あなたの年金受給開始年齢は?早め&遅めに受給できる制度もご紹介
By Oh!Ya編集部
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老後をリアルに意識し始めてきた40、50代の方々にとって、年金は目の前にある問題だとお感じでしょう。その中でも特に気になるのが、年金の受給開始年齢と受給額だと思います。
特にサラリーマンなど定年退職がある方にとっては、60歳の定年退職から65歳とよく言われている受給開始年齢までの5年間をどうするべきかという問題も悩みの種だと思います。
そこでこの記事では、年金受給と年齢の関係についてのファイナルアンサーを提示して、そのために必要な備えや付帯して知っておくべき情報を網羅していきたいと思います。
目次
あなたの年金受給開始年齢をチェックしてみよう
自分はいったい何歳から年金を受給できるのだろうか?という疑問は、誰もが一度は思われたことだと思います。そこで最初に、あなたご自身の年金受給開始年齢をチェックしておきましょう。
年金の受給開始年齢は65歳である
大原則として、年金の受給開始年齢は65歳です。年金とは老齢基礎年金というのが正式名称で、高齢になって現役からリタイアした人の生活を支えるためのお金という主旨で支払われるものです。
かつては60歳から受給開始という時期もあったのですが、2019年現在ではすでに受給開始年齢が65歳と定められています。
ここで「かつては」という表現を使いました。年金を受給する人の全員において受給開始年齢が65歳ではないところが少々ややこしいので、次項でそこについて細かく解説します。
男性1961年、女性1966年以降に生まれた人は全員が65歳である
かつて年金の受給開始年齢は60歳でしたが、よく言われているように年金財政がひっ迫してしまったという理由から、今後も高齢化が進むにつれて年金制度自体が維持できなくなるという懸念もあって、年金の受給開始年齢が65歳に引き上げられました。ここまでは多くの方がすでにご存じのことかと思いますが、「男性1961年、女性1976年」以前に生まれた方だと年金の受給開始年齢が必ずしも65歳とは限らないという事実があります。
逆に言うと、この「男性1961年、女性1966年」生まれ以降の方については、特段の理由がなければ年金の受給開始年齢が65歳になるとお考えください。
では、どんな人が64歳以前から受給できる可能性があるのでしょうか?それについては、次項で解説します。
1961年以前に生まれた人には64歳以前から受給できる可能性
それまで60歳が受給開始年齢だったのに、制度が変わったからといって突然受給開始年齢が65歳に引き上げられたとすると、ちょうどその時期に受給開始年齢だった人にとっては青天の霹靂ですね。間もなく年金の受給開始になると思っていたのに、突然5年先に延長されてしまうのですから。
これだと制度の変更に伴う不公平感が出てしまうということで、段階的に年金受給開始年齢を引き上げる措置がとられました。その一覧が、以下の通りです。
ご覧のように、生まれ年ごとに細かく分類して、段階的に年金受給開始年齢が引き上げられている様子が分かります。一番上のカテゴリーに属する人についてはほぼ従来通りの受給開始年齢となりますが、下にいくにつれて年齢が引き上げられていき、一番下の「男性1961年、女性1976年」以降の人たちについては、65歳で統一されていることが分かります。
64歳以前に年金を受給できる可能性があるかどうかは、こちらの一覧表でチェックしてください。
かつて、年金受給開始年齢は60歳だった
先ほどの一覧表をご覧いただくと分かりますが、このどのカテゴリーにも属さない人たち(つまり男性で昭和16年4月2日以前、女性で昭和21年4月2日以前に生まれた人)については、年金受給開始年齢が60歳ということです。従来の制度が適用される人たちは、2019年の時点ですでに60歳から年金を受給しています。
今や年金についての常識が変わりつつあり、65歳という数字が当たり前のように飛び交っているため、かつて年金が60歳からだったことを知らない人すらいるかもしれませんが、年金はこのように長らく60歳から受給だったものが65歳からに変更された経緯があります。
年金受給開始年齢が引き上げられている理由
年金受給開始年齢が引き上げられている理由は、言うまでもないと思います。少子高齢化の進行により、年金を受給する人数が増える一方で年金を納める人数が減っているからです。
…と、ここまでは一般論です。「なるほど、確かにそれだと年金の額を減らすか受給開始年齢を引き上げるしかない」と感じると思います。もちろんそれは嘘ではないのですが、以下のポイントを忘れてはならないと思います。
- 年金運用は長らく失敗しており、納めただけ原資から大きく減った時期がある
- いわゆる「消えた年金」という問題により正確に年金額が計算されていなかった時期がある
- その後GPIFの運用が好転し、実は年金原資は増えている
いかがでしょうか?すでにご存じのことも含めて、年金の真実が見えてくることばかりです。年金が足りなくなったと喧伝されていますが、その原因を作った当事者にも責任があると筆者は考えています。しかもその誰もが責任を取っていないため、年金を信用しない人が増えるのは致し方ないでしょう。国民年金は滞納が3割もあるのですから、年金不安ならぬ年金不信には根深いものがあります。
3つ目のGPIFというのは、年金積立金管理運用独立行政法人のことです。長い名前ですが、要は年金の運用を担当している独立行政法人です。昨今の株高もあって、実はGPIFによる運用はうまくいっている部分があり、年金の原資はここ数年増えています。この事実もあまり知られていませんが、これが続くようだとさらなる受給開始年齢の引き上げという根拠が薄れるのではないかと思っています。こういったことも年金加入者は知っておく必要があると思います。
なお、GPIFによる運用のレポートは、以下のサイトで公開されています。
ただし、年金の運用がうまくいっているといってもそれは水物であり、米中貿易戦争など不確定要素も多いため、やはり年金だけに依存する老後の生活設計よりも、定年の延長や私的年金の充実など社会システムがこうした状況に合わせていく必要性が高まっていることも、これまた事実です。
年金の受給開始年齢を早める方法について
65歳では遅すぎるという方のために、年金には受給開始年齢を早めることができる制度があります。その制度についての概要とメリット、デメリットを解説します。
年金の繰り上げ受給制度
65歳になるのを待たずにして年金の受給を始めることを、年金の繰り上げ受給といいます。先ほども述べたように、かつて年金の受給開始年齢は60歳でした。その名残もあってお勤めの会社が60歳定年制を維持している可能性が高く、60歳になって定年退職したものの年金の受給年齢になっていないということで、最長で5年間は無収入の状態になる可能性があります。
そのためにさまざまな備えをする人が多くなっているわけですが、それがままならないという人も多く、年金の繰り上げ受給はそのための救済制度です。
年金繰り上げ受給のメリット
年金の繰り上げ受給を適用するメリットは、以下の通りです。
①65歳を待たずに受給できる
何といっても繰り上げ受給のメリットは、65歳になる前から年金を受給できることです。後述しますが年金額が減ってしまうとは言え、全くの無収入という状態を回避したいという人にとっては渡りに船の措置と言えるでしょう。
②早期退職をした人や60歳で定年を迎えた人などの生活を支える
先ほどの派生的なメリットですが、60歳で定年退職を迎えた人にとって65歳までの5年間はとても長い時間です。12ヶ月×5年=60ヶ月もの期間を無収入で乗り切ろうと思うと、少なくとも最低限の生活に必要とされる約22万円×60ヶ月ということで1320万円もの貯えが必要になります。
これだけの貯えがある人であれば、おそらく年金の繰り上げ受給をする必要が無さそうなので、やはり60歳で定年退職となってその後の生活に不安があるという方にとって、繰り上げ受給は重要な制度です。
年金繰り上げ受給のデメリット
それではメリットの一方で、年金の繰り上げ受給を適用するデメリットを挙げてみましょう。
①受給額が減る
本来の受給開始年齢である65歳よりも早く年金の受給を始めるということは、それと引き換えに年金額の減額を受け入れなければなりません。それでは、65歳の受給開始年齢よりも早く受給開始となると、どれだけ年金額が減ってしまうのでしょうか。
それを計算するには、「1ヶ月繰り上げるごとに0.5%減額」をいう数値を用います。ここでいう減額の対象は年金の年額です。仮に60歳にから繰り上げ受給をしたとすると「0.5%×60ヶ月=30%」となります。つまり、60歳から年金を繰り上げ受給すると年額の年金額が3割減になるということです。
ただでさえ少ない年金が3割も減ってしまうのか・・・と思われた方もおられると思いますので、可能な限り年金の繰り上げ受給はしないほうが得策と言えるかもしれません。
②障害基礎年金や寡婦年金が支給されなくなる
ここまで「年金」と呼んでいるのは、老齢基礎年金のことを指しています。すべての加入者が受け取ることができる高齢者向けの年金のことですが、年金制度には他にもさまざまな人を対象にした年金があります。
障害基礎年金や寡婦年金といった、それぞれ特定の人たちを対象とした年金については、繰り上げ受給との併用ができないため、老齢基礎年金の繰り上げ受給を選択した時点で、これらの年金は支給されなくなります。
③任意加入時は手続き不可
年金は加入している年数が長いほど、受給額も大きくなります。20歳から60歳まで加入することになっているため、この40年間すべてで加入していた人は満額となります。
しかし、例えば大卒の方であれば22歳まで学生であり、就職とともに厚生年金に加入するというパターンが多いと思います。本来は20歳から国民年金の加入義務があるのですが、学生であることを理由に年金を支払っていなかったという人もいると思います。もしこの人が60歳まで年金を払いきったとしても、20歳からの2年間は欠落していることになります。
もしこの人が「年金を満額もらえるようにしたい」ということで、60歳を過ぎても年金を納付し続けたいと思った時に利用できるのが、任意加入です。本来は60歳で終了する年金の納付を自らの意思で延長して加入期間を延ばすための制度です。
60歳をすぎて任意加入で年金を納めている人は、この年金の繰り上げ受給を利用することはできません。もっとも、60歳をすぎても年金を納付できる支払い能力がある人にとって、年金の繰り上げ受給は意味のないものだと思いますが。
結論:年金の繰り上げ受給はできるだけ避けよう
結論として押さえておきたいのは、年金の繰り上げ受給は早くから年金を受給できるメリットがあるものの、おそらくほとんどの人は繰り上げ受給を60歳から始めることになるであろうということです。そうでないと繰り上げ受給をする意味が薄れるので、そうなると年金額の3割減を受け入れなければなりません。
ただでさえ年金はその金額だけでは生活できないと考えている人が大半なので、それをさらに減らしてしまうのは得策ではありません。60歳で定年になっても引き続き同じ職場で働ける道筋を作っておくか、再就職をするか、それまでに備えておくかなどの方法で、年金の繰り上げ受給を利用しなくて済むようにしておくことをおすすめします。
60歳に年金受給年齢を引き下げる手続き方法
年金の繰り上げ受給を希望する場合は、最寄りの年金事務所で手続きを行ってください。最寄りの年金事務所は、以下のサイトから検索することができます。
年金の受給開始年齢を遅らせて受給額を増やす方法について
前章では年金を本来の受給開始年齢である65歳よりも早く受給することについて解説しました。次は65歳よりも「後」に受給開始年齢を遅らせることについての解説をしたいと思います。
年金の繰り下げ受給制度
年金の受給を最短で60歳まで早めることができる繰り上げ受給制度がある一方で、65歳から最長で5年間、つまり70歳まで受給開始年齢を遅らせることができる制度もあります。この制度のことを、年金の繰り下げ受給制度といいます。
年金の繰り下げ受給をするメリット
年金の受給開始年齢を自らの意思で繰り下げることのメリットは、以下の通りです。おおむね繰り上げ受給が持つメリット&デメリットとの裏返しであり、年金の受給額が増えるというのが最大のメリットです。
具体的には繰り下げた月数×0.7%なので、もし最長期間である70歳まで繰り下げたとしたら「0.7%×60ヶ月=42%」となります。つまり、70歳まで年金受給繰り下げをすることで、70歳以降にもらえる年金額は42%も増えることになります。
年金の繰り下げ受給をするデメリット
年金の繰り下げ受給をするデメリットを2つご紹介しますが、1つ目のデメリットについては敢えて言うまでもないことだと思います。
①65歳になっても年金を受給できない
本来の受給開始年齢は65歳であるにもかかわらず、繰り下げ受給を選択すると65歳になっても年金の受給開始とはなりません。おそらく繰り下げ受給を選択する人は自力で少なくとも70歳までの生活を支えることができる人だと思うので問題はないかもしれませんが、周りの人たちが年金生活を始めても自分はまだという意識になることはあるかもしれません。
②寿命によってはトータルの受給額が減る可能性
年金受給開始年齢を遅らせるということは、それだけ受け取る総額を減らすリスクが増大します。もし70歳まで受給繰り下げをしたとして、70歳になるまでに亡くなったとしたら、年金を納めて、しかも繰り下げまでしたのに1円も年金を受給することなく生涯を終えてしまうことになります。
仮にそうではなくても70歳を過ぎると高齢であることからさまざまな健康リスクが増大します。70歳になって約1.5倍になった年金を受給し始めたとしても、そこから数年で亡くなってしまうなど受給が終わってしまうようなことになれば、生涯の年金受給額が減ってしまうことになります。
結論:年金の繰り下げ受給はアリか
繰り下げ受給によって年金の受給開始年齢を遅らせることのメリットとデメリットを理解していただいた上で、結局どっちにするべきかという結論に迫ってみましょう。
結論としては、やはり年金の繰り下げ受給ができるような方であれば繰り下げをしたほうが実際の受給開始になった時のお得感は大きくなるので、そのほうが良いと思います。
しかし、これには条件があります。1つはご自身の健康リスクとの兼ね合いです。年金受給開始年齢を遅らせたものの、あまり長生きできなかったということでトータルの受給額が少なくなってしまうと金銭面では損になります。
また、もう1つの要因として年金制度全体のリスクを考慮する必要があります。今では年金原資の運用成績が比較的良いため年金不安があまり囁かれなくなりましたが、これがいつまで続くかは分かりません。少子高齢化の進行によって年金財政がひっ迫してくることは間違いないので、何も意思表示をしなくても年金の支給開始年齢が70歳に引き上げられるようなことが現実味を帯びているのであれば、自らの意思で繰り下げをして受給額を増やしておいたほうが得策です。
年金の繰り下げ受給の手続き方法
年金の繰り下げ受給については、最寄りの年金事務所で手続きをすることができます。これについては年金の繰り上げ受給と同様なので、以下のサイトから最寄りの年金事務所を検索してご相談ください。
年金をめぐる今後の見通し
年金をめぐる状況は、常に変化しています。とかく年金はこれから受給年齢を迎える方々にとって関心が高い上に悲観論がよく出てくるので、センセーショナルに報道されやすい傾向があります。実際のところはどうなのか、年金をめぐる今後について展望してみましょう。
受給開始年齢がさらに引き上げられる?
年金財政がひっ迫してくると、今後さらに年金の受給開始年齢が引き上げられるのでは?という噂は常に消えることがありません。「68歳」「70歳」といったように具体的な年齢を挙げつつ悲観論が飛び交っていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
2018年の10月に、根本厚生労働大臣が興味深い発言をしています。それによると年金の受給開始年齢の引き上げについて質問され、「ただちには考えていない」と回答しました。この「ただちに」という言葉に反応した方は多いと思いますが、このコメントを文面通りに読むのであれば「今すぐではないが、将来は分からない」と解釈することができますね。
ちなみにこのコメントは、同時期に財務省の諮問機関である財政制度等審議会で俎上に上がった「68歳への引き上げ」について問われた時の回答でした。財務省側では年金財政を維持するために68歳への受給開始年齢引き上げを検討していることが窺えます。
これらの動きを見ていると、現在は65歳となっている年金の受給開始年齢は、今すぐではなくても将来的には段階的に引き上げられるという方向性が見えているのは間違いないでしょう。
年金受給額が減らされる?
年金の受給開始年齢を引き上げる方向の議論があるということは、受給額を減らして年金財政を維持しようとする考え方もあるかもしれません。
この見通しを語るには、年金額がどうやって決まっているのかを知っておく必要があります。年金額は「これだけなら支払える」という財政状況から決まっているのではなく、物価と連動する形で「生活にこれだけ役立つレベル」という視点で金額を決めています。
つまり、年金財政がひっ迫してきたからといって年金額を減らすというより、その前に受給開始年齢の引き上げが検討される可能性が高いということです。また、それと同時に現役世代の年金払い込み額が増えるという方向性も考えられるでしょう。
公的年金そのものが破綻する?
公的年金はもう長くはもたず、年金制度そのものがなくなる・・・という不安説も、相変わらず噴出しています。このまま少子高齢化が進み、年金を納付する現役世代が減ってその一方で年金を受給する高齢者が増えれば年金財政がひっ迫してくるのは明白で、そのXデーが近づいている、というわけです。
これについて、さまざまなデータや分析結果を知った上で「破綻はない」というのが筆者の意見です。確かに少子高齢化が進行するのは事実ですし、高齢者の人口比率が高くなってくることによって年金財政にとって好ましくない環境になるのは間違いありませんが、今は増加し続けている高齢者がやがて減っていく時代に突入するのも、これまた事実です。
高齢者も続々と天寿を迎えることになるため、現在は増えている高齢者もやがて減ることになります。もちろん現役世代も増えませんが、高齢者世代もこれ以上増えていくことはないので、やがて受給者と納付者の比率が安定してくる時がきます。
その過程において現在の年金レベルを維持することは難しいかもしれませんが、年金制度を破綻させてしまうのは国の根幹を揺るがすことにつながります。そのため、公的年金は国が何としても守る必要があり、今後もその優先順位に変わりはないでしょう。
制度的に苦しくなることはあっても、破綻することはないというのが、公的年金に対する一般的な見方だと考えて問題ないと思います。
公的年金の受給開始年齢までの空白期間をどうするか
年金制度が今後も維持される前提で、やはり気になるのは65歳の受給開始年齢になるまでの空白期間です。60歳で定年退職が決まっている人にとって、その期間は5年です。この空白期間に対処する方法について考えてみましょう。
60歳定年の会社だと5年間の空白がある
最近では年金の受給開始年齢が65歳になっていることに合わせる形で、会社の就業規則を変更して65歳が定年というところも多くなりました。それに加えて昨今の人手不足を補うために、経験豊富なベテラン社員が60歳になっても雇用し続けるというケースも多く見られます。
こういった人たちには、空白期間がありません。しかし、60歳で定年退職となってその後再就職などをしないという人にとっては、65歳まで無収入の期間が始まることになります。これがまさに、収入の空白期間です。
空白の5年間の解決策
空白の5年間はすでに絵空事ではなく、実際に存在しています。すでに空白の5年間が身近になっている人にとっての有効な解決策とは、どういったものでしょうか。実際に多くの人がとっている対策として、4通りの方法を挙げてみました。
①定年の延長(自営業の方は現役継続)
理想的なのは、65歳の受給開始年齢になるまで現役であり続けることです。年金の受給開始年齢の引き上げを受けて定年の延長をしている企業は多く、その制度によってそのまま65歳まで現役で働き続けることで、空白の5年間の問題は回避できます。
この意味において、自分でリタイアするタイミングを決めることができる自営業者には強みがあります。もちろん自営業者というだけでは強みになりませんが、60歳をすぎても現役で活躍ができて収入が見込めるのであれば、年金の受給開始年齢が引き上げられたとしても、あまり大きな問題ではないかもしれません。
②嘱託などで再雇用
60歳になるまでの身分と同じではなくても、嘱託という形で働き続けることが可能な制度があります。企業によってその形はさまざまですが、一度定年退職をした上で同じ企業に別の条件で再雇用されるという形が多いようです。
その場合、60歳までの正社員雇用ほどの条件は期待できないかもしれませんが、全く異なる勤務先で再就職をしたりアルバイトをするよりは条件が良いことが多く、その選択肢を考える人も多いでしょう。
③できる範囲でアルバイト、副業をする
定年の延長や嘱託という道が考えにくいのであれば、目を外に向けてみましょう。60歳をすぎても人手を必要としている業種は多いので、そういった働き口を見つけてアルバイトや副業程度の仕事をして生活の足しにするというのは有効だと思います。
しかし、定年退職とは本来、「これ以上の年齢になると心身ともに仕事をするのが大変である」ということへの配慮から設けられた制度です。今どきは60歳をすぎても元気な人が多いので昔の考え方がそのまま当てはまるとは思いませんが、それでも高齢者の仲間入りをしていることは事実です。
あまり無理をせず、出来る範囲でアルバイトや副業に取り組むのが良いと思います。
④私的年金などで備えておく
公的年金だけでは足りないので、自分で老後に備えるという考え方は広く浸透しています。これは年金の受給開始年齢に到達するまでの空白期間への対策だけでなく、年金の受給が始まってからも有効な対策なので、私的年金や特別養老などで対応しておく重要性はますます高まるでしょう。
私的年金の作り方 オススメ4選
私的年金といっても、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。ここではその方法として筆者が有効だと感じるものを4つご紹介します。
①iDeCo
iDeCoとは確定拠出型年金のことで、「イデコ」と読みます。投資信託を活用した積み立てができる商品ですが、60歳になるまで途中解約が事実上できない仕組みになっている一方で、税制面でのメリットがあります。
60歳になるまで解約が事実上できず、60歳になったら積み立てた資金が毎月支払われるというのですから、明らかに60歳からの私的年金を意識した制度です。
iDeCoは証券会社の口座などから簡単に申し込むことができるので、まずは少額からでも始めておくと、60歳になってからの資金の増やすことができます。
②個人年金保険
生命保険会社などが販売している私的年金に、個人年金保険があります。現役世代のうちに毎月積み立てておいたお金が、老後になって支払われるというとてもシンプルな仕組みです。公的年金は相互扶助の精神で運用されていますが、私的年金はその名前の通り、自分で積み立てたお金を自分が受け取るという個人主義型の商品です。
生命保険会社などで簡単に加入できるので、検討している方は保険会社のサイトなどでシミュレーションをしてみるか、営業担当者に設計を依頼すると自分に最適なプランを提案してくれます。
③養老保険
生命保険の目的は死亡保障など、被保険者に万が一のことがあった際に保険金で経済的な保障をするというものです。これだけだと老後の備えにはなりませんが、生命保険の中には特別養老保険というジャンルがあります。
そもそも養老保険とは、生命保険と積み立て貯金を合体したような商品です。保険料と同じだけの積み立て貯金をするため保険料は高くなりますが、保障と貯蓄という2つの性能を持っており、満期になると死亡保障と同じだけの満期返戻金を受け取ることができます。つまり被保険者が亡くなることがなくても、同じ金額を老後に向けて受け取ることができます。
その中でも特別養老保険は、保障と貯蓄のバランスを柔軟に設定することができるため、貯蓄重視で設定すれば生命保険と兼用する形で運用することができます。
④不動産投資
老後の資金を確保するという意味では、不動産という資産形成をしてそこからの家賃収入を確保するという方法もあります。他の方法と比べると事業性が高く、かなり毛色は違いますが、資産形成をすることでご自身が亡くなった後に残された方々に対する経済的な手当も可能になります。
「Oh!Ya」は不動産投資家のためのメディアとして、不動産投資に関するたくさんのノウハウを解説する記事があります。不動産投資を本格的にお考えの方は、ぜひ関連記事をご参照ください。
まとめ
年金受給開始年齢に関する生活な情報と、その情報を踏まえた上での有効な対策について解説してきました。この記事をお読みになって何らかの不安を感じた方は、ぜひできることから始めて老後への不安を解消しましょう。