今トレンドの投資型クラウドファンディングとは?特徴と選び方を解説
投資型クラウドファンディングは、従来は投資が困難であった分野を扱えるため、新たな運用方法として注目を集め始めました。まだ認知度は高くないものの、海外市場は近年急速に拡大しており、あとを追って日本国内のクラウドファンディング市場も拡大すると予想されています。
トレンドに敏感な投資家は、これに上手く便乗して資産形成を進めたいところですが、投資型クラウドファンディングの種類はさまざま。目的に合致しないところへ投資して、投資資金と時間を無駄にしないよう注意が必要です。
今回は、投資型クラウドファンディングを3種類に分類して、それぞれの内容と特徴を解説します。
投資型クラウドファンディングとは?
投資型クラウドファンディングは、一部の投資家には認知されているものの、株式投資等に比べれば参入人口はごく少数。いまだ発展途上にある分野の投資方法です。
この項では、3つの投資型クラウドファンディングを解説。参考までに、投資型以外のタイプも2種類ご紹介します。
株式投資型
一般的に、株式投資といえば上場企業の株式を売買する行為を指します。それ以外の、非上場企業の未公開株を購入する方法は限られており、これまでは一部の投資家しか手にすることができなかったのです。
しかし、株式投資型クラウドファンディングは、誰でも未公開株を購入できるネット売買の方法として登場。従来では実現困難であった「ベンチャー企業への投資」を容易なものへと変えました。
ただし、投資型クラウドファンディングのなかでは、最もハイリスク・ハイリターン。非上場企業は上場・売却が最終目的であり、どちらかが成功すれば莫大な利益が期待できる一方、どちらにも至らなければプロジェクト自体が失敗となります。
融資型
融資型クラウドファンディングは、「資金を集めたい企業」と「投資先を探す投資家」をマッチングするサービス。企業は金融機関を介さずに希望の金額を集められ、投資家は高利率で企業に資金を貸し付けられるため、互いのニーズを満たせる手軽な資金調達方法として人気を集めています。
ソーシャルレンディングと呼ばれることもあり、日本国内では特に不動産や再生可能エネルギーが盛んに取り扱われています。
ファンド型
チャレンジングな事業に出資し、リターンとして分配金や商品・サービスを受け取れる投資を、ファンド型クラウドファンディングと呼びます。
投資対象となる事業はどれも創造的で、凝り固まった既成概念に挑戦するものばかり。人々の文化を一段階押し上げたり、世の中が長年抱えている不便を解消したり、ユニークでありつつも実現の可能性を感じるプロジェクトが多くあります。
一企業を応援する感覚で手軽に投資できる一方、利益を追求する運用方法としては不向き。「こんな製品が実現してほしいな」といった願望を叶えるための投資だといえます。
購入型
商品開発や企画をプロジェクトとして公開し、リターンを提供する代わりに出資を募る「非投資型」のクラウドファンディング。日本国内で最も早く普及したタイプであり、クラウドファンディングといえば購入型を思い浮かべる人も多いです。
購入型クラウドファンディングは、大きく「達成後支援型」と「即時支援型」の2種類。達成後支援型のプロジェクトは「目標額に達した場合」のみ実施されるもので、目標額に達しなかった場合はリターンが無くなる代わりに支援金が返却されます。
一方、即時支援型のプロジェクトは、目標額の達成・未達成にかかわらず実施されるもので、達成後支援型に比べてリターンが小規模なケースがほとんど。後述する寄付型クラウドファンディングに近いため、支援というより応援に近いといえます。
寄付型
寄付型クラウドファンディングは、名前の通りプロジェクトや事業に対して寄付をするタイプのものを指します。なかには特典が用意された案件もあり、限定グッズを集めるような感覚で寄付を行うユーザーもいるほど。
これらの案件は災害支援や地域支援など、純粋なチャリティー活動に近いものが多いです。なお、寄付の募集者が支援先の当事者なのか、間接的に支援に関与する人なのかは案件によりバラバラ。直接当事者を応援したい場合は、募集者の情報を確認したうえで寄付することをおすすめします。
また、こういった慈善行為は有意義な取り組みである一方、募金活動の不正流用に類似した問題も懸念されます。クラウドファンディングでは寄付額や利用用途が公開されるので、募金活動の信頼性はいくらか保証されるものの、完全に信頼できる寄付方法ではないことに注意しましょう。
メリット
新たな投資方法として登場し、急速に認知を拡大しつつある投資型クラウドファンディング。投資家の人気を集めている理由ともいえる、特有のメリットや将来性をご説明します。
少額から大きなリターンが期待できる
株式投資や投資信託の標準的な利回りが5%前後である一方、投資型クラウドファンディングは高利回りな案件が数多くあります。これは非上場企業や新規事業などの、ハイリスクな投資対象を扱っているからです。
しかし、数万円から投資できるため分散投資を行いやすく、運用次第で十分にリスクのコントロールが可能。市場に認知されていない「初期段階の事業」に先行投資する方法としては、抜群の扱いやすさを誇ります。
マーケットの推移を気にしなくても良い
投資型クラウドファンディングは、一度運用が始まれば基本的に中途解約ができません。
これは一見するとデメリットに思えるものの、価格推移の激しいマーケットで消耗する投資家は多々。いっそ運用中に操作できない方が、メンタルへの負担は少ないといえます。
株式投資やFXにありがちな「仕事中にソワソワする」といった問題は、投資型クラウドファンディングの運用では起こりません。
世界規模で成長が期待される注目分野である
クラウドファンディングは世界規模で急速に市場が成長しており、米国では2020年代に数十兆円以上の市場規模になると予測されています。
そして、矢野経済研究所が発表する「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2018年)」によれば、日本国内も2014年から3年間で8倍近く成長。他の投資では見られない、驚異的な拡大率が確認されました。
しかし、国内における「2018年の市場規模」は200億円弱と見込まれており、米国に比べてスケールはまだまだ小さいのです。今後は、このギャップを埋めるような推移が予測されるため一層注目を集めるでしょう。
デメリット
新たに投資を始めるうえで、決して忘れてはいけないのが「デメリットの確認」です。
この項では、投資型クラウドファンディングが抱える複数のデメリットを解説します。
募集期間終了後はキャンセルできない
募集期間が終了したあとは、目的達成や運用期間の終了まで保有し続けることになります。原則としてキャンセルできないため、一般的な株式投資や投資信託のように即時換金ができないことに注意しましょう。
元本割れや投資先の倒産リスクがある
投資型クラウドファンディングは、リターンが大きいだけにリスクも高く、資金を守りつつ運用する用途には向いていません。
たとえば、投資先のプロジェクトが軌道に乗らない場合、投資先の資金繰りに問題があり倒産した場合は、デフォルト(債務不履行)となり投資額が損なわれます。元本割れや返金延滞は珍しくないため、完全な余剰資金をもちいて投資することをおすすめします。
融資型は融資先の情報が不透明
株式投資型やファンド型クラウドファンディングは、投資案件の情報が公開されている一方、融資型クラウドファンディングは融資先の情報は公開されません。
これは行政当局の意向に基づいた、投資家の貸金業化を阻止するための方針によるもの。当面のあいだ改正される様子は無いため、投資家側にとっては「何に融資をしているのか分からない」といった不安要素となります。
そのため、担保の有無や仲介業者の過去実績をもとに、頓挫した場合の損失額を予測することが重要。特に担保の有無は、プロジェクト失敗時の返金補填に関わるため、少しでもリスクを小さくするなら担保がある融資案件を選択しましょう。
ファンド型は運用成績により分配金が変動する
投資先のプロジェクトが想定売上を下回る場合、投資家へのリターンである分配金は減額。もしくは、分配金そのものが無くなる可能性もあり、この場合は出資特典として設けられた商品・サービスのみを受け取る形となります。
また、融資型クラウドファンディングのように担保が設定されていないため、プロジェクトが失敗しても投資額は返還されないと考えた方が賢明です。幸いプロジェクト詳細や事業にかける信念は閲覧できるので、大切な投資資金の運用先に値する企画なのか慎重に判断しましょう。
初心者は実績のあるサービスを利用しよう!
利用するプラットフォームを決めるうえで重要なのは、過去の延滞・デフォルト数と成功実績です。この項では、これらをクリアした優良な会社をピックアップしました。
エメラダ・エクイティ:株式投資型
「エメラダ・エクイティ」は、ベンチャー企業を投資対象とした株式投資型クラウドファンディングの1つ。エメラダ・エクイティが扱う投資案件は、どれも独自の審査基準に通過したものです。
また前提として、これらはベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が出資しており、すでに一定評価を獲得したものが選出されています。つまり、エメラダ・エクイティが扱う投資案件は、全て「プロ公認の案件」ともいえるのです。
これは、決して「利益をもたらす保証」ではないですが、少なくとも優れたベンチャー企業であることは確か。もちろん、投資における可否の決定は自己責任であるものの、事業が支持されているのは心強いポイントです。
サイト内で経営者のインタビューや戦略を確認し、出資したいと判断した企業に1社49万円まで出資できます。
FUNDINNO:株式投資型
FUNDINNOは、日本で初めてスタートした株式投資型クラウドファンディング。投資家とベンチャー企業の両者に最大限バリューを提供できるよう、積極的に利用者の意見を取り入れる姿勢が印象的です。
FUNDINNOでは投資家とベンチャー企業のマッチングのほか、目標額を達成した企業が成功を収められるよう、管理職クラスの人材や技術者の紹介も行っています。これによりIPOやM&Aに至るまでのプロセスがスムーズになり、結果的に投資家へ大きな還元をもたらすよう考えられているのです。
また、ベンチャー企業の応募審査は厳しく、公認会計士や税理士など多数の専門家を起用して以下のポイントをチェックします。
・将来的に成長する可能性があるのか ・事業モデルに革新性や独自性はあるのか
上記について入念に審議を重ね、全ての専門家が認可した投資案件だけが取り扱われます。これらを通過した企業に対して、FUNDINNOでは1社最大50万円まで投資可能です。
OwnersBook:融資型
OwnersBookは、不動産投資案件に特化した融資型クラウドファンディングです。
一般的に、不動産投資は数百万~数千万円以上の投資資金を要しますが、OwnersBookを利用すれば1万円から間接的なオーナーになることが可能。また、OwnersBookでは掲載されている投資案件の全てに、不動産鑑定士や宅地建物取引士のチェックが入ります。
これにより、建物の状態や近隣のアクセス面など基礎情報はもちろん、専門家目線での不動産評価額(査定額)も算出されており、投資対象の価値判断を全面的にサポートしてくれます。
SBI Social Lending:融資型
SBI Social Lendingは、不動産投資や再生可能エネルギーを取り扱うプラットフォームの1つ。こちらも1万円から投資可能で、取り扱い案件の予定年利は3.2~10.0%と非常に高利回りです。
なかでも「不動産担保ローン事業者ファンド」は、総計176億円以上を貸し付けているにもかかわらず、2018年11月時点での延滞・デフォルト案件はゼロ。過去実績が重要な判断基準となるクラウドファンディングにおいて、信頼に値する心強い成果を残しています。
セキュリテ:ファンド型
セキュリテは「持続可能な開発目標」を掲げる事業案件を採用。再生可能エネルギーな一般的な投資案件を始め、地域の特産物やローカル事業など、自然と文化を尊重するプロジェクトに数万円から投資できます。
サイトトップには「セキュリテニュース」と題された、投資案件の実例や解説が並んでおり、過去のプロジェクトがどのような成果をあげたのか詳しく見ることが可能です。
また、同様に「ファンドニュース」という項目もあり、こちらはプロジェクトの代表者が投稿した地域情報や日報・週報が閲覧できます。総じてセキュリテは、プロジェクトへの意欲や代表者の人となりが分かり、快く応援できる支援先を見つけられるプラットフォームだといえます。
Sony Bank GATE:ファンド型
Sony Bank GATEは、世の中に新しいライフスタイルを提案する、創造的かつ斬新なプロジェクトを扱っています。
すでに目標額が集まっている案件のなかには、「マッスルスーツ」と名のつくウェアラブルロボットの開発や、オンラインで自動車の売買ができる「ライブオークション」など、画期的なプロダクト開発案件が多々。
まだ登録ファンド数は多くないものの、面白い投資案件が集まるサービスとして要注目です。
まとめ
今後さらなる市場拡大が期待される、各種の投資型クラウドファンディング。
投資型クラウドファンディングに対する意見は賛否両論で、決して大多数の支持を受けているとはいません。しかし、海外の流行が遅れてやってくる従来の傾向を考えれば、日本国内のマーケットが急激に伸びる可能性は高いのです。
トレンドへの波乗りを意識するなら、まだ普及しきっていないクラウドファンディング市場への参入は、1つのビッグチャンスに乗ることと同義。正しく知識を身に付けてリスク管理を行えば、保有資産を増加させる機会は無数にあるはずです。