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退職金はいつもらえる?退職理由(定年/会社都合/自己都合)ごとに解説

退職金はいつもらえる?退職理由(定年/会社都合/自己都合)ごとに解説

まもなく定年退職を迎える方にとって退職金への関心はとても高いと思います。退職金に関する疑問は多岐にわたると思いますが、その中に素朴な疑問として「退職金はいつ出るのか?」という疑問もお持ちではないでしょうか。

給料やボーナスであれば支給される日が決まっていますが、いかんせん退職金はこれまでに経験したことがないお金です。しかも会社を退職したことによって支給されるお金なので、会社と縁がなくなった後ではたしてちゃんと会社が入金してくれるのか?という疑問も湧いてくる方もおられることでしょう。

そもそも退職金の制度がない会社もありますし、そのあたりは会社によって考え方や取り扱いが大きく分かれるところなので、それだけに「いつ自分の手のひらに乗るのか」という疑問は切実なのです。

この記事では、この気になる退職金について、「いつ入金されるのか」という疑問へのお答えと、それを知る方法、もし待っていても入金されない場合の対処法などを解説します。また、定年退職以外の退職では退職金がどう取り扱われるのかという点についても解説していきたいと思います。

退職金にまつわる素朴な疑問

退職金はいつ出る?

はじめに、退職金の基本的事項を解説します。

そもそも、退職金ってなに?

退職金とは、その会社に勤めていた人が退職をする際に会社から支払われるお金のことです。そもそもなぜ退職金があるのかという疑問をお持ちの方もおられると思いますが、そこには会社への功績に対する慰労や、長く勤めてもらうための動機付けといった意味合いがあります。

退職金はそれぞれの会社の就業規則に明記されている制度なので、そこに記載されているのであれば必ず支払われます。しかし、退職金を支払わなければならないという決まりがあるわけではないので、就業規則にどう記載するかは会社の裁量です。

定年退職など退職時に支払う会社が大半ですが、もっと早くほしいという声に応えて在職中にボーナスに上乗せして支払う会社もあります。

退職金はいつ支払われる?

それぞれの会社の就業規則にもよりますが、退職金はおおむね退職後1ヶ月から2ヶ月後くらいに入金されるところが多いようです。長いところだと退職してから6ヶ月後にならないと入金されないケースもあるそうですが、これだとさすがに心配になってくる人が出てくるのも理解できます。

ご自身がお勤めの会社で退職金がいつ支払われるのかという疑問を解決するには、就業規則を見るのが最も手っ取り早いと思います。そのあたりについては、後述します。

退職金はいくらくらいになる?

退職金がいくらくらいになるのかについては、これも会社の取り決め次第です。世の中の退職金を受け取っている人はいくらくらい受け取っているのか?という点については、厚生労働省がまとめた調査結果がありますので、それが参考になります。

退職金はいつ出る? 出典:退職給付の支給実態(厚生労働省)

大卒で勤続35年以上の人だと2,000万円を超える退職金も見受けられます。新卒で入社して定年まで勤めあげた人には、2,000万円以上の退職金があるというのがひとつの目安になりそうです。

どれだけ勤めると退職金が出る?

新卒から定年まで勤めあげた人に退職金が出るのは誰でもイメージできることですが、それでは逆に勤続年数がそれほど長くない人というのは、どう取り扱われるのでしょうか。

何年勤めたら退職金の対象になるのか?という疑問をお持ちの方は多いと思いますが、これも会社の就業規則次第です。おおむねどの会社も「3年以上」という取り決めにしていることが多いので、その場合は3年以上勤めた人は退職金支給の対象になるというわけです。

自己都合退職でも退職金は出る?

退職金というと定年退職のイメージが強いですが、定年を迎える前に自己都合で退職した場合であっても規定されている年数以上在籍していたのであれば、退職金の支給対象になります。

自己都合退職だと退職金が出るとしても減額されるのでは?という疑問をお持ちの方も多いと思いますが、それも就業規則次第です。一般的な就業規則では自己都合の退職であっても減額ということにはならないようです。

ただし、自己都合の退職は1ヶ月前までに会社に通知をするのが常識ですが、そういった常識を守らず一方的に退職をしたり、突然出社しないといったことをすると、退職金が減額される可能性が高くなります。

退職金に税金はかかる?

退職金も会社から受け取る所得なので、もちろん税金はかかります。税務上は「退職金」ではなく、「退職所得」と呼ばれます。この退職所得に対する税金は他の所得とは違って基礎控除が大きく、やはり最後の収入であるということを考慮して優遇されています。

以下が、退職所得に限定した控除額です。

勤続年数20年以下20年超
控除額40万円×勤続年数/ただし80万円未満の場合は80万円800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※横スクロールできます。

やはり勤続年数が長いと税務上も優遇されているので、長く勤めあげた人には最後に良いことがあります。

退職金がいつ振り込まれるのか聞きづらい方へ

退職金はいつ出る?

新卒から定年まで勤めあげた人であれば、退職金は2,000万円クラスの金額になります。これだけの大金がいつ振り込まれるのかが気にならない人は、おそらくいないでしょう。では、いつ振り込まれるのかをどうやって確認すれば良いのでしょうか。

経理や総務に聞くのが最も確実ですが・・・

退職金に関する事務的な手続きをするのは、総務や経理といった管理部門の部署です。実際に振り込みの処理をするのはおそらく経理なので、こういった部署に尋ねるのが最も確実です。

しかし、状況によってはこういったことを聞きづらい雰囲気があることも事実です。管理部門に問い合わせるのが最も確実ではありますが、それがなかなか難しいという場合は、次の項に進んでください。

就業規則で確認する方法

退職金に関する規定は、就業規則に明記されています。経理や総務などの担当者に聞きづらい場合は、就業規則を読むのが次に確実な方法です。就業規則は通常、会社にいつでも閲覧できるように設置されています。しかし、普段なかなか就業規則を確認するようなことはないと思います。退職が近くなってきた人が就業規則を確認するのは、やはり退職金のことを気にしていると思われてしまうかも知れません。

就業規則は、入社時に必ず1部手渡されているはずです。長々と小難しいことが書かれているので入社をしたらすぐに捨ててしまう人も多いと思いますが、これをちゃんと保管しておくと、退職金がいつ振り込まれるのかということも簡単にチェックできます。

重要な書類はしっかり保管しておくべきという典型例ですね。就業規則を確認するのが難しいという場合は、次の項に進んでください。

上司や先輩に聞いてみる

個人的な話ができる関係性の上司や先輩に聞けば、何か知っているかも知れません。すでに退職をした元・先輩や元・同僚に聞いてみるのも有効でしょう。こうした経験者に聞くのは、ある意味就業規則を見るよりも実例を知ることができるので、より知りたいことを教えてくれるかも知れません。

退職金がいつ入るのか気になって仕方がない方へ

退職金はいつ出る?

会社を退職してからは毎日行っていた会社に行かなくなるため、退職金のことが一層気になってくることでしょう。何度も問い合わせるとガツガツしているように思われるかも知れませんし、そうかといって2,000万円ものお金がいつ入ってくるのかは気になって仕方がないはずです。

退職後数ヶ月後に入金されると聞いていたが・・・

退職したらすぐに振り込まれる、1か月後に振り込まれるといったように、退職前に聞いていた時期が来ても退職金が振り込まれないというのは、実に不安な事態です。

「数か月後」と聞いていたとしても、その数か月というあいまいな期限だといつまでが数か月なのかと疑心暗鬼になってしまうものです。会社によっては退職後6ヶ月でようやく振り込まれるということもあるそうなので、あまり会社を退職してすぐに振り込まれるという認識でお金の計画を立てないほうが良いと思います。

6ヶ月経っても退職金が入っていない場合はどうする?

退職金がいつ入金されるか分からない状態で何ヶ月間も過ごすのは精神衛生上良くありませんが、その期限は最も遅いレベルである6ヶ月とするのが目安になります。

つまり、退職後6ヶ月が経っても退職金が入らないようであれば、何らかのアクションを起こす必要があるということです。まずできることとしては、元勤務先に電話を入れて問い合わせてみる方法です。

お金のことなので聞きづらいということを、もはや言っていられる時期ではありません。電話を入れて経理や総務につないでもらい、6ヶ月経っているのに退職金がまだ入っていない事実を伝え、いつになるのかを聞いてみることから始まります。

会社に確認しても要領を得ない場合はどうする?

会社に電話を入れて得られる回答にはさまざまな種類があると思います。「まもなく入金されます」という回答だったのであれば、それがいつなのかを明確にしておく必要があるでしょう。

あまり考えられないことですが、中小企業などで入金処理を忘れていたという可能性もあります。その場合はすみやかに処理をしてもらうように依頼することで解決です。

厄介なのは、電話を入れてもたらい回しにされたり、「折り返し回答します」と言われたのにその連絡がないといった場合です。こうした場合は会社が有耶無耶にしようとしている可能性もあるので、第三者機関への相談を検討しましょう。

退職金の問題については、労働基準監督署が所轄をしています。労働基準監督署に睨まれることは会社としてかなりの不利益なので、相談をするだけでも一定の効果があります。以下のページから最寄りの労働基準監督署を探すことができますので、参考にしてください。

全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省)

定年退職以外でも退職金は出る?

退職金はいつ出る?

退職金というと定年退職のイメージが強いですが、定年退職以外にも会社を辞めるケースはあります。その場合の退職金がどんな取り扱いになるのかも解説しておきましょう。

定年以外でも退職金の対象になる

定年退職以外での退職には、自己都合と会社都合があります。自己都合の退職だと退職金が出ないようなイメージが強いですが、それについては次章で解説します。

なお、会社都合の退職の場合はその都合がどんな理由なのかによっても退職金の取り扱いは異なります。それについては次項で解説します。

会社都合退職では種類によって退職金が異なる

会社都合での退職には、おおむね以下のような種類があります。

  • 業績不振によるリストラ
  • 倒産、経営破綻
  • 早期希望退職
  • いわゆる「クビ」
  • 懲戒解雇

いずれも不幸の香りが漂ってくるものばかりですが、これらの会社都合退職を分類すると、「倒産」が最もネガティブです。会社の資金がショートしたことによって起きる事態なので、退職金の原資がないということも多々あります。退職金を請求しようにも、その会社自体がなくなってしまうという最悪のケースです。

「リストラ」や「クビ」については、文字通り会社の都合による退職なので、規定通りの退職金が出る可能性が高いです。「早期希望退職」の場合は退職金を上積みして支払うことを条件にしたリストラなので、最も良い条件で退職金を手にすることができます。

最後の「懲戒解雇」は、会社に損害を与えたり職務怠慢であったりと、会社の就業規則に違反したことによる解雇なので、ほとんどの会社で退職金は出ません。

定年以外の退職金相場

定年退職以外の退職だと、退職金の金額はどれくらいになるのでしょうか。これについては会社の就業規則によってまちまちではありますが、おおよその相場はあります。あくまでも相場ですが、目安にしていただければと思います。

勤続年数退職金の目安
10年120万円
20年660万円
定年2,000万円

※横スクロールできます。

10年で120万円という数字が出ています。ではこれよりも短い場合は?ということになると、退職金が出ない会社が多くなります。ガイドラインでは退職金が出るべき勤続年数なのですが、仮に出たとしても数十万円程度でしょう。

退職金が支払われない場合はどうする?

定年退職は最も円満な退職なので退職金の問題が最も起きにくいですが、それ以外の退職となると微妙な部分も出てきます。能力不足などでクビになってしまったなどは会社との関係が円満とは決して言えないので、それゆえに退職金が出ないのではないかとも思ってしまいがちです。

いつまで待っても退職金が出ないという場合は会社に問い合わせるのがセオリーですが、それでも要領を得ない場合は、定年退職の章で解説したように労働基準監督署に相談をするのが最も確実です。

自己都合退職でも退職金は出る?

退職金はいつ出る?

自分の意志で会社を辞めることを、自己都合退職といいます。より良い職場を求めて転職をする場合や、家庭の事情、さらには会社での人間関係など退職の理由はさまざまだと思いますが、自己都合退職であっても退職金支給の対象から外れるわけではありません。

所定の勤続年数があれば自己都合でも退職金は出る

自己都合であっても一定の勤続年数があれば、退職金は出ます。何となく自分で辞めるのだから退職金のことを言い出しづらいと考える方も多いのですが、就業規則にその規定あるのであれば正当な権利です。

自己都合退職の場合、失業保険の取り扱いが会社都合とは異なります。会社都合退職の場合は退職後すぐに失業保険が出ますが、自己都合の場合は3ヵ月後からとなります。このあたりは、「自分の都合で辞めたのだから」というバイアスがかかっているようにも感じますが、自己都合だからといって退職金が出ないわけではありません。

実は勤続1年から退職金の相場は決まっている

あまり知られていませんが、実は勤続1年目から出る会社もあります。さすがにほとんどの企業は勤続3年からとなっているようですが、勤続年数が短いからといって退職金を最初からあきらめることはないと思います。

あくまでも目安ですが、自己都合退職の場合の退職金額相場は以下の通りです。

勤続年数退職金の目安
3年20万円
5年40万円
10年100万円
15年210万円
20年360万円

※横スクロールできます。

勤続年数に正比例しているわけではなく、勤続年数が長くなるほど退職金の積み増しがあるのがポイントです。

退職金が支払われない場合はどうする?

自己都合退職は、退職金のことを会社に聞きづらい典型的なパターンだと思います。「自分の都合で勝手に辞めたくせに、お金のことだけはしっかりと言ってくる」と感じられてしまうのではないかと思ってしまう人もいるからです。また、けんか別れのように退職をしてしまった場合も、退職金のことは聞きづらくなると思います。

退職金がいつ入るのかという点については自己都合であっても定年退職であってもタイミングにそれほど違いはないと思いますが、いつまで待っていても退職金が入らないのは感情的な理由があるのかも?と思えてしまう余地があるのは悩ましいところです。

会社に問い合わせて解決すれば良いのですが、それができない状況であったり、問い合わせても埒が明かないという場合は、この場合も最寄りの労働基準監督署に相談をしてみるのが解決の早道です。

まとめ

退職をしたら退職金がいつ入るのかという問題は、金額が大きくなればなるほど切実です。定年退職の場合は退職金額が平均で2,000万円になりますし、その後の人生でそれだけの大金が入ってくる可能性がないのであれば、なおさらです。

この記事では退職金がいつ入るのかという時期の目安や、いつまで待っていても入らないという場合の対処法を中心に解説してきました。定年退職以外の退職金についても解説をしてきましたので、ご自身に該当するケースを参考に、退職金の問題をスッキリさせてください。

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