投資と貯金どちらが優先?統計から見るベストバランスとは
By Oh!Ya編集部
3,248view
現代の日本は先行きが不透明です。人口減による経済規模の縮小はほぼ既定路線ですし、厚生年金の支給額は年々減り続けています。未来を予測することはできませんが、見通しは決して明るいものではありません。
そこで大切になってくるのが、いざという時のために資産を蓄えておくことです。
資産を蓄える方法には、大きく2種類あります。貯金と資産運用(投資)です。このページでは、資産運用を始めようと考えている方向けに、貯金と投資についての知っておきたい基本知識を解説します。
投資と貯金のバランスはどうすべき?
続いて、投資と貯金をどのように配分すべきか、基本的な知識を紹介します。
人によって異なる適切な割合
まず知っておきたいのは、投資と貯金のバランスに答えはないということ。
現在手持ちの資産がどのくらいあるかどうか、という簡単な要因でも違ってきますし、いつまでにいくら貯めたいのか等、目標によっても違ってきます。
たとえお金の専門家であるフィナンシャルプランナーに聞いても、おそらく答えは一致しないでしょう。
投資、とくに資産形成が目的の中・長期目線の投資では、無理のない範囲で続けることができるというのが非常に重要な条件になります。
そのため、まずは自身の生活を振り返り、毎月の収入・支出の平均を把握。また、将来的にどのくらいのタイミングで大きな資金需要が発生するのか等、お金の流れを大まかにでも把握することが大切です。
そうして使うお金と入ってくるお金、将来的に大きく使うであろうお金、現在の貯金額等を突き合わせて、貯金として残す分と投資に回す分を割り振っていけば、無理のない範囲で資産運用を行っていくことができるでしょう。
ちなみにですが、「半年無収入で家族が生活できる分を貯金として残し、残りを投資に回す」というのが、よく言われる貯金と投資の配分です。
まずライフプランを立てる
世の中には投資自体が大好きで、四六時中金融のことで頭をいっぱいにしている人がいます。そういった一部の特殊な人を除いて、多くの人は、目標となる金額があった方が、効率的に資産運用を行うことができるでしょう。
目標金額と目標達成までの期間がはっきりすれば、それを基準にして、どのくらいの金利の投資商材を運用していけばいいのか逆算できるからです。
本来不要な利回りを求めてリスクの高い投資商材を選ぶこともありませんし、必要十分な形で地道にお金を増やしていくことができます。
目標を立てるために重要なのが、ライフプランです。結婚、出産、子育て、住宅購入、教育費、介護、等々、人生にはまとまったお金が必要になるイベントがいくつもあります。
そうしたイベントがいつ起こるのか。また、費用はいくら掛かるのか。簡単にでも予想しておくと、資産運用の目標が立てやすくなります。
次に目標金額と期間を決める
ざっくりライフプランを組み立てたら、次は目標金額と、それを達成するまでの大まかな期間を決めます。
目標金額と元手(目安は「貯金-半年分の生活費」)の差を目標達成までの年数で割れば、一年あたりにどのくらいの利回りが必要かを大まかに計算することができます。
じっさいの利回りは運用成績により上下するでしょうし、毎月元手を足していけば、もっと短期間に目標金額を達成できるかもしれません。
自身の状況に応じて、さまざまなシミュレーションを検討されてみるとよいでしょう。検討したシナリオの数が多ければ多いほど、より精度の高い資産運用ができるようになるはずです。
予算に応じて分散投資を行う
大まかに必要な年利を計算したら、目標額に合った投資商材を選んでいきます。
個々人の嗜好によって選ぶべき投資商材も変わってきますが、手堅く始めるなら、やはりプロに運用を任せられる投資信託がおすすめです。
利回りは商品によりさまざまですが、多くの場合、ローリスクでそこそこの利回りが期待できます。
また、用意できる予算が大きいなら、不動産投資を選択してみるのもいいでしょう。
低金利時代の昨今、元手のいくらかを頭金にして物件購入費を全額ローンで賄ってしまえば、返済分を賃貸収入で相殺しながら、残った元手で別の資産運用ができます。
10年~15年で返済を終えたら、後は家賃の大半を収入にできますし、ある程度物件が古くなった段階で売却してしまう、という手段もあります。
もちろん、魅力的な物件や信頼できる不動産会社がパートナーとなっていることが前提ですが、得られるリターンは大きなものとなります。
投資商材にはさまざまな種類があります。自身の希望や嗜好にあったものがないか適宜勉強して、中・長期目線でコツコツ資産形成できる方法を模索されてみてください。
適宜見直して配分を調整する
投資の基本は、生き残ることです。放置していてもお金が入ってくる投資商材はありますが、どの投資商材も、現金に換えなければ使えません。
お金が必要になるタイミングまでに現金化できるよう、きちんと計画を立てておくことが大切です。
投資信託であれば、満期までの期間。不動産投資であれば、古くなった物件のリフォームや売却をいつ行うのか、といったことです。
株式などは手軽に売買できるイメージがありますが、人気のない銘柄は売りたい時に売れない可能性があります。
できれば投資商材を購入する段階から、それを手放すタイミングについて考えておき、定期的に資産の配分を見直されることをおすすめします。
日本と諸外国の投資割合の違い
日本には、お金儲けは品がない、というような風潮があります。また、胡散臭い投資商材が悪目立ちし、「投資」という言葉にネガティブな印象を持っている人が少なくありません。
じっさい、平成28年に金融庁が発表した金融レポートでは、日本の家計金融資産構成比の51.9%が「現金・預金」というデータが紹介されています。
比較対象としてアメリカとイギリスのデータも載っていますが、前者が13.7%、後者が24.4%と、資産を現金の形で持っている割合はいずれも日本の半分以下となっています(参考:平成27年事務年度 金融レポート 主なポイント)。
投資にはリスクも付きまといますが、かといって現金のままで持っていればリスクがないかというと、そういうわけでもありません。
先進国で投資人口の割合が高いのは、投資には貯金にないメリットがあるからです。
貯金だけをしていると圧倒的に損
日本で生活しているとわかりづらいかもしれませんが、通貨の価値というのは、さまざまな要因で常に上下しています。
たとえば世間に出回っているお金の量が増えれば、お金の価値は下がります。仮に日本国民全員が1億円持っていたら、サービスや商品の値段を上げないわけにはいきませんよね。
お金の価値というのは、物やサービスの価値とお互いに連動して決まっているわけです。
現在の日本は物価を上げようとがんばっている
2013年から2018年まで、日本銀行(日本円を発行できる銀行)は物価上昇率2%を目標としてきました。
結局、目標を達成することはできませんでしたが、物の価値を上げる、つまりお金の価値を下げることには、メリットがあります。
物価を上げ過ぎると逆に生活が苦しくなってしまいますが、適度な物価上昇であれば、世の中に出回るお金の量が増えて、人々の生活が豊かになる、という理屈です。
極端な例ですが、「いま100円の商品を明日から毎日1円ずつ値上げする」という状況になったら、人も企業もお金を使いたくなりますよね。
物価が上がっても、それ以上に世の中にお金が出回ればいいわけですから、筋は通っています。そのちょうどいい上昇率が、2%ということです。
今後もインフレによる景気回復が見込まれる
ある時点から比べて物価が上がることを、インフレと言います。インフレとセットでよく聞く言葉にデフレがありますが、これはある時点から比べて物価が下がることを意味します。
物価が下がるということは、つまり物が安く買えるということです。それだけを聞くと歓迎したくなるのが人情ですが、デフレになるとインフレとは反対にお金の価値が上がります。
この上昇率が高いと、物価が下がる以上に世の中に出回るお金が少なくなり、物は安いけど買うお金がない、という状態になってしまいます。
デフレよりインフレの方が、人々の生活にポジティブな影響を与えます。先進各国も物価上昇2%を目標に掲げ、足並みを揃えています。日本でも、引き続き緩やかなインフレによる景気回復が目指されるでしょう。
インフレ時代に貯金しておくことのデメリット
繰り返しになりますが、インフレは物の価値が上がり、お金の価値が下がることです。世の中に出回るお金の量を増やして、物価上昇以上に人々を豊かにすることで景気回復に導きます。
ここで注意したいのが、貯金のリスクです。物価上昇が続く限り、お金の価値は緩やかに減っていきます。
もちろん残高が減るわけではありませんが、それまで100円で買えていたものが100円では買えなくなるわけですから、結果は同じことです。
長くなりましたが、これがインフレ時代に貯金し続けることのリスクです。
貯金にない投資のメリット
インフレ時代には、貯金よりも投資が推奨されます。物の価値が上がり、お金の価値が下がっていくなら、お金を物に換えてしまえばいいわけです。
投資とは、将来的なリターンを目的にして、現金を金融商品と交換する行為です。どのくらいの期間でどのくらいのリターンを得るかは、金融商品によって違います。
一般に、ハイリスクなものほどリターンは大きく、ローリスクなものほどリターンは小さくなります。
投資のメリットは、このリターンが得られること。一方デメリットは、投資した分を丸ごと失ってしまうリスクがあるということです。
このリスクを恐れて、資産運用を敬遠する人も少なくないでしょう。
しかし、そうしたリスクの高い投資商材はごく一部です。また、投資のリスクは、長期間の運用を前提にすれば大部分を軽減できます。
1年間に投資額の20%以上の利回りが得られる投資商材は多くありませんし、あったとしてもハイリスクでしょう。一方、利回り3~10%の投資商材は数も多く、元本を丸ごと失う可能性があるものも限られています。
なるべくリスクの小さい投資商材を中心に、10年、20年と運用していけば、貯金するよりもずっと多くの資産を築くことも不可能ではありません。
金融庁も投資を推進している
先にも引用した金融庁のレポートには、以下のような記述があります。
- 我が国家計金融資産の52%が現預金。米英に比べ株式・投信等の割合が低い
- 家計金融資産の構成の違いが、過去における我が国家計金融資産の伸びが米英に比べて低いことの一因に
- 投資対象と投資時期の分散を行うことで、中長期的に安定的なリターンを実現することが可能
- 投資対象をグローバルに分散させることで、世界経済の成長の果実を享受することが可能に
- 投資時期の分散(積立投資)により、高値掴み等のリスクの軽減が可能に
- 長期で保有することにより、リターンの安定化が可能に
インフレを実現しても、世の中に出回るお金の量を増やさなければ、人々の豊かな生活は見込めません。お金を使ってもらいやすい環境を整える必要があります。
その対象として、投資商材を活用しよう、というわけです。投資商材にはさまざまな種類がありますが、その大半は、最終的には一般企業に行きつきます。
簡単に言えば、国民が投資を行うことで企業にお金が回り、企業から商品やサービス、賃金となって還元される、というような図式が描けるわけです。
また、投資した側は、コツコツ利回りを得ていくことで将来的な資産形成も見込めます。じっさい、投資する割合の多い欧米諸国と日本では、時間経過による金融資産の推移に倍近い差が出ています。
ただし貯金をすべて投資につぎ込むのはNG
もちろん、ただやみくもに投資をすればいい、というわけではありません。
投資は、現金を別の金融資産に変えることです。金融資産は、簡単に現金化できるものばかりではありません。また、中には一瞬で価値がなくなってしまうリスクがあるものもあります。
ある程度まとまったお金を手元に残しておかないと、緊急でお金が必要になったときに困ってしまいます。
貯金を重視し過ぎるのも問題ですが、投資に偏り過ぎるのも生活の質を下げてしまいます。投資と貯金の適度なバランスを見極めて、負担のない範囲でコツコツ資産運用をしていくことが大切なのです。
初心者に向いた投資の種類
続いて、ローリスク、ミドルリスクで長期間運用するのにおすすめの投資商材について紹介します。
定期預金
定期預金は、一定期間出金しないことを条件に、普通の預金よりも高い金利が貰える預金です。
ただ、高い金利と言っても、多くの場合、定期預金の金利は0.01%に設定されています。リターンよりも、手間やリスクの小ささを重視したい人におすすめの投資と言えます。
必要な手続きは、銀行に定期預金口座を開いて、そこにお金を預けるだけ。銀行の場合、万が一倒産しても1,000万円までは補償してもらえますから、ゼロに近いリスクで運用を行うことができます。
確定拠出年金
日本の年金には、大きく以下の4つの種類があります。
- 国民年金…20歳以上の国民全員が加入する年金。
- 厚生年金…サラリーマン、公務員が加入する年金。
- 国民年金基金…自営業者が加入する年金。加入は自由。
- 企業年金…各企業が任意に設ける年金制度。
よく年金は二階建て、三階建て、というような表現がされます。国民年金が1階部分、厚生年金、または国民年金基金が2階部分、企業年金が3階部分、という意味です。
確定拠出年金は、このさらに上、4階部分(自営業者であれば3階部分)に該当する年金制度と言えます。
どういう仕組みの年金かというと、まず企業や個人が毎月一定額を積み立て、任意で選んだ投資商材を購入します。その運用で得られたリターンが、給付金として受け取れるわけです。
また、掛け金が全額所得控除の対象になったり、運用益が非課税になったり、税制メリットが大きいというのも特徴です。とくに自営業者であるなら、加入を検討する価値は十分にあるでしょう。
株式投資
投資の代表ともいえる株式投資。株式市場に上場している株式を売買し、値動きの差益や、企業からの配当金、優待などを受け取ることで資産を増やしていくことができます。
手軽にできる反面、継続的に利益を上げていくためには、金融に関する深い知識が求められます。また、銘柄の将来性を分析したり、適切なタイミングで売買するためには、時間も相応に掛かります。
うまくいけば大きく利益を上げることができますが、反対に元手の大部分を失ってしまうリスクも孕んでいる投資です。
銘柄を選ぶときは、ギャンブルにならないよう、中・長期目線でしっかり利益を上げられる企業かどうか、慎重に吟味されることをおすすめします。
投資信託
投資信託は、投資のプロフェッショナルが投資家から広くお金を集めて運用し、得られた利益を還元する、という仕組みの投資商材です。
手数料等、細々した費用が発生するのがデメリットですが、年に10%前後の利益が得られる商材もあり、ローリスクで手間なく資産運用したい人に人気があります。
もちろん投資である以上、元本割れのリスクは付きまといますが、それでも金融に関する知識が乏しいうちは、自身で運用するよりも高いパフォーマンスが得られることでしょう。
不動産投資
不動産投資は、主にアパートやマンションの一室(予算がある場合は一棟丸ごと)を購入して賃貸し、中・長期的に家賃収入を得ていくという投資です。中には短期間で売却して、それまでに得た家賃と売却益で資産を増やしている投資家もいます。
大きな資金がないと難しい、というイメージがあるかもしれませんが、数百万円あれば、全額を金融機関から融資してもらうことも不可能ではありません。
家賃収入が月々の返済を上回るように調整すれば、ほとんど手出しなしで運用を始めることができます。残った元手を運用すれば、効率的に資産を増やしていくことが可能、というわけです。
不動産は大きな資産となります。中・長期的な資産運用の柱にもなりますから、職業や預金額等、銀行に好印象を持ってもらえる要素があるなら、検討しておきたい投資の1つと言えます。
J-REIT
J-REITは、投資信託の不動産版です。
投資のプロフェッショナルが投資家からお金を集めて、そのお金で大規模なビルやマンションなどを購入して運用。家賃収入や売却益などを投資家に還元する、という仕組みです。
英語ではReal Estate Invest Trustと書き、略してREIT(リート)と呼びます。ちなみに、日本のREITは、頭にJpanのJを付けてJ-REITと呼ばれています。
生命保険
投資と聞いて生命保険を連想する人は少ないでしょう。
生命保険には掛け捨て型と貯蓄型があり、貯蓄型の保険を活用すれば、相応の利回りで資産を増やしていくことができます。
満期にならなければお金を得られない、というデメリットはありますが、多くの場合、定期預金よりも利回りが高く、また手間なく運用できるというメリットがあります。
もちろん保険だけあって、もしものときの保障も得られます。投資にあまり時間を割きたくない、という人に、とくにおすすめの資産運用と言えるでしょう。
貯金額別に見るおすすめの投資方法
ここでは、投資を始めるにあたって必要不可欠な元手(貯金額)を基準に、手を付けやすい投資について紹介してみたいと思います。
50万円以下
投資は、リスクと引き換えにリターンを得る行為です。そのため、万が一失敗したときの備えを別に用意した上で行うのがセオリーです。
貯金が50万円以下であるなら、まずは投資ではなく、貯蓄に注力されることをおすすめします。
もし、たとえ数千円からでも投資を始めたい、ということであれば、積立投資信託、金投資などを選ばれるとよいでしょう。ただその場合も、一定期間は現金化できませんので、生活を苦しめない程度にセーブして資金を投入していくことが大切です。
100~500万円
貯金が100万円前後であるなら、やはり貯蓄に注力されることをおすすめします。無収入で半年生活できる分を貯金として残しておくのが理想です。
多めに見積もって一月当たり30万円、およそ180万円ほど貯金できたら、それ以上を投資に回すとよいでしょう。
貯金額が500万円以内の場合、投資信託をはじめとする積立投資や、株式投資などが主な選択肢となります。
500~1000万円
500万円以上の貯金があるなら、投資信託や株式、金など、幅広い投資商材に分散して投資を行うのがおすすめです。
1つの投資商材に注力するのもいいのですが、そうすると万が一その商材の市場環境が悪化した場合に、大きな損害を被ってしまいます。
中・長期の資産運用で大切なのは、安定的に利回りを得ることです。一度の損害で身動きができなくなる(投資商材を現金化できなくなる)ような状況は、可能な限り避けなければなりません。
数百万円単位の初期投資額を用意できなら、分散投資を前提に投資商材を選ばれることをおすすめします。
1000~5000万円
1000万円以上の予算があるなら、まずワンルームの不動産投資を検討されてみるとよいでしょう。
手持ちの資産は、金融機関から信用を得る大きな武器となります。多くの場合、低金利はネガティブな要素ですが、お金を借りる側からすれば大きなメリットです。
不動産購入費をローンで賄い、残った元手で別の投資を行えば、実質ほとんど手出しなしで不動産投資+そのほかの資産運用を行うことができます。
もちろん、空室の出ない優良物件を選んだり、信頼に足る不動産会社を見つけなければなりませんが、賃貸経営は中・長期的な資産運用の大きな柱になり得ます。
将来的なリターンを考えれば、手間を掛ける価値は十分にあるでしょう。
5000万円以上
予算が5000万円以上あるなら、より規模の大きな投資商材を運用することができます。
単純に分散投資を行うのもいいですが、おすすめはやはり不動産です。金融機関からのローンでアパートやマンションを一棟まるごと購入し、残った元手で別の資産運用を行う、という形です。
また、投資の難易度やリスクは高くなりますが、海外の不動産を購入するのもよいでしょう。発展途上にある東南アジア諸国や、先進国でありながら人口が増え続けているアメリカなどが狙い目です。
こちらも、頼れる業者さえ見つけることができれば、元手を大きく増やせる可能性があります。
投資に役立つ心理学の法則
投資をしていると、日常生活にはあまりないストレスに晒されることがあります。そういったストレス状態にある人は、冷静な判断が下せない傾向も。
知識としてそういった心理作用があることを知っておくと、不測の事態にも冷静に対処できる可能性が高まります。以下に、投資家に付きまとう代表的な心理学の法則を紹介します。
認知バイアス
バイアスは、偏見、偏りという意味の英単語。認知バイアスとは、ある出来事が起こった場合に、その出来事を思い込みで歪めて理解してしまうことを指します。
認知バイアスにはさまざまな種類がありますが、個人の先入観によって客観的事実が妨げられる、というのは、どの認知バイアスにも共通しています。
たとえば、起こった出来事に対して、自身がすべてを予測できたと思い込んだり、一度決断した内容に対して肯定的な情報だけを認識し、否定的な情報を排除する、といった事例が挙げられます。
偽の合意効果
偽の合意効果とは、自分独自の考えを、「みんなもそう考えているはずだ」と思い込んでしまうことです。大多数の人は、自分の意見が多数派であり、その意見に合意しない人間は間違っている、と考える傾向にあります。
これも認知バイアスの一種と考えられています。自分以外の投資家がどう考えているのか想像することは大切ですが、自分の考えを過信するのは禁物。
客観的な事実を重視して投資判断が下せるよう、普段から意識されておくとよいでしょう。
小数の法則
小数の法則は、確率的な偏りを、一般的な事実であると誤って理解してしまう心理作用を指します。
たとえばAさんとBさんがジャンケンをして、Aさんが続けて5回勝ったとしましょう。本来は偶然で起こり得る確率なのですが、人は自身の感覚とズレた現実を目の当たりにすると、そこに間違った法則を見出してしまうことがあります。
母数のことを考えずに、自分が見た結果を統計的に正しいものだと誤解してしまうわけです。
たとえば、株式のチャート分析などがわかりやすいでしょう。「この形が出た後はこの形が出やすい」という感覚で判断している人は少なくありません。しかしそこに、統計的な根拠があることは稀です。
もちろん、個人の感覚と統計が一致することもありますが、大多数の観測は誤っている可能性の方が高いです。
損失回避の法則
損失回避の法則とは、文字通り損失を嫌う傾向のこと。極端に言えば、10円得するより、10円損することの方を嫌がる、という心理です。
ないものを得るより、あるものを失う方が怖い、というのは、経験則的に何となくイメージできるかと思います。
この心理が如実に表れるのは、株式投資やFXでしょう。
買った時点より値上がりしていれば、「いずれ下がってしまうのではないか」「下がる前に売り抜けた方がよいのではないか」という心理が強く働き、まだ上昇を始めたばかりの銘柄を早期に手放してしまう。
一方、買った時点より値下がりしていると、「きっとすぐに上がるはずだ」「いま売って損失を確定するより、上昇するまで持っていた方がいい」という心理が強く働き、下落し続ける銘柄をいつまでも手放せない、といった具合です。
将来的な利益を失うのは許せるのですが、いま手元にある資産を失うのは許せないわけです。
ピークエンドの法則
人が何か経験を比較するとき、その経験のもっとも印象的だったポイントと、その経験がどう終わったか、という事実をベースに判断を下すという法則です。
たとえ苦い経験であっても、過程は見過ごされる傾向があります。投資においては、見直しも重要です。
資産形成のためには、中・長期的に投資を続けていくのがセオリーですが、その過程ではさまざまな失敗も経験することでしょう。
そうした失敗に対して、最終的には利益が出たからいい、と見過ごすのか、失敗の過程を追い、投資ノウハウをブラッシュアップするのかで、資産運用の効率は違ってくるはずです。
単純接触効果
単純接触効果は、繰り返し目にしている物に対して、人は無意識に親近感を覚えるという心理です。
高リスクな投資商材であるにも関わらず、毎日繰り返し目にしているうちに、自身がその投資商材についてよく知っているように錯覚してしまう、ということが考えられます。
スーパーなどで商品を選ぶ際、テレビCMで紹介されている商品を無意識に手に取ってしまった経験はないでしょうか。
CMを流すだけの資本力がある下手なものは作らない、という判断もあるかもしれませんが、単純接触効果が影響を及ぼしている可能性も多分に存在します。
無意識の親近感が投資判断に影響しないよう、客観的事実を重視することが大切です。
サンクコスト効果
サンクコスト効果とは、「これだけのコストを支払ったのだから、たとえ現在損失が出ていても、元を取るまで手を引かない」というように、それまでの投資が合理的な判断を邪魔してしまう心理を指します。
時間にせよ金銭にせよ、人は掛けたコストに対する見返りを求めるものです。しかし投資においては、この心理がいたずらに損失を拡大させるケースがよく見られます。
客観的事実に照らして見返りが見込めないものであれば、早々に損失を確定して別の投資を行うのが賢いやり方です。