【年齢別の参考例あり!】資産形成を成功に導くポートフォリオの作り方!
「ポートフォリオ」という言葉をご存知ですか?
ポートフォリオとは、分散投資を行う際に、どの投資先にどのくらい資金を充てているのかを視覚化するツールです。 長期投資から無駄を省くうえで重要な役割をもっており、堅実な資産形成を目指す投資家にとって欠かせないツールなのです。
そこで今回は、ポートフォリオの役割や用途別の参考例、それぞれの年代に適した金融商品をご紹介します。
目次
堅実な資産形成に欠かせないポートフォリオとは?
投資の世界には「卵は1つのかごに盛るな」という言葉があります。もしも、卵を盛ったかごを落とせば、すべての卵が割れてしまうからです。
一方で、卵を盛ったかごを複数に分ければ、1つのかごを落としたところで他の卵には影響しません。つまり、損失を限定的にしつつ資産運用をするためには、分散投資が必要であることを表している格言なのです。
そして、分散投資を行う際、どの投資先に資金を充てているのかを視覚化する方法として「ポートフォリオ」が用いられます。
投資先の金融商品と割合を見つつ、「もう少しリスクを軽減させたいから国内債券を増やそう」といった分析や軌道修正に利用します。各人の理想に応じたリスク・リターンをもつ「理想的なポートフォリオ」を作ることこそ、資産形成の成功に直結するといわれるほどです。
ポートフォリオを作成するメリット
投資計画の羅針盤ともいえるポートフォリオの存在は、投資における2つのコスト軽減に役立ちます。
まず1つは「売買コストの軽減」です。ネットが普及したことで金融商品の売買手数料は安くなったものの、こまめにトレードを繰り返せば売買コストの合計は大きくなります。これは、短期投資だけが抱える問題ではなく、長期投資でも頻繁に投資先を変えれば同じこと。ポートフォリオを決めていなければ「運用方針のブレ」から、不必要なトレードが増える可能性があるのです。
もう1つは「時間コストの軽減」です。一企業の業績が値動きと連動している株式市場、賃貸需要やテロのリスクが相場価格を左右する不動産市場など、投資先により価格推移の傾向には違った特性があります。
ポートフォリオは、これを視覚化するため「どういった状況で損失が大きくなるのか」を一目で把握することが可能。日本企業に成長が見られたときに株式市場へ投資し、賃貸需要が増えそうなときに不動産市場へ投資するなど、情報のキャッチアップから行動までがスムーズになります。
反対の動向が見られる場合にも対策が明確になりやすく、投資家の行動に迷いがなくなるのです。
ポートフォリオの作成時における注意点
ポートフォリオの作成はいわば「計画書を作ること」であるため、明確なデメリットはありません。しかし、ポートフォリオを作成することは、分散投資を始めることと同じ意味をもちます。
損失を他の利益で補うという分散投資のメリットは、同時に「損失が利益の足を引っ張る」というデメリットをはらんでいるため、分散先を増やすほど収益性は低くなりがちです。
リスクとリターンは切っても切れない関係であるため、損失の軽減を重視したポートフォリオほど利益も小さくなると忘れてはいけません。
年齢からポートフォリオの方向性を考えよう
年齢や立場が変われば資産形成の方針も異なるため、それぞれに最適なポートフォリオは同じではありません。
この項では年齢別のおすすめ投資先や、ポートフォリオの参考例をご紹介します。
20代の資産形成
20代の若い世代はサラリーマン人生でもっとも慌ただしく、会社の戦力としては発展途上段階。まだ収入はそれほど多くないため、投資額として使える資金はわずかです。
少額運用では大きなリターンが期待できず、不用意な投資は貴重な資産を減らすことにつながります。そのため、リスクの小さい金融商品で、コツコツと資産運用の基盤を築くことが理想的。運用額を大きくできる40代にそなえて、収入の一部を運用に充てる習慣を身につけることが重要です。
若い世代はリスクを取って勝負すべきだという意見もありますが、一度でもギャンブル的な投資に手を出せば、その後に堅実な資産運用を身につけるのは困難。緩やかな値動きの投資先に触れつつ、経済と金融商品の連動性を体感することから始めてみましょう。
20代の資産形成におすすめの投資先
運用に充てられる投資額が少ない20代は、これから取り組むこととなる資産運用の習慣化から始めましょう。あくまでリターンではなく、投資の感覚を培う段階であるためギャンブル的な運用は厳禁。国内株式や海外株式を扱う投資信託、不動産市場へ投資するREITが運用先としておすすめです。
20代におすすめの投資先 |
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国内株式型の投資信託 |
海外株式型の投資信託 |
REIT(不動産投資信託) |
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投資信託は、投資家の資産をファンドマネージャーに運用してもらう金融商品の1つ。少額投資から運用可能で、投資先の選定や売買はファンドマネージャーがおこないます。投資家に求められる操作は購入・売買だけであるため、金融商品の知識が乏しい20代の若い世代に最適です。
また、資産形成を進めるうえで不動産市場へ関心をもつことは大切であるものの、20代から不動産投資を始めることは困難です。REITは不動産市場へ投資できる選択肢の1つとして知られており、他の不動産を扱う金融商品より安定性が証明されています。金融市場に対する視野を広げる一手段として、REITは20代に対する最適解なのです。
REITの運用も投資信託と大差はなく、証券取引所からの売買で簡単に投資を始められます。投資信託とREITは定期的に分配金が得られるため、安定運用を続けつつリターンを獲得する喜びを感じられるはずです。
20代に適したポートフォリオの一例
投資先 | 割合 |
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国内株式を扱うインデックス型投資信託 | 40% |
海外株式を扱うインデックス型投資信託 | 40% |
REIT | 20% |
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オーソドックスな運用先である株式市場への投資をメインに、不動産市場を体感する意味を込めてREITを組み込んでいます。
なお、投資信託は低リスクな銘柄が多いものの、選定における注意点が2つあります。
1.毎月分配型の投資信託を避けること
2.アクティブ型投資信託を避けること
毎月分配型は高利回りの投資信託として知られていますが、これは「元本を削りつつ分配」しているからこそ実現している利益率です。純粋な運用利益から発生した分配金ではなく、投資資金の一部が返ってきているだけだと覚えておきましょう。
また、アクティブ型投資信託は数年~十数年スパンで運用したとき、高確率でインデックス型投資信託の運用成績に劣ります。なかには優れた利益率を維持する銘柄もありますが、堅実な投資先という意味ではインデックス型が最適です。
30代の資産形成
30代前後は、結婚生活や子育てが始まることの多い時期です。
独身時代は財務管理がずさんでも何とかなるものですが、結婚して子育てが始まるとそうはいきません。配偶者控除や扶養控除、固定費の削減など30代のマネーリテラシーをフル活用しつつ、これまでおざなりになっていた家計の再調整を進めていきましょう。
若くから投資を始めており、金融商品に対する理解が深まっている場合には、20代よりも強気な姿勢で投資に臨むことをおすすめします。運用成績を伸ばしやすいのは経済基盤が安定した40代以降ですが、30代から上手く元本を捻出し投資ができれば、そのあと十数年の資産運用にグッと余裕が生まれるはずです。
30代の資産形成におすすめの投資先
30代におすすめの投資先 |
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配当金や株主優待のある国内株式 |
個人向け国債 |
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20代では投資信託やREITをベースとした、手間が不要で低リスクな金融商品をおすすめしました。そのまま、投資額を増やして継続するだけでも良いですが、新たな投資先の拡張を考えるのであれば、配当金や株主優待のある国内株式が適しています。
国内株式をおすすめする最大の理由は「マクロな視点からミクロな視点への切り替え」というポイントです。投資信託やREITは「市場全体」という広範囲に投資する金融商品でした。一方で、株式は1つの企業へ出資する「一点投資」の形となるため、調査や分析に入念さが求められるのです。
これまで広い視点で見ていた金融市場を、局所的に分解する視点をもつことで、投資家としてのリサーチ能力は格段に成長します。上場企業は3,000を超えるため比較検討は難しいですが、「配当金や株主優待のある銘柄」と設定することで該当数はかなり絞られるはずです。
売買益以外のリターンがあることも投資家にとってありがたく、自身の判断で資産運用をしている実感が得られます。しかし、株式の個別銘柄へ投資すればリスクが高まるため、リスクレベルの調節に「個人向け国債」をあわせておすすめしました。
国が発行する個人向け国債は、利率こそ低いものの銀行預金よりリターンが見込め、発行後1年が経過すればいつでも任意解約できるなど、家庭の財務管理にも注意が必要な30代に最適な金融商品です。元本も保証されているため、個人向け国債は一種の保険となります。
30代に適したポートフォリオの一例
投資先 | 割合 |
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国内株式を扱うインデックス型投資信託 | 20% |
海外株式を扱うインデックス型投資信託 | 20% |
配当金や株主優待のある国内株式 | 30% |
個人向け国債 | 30% |
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株式の個別銘柄を組み込んだため、投資信託を減らして全体の株式保有率を下げています。
株式型の投資信託は、優れたリスク管理効果をもつものの、株式市場全体の低迷には対応できません。株式市場の下落を不安に感じるのであれば、保有資産の3~5割ほどを個人向け国債に移すことをおすすめします。
40代の資産形成
キャリアを順調に重ねてきた40代以降は、30代までのサラリーマンと比較して投資資金の捻出に余裕が生まれるはずです。安定収入があり保有資産額が多少下落してもリカバリーできるため、積極的な投資で運用成績を伸ばしていきましょう。
もっとも財政基盤が整った年代であるため、本格的な資産運用は40代から始まるといえます。
40代の資産形成におすすめの投資先
40代におすすめの投資先 |
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不動産投資 |
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不動産投資はスタート時こそ手間が必要ですが、一度軌道に乗れば賃料収入による安定的な利益が期待できます。
40代のサラリーマンであれば、社会的信用も高く金融機関の融資が期待できるので、需要の高い都市部の不動産を購入することも可能。年収の5~10倍にあたる融資例は多いため、自己資金に対する投資効率は非常に高いです。
40代に適したポートフォリオの一例
投資先 | 割合 |
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国内株式を扱うインデックス型投資信託 | 30% |
海外株式を扱うインデックス型投資信託 | 20% |
個人向け国債 | 50% |
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不動産投資を始めないのであればこの限りではなく、個人向け国債の比率はおさえつつリスクを取った行動がおすすめです。
第二のヤフーや楽天になる企業を見つけ、数年スパンでの急成長をねらった株式投資。東京オリンピックに期待して、オフィスビルやホテル系のREITへ大きく投資するなど、リカバリが容易い40代ならではの投資手段が選べます。
一方で、不動産投資を始めるのであれば、余剰資金は上記のような低リスクな配分をおすすめします。
他の金融商品とは異なり、不動産投資は修繕や改装など突発的に出費が必要となるケースも多々。個人向け国債の割合を増やしておき、元本割れのない安定資産を保有しておけば精神的な負担が小さくなります。
50代の資産形成
50代は順調に増やしてきた資産を守りつつ、結婚後に子どもの養育へ充てていた資金を投資にまわしましょう。とにかく低リスク・低リターンな分散投資を心がけ、老後資金の準備を仕上げる段階です。
平均寿命が伸びつつあるなか、老後の生活に不安が募りやすい時期でもありますが、ここで焦って保有資産を減らせば再起は困難。一度の大きな失敗が命取りになるため、保守的な構成のポートフォリオがおすすめです。
50代に適したポートフォリオの一例
投資先 | 割合 |
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国内株式を扱うインデックス型投資信託 | 20% |
海外株式を扱うインデックス型投資信託 | 20% |
個人向け国債 | 60% |
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これまでの運用成績を考慮しつつ、目標達成に近いなら国債・預金の割合を増やしましょう。大部分を安定資産に切り替えながら、分配金をねらった投資信託の運用がおすすめです。
60代以降の資産形成
60代を迎えれば大半のサラリーマンが定年退職となり、それぞれのセカンドライフをスタートさせます。50代からリスクをおさえた運用を始めましたが、定年以降はさらなる低リスク化のため、株式保有率はギリギリまで下げることをおすすめします。
そして、保有資産は投資信託と国内債券、および銀行預金を中心に管理し、安定性を意識しつつ分配金をメインとした運用が理想的です。
まとめ
今回はポートフォリオの役割や用途別の参考例、年代別のおすすめ金融商品をご紹介しました。
一見すると、資産状況の割合を示すただのグラフですが、運用方針やリスクの視覚化は投資意識のブラッシュアップにつながります。仕事において計画性が重要であるのと同じで、投資もプロジェクトの確認と再調査が大切なのです。
不必要な投資先の変更を防ぎ、余計なコストを発生させないことも賢い運用方法の1つ。将来設計の実現に向けて、一歩ずつ着実に利益を重ねるマインドが求められます。