土地活用したい!5つの活用方法を徹底比較
By Oh!Ya編集部
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たとえば、親から土地を相続したり、自己所有の土地が放置されてたりというときは、その土地を活用したいと思うでしょう。
しかし、土地活用は色々と種類があり、その土地に適した…自分に適した土地活用方法は中々分かりにくいものです。
そこで今回は、土地活用方法の代表的な5つを解説するので、それらを比較して自分に適した方法を検討しましょう。
5種類の土地活用を比較
まずは、以下の5種類の土地活用を比較します。
項目 | 売却 | 賃貸物件 | 借地 | 駐車場経営 | 土地信託 |
---|---|---|---|---|---|
収益性 | △~〇 | ◎ | △ | △ | △~〇 |
安定性 | 〇 | 〇 | 〇 | △ | △ |
初期費用 | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
手間 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
流動性 | - | △ | △ | 〇 | △ |
結論からいうと、資産をつくるなら賃貸物件運営が良いでしょう。賃貸物件運営以外の土地活用は、収益性が低いので資産をつくることは難しいです。
上記の点に関して、以下より詳しく解説していきます。
1.最も楽なのは売却
「活用」という言葉を「そのものの真価をいかしてうまく使うこと」とすると、土地を売却するという方法も活用方法の1つといえるでしょう。
以下より、土地を売却することで得られるメリット・デメリットを解説していきます。
売却するメリット
土地を売却するメリットは以下の点です。
- まとまったお金が入る
- 運営の手間がない
- 売却活動の大半を委託できる
- ランニングコストがかからなくなる
まとまったお金が入る
土地を売却する最大のメリットは、売却することでまとまったお金が入ることでしょう。
ローンが残っていれば、そのローンを完済する必要がありますが、たとえば相続した土地であればローンは残っていないケースが多いです。
土地は経年劣化するものではないのので、仮に親が購入した数十年前の土地だとしても、そのときの土地の価値によっては高額で売却できます。
建物の場合は経年劣化するので、築年数に応じて価格が下がるのが一般的で、それがない点は土地ならではの魅力といえるでしょう。
運営の手間がない
後述する「売却」以外の土地活用方法は、どれも手間がかかります。比較的手間がかからない活用方法もありますが、土地所有者としてやるべきことがゼロになるわけではありません。
一方、売却してしまえば完全に自分の手を離れますので、手間は一切なくなります。
売却活動の大半を委託できる
土地を売却するときには以下のような売却活動があります。
- 検討者の募集(広告活動など)
- 検討者との交渉
- 購入者との契約や引渡し業務
上記は、仲介を担当してくれる不動産会社が大半を行いますので、売主がやることは少ないです。せいぜい、売却するかの最終判断と、契約時と引き渡し時の立ち合いくらいでしょう。
また、土地だけであれば建物の鍵を開ける…などの作業がないので、検討者が見学するのにも立ち会う必要はありません。
ランニングコストがかからなくなる
土地は保有しているだけで固定資産税・都市計画税がかかります。
また、住宅用の土地であれば税金の軽減措置がありますが、土地だけの場合には軽減措置がないので「活用していないけど高額な税金を支払っている」という状態になりかねません。
土地を売却することで、この状態からも脱することができるのです。
売却するデメリット
一方、土地を売却すると以下のデメリットがあります。
- 継続して収益を得られない
- 税金が高額になることがある
- 将来的に上昇しても恩恵はない
継続して収益を得られない
後述するそのほかの土地活用方法は、上手く活用できればその土地から収益を生み出すことができます。
仮に、継続的な収益となれば資産をつくることができるので、土地を売却してしまうとその資産形成ができない点はデメリットといえるでしょう。
税金が高額になることがある
不動産の売却には以下のように高税率がかかります。
項目 | 長期保有 | 短期保有 |
---|---|---|
所得税率 | 15% | 30% |
復興特別所得税率 | 所得税額×2.1% | 所得税額×2.1% |
住民税率 | 5% | 9% |
長期保有とは、その土地を売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超、短期保有は5年以下のことを指します。
ただし、相続した土地に関しては一定要件を満たせば譲渡所得(売却益)を軽減してくれます。それによって売却がゼロになれば税金もゼロというわけです。
要件などは国税庁のホームページで確認ください。要件の中で1つだけピックアップすべきは、相続後にすぐ売却することです。
将来的に上昇しても恩恵はない
仮に、保有していた土地が将来的に上昇すれば、その土地から大きな売却益を得ることができます。
不動産は元々一千万円単位の商品なので、10%価値が上昇しただけで数百万円の利益になることもあります。
このような上昇の恩恵を受けられない点も、土地を売却するデメリットといえるでしょう。
2.王道は賃貸物件の運営
2つ目に紹介する活用方法は賃貸物件の運営です。賃貸物件の運営は土地活用の王道とも呼べる方法であり、上手くいけば大きな収益を上げることも可能です。
ここでは、賃貸物件の運営に関して以下を解説していきます。
- 賃貸物件とは?
- 賃貸物件のメリット
- 賃貸物件のデメリット
賃貸物件とは?
賃貸物件とは、以下のような不動産運営のことです。
- 区分(一室)マンション運営
- アパート・マンション運営
- 賃貸併用住宅
- シェアハウス
不動産種類は異なりますが、いずれにしろ「賃借人を付けて家賃収入を得る」という仕組みは同じです。
ただし、建物を一棟で建築するケース、区分で中古を購入するケースなど、取得方法には違いがあります。
賃貸物件のメリット
前項で紹介した賃貸物件は、種類によって特徴が異なります。
そのため、ここから解説する賃貸物件のメリット・デメリットは、代表的な賃貸物件である区分マンション投資と一棟投資にフォーカスを当てて解説していきます。
賃貸物件のメリットは以下です。
- 継続して安定した収益
- レバレッジ効果が高い
- 収支計画が組みやすい
- 運営の手間は小さい
継続して安定した収益
まず、賃貸物件は「家賃」が収入源なので、継続して安定した収益です。家賃を滞納されるリスクはありますが、そこまで大きなリスクではありません。
また、家賃下落リスクもありますが、たとえば「株価が半年で半分になる」などのように、短期間で大きく家賃が下落するケースはほぼないでしょう。
そのため、家賃収入はほかの投資と比べても安定性が高く、継続して得られる収益といえます。
レバレッジ効果が高い
ここでいうレバレッジ効果とは、「少額の資金で高額の資産を取得する」という意味です。賃貸物件の運営は、その物件を取得するときに不動産投資ローンを利用できます。
ローンを利用することで、自己資金の10倍程度の資産を取得することもできるので、投資の中でもレバレッジ効果は高いといえるでしょう。
高額な資産を取得するほど収益額は上がりやすいので、前項と合わせて「安定性・継続性がありつつ収益性が高い」といえます。
収支計画が立てやすい
賃貸物件の際は以下のような支出がかかります。
- ローン返済額
- 固定資産税、都市計画税
- 退去時の原状回復費用
- 管理委託手数料
- 火災保険料や地震保険料
- 管理費、修繕積立金(区分所有)
- 共用部の修繕費用(一棟投資)
- 税理士への報酬(確定申告への依頼時)
- その他経費(物件運営のための交通費など)
上記の金額を完璧に読んでおくのは難しいですが、ある程度は予想できます。そのため、収支計画が立てやすいので、その点も賃貸物件のメリットといえるでしょう。
運営の手間は小さい
賃貸物件には以下のような業務があります。
- 賃借人の募集や契約業務
- 家賃の回収や滞納時の対応
- クレーム対応
- 退去立ち合い
これらは全て管理会社に委託することができるので、運営時の手間も小さいです。そのため、会社員の方や日中忙しい人でも問題なく運営できます。
賃貸物件のデメリット
一方、賃貸物件の運営をすると、以下のようなデメリットがあります。
- 初期費用とランニングコストがかかる
- 流動性が低い
- 空室リスクはある
初期費用がかかる
賃貸物件には、物件取得時とランニングコストとして以下がかかります。
- 不動産取得時の諸費用:物件価格の5%~8%
- 管理委託費用:家賃の3~5%
- 物件運営の経費(上述した支出)
- 固定資産税・都市計画税
不動産取得時の諸費用は仲介手数料やローン関係費用・登記費用などです。管理委託費用とは、上述した管理会社に支払う費用になります。
これらのランニングコストは賃貸物件を運営している限り発生するので、その点をきちんとシミュレーションする必要はあります。
流動性が低い
土地だけなら、購入者は一戸建てを建築することもできますし、その土地でアパート経営することもできます。一方、賃貸物件を建築すると、その賃貸物件ごと売却するのが基本です。
つまり、購入者が限られてしまうので、流動性(売りやすさ)は低くなってしまうのです。特に、賃貸物件を売却するということは、その運営が上手くいっていないケースが多いでしょう。
そうなると、相場よりも安い金額で売り出さないと買い手がつきにくいので、さらに流動性は低くなるといえます。
空室リスクはある
賃貸物件なので、どうしても空室になるタイミングはあります。空室になれば賃料収入がゼロになってしまうので、その点はデメリットといえるでしょう。
たとえば、「1年で0.5か月は空室になる」など、空室になることを想定した上で収支シミュレーションを立てなければいけません。
3.費用がかからない借地
3つ目に紹介する土地活用方法は「借地」です。借地に関しては以下の点を解説してきます。
- 借地とは?
- 借地のメリット
- 借地のデメリット
借地とは?
借地とは、その土地を第三者に貸し、「地代」を得ることで収益を上げるという土地活用方法です。前項の賃貸物件でいう家賃収入が地代に代わったイメージです。
借主は個人の場合も法人の場合もありますが、借主はその土地に住宅(戸建・マンション)を建築して売却したり賃貸したりします。
借地のメリット
借地のメリットは以下です。
- 安定して収益を得られる
- ほぼ費用がかからない
- 手間がかからない
- 譲渡承諾料などが発生することもある
安定して収益を得られる
地代も家賃収入と似たような性質を持つので、安定して継続的に得られる収益といえます。その点は、土地活用で借地を選択する大きなメリットです。
ほぼ費用がかからない
土地活用に借地を選択すれば、ほぼ費用はかかりません。
土地の所有者である以上、その土地にかかる固定資産税・都市計画税の支払い義務はありますが、支払い費用はそれくらいです。
手間がかからない
借地の場合、その土地に家を建てるのは借主ですし、仮に賃貸運営をはじめても借主が勝手に賃貸運営しているだけです。
そのため、土地所有者は特にやることはないので、最も手間がかからない土地活用方法といえます。
譲渡承諾料などが発生することもある
たとえば、不動産会社Aに土地を貸して、A社がマンションを分譲したとします。そうすると、分譲後はそのマンションの買主がその土地の借主になるという仕組みです。
そして、そのマンションの買主(土地の借主)が自分のマンションを売却するとき、「譲渡承諾料を土地所有者に支払う」という契約内容にすることがあります。
その場合は、地代だけでなく譲渡承諾料という収入も増える点はメリットです。
借地のデメリット
借地のデメリットは以下の通りです。
- 賃貸物件運営よりは収益額が低い
- 借主の権利が強い
- 用途変更しにくい
賃貸物件運営よりは収益額が低い
借地は、賃貸物件より収益額が低くなりやすい点もデメリットといえます。というのも、借地の場合は自分で建物を所有しているわけではなく、あくまで土地を貸しているだけです。
一方、賃貸物件は「建物+土地」を家賃としてもらっているので、地代よりも家賃の方が高い金額になりやすいです。
借主の権利が強い
借地権は平成4年に改正されました。その改正で「定期借地権」が誕生し、定期借地権を利用すれば期間満了後に必ず土地は返還されます。
しかし、旧法借地権の流れを継いだ普通借地権の場合、旧法借地権よりは更新条件は厳しくなりましたが、借主の権利が強いことには変わりありません。
具体的にいうと、借主が継続して利用したい旨を申し出ると、基本的には借地契約は更新されます。つまり、土地は半永久的に戻ってこないというわけです。
その点は、土地活用で借地権を選択するデメリットといえるでしょう。
用途変更しにくい
前項の理由により、借地にすると用途変更しにくいです。たとえば、「建物を壊して駐車場経営したい」といっても、その建物を壊すには借主の許可が必要です。
4.低コストな駐車場経営
4つ目に紹介する土地活用方法は駐車場経営です。駐車場経営に関しては以下を解説します。
- 駐車場経営には2種類ある
- 駐車場経営のメリット
- 駐車場経営のデメリット
駐車場経営には2種類ある
駐車場経営といっても以下2種類あります。
- 月極駐車場
- コインパーキング
月極駐車場は、賃借人と自動更新の契約を結び、月々駐車場使用料をもらうことで収益を上げます。一方、コインパーキングは時間貸しなので、利用した分の駐車料金が収益となります。
駐車場経営のメリット
駐車場経営のメリットは、月極駐車場・コインパーキング、そして両方に共通するメリットの3種類に分けて解説します。
両方に共通するメリット
両方に共通するメリットは以下です。
- 用途変更が楽
- 初期費用がかからない
- 場所を問わない
駐車場は住宅と違い、仮に月極駐車場として契約を結んでいても、土地所有者の一方的な都合で契約を解除できるので用途変更は楽です。
また、コインパーキングでもコインパーキング業者が初期費用を捻出するケースが多いため、初期費用もかかりません。
さらに、住宅には不向きな土地でも、たとえば「大きな公園が近い」「住宅街である」などの立地であれば、収益化することは可能です。
月極駐車場のメリット
月極駐車場ならではのメリットは、借主と契約を結んでいるので毎月収入があるという点です。この「安定性」は月極駐車場の大きなメリットといえます。
コインパーキングのメリット
コインパーキングならではのメリットは、立地によってはニーズが高くなり収益が高くなるという点です。
駐車場経営のデメリット
駐車場経営のデメリットに関しても、メリットのときのように3つに分けて解説します。
両方に共通するデメリット
まず、両方に共通するデメリットは、収益額が低いということです。
上述のようにコインパーキングはニーズにもよりますが、それでも「家」ではなく「駐車場」なので、賃貸物件運営以上の収益を上げるのは難しいでしょう。
また、月極駐車場は安定して収益を得られますが、やはり賃貸物件よりも収益性は低いです。
月極駐車場のデメリット
月極駐車場ならではのデメリットは、解約まで1か月程度時間がかかるという点です。
土地所有者からの一方的解除は可能ですが、「1か月前通知」など期間があるので、「明日から別の用途にする」などは難しいです。
コインパーキングのデメリット
コインパーキングのデメリットは、以下のような縛りがある点です。
- 運用期間が決まっている
- 料金の一部業者に取られることがある
上述したように、コインパーキングはコインパーキング業者が初期費用を捻出するケースが多いです。
その代わりに、「○年継続して運用しないと違約金がある」や「利用料の●%は弊社(業者)が徴収する」などの縛りがあります。
この縛りがあること「用途変更が楽」などのメリットも薄れてしまうので、駐車場経営のデメリットといえるでしょう。
5.土地信託
5つ目に紹介する土地活用方法は土地信託です。土地信託については以下を解説していきます。
- 土地信託とは?
- 土地信託のメリット
- 土地信託のデメリット
土地信託とは?
土地信託とは、自分の土地を信託銀行などに預け運用してもらい、その収益を還元してもらうことで利益を得るという土地活用方法です。
要は、手数料を支払う代わりにプロに土地の運用を任せ、その運用で得た利益をもらうということです。
土地信託のメリット
土地信託のメリットは以下の点です。
- 信託会社に任せられる
- 借入がない
- 所有権を失うわけではない
信託会社に任せられる
土地信託は、土地活用のプロである信託会社に任せられます。信託会社は、その土地の立地や広さ、形状などを考えて最適な運用を行います。
つまり、信託会社のノウハウを活かした運用ができ、その恩恵を受けられるというわけです。また、信託会社に運用は任せるので手間がかからない点もメリットといえるでしょう。
借入がない
仮に、その土地に建物を建築して、そこから賃料収入を得るとします。本来であれば、その建物の建築費は土地所有者が支払いますが、土地信託の場合は信託会社が負担します。
つまり、借入なしで賃貸物件の運営ができるということです。この点も土地信託のメリットといえるでしょう。
所有権を失うわけではない
また、土地を売却するわけではないので、所有権が信託会社に移るわけではありません。
信託契約の関係上、勝手に用途変更はできませんが、所有権が残っている点はメリットといえます。
土地信託のデメリット
前項のようなメリットがある一方で、土地信託には以下のデメリットもあります。
- 信託手数料がかかる
- 自分で運用するよりも収益性は低い
- 信託期間中は用途変更不可
信託手数料がかかる
まず、信託会社へ手数料を支払う必要がある点です。手数料率は信託会社によりますが、一般的には収益の5~20%になります。
この手数料は土地所有者が支払っているわけではありませんが、自分がもらう収益から引かれるので実質的な支出といえるでしょう。
自分で運用するよりも収益性は低い
また、前項の手数料がかかる関係で、土地信託は自分で賃貸物件を運用するよりも収益性が低いです。
仮に手数料が20%であれば、自分で運営しているときよりも収益が20%も下がってしまうことになります。
また、もちろん運営が赤字になることもあり、そうなれば利益を上げるどころか信託会社から赤字分の請求をされることもあるのです。
あくまで「運用を任せる」だけなので、運用に失敗したときの責任は土地所有者にあります。
信託期間中は用途変更不可
信託期間中は信託会社に運用を任せるので、売却を含めた用途変更はできません。この点も、土地信託のデメリットといえるでしょう。
まとめ
今回は、代表的な土地活用方法である、売却・賃貸物件・借地・駐車場経営・土地信託について解説しました。
どれもメリット・デメリットはありますが、資産をつくるという目的であれば賃貸物件の運用が適しているでしょう。それぞれ比較してみて、自分の土地に合った活用方法を検討してみてください。