年金の支払い方法と支払いを怠った時に起きることまとめ
By Oh!Ya編集部
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年金に加入する年齢を迎えた方、もしくは会社勤めを辞めて国民年金に加入した方などにとって、分かっているようで意外に分かっていないことが多いというのが、年金の支払い方法ではないでしょうか。
そもそも年金はいつからいつまで支払うべきもので、支払わなければどうなってしまうのか?といった疑問が次から次へと湧いてくるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、年金の基本的な仕組みから支払い方法、支払いをしなかった場合に起きることなどをまとめました。
目次
最初に知っておきたい、年金の仕組み
年金とは何か?という意外にあまり考えたことがない疑問について、まずは考えてみたいと思います。年金の存在意義と基本的な知識です。
そもそも、「年金」とは何か
最初に、年金とは何かという大きなテーマに挑んでみたいと思います。年金とは社会保障システムの一種で、一般的に私たちが年金と呼んでいるのは高齢者を対象に支給している老齢基礎年金のことです。年金には他にも障害者向けの給付や遺族給付などがあり、いずれも社会全体で人を支える互助的なシステムで成り立っています。
私たちは高齢になって引退をしたら年金で生活をするということを何となく前提にように現役世代を生きていますが、それは年金制度がある程度保障されているからです。到底それだけでは生活できるような金額ではありませんが、それでも、ないのと比べると大きく違います。
年金制度があるおかげで、日本では高齢になっても社会的かつ文化的な生活ができるとされており、こうした社会保障システムがない国と比べると、安心して年を重ねることができると言っても良いと思います。もちろん現状の年金制度には問題点も多いですが、ひとまず制度上は整っていると思います。
年金制度の意義と役割
日本で年金制度が始まったのは、1961年のことです。意外に最近だという印象を持たれた方が多いと思います。それまでは社会保障システムがそれほど充実していたとは言えず、今よりも自分で自分のことをしなければならない時代だったと言えます。その上、日本自体が今よりも貧しい時代だったため、自分の老後を自分で守ることができる人が全員というわけではありませんでした。同じように生まれてきた人であっても、健康的に生きられる人と、そうでない人がはっきりと分かれていたわけです。
それを解決するために設けられたのが、国民年金です。国が最低限の収入を保証するという目的で国民年金法が制定され、そこから何度も制度的な微調整はあったものの、今日まで年金制度は続いています。
昨今の年金不安について
どんなにせっせと年金を支払っても、いざ自分が受け取る時になったら年金は大幅に減額されるか受給開始年齢が引き上げられて使い物にならない、もしくは年金制度そのものが破綻してしまって年金は支払い損になる・・・という話を、あちこちで見聞きされたことはないでしょうか。
いわゆる年金不安説ですが、これについては「年金の魅力は薄れるが制度自体がなくなることはない」と断じたいと思います。なぜなら年金制度は日本という国の根幹をなす制度であり、世界中に先駆けて高齢化社会を経験する日本の年金制度がどうなるかは、これから高齢化が進行する諸外国からも注目されているのです。
それだけ重要な制度だけに、国は税金負担を増やしてでも制度を維持し続けてきました。今後受給開始年齢が68歳や70歳に引き上げられるという噂が尽きませんが、それは確かに有り得ると思います。また、受給額が減らされるという話も頻繁に飛び交っていますが、これもまた有り得る話です。
しかしながら、年金が全くなくなってしまうということはないので、今後も年金の支払いを続けて致命的な損になるということは考えにくいと思います。
諸外国の年金制度を日本の年金制度を比べると
日本以外にも、年金制度を持っている国があります。主に欧米先進国に集中していますが、特にドイツやスウェーデンといった国々には日本とよく似た年金制度があります。
よく比較されるのは、アメリカです。欧米諸国の中でもアメリカは個人主義が徹底しているため、年金についても国が提供するシステムというよりは自分で選び、設定するものというニュアンスが強くなります。日本でもすでに始まっているiDeCo(イデコ:確定拠出型年金)は、アメリカですでに制度化されている401kという年金制度を模したものです。
年金制度そのものがない国や、社会保障システムがまともに機能していない国は別として、その中でも日本の年金制度はよくできているほうだと思います。そんなことを言っているのは厚生労働省や年金機構の回し者というわけではなく、ここまで制度を維持してきたことと、今後もし傷だらけになってでも制度を維持しようという意思が見えているのは、評価できると思います。
よって、年金の支払いをすることは決して無駄なことではなく、比較的充実している社会保障システムに参加することだと思って問題ないでしょう。
実は年金は増えている
年金不安の根拠として、「運用に失敗している」という指摘があります。これについて筆者は思うところがあるのですが、マスコミや政権に批判的なメディア、野党などの勢力は、GPIF(年金を運用している独立行政法人です)が運用に失敗して年金の原資を減らした時だけ大々的に喧伝をして、運用がうまくいって年金原資が増えている時には一切そのことに触れません。
このため、年金運用のことをあまり知らない人は年金の運用がうまくいっておらず、減らしてばかりだと思ってしまうのです。それが年金不安を助長していることは間違いないので、こうしたミスリードは問題だと思います。
GPIFの運用成績は、公式サイトで常に公開されています。それを見ると運用成績が一目瞭然なので、こうした一次情報から正確な運用成績を知るようにするのが良いと思います。
・最新の運用状況(GPIF:年金積立金管理運用独立行政法人)
年金の支払い開始時期と受給額の関係
ここからは、年金の支払いについての具体的な情報に入っていきましょう。第2章では年金の支払い開始時期と受給額の関係を解説します。
年金の支払いは20歳から
年金の支払いは、どんな人であっても20歳からという大原則があります。すでに社会人になっている人は国民年金だけでなく厚生年金に加入し、給料から天引きで年金を支払うことになります。
フリーターや無職の人については、20歳になると国民年金に加入したということで納付書が届くようになるので、それに対して年金を支払います。
20歳というと問題になるのが、大学生や専門学校生など、20歳になっているもののまだ社会人デビューをしていない人たちです。これらの人たちはまだ収入がないということを考慮して、年金の支払いが猶予される制度があります。
学生には特例があるとは言え、年金に加入することには変わりません。20歳になったら誰もが年金に加入し、支払いの義務が生じると理解しておいてください。
年金の支払額
それでは、年金の支払額はいくらなのでしょうか。これについては毎年更新されるため、年金機構の公式サイトでチェックするのが最も確実です。
2019年5月現在、このページによると国民年金の第1号被保険者の年金額は1万6,410円とあります。令和元年度という記載があるので、これは令和2年以降にはまた更新されていきます。更新されるといっても急に大幅に変わるということはほとんどなく、おおむね前年度とそれほど変わらない年金保険料だと思って良いでしょう。
自営業者と会社員・公務員の違い
自営業者と会社員、公務員といった給与所得者とでは、年金の取り扱いが異なります。ここまではよく言われていることなのでご存じの方も多いと思いますが、この違いは「2階部分」です。
年金は2階建てになっており、1階部分は国民年金といって日本国民の全員が加入して支払い、受け取る部分です。給与所得者の方々はそれに加えて2階部分として厚生年金があります。もちろん2階部分があるため保険料も増えますが、いざ年金を受給する時になると受け取る額も増えます。国民年金だけ、つまり1階部分だけだと年金受給額は5万円台ですが、厚生年金という2階部分がある人は少なくとも15万円程度の年金額になります。
年金は何歳から受給できるのか
年金の支払い期間は20歳から60歳までですが、それでは年金の受給が始まるのは何歳からでしょうか。これについては今の現役世代の方々は65歳からという認識で問題ありません。生まれた年によっては64歳や63歳といったように若干早まることがありますが、現在50代以下で年金受給を近い将来に控えている方々は原則として65歳が受給開始年齢です。
自分が希望すれば年金の繰り上げといって、60歳から受給することも可能です。しかし、年金の繰り上げ受給をするとその分年金額が少なくなり、その金額が一生涯続くので、決してオトクなだけではありません。
年金の受給額と現実
先ほど国民年金の受給額は毎月5万円台と、ざっくりとした金額でご紹介しました。これをさらに正確にお伝えすると、2018年の実績で年額77万9300円です。これを12で割ると毎月6万6941円になります。
先ほど5万円台とご紹介しましたが、ここでは6万円台です。この相違は何なのかと申しますと、加入期間による差です。ここでご紹介した金額は20歳から60歳まで全期間において国民年金に加入し、全期間の年金を支払い続けた人の場合です。
一部の期間が学生であったり、支払い免除などを受けたり、さらには未払いのまま終わってしまった期間があるような場合は、その分加入期間が短くなるため、年金の受給額が減ります。その結果、多くの人が満額とはなりにくく5万円台になることが多いというわけです。
なお、これは国民年金の金額なので、給与所得者として厚生年金に加入していた方については2階部分があるため、これよりも多くなります。
年金の支払い方法
ここでは、年金の支払い方法について解説します。近年の代金決済事情を受けて、年金の支払い方法も多様化しています。
銀行口座からの口座振替
年金の支払い方法として最もポピュラーなのが、銀行口座からの口座振替です。毎月自動的に引き落とされるため支払い忘れが起きませんし、いちいち自分から支払いに行く必要がないので便利です。
口座振替による年金支払いは、口座振替をする銀行の窓口もしくは年金事務所で手続きをすることができます。その際に必要なのが国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書という書類ですが、この書類は以下の年金公式サイトからダウンロードすることができます。
納付書による支払い
口座振替の手続きをしていない人には、年金機構から納付書が届きます。その納付書を持って銀行や郵便局、コンビニエンスストアなどに行き、その窓口で年金の支払いをすることができます。
この方法の便利さを実感できるのは、コンビニエンスストアで支払いができることです。何といっても24時間営業の窓口なので、仕事が忙しくて日中の時間には身動きが取れないという方であっても、支払いの機会が十分あります。
Pay-easyによる支払い
口座振替の設定をしていない人にとって便利なのが、Pay-easy(ペイジー)による支払いです。名称だけを見ても何となく今どきの支払い方法という意味合いが伝わってきますが、そのイメージ通り、このPay-easyは税金や公共料金などの支払いを電子決済で完了できるサービスです。
ネットバンキングを利用できるのが最大の強みで、今どきはネット銀行など実店舗ではなくネット上の操作だけで銀行サービスを利用している人も多くなっており、そんな人にとってはこのPay-easyが最も便利だと思います。
Pay-easyを使った国民年金の支払いについての詳細は、以下の公式サイトで分かりやすく解説されています。
クレジットカードによる支払い
最近は何でもクレジットカードで支払う人が多くなっていますが、国民年金もクレジットカードで支払いを済ますことができます。現金でのやり取りが不要で、何といってもクレジットカードで年金の支払いをするとその決済額に応じてポイントがつくのはメリットだと思います。
100円の決済に対して1ポイントがつくカードの場合、毎月160ポイントほど加算されていくので、積もるとそれなりのポイント数になります。
支払い方法の指定、変更は1ヶ月程度かかるので注意
年金保険料の支払い方法は自分で自由に選択することができますが、そこでの注意点は変更に手続き完了までに要する時間です。おおむね1ヶ月程度かかるため、特定の時期から年金の支払い方法を変更しておきたいという場合は、早めに動いておくことをおすすめします。
自分の年金支払い状況を確認する方法
ご自身の年金支払い方法がどうなっているのかを、確認したい場合があると思います。その場合の確認方法は、主に2通りあります。
1つ目は、毎年1回誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認する方法です。「ねんきん定期便」には年金の現況について細かい情報が記載されており、その中には支払い方法も記載されています。
もう1つは、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」のサービスを利用する方法です。この「ねんきんネット」はあらかじめアカウントを作っておくと、そのサービス上で年金の現況を知ることができます。この「ねんきんネット」では支払い方法についての情報も閲覧できるので、今すぐ確認したいという方におすすめです。
初めて利用する方は、上記サイトから利用登録をしてください。
年金の支払いをしないと、どうなるのか
前章では年金の支払い方法について解説をしました。あくまでも年金をちゃんと支払う人を前提にしてきたわけですが、この章ではその前提に当てはまらない人の話をしたいと思います。年金の支払いをしないと、いったいどうなるのか?その疑問にお答えしましょう。
実は年金未納者は3割にのぼる
国民年金では、年金未納者が大きな問題になっています。その比率は、なんと3割以上にものぼります。実に3割以上の人が国民年金に加入しているものの、保険料を支払っていないという現実があるのです。
しかし、この3割以上の人のすべてが意図的に支払いを拒否しているわけではありません。中には経済的困窮などの理由で年金の支払いを免除されている人も含まれているので、その人たちは言わば合法的に年金を支払っていないということになります。
問題なのは合法的に年金の支払いをしていない人ではなく、「支払えるのに支払いを怠っている人」、もしくは「支払えない状況にあるのに適切な手続きをしていない人」です。この両者は事情が異なりますが、年金機構にとっては同じカテゴリーになります。
年金の未納問題は時折大きく取り沙汰されますが、年金機構としてもかなり問題視しており、当局としても徴収に力を入れつつあるところです。
未納の期間は保険加入に算入されない
ちなみに、年金の未納期間があると、その期間は年金に加入していないという扱いになります。年金には受給資格が定められており、かつてはそれが25年でした。最低でも25年以上の年金支払い実績がないと、いざ年金の受給開始年齢になっても資格がないとなってしまっていました。
25年というとこの範囲から漏れる人が思っている以上に多く発生してしまい、例えば20年間年金の支払いを続けてきたのに無資格という人も実在していました。これだと老後の生活設計に支障をきたす人が大量に出てしまうということで、現在ではそれが10年間に短縮されています。10年間の年金支払い実績があれば、ひとまず年金受給資格を得ることはできます。
当然ですが、この10年を下回ってしまうと、受給資格が緩和された今であっても年金受給の対象とはなりません。
年金支払いの督促状が届く
年金の支払いを怠り、滞納を続けていると、年金機構からさまざまな形で督促が来るようになります。その段階は以下の通りで、段階が進むほど督促のトーンは強くなります。
①催告状(はがき)
年金の支払いをせずに放置していると、最初に届くのは催告状というはがきです。まだこの段階では支払い忘れかもしれないというトーンなのであまり強い調子ではなく、「納付をお願いします」というニュアンスです。
②特別催告状(青色、黄色、赤色)
催告状が届いたのに支払いをせず放置していると、次に届くのは特別催告状です。催告状に「特別」という文言がついているので、年金支払いの督促はひとつ段階が進んだと見るべきでしょう。3つの段階に分けて特別催告状が届く仕組みになっていて、青色、黄色、赤色という順に事態は悪化していきます。
③督促状
赤い封筒の特別催告状が届いても支払いをせずに放置していると、特別催告状の段階は終了します。その次に届くのは、督促状です。督促状が届く段階になると悪質な滞納者というカテゴリーに入ってしまうため、分割納付や支払い免除などといった交渉の余地がなくなります。「払うのか、払わないのか」という二者択一になってしますので、この段階になるまでの解決しておくべきでしょう。
④電話や訪問による督促
なお、督促状が届く段階になると書面だけでなく年金機構から委託を受けた民間の業者が取り立てにやってきます。電話による支払いの督促や、場合によっては直接訪問ということもあります。この段階になると年金の滞納が周囲にも知られやすくなってしまうので、家族や近所の目があるという方は、やはりこうなる前に対処しておくべきでしょう。
⑤差押予告通知書
督促状が届き、さまざまな方法で督促をされたにもかかわらず引き続き年金の支払いをしない状態を続けていると、差押予告通知書という書面が届きます。これは読んで字のごとく、指定の期日までに支払わない場合は差し押さえによって強制的に年金を徴収するという意味です。
⑥差し押さえによる強制徴収
差押予告通知書に記載されている期日までに支払いをせずに放置していると、いよいよ本当に差し押さえをかけられることになります。銀行口座から滞納している年金が徴収されるか、場合によってはクルマなどの財産を差し押さえられて公売にかけられるというケースもあるそうです。
延滞金を加算した年金を請求される
先ほど解説した年金滞納から差し押さえまでの流れで、督促状が届く前とその前である特別催告状の段階とでは、大きな違いがあります。それは延滞利息の有無です。
督促状が届く段階になると請求額に年利14.6%の延滞利息が上乗せされるため、請求される人にとってはさらに不利益になります。督促状が届く前の段階は特別催告状ですが、特別催告状の最終段階で「最終督促状」という書面が届くので、これが上乗せなしで支払いをする最後のチャンスだとお考えください。
最終的には財産を差し押さえられる
年金未納の最終段階では強制徴収が行われ、財産を差し押さえられると述べました。これについて一部の人は、「たかが年金の未納くらいで差し押さえ?」と高をくくっているかもしれません。しかし、年金の未納から強制徴収に至る人の基準は「7ヶ月以上の未納」です。つまり、すでに7ヶ月分の未納額があるため、差し押さえをかけても十分採算がとれるのです。
差し押さえというのは警告だけで本当にやることはないと思っている方は、その認識を改めたほうが良いと思います。以前と違って、徴収側は本気です。
差し押さえる財産がない場合は未加入期間となる
先ほどから年金の滞納と差し押さえについて解説をしていますが、ここでひとつの疑問が浮かびます。それは、差し押さえをかけたとしても、徴収する財産がないような場合はどうなるのか?というものです。
年金の支払いを「しない人」と、「できない人」がいます。前者の「しない人」は財産を持っていながら支払いをしていないので差し押さえが効力を発揮しますが、後者の「できない人」は差し押さえをかけたとしても取るものがありません。
実はこういう人が一番の問題で、現役世代の時に経済的に困窮している人が年院受給開始年齢までに大きく好転するとは考えにくいでしょう。そうなると年金受給開始年齢になった時に、現役時代の年金未納が響いてしまいます。なぜなら、年金の未納から強制徴収となっても差し押さえる財産がない場合は、その未納期間が丸々加入していないという扱いになってしまうのです。
このせいで加入期間が短くなってしまい、受給資格を得られなくなってしまったら老後破産まっしぐらです。年金の支払いが「できない人」は、支払いの免除申請を怠りなくしておきましょう。
年金の支払いを少しでもオトクにしたい、もしくは払えなくて困っている方へ
どうせ年金を支払うのであれば、少しでもオトクにする方法はないのか、というご要望にお応えをして、年金の支払いに関してオトク感のある情報、不利益を回避するための情報をお届けします。
少しでもオトクな年金の支払い方法を選ぶ
年金の支払いには口座振替という方法があることを解説しました。この口座振替には早割と前納という制度があり、これを利用すると毎月の年金が少しだけ安くなります。
まずは、早割。通常は翌月の月末が支払期限である年金を、当月の月末までに支払うと年金保険料が毎月50円安くなります。これを年間を通じて実施すれば、年額で600円オトクになります。
もうひとつは、前納。6ヶ月分や1年分、2年分といったように前倒しで年金を支払うと、支払額がかなりオトクになります。6ヶ月前納をすると1120円の割引ですが、これが1年の前納になると4130円、さらに2年分の前納になると1万5760円も安くなります。どうせ支払うものだからということでお金がある方は、この制度を活用するとかなりオトクになります。
この制度についての詳しい解説や申し込み方法については、以下をご覧ください。
・国民年金保険料の納付は口座振替での前納・早割が便利でお得です(日本年金機構)
年金納付を免除される制度がある
経済的困窮によって年金の支払いができないという人には、年金納付の免除という制度があります。年収が低くて毎月の年金保険料である1万6000円程度を捻出することができないという場合は、この制度の適用を申請しましょう。申請はお住まいの市町村の役所で行います。
なお、全額免除の適用を受けるための要件は年収が57万円以下です。これは本人に扶養家族の人数を足した人数でかけることになるので、もし4人家族の場合は57万円の4倍である228万円以下であれば適用されます。
納付猶予制度
経済的困窮によって年金の支払いが困難である場合だけでなく、例えば20歳になっているもののまだ学生で十分な収入がないということもあるかと思います。そんな場合を含めて適用されるのが、年金の納付猶予です。
納付猶予と免除はどう違うのかといいますと、あくまでも納付猶予は「今はお金がないので支払いができないが、将来支払える状況になったら支払う」というものです。この申請をして認められれば、いわゆる出世払いのように年金の支払いをして加入期間に算入することができます。
DV被害者は特例で年金支払いが免除される
DV被害は依然として多くの事例が発生しており、今もその被害の真っただ中にある人がたくさんいます。DV被害から逃れるために、住民票を置いたままで別の住所に引っ越すことがありますが、その場合は住民票所在地に年金の請求がいくため、隠れて住んでいる実質的な住処にいると年金の支払いができない場合があります。
それ以外にも、収入面での大黒柱になっている人がDV加害者となっている場合、被害者が別の住所に隠れて住んでいると収入が入らなくなるため、金銭的に困窮する可能性があります。
そんな状況にある人は、申請をすることで年金の支払い免除を受けることができます。あまり多くはないケースだとは思いますが、該当する事態になった時のために知っておいて損はない制度です。
面倒でも免除、猶予の申請をしておこう
年金の支払い免除は、役所の窓口で申請をする必要があります。人によっては手続きをすることが恥ずかしいと感じたり、もしくは面倒だと感じることもあるでしょう。しかし、年金の支払いが困難な状況にあるのに免除の申請をしないというのは、年金への加入期間が少なくなるため老後になって不利益を被ることになります。
面倒でも支払い免除の申請はしておくべきであり、こういった手続きを疎かにすること自体が自分を不利な状況に追い込むという認識を持ちましょう。
まとめ
年金の支払いに関する情報と、支払いを怠った場合はどうなるのかといった情報を網羅してきました。お金を支払うことに喜びを感じる人は少ないので、年金の支払いをする意義も併せて解説しました。毎月1万6000円ほどの出費が続くのは決して楽ではありませんが、将来の自分に支払ってつもりでしっかり納付をしましょう。