が集まれば価額が上がるということです。
そのため、自分が取得したときよりも高い価額になれば、その投資信託を売却(or解約)することで売却(解約)益を得ることが可能です。
ただ、老後資金を貯めるという目的であれば、基本的に安定して収益を得られる「分配金」をメインに置くと考えた方が良いでしょう。
投資信託のはじめ方
投資信託のはじめ方は以下の通りです。
- 証券会社を通じて上場されている投資信託を取得
- 証券会社を通じて上場されていない投資信託を取得
- ファンドに直接連絡して投資信託を取得
いずれにしろ、その投資信託の運用方針に賛同したら取得するという流れです。運用方針とは、たとえば「外国株式を中心に運用」「国内債券を中心に運用」などになります。
要は、その運用方針によるリスクとリターンを見極め、自分の投資スタイルに合った投資信託を取得します。
投資信託のメリット
投資信託には以下のメリットがあるからこそ、老後資金を貯める方法の1つにラインナップされています。
- プロに運用を任せられる
- リスクを選択できる
プロに運用を任せられる
まずは、自分の資産をプロに運用してもらう点はメリットです。つまり、自分で株式や債券などの投資商品を個別に選ぶ必要がないので、手間がかからないということです。
リスクを選択できる
また、上述のように投資信託の種類によってリスクとリターンは異なるので、リスクを自分で選択できます。老後資金を貯めるという目的なら「低リスク」の商品を選ぶべきでしょう。
たとえば、低リスクの投資信託を運用し、分配金によって毎年資金を少しずつ増やしていきます。そして、その増えた資金をまた投資信託に再投資すれば、分配金は少しずつ高額になっていきます。
仮に、30年間で投資信託を1,000万円まで増額し、4%の利回りで運用できれば年間40万円の収益です。これは、上述した「60歳の単身の不足している所得額」とほぼ同額になるという計算です。
投資信託のデメリット
一方、投資信託には「コストがかかる」というデメリットがあります。上述したiDeCoの章でも少し解説しましたが、投資信託の中には手数料が高い商品もあります。
iDeCoでラインナップされている商品は高手数料の商品は除かれていますが、個別に取得するなら自分で選ばなければいけません。
老後資金として資産を貯めるのであれば、長期間運用することを見越して手数料の低い商品の選定が必要です。
5. REIT
老後資金を貯める5つ目の方法は「REIT」です。REITは、上述した投資信託や不動産投資と似ている部分がありますが、流動性などに違いがあるので、その点をきちんと見極めましょう。
REITの仕組み
REITは「不動産投資信託」といわれている商品なので、基本的な仕組みは投資信託と似ています。
違う点は、投資信託が株や債券など色々な商品で運用しているのに対し、REITは現物不動産でしか運用しない点です。
流れとしては、まず投資法人(≒ファンド)はREIT(証券)を発行して、投資家から資金を集めます。逆にいうと、投資家はREITを取得することで、自分のお金をファンドに預けます。
そして、投資法人が自ら融資を取り付け、その融資と合わせて不動産を取得し、その不動産の運用収益を投資家へ分配するという仕組みです。
REITの取得方法
REITは株式と同じように市場に上場されています。そのため、証券会社に口座を開き、その証券会社を通じて売買することが可能です。
株式投資などを既に行っており証券会社に口座がある場合は、その口座を利用して売買できるのでREIT用の口座を開く必要はありません。
REITの種類
「REIT」とひとくちにいっても、以下のように色々な種類があります。
・オフィスビル特化型 ・住居特化型 ・商業施設特化型 ・物流施設特化型 ・ホテル特化型 ・ヘルスケア施設特化型 ・複合型(特化型を2つ組み合わせ) ・総合型(特化型を3つ以上or用途の限定なし)
特化型は、取得する不動産種類が決まっており、複合型と総合型は特化型を複数組み合わせます。つまり、今後伸びていくであろう事業を予測して、取得するREITの種類を決めることができるのです。
REITのメリット
REITのメリットは以下の点であり、これは老後資金を貯めるためのメリットともいえます。
- 安定性が高い
- 流動性が高い
- 売却益も見込める
安定性が高い
まず、REITは安定性が高いです。というのもREITは現物不動産を所有し、その家賃収入による利益が分配されます。
つまり、不動産投資と同じように「家賃」が主な収益源なので、比較的安定性が高いというわけです。
流動性が高い
REITは上場されているので流動性が高いです。流動性が高いということは資産の組み替えがしやすいということなので、情勢に応じてREITから投資信託に変更する…ということも可能です。
老後資金を貯めるという「超長期スパン」でみると、経済情勢は変わっていく可能性が極めて高いので、資産の組み替えがしやすい点はメリットといえるでしょう。
売却益も見込める
老後資金を貯めるためには安定性が大切ですが、REITは上場しているので簡単に売却できます。
そのため、REIT価格が高騰しており売却益を得られそうであれば、売却して一時的に収益を上げるという選択も可能です。
そして、その収益を再投資しても良いですし、老後資金として貯蓄に回すこともできます。
REITのデメリット
一方、REITには以下のデメリットもあります。
- 価格変動リスクがある
- 1口が高く取得しにくい
価格変動リスクがある
REITには価格変動リスクがあります。価格が下がれば分配金が減る可能性があるので、予測していた収益よりも少なくなる可能性があります。
また、売却すると損が出るので売るに売れない…しかし、分配利回りは非常に低いので資金が貯められない…という状況もあり得るのです。
1口が高く取得しにくい
REITは1口から購入可能ですが、2019年5月時点では最も安価なREITでも1.7万円です。
また、REIT全体で見ると数十万円ほどのREITも多いので、たとえばiDeCoの「5,000円~」と比べると1口当たりが高く取得しにくい点はデメリットといえます。
ただし、間接的に不動産を取得できるという意味で「不動産投資」に位置付けると、取得費用は安いといえるでしょう。
自分に合った方法とは?
前項までの「老後資金を貯める方法」を解説した上で、自分に合った方法を探すヒントを解説します。
老後資金を貯めるだけ
まずは、「老後資金を貯める」という目的だけであれば、iDeCoや小規模企業共済が良いでしょう。
というのも、この2つは節税効果も高いですし、基本的には年金受給時・退職時という老後時にもらうことを前提としているからです。
ただし、掛け金によって返還される金額が概ね決まっているので、少額の積み立てだと老後資金の足しとしては少ないといえるでしょう。
そのため、老後にいくら欲しいか?そのためにはいくらの掛け金が必要か?を見極めてからはじめましょう。
資産をつくりたいなら不動産投資
老後資金をつくりつつ、自分の資産もつくりたいという人は不動産投資が向いています。やはり、融資を利用できるので収益性が高いため、老後資金以外にも「資産」をつくれる点はメリットといえます。
ただ、初期費用がかかる点とiDeCoや小規模企業共済よりはリスクが高いので、その点は認識した上で不動産投資を選択しましょう。
自分で運用したい&初期費用があまりない
iDeCoや小規模企業共済のように運用を完全に任せるのではなく、ある程度自分で運用したい人は投資信託かREITが良いでしょう。
この2つも投資法人(ファンド)に運用を任せますが、iDeCoや小規模企業共済よりは換金性が高いので資産を組み替えることができます。
そのため、不動産投資するほど初期費用がなくリスクも怖い…という方は、投資信託やREITが向いています。ただし、投資信託やREITにもリスクがある点は認識しておきましょう。
まとめ
このように、老後資金の貯め方には種類があり、それぞれ特徴が違います。大事なのは、リスクとリターンを見極めた上で自分に合った方法を見極めることです。
それができれば、ストレスなく老後資金を貯めることができるので、まずは上述した点を理解して自分に合った方法を検証しましょう。