誰でも分かる!投資のリスクを減らす2つの方法
By Oh!Ya編集部
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投資の世界では「リスク」という言葉が頻出します。リスクという言葉は危険であることを連想させますが、投資の世界では「リスク=損をする」ではありません。
実はリスクとリターンは比例しており、リスクの大小が変わればリターンも連動して変わるのです。この関係性への理解が乏しければ、一般的に低リスクだといわれる金融商品でも、想定外の損失を生む可能性があるため要注意。
今回は、投資におけるリスクの正しい認識を解説しつつ、リターンをコントロールする方法をご紹介します。
目次
投資におけるリスクとは?
リスクは直訳すると危険という意味ですが、経済学においてリスクは「結果の不確実性」をあらわします。たとえば、あらゆる金融商品で使われる「価格変動のリスク」という概念は、価格が下落する可能性を強調してもちいることがほとんど。
もちろん景気に影響されて運用資産が目減りすることはあります。しかし、価格変動のリスクには「価格が下落する可能性」と同様に「価格が上昇する可能性」があることを忘れてはいけません。
ほかにも、投資に関わるリスクには以下のようなものがあります。
リスクの種類 | 強調される部分 | 隠れている部分 |
---|---|---|
金利変動リスク | 金利が下がる | 金利が上がる |
為替変動リスク | 為替変動で損をする | 為替変動で得をする |
倒産リスク | 経営破たんする | 経営が順調に続く |
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上記のようにリスクは損得が表裏一体となっており、必ずしも「リスク=損をする」というわけではありません。
リスクとリターンの関係性
リスクの正体が分かれば、投資の世界で通説とされる「リスクとリターンは比例する」という言葉の意味合いが理解できます。事実として、元本が保証されている「銀行預金」は、わずかなリターンしか期待できないのです。
ここで注目すべきなのは、一見するとリスクが存在しない銀行預金に対して、微量ながらリターンが発生するという点。ノーリスクに思える銀行預金には、なぜ利益が発生するのでしょうか?
見落としがちなポイントとして、銀行預金には「インフレ時に損をする」というデメリットが潜んでいます。たとえば、インフレにともなって物価が上昇すれば、これまで1,000円だった商品が1,100円になる可能性があります。しかし、物価上昇により商品価格が高くなっても、預金額が一度に10%も増えることはありません。
その一方で、インフレによって国内産業が栄えれば、企業の価値は高まり株式価格は上昇。株式投資家たちの多くは、預金利息とは比較にならない規模で保有資産が増えることになるでしょう。
このようなリスクとリターンの関係性は、銀行預金や株式投資だけでなく、不動産投資や国債のほかさまざまな金融商品に当てはまります。そして、リスクとリターンを決めるのは金融商品の種類だけでなく、実際には「投資先の特性によるリスク」と「運用方法によるリスク」が関係しています。
リスクを減らす方法
リスクとリターンは投資先によって変動するほか、運用方法の違いにより大きな差が生まれます。
この項では、運用方法にフォーカスして、リスクをコントロールする手段をご説明します。
分散投資でリスクを管理する
リスク管理の基本として有名な分散投資は、たびたび「損失をおさえる方法」として強調されます。しかし、前述したリターンとの関係性を考慮すれば、利益を減らす可能性もはらんでいるのです。
たとえば、リスク管理のため「投資先A」と「投資先B」という、真逆の結果を生む金融商品に投資します。投資先Aが値上がりすれば、当然ながら投資先Bは値下がりするはずです。
この結果から、投資先Aによりもたらされた利益は、投資先Bの損失により足を引っ張られたことが分かります。あくまで、分散投資は損失のリスクを減らすと同時に、利益を生む可能性も減らす運用方法だと認識しつつ活用しましょう。
投資先の分散だけでも以下のような種類があり、分散先が多くなるほどリスクは軽減します。
分散方法 | 具体例 |
---|---|
資産分散 | 株式や不動産、金など多種多様な資産を運用する |
地域分散 | 日本だけでなく、他の先進国や途上国にも投資する |
通貨分散 | 日本円だけでなく、他国の安定通貨を保有する |
業種分散 | IT分野や医療、食品関連など異なる業界へ投資する |
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なお、分散投資には上記のような「投資先を分散する」という方法のほか、運用期間や投資するタイミングを分散させる選択もあります。
運用期間を分散させる
将来性が期待できる投資先を見つけたとき、投資先を分散させる方法にかわって有効な方法が「運用期間の分散」です。
たとえば、投資先Aという金融商品を購入して1,000万円を運用しているとき、1年後に半分を売却。残りの半分を5年後に売却すれば、運用期間を分散したリスク管理であるといえます。
運用期間の分散による結果の算出方法は以下の通りです。
1度目の売却がプラス | 1度目の売却がマイナス | |
---|---|---|
2度目の売却がプラス | 利益額+利益額=結果 | 損失額+利益額=結果 |
2度目の売却がマイナス | 利益額-損失額=結果 | 損失額-損失額=結果 |
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これを見ると利益を最大化できる可能性と、損失が最大化してしまう可能性はそれぞれ4分の1。利益と損失が打ち消しあう可能性は2分の1となり、運用結果の不確実性が小さくなっていることが分かります。
投資するタイミングを分散させる
同一の投資先へ資金を集中させるとき、異なるタイミングで投資する方法も分散投資の1つとして知られています。
これも運用期間の分散と同様に結果の振れ幅が小さくなり、利益・損失が最大化することを阻止。できる限りリスクとリターンを小さくしたい場合に有効です。
少額投資で資産を運用する
自己資金のうち、わずかな金額を運用にあてることで、リスクを軽減させることが可能です。当然ながら、投資額が小さければ得られるリターンも少なくなりますが、分散投資に比べてやるべきことはシンプル。
初めて投資をおこなう分野は、分散投資に欠かせない「各投資先の特性」が分からないため、運用方針が定まらない段階では少額投資がもっとも無難な選択です。
低リスクな資産運用に適した投資先
前述した方法を利用すれば低リスクな資産運用ができるものの、1度の投資費用が高額で分散投資がしづらい投資先はリスク管理が困難です。
この項では、低リスクな資産運用に適した投資先をピックアップ。さらに、初期費用は多額であるものの、数ある金融商品とは違った特性をもつ「不動産投資」をご紹介します。
投資信託
自己資金をファンドマネージャーに預けて、資産運用を任せる金融商品を「投資信託」と呼びます。
ファンドマネージャーは金融市場を分析し、さまざまな株式銘柄や債券のなかから複数の対象へ投資。運用により獲得した利益は、投資信託を保有する投資家に還元される仕組みです。投資家の意思にかかわらず投資先は分散されるため、1つの投資信託を保有するだけで分散投資をしている状態となります。
また、投資に求められる初期費用が少額であることもメリット。なかには数百円から購入できる銘柄もあり、定期積立により投資するタイミングを分散させつつ投資することも可能です。
ETF(上場投資信託)
投資信託の類似商品として知られる「ETF(上場投資信託)」は、証券取引所が開いている時間帯であればリアルタイムに売買が可能。1日1度しか売買の注文を出せない投資信託と比べて、手軽にトレードできるメリットがあります。
ただし、指定口座から定期積立ができる投資信託と異なり、ETFでは追加投資に投資家自身の操作が必要です。一概に優劣を決めることは難しいため、定期積立とリアルタイムな売買のどちらを優先するのかで選択肢を選びましょう。
一部の投資信託で利用できる「つみたてNISA」とは?
「つみたてNISA」は、金融庁の基準に通過した投資信託に利用できる非課税制度。通常、投資信託の運用により発生した利益は、約20%も税金が課せられます。
しかし、つみたてNISAの非課税枠を利用して購入した金融商品は、運用より発生した分配金や売買益がすべて非課税。非課税枠の利用限度は年間40万円であるものの、少額投資をおこなう個人投資家は大きな恩恵が期待できる制度です。
年金代わりに投資信託を運用できる「iDeCo」とは?
近年、知名度を高めつつある「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、優れた節税効果をもつ年金制度。定期積立を利用して投資信託を運用することで、発生した利益がすべて非課税になります。
つみたてNISAは利用限度が年間40万円で固定されていますが、iDeCoは職業や立場によって上限額が変動。以下のような基準で、毎月の掛金枠が設定されています。
国民年金保険の加入区分 | 対象者 | 掛金の利用限度 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者 | 月額6.8万円(年間81.6万円) |
第2号被保険者 | 会社員(企業年金なし) | 月額2.3万円(年間27.6万円) |
会社員(企業型DCに加入) | 月額2.0万円(年間24.0万円) | |
会社員(企業型DC・DBに加入) | 月額1.2万円(年間14.4万円) | |
会社員(DBに加入) | 月額2.3万円(年間27.6万円) | |
公務員 | 月額2.3万円(年間27.6万円) | |
第3号被保険者 | 専業主婦(夫) | 月額2.3万円(年間27.6万円) |
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出典:(iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」を抜粋・改編) ※DCは「確定拠出年金」、DBは「確定給付企業年金」を指しています。
上記の基準を上限として、毎月5,000円から始められます。掛金の設定は毎月1,000円単位で変更できるため、財務状況にあわせて柔軟な運用が可能。前述したつみたてNISAと併用することで、大きな節税効果が期待できます。
なお、年金制度という特性上、原則として60歳までは運用資金を引き出せないことに注意。あくまで余剰資金を利用した運用に適している制度です。
REIT(不動産投資信託)
REITは「不動産を対象とした投資信託」といえる金融商品で、投資家から集めた資金を利用して資産運用会社が不動産を運用・売買。発生した利益は分配金として、投資家たちに還元されます。
不動産投資信託とネーミングされているものの、実際にはETFと似たような仕組みとなっており、証券取引所が開いている時間帯はリアルタイムな売買が可能。不動産投資に興味がありつつハードルの高さを感じる人は、間接的な不動産オーナーになれるREITへの投資がおすすめです。
一言でREITといっても運用方針はさまざまで、代表的な種類だけでも以下のようなものがあります。
扱う物件の種類 | 主な特徴 |
---|---|
オフィスビル型 | 景気の影響を受けやすいが利益率が高い |
商業ビル型 | 短期契約が多く価格変動が激しい |
ショッピングセンター | 収益性は低いものの安定した利益率 |
居住物件型 | 需要が減少しないため価格変動は緩やか |
物流施設型 | ネットショップの普及で注目を集めている |
宿泊施設型 | 観光客数に依存するため売上の上下が激しい |
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それぞれ、景気変動の影響や契約相手が異なり、メインに扱う不動産の種類で金融商品としての特性が変わります。単一の物件タイプを取り扱う「特化型」と、実際には複数種の不動産を扱う「複合型・総合型」と呼ばれるなど形態はさまざま。
東京オリンピックやインバウンド政策が注目される昨今、注目を集めつつある金融商品です。
不動産投資
不動産投資はトレードによる利益ではなく、賃料収入による利益をメインにしています。トレードによる利益はマーケットの価格推移に依存しますが、家賃相場が激しく上下することはありません。そのため、空室リスクへの対策を怠らなければ、リスクとリターンの予想が容易な投資手段だといえます。
ほかにも、災害リスクや金利変動リスクが発生するものの、それぞれ災害保険や固定金利型の融資を利用することで対策が可能。実物資産を運用する不動産投資ならではのリスクは、投資家自身の努力でコントロールできるものが多いです。
まとめ
今回は投資におけるリスクの正体と、低リスクな運用をおこなうための方法をご説明しました。リスクとリターンは切っても切れない関係にあり、損失の可能性をおさえれば利益の可能性も小さくなります。
この法則を理解していれば「リスクゼロで確実に儲かる」という危険な誘い文句に騙されることはなくなり、投資家は「自身が抱えているリスク」を客観的に捉えることが可能。理不尽に保有資産を失うような事態を阻止できます。