意外と知らない年金の種類|必ず知っておくべき4つの事実
By Oh!Ya編集部
3,028view
自分がもらえる年金はどの種類か?いくらくらいの受給額になるのか?を知らない人は意外と多いでしょう。しかし、年金は老後の大事な収入源なので、きちんと理解しておく必要があります。
そこでこの記事では年金の種類に注目し、自分はどの年金をもらえるか?いくらくらいもらえるのか?という点を解説していきます。
この記事を読めば、老後にもらえる年金の種類・受給額がイメージできるでしょう。
1.自分が何号被保険者かを知る
後述しますが、年金の種類は3種類あります。その3種類の説明をする前に、自分が何号被保険者なのか?を知りましょう。
というのも、自分が何号被保険者か分かれば、どの種類の年金が適用になるかが分かるからです。被保険者は以下のように1号~3号まであります。
項目 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 |
---|---|---|---|
職業 | 自営業者やフリーターなど | 会社員や公務員など | 専業主婦(夫)など |
年金の種類 | 国民年金 | 国民年金+厚生年金 | 国民年金 |
1号~3号被保険者について、以下より詳しくみていきましょう。
第1号被保険者とは?
第1号被保険者とは、後述する第2号・第3号被保険者以外の人を指します。具体的には、以下のような人達です。
- 自営業者
- 農業や漁業などに従事している人
- フリーター
- 学生
- 無職の人
第1号被保険者は、国民年金を受給することができます。逆にいうと、国民年金しか受給できないので、次項の第2号被保険者より受給できる年金額は少ないです。
第2号被保険者とは?
第2号被保険者とは、以下のような人達のことです。
- 会社員
- 公務員
- 条件を満たしたパートタイマー
上記の人は厚生年金に加入している人達です。つまり、第2号保被険者は、第1号被保険者と同じ国民年金を受給でき、さらに厚生年金も受給できます。
このように、第2号被保険者は第1号被保険者よりも手厚い年金制度が適用されるため、一般的に年金受給額は「自営業者<会社員や公務員」となっているのです。
第3号被保険者とは?
第3号被保険者とは、第2号被保険者の配偶者などです。具体的には、会社員や公務員を夫・妻に持つ、専業主婦(夫)などが第3号被保険者に該当します。
第3号被保険者は自分で年金の保険料を支払わず、夫・妻である第2号被保険者が支払う分に含まれています。もらえる受給額は第一号被保険者と同じ、国民年金のみです。
ただ、たとえば専業主婦になる前に会社員だった…という場合は、厚生年金の保険料を一定期間支払いっているということです。
そのため、国民年金にプラスして、支払っていた期間分の厚生年金は受給できます。
2.国民年金(1~3号共通)について知る
では、この章より実際に受給できる年金について解説します。上述したように、年金には3種類あり、まず1種類目に国民年金について以下の点を解説します。
- 国民年金も3種類ある
- 老齢基礎年金について
- 障害基礎年金について
- 遺族基礎年金について
- 1号被保険者のみの独自給付
国民年金は、1~3号被保険者の全員が受け取る年金です。また、第1号被保険者と第3号被保険者…つまり自営業者・フリーター・専業主婦(夫)などは、この国民年金しか受給できません。
国民年金も3種類ある
国民年金の中にも実は以下の3種類あります。
- 老齢基礎年金
- 障害基礎年金
- 遺族基礎年金
簡単に説明すると、老齢基礎年金はいわゆる一般的にイメージしている「老後にもらえる年金」のことです。
ただ、実は老齢基礎年金だけでなく、障害を負ったときなどにもらえる障害基礎年金、年金受給できる人が亡くなったとき遺族に支払われる遺族基礎年金も「国民年金」に含まれます。
この3種類について、次項より詳しくみていきましょう。
老齢基礎年金について
まず、老齢基礎年金について以下を知っておきましょう。
- 支払う保険料
- 受給できる条件と年齢・金額
- 受給時期は変更可能
支払う保険料
老齢基礎年金の保険料(支払う金額)は、日本年金機構によると 令和元年時点で1か月16,410円(一律)になります。
この保険料は日本に住む人全てが支払う金額であり、20歳になった時点で支払い義務が発生し、60歳になるまで支払いつづけます。もちろん、収入のない学生や無職の人も例外ではありません。
保険料額は所得額に関係なく一律です。そのため、たとえば自営業者として所得が年間1,000万円あろうが、500万円あろうが保険料は変わりません。
受給できる条件と年齢・金額
老齢基礎年金を受給する条件とは、「保険料納付済期間+保険料免除期間」の合計が10年以上であることです。
保険料免除期間とは、たとえば学生時代や失業して経済的に厳しい状況のときに、申請して承認されれば免除される期間になります。
老齢基礎年金は原則65歳からの受給です。そして、20歳から60歳まできちんと保険料を支払いつづければ、満額である780,100円(年間) が支給されます。
受給時期は変更可能
老齢基礎年金は原則65歳から受給できますが、65歳よりも若いときに受給することも可能であり、これを「繰り上げ受給」といいます。
ただし、繰り上げ受給した場合には、受給開始月を1か月早めるごとに受給額が0.5%減額される点は覚えておきましょう。
障害基礎年金について
年金と聞くと、前項の「老後にもらえるお金」をイメージしがちですが、障害基礎年金いうものもあります。障害基礎年金については以下を知っておきましょう。
- 障害基礎年金の受給者
- 支払う保険料と受給できる金額
- 子供の数によって加算額が異なる
障害基礎年金の受給者
障害基礎年金を受給できる人は、病気やケガなどで1級または2級障害になった場合です。
具体的には、うつ病や統合失調症、眼や耳が著しく悪い場合、人工透析を受けている方などが対象となります。
要は、障害があることで仕事に支障を来しており、収入が少ない…もしくは減少している状態を助けるのが障害基礎年金の役割になります。
支払う保険料と受給できる金額
支払う保険料は、上述した「老齢基礎年金」で解説した通りです。
要は、1か月16,410円(一律)という保険料は、国民年金(老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金)の全てが含まれています。
また、受給できる金額は以下の通りです。
- 1級障害 974,125円(年間)
- 2級障害 779,300円(年間)
子供の数によって加算額が異なる
また、生計を維持されている子供の数によって以下加算額が異なります。
- 加算対象の子が2人目まで(1人につき):年間224,300円加算
- 加算対象の子が3人目以降(1人につき):年間74,800円加算
遺族基礎年金について
次に遺族年金について以下を解説します。
- 遺族年金の受給者
- 支払う保険料と受給できる金額・期間
遺族年金の受給者
遺族年金を受給するのは、以下のような方が亡くなったときです。
- 国民年金に加入している人
- 老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人
受給対象者は、上記の人と生計を共にしていた「子のある配偶者」、および「子ども」になります。
たとえば、子供のいる専業主婦の方が夫に先立たれてしまった場合は、妻と子供が遺族年金の受給対象者となります。
支払う保険料と受給できる金額・期間
支払う保険料は上述した通りなので割愛します。受給できる金額は「779,300円(年間)+子の加算」であり、子の加算とは以下の通りです。
- 加算対象の子が2人目まで(1人につき):年間224,300円加算
- 加算対象の子が3人目以降(1人につき):年間74,800円加算
そして、受給できる期間は、子どもが18歳を迎える年度の3月31日を経過するまで、もしくは障害等級1級または2級の子どもが20歳を迎えるまでになります。
1号被保険者のみの独自給付
上述したように、1号被保険者は基本的に国民年金のみの受給なので、満額でも受給額は年間約78万円です。しかし、実際に年間78万円で生活するのは厳しいでしょう。
そのため、第1号被保険者のみに適用できる、以下の給付制度があります。
- 国民年金基金
- 付加年金
上記を利用することで、第1号被保険者も年金額を上げ、老後に備えることができるというわけです。
国民年金基金
国民年金基金とは、掛け金(≒支払う保険料)を増やすことで、老齢基礎年金に上乗せできる制度です。つまり、「保険料をもっと支払うから、年金受給額を上げる」ことができます。
国民年金基金の掛金の上限は月額6万8,000円であり、掛け金の金額によって上乗せされる金額が変わります。
実際に上乗せする金額は、プランや掛け金によって異なるので、気になる方は国民年金基金のホームページ でシミュレーションしてしましょう。
付加年金
付加年金は、毎月400円を支払うことで老齢基礎年金受給額に「200円×付加保険料納付月数」が上乗せできる制度です。
たとえば、付加年金の保険料を20歳~60歳(40年間)納めていた場合には、「200円 × 480月(40年)=96,000円」の金額が、老齢基礎年金に毎年上乗せされるというわけです。
ただし、以下の人は付加年金を利用できないので注意しましょう。
- 国民年金保険料の免除・猶予を受けている方
- 国民年金基金の加入者
- iDeCoを満額入っている方(後述)
- 65歳以上の任意加入被保険者
3.厚生年金について知る
次に、年金の2種類目である厚生年金について解説します。厚生年金は、第2号被保険者である会社員や公務員が受給できる年金であり、以下を知っておきましょう。
- 種類は国民年金と同じ
- 老齢厚生年金の保険料は会社と折半
- 老齢厚生年金を受け取る条件と年齢
- 老齢厚生年金の支給額
種類は国民年金と同じ
厚生年金も国民年金と同じく、以下3種類があります。
- 老齢厚生年金
- 障害厚生年金
- 遺族厚生年金
老齢厚生年金の詳細は後述します。障害厚生年金と遺族厚生年金は、上述した障害基礎年金と遺族基礎年金に上乗せするようなイメージです。
つまり、第2号被保険者は障害を負ったとき「障害基礎年金+障害厚生年金」を受給でき、生計を頼っていた夫や妻が亡くなったとき「遺族基礎年金+遺族厚生年金」を受給できます。
老齢厚生年金の保険料は会社と折半
日本年金機構によると、老齢厚生年金の保険料は「報酬月額(≒収入額)×18.3%」です。しかし、実際は勤務先と折半するので、実質負担は9.15%となります。
つまり、老齢厚生年金は老齢基礎年金(国民年金)とは異なり、一律ではなく収入によって保険料が変わります。収入が高くなるほど、支払う保険料も高くなるというわけです。
実際に、老齢厚生年金の保険料を自分がいくら支払っているかを知りたい場合は、給料明細の「厚生年金保険料」の金額が見れば分かります。
老齢厚生年金を受け取る条件と年齢
老齢厚生年金を受け取る条件は以下の通りです。
- 国民年金の受給要件を満たしている
- 厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上ある
また、老齢厚生年金を受け取れるのは、老齢基礎年金と同じく原則65歳からです。ただ、老齢厚生年金は開始時期を早めることも遅めることも可能です。
しかし、受給時期を早めると受給額は減額され、遅めると受給額が増額される点は認識しておきましょう。
老齢厚生年金の受給額
次に、老齢厚生年金の受給額について解説します。結論からいうと、自力での計算は難しいのでねんきんネットに問い合わせて確認する方が早いです。
というのも、上述した老齢基礎年金(国民年金)は支払う保険料は一律でしたので、老齢基礎年金の受給額は「保険料を支払った期間」で金額が決まっています。つまり、単純計算できるということです。
一方、老齢厚生年金は保険料自体が所得によって異なるので、計算方法は少々複雑雑なのです。
4.私的年金について知る
さいごに、年金の3種類目である私的年金について以下の点を解説します。
- 私的年金とは自分で上乗せする年金
- 確定給付企業年金制度(DB)とは?
- 確定拠出年金制度(DC)とは?
- 厚生年金基金制度とは?
- iDeCoとは?
私的年金とは自分で上乗せする年金
私的年金は、その名の通り私的に上乗せできる年金になります。そのため、1~3号被保険者の全員が利用できる制度になります。
年金が手薄な第1号被保険者はもちろん、比較的手厚い年金を受給できる第2号被保険者でも利用可能です。
ただし、全ての種類の私的年金制度を全員が利用できるわけではなく、利用者が限定されている私的年金もあるので注意しましょう。
私的年金は「投資」という意味合いが強く、基本的に運用成績によって受給額が上下します。
確定給付企業年金制度(DB)とは?
では、ここから具体的な私的年金について解説します。まずは、確定給付企業年金制度(DB)について以下を解説します。
- DBの概要
- DBには2種類ある
DBの概要
DBとは、「年金を将来いくら上乗せしたいか?」という上乗せする給付額を先に決めて、その給付額に必要な掛け金(≒保険料)を企業が支払い管理・運用する制度です。
DBは企業年金になるので、第2号被保険者しか利用することができません。社員は将来受け取る金額が保証されており、その資産は企業の責任において金融機関へ委託します。
つまり、仮に運用に失敗しても企業がその責任を負うので、「当初決めた『上乗せする給付金額』を受給できない」ということにはなりません。
DBには2種類ある
DBには以下2種類あります。
- 規約型
- 基金型
規約型は企業と社員がルールを決めて、金融機関が管理・運用を行うタイプです。一方、基金型とは企業年金基金が管理・運用を行います。
厚生年金基金制度とは?
厚生年金基金制度は、簡単にいうと上述した国民年金基金制度の厚生年金版です。つまり、厚生年金をより手厚くするための制度というわけです。
厚生年金基金は、企業が基金を設立して管理・運用を行っているので、勤務先が基金を設立していなければ利用できません。
一方、国民年金基金は公的に管理されているので、厚生年金基金は私的年金であるものの、国民年金基金は私的年金とはいわないのです。
仕組みは上述した老齢厚生年金と同じく、保険料は企業と折半して、受給額は支払っている保険料によって変動します。
確定拠出年金制度(DC)とは?
次に、確定拠出年金制度(DC)の紹介です。DCとは、DBと違ってまずは「掛け金(≒保険料)」を決めます。そして、その掛け金を運用することで、将来受給できる年金に上乗せするという制度です。
DCは基本的に運用を個人で行うため、DBと違い全責任は個人が負うので、給付金額がいくらになるかは分かりません。
そんな確定拠出年金制度には以下2種類あります。
- 企業型確定拠出年金(DC)
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
少々ややこしいですが、上記は2つとも確定拠出年金制度(DC)なのですが、一般的に「DC」というときは企業型確定拠出年金を指します。
企業型確定拠出年金(DC)
企業型確定拠出年金は、企業が掛け金を拠出してくれて社員が運用するという制度なので、企業が福利厚生の一環として導入していないと利用できません。
企業型の確定拠出型年金に加入すると、途中解約はできず60歳まで引き出すこともできません。また、転職したときも転職先の制度が適用されます。
仮に、転職先にこの制度がない場合は、次項で解説する個人型の確定拠出型年金に切り替わります。そのときには、掛け金の支払いは自己負担になるので注意しましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金は、いわゆるiDeCoといわれている制度です。iDeCoは、証券会社にiDeCoの積立口座をつくり、用意されている商品から自分に合った商品を選定します。
もちろん、iDeCoも運用状況によっては元本割れ(掛け金>受給額)する可能性があります。そして、前項の企業型確定拠出年金の掛け金は企業が払いますが、iDeCoの場合は自分で支払います。
つまり、自分の資産が目減りする可能性があるということです。一見、普通に証券会社で投資するのと変わらないように思えますが、「掛け金が所得控除できる」など税制優遇の効果が高いのが特徴です。
ただし、税制優遇のメリットがある代わりに、iDeCoも60歳になるまで積み立てた資産は引き出せない点は注意しましょう。
まとめ
まずは、自分が1~3号被保険者のどれに該当するかを確認しましょう。その上で、将来的に受給できる年金額を確認しなければいけません。
その上で、「将来的に年金が足りない」と感じれば、今から自分で資産運用するしかありません。
今後は、少子高齢化によって年金がいくらもらえるかも不透明なので、自分の身は自分で守るというスタンスの方が良いでしょう。