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投資の回収率はどれくらい?初心者向け完全ガイド

投資の回収率はどれくらい?初心者向け完全ガイド

投資を行う上で押さえておきたい用語は無数にありますが、今回は数ある投資用語の中から「投資回収率」をピックアップして、その概要を解説してみたいと思います。

活用方法や、併せて知っておきたいキーワードなどもまとめていますので、これから投資を本格的に勉強されていこうと考えている方は、ぜひ参考に目を通してみてください。

投資回収率(ROI)とは

白い家と図面

それでは早速、投資回収率とはどういうものかを見ていきましょう。

投資回収率とは、その名の通り投資した金額に対して回収できた(あるいは回収する見込み)金額の割合です。ちなみに英語ではRetrun On Investmentと書き、その頭文字を取ってROIと呼ばれることもあります。

投資というと、株式投資や不動産投資などの資産運用がまず思い浮かぶかと思いますが、投資回収率という言葉は、事業のために投下したお金に対する利益の割合を指す言葉としてもよく使われます。

たとえば企業の実力を大まかに把握したり、事業計画を立てたりする際などに活用されるわけです。

どういったものに投資を行うか、どれくらいのお金を投下するのか、扱う商品・サービスの利益率はどのくらいか、といった様々な条件によって理想的な投資回収率は違ってきますから、自身で活用する場合には、基準をどこに置くか、ケースバイケースに併せて慎重に検討することが大切です。

ちなみに金融機関などは各業種の平均値を持っており、その平均とどれくらい差があるかによって、企業の実力を図っています。

押さえておきたい2つの種類

投資回収率は、一言で言えばコストとリターンのバランスです。これら2つの数字がはっきり算出できれば良いのですが、場合によってはどこまでをコストとし、どこまでをリターンとするのか、難しいケースもあるでしょう。

そういった場合に混乱しないためにも、状況によってどういった形の解釈が考えられるかを把握しておくことが大切です。

ずばり、投資回収率が示すものは、費用対効果と投資対効果の2つの種類に分けられます。

費用対効果

費用対効果とは、コストを掛けた分に対する効果を指す言葉です。たとえば集客のためにインターネットで広告を打つ場合、広告の出稿を(つまりコストを掛けることを)やめてしまったら、そこで集客という効果も消えてしまいます。

課金したお金に対してどのくらい集客できたか、というように、お金の投下の有無で効果も終わるケースでは、「投資回収率」という言葉は費用対効果というニュアンスで使われるわけです。

投資対効果

投資対効果とは、掛けたコストをすぐに回収できなくとも、将来的にどこかのタイミングで発揮される効果を指す言葉です。

たとえば先のインターネット広告の例で言えば、センセーショナルな内容の広告を打つことでじわじわと知名度が広がり、潜在的な顧客の獲得に繋がる、というケースも考えられます。

こういった場合は、コストを掛けるのをやめても、その効果はじわじわと継続していきます。このように、効果を数値化するのが難しい対象に投資したケースでは、投資対効果というニュアンスで「投資回収率」という言葉が使われます。

回収率の計算方法

投資回収率は、投資した金額に対する回収分の割合ですから、これをそのまま数式に落とし込めば求めることができます

  • 投資回収率 =(回収する見込み金額 / 投資した金額)×100

このような形です。

もちろん、回収できた金額をどういった基準で決めるかによって、具体的な金額が違ってきます。単純な売り上げなのか、売り上げから販売に掛かったコストを引いたものなのか、など、いくつものパターンが想定されるでしょう。

こうした使う数字を判断する際に迷わないためにも、投資回収率を算出するときは、その目的をはっきりさせておくことが大切です。

投資回収率を算出するメリット

投資回収率を算出するメリットはいくつか考えられますが、代表的なのは「その事業にお金を投下する価値があるか」「他の事業と比較して、妥当な成果を挙げているか」といった点が理解できることです。

もちろん、上場企業の事業の投資回収率と、個人事業の投資回収率では、回収率を算出するのに使われている数字の項目が違いすぎるため、比較はできません。

しかし同じ事業を手がけているライバル企業や、自社の以前の投資回収率などと比較すれば、自身が掛けているコストがリターンに見合っているかどうか、大まかな傾向を把握できるわけです。

また、投資回収率から逆算し、各費用項目を精査していくことで、事業コストの削減、ひいては利益率の改善ができる可能性もあります。

ほか、投資したお金に対して、どのくらいの期間で回収できるのか、という大まかな目安を把握できるというのもメリットでしょう。

回収期間を計算するには

回収期間をシミュレーションするには、まず想定する期間分の投資額と回収金額で投資回収率を算出する必要があります。

その期間を単位として、回収率が100%を超える期間を割り出せばいいわけです。

たとえば800万円のお金を投資し、1年間で400万円のリターンが得られたら、「(400/800)×100」で50%です。

1年で50%回収できたわけですから、この数字で100を割れば、投資した資金の回収期間を割り出すことができます。この場合で言えば、「100 / 50」で2年と目安をつけることができます。

知っておきたい欠点

投資回収率は、ある時点での投資額とリターンの割合です。そのため、基準となる数字の切り出し方を間違えると、見当違いの予測をしてしまう可能性があります。

たとえば投資回収率が高くとも、一時的に利益が膨らむことで数字が底上げされていることも考えられるわけです。

単純に投資回収率だけを見て、こうした点を判断するのはなかなか難しいものがあります。その数字がどういった性質のものなのか、時系列を含めて俯瞰的に理解することが大切です。

投資回収率をチェックする時の注意点

checkという文字を指差す

続いて、投資回収率をチェックする際に注意したいポイントを見ていきましょう。

投資回収率が高い=魅力的な投資先ではない

投資回収率は、事業の妥当性を判断するのに使われる指標です。一般に、投資回収率が高ければ高いほど、投資した資金を早く回収できます。素直に考えれば、魅力的な投資対象と言えるでしょう。

しかし、注意したいのが、投資回収率は状況によって変化する可能性がある、ということです。その時には投資回収率が高くとも、時間の経過によって下がっていくことも十分考えられるのです。

投資回収率が、その他の同系事業よりも高い場合、その数字を支えている根拠がなんなのかをまず把握し、それが普遍的なものであるのか、一時的なものであるのかを見極める必要があります。

投資回収率が高くなる理由

投資回収率を求める式は「(回収する見込み金額/投資した金額)」ですから、回収する金額(=利益)を大きくするか、投資する金額を小さくすれば、投資回収率は高くなります。

たとえば不動産で言えば、中古物件は買い手がつきづらいため、比較的安く購入することができます。家賃収入は物件価格ほど新築と中古に差が出ませんから、投資回収率は新築よりも中古の方が高くなります。

とは言えこれは、空室が埋まっているという前提。途中で空室が出てしまえば、投資回収率はガクッと下がってしまいます。

このように、投資回収率を左右する要因に目を向けておかないと、思わぬ落とし穴に落ちてしまう可能性がある、ということは押さえておくと良いでしょう。

数字に表れない部分も考慮する

投資収益率を考えるときは、投資した場合のことだけでなく、投資しなかった場合にどうなったか、ということにも目を向けられることをおすすめします。

まとまった資金を投入することで、その他の選択肢が狭まるわけですから、単純に金銭的なこと以外に失うものがないかをまず検討してみましょう。

また、投資するにあたって掛かる、投資対象を調べる時間や、それに掛かるコスト等の、数字に出ない負担も意識しておきたいところです。

投資というとどうしても、投下するお金とそれに対するリターンに注目しがちです。しかし、俯瞰的に物事を見る視点を持っていないと、いつの間にか自分に都合のいい情報だけを追いかけている、ということにもなりかねません。

それぞれの数字の背景や、時系列の変化についてもしっかり目を向けることが大切です。

具体的な事例から投資回収率の活用方法をチェック

青空に浮かぶ家

投資回収率にはいくつかの活用方法がありますが、ここでは特に株式投資や不動産投資といったシチュエーションでどのように活用できるのかを見ていきましょう。

株式投資

投資回収率は、数式がシンプルである分、どういった数字を参照するかによってその意味するところがかなり変わってきます。

ただ、株式投資の場合は、企業全体の投資収益率を判断するために用いることが多いでしょう。簡単に言えば、より小さな元手で、より大きな利益を上げている企業ほど投資価値がある、と判断できるわけです。

企業全体の投資収益率を判断するための数字は、財務諸表から手に入れることができます。分子は、経常利益と支払利息の合計。分母は、負債と社債発行額、自己資本の合計です。

また、投資回収率を判断する際は、企業規模に比べてどうか、ではなく、同業平均と比べてどうか、という点に目を向けることが大切です。

長期優良株を見極めるには

投資回収率は、事業内容によって大幅に変わってきます。投資回収率の高い業界、低い業界というものが歴然と存在しますから、投資回収率だけで企業の良し悪しを判断するのは早計。

まず業界で枠を区切り、その中でより高い投資回収率を叩き出している企業を探すことが大切です。

もちろん、その業界に対するニーズが将来的にも持続することが前提ですが、多くの場合、業界内で投資回収率に優れる企業は、将来的にも成長していく可能性が高い、優良株だと言えるでしょう。

不動産投資

株式投資など、企業の業績を判断するために算出する投資収益率は、事業のための負債を含めた投資金額を使って算出しますが、不動産投資では、自己資金だけを投資金額とするのが一般的です。

数式に当てはめると、以下のようになります。

  • (1年分の家賃収入 - (1年分のローン返済額 + 経費))/自己資金×100

不動産投資を行う場合、投資効率などの点から、借り入れ額を可能な限り大きくする投資家が少なくありません。手出しを小さくして、残った元手で金利以上の運用を行えば、効果的に資産を増やすことができるからです。

そのため、投資の効率を判断するためには、借り入れ分の影響を考えた数式、つまり自己資金に対する収益率を算出する式を立てる必要がある、というわけです。

レバレッジ効果について

不動産投資の大きな魅力は、金融機関の手を借りて、レバレッジを効かせられるという点にあります。

100万円を5%の利回りで運用した場合、年間に得られるのは5万円ですが、1000万円で運用すれば50万円です。

通常、銀行というのは投資のために大きなお金を貸してくれませんが、不動産という担保があれば話は別。ある程度の信用が必要ですが、レバレッジを効かせて投資ができるわけです。

先の数式では、自己資金が少ないほど投資収益率は上がり、反対に多いほど下がります。これはそのまま、融資をどのくらい活用できているか、という点を判断する指標と考えることができます。

空室リスクや金利変動など、その他の要因も考慮する必要はありますが、投資収益率を見ることで、効率的に運用できているかどうか、ある程度判断することができるわけです。

ROIと併せて知っておきたい収益性の指標

標識

投資の世界には、ROI(投資収益率)と同じように、効率的に投資判断を下すための様々な指標があります。

以下に、ROIと併せて知っておきたい主な用語を紹介します。

CCR

CCRは、Cash On Cash Returnの頭文字で、自己資金に対する収益の割合を示します。

投資した資金に対する収益の割合、という意味で言えば、変則的なROIと考えることができるでしょう。

金融機関などでの借り入れを除外し、キャッシュフローに目を向けて投資効率を判断したい場合によく用いられます。たとえば不動産投資などで算出されるROIは、厳密にはCCRであることが多いでしょう。

ちなみになぜCCRが重要かと言えば、レバレッジを効かせられているかどうかをわかりやすく判断できるからです。

同じ利益率の事業を行う場合、動くお金が大きくなればなるほど、利益も膨らみます。低金利時代の現代日本では、金融機関からお金を借りて投資を行うことで、小さな元手で大きな利益を出すことが可能。

核となる事業の基盤がしっかり築かれていることが前提ですが、CCRをチェックすることで、投資効率をわかりやすく判断することができるわけです。

CCRの計算式

  • CCR = 借り入れの返済分や経費を差し引いた利益/自己資金

ROIC

ROICとは、Return on Invested Capitalの略で、日本語では投下資本利益率と言います。

企業が事業のために使ったお金に対する、利益の割合を示します。こちらも広い意味ではROIなのですが、算出の根拠になる数字がより企業に即したものとなっています。

ROIは投資した金額に対する利益の割合ですが、ROICでは、投資した金額は純資産と負債の合計。利益は、営業利益に実効税率を掛けたもの(税引き後営業利益)となります。

ちなみに企業を評価する場合は、ROIではなく、ROICを使うのが一般的です。

計算式

  • ROIC = (営業利益×(1-実効税率))/(自己資本+有利子負債)

ROE

ROEは、Return On Equityの略で、日本語では自己資本利益率と言います。

その名の通り、自己資本に対する利益の割合です。企業が、自己資本をどれだけ効果的に運用し、利益を得ているかを把握することができます。ちなみに自己資本とは、企業が持っている資本(内部留保)と、出資者(主に株主)から調達した、返済する必要のない資金のことです。

ROEが高いということは、利益率の高い商品・サービスを持っており、手持ちの資産を効果的に運用している(遊んでいる資産が少ない)ことを示します。

業界によって理想的な数値は異なりますが、ROEが10〜20%であれば、投資価値の見込める企業であると言えるでしょう。

計算式

ROE = 当期純利益/自己資本

ROA

ROAとは、Return On Assetsの略。日本語では総資本利益率と言います。文字通り、総資本に対する利益の割合から、企業がどれくらい効率的に手持ちの資産を運用しているかを測るための指標です。

ROEと似ていますが、ROEが自己資本に対する利益率であるのに、ROAは、自己資本と他人資本の合計(つまり自己資本から負債分を差し引いた金額)に対する利益率です。

ROEは、金融機関からの融資を受けることで、相対的に自己資本の割合を減らし、数字をかさ上げすることができます。そのため、信用性という観点で言えば、ROEよりもROAの方が優れていると言えます。

ちなみに業種にもよりますが、一般にROAが5〜10%あれば、優良企業であると考えてよいでしょう。

計算式

ROA = 当期純利益/総資産

DCR

DCRは、Debt Coverage Ratioの略。日本語では債務返済倍率や、借入償還余裕率と言います。

主に不動産投資で使われる用語で、返済額に対する利益の割合を言います。つまり、この数字が1以下になってしまったら、その運用は赤字ということです。

一般に、家賃や返済額を決める時の参考情報としたり、返済の負担が重すぎないかを判断するために使われます。

ケースバイケースですが、1.3以上あれば妥当。より堅実な運用を目指すなら、1.8以上が理想的とされています。

計算式

DCR = 家賃収入/返済額

NPV

NPVは、Net Present Valueの略。日本語では正味現在価値と言います。netは正味の、実質的な、という意味の英単語です。

ある事業の実質的なキャッシュフローを指す言葉で、初期投資額や所定の割引率(将来的に見込める価値を現在の価値に直すためのレート)を抜いた際に、どれだけ利益が残るかを示す指標です。将来的にNPVが増大していくことが見込めるなら、投資価値があると判断されます。

ちなみに、このようにNPVを用いて投資判断を下す方法は、NPV法と呼ばれています。

シンプルな式で投資判断をできるのが魅力ですが、反対にシンプルすぎるため、数値の背景を理解しないまま算出してしまうと、実態とかけ離れてしまう可能性があるというリスクも。

たとえば将来的なNPVを算出する際は、売上予測や必要経費等の数字も根拠のあるものでなければなりません。数値の妥当性を判断する知識が、必要不可欠なわけです。

NPV = (将来的に見込める収益/(1+利率×割引率)^運用年数) - 投資額

IRR

IRRは、Internal Rate of Returnの略で、日本語では内部収益率と言います。

何を示す数値かというと、所定の期間内に得られた利益の割合です。投資商材によって、リターンが得られるまでの期間が違います。

投資が利益を前提とするものである以上、同じリターンが得られるなら、回収期間の短い投資商材を選びたいですよね。

このように、特定の期間内でもっとも収益性の高い商材を見極める為の指標が、IRRというわけです。

計算式

  • 初期投資額 = (利益/(1 + R)^1)+…+(利益/(1 + R)^運用年数) ※Rが内部収益率。手計算では難しいため、シミュレータツール等で算出するのが一般的

NOI

NOIは、Net Operating Incomeの略。日本語では、営業収益率を意味します。

得られた収益の合計から、掛かったコストの合計を差し引いたもので、事業の収益力を判断するための指標として使われます。

不動産投資などでは、経費を考慮しない利回りを表面利回りと表現し、経費を考慮した利回りを実質利回りと言います。

NOIは、この実質利回りに相当する指標と言えます。

注意したいのが、NOIは過去のデータを参考にしたもので、将来的にもその数字が維持されるとは限らない、ということ。どのような指標にも同じことが言えますが、各数字の背景をしっかり理解して、投資判断を下していくことが大切です。

計算式

  • NOI = 純利益/投資総額

キャップレート

キャップレートは、ある資産(商材・サービス等)に対する純利益(収益から経費等を差し引いたもの)の割合を指す用語で、特に不動産投資でよく用いられます。日本語では収益還元率と言います。

キャップレートが高いほど高い利回りが期待できるわけですが、これはあくまで期待値であって、適用される諸条件によっては現実とかけ離れてしまう可能性があるため、注意が必要。

たとえば不動産投資の場合、キャップレートが高い物件は、空室の埋まりづらい、価格を下げないと投資家に買ってもらえない物件である傾向があります。一方、リスクが低く、多くの投資家にとって魅力的な物件は価格が釣り上がるため、必然的にキャップレートが低くなります。

キャップレートを参考に商材やサービスの値頃感を判断する際は、まず適正範囲がどのあたりにあるかを把握することが大切です。ちなみに不動産投資の場合、キャップレートは4〜6%が妥当と言われています。

計算方法

キャップレート = NOI/資産評価額

投資効率を上げる方法

右肩上がりのグラフ

投資回収率は、投資金に対するリターンの割合でした。もし投資回収率が自身の期待にそぐわなかった場合は、何らかの改善策が必要です。

以下に、株式投資と不動産投資、それぞれについて、投資効率を上げる方法を紹介します。

株式投資の場合

株式投資の場合、投資回収率を上げようと思っても、取られる手段は限られています。つまり、買うか、売るかの2択です。

この単純な選択に対して、どれだけ根拠を集められるかどうか。また、どれだけ多くの可能性を想定できるかどうかが、運用の成否の分かれ道となります。

根拠に基づいた投資を行う

株式投資に限らず、どのような投資でも言えることですが、大切なのは何らかの根拠に基づいて投資を行うというもの。

ただ闇雲に資金を投入するのでは、運否天賦のギャンブルと変わりません。たとえ当たらなくとも、明確な根拠を持って投資を行えば、いずれ必ずその答え合わせができます。

昨今は様々な分析手法が登場していますが、どういったノウハウを採用するにせよ、考え続けることをしなかったら、いつまで経っても投資効率は向上しないでしょう。

ノウハウはあくまで道具です。道具は、正しく使わなければ何の役にも立ちません。しかるべきタイミングで、しかるべき使い方をしてこそ、力を発揮します。

そのためには、たとえ的外れでも自分の頭で考え続け、知識と経験を積み重ねていくという作業が不可欠です。株式投資においては、一朝一夕で投資効率を改善する方法はない、ということを、知っておくと良いでしょう。

投資回数、または投資金額を増やす

投資回収率は、投資額に対する利益の割合です。そのため、単純に考えれば、リターンを増やすか、投資金を小さくすれば、投資回収率は上がります。

しかしどちらにせよ、より利回りの高い銘柄を見極める目が必要ですから、あまり現実的ではありません。

また、そもそも投資は利益を増やすために行うものです。投資回収率はあくまで割合ですから、単純に投資回収率を上げるためだけに投資判断を下すのは、本末転倒です。

解決策として考えられるのは、投資回数を増やすか、投資金額を増やす、という方法です。利回りを操作することは難しいですが、回数と投資金額であれば、投資家の任意で増やすことができます。

損失を被るリスクも高まりますので、投資する銘柄は慎重に選ばなければなりませんが、他が同じ条件であれば、投資回数と投資金額、このどちらかを増やすことで、投資効率は向上するはずです。

不動産投資の場合

不動産投資の投資効率を上げたい場合、まず考えられるのは繰り上げ返済によって支払い期間を短縮することです。

繰り上げ返済を行う

繰り上げ返済とは、返済期間を短縮したり、その後の返済負担を軽減するために、本来の返済額に上乗せして返済を行うことです。

ローンの金利は残債に掛かりますから、残債を減らすことで支払い総額を減らし、投資額に対するリターンを増やすことができる、というわけです。

単純に貯蓄してきた分を返済に当てて期間を短縮してもいいですし、月々の返済を減額して家賃収入の手取り分を増やし、それを貯蓄してまた繰り上げ返済を行うことで、複利的に資産効率を向上させていく、という方法もあります。

ただ注意したいのが、繰り上げ返済を行うことで逆に損をしてしまう可能性もある、ということ。

繰り上げ返済をする場合、少なくとも百万円単位のお金がなければ、投資効率の改善は見込めません。それだけのまとまったお金があったら、他の資産運用に回すことで、ローンの金利以上の収益が得られる可能性もあります。

現在の低金利を鑑みれば、投資信託などの比較的リスクの低い投資商材でも、相応のパフォーマンスで運用が可能です。

繰り上げ返済を考えるときは、残債だけでなく、他の資産運用を試した場合に想定されるリターンなども検討して、損のない投資判断を下すことが大切です。

法人化する

不動産投資が軌道に乗ってきたら、法人化をすることでさらに投資効率を上げられる可能性があります。

たとえば法人になると、個人の時とは納める所得税の税率が変ります。法人の場合、年間所得が800万円以下の場合は15%、800万より多い場合は、23.4%となっています。

一方、個人の場合は、330万円〜695万円以下で20%、695万円〜900万円以下で23%、900万円〜1800万円で33%となっています(所得税の詳細は国税庁の公式ページでご確認ください)。

ケースバイケースですが、本業の年収が相応にあるなら、早めに法人化しておいた方が税制面で得をする可能性があります。

また、法人化すると運用に掛かる諸費用を経費として控除できたり、不動産経営に対する本気度が好感されて、個人では受けられなかった追加融資が受けられたり、といった付随効果も見込めます。

将来的に不動産投資で一財産を築こうと考えているなら、早いうちから法人化を検討されておくことをおすすめします。

まとめ

投資回収率とは、投資した額に対するリターンの割合です。ROI(Return On Investment)とも呼ばれ、投資のパフォーマンスを判断するための指標として広く用いられています。

算出する数式は、「(見込み収益/投資金額)×100」ととてもシンプル。

ただ注意したいのが、数式を構成する数値項目が、文脈によって変わってくるという点です。たとえばどこまでを収益と捉えるのか。また、投資金額はどの段階を基準とするのか。ケースバイケースで、数字の意味合いが変わってきます。

投資回収率を参考にするときは、その数字を算出する根拠となった数値項目にも、しっかり目を向けることが大切です。

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