投資信託の税金はどのくらいかかる?初心者向けに徹底解説!
By Oh!Ya編集部
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投資信託を運用するにあたって、税金面での不安はありませんか?
投資信託の利益に税金が課せられることは知っていても、どのような税金が発生するのか把握している人は多くありません。また、税金について理解を深めることが、投資信託の利益向上に直結することも認知されていないのが実情です。
投資信託に関する税金の知識を身に付ければ、以下のようなメリットがあります。
- 運用している投資信託が、本当に収益性の高い商品なのかが分かる
- 納税の手間を省略し、得をする場合のみ自身で確定申告を行える
- 毎年の投資額が120万円以下なら、全ての税金を免除できる
今回は、投資信託の利益に課せられる税金と納税の仕組み、節税対策についてご説明します。
目次
投資信託の仕組み
ファンドマネージャーに運用資金を預けて、実際に資産運用をしてもらう金融商品が「投資信託」です。市場調査や分析、投資先の売買を一任できる手軽さが人気を集め、投資初心者が初めて手を出す金融商品として適しています。
最低初期費用は数百円と小さく、まとまった資金を用意できない人にもおすすめ。1週間や1ヶ月で大きな成果は出ませんが、コツコツと長期的に運用することで着実に資産拡大を目指せます。
税金が課せられる投資信託の利益は3種類
投資信託の運用で受け取れるお金のうち、課税対象となるのは3種類です。
ここで注意すべきポイントは、投資信託における「特別分配金」の存在。特別分配金は分配金という名称が付いているものの、利益ではないため税金が課せられません。
投資成果が出ていない状態なので、特別分配金ばかり配る投資信託を放置したままでは危険です。
投資信託を手放したときに発生する「売買差益・償還差益」
投資信託を売却したときに得られる「売買差益」は、株式投資の譲渡益と同じように20.315%の税率が課せられます。
これは、償還期限の満期まで保有した場合に得られる「償還差益」も同様です。なお、20.315%の内訳は以下のようになっています。
- 所得税および復興特別所得税:15.315%
- 住民税:5%
運用成績に応じて投資家に還元される「普通分配金」
投資家が投資信託から受け取る「普通分配金」は、売買差益と同じく20.315%の課税義務が発生します。普通分配金とは、運用によって発生した利益から配られる分配金のこと。
一方、普通分配金の対極にあるのが、運用成績が思わしくないときでも配られる「特別分配金」です。特別分配金を利益だと勘違いする投資初心者もいますが、これは運用資金を削って配られる「その場しのぎの分配金」ともいえます。
- 普通分配金:20.315%の課税義務が発生する
- 特別分配金:利益ではないため課税対象外である
分配金と名の付くお金であっても、上記のように扱いが異なります。特別分配金は課税されませんが、これは決して得しているのではなく「利益がない」という状態なのだと認識しましょう。
特に「毎月分配型」の投資信託は特別分配金の比率が大きいため、運用資金が削られてばかりです。購入した投資信託が特別分配金をメインとしているなら、運用方法の再考をおすすめします。
「特定口座・一般口座」における納税方法の違い
証券口座を開設するとき、特定口座と一般口座のどちらを利用するのか尋ねられます。
この選択により、投資信託にかかる税金の処理は異なるため、これから運用を始めようと考えている場合は注意しましょう。
確定申告の手間を省略できる「特定口座」とは?
投資信託で年間20万円以上の利益をあげた場合、投資家には確定申告の義務が生じます。
このとき、投資信託の売買・運用で発生した支出を「年間取引報告書」にまとめておく必要があるものの、複数の投資信託を運用すれば膨大な情報量になるため、報告書を個人が用意することは簡単ではありません。
このような問題を解消する制度が「特定口座」です。特定口座を利用すれば、証券会社が年間取引報告書の作成を代行してくれるため、確定申告にかかる手間が大きく削減できるのです。
特定口座は「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に大別されます。
自動的に確定申告を代行してくれる「源泉徴収あり」
特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、年間取引報告書の作成だけでなく納税まで証券会社が代行してくれます。そのため、投資家はどれほど利益をあげても、確定申告に関する一切の手間が必要ありません。
デメリットがなく別途費用がかかることもないため、特別な理由がなければ特定口座(源泉徴収あり)の利用をおすすめします。
なお、以下のような処理をしたい場合に限り、自身で確定申告を行うことも可能です。
- 複数の証券会社で発生した支出を合算。損益を相殺したうえで確定申告する場合
- 過去3年以内の損失額を利益で相殺する「繰越控除」を活用する場合
必要書類の作成のみ代行してくれる「源泉徴収なし」
特定口座(源泉徴収なし)は「源泉徴収あり」とは異なり、証券会社が引き受けるのは年間取引報告書の作成のみ。
給与以外の所得が20万円を超えるなら、投資家自身による確定申告が必要となるため、極力手間を省略したい場合には不向きです。
一方、給与以外の所得が20万円以下の場合は、申告義務がないため「確定申告をしない」という選択ができます。
この手法は、自動的に確定申告が行われる「源泉徴収あり」では使えないため、年間利益が20万円を下回ると確信できるなら「源泉徴収なし」は有効な選択肢です。
確定申告に関するサポートがない「一般口座」とは?
一般口座を選んだ場合、特定口座では証券会社が作成していた「年間取引報告書」を、投資家自身が作成しなければなりません。
唯一のメリットは「給与以外の所得が20万円以下なら、課税義務が発生しない」という点ですが、これは特定口座(源泉徴収なし)でも対応できます。
年間取引報告書の作成から確定申告まで、全てをこなすことは初心者にとってハードルが高く、申告ミスにより加算税が発生する可能性もあるため、特別な理由が無ければ特定口座の利用がおすすめです。
税金を抑えるなら「無分配型」の投資信託がおすすめ
分配金が設定されている投資信託には、「運用成績に応じて分配金を還元する」という特徴があります。
これは一見するとメリットに思えるものの、「投資利益を再投資する」というスタンスの投資家にとってはデメリットだといえます。なぜなら、投資家は分配益を受け取るたびに、税金を納めなければならないからです。
分配されるたびに20.315%の税金が課せられるため、再投資には税引後の利益をもちいることとなります。これでは、効率的に運用規模を拡大できません。
こういった投資利益を再投資する場合には、「無分配型」の投資信託がおすすめ。無分配型は「利益を再投資して運用規模を大きくする」という前提のもと設計されているため、あえて分配金を還元せず運用元本にくわえています。
これにより、年を追うごとに投資のスケールが大きくなり、より膨大な利益を追求できるのです。
節税するなら非課税制度を利用しよう
投資信託の運用利益が増えれば、それに比例して納める税額も増えてしまいます。
投資信託は節税対策として取れる行動が少ないため、税金を効果的に抑えるには非課税制度の活用が不可欠です。
この項では、投資信託に利用できる非課税制度を3つご紹介します。
投資信託の利益を非課税にする「NISA」とは?
NISAは2014年にスタートした、金融商品にまつわる非課税制度。投資信託を購入するときに「NISA口座」を選択すれば、その銘柄から発生した売買益・分配益がすべて非課税になります。
1年あたり120万円までの買付枠が用意されており、NISA口座には最長5年まで投資信託の保有が可能です。非課税期間の終了時まで保有している商品は、「課税口座への移動」または次年度の買付枠を使用する「ロールオーバー」にて対応する必要があります。
非課税期間が切れる間際で慌てることのないよう、事前におおまかな保有プランを立てておきましょう。投資前の段階で5年以上の運用になる見込みであれば、後述する「つみたてNISA」の利用も選択候補に入ります。
少額かつ長期運用に特化した「つみたてNISA」とは?
つみたてNISAは2018年度から開始された、NISAに代わる新たな非課税制度。1年あたりの買付枠は40万円まで低下しているものの、非課税期間は最長20年間に延長されました。
これにより、短期投資では成果が出づらい投資信託に対し、より効果的な節税対策として注目されています。
なお、つみたてNISAは、独自の制約により「金融庁の規定をパスした投資信託」しか利用できません。これはデメリットに思えるものの、数千種類の銘柄をまえに購入商品を決められない投資家にとって利点になりえます。
- 一般NISAの買付枠を使い切らない人
- 5年間を超える運用を想定している人
- 無数にある投資信託から、どれを選べば良いか分からない人
上記の条件に当てはまる場合は、つみたてNISAの利用が適しています。すでに一般NISAを利用している場合でも、証券会社に申請すれば利用制度の変更が可能であるため、つみたてNISAへの切り替えをおすすめします。
以下、NISA制度の比較を用意しました。
NISA制度の比較 | 一般NISA | つみたてNISA |
---|---|---|
年間買付枠 | 最大120万円 | 最大40万円 |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 |
ロールオーバー | 可能 | 不可能 |
利用可能対象 | 投資信託のほか、さまざまな金融商品 | 金融庁の規定を満たした投資信託のみ |
これから投資信託を購入する、もしくはすでに投資信託を運用しているなら、NISA口座の開設申請をしてみてください。
NISA口座を利用するときの注意点
NISAとつみたてNISAは併用できず、複数の証券口座を保有している投資家であっても、NISA口座は合計1つしか開設できません。
また、NISAとつみたてNISAの切り替えは、年間買付枠を1円でも使っていれば翌年度まで処理できないことに要注意。利用制度の変更を考えている場合は、まず各証券会社が発表するNISA解説ページの確認をおすすめします。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
私的年金制度であるiDeCoは、NISAと同じく投資信託の節税対策として優秀な制度。定期積立を通じて投資信託を運用することで、毎年発生する住民税や所得税を軽減し、さらに運用利益を全て非課税にします。
最低積立金額は、1ヶ月あたり5,000円。経済状況や勤務形態により積立上限額は違い、以下のような基準が定められています。
国民年金保険の加入区分 | 対象者 | 掛金の利用限度 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者 | 月額6.8万円(年間81.6万円) |
第2号被保険者 | 会社員(企業年金なし) | 月額2.3万円(年間27.6万円) |
会社員(企業型DCに加入) | 月額2万円(年間24万円) | |
会社員(企業型DC・DBに加入) | 月額1.2万円(年間14.4万円) | |
会社員(DBに加入) | 月額2.3万円(年間27.6万円) | |
公務員 | 月額2.3万円(年間27.6万円) | |
第3号被保険者 | 専業主婦(主夫) | 月額2.3万円(年間27.6万円) |
出典:(iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」を抜粋・改編) ※上記図表のDCは「確定拠出年金」、DBは「確定給付企業年金」を指しています。
上記のように、年間あたりの上限額はNISAに劣ります。そのため、iDeCoはNISA口座をメインとして活用したうえで、さらに投資信託を購入する場合におすすめです。
なお、年金制度という扱いであるため、定年を迎えるまで積立金額の取り崩しはできません。定期積立のストップはできるものの、投資した資産は60歳まで戻ってこないため注意しましょう。
まとめ
税金といえば難しいイメージがあるものの、投資信託を運用するなら今回解説した基礎知識で十分です。特に重要なのは以下の3つ。
- 特別分配金が多い投資信託は乗り換えを検討する
- 確定申告の手間がかからない特定口座を利用する
- 投資額に応じてNISA制度やiDeCoを積極的に活用する
上記のポイントを押さえておくことで、不用意に金銭面・時間面で損をせず、利益を獲得したときの税負担も軽減できます。
投資信託は、長期運用を前提とした投資手段であるため、後々に後悔しないよう事前準備に力を入れることをおすすめします。